JP3452594B2 - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドの製造方法

Info

Publication number
JP3452594B2
JP3452594B2 JP22198692A JP22198692A JP3452594B2 JP 3452594 B2 JP3452594 B2 JP 3452594B2 JP 22198692 A JP22198692 A JP 22198692A JP 22198692 A JP22198692 A JP 22198692A JP 3452594 B2 JP3452594 B2 JP 3452594B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
soft magnetic
magnetic thin
magnetic head
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22198692A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06224039A (ja
Inventor
宏明 川島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP22198692A priority Critical patent/JP3452594B2/ja
Publication of JPH06224039A publication Critical patent/JPH06224039A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3452594B2 publication Critical patent/JP3452594B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Heads (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟磁性薄膜およびこれ
を用いた磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】FDD(フロッピーディスクドライブ)
や、HDD(ハードディスクドライブ)、VTR、DA
T(デジタルオーディオテープレコーダ)などの各種磁
気記録再生装置には、各種磁気ヘッドが用いられてい
る。
【0003】このような磁気ヘッドには、DGL(デュ
アル・ギャップ・レングス)型の磁気ヘッドやEDG
(エンハンスト・デュアル・ギャップ・レングス)型の
磁気ヘッドと称されるものがある。
【0004】DGL型の磁気ヘッドは、一対のフェライ
ト製コアの少なくとも一方のギャップ部対向面に、コア
よりも飽和磁束密度Bsの低い軟磁性薄膜を設けたもの
である。
【0005】このような構成の磁気ヘッドでは、記録時
に低Bs軟磁性薄膜が飽和し、一方、再生時には飽和し
ないため、記録時には広ギャップとして再生時には狭ギ
ャップとして使用が可能である。このため、DGL型の
記録再生兼用ヘッドでは、記録専用ヘッドおよび再生専
用ヘッドと同等の性能を得ることができる。
【0006】また、EDG型の磁気ヘッドは、DGL型
磁気ヘッドにおいて、低Bs軟磁性薄膜に対向するコア
のギャップ部に、さらにコアよりも高いBsを有する高
Bs軟磁性薄膜を形成したものであり、DGL型の利点
に加えて、高Bs軟磁性薄膜から強力な磁束を磁気記録
媒体に印加できるため、高い保磁力を有する媒体に有効
な記録が行えるという利点を有する。
【0007】このような磁気ヘッドにおける低Bs軟磁
性薄膜には、高透磁率で低飽和磁束密度が得られること
から、従来、Co系アモルファス材料が用いられてい
る。
【0008】ところで、これらの磁気ヘッドは、上記し
た各種軟磁性薄膜をコアのギャップ部対向面に形成した
後、一対のコアをガラスにより溶着して製造されてい
る。
【0009】このガラスの溶着は、高い温度の方が好ま
しいが、上記のCo系アモルファス材料では、600℃
以上で熱処理を施すと膜の結晶化によって軟磁気特性が
著しく劣化することから、上記ガラス溶着工程における
溶着温度は600℃未満に制限されている。
【0010】溶着温度が600℃未満のいわゆる低融点
ガラスとするためには、鉛やアルカリ金属などを多量に
添加する必要があるため、耐湿性等の耐環境性が不十分
となり、また、機械的強度も低くなる。従って、従来、
溶着ガラスとして用いられているガラスは、耐環境性が
低く、機械的強度も劣る。このため、Co系アモルファ
ス材料の軟磁性薄膜を用いる磁気ヘッドでは、信頼性お
よび製造歩留りが共に低いものであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、低Bsであり、かつ耐熱性に優れた軟磁性薄膜を提
供することにある。
【0012】また、第二の目的は、この軟磁性薄膜を用
いて、電磁変換特性および信頼性に優れ、かつ歩留りが
良好なEDG型ないしDGL型の磁気ヘッドを提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的は、本願
の特許請求の範囲請求項1乃至3の発明により達成され
る。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】なお、特開平2−123507号公報に
は、「ギャップ部側に軟磁性膜を形成した一対の磁気コ
ア半体を上記軟磁性膜と上記ギャップ部を介してガラス
ポンディングにより接合してなる磁気ヘッドにおいて、
上記軟磁性膜は、上記磁気コア半体側が、 Coxzw (MはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wのうち
の少なくとも1種以上であり、x、z、wは組成比(原
子%)である)なる組成を有し、優位的に結晶粒径が
0.05μm 以下の微細結晶質組成からなり、上記ギャ
ップ部側が、 Coxz (MはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wのうち
の少なくとも1種以上であり、x、zは組成比(原子
%)である)なる組成を有する非晶質からなることを特
徴とする磁気ヘッド。」が開示されている。
【0019】また、特開平2−229406号公報に
は、「組成式がCoxzw で示され、MはTi、Z
r、Hf、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1種又は2種
以上からなる金属元素又はその混合物であり、組成比
x、z、wは原子%で 55≦x≦96 2≦z≦25 0.1≦w≦20 x+z+w=100 なる関係を満足させるとともに、その金属組織が基本的
に平均粒径0.05μm以下の結晶粒からなり、その一
部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とする軟
磁性合金膜。」が開示されている。
【0020】さらに、特開平3−112104号公報に
は、「組成式がCoxyz で示され、MはTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wのうち、1種又は
2種以上からなる金属元素又はその混合物であり、組成
比x、y、zは原子%で 50≦x<65 15≦y<30 20<z≦30 x+y+z=100 なる関係を満足させるとともに、その金属組織が基本的
に平均粒径0.05μm以下の結晶粒からなり、その一
部に元素Mの炭化物の結晶相を含むことを特徴とする軟
磁性合金膜。」が開示されている。
【0021】上記公報に開示される軟磁性膜ないし軟磁
性合金膜は、いずれも、少なくとも5000G (0.5
T )以上の高Bsを有する軟磁性膜であり、主に、一対
のフェライト製コアの少なくとも一方のギャップ部対向
面に、コアよりも高Bsの軟磁性薄膜を有する、いわゆ
るMIG(メタル・イン・ギャップ)型磁気ヘッドへの
適用を目的とするものである。
【0022】また、特開平2−123507号、同2−
229406号公報に開示される組成は、特許請求の範
囲において本発明のものと一部重複するが、その実施例
に示される組成は、本発明の組成の範囲外である。
【0023】従って、上記公報に開示される組成の軟磁
性膜ないし軟磁性合金薄膜は、本発明のものとは異な
り、低Bsを示すものではなく、DGL型、EDG型の
磁気ヘッドの低Bs軟磁性薄膜として用いるのに適する
ものではなく、本発明とは構成の異なるものである。
【0024】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0025】本発明における低Bs軟磁性薄膜は、以下
の組成を有するものである。
【0026】Coxyz
【0027】ここで、MはTi、V、Cr、Zr、N
b、Mo、Hf、Ta、WおよびYのうちの1種以上で
あり、x、yおよびzは、それぞれ組成比(原子%)で
あり、以下の関係を有するものである。
【0028】 50≦x≦82、好ましくは55≦x≦75 18≦y≦30、好ましくは20≦y≦28 0.1≦z≦20、好ましくは1.5≦z≦13 x+y+z=100
【0029】このような組成とすることによって、0.
45T 以下、好ましくは0.4T 以下の低いBsを実現
できる。このときのBsの下限には特に制限はないが、
磁気特性上、通常0.1T 程度である。
【0030】しかも、保磁力Hcが小さく、Hcは80
A/m 以下、好ましくは30A/m 以下であり、良好な磁気
特性となる。また、通常、Hcの下限値は0.8A/m 程
度である。
【0031】また、Mの炭化物が、適量、生成し、Co
を主成分とする結晶粒の粒界に存在してこの結晶粒の成
長を阻害することによっても、Hcが増大するのを防止
することができ、上記のHcが実現される。本発明にお
いては、この結晶粒の成長阻害は熱処理中にて生じる。
【0032】また、このような結晶粒の成長阻害は、高
透磁率を得る上でも好ましく、5MHz で1000以上の
初透磁率μi が得られる。また、通常、μiの上限値は
5000程度である。なお、結晶粒の平均粒径は、50
nm以下、好ましくは30nm以下であり、透過型電子顕微
鏡(TEM)観察やX線回折等の結果から求めることが
できる。
【0033】このようなことから、本発明により製造さ
れる磁気ヘッドの軟磁性薄膜は、EDG型やDGL型の
磁気ヘッドの低Bs軟磁性薄膜として好適である。
【0034】さらには、500℃以上の高温で繰り返し
熱処理しても、Bs、Hc、μi の変化がほとんどな
く、耐熱性に優れる。これは主に、上記炭化物の存在に
よって結晶粒の成長が阻害されることによると考えられ
る。
【0035】このようなことから、本発明においては、
ガラス溶着工程の高温化が可能となり、耐環境性が良好
で強度の高い溶着ガラスを使うことができる。このた
め、歩留りが向上し、信頼性に優れたものとなる。
【0036】また、ガラスの2次溶着工程が存在するコ
ンポジット型磁気ヘッドの作製においても、磁気特性の
変化が少なく、十分な耐熱性を示す。
【0037】これに対し、Coが82原子%をこえる
と、Bsが0.45T をこえるものとなり、低Bsの実
現が不可能となる。また、Coが50原子%未満となる
と、非磁性に近く(室温でBsがゼロまたはゼロに近い
値)なってしまうか、もしくは軟磁性が失なわれてしま
う。
【0038】また、Mが30原子%をこえても、非磁性
に近く(室温でBsがゼロまたはゼロに近い値)なって
しまうか、もしくは軟磁性が失なわれてしまい、Mが1
8原子%未満となると、Bsが0.45T をこえるもの
となる。さらに、Cが20原子%をこえると、MやCo
の炭化物の生成量が過剰となり、保磁力Hcが大きくな
りすぎて軟磁性が失なわれてしまう。Cが0.1%未満
となると、Mの炭化物の生成量が不足するため、Coを
主成分とする結晶粒の成長を抑制する効果が不十分とな
り、Hcが大きくなる。また、炭化物の生成量が不足す
ると耐熱性が不十分となる。
【0039】なお、上記におけるBs、Hc、μiの値
は、本発明において好ましく適用される熱処理後のもの
であり、軟磁性薄膜の膜厚を1μm として、Bsは直流
で、Hcは50Hzで、μiは前記のとおり5MHz で求め
たものである。
【0040】本発明により製造される磁気ヘッドの軟磁
性薄膜は、上記組成において、MがZr、Hf、Tiお
よびYのうちの1種以上(まとめてMという。)と、
Nb、Mo、Cr、V、TaおよびWのうちの1種以上
(まとめてMという。)との組み合わせであるものが
好ましい。
【0041】この場合、前記組成式において、My =M
1 a2 b[ここで、aおよびbは、それぞれ、組成比(原
子%)であり、y=a+bである。]としたとき、 |a−b|≦10、好ましくは|a−b|≦8 の関係を有することが好ましい。
【0042】このように併用することによって、磁歪、
特に後述の好ましく適用される熱処理後の磁歪を小さく
することができ、高透磁率が得られる。
【0043】一般に、透磁率μは、μ=k・(Bs/H
k)〔ここで、Bsは飽和磁束密度を表し、Hkは異方
性磁界を表し、kは定数を表す。〕の関係を有すること
から、本発明のようにBsの小さい領域で高透磁率を得
ることは難しい。
【0044】しかしながら、上記のように、組成を選択
することによって、磁歪を小さくできることから、高透
磁率が得られる。すなわち、磁歪定数λsを正方向にす
るように作用するM1 と負方向にするように作用するM
2 とを組み合わせることによって磁歪を小さくすること
ができる。
【0045】この場合、λsは、好ましく適用される熱
処理(例えば550〜700°C)後において、|λs
|≦5×10-7となり、小さいものとなる。
【0046】このようにλsが小さくなる結果、Bs≦
0.45Tの低Bsの範囲においても、5MHzにおけ
る初透磁率μiが1000以上の高透磁率が得られる。
このμi値は熱処理後のものである。
【0047】なお、軟磁性薄膜の組成は、例えば、Elec
tron Probe Micro Analysis (EPMA)法により測定すれば
よい。
【0048】また、軟磁性薄膜の膜厚は用途等に応じて
適宜選択すればよいが、通常、0.1〜20μm 程度で
ある。
【0049】本発明において軟磁性薄膜を成膜するに
は、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、C
VD法等の各種気相法を用いればよい。これらのうち特
にスパッタ法を用いることが好ましく、例えば以下のよ
うに成膜すればよい。
【0050】ターゲットには、軟磁性薄膜の組成に応じ
て、合金鋳造体、焼結体、多元ターゲット等を用いる。
そして、Ar等の不活性ガス雰囲気下でスパッタを行な
う。また、Cを含まないターゲットを用い、Ar等の不
活性ガス中にCH4 等の炭化水素ガスを混合し、この雰
囲気中でスパッタする反応性スパッタによってもよい。
【0051】スパッタの方式および使用するスパッタ装
置に特に制限はなく、通常のものを用いればよい。な
お、動作圧力は通常0.1〜1.0 Pa 程度とすればよ
い。スパッタ投入電圧や電流等の諸条件は、スパッタ方
式等に応じ適宜決定すればよい。
【0052】成膜後は、軟磁性薄膜に熱処理を施す。
【0053】熱処理は、下記の条件にて行なうことが好
ましい。
【0054】昇温速度:2〜8℃/分程度 保持温度:300〜750℃、特に500〜700℃程
度 温度保持時間:10〜60分程度 冷却速度:2〜8℃/分程度
【0055】なお、雰囲気はAr等の不活性ガスや窒素
ガスなどでよい。
【0056】また、本発明における熱処理は、無磁場中
で行なって十分な効果が得られる。このため、例えば特
開平2−229406号、同3−112104号公報に
開示される静磁界中あるいは回転磁界中における熱処理
に比べて操作上有利である。
【0057】本発明により製造される磁気ヘッドの軟磁
性薄膜は、厚さによっても異なるが、通常、スパッタ等
によりアモルファス状の薄膜として形成される。これに
熱処理を施すことにより、Co−M等の結晶相が出現
し、優れた軟磁性を示すものと考えられる。
【0058】このことは、X線回折の結果によって確認
することができる。すなわち、熱処理によって、fcc
(面心立方構造)のCo−M(110)面、(111)
面、(531)面、(100)面、(533)面のピー
クが出現する。この他、Co−M等の結晶粒の粗大化を
防止と考えられるM−C(100)面のピークも確認さ
れる。
【0059】本発明により製造される磁気ヘッドは、軟
磁性薄膜がコアのギャップ部に形成されているものであ
る。このような磁気ヘッドとしては、EDG型およびD
GL型に磁気ヘッドが挙げられ、このような磁気ヘッド
の低Bs膜として用いられる。
【0060】このような磁気ヘッドの一構成例を、図1
および図2にそれぞれ示す。
【0061】図1に示される磁気ヘッドは、DGL型磁
気ヘッドとして用いられるものであり、ギャップ部対向
面に軟磁性薄膜4が形成されている第1コア1と、第2
コア2とを有し、両コアがギャップ5を介して接合さ
れ、溶着ガラス3により溶着一体化されている。
【0062】この軟磁性薄膜4に、コアよりも低Bsで
る軟磁性薄膜を用いる。
【0063】また、ギャップ5は、非磁性材質から構成
されるが、図示のようにギャップ51とギャップ53と
の2層で構成する。 これについては後述する。
【0064】図2に示される磁気ヘッドは、EDG型磁
気ヘッドとして用いられるものであり、図1の構成にお
いて、さらに第2コア2のギャップ部対向面に軟磁性薄
膜4を形成したものである。
【0065】図2の構成では、一方の軟磁性薄膜4をコ
アよりも低Bsの本発明の低Bs軟磁性薄膜とし、他方
の軟磁性薄膜4をコアよりも高Bs軟磁性薄膜とする。
この場合、図1と同様に、第1コア1に低Bs軟磁性薄
膜を形成することが好ましい。また、このときの高Bs
軟磁性薄膜4は、Fe−Al−Si合金(センダス
ト)、Fe−Al−Si−Ni合金(スーパーセンダス
ト)などの材質とすることが好ましい。
【0066】図1および図2に示される磁気ヘッドにお
いて、軟磁性薄膜4の膜厚は、好ましくは0.2〜10
μm 、より好ましくは0.5〜5μm である。
【0067】本発明の低Bs軟磁性薄膜において膜厚が
小さくなると、記録時と再生時の有効ギャップ長の差が
小さくなり過ぎ、DGL型やEDG型の磁気ヘッドとし
ての機能が不十分となる。また、膜厚が大きくなると、
渦電流損失が大きくなり、また、記録時と再生時の有効
ギャップ長の差が大きくなり過ぎるため好ましくない。
一方、高Bs軟磁性薄膜において膜厚が小さくなると、
体積が不足して飽和し易くなり、強力な磁界を印加する
という機能が不十分となる。また、膜厚が大きくなる
と、渦電流損失が大きくなり、高周波特性が不十分とな
る。
【0068】本発明において、各コアはフェライトから
構成される。 この場合、用いるフェライトに特に制限
はないが、Mn−ZnフェライトまたはNi−Znフェ
ライトを目的に応じて用いることが好ましい。Mn−Z
nフェライトとしては、Fe 50〜60モル%
程度、ZnO 8〜25モル%程度、残部が実質的にM
nOのものが好ましい。また、Ni−Znフェライトは
特に高周波領域において優れた特性を示すものであり、
好ましい組成としては、Feが30〜60モル
%、NiOが15〜50モル%、ZnOが5〜40モル
%程度のものである。
【0069】各コアの直流での飽和磁束密度Bsは、好
ましくは0.3〜0.6Tとする。飽和磁束密度が小さ
くなると、オーバーライト特性が低下する他、このよう
な飽和磁束密度の組成では、キュリー温度が低くなるた
め熱的安定性が低下してしまう。飽和磁束密度が大きく
なると、磁歪が増加して磁気ヘッドとしての特性が悪化
したり、着磁し易くなる。
【0070】各コアの直流での初透磁率μiは1,00
0以上、保磁力Hc は0.3 Oe 以下であることが好ま
しい。
【0071】また、各コアのギャップ部対向面は、鏡面
研磨等により平滑化し、軟磁性薄膜4等が形成され易い
ようにする。
【0072】ギャップ5は、図示のように、ギャップ5
1とギャップ53との2層で構成されギャップ51に
は、SiOを用い、ギャップ53には接着ガラスを用
いる。 2層構成とすることによって、ギャップ形成速
度やギャップ強度を高めることができる。
【0073】
【0074】なお、接着ガラスは接着強度を高めるため
に用いられるものであり、例えば、特願平1−7150
6号等に示されるガラスが好適である。
【0075】ギャップ5の形成方法には特に制限はない
が、スパッタ法を用いることが好ましい。なお、ギャッ
プ5を形成して接合するに際し、両コアの接合部分のギ
ャップ5はいずれか一方のコアに形成して接合するもの
としても、両コアに形成して接合するものとしてもよ
い。ギャップ長は、通常0.2〜2.0μm 程度であ
る。また、トラック巾は、通常3〜150μm 程度であ
る。
【0076】本発明におけるコアの接合は、 ギャップ
53の接着ガラスにより熱圧着すると同時に溶着ガラス
3を流し込むことにより行なう。 ガラスの1次溶着工
程に用いる溶着ガラス3の作業温度Twは600〜70
0℃程度であ、ガラス溶着時の保持温度は600〜7
00℃とする。 なお、作業温度Twとは、周知のよう
にガラスの粘度が10poiseとなる温度である。
【0077】また、このときの雰囲気は1〜100pp
mの酸素を含む不活性雰囲気とする。
【0078】本発明の磁気ヘッドでは、低Bsの軟磁性
薄膜4に耐熱性の高い本発明の軟磁性薄膜を用いるた
め、このようなTwのガラスを用いて溶着しても、軟磁
性薄膜4のBs、Hc、μiの変化はほとんどない。こ
のため、鉛やアルカリ金属などの含有量が少ない溶着ガ
ラスを用いることができるので、耐環境性が良好で機械
的強度も高い磁気ヘッドが実現する。
【0079】
【0080】本発明により製造される磁気ヘッドは、い
わゆるラミネートタイプやバルクタイプ等のトンネルイ
レーズ型、あるいはイレ−ズヘッドを有しないリードラ
イト型などのオーバーライト記録を行なうフロッピーヘ
ッド、モノリシックタイプやコンポジットタイプの浮上
型の計算機用ヘッド、回転型のVTR用ヘッドやR−D
AT用ヘッドなどの各種磁気ヘッドとして用いられる。
【0081】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0082】実施例1 表1に示す組成を有し、1μm 厚の軟磁性薄膜を、スパ
ッタ法により結晶化ガラス基板上に形成した。スパッタ
は、表1に示す組成に対応した組成のターゲットを用
い、Ar雰囲気下で行なった。
【0083】動作圧力は、0.7Paとした。なお、組
成分析にはEPMAを用いた。
【0084】このように作成したサンプルを軟磁性薄膜
No. 1〜No. 14とする。
【0085】次に、これらの軟磁性薄膜No. 1〜No. 1
4を熱処理した。熱処理は650℃で1時間行なった。
雰囲気は10ppm の酸素を含む窒素雰囲気中とした。こ
の際、100nm厚のSiO2 膜を、軟磁性薄膜上に形成
して行なった。
【0086】このように熱処理した後の軟磁性薄膜No.
1〜No. 14について、直流での飽和磁束密度Bs、5
0Hzにおける保磁力Hc、5MHz における初透磁率μi
を調べた。なお、Bs測定にはVSMを、Hc測定には
B−Hトレーサーを、μi測定には8の字コイル透磁率
測定器(印加磁界5 mOe)を用いた。また、磁歪定数λ
sは光てこ方式飽和磁歪測定機により求めた。
【0087】これらの結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】表1の結果から、本発明の効果は明らかで
ある。
【0090】本発明の軟磁性薄膜は、0.45T以下の
低Bsを示すとともに、Hcが小さく、μiが大きいな
ど軟磁性に優れることがわかる。
【0091】表1に示されるもののうち、軟磁性薄膜N
o. 6について、スパッタ直後のものと、650℃にて
1時間熱処理後のものとのX線回折の測定を行なった。
結果を図3に示す。
【0092】図3から、スパッタ直後ではほぼアモルフ
ァス状態であるが、熱処理によりfcc のCo−Zr(1
10)面、(111)面、(531)面、(100)
面、(533)面のピークが出現することがわかる。ま
た、ZrC(100)面のピークも観察される。また、
これより求めた結晶粒の粒径は約24nmであった。この
値は、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果とも一致
するものであった。
【0093】表1に示される、このほかの本発明の軟磁
性薄膜の結晶粒の粒径は、TEM観察、X線回折の結果
から、いずれも5〜50nmの範囲にあることが確認され
た。
【0094】さらに、上記の熱処理後の軟磁性薄膜につ
いて、550℃で1時間、上記と同様にして熱処理を繰
り返したところ、この550℃での熱処理の前後で、B
s、Hc、μiの各変化率は、それぞれ、順に、±2
%、±3%、±5%以内で、全く問題のないレベルであ
った。これより、 耐熱性に優れることがわかる。従っ
て、ガラスの2次溶着工程が必要なコンポジット型磁気
ヘッドの作成を、特性上の問題を生じることなく、行な
うことができる。
【0095】実施例2 図2に示されるような、第1コア1および第2コア2の
それぞれのギャップ部対向面に軟磁性薄膜4を有するF
DD用EDG型磁気ヘッドを作製した。第1コア1側の
軟磁性薄膜4を低Bs軟磁性薄膜とし、第2コア2側の
軟磁性薄膜4を高Bs軟磁性薄膜とした。
【0096】低Bs軟磁性薄膜には、表1に示される軟
磁性薄膜をそれぞれ用いた。ただし、軟磁性薄膜の熱処
理は、後述のガラス溶着時の加熱で熱処理を兼ねるもの
としているため、熱処理は行なわないものとした。また
膜厚は1μm とした。
【0097】一方、高Bs軟磁性薄膜にはFe73.5Al
11.0Si15.5合金膜(センダスト:数値は原子%:Bs
1.1T、μi=1500、Hc=31A/m )を用いる
ものとし、スパッタ法により、低Bs軟磁性薄膜に準じ
て形成した。膜厚は2μm とした。
【0098】各コアの材質はMn−Znフェライト(B
s=0.5T、μi=3000、Hc =8A/m )とし
た。
【0099】ギャップ51にはSiO2 を用い、スパッ
タ法により形成し、その膜厚は0.2μm とした。ギャ
ップ53には、作業温度Twが750℃の接着ガラスを
用いた。なお、ギャップ53はスパッタ法により形成
し、その膜厚は0.1μm とした。
【0100】溶着ガラス3の組成は、重量比で SiO2 :22.0、B23 :3.0、PbO:6
3.0、Al23 :2.0、ZnO:5.0、Na2
O:5.0であり、作業温度Twは640℃であった。
そして、650℃にて10ppm の酸素を含む窒素雰囲気
中で1時間溶着を行なった。
【0101】このようにして、EDG型磁気ヘッドを作
製した。用いた低Bs軟磁性薄膜に応じて磁気ヘッドN
o. 1〜No. 14とする。これらの磁気ヘッドは、トラ
ック巾30μm 、ギャップ長0.3μm である。
【0102】これらの磁気ヘッドNo. 1〜No. 14につ
いて、オーバーライト特性(dB)と分解能(%)とを
以下のようにして調べた。
【0103】なお、記録は最適記録電流付近で行ない、
また、フロッピーディスクはHc 1500 Oe のものを
用いた。
【0104】(1)オーバーライト特性 1MHz の1f信号を記録し、次いでこの上から2MHz の
2f信号を重ね書きしたときの、2f信号の出力に対す
る1f信号の出力をいうものとする。なお、この値が−
30dBをこえる場合が実用上不十分である。
【0105】(2)分解能 1MHz の1f信号を記録し、この信号の出力をV1fとし
た。また、別に、2MHz の2f信号を記録し、この出力
をV2fとした。これらから、下記の式により分解能を算
出した。
【0106】式 (V2f/V1f)×100[%]
【0107】なお、分解能が60%未満では、実用に耐
えない。
【0108】結果を表2に示す。
【0109】
【表2】
【0110】表2から、本発明の効果は明らかである。
本発明の磁気ヘッドはオーバーライト特性に優れ、分解
能が良好である。
【0111】また、本発明のEDG型磁気ヘッドは、作
業温度Twが550℃以下である従来の溶着ガラスを用
いた磁気ヘッドに比べ、歩留りが10%以上向上した。
【0112】また、本発明の軟磁性薄膜を、DGL型磁
気ヘッドの低Bs軟磁性薄膜として用いた場合にも、上
記EDG型磁気ヘッドと同様に良好な特性が得られ、ま
た、歩留りが向上した。
【0113】本発明は、EDG型ないしDGL型の磁気
ヘッドの製造法に適する。また、 ガラス溶着時の保持温
度、特に第1次溶着時の保持温度を600℃以上と高く
できる。このため、耐環境性が良好で機械的強度の高い
溶着ガラスが使え、信頼性が高く製造歩留りの高い磁気
ヘッドが実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドの一構成例を示す部分断面
図である。
【図2】本発明の磁気ヘッドの一構成例を示す部分断面
図である。
【図3】本発明の軟磁性薄膜のスパッタ直後におけるX
線回折チャートと、熱処理後におけるX線回折チャート
である。
【符号の説明】
1 第1コア 2 第2コア 3 溶着ガラス 4 軟磁性薄膜 41 下地膜 5、51、53 ギャップ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/127 - 5/17 G11B 5/31 - 5/325 H01F 10/00 - 10/32 H01F 41/14 - 41/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のフェライト製コアの表面を鏡面研
    磨し、その一方のコアに下記の組成のアモルファス状軟
    磁性薄膜を被着し、無磁場不活性ガス中2〜80℃/分
    の昇温速度で500〜700℃まで加熱し、その温度で
    10〜60分保持し、2〜8℃/分の冷却速度で室温ま
    で冷却した後、上記一対のコアのいずれか一方にSiO
    を被着し、上記一対のコアを接着ガラスにより熱圧着
    すると同時に、作業温度Twが600〜700℃の溶着
    ガラスを1〜100ppmの酸素を含む不活性雰囲気中
    で600〜700℃の温度で流し込むことにより接合し
    た後、冷却することを特徴とする磁気ヘッドの製造方
    法。 記 Co〔ここで、MはTi、V、Cr、Zr、
    Nb、Mo、Hf、Ta、WおよびYのうちの1種以上
    であり、x、yおよびzはそれぞれ組成比(原子%)で
    ある。〕で示される組成を有し、かつx、yおよびz
    が、 50≦x≦82 18≦y≦30 0.1≦z≦20 x+y+z=100
  2. 【請求項2】 前記Mは、Zr、Hf、TiおよびYの
    うちの1種以上と、Nb、Mo、Cr、V、Taおよび
    Wのうちの1種以上との組み合わせである請求項1の磁
    気ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記一方のコアに被着された軟磁性薄膜
    はコアより低Bsであり、他方のコアにコアより高Bs
    の軟磁性薄膜を被着することを特徴とする請求項1又は
    2の磁気ヘッドの製造方法。
JP22198692A 1992-07-29 1992-07-29 磁気ヘッドの製造方法 Expired - Fee Related JP3452594B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22198692A JP3452594B2 (ja) 1992-07-29 1992-07-29 磁気ヘッドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22198692A JP3452594B2 (ja) 1992-07-29 1992-07-29 磁気ヘッドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06224039A JPH06224039A (ja) 1994-08-12
JP3452594B2 true JP3452594B2 (ja) 2003-09-29

Family

ID=16775290

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22198692A Expired - Fee Related JP3452594B2 (ja) 1992-07-29 1992-07-29 磁気ヘッドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3452594B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06224039A (ja) 1994-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2961034B2 (ja) 磁気ヘッド
JP2635422B2 (ja) 磁気ヘッド
JPH08288138A (ja) 軟磁性薄膜及びそれを用いた磁気ヘッド
JP3452594B2 (ja) 磁気ヘッドの製造方法
JPS63279404A (ja) 複合型磁気ヘッド
JPS60132305A (ja) 鉄−窒素系積層磁性体膜およびそれを用いた磁気ヘツド
JP2775770B2 (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JP3127075B2 (ja) 軟磁性合金膜と磁気ヘッドおよび軟磁性合金膜の熱膨張係数の調整方法
JPH0555036A (ja) 軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド
JP3272738B2 (ja) 軟磁性多層膜
JPH0827908B2 (ja) 磁気ヘッド
JP3232592B2 (ja) 磁気ヘッド
JP2850134B2 (ja) 磁気ヘッドの製造方法
JPS58118015A (ja) 磁気ヘツド
JPS6218967B2 (ja)
JP3243256B2 (ja) 軟磁性薄膜および磁気ヘッド
JP3296829B2 (ja) 軟磁性多層膜および磁気ヘッド
JP3214716B2 (ja) 磁気ヘッドおよびその製造方法
JP3404054B2 (ja) 磁気ヘッド用薄膜および磁気ヘッド
JP2798315B2 (ja) 複合磁気ヘッド
JP2858036B2 (ja) 軟磁性薄膜および磁気ヘッド
JPH02185707A (ja) 複合型磁気ヘッド及びその製造方法
JPS63311611A (ja) 複合型磁気ヘッド
JPH04289507A (ja) 磁気ヘッド
JPH04252006A (ja) 耐食軟磁性膜及びこれを用いた磁気ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030708

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees