JPH0555036A - 軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド - Google Patents

軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド

Info

Publication number
JPH0555036A
JPH0555036A JP23876691A JP23876691A JPH0555036A JP H0555036 A JPH0555036 A JP H0555036A JP 23876691 A JP23876691 A JP 23876691A JP 23876691 A JP23876691 A JP 23876691A JP H0555036 A JPH0555036 A JP H0555036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soft magnetic
thin film
magnetic thin
film
soft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23876691A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Kawashima
宏明 川島
Tetsuya Mino
哲哉 箕野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP23876691A priority Critical patent/JPH0555036A/ja
Publication of JPH0555036A publication Critical patent/JPH0555036A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 (Ni1-a Feaxyz (ただし、
Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta
およびWから選ばれる1種以上の元素であり、40≦x
≦98.5、1≦y≦30、0.5≦z≦30、0.0
3≦a≦0.3、x+y+z=100である。)で表わ
される組成を有する軟磁性薄膜。前記軟磁性薄膜を有す
る磁気ヘッド。 【効果】 前記軟磁性薄膜は優れた耐熱性を有するの
で、磁気ヘッド製造の際に耐環境性が良好で機械的強度
の高い溶着ガラスが使え、信頼性が高く製造歩留りの高
い磁気ヘッドが実現する。また、前記軟磁性薄膜を、M
IG型やEDG型磁気ヘッドの軟磁性薄膜の下地膜とし
て用いることにより、擬似ギャップ効果を著しく低減す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟磁性薄膜およびその
製造方法と、前記軟磁性薄膜を含む軟磁性多層膜および
その製造方法と、前記軟磁性薄膜および/または前記軟
磁性多層膜を有する磁気ヘッドとに関する。
【0002】
【従来の技術】一対のフェライト製コアの少なくとも一
方のギャップ部対向面に、コアよりも飽和磁束密度BS
の高いセンダスト等の高BS 軟磁性薄膜を有する、いわ
ゆるMIG(メタル・イン・ギャップ)型磁気ヘッドが
知られている。このような構成の磁気ヘッドでは、高B
S 軟磁性薄膜から強力な磁束を磁気記録媒体に印加でき
るため、高い保磁力を有する媒体に有効な記録が行え
る。
【0003】また、コアよりもBS の低い低BS 軟磁性
薄膜を少なくとも一方のギャップ部対向面に設けた、い
わゆるDGL(デュアル・ギャップ・レングス)型の磁
気ヘッドも知られている。このような構成の磁気ヘッド
では、記録時に低BS 軟磁性薄膜が飽和し、一方、再生
時には飽和しないため、記録時には広ギャップとして再
生時には狭ギャップとして使用が可能である。このた
め、DGL型の記録再生兼用ヘッドでは、記録専用ヘッ
ドおよび再生専用ヘッドと同等の性能を得ることができ
る。さらに、DGL型磁気ヘッドにおいて、低BS 軟磁
性薄膜に対向するコアのギャップ部に、コアよりも高い
S を有する高BS 軟磁性薄膜を形成したEDG(エン
ハンスト・デュアル・ギャップ・レングス)型の磁気ヘ
ッドでは、DGL型磁気ヘッドの特長に加え、上記した
MIG型磁気ヘッドの特長も具える。なお、DGL型磁
気ヘッドおよびEDG型磁気ヘッドは、広義のMIG型
磁気ヘッドに含まれるが、本明細書では高BS 軟磁性薄
膜だけを有する磁気ヘッドをMIG型磁気ヘッドと称す
る。
【0004】上記各種磁気ヘッドは、FDD(フロッピ
ーディスクドライブ)や、HDD(ハードディスクドラ
イブ)、VTR、DAT(デジタルオーディオテープレ
コーダ)などに用いられている。
【0005】これらの磁気ヘッドは、上記した各種軟磁
性薄膜をコアのギャップ部対向面に形成した後、一対の
コアをガラスにより溶着して製造される。低BS 軟磁性
薄膜には、高透磁率で低飽和磁束密度が得られることか
ら、従来、Co系アモルファス材料が用いられている。
しかし、この材料は600℃以上で熱処理を施すと膜の
結晶化によって軟磁気特性が著しく劣化することから、
上記ガラス溶着工程における溶着温度は600℃未満に
制限されている。
【0006】溶着温度が600℃未満のいわゆる低融点
ガラスとするためには、鉛やアルカリ金属などを多量に
添加する必要があるため、耐湿性等の耐環境性が不十分
となり、また、機械的強度も低くなる。従って、従来、
溶着ガラスとして用いられているガラスは、耐環境性が
低く、機械的強度も劣る。このため、Co系アモルファ
ス材料の軟磁性薄膜を用いる磁気ヘッドでは、信頼性お
よび製造歩留りが共に低いものであった。
【0007】ところで、これらの磁気ヘッドでは、コア
と軟磁性薄膜との境界が擬似ギャップとなり、偽信号を
生じることがある。例えば、フェライトコアのギャップ
部に高BS のセンダスト薄膜を形成した磁気ヘッドで
は、ガラス溶着工程などにおける熱処理の際にセンダス
ト薄膜とフェライトコアの境界で反応が生じ、これによ
り擬似ギャップ効果が生じる。このような擬似ギャップ
効果を低減するために、センダスト薄膜とフェライトコ
アとの間にNi−Fe(パーマロイ)薄膜を下地膜とし
て設ける試みがなされている。しかし、Ni−Fe薄膜
に600℃以上の熱処理を施すと、Niがセンダスト中
に拡散し、透磁率が著しく低下してしまう(日本応用磁
気学会誌13,277-280(1989))。このため、Ni−Fe下
地膜を用いる場合は、溶着温度が600℃以上となるガ
ラスを使用できず、擬似ギャップ効果低減と信頼性およ
び製造歩留り向上とを共に実現することはできなかっ
た。
【0008】また、センダストやFe−SiなどはBS
が高いため、磁気ヘッドの高BS 軟磁性薄膜の材料とし
て有望であるが、これらのFe系材料は結晶磁気異方性
が大きいため、結晶粒径が大きいと異方性分散の影響を
強く受け、良好な軟磁気特性を得ることが困難である。
このため、多層化して結晶粒の成長を抑えることによっ
て軟磁気特性の向上が試みられている。例えば、第14
回日本応用磁気学会学術講演概要集(1990)第43
ページには、Fe−Si/Ni−Fe多層膜に関する報
告が記載されている。同報告のTable 1に示されるよう
に、多層化により結晶粒径が小さくなり、保磁力が減少
して透磁率が向上している。
【0009】しかし、同報告のFig.1に示されるよう
に、300℃以上の温度で熱処理を施すと、結晶粒が成
長し、また、層間において元素が拡散して、透磁率が劣
化している。このため、磁気ヘッドの高BS 軟磁性薄膜
としてこの多層膜を用いる場合、ガラス溶着時の加熱に
より軟磁気特性が劣化し、所期の性能が得られない。
【0010】なお、薄膜磁気ヘッドの磁極層に用いられ
る軟磁性薄膜についても、製造工程における熱処理温度
が高い場合には上記と同様な問題が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、MIG型、DGL型、ED
G型等の各種磁気ヘッドの軟磁性薄膜やその下地膜に好
適な軟磁性薄膜および軟磁性多層膜ならびにこれらの製
造方法と、これらの軟磁性薄膜および/または軟磁性多
層膜を有する磁気ヘッドとを提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(14)の本発明により達成される。 (1)下記式で表わされる原子比組成を有することを特
徴とする軟磁性薄膜。 式 (Ni1-a Feaxyz (上記式においてMは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、
Mo、Hf、TaおよびWから選ばれる1種以上の元素
であり、 40≦x≦98.5、 1≦y≦30、 0.5≦z≦30、 0.03≦a≦0.3、 x+y+z=100 である。)
【0013】(2)さらにCuを含有し、Cuの含有量
が0.5〜15原子%である上記(1)に記載の軟磁性
薄膜。
【0014】(3)さらにOを含有し、Oの含有率が5
原子%以下である上記(1)または(2)に記載の軟磁
性薄膜。
【0015】(4)前記式において、 40≦x≦75、 5≦y≦30、 5≦z≦30 である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の軟磁
性薄膜。
【0016】(5)上記(1)ないし(4)のいずれか
に記載の軟磁性薄膜を製造する方法であって、前記式で
表わされる組成を有する薄膜をスパッタ法により形成し
た後、300〜750℃にて熱処理を施す工程を有する
ことを特徴とする軟磁性薄膜の製造方法。
【0017】(6)上記(1)ないし(4)のいずれか
に記載の軟磁性薄膜と、他の軟磁性薄膜とを、交互に積
層したことを特徴とする軟磁性多層膜。
【0018】(7)前記軟磁性薄膜と前記他の軟磁性薄
膜との間に非磁性薄膜を有する上記(6)に記載の軟磁
性多層膜。
【0019】(8)前記他の軟磁性薄膜が前記軟磁性薄
膜よりも飽和磁束密度が大きい上記(6)または(7)
に記載の軟磁性多層膜。
【0020】(9)上記(1)ないし(4)のいずれか
に記載の軟磁性薄膜と、非磁性薄膜とを、交互に積層し
たことを特徴とする軟磁性多層膜。
【0021】(10)上記(6)ないし(9)のいずれ
かに記載の軟磁性多層膜を製造する方法であって、スパ
ッタ法により多層膜を形成した後、300〜750℃の
温度にて熱処理を施す工程を有することを特徴とする軟
磁性多層膜の製造方法。
【0022】(11)一対のコアを有し、少なくとも一
方のコアのギャップ部に、上記(1)ないし(4)のい
ずれかに記載の軟磁性薄膜および/または上記(6)な
いし(9)のいずれかに記載の軟磁性多層膜が形成され
ていることを特徴とする磁気ヘッド。
【0023】(12)前記軟磁性薄膜上に、前記コアよ
りも飽和磁束密度の高い高飽和磁束密度薄膜が形成され
ている上記(11)に記載の磁気ヘッド。
【0024】(13)作業温度Twが300〜750℃
の溶着ガラスにより前記一対のコアが溶着一体化されて
いる上記(11)または(12)に記載の磁気ヘッド。
【0025】(14)上記(1)ないし(4)のいずれ
かに記載の軟磁性薄膜および/または上記(6)ないし
(9)のいずれかに記載の軟磁性多層膜を磁極層として
有する薄膜磁気ヘッドであることを特徴とする磁気ヘッ
ド。
【0026】
【作用】本発明の軟磁性薄膜は優れた耐熱性を有する。
すなわち、600℃以上の温度で熱処理した場合でも低
保磁力および高透磁率が得られる。このため、本発明の
軟磁性薄膜を磁気ヘッドに適用した場合、ガラス溶着時
の加熱温度を600℃以上とできるので、耐環境性が良
好で強度の高い溶着ガラスが使える。このため、信頼性
が高く製造歩留りの高い磁気ヘッドが実現する。
【0027】また、本発明の軟磁性薄膜を磁気ヘッドの
軟磁性薄膜の下地膜として用いる場合、擬似ギャップ効
果の低減に極めて有効であり、しかも、上記した温度で
熱処理した場合でも擬似ギャップ効果の低減作用は影響
を受けない。
【0028】本発明の軟磁性薄膜を磁気ヘッドに適用す
る場合、組成を選択することによりフェライトコアより
も低いBS とすることも高いBS とすることもできるの
で、DGL型やEDG型の磁気ヘッドの低BS 薄膜に適
用することもEDG型やMIG型などの高BS 薄膜に適
用することもできる。
【0029】本発明の軟磁性多層膜は、上記本発明の軟
磁性薄膜と他の軟磁性薄膜または非磁性薄膜とを積層し
たものである。多層化により本発明の軟磁性薄膜および
積層される他の軟磁性薄膜の結晶粒径を小さくすること
ができるので、優れた軟磁気特性が得られる。そして、
本発明の軟磁性多層膜を磁気ヘッドの軟磁性薄膜に適用
した場合、製造工程において上記したような温度にて熱
処理を施したときに各層間での拡散が殆ど生じないの
で、軟磁気特性が劣化しない。
【0030】なお、本発明の軟磁性薄膜のBS や他の軟
磁性薄膜のBS を選択することにより多層膜のBS を調
整することができるので、様々な用途に適用可能であ
る。
【0031】ところで、特開昭64−48216号公報
には、コアのギャップ部にコアよりもBS の低い合金薄
膜を形成した磁気ヘッド、すなわちDGL型の磁気ヘッ
ドが開示されている。この合金薄膜はFe、Cr、Ni
を含有するものであるが、本発明の組成と異なるため耐
熱性が低い。このため、上記した温度でコアを溶着した
場合、軟磁気特性が著しく劣化してしまい、本発明の効
果は得られない。
【0032】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。 <軟磁性薄膜>本発明の軟磁性薄膜は、下記式で表わさ
れる原子比組成を有する。
【0033】式 (Ni1-a Feaxyz 上記式においてMは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、TaおよびWから選ばれる1種以上の元素で
ある。また、 40≦x≦98.5、 1≦y≦30、 0.5≦z≦30、 0.03≦a≦0.3、 x+y+z=100 である。
【0034】上記組成を有する軟磁性薄膜は、磁気ヘッ
ドの軟磁性薄膜やその下地膜として好適である。
【0035】特に、 75≦x≦98.5、さらに80≦x≦98.5 とすれば、フェライトに比べ高いBS 、例えば0.6T
程度以上、特に0.7T程度以上のBS が得られるの
で、高BS 軟磁性薄膜の下地膜として好適であり、ま
た、下地膜としてではなく高BS 軟磁性薄膜としても用
いることができる。なお、この組成におけるBS は、通
常、0.95T程度以下である。
【0036】また、 40≦x≦75、特に40≦x≦65、 5≦y≦30、 5≦z≦30 とすれば、フェライトに比べ低いBS 、例えば0.6T
程度以下、特に0.45T程度以下のBS が得られるの
で、EDG型やDGL型の磁気ヘッドの低BS 軟磁性薄
膜として好適である。なお、この組成におけるBS は、
通常、0.1T程度以上である。
【0037】以下、組成の限定理由を説明する。Niお
よびFeの合計含有量を表わすxを変更することによ
り、前述したようにBS を変更することができる。ただ
し、xが40未満となるとBS が0.1Tを下回り、十
分な透磁率が得られない。また、xが98.5を超える
と耐熱性が不十分となり、熱処理等により保磁力Hc が
大幅に増加する傾向にある。
【0038】Mの含有量を表わすyを前記範囲とするこ
とにより軟磁気特性が格段と向上し、また、耐熱性が向
上するが、yが5未満となるとMの窒化物が不足して結
晶粒を微細化する効果が不十分となり、特に1未満とな
ると結晶粒径が著しく大きくなってHc が増大してしま
う。また、yが30を超えると、逆に窒化物の過剰生成
によりHc が増大するとともにBS が0.1Tを下回っ
てしまう。
【0039】Nは、主としてMの窒化物の形態で結晶粒
界に存在し、結晶粒の成長を抑制する作用を有する。N
の含有量を表わすzが5未満となると窒化物が不足して
結晶粒成長を抑制する効果が不十分となり、特に0.5
未満となると耐熱性が不十分となる。また、zが30を
超えると、Fe、Ni、Mの窒化物が必要以上に生成さ
れるため良好な軟磁気特性が得られない傾向にある。
【0040】NiとFeの合計中のFeの比率を示すa
が前記範囲を超えると、磁歪定数λs が正方向に大きく
なり、十分な透磁率が得られない。また、aが前記範囲
未満であると、λs が負方向に増大して透磁率が不十分
となる。なお、好ましくは0.05≦a≦0.25であ
る。
【0041】また、本発明の軟磁性薄膜には、Cuが含
有されていてもよい。Cuは主として磁性結晶粒内に存
在し、Hc を下げ透磁率を上昇させる効果を示す。Cu
の含有量は、軟磁性薄膜全体の0.5〜15原子%とす
ることが好ましい。含有量が前記範囲未満となると添加
による効果が小さくなり、前記範囲を超えると十分な軟
磁気特性が得られなくなる。
【0042】また、本発明の軟磁性薄膜には、O(酸
素)が含有されていてもよい。Oの含有により、さらに
熱安定性が向上する。Oの含有量は軟磁性薄膜全体の5
原子%以下とすることが好ましい。含有量が前記範囲を
超えるとHc が増大してしまう。
【0043】なお、軟磁性薄膜の組成は、例えば、Elec
tron Probe Micro Analysis (EPMA)法により測定すれば
よい。
【0044】また、軟磁性薄膜の膜厚は用途等に応じて
適宜選択すればよいが、通常、0.1〜20μm 程度で
ある。
【0045】本発明の軟磁性薄膜は、例えば膜厚1〜5
μm 程度の場合、300℃以上の熱処理により下記の特
性が得られる。 保磁力Hc (50Hz):160A/m 程度以下 初透磁率μi (5MHz):1000程度以上
【0046】特に、600〜700℃程度の熱処理を施
した場合には、下記の特性が得られる。 保磁力Hc (50Hz):1〜80A/m 程度 初透磁率μi (5MHz):1000〜5000程度 なお、直流での飽和磁束密度BS は、0.1〜0.95
T程度である。
【0047】<軟磁性薄膜の製造方法>本発明の軟磁性
薄膜を成膜するには、蒸着法、スパッタ法、イオンプレ
ーティング法、CVD法等の各種気相法を用いればよ
い。これらのうち特にスパッタ法を用いることが好まし
く、例えば以下のように成膜すればよい。
【0048】ターゲットには、合金鋳造体、焼結体、多
元ターゲット等を用いる。そして、Ar等の不活性ガス
雰囲気下でスパッタを行なう。また、窒素含有雰囲気中
で反応性スパッタを行なう場合には、ターゲットの組成
は前述の式においてNが含有されないものとほぼ同一と
すればよい。また、反応性スパッタは、Ar中にN2
0.5〜20体積%、特に1〜15体積%含有する雰囲
気下で行なうことが好ましい。スパッタの方式および使
用するスパッタ装置に特に制限はなく、通常のものを用
いればよい。なお、動作圧力は通常0.1〜1.0 Pa
程度とすればよい。スパッタ投入電圧や電流等の諸条件
は、スパッタ方式等に応じ適宜決定すればよい。
【0049】成膜後は、軟磁性薄膜に熱処理を施すこと
が好ましい。本発明の軟磁性薄膜は、厚さによっても異
なるが、通常、反応性スパッタによりアモルファス状の
薄膜として形成される。これに熱処理を施すことによ
り、X線回折チャートにはNi−Fe(111)面のピ
ーク、Ni−Fe(200)面のピークないしNi−F
e−M由来のピーク{例えば、Ni−Fe−Crの(1
11)、(200)、(220)など}およびMの窒化
物由来のピークが出現し、優れた軟磁気特性が得られ
る。
【0050】熱処理は、下記の条件にて行なうことが好
ましい。 昇温速度:2〜8℃/分程度 保持温度:300〜750℃、特に500〜700℃程
度 温度保持時間:10〜60分程度 冷却速度:2〜8℃/分程度 なお、雰囲気はAr等の不活性ガスでよい。前記条件に
て熱処理を行なうことにより、より一層優れた軟磁気特
性が得られる。
【0051】<軟磁性多層膜>本発明の軟磁性多層膜
は、上記した本発明の軟磁性薄膜と、他の軟磁性薄膜お
よび/または非磁性薄膜とを交互に積層した構成を有す
る。本発明の軟磁性多層膜は、MIG型やEDG型磁気
ヘッドの高BS 軟磁性薄膜に適用することが好ましい
が、EDG型やDGL型磁気ヘッドの低BS 軟磁性薄膜
に適用することもできる。
【0052】磁気ヘッドの高BS 軟磁性薄膜に適用する
場合、前記他の軟磁性薄膜には、本発明の軟磁性薄膜よ
りもBS の高いものを用いることが好ましい。このよう
な軟磁性薄膜としては、Fe、CoおよびNiから選ば
れる1種以上を含有する合金薄膜、例えば、Fe系、F
e−Co系、Fe−Co−Ni系合金薄膜などが挙げら
れる。これらの合金薄膜では1.0〜2.4T程度のB
S が得られるが、異方性の分散の影響により優れた軟磁
性を得ることは難しい。しかし、本発明の軟磁性薄膜と
積層することにより薄層化できて結晶粒径を小さくでき
るので、優れた軟磁性が得られる。
【0053】軟磁性多層膜を高BS 軟磁性薄膜に適用す
る場合には、多層膜中の本発明の軟磁性薄膜の組成を、
前記した式において 75≦x≦98.5 の範囲から選択することが好ましい。
【0054】なお、本発明の軟磁性薄膜に積層される他
の軟磁性薄膜は、1種に限らない。すなわち、前記他の
軟磁性薄膜として、組成の相異なる2種以上のものを用
いてもよい。また、本発明の軟磁性薄膜についても、前
記した本発明の組成内であれば、2種以上の組成を用い
てもよい。
【0055】軟磁性多層膜中における本発明の軟磁性薄
膜の厚さと他の軟磁性薄膜の厚さとの比は特に限定され
ないが、高BS 軟磁性薄膜に適用する場合、本発明の軟
磁性薄膜の膜厚d1 と、他の軟磁性薄膜の膜厚d2 との
比d1 /d2 は、10以下、特に0.1〜10、さらに
0.5〜10が好ましい。d1 /d2 が前記範囲を超え
ると、BS を向上させる他の軟磁性薄膜の効果が十分に
発現しない傾向にあり、前記範囲未満では良好な軟磁気
特性が得られず、耐熱性も低下する傾向にある。
【0056】なお、前記他の軟磁性薄膜の膜厚は、0.
1μm 以下、特に0.005〜0.1μm であることが
好ましい。厚さが前記範囲を超えると、成膜時あるいは
熱処理時に膜の結晶粒が大となり、軟磁気特性が劣化す
る傾向にある。
【0057】軟磁性多層膜の積層数は特に限定されな
い。すなわち、本発明の軟磁性薄膜および他の軟磁性薄
膜がそれぞれ1層以上であればよく、目的や用途等に応
じて積層数を適宜決定すればよいが、作業性等の点か
ら、各軟磁性薄膜それぞれの積層数は、通常は3〜50
層程度とすることが好ましい。
【0058】また、軟磁性多層膜の全厚にも特に制限は
なく、目的や用途等に応じて適宜決定すればよいが、通
常は0.1〜30μm 程度とすることが好ましい。
【0059】なお、軟磁性多層膜を構成する各薄膜は、
作業性等の点から通常は同じ膜厚で積層されるが、場合
によっては膜厚は互いに異なっていてもよく、この場
合、異なる膜厚の薄膜が規則的に積層されていてもよ
い。膜厚が異なる場合、本発明の軟磁性薄膜の全厚D1
と、他の軟磁性薄膜の全厚D2 との比D1 /D2 は、B
S向上等の点から10以下、特に0.1〜10、さらに
0.5〜10が好ましい。
【0060】また、本発明の軟磁性薄膜と他の軟磁性薄
膜との間には、非磁性薄膜を設けてもよい。この場合、
非磁性薄膜は全ての膜間に形成してもよく、場合によっ
ては必要とされる膜間のみに形成してもよい。非磁性薄
膜を介在させることにより軟磁性多層膜の透磁率が向上
し、しかもその周波数特性が向上する。従って、軟磁性
多層膜を磁気ヘッドに適用した場合、記録再生出力、周
波数特性等の電磁変換特性が向上する。
【0061】使用する非磁性薄膜に特に制限はなく、従
来、軟磁性多層膜に使用されている各種非磁性薄膜、例
えば、C、NおよびOから選ばれる1種以上を含有する
非磁性薄膜を用いればよい。具体的には、金属、半金属
および半導体の1種以上から選択される元素の炭化物、
窒化物、酸化物、またはこれらの混合物を含有する非磁
性薄膜を用いればよい。この場合、炭化物、窒化物、酸
化物は、化学量論組成であっても、それから偏奇してい
てもよい。非磁性薄膜に用いる金属元素、半金属元素お
よび半導体元素としては、Mg、Ca、Y、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、
B、Al、Ga、Si等が好ましい。
【0062】このような非磁性薄膜の膜厚は、用途等に
応じて適宜決定すればよいが、通常は0.001〜0.
1μm 程度である。
【0063】本発明の軟磁性多層膜は、積層される他の
軟磁性薄膜の特性や熱処理条件によっても異なるが、通
常、下記の磁気特性を有する。 保磁力Hc (50Hz):160A/m 程度以下 初透磁率μi (5MHz):1200程度以上 直流での飽和磁束密度BS :1.0〜2.0T程度
【0064】また、本発明の軟磁性薄膜と他の軟磁性薄
膜との間に非磁性薄膜を介在させることにより、BS
上記と同等のまま、初透磁率μi (5MHz )が20%程
度向上し、また、高周波におけるμi が向上する。
【0065】本発明では、前記他の軟磁性薄膜を設け
ず、非磁性薄膜を介して本発明の軟磁性薄膜だけを積層
した軟磁性多層膜としてもよい。このような軟磁性多層
膜は、磁気ヘッドの低BS 軟磁性薄膜に好適である。そ
して、このような多層膜とすることにより、上記した多
層膜と同様に透磁率が向上し、その周波数特性も向上す
る。この場合、本発明の軟磁性薄膜の組成は、前記した
式において 40≦x≦75 の範囲から選択することが好ましい。
【0066】この場合の軟磁性薄膜の厚さは、用途等に
応じて適宜決定すればよいが、通常は0.01〜5μm
程度とすることが好ましい。軟磁性薄膜の厚さが前記範
囲未満となると均質な膜の形成が困難となり、前記範囲
を超えると多層膜としたことによる効果が不十分とな
る。また、この場合の非磁性薄膜の厚さは、通常、0.
001〜0.1μm 程度とすることが好ましい。非磁性
薄膜の厚さが前記範囲未満となると非磁性薄膜を設けた
ことによる効果が不十分となり、前記範囲を超えるとH
c の増大をもたらす。また、軟磁性薄膜の膜厚d1 と非
磁性薄膜の膜厚d3 との比d1 /d3 は、0.5〜5
0、特に1〜20とすることが好ましい。d1 /d3
前記範囲未満となるとHc の増大を招き、前記範囲を超
えると非磁性薄膜を設けたことによる効果が不十分とな
る。
【0067】なお、この場合の軟磁性多層膜の全厚、各
薄膜の積層数などは、前記した軟磁性多層膜と同様にし
て決定すればよい。
【0068】また、軟磁性多層膜の磁気特性は、上記し
た軟磁性薄膜と同様にして測定すればよい。
【0069】<軟磁性多層膜の製造方法>多層膜中の本
発明の軟磁性薄膜は、上記した方法により形成すればよ
い。また、前記他の軟磁性薄膜を成膜するには、蒸着
法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法等
の各種気相法を用いればよく、特にスパッタ法を用いる
ことが好ましい。非磁性薄膜を成膜するには、蒸着法、
スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法等の各
種気相法を用いればよい。
【0070】また、軟磁性多層膜形成後、上記した本発
明の軟磁性薄膜と同様な熱処理を施すことが好ましい。
【0071】<磁気ヘッド>本発明の磁気ヘッドは、本
発明の軟磁性薄膜および/または本発明の軟磁性多層膜
が、コアのギャップ部に形成されている磁気ヘッドであ
る。このような磁気ヘッドとしては、前述したMIG
型、EDG型およびDGL型の磁気ヘッドが挙げられ
る。
【0072】本発明の磁気ヘッドの好適実施例を、図1
〜図4に示す。図1に示される磁気ヘッドは、第1コア
1と、ギャップ部対向面に軟磁性薄膜4が形成されてい
る第2コア2とを有し、両コアがギャップ5を介して接
合され、溶着ガラス3により溶着一体化されている。
【0073】図2に示される磁気ヘッドは、軟磁性薄膜
4を、第1コア1および第2コア2のそれぞれのギャッ
プ部対向面に形成したタイプのものである。
【0074】図3および図4にそれぞれ示される磁気ヘ
ッドは、図1および図2にそれぞれ示される磁気ヘッド
の軟磁性薄膜4と第2コア2との間に、下地膜41を設
けた構成の磁気ヘッドである。
【0075】図1に示される構成の磁気ヘッドは、DG
L型またはMIG型の磁気ヘッドとして用いられるもの
であり、軟磁性薄膜4には本発明の軟磁性薄膜または軟
磁性多層膜を用いる。DGL型の磁気ヘッドでは、軟磁
性薄膜4はコアよりもBS の低い低BS 軟磁性薄膜であ
る。また、MIG型の磁気ヘッドでは、軟磁性薄膜4は
コアよりもBS の高い高BS 軟磁性薄膜である。
【0076】図2に示される構成の磁気ヘッドは、ED
G型またはMIG型の磁気ヘッドとして用いられるもの
であり、少なくとも一方の軟磁性薄膜4に本発明の軟磁
性薄膜または軟磁性多層膜を用いる。EDG型の磁気ヘ
ッドでは、一方の軟磁性薄膜4が高BS 軟磁性薄膜であ
り、他方の軟磁性薄膜4が低BS 軟磁性薄膜である。ま
た、MIG型の磁気ヘッドでは、両方の軟磁性薄膜4が
高BS 軟磁性薄膜である。
【0077】図1および図2にそれぞれ示される磁気ヘ
ッドに本発明を適用する場合、本発明の軟磁性薄膜およ
び軟磁性多層膜は、低BS 軟磁性薄膜としても高BS
磁性薄膜としても適用可能であるが、従来、耐熱性の良
好な低BS 軟磁性薄膜が知られていないことから、特に
低BS 軟磁性薄膜に本発明の軟磁性薄膜または軟磁性多
層膜を適用することが好ましい。この場合、高BS 軟磁
性薄膜としては、耐熱性が良好で、フェライトなどのコ
ア材よりも高いBS が得られる材質とすることが好まし
く、具体的には、Fe−Al−Si合金(センダス
ト)、Fe−Al−Si−Ni合金(スーパーセンダス
ト)などが好ましい。また、高BS 軟磁性薄膜として、
本発明の軟磁性薄膜とセンダスト等の高BS 材を積層し
た多層膜を用いれば、高いBS が得られ、しかも良好な
周波数特性が得られ、さらに、コアとの境界における擬
似ギャップ効果を低減することができる。
【0078】図1および図2に示される磁気ヘッドにお
いて、軟磁性薄膜4の膜厚は、好ましくは0.2〜10
μm 、より好ましくは0.5〜5μm である。高BS
磁性薄膜において膜厚が前記範囲未満であると、体積が
不足して飽和し易くなり、強力な磁界を印加するという
機能が不十分となる。また、高BS 軟磁性薄膜において
膜厚が前記範囲を超えると、特に単層膜の場合、渦電流
損失が大きくなり、高周波特性が不十分となる。一方、
低BS 軟磁性薄膜において膜厚が前記範囲未満である
と、記録時と再生時の有効ギャップ長の差が小さくなり
過ぎ、DGL型やEDG型の磁気ヘッドとしての機能が
不十分となる。また、低BS 軟磁性薄膜において膜厚が
前記範囲を超えると、渦電流損失が大きくなり、また、
記録時と再生時の有効ギャップ長の差が大きくなり過ぎ
るため好ましくない。
【0079】図3および図4にそれぞれ示される磁気ヘ
ッドの下地膜41は、擬似ギャップ効果を低減するため
に設けられる。この場合、高BS 軟磁性薄膜には、高B
S で耐熱性も良好ではあるが擬似ギャップ効果が問題と
なる高BS 材、例えば、Fe−Al−Si合金(センダ
スト)、Fe−Al−Si−Niなどを用い、この高B
S 軟磁性薄膜とコアとの間に下地膜41を設ける。一
方、低BS 軟磁性薄膜には、本発明の軟磁性薄膜または
軟磁性多層膜を用いればよい。この場合、図3に示され
る磁気ヘッドはMIG型の磁気ヘッドであり、図4に示
される磁気ヘッドはEDG型の磁気ヘッドである。な
お、両方のコアに高BS 軟磁性薄膜を有するMIG型磁
気ヘッドの場合、下地膜も両方のコアに設ける。
【0080】下地膜41の厚さは、通常、0.003〜
0.1μm 、特に0.005〜0.05μm とすること
が好ましい。厚さが前記範囲未満であると下地膜として
の効果が不十分であり、前記範囲を超えると高BS 軟磁
性薄膜の体積が不十分となってしまう。
【0081】本発明において、各コアはフェライトから
構成されることが好ましい。この場合、用いるフェライ
トに特に制限はないが、Mn−ZnフェライトまたはN
i−Znフェライトを目的に応じて用いることが好まし
い。Mn−Znフェライトとしては、Fe23 50〜
60モル%程度、ZnO 8〜25モル%程度、残部が
実質的にMnOのものが好ましい。また、Ni−Znフ
ェライトは特に高周波領域において優れた特性を示すも
のであり、好ましい組成としては、Fe23が30〜
60モル%、NiOが15〜50モル%、ZnOが5〜
40モル%程度のものである。
【0082】各コアの直流での飽和磁束密度BS は、好
ましくは0.3〜0.6Tとする。飽和磁束密度が前記
範囲未満であると、オーバーライト特性が低下する他、
このような飽和磁束密度の組成では、キュリー温度が低
くなるため熱的安定性が低下してしまう。前記範囲を超
えると、磁歪が増加して磁気ヘッドとしての特性が悪化
したり、着磁し易くなる。
【0083】各コアの直流での初透磁率μi は1,00
0以上、保磁力Hc は0.3 Oe 以下であることが好ま
しい。
【0084】また、各コアのギャップ部対向面は、鏡面
研磨等により平滑化し、軟磁性薄膜4や下地膜41等が
形成され易いようにすることが好ましい。
【0085】ギャップ5は、非磁性材質から構成され
る。ギャップ5には、接着強度を高めるため接着ガラス
を用いることが好ましく、例えば、特願平1−7150
6号等に示されるガラスが好適である。また、ギャップ
5は接着ガラスのみで構成されていてもよいが、ギャッ
プ形成速度やギャップ強度を高めるため、図示のように
ギャップ51とギャップ53との2層で構成されること
が好ましい。この場合、ギャップ51にはSiO2 を用
い、ギャップ53には接着ガラスを用いることが好まし
い。なお、後述する溶着ガラス3が、ギャップ両サイド
に流れ込むタイプの磁気ヘッドの場合は、ギャップ5を
酸化ケイ素のみで構成してもよい。ギャップ5の形成方
法には特に制限はないが、スパッタ法を用いることが好
ましい。ギャップ長は、通常0.2〜2.0μm 程度で
ある。
【0086】本発明の磁気ヘッドは、図1〜図4に示さ
れるように、第1コア1と第2コア2とが、ギャップ5
を介して接合一体化されているものである。
【0087】コアの接合は、通常、ギャップ53の接着
ガラスにより熱圧着すると同時に溶着ガラス3を流し込
むことにより行なう。用いる溶着ガラス3の作業温度T
wは300〜750℃、特に600〜700℃程度であ
ることが好ましく、この場合、ガラス溶着時の保持温度
は300〜750℃、特に600〜700℃程度とな
る。なお、作業温度Twとは、周知のようにガラスの粘
度が104 poise となる温度である。
【0088】本発明の磁気ヘッドでは、軟磁性薄膜4に
耐熱性の高い本発明の軟磁性薄膜や軟磁性多層膜を用い
るため、このようなTwのガラスを用いて溶着しても、
軟磁性薄膜4の保磁力Hc は前記した範囲に保持され
る。このため、鉛やアルカリ金属などの含有量が少ない
溶着ガラスを用いることができるので、耐環境性が良好
で機械的強度も高い磁気ヘッドが実現する。
【0089】本発明の軟磁性薄膜および軟磁性多層膜に
は、前述したような熱処理が施されることが好ましい
が、溶着時の加熱を前述した熱処理の替わりとすること
ができるので、工数の減少が可能である。
【0090】本発明の磁気ヘッドは、いわゆるラミネー
トタイプやバルクタイプ等のトンネルイレーズ型、ある
いはイレーズヘッドを有しないリードライト型などのオ
ーバーライト記録を行なうフロッピーヘッド、モノリシ
ックタイプやコンポジットタイプの浮上型の計算機用ヘ
ッド、回転型のVTR用ヘッドやR−DAT用ヘッドな
どの各種磁気ヘッドとして用いられる。
【0091】<薄膜磁気ヘッド>図5に、本発明の好適
実施例である浮上型の薄膜磁気ヘッドを示す。図5に示
される薄膜磁気ヘッドは、スライダ7上に、絶縁層8
1、下部磁極層91、ギャップ層10、絶縁層83、コ
イル層11、絶縁層85、上部磁極層95および保護層
12を順次有する。
【0092】スライダ7の構成材料としては、従来公知
の種々のものを用いればよく、例えばセラミックス、フ
ェライト等により構成すればよい。この場合、セラミッ
クス、特にAl23 −TiCを主成分とするセラミッ
クス、ZrO2 を主成分とするセラミックス、SiCを
主成分とするセラミックスまたはAlNを主成分とする
セラミックスが好適である。なお、これらには、添加物
としてMg、Y、ZrO2 、TiO2 等が含有されてい
てもよい。スライダ7の形状やサイズ等の諸条件は公知
の何れのものであってもよく、用途に応じ適宜選択され
る。
【0093】スライダ7上には、絶縁層81が形成され
る。絶縁層81の材料としては従来公知のものは何れも
使用可能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法により
行なうときには、SiO2 、ガラス、Al23 等を用
いることができる。絶縁層81の膜厚やパターンは公知
の何れのものであってもよく、例えば膜厚は、5〜40
μm 程度とする。
【0094】磁極は、通常、図示のように、下部磁極層
91と上部磁極層95として設けられる。本発明では、
下部磁極層91および/または上部磁極層95に、本発
明の軟磁性薄膜または軟磁性多層膜を用いる。下部磁極
層91および上部磁極層95のパターン、膜厚等は公知
のいずれのものであってもよい。例えば両磁極層の厚さ
は1〜5μm 程度とすればよい。
【0095】下部磁極層91および上部磁極層95の間
にはギャップ層10が形成される。ギャップ層10に
は、Al23 、SiO2 等公知の種々の材料を用いれ
ばよい。また、ギャップ層10のパターン、膜厚等は公
知の何れのものであってもよく、例えば、膜厚は0.2
〜1.0μm 程度とすればよい。
【0096】コイル層11の材質には特に制限はなく、
通常用いられるAl、Cu等の金属を用いればよい。コ
イルの巻回パターンや巻回密度についても制限はなく、
公知のものを適宜選択使用すればよい。例えば巻回パタ
ーンについては、図示のスパイラル型の他、積層型、ジ
グザグ型等何れであってもよい。また、コイル層11の
形成にはスパッタ法等の各種気相被着法やめっき法等を
用いればよい。図示例ではコイル層11は、いわゆるス
パイラル型としてスパイラル状に上部および下部磁極層
91、95間に配設されており、コイル層11と上部お
よび下部磁極層91、95間には絶縁層83、85が設
層されている。
【0097】絶縁層83、85の材料としては従来公知
のものは何れも使用可能であり、例えば、薄膜作製をス
パッタ法により行なうときには、SiO2、ガラス、A
23 等を用いることができる。
【0098】また、上部磁極層95上には保護層12が
設層される。保護層12の材料としては従来公知のもの
は何れも使用可能であり、例えばAl23 等を用いる
ことができる。この場合、保護層12のパターンや膜厚
等は従来公知のものはいずれも使用可能であり、例えば
膜厚は10〜50μm 程度とすればよい。
【0099】なお、本発明ではさらに各種樹脂コート層
等を積層してもよい。
【0100】このような薄膜磁気ヘッドの製造工程は、
通常、薄膜作製とパターン形成とによって行なわれる。
各層の薄膜作製には、上記したように、従来公知の技術
である気相被着法、例えば真空蒸着法、スパッタ法、あ
るいはめっき法等を用いればよい。薄膜磁気ヘッドの各
層のパターン形成は、従来公知の技術である選択エッチ
ングあるいは選択デポジションにより行なうことができ
る。エッチングには、各種のウエットエッチングやドラ
イエッチングを利用すればよい。
【0101】本発明の薄膜磁気ヘッドは、アーム等の従
来公知のアセンブリーと組み合わせて使用される。
【0102】なお、本発明の軟磁性薄膜や軟磁性多層膜
で構成される磁極層に施される前述した熱処理は、絶縁
層や保護層の形状加工の際のフォトリソグラフィー工程
中のレジスト加熱処理(300〜400℃程度)で代用
することができる。また、絶縁層や保護層の形成をスパ
ッタ法により行なう場合、プラズマや基板加熱により磁
極層を200〜400℃程度の温度にまで昇温できるの
で、これを前記熱処理に代えることもできる。本発明の
軟磁性薄膜および軟磁性多層膜は、この程度の温度で熱
処理した場合でも、良好な軟磁気特性が得られる。
【0103】本発明の軟磁性薄膜および軟磁性多層膜
は、上記した各種磁気ヘッドのほかにも、薄膜インダク
タ等の各種軟磁性部品等に適用することができる。
【0104】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。 [実施例1] <軟磁性薄膜における熱処理温度と磁気特性との関係>
{(Ni0.84Fe0.1660.7(Mo0.08Zr0.54Cr
0.3818.720.60.92 5 Cu0.075 (原子比)の組成
を有し、厚さが1μm である軟磁性薄膜No. 1を、結晶
化ガラス基板上にスパッタ法を用いて作製した。スパッ
タターゲットには、Ni80Fe20(原子比)合金ターゲ
ットにMo、Zr、CrおよびCuの各チップを貼り付
けた複合ターゲットを用い、N2 を6体積%含有するA
r雰囲気下でスパッタを行なった。動作圧力は、0.7
Pa とした。なお、組成分析にはEPMAを用いた。
【0105】この軟磁性薄膜No. 1に熱処理を施し、熱
処理温度と50Hzにおける保磁力Hc および5MHz にお
ける初透磁率μi との関係を調べた。なお、熱処理時間
は1時間とした。この結果を下記表1に示す。また、直
流での飽和磁束密度BS を測定した。なお、BS 測定に
はVSMを、Hc 測定にはB−Hトレーサを、μi 測定
には8の字コイル透磁率測定器(印加磁界5 mOe)を用
いた。
【0106】また、(Ni0.874 Fe0.12686.8(M
0.242 Cr0.75813.2(原子比)の組成を有する厚
さ1μm の比較用軟磁性薄膜No. 10をスパッタ法によ
り形成し、これについても同様な測定を行なった。この
結果を下記表2に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】表1に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、600〜700℃で熱処理し
た場合、Hc =10〜18A/m 、μi =2300〜27
00であり、優れた軟磁気特性が得られている。また、
S は0.32Tであり、磁気ヘッド用の低BS 軟磁性
薄膜に好適であった。
【0110】一方、表2に示される比較用軟磁性薄膜で
は、BS は0.42Tであったが、熱処理温度が550
℃を上回ると急激にHc が増加してμi が低下し、軟磁
性薄膜としての使用に耐えないものであった。
【0111】<組成限定による効果>上記軟磁性薄膜N
o. 1に準じて、下記表3に示される組成を有する軟磁
性薄膜を作製した。厚さは上記軟磁性薄膜No. 1と同じ
とした。これらの軟磁性薄膜について、BS 、Hc およ
びμi を測定した。ただし、Hc およびμi は、熱処理
温度600〜700℃(温度保持時間1時間)における
最大のHc および最小のμi を示す。なお、表3には、
上記軟磁性薄膜No. 1および10も併記する。
【0112】
【表3】
【0113】表3に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、本発明の軟磁性薄膜は、60
0℃以上の温度で熱処理を施した場合でも優れた軟磁気
特性を示し、また、フェライトコアのBS (通常、0.
35〜0.60T程度)よりも低いBS および高いBS
が任意に得られる。このため、磁気ヘッドの低BS 軟磁
性薄膜および高BS 軟磁性薄膜に適用することができ
る。一方、本発明の組成範囲を外れた場合、耐熱性が不
十分となり、高温で熱処理したときの軟磁気特性が不十
分となっている。
【0114】なお、表3に示される組成において、Mと
して他の元素を用いた場合、あるいは他のMを併用した
場合でも、表3に示される磁気特性とほぼ同等の磁気特
性が得られた。
【0115】軟磁性薄膜No. 9のスパッタ直後のX線回
折チャートと、650℃にて1時間熱処理後のX線回折
チャートとを、図6に示す。図6から、スパッタ直後で
はほぼアモルファス状態であるが、熱処理によりNi−
Fe(111)ピーク、Ni−Fe(200)ピークお
よびZr−N(200)ピークが出現することがわか
る。
【0116】また、表1に示される本発明の軟磁性薄膜
を透過型電子顕微鏡により観察したところ、結晶粒径が
30nm以下の微細な結晶粒の集合体であることが確認さ
れた。
【0117】<FDD用EDG型磁気ヘッド>図2に示
されるような、第1コア1および第2コア2のそれぞれ
のギャップ部対向面に軟磁性薄膜4を有するFDD用E
DG型磁気ヘッドを作製した。第1コア1側の軟磁性薄
膜4を低BS 軟磁性薄膜とし、第2コア2側の軟磁性薄
膜4を高BS 軟磁性薄膜とした。
【0118】各コアの材質はMn−Znフェライト(B
s =0.5T、μi =3000、Hc =8A/m )とし
た。
【0119】低BS 軟磁性薄膜4の形成方法および組成
は、上記軟磁性薄膜No. 1と同じとした。ただし、熱処
理は施さなかった。また、膜厚は1μm とした。
【0120】高BS 軟磁性薄膜は、厚さ2μm のセンダ
スト(Bs =1.1T、μi =1500、Hc =31A/
m )とし、スパッタ法により形成した。
【0121】ギャップ51にはSiO2 を用い、スパッ
タ法により形成し、その膜厚は0.3μm とした。ギャ
ップ53には、作業温度Twが800℃の接着ガラスを
用いた。なお、ギャップ53はスパッタ法により形成
し、その膜厚は0.1μm とした。
【0122】溶着ガラス3の組成は、重量比で SiO2 :27.0、 B23 :2.0、 PbO:59.0、 Al23 :2.0、 ZnO:4.0、 Na2 O:6.0 であり、作業温度Twは690℃であった。そして、7
00℃にて1時間溶着を行なった。
【0123】溶着後の低BS 軟磁性薄膜の磁気特性は、
s =0.32T、μi =2420、Hc =15.9A/
m であり、低BS 軟磁性薄膜として好適なBS と、良好
な軟磁気特性が得られた。なお、この磁気特性は、前記
した基板上に磁気ヘッド作製の際と同条件で軟磁性薄膜
を形成し、ガラス溶着の際の熱処理と同条件の熱処理を
施したものについて測定されたものである。
【0124】また、このEDG型磁気ヘッドのオーバー
ライト特性は−40dB以下であり、十分な性能が得られ
た。オーバーライト特性とは、1.25MHz の1f信号
を記録し、次いでこの上から2.5MHz の2f信号を重
ね書きしたときの、2f信号の出力に対する1f信号の
出力である。なお、記録は最適記録電流付近で行ない、
また、フロッピーディスクはHc 1500 Oe のものを
用いた。
【0125】また、このEDG型磁気ヘッドは、作業温
度Twが550℃以下である従来の溶着ガラスを用いた
磁気ヘッドに比べ、歩留りが10%以上向上した。
【0126】なお、表3に示される本発明の他の組成の
軟磁性薄膜を用いた場合でも、ほぼ同等の結果が得られ
た。
【0127】また、上記各軟磁性薄膜を、DGL型磁気
ヘッドの低BS 軟磁性薄膜として用いた場合にも、上記
EDG型磁気ヘッドと同様に良好な特性が得られ、ま
た、歩留りが向上した。
【0128】<HDD用MIG型磁気ヘッド>図3に示
される構成のHDD用MIG型磁気ヘッドを作製した。
コアおよび高BS 軟磁性薄膜には、実施例1で作製した
磁気ヘッドと同じフェライトおよびセンダストを用い、
コアと高BS 軟磁性薄膜との間には、下地膜を設けた。
下地膜は、実施例1において作製した軟磁性薄膜No. 8
と同様な方法で形成し、組成も同じとした。また、厚さ
は0.05μm とした。そして、溶着時の熱処理条件は
700℃にて1時間とした。このMIG型磁気ヘッドを
スライダと一体化し、コンポジットタイプの浮上型磁気
ヘッドとした。この磁気ヘッドにより、3.5インチの
ハードディスク(Hc 1500 Oe 、3600rpm)に
0.5MHz で記録を行なった。その孤立再生波形を図7
に示す。
【0129】また、比較のために、下地膜をNi80.8
19.2(原子比)に替えたMIG型磁気ヘッドを作製し
た。ガラス溶着時の熱処理条件は、700℃にて1時間
とした。この磁気ヘッドによる孤立再生波形を、図8に
示す。
【0130】図7と図8との比較から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、本発明の軟磁性薄膜を下地膜
として用いた磁気ヘッドでは、擬似ギャップに起因する
副パルスの主パルスに対する割合(高さの比)が2%以
下であるのに対し、Ni−Feを下地膜として用いた磁
気ヘッドでは、主パルスに対する副パルスの割合が約1
0%と著しく大きい。
【0131】なお、表3に示される本発明の他の組成の
軟磁性薄膜を下地膜として用いた場合でも、ほぼ同等の
結果が得られた。
【0132】[実施例2] <2種の軟磁性薄膜を積層した多層膜>結晶化ガラス基
板上に、厚さ0.025μm の本発明の第1の軟磁性薄
膜と、厚さ0.025μm の高BS の第2の軟磁性薄膜
とをスパッタ法により交互にそれぞれ10層ずつ積層し
た後、600℃で1時間熱処理を行なって、軟磁性多層
膜No. 1を作製した。
【0133】第1の軟磁性薄膜 組成:(Ni0.798 Fe0.20280.1Zr14.05.9 (原子比) BS :0.75T
【0134】第2の軟磁性薄膜 組成:Fe94.8Si5.2 (原子比) BS :2.05T
【0135】この軟磁性多層膜No. 1について、上記し
た軟磁性薄膜と同様にして特性を測定した。この結果、
s =1.5T、μi=1800、Hc =56A/m であ
った。また、第2の軟磁性薄膜の平均結晶粒径は160
A であった。
【0136】比較のために、膜厚0.5μm の第2の軟
磁性薄膜のみからなる単層膜の特性を測定したところ、
s =2.05T、μi=550、Hc =720A/m 、
平均結晶粒径370A であった。これらの結果から、多
層化による効果が明らかである。
【0137】なお、平均結晶粒径は、X線回折パターン
の主ピークの半値幅から算出した。
【0138】<2種の軟磁性薄膜と非磁性薄膜とを積層
した多層膜>軟磁性多層膜No. 1において、第1の軟磁
性膜と第2の軟磁性薄膜との間に、スパッタ法により膜
厚0.03μm の非磁性薄膜(SiO2 )を設けた軟磁
性多層膜No. 2を作製した。軟磁性多層膜No. 2の初透
磁率の周波数特性は軟磁性多層膜No. 1より良好であっ
た。具体的には、5MHz における初透磁率が軟磁性多層
膜No. 1に対し15%向上し、また、軟磁性多層膜No.
1では10MHz における初透磁率が5MHz よりも20%
低下したのに対し、軟磁性多層膜No.2における低下率
は10%であった。
【0139】<軟磁性薄膜と非磁性薄膜とを積層した多
層膜>厚さを0.05μm とした上記第1の軟磁性薄膜
を、厚さ0.01μm の非磁性薄膜(SiO2 )を介し
て10層積層し、軟磁性多層膜No. 3を作製した。この
軟磁性多層膜No. 3は、第1の軟磁性薄膜だけからなる
同じ厚さの単層膜に比べ、初透磁率およびその周波数特
性が良好であった。具体的には、5MHz における初透磁
率が10%向上し、また、単層膜では10MHz における
初透磁率が5MHz よりも25%低下したのに対し、多層
膜における低下率は15%であった。
【0140】なお、上記各軟磁性多層膜に用いた非磁性
薄膜を、ZrN、BN、Si34、ZrO2 、Al2
3 、SiC、B4 C、TiC、ZrC等に替えた場合
でも、上記とほぼ同等の結果が得られた。
【0141】上記各軟磁性多層膜を用いて、各種磁気ヘ
ッドを作製したところ、良好な記録再生特性が得られ、
特に高周波特性が良好であった。また、軟磁性多層膜N
o. 1およびNo. 2を薄膜磁気ヘッドの磁極層に適用し
た場合にも、良好な記録再生特性が得られた。以上の実
施例から、本発明の効果が明らかである。
【0142】
【発明の効果】本発明の軟磁性薄膜は優れた耐熱性を有
するので、磁気ヘッド製造の際のガラス溶着時の保持温
度を600℃以上と高くできる。このため、耐環境性が
良好で機械的強度の高い溶着ガラスが使え、信頼性が高
く製造歩留りの高い磁気ヘッドが実現する。
【0143】また、本発明の軟磁性薄膜を、磁気ヘッド
の軟磁性薄膜の下地膜として用いることにより、擬似ギ
ャップ効果を著しく低減することができる。
【0144】本発明の軟磁性多層膜では、上記本発明の
軟磁性薄膜と他の軟磁性薄膜または非磁性薄膜とを積層
することにより、各軟磁性薄膜の結晶粒径を小さくする
ことができ、優れた軟磁気特性が得られる。そして、上
記温度でガラス溶着した場合でも層間で拡散が殆ど生じ
ないので、軟磁気特性の劣化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】軟磁性薄膜を有する本発明の磁気ヘッドの1例
を示す部分断面図である。
【図2】軟磁性薄膜を有する本発明の磁気ヘッドの1例
を示す部分断面図である。
【図3】軟磁性薄膜および下地膜を有する本発明の磁気
ヘッドの1例を示す部分断面図である。
【図4】軟磁性薄膜および下地膜を有する本発明の磁気
ヘッドの1例を示す部分断面図である。
【図5】本発明の薄膜磁気ヘッドの1例を示す部分断面
図である。
【図6】本発明の軟磁性薄膜のスパッタ直後におけるX
線回折チャートと、熱処理後におけるX線回折チャート
である。
【図7】本発明の軟磁性薄膜をセンダスト膜の下地膜と
して用いた磁気ヘッドによる孤立再生波形を示すグラフ
である。
【図8】Ni−Feをセンダスト膜の下地膜として用い
た磁気ヘッドによる孤立再生波形を示すグラフである。
【符号の説明】
1 第1コア 2 第2コア 3 溶着ガラス 4 軟磁性薄膜 41 下地膜 5、51、53 ギャップ 7 スライダ 81、83、85 絶縁層 91 下部磁極層 95 上部磁極層 10 ギャップ層 11 コイル層 12 保護層

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式で表わされる原子比組成を有する
    ことを特徴とする軟磁性薄膜。 式 (Ni1-a Feaxyz (上記式においてMは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、
    Mo、Hf、TaおよびWから選ばれる1種以上の元素
    であり、 40≦x≦98.5、 1≦y≦30、 0.5≦z≦30、 0.03≦a≦0.3、 x+y+z=100 である。)
  2. 【請求項2】 さらにCuを含有し、Cuの含有量が
    0.5〜15原子%である請求項1に記載の軟磁性薄
    膜。
  3. 【請求項3】 さらにOを含有し、Oの含有率が5原子
    %以下である請求項1または2に記載の軟磁性薄膜。
  4. 【請求項4】 前記式において、 40≦x≦75、 5≦y≦30、 5≦z≦30 である請求項1ないし3のいずれかに記載の軟磁性薄
    膜。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の軟
    磁性薄膜を製造する方法であって、前記式で表わされる
    組成を有する薄膜をスパッタ法により形成した後、30
    0〜750℃にて熱処理を施す工程を有することを特徴
    とする軟磁性薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の軟
    磁性薄膜と、他の軟磁性薄膜とを、交互に積層したこと
    を特徴とする軟磁性多層膜。
  7. 【請求項7】 前記軟磁性薄膜と前記他の軟磁性薄膜と
    の間に非磁性薄膜を有する請求項6に記載の軟磁性多層
    膜。
  8. 【請求項8】 前記他の軟磁性薄膜が前記軟磁性薄膜よ
    りも飽和磁束密度が大きい請求項6または7に記載の軟
    磁性多層膜。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし4のいずれかに記載の軟
    磁性薄膜と、非磁性薄膜とを、交互に積層したことを特
    徴とする軟磁性多層膜。
  10. 【請求項10】 請求項6ないし9のいずれかに記載の
    軟磁性多層膜を製造する方法であって、スパッタ法によ
    り多層膜を形成した後、300〜750℃の温度にて熱
    処理を施す工程を有することを特徴とする軟磁性多層膜
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 一対のコアを有し、少なくとも一方の
    コアのギャップ部に、請求項1ないし4のいずれかに記
    載の軟磁性薄膜および/または請求項6ないし9のいず
    れかに記載の軟磁性多層膜が形成されていることを特徴
    とする磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記軟磁性薄膜上に、前記コアよりも
    飽和磁束密度の高い高飽和磁束密度薄膜が形成されてい
    る請求項11に記載の磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】 作業温度Twが300〜750℃の溶
    着ガラスにより前記一対のコアが溶着一体化されている
    請求項11または12に記載の磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし4のいずれかに記載の
    軟磁性薄膜および/または請求項6ないし9のいずれか
    に記載の軟磁性多層膜を磁極層として有する薄膜磁気ヘ
    ッドであることを特徴とする磁気ヘッド。
JP23876691A 1991-08-26 1991-08-26 軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド Pending JPH0555036A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23876691A JPH0555036A (ja) 1991-08-26 1991-08-26 軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23876691A JPH0555036A (ja) 1991-08-26 1991-08-26 軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0555036A true JPH0555036A (ja) 1993-03-05

Family

ID=17034951

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23876691A Pending JPH0555036A (ja) 1991-08-26 1991-08-26 軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0555036A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014027601A1 (ja) * 2012-08-13 2014-02-20 山陽特殊製鋼株式会社 磁気記録用軟磁性合金及びスパッタリングターゲット材並びに磁気記録媒体
JP2017048435A (ja) * 2015-09-03 2017-03-09 ローム株式会社 複合メッキ膜およびその製造方法、および磁気デバイス、パワーモジュール

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014027601A1 (ja) * 2012-08-13 2014-02-20 山陽特殊製鋼株式会社 磁気記録用軟磁性合金及びスパッタリングターゲット材並びに磁気記録媒体
JP2014038669A (ja) * 2012-08-13 2014-02-27 Sanyo Special Steel Co Ltd 磁気記録用軟磁性用合金およびスパッタリングターゲット材並びに磁気記録媒体
JP2017048435A (ja) * 2015-09-03 2017-03-09 ローム株式会社 複合メッキ膜およびその製造方法、および磁気デバイス、パワーモジュール

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5432645A (en) Magnetic head-forming thin film
JPH0770020B2 (ja) 磁気ヘツド
US5585984A (en) Magnetic head
JPH0555036A (ja) 軟磁性薄膜およびその製造方法、軟磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気ヘツド
JPH0624044B2 (ja) 複合型磁気ヘッド
JP3127075B2 (ja) 軟磁性合金膜と磁気ヘッドおよび軟磁性合金膜の熱膨張係数の調整方法
JP3272738B2 (ja) 軟磁性多層膜
JP3452594B2 (ja) 磁気ヘッドの製造方法
JPH0827908B2 (ja) 磁気ヘッド
JP2523854B2 (ja) 磁気ヘッド
JP3296829B2 (ja) 軟磁性多層膜および磁気ヘッド
JP3232592B2 (ja) 磁気ヘッド
JPS58118015A (ja) 磁気ヘツド
JPH0917632A (ja) 軟磁性膜及びこれを用いた磁気ヘッド
JP3243256B2 (ja) 軟磁性薄膜および磁気ヘッド
JP2798315B2 (ja) 複合磁気ヘッド
JP2850134B2 (ja) 磁気ヘッドの製造方法
JP3214716B2 (ja) 磁気ヘッドおよびその製造方法
JP2858036B2 (ja) 軟磁性薄膜および磁気ヘッド
JP3404054B2 (ja) 磁気ヘッド用薄膜および磁気ヘッド
JP2519554B2 (ja) Mig型磁気ヘッド
JPH03203008A (ja) 磁気ヘッド用Fe―Si―Al系強磁性合金積層膜の製造方法
JPH0760767B2 (ja) 軟磁性薄膜および磁気ヘッド
JPH04252006A (ja) 耐食軟磁性膜及びこれを用いた磁気ヘッド
JP2000011314A (ja) 磁気ヘッド及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20011211