JP3243256B2 - 軟磁性薄膜および磁気ヘッド - Google Patents

軟磁性薄膜および磁気ヘッド

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JP3243256B2
JP3243256B2 JP41874490A JP41874490A JP3243256B2 JP 3243256 B2 JP3243256 B2 JP 3243256B2 JP 41874490 A JP41874490 A JP 41874490A JP 41874490 A JP41874490 A JP 41874490A JP 3243256 B2 JP3243256 B2 JP 3243256B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟磁性薄膜および磁気
ヘッド、特にメタル・イン・ギャップ(MIG)型磁気
ヘッドや、エンハンスト・デュアル・ギャップ・レング
ス(EDG)型磁気ヘッドや、薄膜磁気ヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】フェライト製の第1のコアと第2のコア
との少なくとも一方のギャップ部対向面にコアよりも飽
和磁束密度Bsの高いセンダスト等の軟磁性薄膜を有す
るMIG型磁気ヘッドが知られている。この磁気ヘッド
では、軟磁性薄膜から強力な磁束を磁気記録媒体に印加
できるため、高い保磁力を有する媒体に有効な記録が行
える。
【0003】また、高密度記録や高速データ転送が可能
である等の優れた諸特性を有する浮上型の薄膜磁気ヘッ
ドが実用化されてきている。
【0004】そして、薄膜磁気ヘッドでも高密度の磁束
を発生させるため、上部および下部磁極層には、飽和磁
束密度Bsの高いパーマロイ、センダスト等の軟磁性薄
膜が用いられる。
【0005】ところで、磁気ヘッドに用いられるこのよ
うな軟磁性薄膜の飽和磁束密度Bsは、高々12000
G程度である。このため、従来の磁気ヘッドでは、オー
バーライト特性等の電磁変換特性が不十分であり、特に
高保磁力を有する磁気記録媒体の場合には、より一層高
い飽和磁束密度Bsが要求されている。
【0006】また、(100)配向性が強いFe系軟磁
性薄膜は、結晶磁気異方性が小さいため、優れた軟磁気
特性を有することが知られている。しかし、スパッタリ
ング等の一般の気相法にてFe系軟磁性薄膜の成膜を行
なっても(100)配向性を強くできず、主に(11
0)面配向や無配向の薄膜ができる。このため、(10
0)配向性が強い膜を成膜するには、特定の材質の基
板、例えばZnSeを使用したり、(100)配向ある
いは(100)配向性が強いGaAs等の単結晶基板を
使用しなければならない。
【0007】このように(100)配向性が強い膜は、
限定された条件でしか実現しないため、磁気ヘッドの軟
磁性薄膜を(100)配向あるいは(100)配向性を
強くすることは非常に困難である。
【0008】ところで、Feをターゲットし、ArとN
の混合ガス中でスパッタリングして、センダストより
もさらに飽和磁束密度Bsが高いFe−N軟磁性薄膜を
得ることができる。これは、Nを混合することにより、
Feの結晶粒が微細化され、磁気異方性分散が減少する
ためである。
【0009】例えば、特開昭64−15907号公報に
は、Feを主体とし、FeNおよび/またはFe
からなる窒化鉄を含有する軟磁性薄膜が開示されてい
る。そして、この軟磁性薄膜は、飽和磁束密度が150
00G以上であり、保磁力Hcが低く、前記磁気ヘッド
用としては好適な磁気特性を有している。
【0010】しかしFe−N軟磁性薄膜は、耐熱性が低
く、約350℃程度の温度で結晶粒径が大きくなり、保
磁力Hcが急激に増加してしまう。
【0011】このためガラス溶着等の熱処理によって4
50〜700℃程度の温度下におかれるMIG型磁気ヘ
ッドやEDG型磁気ヘッド、さらには、スパッタリング
等による成膜工程で約350℃以上の温度下におかれる
薄膜磁気ヘッドに使用することは困難である。加えて、
この軟磁性薄膜は、スパッタリング等の気相法で、通常
の基板上に成膜を行なうだけでは(100)配向性を強
くできない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性や耐食性が高く、さらに飽和磁束密度Bsが高く、し
かも優れた軟磁気特性を有する軟磁性薄膜と、このよう
な軟磁性薄膜を有するMIG型磁気ヘッドやEDG型磁
気ヘッド、さらには薄膜磁気ヘッドとを提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。 (1) 下記式で表わされる原子比組成を有し、200
〜800℃の温度で熱処理を行ない、X線回折にて、F
e(110)ピークに対するFe(200)ピークの相
対強度比が1/3以上であり、飽和磁束密度Bsが16
000G以上であり、保磁力Hcが1 Oe 以下であるこ
とを特徴とする軟磁性薄膜(但し、X線回折にて、Fe
(110)ピークに対するFe(200)ピークの相対
強度比が1以上のものを除く)。 式 [(Fe1-y Niy)1-xx]1-zz (上式においてMは、Mg、Ca、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選
ばれる1種以上であり、0.001≦x≦0.15、0
≦y≦0.1、0.001≦z≦0.15である。) (2) 下記式で表わされる原子比組成を有し、200
〜800℃の温度で熱処理を行ない、電子線回折にてF
e(200)面配向を持ち、飽和磁束密度Bsが160
00G以上であり、保磁力Hcが1 Oe 以下であること
を特徴とする軟磁性薄膜(但し、X線回折にて、Fe
(110)ピークに対するFe(200)ピークの相対
強度比が1以上のものを除く)。 式 [(Fe1-y Niy)1-xx]1-zz (上式においてMは、Mg、Ca、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選
ばれる1種以上であり、0.001≦x≦0.15、0
≦y≦0.1、0.001≦z≦0.15である。) (3) 一対のコア間に、上記(1)または(2)に記
載の軟磁性薄膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。 (4) 前記一対のコアを作業温度Twが450〜75
0℃の溶着ガラスにより溶着一体化した上記(3)に記
載の磁気ヘッド。 (5) 上部磁極層と、下部磁極層と、保護層とを有す
る薄膜磁気ヘッドであって、前記上部磁極層および下部
磁極層が、上記(1)または(2)に記載の軟磁性薄膜
で形成されていることを特徴とする磁気ヘッド。 (6) 基板上に形成された上記(1)または(2)に
記載の軟磁性薄膜で磁気回路が形成されていることを特
徴とする磁気ヘッド。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【作用】本発明の特に磁気ヘッドに好適な軟磁性薄膜
は、Fe−N系であるため、飽和磁束密度Bsが非常に
高く、保磁力Hcが低い。
【0023】そして、FeとNに、所定の元素を適量添
加することにより、いかなる基板上にも(100)配向
性ないし配向度が強い軟磁性薄膜を形成できる。このた
め、軟磁気特性が格段と向上する。
【0024】加えて、この添加元素は、Feより安定な
窒化物を形成するため、飽和磁束密度Bsが約1400
0G以上、特に16000G以上のまま耐熱性や耐食性
が著しく向上する。
【0025】ここに、熱処理によって保磁力が急激に変
化する温度、例えば、保磁力Hcが2Oeになる熱処理
温度を耐熱温度とすると、本発明に用いる軟磁性薄膜の
耐熱温度は約500℃以上である。
【0026】従って、本発明の軟磁性薄膜は、飽和磁束
密度Bsが高く、加えて、保磁力Hcが低く、透磁率μ
が高い優れた軟磁気特性を有する。
【0027】このためこのような軟磁性薄膜を有する本
発明の磁気ヘッドは、オーバーライト特性や、記録・再
生感度等が高く、優れた電磁変換特性を有する。
【0028】加えて、本発明の軟磁性薄膜は、耐食性や
耐摩耗性に優れるため、信頼性の高い磁気ヘッドが実現
する。
【0029】なお、特開昭60−218820号公報や
同60−220913号公報には、Feと、2〜10重
量%のAlと、3〜16重量%のSiと、0.005〜
4重量%の窒素とを含有する磁性薄膜が開示されてい
る。そして、Feの一部をCoと置換することによって
飽和磁束密度Bsを向上させ、Niと置換することによ
ってBsを減少させることなく透磁率μを高い状態に保
つことができる旨が記載されている。
【0030】しかし、実施例に示される具体例は、耐熱
温度は高いが、飽和磁束密度Bsは高々12000G程
度である。
【0031】このように飽和磁束密度Bsが高く、保磁
力Hcが低く、透磁率μが高く、しかも耐熱性に優れた
軟磁性薄膜は知られていない。
【0032】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成を詳細に説明
する。
【0033】本発明の特に磁気ヘッドに好適な軟磁性薄
膜は、下記式で示される原子比組成を有する。
【0034】 式 [(Fe1−yNi1−x1−z 上式においてMは、Mg、Ca、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選
ばれる1種以上である。
【0035】これ以外の元素、例えばRu等では、飽和
磁束密度もBsが低下したり、軟磁気特性が低下する。
【0036】これらのうちでは、特に、(100)配向
性を高める上で、Zr単独ないしV単独、とりわけZr
単独か、あるいはZrおよび/またはVがM中の20%
以上を占め、これに上記のうちのZr、V以外の元素と
の組み台わせが好適である。
【0037】また、xは0.001〜0.15である。
この場合、xの上限値は、0.14であることが好まし
い。前記範囲未満では、耐熱性が不十分である。このた
め熱処理等により保磁力Hcが大幅に増加する傾向にあ
る。前記範囲をこえると、飽和磁束密度Bsが低下す
る。このため磁気ヘッドに適用した場合、オーバーライ
ト特性が悪化する傾向にある。
【0038】また、(100)配向性ないし配向度が強
い軟磁性薄膜とするには、xは0.025以上、特に
0.03以上、さらには0.05以上、より好ましくは
0.07以上、最も好ましくは0.08以上であること
が好ましい。
【0039】xが前記範囲の場合、軟磁気特性が格段と
向上する。また、耐熱性が向上し、Hcが2Oe以上、
特に1Oe以上となる耐熱温度は、700℃、特に75
0℃に達する。
【0040】yは0〜0.1、好ましくは0〜0.05
である。Niを添加することにより、透磁率μを向上さ
せることができる。ただし前記範囲をこえると飽和磁束
密度Bsが低下する傾向にある。なお、Niを必須成分
として含むときには、その含有量yは0.01〜0.
1、より好ましくは0.01〜0.05であることが好
ましい。
【0041】zは0.001〜0.15である。
【0042】前記範囲未満では、Nによる結晶粒の微細
化が不十分で、軟磁気特性が得られない傾向にある。前
記範囲をこえると、Fe、Ni、Mの窒化物が必要以上
に生成されるため軟磁気特性が得られない傾向にある。
この場合、zの下限値は、0.01、特に0.02であ
ることが好ましく、またzの上限値は、0.10、特に
0.05、さらには0.045、殊に0.04であるこ
とが好ましい。このような範囲にて(100)配向性は
より一層好ましいものとなる。
【0043】そして、必要に応じて窒素に加え、酸素が
全体の5at%以下含有されていてもよい。
【0044】このような本発明の軟磁性薄膜の組成は、
例えば、Electron Probe Micro
Analysis(EPMA)法により測定すればよ
い。
【0045】また、軟磁性薄膜の膜厚は、用途等に応じ
て適宜選択すればよいが、通常0.1〜10μm程度で
ある。
【0046】本発明の軟磁性薄膜を成膜するには、蒸
着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等
の各種気相法を用いればよい。
【0047】このうち特にスパッタ法により成膜するこ
とが好ましく、例えば以下のように成膜すればよい。タ
ーゲットには、合金鋳造体や焼結体さらには多元ターゲ
ット等を用いる。そして、Ar等の不活性ガス雰囲気下
でスパッタリングを行なう。
【0048】また、反応性スパッタを行なう場合には、
ターゲットの組成は前述の式において、Nが含有されな
いものとほぼ同一とすればよい。
【0049】そして、スパッタリングは、Ar中にN
を0.1〜15体積%、好ましくは2〜10体積%含有
する雰囲気下で行われる。前記範囲外であると、軟磁気
特性が得られない傾向にある。
【0050】スパッタの方式には、特に制限がなく、ま
た、使用するスパッタ装置にも制限がなく、通常のもの
を用いればよい。なお、動作圧力は通常0.1〜1.0
Pa程度とすればよい。この場合、スパッタ投入電圧や
電流等の諸条件は、スパッタ方式等に応じ適宜決定す
る。
【0051】成膜後は、軟磁性薄膜に熱処理を行なう。
熱処理により、(100)配向性ないし配向度が強くな
り、軟磁気特性が格段と向上し、しかも飽和磁束密度B
sも向上する。
【0052】具体的には、X線回折チャートをみたと
き、熱処理前は、通常非晶質または無配向であるが、
処理によりFe(110)ピークに対するFe(20
0)ピークの相対強度比が、1/3以上増大し、さらに
飽和磁束密度Bsも向上する。
【0053】この場合、例えば、フェライト等の磁性
体、非磁性セラミックス、高分子フィルム等いかなる基
板上に成膜しても(100)配向性が強い軟磁性薄膜が
実現する。
【0054】このことは、電子線回折パターンにおい
て、Fe(200)面からの回折リングが不連続である
ことから、(100)配向性が確認できる。
【0055】本発明では、膜のX線回折チャートにて、
Fe(110)ピークに対するFe(200)ピークの
相対強度比が、1/3以上となり、(100)配向性が
無配向状態より増大する。なお、X線回折チャートにお
けるFe(110)ピークの2θ(θは回折角)は、C
uKαを用いた場合44.7度程度、Fe(200)ピ
ークの2θは、65度程度である。
【0056】熱処理条件は、特に下記の条件が好適であ
る。
【0057】昇温速度:2〜8℃/分程度 保持温度:200〜800℃、特に400〜750℃程
度、さらには400〜700℃程度 保持時間:10〜60分程度 冷却速度:2〜8℃/分程度
【0058】なお、雰囲気はAr等の不活性ガスでよ
い。前記条件にて熱処理を行なうことにより、より一層
優れた軟磁気特性の軟磁性薄膜が得られる。
【0059】本発明の軟磁性薄膜は、例えば膜厚1〜5
μm程度の場合、下記の特性を有する。
【0060】保磁力Hc(50Hz):0.1〜2Oe
程度、特に0.1〜1Oe程度 初透磁率μ(5MHz):1000〜5000程度、
特に2000〜5000程度 飽和磁束密度Bs(DC):14000〜20000G
程度、さらに16000〜20000G程度、特に17
000〜19000G程度 結晶粒の平均結晶粒径D:50〜500A程度、特に1
00〜300A程度さらには150〜250A程度
【0061】軟磁性薄膜の磁気特性の測定は、例えば磁
気ヘッドに適用する場合であれば、磁気ヘッドに形成す
る場合と同一条件で非磁性基板上に成膜し、同一条件の
熱処理を行った後、下記のとおり行なえばよい。
【0062】初透磁率(μ):8の字コイル透磁率測
定器を用い、印加磁界5mOeにて測定 保磁力(Hc):B−Hトレーサにて測定 飽和磁束密度(Bs):VSMを用い、10000Gの
磁場中で測定
【0063】また、結晶粒の平均結晶粒径Dは、X線回
折線のFe(200)ピーク半値巾W50を測定し、下
記のシェラーの式から求めればよい。 式 D=0.9λ/W50cosθ
【0064】上式において、λは用いたX線の波長であ
り、θは回折角である。なお、前記のとおりCuKαを
用いた場合、Fe(200)ピークの2θは、65度程
度である。
【0065】このような本発明の軟磁性薄膜は、特にM
IG(メタル・イン・ギャップ)型磁気ヘッドや薄膜磁
気ヘッド等の各種磁気ヘッドに適用できる。そして、磁
気ヘッドのほかにも、薄膜インダクタ等各種軟磁性部品
等に適用できる。
【0066】次に、本発明の磁気ヘッドについて説明す
る。本発明のMIG型磁気ヘッドの好適実施例を、図1
および図2に示す。
【0067】図1に示される磁気ヘッドは、第1コア1
と、ギャップ部対向面に、軟磁性薄膜4が形成されてい
る第2コア2とを有し、両コアがギャップ5を介して接
合され、溶着ガラス3により溶着一体化されている。
【0068】また、図2に示される磁気ヘッドは、軟磁
性薄膜4を第1コア1、第2コア2の双方のギャップ部
対向面に形成したタイプのものである。
【0069】本発明において、コア1、2はフェライト
から構成されることが好ましい。この場合、用いるフェ
ライトに特に制限はないが、Mn−Znフェライトまた
はNi−Znフェライトを、目的に応じて用いることが
好ましい。
【0070】Mn−Znフェライトとしては、Fe
50〜60モル%程度、ZnO8〜25モル%程度、
残部が実質的にMnOのものが好適である。また、Ni
−Znフェライトは特に高周波領域において優れた特性
を示すものであり、好ましい組成としては、Fe
が30〜60モル%、NiOが15〜50モル%、Zn
Oが5〜40モル%程度のものである。
【0071】コア1、2の直流での飽和磁束密度Bs
は、好ましくは3,000〜6,000Gとする。飽和
磁束密度が前記範囲未満であると、オーバーライト特性
が低下する他、このような飽和磁束密度の組成では、キ
ュリー温度が低くなるため熱的安定性が低下してしま
う。前記範囲をこえると、磁歪が増加して磁気ヘッドと
しての特性が悪化したり、着磁し易くなる。
【0072】コア1、2の直流での初透磁率μは1,
000以上、保磁力Hcは0.3Oe以下であることが
好ましい。
【0073】また、コア1、2のギャップ部対向面は、
鏡面研磨等により平滑化し、後述する軟磁性薄膜4や下
地膜等が形成され易いようにすることが好ましい。
【0074】軟磁性薄膜4は、記録時に密度の高い磁束
を発生させ、高い保磁力を有する磁気記録媒体に有効な
記録を行なうために設けられる。軟磁性薄膜4には、前
述した本発明の軟磁性薄膜を用いる。
【0075】磁気ヘッド完成時の軟磁性薄膜4の飽和磁
束密度Bsは、14000G以上、より好ましくは16
000G以上、特に好ましくは17000G以上である
ことが好ましい。前記範囲未満であるとオーバーライト
特性が悪化し、特に高保磁力の磁気記録媒体への記録が
困難である。
【0076】また、軟磁性薄膜4は、(100)配向性
が強い。(100)配向性が強いと、軟磁性薄膜4の軟
磁気特性が向上し、高い記録・再生感度が得られる。
【0077】また、軟磁性薄膜4の結晶粒の平均結晶粒
径は、500A以下、より好ましくは300A以下、特
に100〜300A程度であることが好ましい。前記範
囲の場合、軟磁気特性が向上し、高い記録・再生感度が
得られる。
【0078】この場合、軟磁気特性、すなわち、磁気ヘ
ッド完成時における軟磁性薄膜4の50Hzでの保磁力
Hcは、2Oe以下、より好ましくは1Oe以下である
ことが好ましい。そして、軟磁性薄膜4の5MHzでの
初透磁率μは、1000以上、特に1500以上であ
ることが好ましい。保磁力Hcが前記範囲をこえると、
あるいは初透磁率μが前記範囲未満であると、記録・
再生感度が低下する傾向にある。
【0079】軟磁性薄膜4の膜厚は、好ましくは0.2
〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μmである。膜
厚が前記範囲未満であると、軟磁性薄膜4全体の体積が
不足して飽和し易くなり、MIG型磁気ヘッドの機能を
十分に果たすことが困難となる。また、前記範囲をこえ
ると、渦電流損失が増大してしまう。
【0080】このような軟磁性薄膜4を有することによ
り、本発明の磁気ヘッドは保磁力800Oe以上の磁気
記録媒体に対し有効な記録を行なうことができる。
【0081】そして、コア1、コア2および軟磁性薄膜
4が前述したような磁気特性であれば、磁気ヘッドとし
て高い出力と分解能とが得られる。また、オーバーライ
ト特性も−35dB以下の良好な値が得られる。なお、
分解能とは、例えば、1f信号の出力をV1f、2f信
号の出力をV2fとしたとき、(V2f/V1f)×1
00[%]で表わされるものである。また、オーバライ
ト特性とは、例えば、1f信号の上に2f信号を重ね書
きしたときの2f信号出力に対する1f信号出力であ
る。
【0082】ギャップ5は、非磁性材質から形成され
る。特に、ギャップ5には、接着強度を高めるため接着
ガラスを用いることが好ましく、例えば、特願平1−7
1506号等に示されるガラスが好適である。また、ギ
ャップ5は、接着ガラスのみで形成されていてもよい
が、ギャップ形成速度やギャップ強度を高めるため、図
示のようにギャップ51とギャップ53との2層で形成
されることが好ましい。この場合、ギャップ51にはS
iOを用い、ギャップ53には接着ガラスを用いるこ
とが好ましい。
【0083】なお、後述する溶着ガラス3が、ギャップ
両サイドに流れ込むタイプの磁気ヘッドの場合は、ギャ
ップ5を酸化ケイ素のみで形成してもよい。ギャップ5
の形成方法には特に制限はないが、スパッタ法を用いる
ことが好ましい。ギャップ長は、通常0.2〜2.0μ
m程度である。
【0084】本発明のMIG型磁気ヘッドは、図1や図
2に示されるように、第1コア1と、第2コア2とがギ
ャップ5を介して接合一体化されているものである。コ
アの接合は、通常、ギャップ53の接着ガラスにより熱
圧着すると同時に溶着ガラス3を流し込むことにより行
う。用いる溶着ガラス3の作業温度Twは450〜75
0℃、より好ましくは450〜700℃、特に460〜
650℃程度であることが好ましい。ここに、作業温度
Twとは、周知のように、ガラスの粘度が10poi
seとなる温度である。
【0085】本発明では耐熱性の高い前記の軟磁性薄膜
4を用いるため、このようなTwのガラスを用いて溶着
しても、保磁力Hcは2Oe以下、特に1Oe以下の値
を保持する。溶着ガラス3には、特に制限はないが、鉛
ケイ酸ガラスを用いることが好ましい。このうち、例え
ば、下記に示されるガラスが好適である。
【0086】 PbO:67.5〜87.5重量%程度 B:4.0〜8.1重量%程度 SiO:7.5〜16.6重量%程度 Al:0.3〜0.8重量%程度 ZnO:2.2〜3.3重量%程度 Bi:0〜0.1重量%程度 NaO、KO、CaO等:0〜4重量%程度 Sb:0〜1重量%程度
【0087】なお、溶着に際しては、溶着温度を作業温
度Tw近辺とし、通常の方法により行う。この場合、溶
着処理が、軟磁性薄膜4の熱処理を兼ねるようにしても
よい。
【0088】また、本発明においては、図3に示される
ように、第1コア1にコアより飽和磁束密度Bsの低い
低飽和磁束密度合金薄膜6を形成し、第2コア2に前述
した軟磁性薄膜4を形成したいわゆるEDG型のMIG
型磁気ヘッドとすることができる。そして、前述したM
IG型磁気ヘッドと同様の効果を得ることができる。こ
の場合、低飽和磁束密度合金薄膜6には、例えば、特願
昭63−311591号に示される低飽和磁束密度非晶
質薄膜等を用いることができ、優れたオーバーライト特
性や高い感度が得られる。
【0089】本発明の磁気ヘッドは、必要に応じスライ
ダーと一体化され、組立てられヘッドアセンブリーとさ
れる。そして、いわゆるラミネートタイプやバルクタイ
プ等のトンネルイレーズ型あるいはイレーズヘッドを有
しないリードライト型などのオーバーライト記録を行な
うフロッピーヘッド、モノリシックタイプやコンポジッ
トタイプの浮上型の計算機用ヘッド、回転型のVTR用
ヘッドやR−DAT用ヘッドなどの各種磁気ヘッドとし
て用いられる。このようにして、前記の本発明の磁気ヘ
ッドを用いて、公知の種々の方式のオーバーライト記録
を行なうことができる。
【0090】次に、本発明の薄膜磁気ヘッドについて説
明する。
【0091】図4に、本発明の好適実施例である浮上型
の薄膜磁気ヘッドを示す。図4に示される薄膜磁気ヘッ
ドは、スライダ7上に、絶縁層81、下部磁極層91、
ギャップ層10、絶縁層83、コイル層11、絶縁層8
5、上部磁極層95および保護層12を順次有する。
【0092】本発明においてスライダ7は、材料として
従来公知の種々のものを用いればよく、例えばセラミッ
クス、フェライト等により構成される。この場合、セラ
ミックス、特にAl−TiCを主成分とするセラ
ミックス、ZrOを主成分とするセラミックス、Si
Cを主成分とするセラミックスまたはAlNを主成分と
するセラミックスが好適である。なお、これらには、添
加物としてMg、Y、ZrO、TiO等が含有され
ていてもよい。スライダ7の形状やサイズ等の諸条件は
公知の何れのものであってもよく、用途に応じ適宜選択
される。
【0093】スライダ7上には、絶縁層81が形成され
る。絶縁層81の材料としては従来公知のものは何れも
使用可能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法により
行なうときには、SiO、ガラス、Al等を用
いることができる。絶縁層81の膜厚やパターンは公知
の何れのものであってもよく、例えば膜厚は、5〜40
μm程度とする。
【0094】磁極は、通常図示のように、下部磁極層9
1と、上部磁極層95として設けられる。本発明では、
下部磁極層91および上部磁極層95には、それぞれ、
前述のMIG型磁気ヘッドやEDG型のMIG型磁気ヘ
ッドの場合と同様に、前記式で表わされる原子比組成の
本発明の軟磁性薄膜を用いる。このため、オーバーライ
ト特性に優れ、記録・再生感度が高い磁気ヘッドが得ら
れる。なお、成膜や熱処理等も前記と同様に行えばよ
い。
【0095】下部および上部磁極層91、95のパター
ン、膜厚等は公知のいずれのものであってもよい。例え
ば下部磁極層91の膜厚は1〜5μm程度、上部磁極層
95の膜厚は1〜5μm程度とすればよい。下部磁極層
91および上部磁極層95の間にはギャップ層10が形
成される。
【0096】ギャップ層10には、Al、SiO
等公知の種々の材料を用いればよい。また、ギャップ
層10のパターン、膜厚等は公知の何れのものであって
もよい。例えば、ギャップ10の膜厚は0.2〜1.0
μm程度とすればよい。
【0097】コイル層11の材質には特に制限はなく、
通常用いられるAl、Cu等の金属を用いればよい。コ
イルの巻回パターンや巻回密度についても制限はなく、
公知のものを適宜選択使用すればよい。例えば巻回パタ
ーンについては、図示のスパイラル型の他、積層型、ジ
グザグ型等何れであってもよい。また、コイル層11の
形成にはスパッタ法等の各種気相被着法やめっき法等を
用いればよい。
【0098】図示例ではコイル層11は、いわゆるスパ
イラル型としてスパイラル状に上部および下部磁極層9
1、95間に配設されており、コイル層11と上部およ
び下部磁極層91、95間には絶縁層83、85が設層
されている。
【0099】絶縁層83、85の材料としては従来公知
のものは何れも使用可能であり、例えば、薄膜作製をス
パッタ法により行なうときには、SiO、ガラス、A
等を用いることができる。
【0100】また、上部磁極層95上には保護層12が
設層される。保護層12の材料としては従来公知のもの
は何れも使用可能であり、例えばAl等を用いる
ことができる。この場合、保護層12のパターンや膜厚
等は従来公知のものはいずれも使用可能であり、例えば
膜厚は10〜50μm程度とすればよい。なお、本発明
ではさらに各種樹脂コート層等を積層してもよい。
【0101】このような薄膜磁気ヘッドの製造工程は、
通常、薄膜作製とパターン形成とによって行なわれる。
各層の薄膜作製には、上記したように、従来公知の技術
である気相被着法、例えば真空蒸着法、スパッタ法、あ
るいはめっき法等を用いればよい。
【0102】薄膜磁気ヘッドの各層のパターン形成は、
従来公知の技術である選択エッチングあるいは選択デポ
ジションにより行なうことができる。
【0103】エッチングとしてはウェットエッチングや
ドライエッチングにより行なうことができる。
【0104】本発明の薄膜磁気ヘッドは、アーム等の従
来公知のアセンブリーと組み合わせて使用される。
【0105】また、前記の本発明の薄膜磁気ヘッドを用
いて、種々の方式のオーバーライト記録を行うことがで
きる。この場合、保磁力Hcが、800Oe以上の磁気
記録媒体に対し有効に、記録・再生を行うことができ
る。
【0106】さらに、本発明においては、非磁性基板間
に軟磁性薄膜をパターン状に形成したり、非磁性基板間
に軟磁性薄膜を形成した一対のコアハーフ同士を突き合
わせたりして、これらの軟磁性薄膜により磁気回路を形
成して磁気ヘッドとしてもよい。
【0107】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0108】実施例1 図1に示されるように、第1コア1と、ギャップ部対向
面に軟磁性薄膜4が形成されている第2コア2とをギャ
ップ5を介して接合一体化し、MIG型磁気ヘッドを製
造した。コア1、2の材質はMn−Znフェライトと
し、直流での飽和磁束密度Bsは5000G、初透磁率
μは3000、保磁力Hcは0.1Oeであった。軟
磁性薄膜4は、RFマグネトロンスパッタにより形成
し、膜厚は1μmとした。この場合、スパッタリング
は、Fe0.85Zr0.15(原子比)の合金をター
ゲットとし、Ar中にNを10体積%含有する雰囲気
下で行った。動作圧力は、0.4Paとした。
【0109】軟磁性薄膜4の組成、直流での飽和磁束密
度Bs、周波数50Hzでの保磁力Hcおよび周波数5
MHzの初透磁率μを、下記に示す。
【0110】なお、Bs、Hcおよびμは溶着熱処理
後の値である。この場合、熱処理温度は600℃、保持
時間は60分間とした。また、磁気特性等の測定は、非
磁性基板上に軟磁性薄膜4をヘッド作製の際と同一の条
件で形成して行った。そして、組成分析にはEPMA、
Bs測定にはVSM、Hc測定にはB−Hトレーサ、μ
測定には8の字コイル透磁率測定器(印加磁界5mO
e)を用いて行った。
【0111】ギャップ51にはSiOを用い、スパッ
タにより形成し、その膜厚は0.3μmとした。ギャッ
プ53には、作業温度Twが650℃の接着ガラスを用
いた。なお、ギャップ53はスパッタにより形成し、そ
の膜厚は0.1μmとした。
【0112】溶着ガラス3には、作業温度Twが、60
0℃の72.50PbO−7.05B−14.5
7SiO−0.55Al−2.75ZnO−
0.05Bi−2.50NaO−0.30Sb
(重量%)を用い、600℃で溶着を行った。
【0113】また、コイルターン数は20×2ターンと
した。そして、チタン酸カルシウム製スライダに固定・
封着して、コンポジットタイプの浮上型磁気ヘッドを得
た。
【0114】このようにして製造された磁気ヘッドをサ
ンプルNo.1とする。このサンプルと、保磁力が15
00Oeのハードディスクとを用いて、トラック幅14
μmにて下記の特性を測定した。なお、測定に際して
は、第1コア1を、ハードディスクリーディング側とし
た。
【0115】(オーバーライト特性)1.25MHzの
1f信号を記録し、次いでこの上から2.5MHzの2
f信号を重ね書きした。2f信号の出力に対する1f信
号の出力を算出し、オーバーライト特性を評価した。
【0116】(記録・再生感度測定)5MHzの信号を
記録し、次いで記録した信号を再生し、その時の再生出
力電圧値V’P−P(ピーク・ツー・ピーク)を測定す
る。
【0117】なお、表中には測定値V’P−Pを規格化
した値VP−Pが示される。
【0118】これらの結果は下記のとおりである。
【0119】組成(原子比):(Fe0.9
0.10.970.03 Bs:17,000G Hc:0.5Oe μ(5MHz):3,000 オーバーライト特性:−40dB VP−P:1.20μV/μm/ターン
【0120】また、サンプルを濃度5%(重量百分率)
の塩化ナトリウム水溶液中に168時間浸した後、軟磁
性薄膜4の表面を電子顕微鏡で観察したところ、本発明
のサンプルNo.1では、さびの発生はほとんど確認さ
れなかった。さらに、60分間、700℃にて熱処理し
たところ、Hcは1Oe未満であった。
【0121】また、サンプルNo.1の熱処理後の軟磁
性薄膜4のX線回折チャートを図5に示す。このチャー
トを見ると、Fe(110)ピークに対するFe(20
0)ピークの相対強度は、3.1であり、サンプルN
o.1は、(100)配向性が強いことを確認できる。
また、電子線回折パターンからも(100)配向が認め
られた。
【0122】比較例1実施例1のターゲット組成と雰囲
気中のN量を変えた他は実施例1と同一の条件にて
(Fe0.92Zr0.080.820.18のサ
ンプルを作製したところ、下記の結果をえた。
【0123】Bs:16,000G Hc:1Oe μ(5MHz):1,500 オーバーライト特性:−37dB VP−P:0.95μV/μm/ターン
【0124】このもののFe(110)ピークに対する
Fe(200)ピークの相対強度は0であった。これら
の結果から、Fe(100)配向の効果があきらかであ
る。
【0125】実施例2 実施例1と同様にして、メタル・イン・ギャップ型磁気
ヘッドを製造し、同様の測定を行なった。
【0126】薄膜組成は、〔(Fe1−yNi
1−x 0.97−w 0.03にて、表1に
示されるようにM、x、yおよびwを変えたものであ
る。結果は表2に示されるとおりである。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】サンプルNo.2〜9の軟磁性薄膜のFe
(110)ピークに対するFe(200)ピークの相対
強度比は、1〜10程度であり、電子線回折パターンか
らも(100)配向が認められた。また、本発明のサン
プルは、耐食性も良好であった。
【0130】なお、このほか、前記組成式においてMが
異なる各サンプルを製造したところ同等の結果が得られ
た。
【0131】実施例3 図3に示されるように、ギャップ部対向面にコアより飽
和磁束密度Bsが低い低飽和磁束密度合金薄膜6が形成
されている第1コア1と、軟磁性薄膜4が形成されてい
る第2コア2とをギャップ5を介して接合一体化し、E
DG型のメタル・イン・ギャップ型磁気ヘッドを製造し
た。そして、実施例1と同様の測定を行ったところ、同
等の結果が得られた。
【0132】実施例4 図4に示されるように、スライダ7上に順次、絶縁層8
1、下部磁極層91、ギャップ層10、絶縁層83、コ
イル層11、絶縁層85、上部磁極層95および保護層
12を有する薄膜磁気ヘッドを製造した。この場合、各
層の形成には、スパッタ法を用い、パターン形成には、
ドライエッチングを用いた。
【0133】スライダ7には、Al−TiCを用
いた。絶縁層81には、Alを用い、膜厚は30
μmとした。下部および上部磁極層91、95には、サ
ンプルNo.1〜9の組成の軟磁性薄膜を用いた。
【0134】この場合、下部および上部磁極層91、9
5は、実施例1の軟磁性薄膜4と同様にRFマグネトロ
ンスパッタにより形成し、下部および上部磁極層91、
95の膜厚はそれぞれ3μmとした。磁極層91、95
の直流での飽和磁束密度Bs、同波数50Hzでの保磁
力Hc、周波数5MHzでの初透磁率μは表3に示さ
れるとおりである。
【0135】なお、熱処理条件は、熱処理温度350
℃、保持時間60分間とした。ギャップ層10には、S
iOを用い、膜厚は0.25μmとした。コイル層1
1には、Cuを用い、図示のようにスパイラル状に形成
した。絶縁層83、85には、Alを用いた。ま
た、保護層12には、Alを用い、膜厚は40μ
mとした。
【0136】このように、本発明の磁気ヘッドサンプル
No.2〜No.9を製造した。これらの各サンプル
と、保磁力が1500Oeのハードディスクとを用い
て、実施例1と同様の測定を行った。結果は表3に示さ
れるとおりである。
【0137】
【表3】
【0138】また、サンプルNo.1〜9の下部および
上部磁極層91、95は、X線回折チャートをみたと
き、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピー
クの相対強度比が1〜10程度であり、電子線回折パタ
ーンからも(100)配向が認められた。なお、本発明
のサンプルは、耐食性も良好であった。
【0139】以上の結果から本発明の効果が明らかであ
る。
【0140】
【発明の効果】本発明の軟磁性薄膜は、飽和磁束密度B
sが高い。加えて、耐熱性が高く、特に(100)配向
性が強いため、保磁力Hcが低く、透磁率μが高い、優
れた軟磁気特性を有する。このため、本発明の磁気ヘッ
ドは、オーバーライト特性や記録・再生感度等が高く、
優れた電磁変換特性を有する。
【0141】そして、本発明の軟磁性薄膜は耐食性や耐
摩耗性に優れるため、信頼性の高い磁気ヘッドが実現す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMIG型磁気ヘッドの1例を示す部分
断面図である。
【図2】本発明のMIG型磁気ヘッドの1例を示す部分
断面図である。
【図3】本発明のEDG型のMIG型磁気ヘッドの1例
を示す部分断面図である。
【図4】本発明の薄膜磁気ヘッドの1例を示す部分断面
図である。
【図5】本発明の軟磁性薄膜のX線回折チャートを示す
グラフである。
【符号の説明】
1 第1コア 2 第2コア 3 溶着ガラス 4 軟磁性薄膜 5、51、53 ギャップ 6 低飽和磁束密度合金薄膜 7 スライダ 81、83、85 絶縁層 91 下部磁極層 95 上部磁極層 10 ギャップ層 11 コイル層 12 保護層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−132109(JP,A) 特開 平2−275605(JP,A) 特開 平2−218006(JP,A) 特開 昭63−58807(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/08 - 10/14 C22C 38/00 303

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式で表わされる原子比組成を有し、
    200〜800℃の温度で熱処理を行ない、X線回折に
    て、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピー
    クの相対強度比が1/3以上であり、飽和磁束密度Bs
    が16000G以上であり、保磁力Hcが1 Oe 以下で
    あることを特徴とする軟磁性薄膜(但し、X線回折に
    て、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピー
    クの相対強度比が1以上のものを除く)。 式 [(Fe1-y Niy)1-xx]1-zz (上式においてMは、Mg、Ca、Ti、Zr、Hf、
    V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選
    ばれる1種以上であり、0.001≦x≦0.15、0
    ≦y≦0.1、0.001≦z≦0.15である。)
  2. 【請求項2】 下記式で表わされる原子比組成を有し、
    200〜800℃の温度で熱処理を行ない、電子線回折
    にてFe(200)面配向を持ち、飽和磁束密度Bsが
    16000G以上であり、保磁力Hcが1 Oe 以下であ
    ることを特徴とする軟磁性薄膜(但し、X線回折にて、
    Fe(110)ピークに対するFe(200)ピークの
    相対強度比が1以上のものを除く)。 式 [(Fe1-y Niy)1-xx]1-zz (上式においてMは、Mg、Ca、Ti、Zr、Hf、
    V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選
    ばれる1種以上であり、0.001≦x≦0.15、0
    ≦y≦0.1、0.001≦z≦0.15である。)
  3. 【請求項3】 一対のコア間に、請求項1または2に記
    載の軟磁性薄膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記一対のコアを作業温度Twが450
    〜750℃の溶着ガラスにより溶着一体化した請求項3
    に記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 上部磁極層と、下部磁極層と、保護層と
    を有する薄膜磁気ヘッドであって、 前記上部磁極層および下部磁極層が、請求項1または2
    に記載の軟磁性薄膜で形成されていることを特徴とする
    磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 基板上に形成された請求項1または2に
    記載の軟磁性薄膜で磁気回路が形成されていることを特
    徴とする磁気ヘッド。
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