JP3970610B2 - 磁性薄膜および記録ヘッド - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、軟磁性を示す磁性薄膜、および磁界を発生して外部の媒体を磁化する記録ヘッドに関する。
背景技術
近年、コンピュータの普及に伴って、日常的に多量の情報が取り扱われるようになっており、このような多量の情報を記録する装置として、例えばハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が使用されている。HDDは、表面が磁性材料からなる記録媒体である磁気ディスクと、微小なコイルを有し、さらに軟磁性材料からなりそのコイルによって磁化されてそのコイルから発生された磁界を伝達する磁極を有する、上記磁気ディスクに近接して配置された記録ヘッドとを備え、その磁極を通じて伝達された磁界によってその磁気ディスクの表面が微小領域(1ビット領域)ごとに磁化され、情報がその微小領域の磁化の方向として記録される。
磁気ディスクに記録される情報の記録密度は年々増大しつつあり、そのように増大した記録密度で情報が記録される磁気ディスクは、高い保磁力を有するものでなくてはならないことが知られている。一方、この磁気ディスクに情報を記録する記録ヘッドは、このように保磁力が高められた磁気ディスクの各磁化を反転させるものでなくてはならない。このため、記録ヘッドの磁極は、強い磁界を発生することができるように、軟磁性に優れ(透磁率μが高く)かつ飽和磁束密度Bsの高い材料からなるものであることが要求される。
また、このような記録密度の増大に伴い、記録ヘッドによって高い記録周波数で磁界を発生させる必要が生ずる。しかし、このように高い記録周波数では、記録ヘッドの磁極に渦電流が発生して、上記の透磁率μや磁束密度Bといった軟磁気特性が劣化する。この軟磁気特性の劣化を抑えるためには、磁極の電気抵抗率ρを高めることにより渦電流による軟磁気特性への影響を抑制すればよい。従来から記録ヘッドの磁極材料として用いられているパーマロイめっき膜は、20μΩcm程度の低い電気抵抗率ρを有するものであるため、100MHz以上の記録周波数で用いられる記録ヘッドに対しては、より電気抵抗率ρの高い磁極材料が必要となる。
軟磁性を有しかつ高い電気抵抗率ρを有する膜として、例えば、特開平9−115729号公報にFe−B−Al−O微結晶磁性膜が報告されている。また、特開平7−86035号および特開平7−86036号公報においては、Fe−Al−OなどにNが添加された、高い電気抵抗率ρを有する微結晶磁性膜が提案されている。
しかし、これらの微結晶磁性膜は、いずれも低磁気モーメントを有するアルミナなどのセラミックス相が、高磁気モーメントを有する微結晶相を覆う構造の組織を有するものであるため、電気抵抗率ρは高いものの、飽和磁束密度Bsおよび透磁率μが低いという問題があり、記録ヘッド用磁極材料としての適性に劣っている。
発明の開示
本発明は上記事情に鑑み、高い飽和磁束密度Bsと高い透磁率μと高い電気抵抗率ρとを兼ね備えた磁性薄膜、並びに高い飽和磁束密度Bsと高い透磁率μと高い電気抵抗率ρとを兼ね備えた磁極を有する記録ヘッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の磁性薄膜は、
含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下であるFeと、
含有量が全体で1原子%以上かつ15原子%以下である、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素と、
含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下であるNと、
含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下であるOとからなる多結晶膜であることを特徴とする。
ここでいう多結晶膜とは、上述した従来の磁性薄膜のように、セラミックス相が微結晶相を覆う構造を持つ組織を有するものではなく、粒界への物質の析出は許すものの基本的に磁性を有する結晶粒子からなる多結晶膜を意味する。
この磁性薄膜は、以下の実施形態および実施例に詳しく述べるように、高い飽和磁束密度Bsと高い透磁率μと高い電気抵抗率ρとを兼ね備える。この磁性薄膜が高い飽和磁束密度Bsと高い透磁率μとを有するのは、この磁性薄膜が、上述した従来の磁性薄膜と比較してFeの含有率が高いという組成上の特性を有し、セラミックス相を含まないかあるいは仮に含むとしてもセラミックス相の量がわずかなものであるためと考えられる。また、この磁性薄膜は、上述したような多結晶膜であり、結晶粒子が、上述した含有量に応じて、Feに対し、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素、O、およびNが固溶されたものであるため、セラミックス相に覆われていなくても、高い電気抵抗率ρを有するのであると考えられる。
上記本発明の磁性薄膜は、以下の実施例に述べるように、飽和磁束密度Bsが1.6T以上であり、電気抵抗率ρが30μΩcm以上であることが好ましい。また、この磁性薄膜は、透磁率μが500以上であることが好ましい。
上記本発明の磁性薄膜は、平均粒径が15nm以下の結晶粒子からなる多結晶膜であることが好ましい。
以下の実施形態および実施例に述べるように、飽和磁束密度Bsが1.6T以上であり、電気抵抗率ρが30μΩcm以上であり、さらに透磁率μが500以上である磁性薄膜は、実際に、結晶粒子の平均粒径が15nm以下となっている。このように小さな粒径の結晶粒子からなるという組織上の特性も、上記の、飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μの向上に有効であると考えられる。例えば、結晶粒子の粒径が減少することにより実効的な磁気異方性Heffが減少し、この磁気異方性Heffの減少に伴って透磁率μが増大することが考えられる。
上記目的を達成する本発明の記録ヘッドは、
所定の磁界を発生させるコイルおよびそのコイルから発生した磁界により磁化される軟磁性部材を有し、そのコイルにより発生されその軟磁性部材により伝達された磁界により外部の媒体を磁化する記録ヘッドであって、
上記軟磁性部材が、
含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下であるFeと、
含有量が全体で1原子%以上かつ15原子%以下である、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素と、
含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下であるNと、
含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下であるOとからなる多結晶膜であることを特徴とする。
この記録ヘッドの軟磁性部材は、上述した本発明の磁性薄膜と同等のものであるため、この軟磁性部材は、上述した本発明の磁性薄膜と同じ作用効果を奏する。
この軟磁性部材を用いた記録ヘッドは、この軟磁性部材が高い飽和磁束密度Bsと高い透磁率μと高い電気抵抗率ρとを兼ね備えているため、高い記録周波数で強い磁界を発生させ、磁気ディスクなどの記録媒体に高い記録密度で情報を記録することができる。
上記本発明の記録ヘッドは、上記軟磁性部材が、平均粒径が15nm以下の結晶粒子からなる多結晶膜であることが好ましい。
この記録ヘッドの軟磁性部材は、上述した、平均粒径が15nm以下の結晶粒子からなる多結晶膜である磁性薄膜と同等のものであるため、この軟磁性部材は、この磁性薄膜と同じ作用効果を奏する。
上記目的を達成する本発明の磁性薄膜成膜方法は、
Feと、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素と、Nと、Oとからなる磁性薄膜を、スパッタ法により所定の基板上に成膜する磁性薄膜成膜方法であって、
上記磁性薄膜中のFeの含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下となり、上記磁性薄膜中の、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素の全体の含有量が1原子%以上かつ15原子%以下となり、上記磁性薄膜中のNの含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下となり、さらに、上記磁性薄膜中のOの含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下となるように、
ターゲットを構成する材料の量および比率と、スパッタガスの流量およびガス混合比と、そのターゲットに加えられる電力とを調整しながら、その磁性薄膜を成膜することを特徴とする。
この磁性薄膜成膜方法で成膜された磁性薄膜は、以下の実施形態および実施例に詳しく述べるように、高い飽和磁束密度Bsと高い透磁率μと高い電気抵抗率ρとを兼ね備えている。
上記本発明の磁性薄膜成膜方法は、上記基板上への磁性薄膜の成膜中および成膜後に亘り、上記基板の温度を200℃以下に保つことが好ましい。
この磁性薄膜成膜方法によってこのように基板の温度を200℃以下に保ちながら成膜された磁性薄膜は、高い電気抵抗率ρと良好な軟磁気特性を有し、例えば、後に実施例で詳しく述べるように、高い飽和磁束密度Bsを有する。
また、この磁性薄膜成膜方法で成膜された磁性薄膜を、記録ヘッドと再生ヘッドとからなる複合型磁気ヘッドの磁極用の軟磁性材料として用いた場合、この磁性薄膜の成膜時の基板温度が200℃以下と低いため、再生ヘッドは、再生特性が損なわれることなく好ましい状態に保たれる。
以上説明したように、本発明によれば、高い飽和磁束密度と高い透磁率と高い電気抵抗率とを兼ね備えた磁性薄膜および磁性薄膜成膜方法、並びに高い飽和磁束密度と高い透磁率と高い電気抵抗率とを兼ね備えた磁極を有する記録ヘッドが提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のハードディスク装置の内部構造を示す図である。
同図に示すハードディスク装置(HDD)100のハウジング101には、回転軸102、回転軸102に装着される磁気ディスク103と、磁気ディスク103に対向する浮上ヘッドスライダ104、アーム軸105、浮上ヘッドスライダ104を先端に固着してアーム軸105を中心に磁気ディスク103上を水平移動するキャリッジアーム106、およびキャリッジアーム106の水平移動を駆動するアクチュエータ107が収容される。磁気ディスク103に記録された情報の再生にあたっては、磁気回路で構成されたアクチュエータ107によってキャリッジアーム106が駆動され、浮上ヘッドスライダ104が回転する磁気ディスク103上の所望のトラックに位置決めされる。浮上ヘッドスライダ104には、図1には図示しない、再生ヘッドと記録ヘッドからなる複合型磁気ヘッドが設置されている。この複合型磁気ヘッドは、磁気ディスク103の回転とともに磁気ディスク103の各トラックに並ぶ各1ビット領域に順次近接する。このように磁気ディスク103に近接した複合型磁気ヘッドは、記録ヘッドによってそれらの各1ビット領域に磁界を印加し、情報をその各1ビット領域の磁化の方向として記録する。また、再生ヘッドによってそれらの情報をそれらの各1ビット領域の磁化それぞれから発生する磁界に応じて生成される電気的な再生信号によって取り出す。ハウジング101の内部空間は、図示しないカバーによって閉鎖される。
図2は、本実施形態のハードディスク装置に用いられた複合型磁気ヘッドの側断面図であり、図3は、本実施形態のハードディスク装置に用いられた複合型磁気ヘッドの正面図である。
図2、図3に示す複合型磁気ヘッド30は、上記ハードディスク装置100内では、図2、図3には図示しない磁気ディスク103に近接して位置決めされている。図2では、複合型磁気ヘッド30は同図左側で磁気ディスク103に面しており、図3では、複合型磁気ヘッド30は同図正面で磁気ディスク103に面している。
図2、図3において、複合型磁気ヘッド30は、大別して再生ヘッド10と記録ヘッド20から構成されており、この複合型磁気ヘッド30は、再生ヘッド10の背部に記録ヘッド20を付加する構造となっている。
再生ヘッド10は、これらの図に示すように、例えば磁気抵抗効果素子や電極などを含み磁気ディスク103からの磁界を受けてその磁界に応じた再生信号を生成する素子部11と、この素子部11の膜厚方向の両側から挟むようにように配置された、軟磁性材料からなる再生下部シールド12および再生上部シールド21とを有する。
一方、記録ヘッド20は、再生ヘッド10の再生上部シールド21を兼ねた記録下部磁極21を有し、その記録下部磁極21上に例えば厚さ0.4μmのAl23からなる記録ギャップ膜22が形成され、その記録ギャップ膜22上に例えばCuからなる記録コイル24およびこの記録コイル24の周囲を包囲するレジストなどの有機絶縁層23が形成され、さらにこの記録ギャップ膜22および有機絶縁層23上に軟磁性材料からなる記録上部磁極25が形成されたものである。この記録上部磁極25は、図2の左側に示される、磁気ディスク103に面する部分と同図中央付近の記録コイル24中心部分で記録ギャップ膜22上に積層し、それらの部分以外では記録コイル24を覆う有機絶縁層23上に積層するように形成される。これらの記録下部磁極21および記録上部磁極25の双方が本発明の記録ヘッドにいう軟磁性部材に相当し、また本発明の磁性薄膜に相当する。記録上部磁極25と記録ギャップ膜22は、図3に示すように、コア幅として、磁気ディスク103の面から見てその面に面した部分が上記記録ギャップ膜22の広がる方向に例えば1μm程度に狭められている。なお、上述した素子部11もこの面に面した部分が1μm程度に狭められている。
記録上部磁極25と記録下部磁極21は、図2に示すように、記録コイル24の中心部分を通って記録コイル24の回りを1周する磁気回路を形成している。この記録コイル24から発生した磁界は、上記記録上部磁極25および上記記録下部磁極21を磁化させながらこれらの磁極中を伝達して、上記磁気ディスク103に面した、上記記録下部磁極21と記録上部磁極25とが上記記録ギャップ膜22を挟んで微小間隔離れた部分から外部に飛び出す。この外部に飛び出した磁界によって、上述した磁気ディスク103の各1ビット領域の磁化の方向が変えられる。
次に、これらの記録下部磁極21および記録上部磁極25として用いられる磁性薄膜およびこの磁性薄膜の成膜方法について説明する。
図4は、本発明に係る磁性薄膜を成膜するRFマグネトロンスパッタ装置の概略図である。
同図に示すスパッタ装置200は、真空容器201を有し、その真空容器201の内部に、高周波の交流電圧が印加される2つの電極202,203を有する。それらの電極のうちの一方の電極202には基板204が設置され、もう一方の電極203には後述する各種の材料からなるターゲット205が設置される。また、このターゲット205側の電極203には磁石206が設置されている。この真空容器201は、ガスが流入出するガスパイプ207と連結し、このガスパイプ207を通じてガスが導入される。また、基板204が設置された電極202には、水冷が可能な冷却器208が備えられており、この冷却器208によって基板204の温度が200℃以下に調整される。
上記電極202,203に高周波の交流電圧が印加されると真空容器201中のガスがプラズマ状態になり、そのようにプラズマ状態になったガスが磁石206による磁界で進路を曲げられながら加速されてターゲット205を叩き、ターゲット205を構成する材料の原子がはじき出される。この原子は、基板204に付着し、またガスの成分のうち活性なガス成分(反応性スパッタガス)と反応して、その基板204上に薄膜が形成される。
この薄膜を成膜する際の、ターゲット205と真空容器201中に導入されるガスの組み合わせとして、例えば以下の5つがあげられる。
1.ターゲット205として、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素MとOとから構成される酸化物チップをFeターゲット上に配置または埋め込んだ複合ターゲット、あるいはその元素群のうちから選択された一種類以上の元素MとOとから構成される酸化物粉末とFe粉末とを焼結成形した合金ターゲットを用い、真空容器201中にNを含むガスを導入する組み合わせ。後述する実施例では、この組み合わせで薄膜が成膜された。
2.ターゲット205として、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素MとNとから構成される窒化物チップをFeターゲット上に配置または埋め込んだ複合ターゲット、あるいはその元素群のうちから選択された一種類以上の元素MとNとから構成される窒化物粉末とFe粉末とを焼結成形した合金ターゲットを用い、真空容器201中にOを含むガスを導入する組み合わせ。
3.ターゲット205として、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素MとOとからなる酸化物のターゲットとFeターゲットとを同時に用い、真空容器201中にNを含むガスを導入する組み合わせ。
4.ターゲット205として、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素MとNとからなる窒化物のターゲットとFeターゲットとを同時に用い、真空容器201中にOを含むガスを導入する組み合わせ。上記1〜4の組み合わせでは、ターゲットの構成物質として酸化物あるいは窒化物を用いることで、反応性スパッタガスとして用いる酸素あるいは窒素どちらか一方の流量のみを調整すればよい。
5.ターゲット205として、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素MとFeとを含むターゲットとを同時に用い、真空容器201中にOおよびNを含むガスを導入する組み合わせ。
これらの組み合わせそれぞれの場合に、基板204上にFeとNと、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素Mと、OとからなるFe−N−M−O膜が形成される。後に実施例に示すように、この膜は、この膜のうちのFeの含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下であり、上記元素群のうちから選択された一種類以上の元素Mの含有量が全体で1原子%以上かつ15原子%以下であり、Nの含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下であり、Oの含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下である組成を有する場合には多結晶膜となっており、組織中にセラミックスネットワークは見られない。また、この膜は、上記組成を有する多結晶膜となっている場合には、飽和磁束密度Bsが1.6T以上、透磁率μが500以上、電気抵抗率ρが30μΩcm以上という好ましい特性を有する。これらの好ましい特性を有するFe−N−M−O膜の結晶粒子の平均粒径は、実施例に示すように15nm以下の小さな値となっており、この膜の結晶粒子の平均粒径は、15nm以下であることが好ましい。また、これらの特性がより向上した高い値を示すFe−N−M−O膜の結晶粒子の平均粒径は、実施例に示すように5nm以下の小さな値となっており、この膜の結晶粒子の平均粒径は、5nm以下であることがさらに好ましい。
このFe−N−M−O膜が、上述したように飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μにおいて高い値を示す理由としては、まず、膜の組成におけるFe濃度の高さによる飽和磁束密度Bsの増大、結晶粒子がセラミックスネットワークに覆われていなくとも結晶粒子中に上記元素群の元素やN、Oなどの元素が固溶したことによる電気抵抗率ρの増大、また、その結晶粒子が15nm以下、場合によっては5nm以下と微細であることによる透磁率μの増大などが考えられる。
上記記録下部磁極21および記録上部磁極25は、このようなFe−N−M−O膜からなるものであり上述した特性を有するため、高周波記録用記録ヘッドの磁極材料として適している。
また、この膜は、200℃以下の低温成膜プロセスで成膜した直後に得ることができるため、上記複合型ヘッド30の記録下部磁極21および記録上部磁極25として用いられた場合、この膜の成膜による再生ヘッド10の素子部12を劣化させることはない。また、このような低温成膜プロセスによって膜が以上に述べた好ましい組織を持つようになったと考えられ、上述した特性が向上する。
また、Fe−N−M−O膜の単層膜だけでなく、Fe−N−M−O層と絶縁層あるいは磁性層とを複数層積層した多層膜も、単層膜の場合と同様に、飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μにおいて高い値を示す。
なお、本実施形態では、上述したように高い飽和磁束密度Bsと高い透磁率μと高い電気抵抗率ρとを兼ね備えた磁性薄膜を、HDDの記録ヘッドの磁極材料として用いているが、本発明の磁性薄膜の用途はこれに限られるものではなく、高周波の磁界変動を伴いながら良好な軟磁性を必要とする場合に有効に使用される。
実施例
以下に、本発明の磁性薄膜および本発明の磁性薄膜成膜方法の実施例について説明する。
本実施例では、上述したRFマグネトロン方式のスパッタ装置200を用い、ターゲット205に対し、ターゲット205表面1cm2あたりの投入電力3.1W、スパッタ圧力0.5Paでスパッタを行った。ターゲット205として、20cm径のFeターゲット上に10mm×10mmの大きさのアルミナ(Al23)チップを配置した複合ターゲットを用い、基板204としてガラス基板を採用し、真空容器201中にはN2とArとの混合ガスを導入するという状況下で薄膜を形成した。なお、本実施例では、基板204上に形成された薄膜にアニールは行わず、スパッタ装置200による成膜をもって薄膜の形成の完了とした。
薄膜中のAlとOの含有量は、上記アルミナチップの数を0枚〜50枚まで変えることにより調整した。チップ数を増加させると、膜中のAlおよびO含有量は増加する。膜中のN含有量の調整は、真空容器201中に、流量50cm3/s(50sccm)のArガスに加えて、N2ガスとArガスからなる混合ガスを導入することによって行った。なお、このN2ガスとArガスからなる混合ガスは、体積混合比をArガス4に対してN2ガス1の比に保ちながら流量を0cm3/s〜10cm3/sまで変化させた。以後、混合ガスの流量と呼ぶ場合には、このように0cm3/s〜10cm3/sまで変化する混合ガスの流量を指す。
以上に述べたようにして形成された薄膜に対して各種の実験を行った。その実験結果について以下に示す。なお、これらの実験において、結晶組織の観察は透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子 JEM−2000EX)により撮影したTEM像により行い、薄膜のX線回折パターンはX線回折装置(XRD:理学電機 RINT−1000)によって測定した。また、磁気特性の測定には、試料振動型磁力計(VSM:Digital Measurement systems Model 1660)並びにB−Hループトレーサ(理研電子B−H curve tracer)を使用し、透磁率μの測定は高周波透磁率測定装置(ハヤマ MP−2000)によりパラレルライン法で行った。また、電気抵抗率ρは直流四端子法により測定し、薄膜の組成分析はエネルギ分散型X線分析装置(EDX:掘場製作所 EMAX−5770W)および電子プローブマイクロアナライザ(EPMA:日本電子JXA−6900)により行った。
<TEM像、XRDパターン>
上記アルミナチップの数を30個、上記混合ガスの流量を4.5cm3/sとして成膜されたFe−N−Al−O膜のTEM像を撮影した。
図5は、Fe−N−Al−O膜の透過顕微鏡(TEM)像を示す図である。
このTEM像における、個々の小さな黒い粒が1つの結晶粒子を示す。同図下部に表示する20nmのスケールと比較すると、この膜は、結晶粒子が平均結晶粒径5nm以下のナノクリスタル構造になっていることがわかる。なお、同図中の黒い粒状の部分は、電子線の回折条件を満たす結晶方位を有する結晶粒子を表す。また、同図中の白地の部分は、電子線の回折条件を満たさない結晶方位を有する結晶粒子を表していると考えられる。
また、上記混合ガスの流量を4.5cm3/sに固定し上記アルミナチップの数を0個〜40個として成膜されたFe−N−Al−O膜(0個の場合はFe−N膜)に対してX線回折パターンの測定を行った。この測定の結果を図6に示す。また、上記アルミナチップの数を30個に固定して上記混合ガスの流量を0cm3/s〜5cm3/sとして成膜されたFe−N−Al−O膜(0cm3/sの場合はFe−Al−O膜)に対してX線回折パターンの測定を行った。この測定の結果を図7に示す。
図6、図7は、Fe−N−Al−O膜のX線回折(XRD)パターンを示す図である。
図6、図7の横軸は、いずれもX線回折角2θを表し、図6、図7の縦軸はいずれも、X線回折強度を表す。いずれの図も、α−Fe(bcc−Fe)相のFe(110)に対応するX線回折角付近のX線回折パターンを示す。
図6に示すように、成膜時にFeターゲット上に配置したアルミナチップ数を20、30、40個と増加させるにつれて、Fe−N−Al−O膜のα−Fe相(110)に対応するX線回折パターンのピークは、低角度側にシフトした。また、図7に示すように、成膜時に上記混合ガスの流量を、1、3、5cm3/sと増大させるにつれて、Fe−N−Al−O膜のα−Fe相(110)に対応するX線回折パターンのピークは、低角度側にシフトした。これらのX線回折パターンの測定結果から、Al、O、Nは、α−Fe相中に固溶していることがわかる。
なお、Fe−N−Al−O膜のX線回折パターンには、Al23などのセラミックス相を表すピークは見られなかった。また、上記TEM像の様子と、このX線回折パターンの測定の結果から、Fe−N−Al−O膜は、基本的にFe−N−Al−Oからなる結晶の集合した多結晶膜であって、この膜の結晶粒子は、Al23などのセラミックス相で覆われた状態にないと考えられる。この多結晶膜の各結晶粒子の粒径は、上記の様々なX線回折パターンにおけるα−Fe固溶相(110)のピークの半値幅から15nm以下であると判定された。
以上の結果を総合すると、本実施例で成膜したFe−N−Al−O膜は、α−Fe相中にN、Al、Oが固溶した、平均粒径が15nm以下の結晶粒子からなる多結晶膜であることがわかる。
<M−H曲線>
図8は、Fe−N−Al−O膜のM−H曲線を示すグラフである。
同図には、上記ターゲット205上にアルミナチップが30個配置され、混合ガスの流量を4.5cm3/sとして水冷基板上に成膜したFe−N−Al−O膜のM−H曲線を示される。同図の横軸は、そのFe−N−Al−O膜に印加された磁界Hを表し、縦軸は、その膜の磁化Mを表す。この膜は一軸磁気異方性を有するものであり、同図には、2種類のM−H曲線が示されている。その2種類のM−H曲線のうちの1つは、その膜の磁化困難軸方向に磁界Hを印加した場合のM−H曲線a1であり、そのM−H曲線は、磁化困難軸方向の保磁力Hchが20A/m程度であり、磁界Hが増加して1000A/mとなるまで磁化Mは単調に増加してその後飽和している。このM−H曲線から、このFe−N−Al−O膜は、異方性磁界Hkが約1000A/mであり、磁化困難軸方向の透磁率μが約2000と高い良好な軟磁性体であることがわかる。一般に記録ヘッドの磁極の磁化困難軸方向は、記録コイルから発生して磁極を通る磁界の方向に向き、磁極の磁化の方向はその磁界の向きに応じて変わるため、記録ヘッドの磁極の透磁率μは、磁極の磁化困難軸方向の透磁率μによって表される。以下では、磁化困難軸方向の透磁率μを単に、透磁率μとして記述する。また、記録ヘッドの磁極の透磁率μや異方性磁界Hkは、大きくは、それぞれこの磁極の材料固有の透磁率μ、異方性磁界Hkによって決まるものであるが、磁極の形状などによっても変わるものである。
もう1つのM−H曲線a2は、Fe−N−Al−O膜の磁化容易軸方向に磁界Hを印加した場合のM−H曲線であり、そのM−H曲線から、この膜の磁化容易軸方向の保磁力Hceが80A/m以下であることがわかる。
<基板温度Ts
図9は、基板温度Tsを変えて成膜したFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsの変化を示すグラフである。
同図には、様々な基板温度Tsの下で成膜されたFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsの測定結果を示す。この膜は、ターゲット205上にアルミナチップを20個配置され、混合ガスの流量が4.5cm3/sである状況で成膜された。図9の横軸は基板204の基板温度Tsを表し、縦軸は基板204上に形成されたFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsを表す。同図において、白丸が実際に測定された測定結果を示し、実線がそれらの測定値を補間した結果を示す。
飽和磁束密度Bsは200℃以下の基板温度Tsにおいて2Tを越えるほぼ一定の値を示しており、200℃以上の基板温度Tsでは単調に減少して、300℃の基板温度Tsで1.7Tとなった。また、図には示さないが、この飽和磁束密度Bsの減少に対応して、250℃以上の基板温度Tsにおいては、膜の抵抗率ρが減少し、軟磁性にも劣化が見られた。
<飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、透磁率μ>
図10は、Fe−N−Al−O膜の、飽和磁束密度BsのAl濃度依存性を示すグラフであり、図11は、Fe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρのAl濃度依存性を示すグラフであり、図12は、Fe−N−Al−O膜の透磁率μのAl濃度依存性を示すグラフである。また、図13は、Fe−N−Al−O膜の、飽和磁束密度BsのN濃度依存性を示すグラフであり、図14は、Fe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρのN濃度依存性を示すグラフであり、図15は、Fe−N−Al−O膜の透磁率μのN濃度依存性を示すグラフである。
図10、図11、図12では、混合ガスの流量を4.5cm3/sに固定しながら、ターゲット205に配置されたアルミナチップの数を0から50個まで変化させることにより0原子%から18原子%に亘るAl濃度を有するFe−N−Al−O膜が測定対象となっている。
また、図13、図14、図15では、ターゲット205に配置されたアルミナチップの数を30個に固定しながら、混合ガスの流量を0cm3/sから10cm3/sまで変化させることにより、0原子%から13原子%に亘るN濃度を有するFe−N−Al−O膜が測定対象となっている。
図10、図11、図12は、いずれも横軸がFe−N−Al−O膜中のAl濃度を原子%単位で表しており、図10の縦軸は、そのFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsを表し、図11の縦軸は、そのFe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρを表し、図12の縦軸はそのFe−N−Al−O膜の100MHzの交流磁界中での透磁率μを表している。また、図13、図14、図15は、いずれも横軸がFe−N−Al−O膜中のN濃度を原子%単位で表しており、図13の縦軸は、そのFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsを表し、図14の縦軸は、そのFe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρを表し、図15の縦軸はそのFe−N−Al−O膜の100MHzの交流磁界中での透磁率μを表している。いずれの図においても、白丸が実際に測定された結果を示し、それらの測定結果を補間した結果が実線で示されている。
ここで、これらの図の内容について説明する前に、記録ヘッドの磁極材料に要求される飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μの大きさについて述べておく。
現在記録ヘッドの磁極に通常用いられている材料は、メッキによるパーマロイ(Ni80Fe20,Ni50Fe50)などが主流であり、また、今後、飽和磁束密度Bsの大きな、例えばCoNiFeからなるメッキ膜が磁極材料の候補として考えられている。これらのメッキ膜の飽和磁束密度Bsおよび電気抵抗率ρの値を表1に示す。
【表1】
Figure 0003970610
表1に示すように、Ni50Fe50メッキ膜は最高で1.6Tの飽和磁束密度Bsを有し、また、CoNiFeメッキ膜は、最高で2Tの飽和磁束密度Bsを有する。但し、磁極材料は、飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、透磁率μのみでなく、磁歪、熱安定性、耐食性、内部応力なども考慮されなくてはならない。CoNiFeからなるメッキ膜は、飽和磁束密度Bsが2Tと高いものの、電気抵抗率ρが20μΩcm程度と低く、さらに内部応力が高く基板からの剥離が生じるためにサブミクロン(数千Å)程度しかメッキすることができず、磁極への適用に大きな制約がある。また、Ni50Fe50からなるメッキ膜は、電気抵抗率ρが40μΩcm程度となるものの飽和磁束密度Bsが1.6T以下であり、さらに磁気ひずみ定数が10-5オーダーの大きな値を示す。
これらの事情から、スパッタ膜においては、これらの膜の特性を上回る、1.6T以上の飽和磁束密度Bsを有し、30μΩcm以上の電気抵抗率ρを有することが要求される。
なお、透磁率μは、磁性膜の形状によって反磁界の影響で大きく変化し且つ、周波数にも依存してしまう量であるため、材料レベルでこの透磁率μの値を規定することは難しいのが現状である。実際、微細化プロセス後の、数十μm程度の大きさの、Ni80Fe20メッキ膜からなる磁極においては、数100MHzの高周波磁界中で透磁率μが100程度になってしまうものと推測されている。ここでは、磁極材料に要求される透磁率μの値として、現状で一般に要求されている、磁極材料がシート状の場合に100MHzの交流磁界中で500以上の値を目安とする。図10〜図15において、これらの、1.6Tの飽和磁束密度Bs、30μΩcmの電気抵抗率ρ、500という値の透磁率μが、点線によって示される。
図10〜図15の説明に戻る。図10に示すように、基板204上に形成されたFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsは、膜中のAl濃度が0原子%で2.1Tと高く、膜中のAl濃度が増加すると単調に減少して、膜中のAl濃度が15原子%で1.6Tとなり、18原子%では1.3Tにまで低下した。このようなAl濃度の増加にともなう飽和磁束密度Bsの減少は、膜中のAl濃度の増加およびO濃度の増加に伴うFe濃度の減少により説明される。この膜が上述した1.6T以上の飽和磁束密度Bsを持つには、膜中のAl濃度が15原子%以下であればよい。
また、図11に示すように、基板204上に形成されたFe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρは、膜中のAl濃度が0原子%で28μΩcmと低いが、膜中のAl濃度が増加するとともに単調に増大して、膜中のAl濃度が1原子%で30μΩcmを越え、3原子%で50μΩcmを越え、8原子%で100μΩcmを越えて、15原子%では約500μΩcmに達した。このようなAl濃度の増加に伴う電気抵抗率ρの増大は、膜中のFeが主成分となる結晶粒子に固溶したAlおよびOのAl濃度およびO濃度の増加による、その結晶粒子自身の電気抵抗率の増大に起因するものと考えられ、この膜は、従来のFe−N−Al−O膜のようにFeの結晶粒子がアルミナに囲まれているという組織の構造を持たなくとも高い電気抵抗率ρを示した。この膜が上述した30μΩcm以上の電気抵抗率ρを持つには、膜中のAl濃度が1原子%以上であればよい。
また、図12に示すように、基板204上に形成されたFe−N−Al−O膜の透磁率μの値は、膜中のAl濃度が0原子%で150と低いが、膜中のAl濃度が増加するとともに単調に増大して、膜中のAl濃度が1%で既に500を越え、5原子%で2000を越える最大の値をとった。このような透磁率μの増大は、FeへのAlおよびOの固溶によりFe−N−Al−O膜の結晶粒子の成長が抑制され、軟磁気特性に寄与する実効的な磁気異方性Heffが減少することなどに起因すると考えられる。また、この膜の透磁率μの値は、膜中のAl濃度が5原子%からさらに増加すると単調に減少し18原子%で700に低下した。このような透磁率μの減少は、上述した飽和磁束密度BsのAl濃度の増加に伴う減少に起因すると考えられる。この膜が上述した500以上の透磁率μを持つには、膜中のAl濃度が1原子%以上であればよい。
以上述べたように、Fe−N−Al−O膜が、上述した飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μの要求値を満たすためには、膜中のAl濃度が1原子%以上かつ15原子%以下の範囲内にあればよいとわかった。
この膜中のAl以外の元素であるFe、N、およびOの濃度の範囲を調べるために、上記混合ガスの流量が4.5cm3/sで上記アルミナチップの数が0個、30個の場合にそれぞれ形成されたFe−N膜、Fe−N−Al−O膜に対して詳しい組成分析を行った。その組成分析の結果、そのFe−N膜の組成はFe973(原子%)であり、そのFe−N−Al−O膜の組成はFe784Al810(原子%)であった。この2種類の膜の組成からもわかるように、膜中のAl濃度が増加すると、膜中のN濃度も増加する傾向がある。また、この組成分析の結果では、OおよびN軽元素濃度はAl濃度の1.25倍の濃度となっていた。但し、組成分析によってこのO濃度を精密に調べることは難しく、このOやN濃度はやや誤差が大きいと考えられる。新たに、上記混合ガスの流量が0cm3/sで上記アルミナチップの数が30個の場合に形成されたFe−Al−O膜に対して詳しい組成分析を行ったところ、そのFe−Al−O膜の組成は、Fe83Al611(原子%)であり、O濃度はAl濃度の約1.8倍の濃度となっていた。
これらの結果に基づいて、Al濃度が1原子%〜15原子%の範囲にある場合のFe−N−Al−O膜の組成を推定した。まず、この膜中でのN濃度は、上記傾向より、上記2種類の膜におけるAl濃度が0原子%、8原子%の場合にそれぞれN濃度が3原子%、4原子%となるように線形補間および線形補外をすることによって計算した。また、この膜中でのO濃度は、上記組成分析の結果から、平均をとって、Al濃度の1.5倍の濃度になるものとして計算した。このようにして、上記1原子%のAl濃度を有するFe−N−Al−O膜の組成は、Fe94.53Al11.5(原子%)となり、上記15原子%のAl濃度を有するFe−N−Al−O膜の組成は、Fe57.55Al1522.5(原子%)となるという結果が得られた。この結果から、Fe−N−Al−O膜が上述した飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μの要求値を満たすためには、膜中のAl濃度が1原子%以上かつ15原子%以下の範囲にあるとともに、Fe濃度が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下の範囲内にあり、O濃度が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下の範囲にあればよいとわかった。なお、この図10〜図12に示す測定結果は、Al濃度を変化させたものであり、Fe−N−Al−O膜中のN濃度はそれほど変化しない。N濃度が満たすべき範囲については、上記混合ガスの流量を調整して膜中のN濃度を変えた試料についての測定結果を示す図13〜図15の結果に基づいて決定する。
図13〜図15に示す測定結果について説明する。図13に示すように、基板204上に形成されたFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsは、膜中のN濃度が0原子%で1.8Tと高く、膜中のN濃度が増加すると単調に減少して、膜中のN濃度が10原子%で1.6Tとなり、13原子%では1.2Tにまで低下した。このようなN濃度の増加にともなう飽和磁束密度Bsの減少は、膜中のN濃度の増加に伴うFe濃度の減少やFe格子中におけるN原子の固溶状態の変化に起因するものと考えられる。この膜が上述した1.6T以上の飽和磁束密度Bsを持つには、膜中のN濃度が10原子%以下であればよい。
また、図14に示すように、基板204上に形成されたFe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρは、膜中のN濃度が0原子%で既に75μΩcmとなっており、膜中のN濃度が増加するとともに単調に増大して、膜中のAl濃度が10原子%で200μΩcmとなり、13原子%では230μΩcmに達っした。このようなN濃度の増加に伴う電気抵抗率ρの増大は、膜中のFeが主成分となる結晶粒子に固溶したNの、N濃度の増大による、その結晶粒子自身の電気抵抗率の増大に起因するものと考えられる。この膜は全てのN濃度において上述した30μΩcm以上の電気抵抗率ρを持つことがわかる。
また、図15に示すように、基板204上に形成されたFe−N−Al−O膜の透磁率μの値は、膜中のN濃度が0原子%で200と低いが、膜中のN濃度が増加するとともに単調に増大して、膜中のN濃度が0.5%で500を越え、5原子%で2000を越える最大の値をとった。また、この膜の透磁率μの値は、膜中のN濃度が5原子%からさらに増加すると単調に減少し12原子%で500に、13%で200程度に低下した。このような透磁率μの変化は、図12に示す透磁率μの変化と類似しており、ここではNが、図12の透磁率の振る舞いにおけるAlおよびOの役割を果たしている。この膜が上述した500以上の透磁率μを持つには、膜中のN濃度が0.5原子%以上でありかつ10原子%以下であればよい。
以上に述べたように、Fe−N−Al−O膜が、上述した飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μの要求値を満たすためには、膜中のN濃度が0.5原子%以上かつ10原子%以下の範囲内にあればよいとわかった。なお、膜中のN濃度がこの範囲内にある場合の膜中のFe濃度の範囲は、上述したFe濃度の範囲と同様にして算出すると、62.5原子%〜82.5原子%の範囲となり、上述したFe濃度の範囲に包含されるものであった。
まとめると、以上の結果から、Fe−N−Al−O膜が、上述した飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μの要求値を満たすためには、膜中のFe濃度が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下の範囲内にあるとともに、膜中のN濃度が0.5原子%以上かつ10原子%以下の範囲内にあり、膜中のAl濃度が1原子%以上かつ15原子%以下の範囲内にあり、さらに膜中のO濃度が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下の範囲にあればよいとわかった。
上記TEM像が撮影されたFe−N−Al−O膜は、上記Fe784Al810(原子%)の組成を有し、飽和磁束密度Bsが1.8T、ρが110μΩcm、透磁率μが1800と好ましい特性を示すものであった。この膜の結晶粒子の平均粒径は5nm以下と小さいものであった。これらの好ましい特性、少なくとも透磁率μの特性は、この平均粒径の小ささによるものと考えられ、Fe−N−Al−O膜の結晶粒子の平均粒径は、5nm以下であることが好ましい。
<多層膜>
また、上述した要求値を満たすFe−N−Al−O膜と非磁性物質もしくは磁性物質とを交互に積層した多層膜を作製し、その軟磁気特性について調査した。
【表2】
Figure 0003970610
表2は、その多層膜を構成するFe−N−Al−O層の層厚、同じくその多層膜を構成する中間層の種類と層厚、さらにその中間層の積層数を示す。この多層膜は、1000Åの層厚を有するFe−N−Al−O層と、Al23、SiO2、Fe−N、Fe−Zr−N、Fe−Ni、およびCo−Fe−Niのうちから選択されたいずれかの材料からなる中間層とが、それぞれ20層ずつ積層された多層膜である。Al23あるいはSiO2という絶縁材料からなる中間層の層厚は、10Åとし、Fe−N、Fe−Zr−N、Fe−Ni、あるいはCo−Fe−Niという磁性材料からなる中間層の層厚は、200Åとした。なお、積層に使用したFe−N−Al−O膜は、Bs=1.8T、ρ=110μΩcm、μ=1800の特性を有する。
中間層が絶縁材料からなる場合には、透磁率μがFe−N−Al−O単層膜と比較し若干増加し、2000程度となり、良好な周波数特性を示す。これは、中間層を介したFe−N−Al−O層どうしの静磁結合の結果、および絶縁物中間層の挿入によるうず電流損失の低減が関与しているものと考えられる。また、この膜においては絶縁物中間層の厚さが10Åと薄いために飽和磁束密度BSはFe−N−Al−O単層膜とほぼ同等である。
中間層が磁性材料からなる場合には、中間層を構成する磁性材料の磁気特性に影響されるものの、透磁率μは1000を越える高い値を示すという結果が得られ、低抵抗率(30μΩcm以下)を有するFe−N、Fe−Zr−N、Fe−Ni、Co−Fe−Niの単層膜と比較し周波数特性に改善が見られた。この改善は多層膜を構成する高抵抗(110μΩcm)のFe−N−Al−O層によってうず電流が抑制されたためと考えられる。この結果から、Fe−N−Al−O膜はFe−N−Al−O単層の磁極のみではなく、異種の磁性材料との組み合わせによる複合磁極にも適用できることがわかる。なお、この多層膜の飽和磁束密度BSの値は、中間層を構成する磁性膜の飽和磁束密度BSに依存し異なるが、多層膜を構成するFe−N−Al−O膜のみの飽和磁束密度BSを算出したところ、その飽和磁束密度BSは上述したFe−N−Al−O単層膜とほぼ同様の値1.8Tとなった。
以上に述べたような、ターゲット205の構成物質として用いられたAl23の代わりに、Al、B、Ga、Sl、Ge、Y、Tl、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群から選択された1種類以上の元素から構成される酸化物あるいは窒化物を用いた場合にも、その元素群から選択された1種類以上の元素を含む単層膜および多層膜は、組織、飽和磁束密度Bsや透磁率μなどの磁気特性、および電気抵抗率ρなどの電気特性において、上記Fe−N−Al−O膜の単層膜および上記Fe−N−Al−O膜を含む多層膜と類似の結果が得られた。
本実施例であげた、上述した飽和磁束密度Bs、電気抵抗率ρ、および透磁率μの要求値を満たしたFe、O、Nおよび上記元素群から選択された1種類以上の元素からなる膜は、低温での成膜直後から高い飽和磁束密度Bsと高い電気抵抗率と高い透磁率μを備えた軟磁性膜であり、高記録周波数での記録を行う記録ヘッドの磁極材料として適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本実施形態のハードディスク装置の内部構造を示す図である。
図2は、本実施形態のハードディスク装置に用いられた複合型磁気ヘッドの側断面図である。
図3は、本実施形態のハードディスク装置に用いられた複合型磁気ヘッドの正面図である。
図4は、本発明に係る磁性薄膜を成膜するRFマグネトロンスパッタ装置の概略図である。
図5は、Fe−N−Al−O膜の透過顕微鏡像を示す図である。
図6は、Fe−N−Al−O膜のX線回折パターンを示す図である。
図7は、Fe−N−Al−O膜のX線回折パターンを示す図である。
図8は、Fe−N−Al−O膜のM−H曲線を示すグラフである。
図9は、基板温度Tsを変えて成膜したFe−N−Al−O膜の飽和磁束密度Bsの変化を示すグラフである。
図10は、Fe−N−Al−O膜の、飽和磁束密度BsのAl濃度依存性を示すグラフである。
図11は、Fe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρのAl濃度依存性を示すグラフである。
図12は、Fe−N−Al−O膜の透磁率μのAl濃度依存性を示すグラフである。
図13は、Fe−N−Al−O膜の、飽和磁束密度BsのN濃度依存性を示すグラフである。
図14は、Fe−N−Al−O膜の電気抵抗率ρのN濃度依存性を示すグラフである。
図15は、Fe−N−Al−O膜の透磁率μのN濃度依存性を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下であるFeと、
    含有量が全体で1原子%以上かつ15原子%以下である、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素Mと、
    含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下であるNと、
    含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下であるOとからなる多結晶膜であって、Feを主成分とする結晶相にN,M,Oが含有し
    平均粒径が15nm以下の結晶粒子からなる多結晶膜であることを特徴とする磁性薄膜。
  2. 含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下であるFeと、
    含有量が全体で1原子%以上かつ15原子%以下である、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素Mと、
    含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下であるNと、
    含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下であるOとからなる多結晶膜であって、Feを主成分とする結晶相にN,M,Oが含有し、
    飽和磁束密度が1.6T以上であって、電気抵抗率が30μΩcm以上であることを特徴とする磁性薄膜。
  3. 所定の磁界を発生させるコイルおよび該コイルから発生した磁界により磁化される軟磁性部材を有し、該コイルにより発生され該軟磁性部材により伝達された磁界により外部の媒体を磁化する記録ヘッドにおいて、
    前記軟磁性部材が、
    含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下であるFeと、
    含有量が全体で1原子%以上かつ15原子%以下である、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素Mと、
    含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下であるNと、
    含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下であるOとからなる多結晶膜であって、Feを主成分とする結晶相にN,M,Oが含有し
    前記軟磁性部材が、平均粒径が15nm以下の結晶粒子からなる多結晶膜であることを特徴とする記録ヘッド。
  4. 所定の磁界を発生させるコイルおよび該コイルから発生した磁界により磁化される軟磁性部材を有し、該コイルにより発生され該軟磁性部材により伝達された磁界により外部の媒体を磁化する記録ヘッドにおいて、
    前記軟磁性部材が、
    含有量が57.5原子%以上かつ94.5原子%以下であるFeと、
    含有量が全体で1原子%以上かつ15原子%以下である、Al、B、Ga、Si、Ge、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、およびRhの元素群のうちから選択された一種類以上の元素Mと、
    含有量が0.5原子%以上かつ10原子%以下であるNと、
    含有量が1.5原子%以上かつ22.5原子%以下であるOとからなる多結晶膜であって、Feを主成分とする結晶相にN,M,Oが含有し
    前記軟磁性部材が、飽和磁束密度が1.6T以上であって、電気抵抗率が30μΩcm以上となることを特徴とする記録ヘッド。
  5. 前記一種類以上の元素Mと、NおよびOのうちの少なくともいずれかの元素とからなるセラミックス相を実質的に含まないことを特徴とする請求項1もしくは 2記載の磁性薄膜
  6. 前記一種類以上の元素Mと、NおよびOのうちの少なくともいずれかの元素とからなるセラミックス相を実質的に含まないことを特徴とする請求項3もしくは4記載の記録ヘッド。
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