JPH0760767B2 - 軟磁性薄膜および磁気ヘッド - Google Patents

軟磁性薄膜および磁気ヘッド

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JPH0760767B2
JPH0760767B2 JP2223771A JP22377190A JPH0760767B2 JP H0760767 B2 JPH0760767 B2 JP H0760767B2 JP 2223771 A JP2223771 A JP 2223771A JP 22377190 A JP22377190 A JP 22377190A JP H0760767 B2 JPH0760767 B2 JP H0760767B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、軟磁性薄膜および磁気ヘッド、特にメタル・
イン・ギャップ(MIG)型磁気ヘッドや、エンハンスト
・デュアル・ギャップ・レングス(EDG)型磁気ヘッド
や、薄膜磁気ヘッドに関する。
<従来の技術> フェライト製の第1および第2コアの少なくとも一方の
ギャップ部対向面にコアよりも飽和磁束密度Bsの高いセ
ンダスト等の軟磁性薄膜を有するMIG型磁気ヘッドが知
られている。
この磁気ヘッドでは、軟磁性薄膜から強力な磁束を磁気
記録媒体に印加できるため、高い保磁力を有する媒体に
有効な記録が行える。
また、高密度記録や高速データ転送が可能である等の優
れた諸特性を有する浮上型の薄膜磁気ヘッドが実用化さ
れてきている。
そして、薄膜磁気ヘッドでも高密度の磁束を発生させる
ため、上部および下部磁極層には、飽和磁束密度BSの高
いパーマロイ、センダスト等の軟磁性薄膜が用いられ
る。
ところで、磁気ヘッドに用いられるこのような軟磁性薄
膜の飽和磁束密度BSは、高々12000G程度である。
このため、従来の磁気ヘッドでは、オーバーライト特性
等の電磁変換特性が不十分であり、特に高保磁力を有す
る磁気記録媒体の場合には、より一層高い飽和磁束密度
BSが要求されている。
また、(100)面配向性が強いFe系軟磁性薄膜は、(22
0)面配向のセンダスト膜や(111)面配向のパーマロイ
膜に比べ、結晶磁気異方性が小さいため、優れた軟磁気
特性を有することが知られている。
しかし、スパッタリング等の一般の気相法にてFe系軟磁
性薄膜の成膜を行なっても(100)面配向性を強くでき
ず、主に(110)面配向や無配向の薄膜ができる。
このため、(100)面配向性が強い膜を成膜するには、
特定の材質の基板、例えばZnSeを使用したり、(100)
面配向あるいは(100)面配向性が強いGaAs等の単結晶
基板を使用しなければならない。
このように(100)面配向性が強い膜は、限定された条
件でしか実現しないため、磁気ヘッドの軟磁性薄膜を
(100)面配向あるいは(100)面配向性を強くすること
は非常に困難である。
ところで、Feをターゲットし、ArとN2の混合ガス中でス
パッタリングして、センダストよりもさらに飽和磁束密
度BSが高いFe−N軟磁性薄膜を得ることができる。
それは、Nを混合することにより、Feの結晶粒が微細化
され、磁気異方性分散が減少するためである。
例えば、特開昭64−15907号公報には、Feを主体とし、F
e4Nおよび/またはFe3Nからなる窒化鉄を含有する軟磁
性薄膜が開示されている。
そして、この軟磁性薄膜は、飽和磁束密度が15000G以上
であり、保磁力HCが低く、前記磁気ヘッド用としては好
適な磁気特性を有している。
しかしFe−N軟磁性薄膜は、耐熱性が低く、約350℃程
度の温度で結晶粒径が大きくなり、保磁力HCが急激に増
加してしまう。
このためガラス溶着等の熱処理によって450〜700℃程度
の温度下におかれるMIG型磁気ヘッドやEDG型磁気ヘッ
ド、さらには、スパッタリング等による成膜工程で約35
0℃以上の温度下におかれる薄膜磁気ヘッドに使用する
ことは困難である。加えて、この軟磁性薄膜は、スパッ
タリング等の気相法で、通常の基板上に成膜を行なうだ
けでは(100)面配向性を強くできない。
<発明が解決しようとする課題> 本発明の目的は、耐熱性や耐食性が高く、さらに飽和磁
束密度Bsが高く、しかも優れた軟磁気特性を有する軟磁
性薄膜と、このような軟磁性薄膜を有するMIG型磁気ヘ
ッドやEDG型磁気ヘッド、さらには薄膜磁気ヘッドとを
提供することにある。
<課題を解決するための手段> このような目的は下記(1)〜(7)の本発明によって
達成される。
(1)下記式Iで表わされる原子比組成を有し、 X線回折にて、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピー
クの相対強度比が1以上であり、 5MHzでの初透確率μiが3200以上であり、 50Hzでの保磁力が10e以下であり、 実質的に組成が均質な軟磁性薄膜。
式I [Fe1-xMx1-zNz (上式においてMは、Mg、Ca、Y、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選ばれる1種以上
であり、0.001≦x≦0.15、0.001≦z≦0.15である。) (2)下記式IIで表わされる原子比組成を有し、 X線回折にて、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピー
クの相対強度比が1以上であり、 5MHzでの初透確率μiが3200以上であり、 50Hzでの保磁力が10e以下であり、 実質的に組成が均質な軟磁性薄膜。
式II [(Fe1-yNiy1-xMx1-zNz (上式においてMは、Mg、Ca、Y、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選ばれる1種以上
であり、0.001≦x≦0.15、0<y≦0.1、0.001≦z≦
0.15である。) (3)200〜800℃の温度で熱処理を行なった上記(1)
または(2)の軟磁性薄膜。
(4)飽和磁束密度Bsが14000G以上である上記(1)〜
(3)のいずれかの軟磁性薄膜。
(5)一対のコア間に、上記(1)〜(4)のいずれか
の軟磁性薄膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
(6)前記一対のコアを作業温度Twが450〜700℃の溶着
ガラスにより溶着一体化した上記(5)に記載の磁気ヘ
ッド。
(7)上部磁極層と、下部磁極層と、保護層とを有する
薄膜磁気ヘッドであって、 前記上部磁極層および下部磁極層が、上記(1)〜
(4)のいずれかの軟磁性薄膜で形成されていることを
特徴とする磁気ヘッド。
<作用> 本発明の特に磁気ヘッドに好適な軟磁性薄膜は、Fe−N
系であるため、飽和磁束密度Bsが非常に高く、保磁力Hc
が低い。
そして、FeとNに、所定の元素を適量添加することによ
り、いかなる基板上にも(100)面配向性ないし配向度
が強い軟磁性薄膜を形成できる。このため、軟磁気特性
が格段と向上する。
加えて、この添加元素は、Feより安定な窒化物を形成す
るため、飽和磁束密度Bsが約14000G以上、特に16000G以
上のまま耐熱性や耐食性が著しく向上する。
ここに、熱処理によって保磁力が急激に変化する温度、
例えば、保磁力Hcが約20eになる熱処理温度を耐熱温度
とすると、本発明に用いる軟磁性薄膜の耐熱温度は約50
0℃以上である。
従って、本発明の軟磁性薄膜は、飽和磁束密度Bsが高
く、加えて、保磁力Hcが低く、透磁率μが高い優れた軟
磁気特性を有する。
このためこのような軟磁性薄膜を有する本発明の磁気ヘ
ッドは、オーバーライト特性や、記録・再生感度等が高
く、優れた電磁変換特性を有する。
加えて、本発明の軟磁性薄膜は、耐食性や耐摩耗性に優
れるため、信頼性の高い磁気ヘッドが実現する。
なお、特開昭60−218820号公報や同60−220913号公報に
は、Feと、2〜10重量%のAlと、3〜16重量%のSiと、
0.005〜4重量%の窒素とを含有する磁性薄膜が開示さ
れている。
そして、Feの一部をCoと置換することによって飽和磁束
密度Bsを向上させ、Niと置換することによってBsを減少
させることなく透磁率μを高い状態に保つことができる
旨が記載されている。
しかし、実施例に示される具体例は、耐熱温度は高い
が、飽和磁束密度Bsは高々12000G程度である。
このように飽和磁束密度Bsが高く、保磁力Hcが低く、透
磁率μが高く、しかも耐熱性に優れた軟磁性薄膜は知ら
れていない。
<発明の具体的構成> 以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明の特に磁気ヘッドに好適な軟磁性薄膜は、下記式
で示される原子比組成を有する。
式 [(Fe1-yNiy1-xMx1-zNz 上式においてMは、Mg、Ca、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選ばれる1種以上であ
る。
これ以外の元素、例えばRu等では、飽和磁束密度もBsが
低下したり、軟磁気特性が低下する。
また、xは0.001〜0.15、好ましくは0.01〜0.1である。
前記範囲未満では、耐熱性が不十分である。
このため熱処理等により保磁力Hcが大幅に増加する傾向
にある。
前記範囲をこえると、飽和磁束密度Bsが低下する。この
ため磁気ヘッドに適用した場合、オーバーライト特性が
悪化する傾向にある。
また、(100)面配向性ないし配向度が強い軟磁性薄膜
とするには、xは0.025以上、特に0.03以上であること
が好ましい。
ただし、xがあまり大きすぎると前記のとおり、飽和磁
束密度Bsが低下するため、xは0.025〜0.15、特に0.03
〜0.1であることが好ましい。
xが前記範囲の場合、軟磁気特性が格段と向上する。ま
た、耐熱性が向上する。
yは0〜0.1、好ましくは0〜0.05である。
Niを添加することにより、透磁率μを向上させることが
できる。
ただし前記範囲をこえると飽和磁束密度Bsが低下する傾
向にある。
なお、Niを必須成分として含むときには、その含有量y
は0.01〜0.1、より好ましくは0.01〜0.05であることが
好ましい。
zは0.001〜0.15、好ましくは0.03〜0.07である。
前記範囲未満では、Nによる結晶粒の微細化が不十分
で、軟磁気特性が得られない傾向にある。
前記範囲をこえると、Fe、Ni、Mの窒化物が必要以上に
生成されるため軟磁気特性が得られない傾向にある。
そして、必要に応じて窒素に加え、酸素が全体の15at%
以下含有されていてもよい。
また、5at%以下のSiおよび/または2at%以下のAlが含
有されていても前記の組成範囲であれば、ほぼ同等の効
果が得られる。
このような本発明の軟磁性薄膜の組成は、例えば、Elec
tron Probe Micro Analysis (EPMA)法により測定すれ
ばよい。
また、軟磁性薄膜の膜厚は、用途等に応じて適宜選択す
ればよいが、通常0.1〜10μm程度である。
本発明の軟磁性薄膜を成膜するには、蒸着、スパッタリ
ング、イオンプレーティング、CVD等の各種気相法を用
いればよい。
このうち特にスパッタ法により成膜することが好まし
く、例えば以下のように成膜すればよい。
ターゲットには、合金鋳造体や焼結体さらには多元ター
ゲット等を用いる。そして、Ar等の不活性ガス雰囲気下
でスパッタリングを行なう。
また、反応性スパッタを行なう場合には、ターゲットの
組成は前述の式において、Nが含有されないものとほぼ
同一とすればよい。
そして、スパッタリングは、Ar中にN2を0.1〜15体積
%、好ましくは2〜10体積%含有する雰囲気下で行われ
る。
前記範囲外であると、軟磁気特性が得られない傾向にあ
る。
スパッタの方式には、特に制限がなく、また、使用する
スパッタ装置にも制限がなく、通常のものを用いればよ
い。
なお、動作圧力は通常0.1〜1.0Pa程度とすればよい。
この場合、スパッタ投入電圧や電流等の諸条件は、スパ
ッタ方式等に応じ適宜決定する。
成膜後は、軟磁性薄膜に熱処理を行なうことが好まし
い。
前記組成式においてxが0.025以上、特に0.03以上の組
成では熱処理により、(100)面配向性ないし配向度が
強くなり、軟磁気特性が格段と向上し、しかも飽和磁束
密度Bsも向上する。
具体的には、X線回折チャートをみたとき、Fe(110)
ピークに対するFe(200)ピークの相対強度比が、熱処
理前、1〜2程度であったものが、熱処理により、2以
上、さらに3以上、特に3〜10程度に向上し、さらに飽
和磁束密度Bsも向上する。
この場合、例えば、フェライト等の磁性体、非磁性セラ
ミックス、高分子フィルム等いかなる基板上に成膜して
も(100)面配向性が強い軟磁性薄膜が実現する。
ここに、(100)面配向とは、一般に、X線回折チャー
トをみたとき、Fe(200)ピークがあり、Fe(110)ピー
クがない場合をいい、(110)面配向とは、Fe(110)ピ
ークがあり、Fe(200)ピークがない場合をいう。
また、無配向の場合、Fe(110)ピークに対するFe(20
0)ピークの相対強度比は、通常1/3程度である。
本発明では、前記のとおりxを0.025以上、特に0.03以
上とすることにより、膜のX線回折チャートにて、Fe
(110)ピークに対するFe(200)ピークの相対強度比が
1以上とすることができる。この場合、この強度比は好
ましくは2以上、より好ましくは3以上、特に3〜10程
度であることが好ましい。
なお、X線回折チャートにおけるFe(110)ピークの2
θ(θは回折角)は、CuKαを用いた場合44.7度程度、F
e(200)ピークの2θは、65度程度である。
熱処理条件は、特に下記の条件が好適である。
昇温速度:2〜8℃/分程度 保持温度:200〜800℃、特に400〜700℃程度 保持時間:10〜60分程度 冷却速度:2〜8℃/分程度 なお、雰囲気はAr等の不活性ガスでよい。
前記条件にて熱処理を行なうことにより、より一層優れ
た軟磁気特性の軟磁性薄膜が得られる。
本発明の軟磁性薄膜は、例えば膜厚1〜5μm程度の場
合、下記の特性を有する。
保磁力Hc(50Hz): 10e程度以下、特に0.1〜10e程度 初透磁率μ(5MHz): 3200程度以上、特に3200〜5000程度 飽和磁束密度Bs(DC): 14000〜20000G程度、さらに16000〜20000G程度、特に17
000〜19000G程度 結晶粒の平均結晶粒径D: 100〜300Å程度、特に150〜250Å程度 耐熱温度:450〜700℃程度 ここに耐熱温度とは、熱処理を行ったとき保磁力Hcが急
激に増加する温度であり、前記の場合は保磁力Hcが20e
になる温度である。
軟磁性薄膜の磁気特性の測定は、例えば磁気ヘッドに適
用する場合であれば、磁気ヘッドに形成する場合と同一
条件で非磁性基板上に成膜し、同一条件の熱処理を行っ
た後、下記のとおり行なえばよい。
初透磁率(μ):8の文字コイル透磁率測定器を用い、
印加磁界5mOeにて測定 保磁力(Hc):B−Hトレーサにて測定 飽和磁束密度(Bs): VSMを用い、10000Gの磁場中で測定 また、結晶粒の平均結晶粒径Dは、X線回折線のFe(20
0)ピーク半値巾W50、Fe(200)ピークがでていない場
合は、Fe(110)ピーク半値巾W50を測定し、下記のシェ
ラーの式から求めればよい。
式 D=0.9λ/W50cosθ 上式において、λは用いたX線の波長であり、θは回折
角である。
なお、前記のとおりCuKαを用いた場合、Fe(200)ピー
クの2θは、65度、Fe(110)ピークの2θは、44.7度
である。
このような本発明の軟磁性薄膜は、特にMIG(メタル・
イン・ギャップ)型磁気ヘッドや薄膜磁気ヘッド等の各
種磁気ヘッドに適用できる。
そして、磁気ヘッドのほかにも、薄膜インダクタ等各種
軟磁性部品等に適用できる。
次に、本発明の磁気ヘッドについて説明する。
本発明のMIG型磁気ヘッドの好適実施例を、第1図およ
び第2図に示す。
第1図に示される磁気ヘッドは、第1コア1と、ギャッ
プ部対向面に、軟磁性薄膜4が形成されている第2コア
2とを有し、両コアがギャップ5を介して接合され、溶
着ガラス3により溶着一体化されている。
また、第2図に示される磁気ヘッドは、軟磁性薄膜4を
第1コア1、第2コア2の双方のギャップ部対向面に形
成したタイプのものである。
本発明において、コア1、2はフェライトから構成され
ることが好ましい。
この場合、用いるフェライトに特に制限はないが、Mn−
ZnフェライトまたはNi−Znフェライトを、目的に応じて
用いることが好ましい。
Mn−Znフェライトとしては、Fe2O350〜60モル%程度、Z
nO 8〜25モル%程度、残部が実質的にMnOのものが好
適である。
また、Ni−Znフェライトは特に高周波領域において優れ
た特性を示すものであり、好ましい組成としては、Fe2O
3が30〜60モル%、NiOが15〜50モル%、ZnOが5〜40モ
ル%程度のものである。
コア1、2の直流での飽和磁束密度BSは、好ましくは3,
000〜6,000Gとする。
飽和磁束密度が前記範囲未満であると、オーバーライト
特性が低下する他、このような飽和磁束密度の組成で
は、キュリー温度が低くなるため熱的安定性が低下して
しまう。前記範囲をこえると、磁歪が増加して磁気ヘッ
ドとしての特性が悪化したり、着磁し易くなる。
コア1、2の直流での初透磁率μは1,000以上、保磁
力HCは0.3Oe以下であることが好ましい。
また、コア1、2のギャップ部対向面は、鏡面研磨等に
より平滑化し、後述する軟磁性薄膜4や下地膜等が形成
され易いようにすることが好ましい。
軟磁性薄膜4は、記録時に密度の高い磁束を発生させ、
高い保磁力を有する磁気記録媒体に有効な記録を行なう
ために設けられる。
軟磁性薄膜4には、前述した本発明の軟磁性薄膜を用い
る。
磁気ヘッド完成時の軟磁性薄膜4の飽和磁束密度Bsは、
14000G以上、より好ましくは16000G以上、特に好ましく
は17000G以上であることが好ましい。
前記範囲未満であるとオーバーライト特性が悪化し、特
に高保磁力の磁気記録媒体への記録が困難である。
また、軟磁性薄膜4は、(100)面配向性が強いことが
好ましい。
(100)面配向性が強いと、軟磁性薄膜4の軟磁気特性
が向上し、高い記録・再生感度が得られる。
また、軟磁性薄膜4の結晶粒の平均結晶粒径は、300Å
以下、特に100〜300Å程度であることが好ましい。
前記範囲の場合、軟磁気特性が向上し、高い記録・再生
感度が得られる。
この場合、軟磁気特性、すなわち、磁気ヘッド完成時に
おける軟磁性薄膜4の50Hzでの保磁力HCは、2Oe以下、
より好ましくは1Oe以下であることが好ましい。
そして、軟磁性薄膜4の5MHzでの初透磁率μは、1000
以上、特に1500以上であることが好ましい。
保磁力Hcが前記範囲をこえると、あるいは初透磁率μ
が前記範囲未満であると、記録・再生感度が低下する傾
向にある。
軟磁性薄膜4の膜厚は、好ましくは0.2〜5μm、さら
に好ましくは0.5〜3μmである。
膜厚が前記範囲未満であると、軟磁性薄膜4全体の体積
が不足して飽和し易くなり、MIG型磁気ヘッドの機能を
十分に果たすことが困難となる。
また、前記範囲をこえると、軟磁性薄膜4の摩耗が大き
くなる他、渦電流損失が増大してしまう。
このような軟磁性薄膜4を有することにより、本発明の
磁気ヘッドは保磁力800Oe以上、特に900〜1,500Oeの磁
気記録媒体に対し有効な記録を行なうことができる。
そして、コア1、コア2および軟磁性薄膜4が前述した
ような磁気特性であれば、磁気ヘッドとして高い出力と
分解能とが得られる。また、オーバーライト特性も−35
dB以下の良好な値が得られる。
なお、分解能とは、例えば、1f信号の出力をV1f、2f信
号の出力をV2fとしたとき、(V2f/V1f)×100[%]で
表わされるものである。
また、オーバライト特性とは、例えば、1f信号の上に2f
信号を重ね書きしたときの2f信号出力に対する1f信号出
力である。
ギャップ5は、非磁性材質から形成される。
特に、ギャップ5には、接着強度を高めるため接着ガラ
スを用いることが好ましく、例えば、特願平1−71506
号等に示されるガラスが好適である。
また、ギャップ5は、接着ガラスのみで形成されていて
もよいが、ギャップ形成速度やギャップ強度を高めるた
め、図示のようにギャップ51とギャップ53との2層で形
成されることが好ましい。
この場合、ギャップ51にはSiO2を用い、ギャップ53には
接着ガラスを用いることが好ましい。
なお、後述する溶着ガラス3が、ギャップ両サイドに流
れ込むタイプの磁気ヘッドの場合は、ギャップ5を酸化
ケイ素のみで形成してもよい。
ギャップ5の形成方法には特に制限はないが、スパッタ
法を用いることが好ましい。
ギャップ長は、通常0.2〜2.0μm程度である。
本発明のMIG型磁気ヘッドは、第1図や第2図に示され
るように、第1コア1と、第2コア2とがギャップ5を
介して接合一体化されているものである。
コアの接合は、通常、ギャップ53の接着ガラスにより熱
圧着すると同時に溶着ガラス3を流し込むことにより行
う。
用いる溶着ガラス3の作業温度Twは450〜700℃、特に46
0〜650℃程度であることが好ましい。
ここに、作業温度Twとは、周知のように、ガラスの粘度
が104poiseとなる温度である。
本発明では耐熱性の高い前記の軟磁性薄膜4を用いるた
め、このようなTwのガラスを用いて溶着しても、保磁力
Hcは2Oe以下、特に1Oe以下の値を保持する。
溶着ガラス3には、特に制限はないが、鉛ケイ酸ガラス
を用いることが好ましい。
このうち、例えば、下記に示されるガラスが好適であ
る。
PbO:67.5〜87.5重量%程度 B2O3:4.0〜8.1重量%程度 SiO2:7.5〜13.6重量%程度 Al2O3:0.3〜0.8重量%程度 ZnO:2.2〜3.3重量%程度 Bi2O3:0〜0.1重量%程度 Na2O、K2O、CaO等:0〜4重量%程度 Sb2O3:0〜1重量%程度 なお、溶着に際しては、溶着温度を作業温度Tw近辺と
し、通常の方法により行う。
この場合、溶着処理が、軟磁性薄膜4の熱処理を兼ねる
ようにしてもよい。
また、本発明においては、第3図に示されるように、第
1コア1にコアより飽和磁束密度Bsの低い低飽和磁束密
度合金薄膜6を形成し、第2コア2に前述した軟磁性薄
膜4を形成したいわゆるEDG型のMIG型磁気ヘッドとする
ことができる。
そして、前述したMIG型磁気ヘッドと同様の効果を得る
ことができる。
この場合、低飽和磁束密度合金薄膜6には、例えば、特
願昭63−311591号に示される低飽和磁束密度非晶質薄膜
等を用いることができ、優れたオーバーライト特性や高
い感度が得られる。
本発明の磁気ヘッドは、必要に応じスライダーと一体化
され、組立てられヘッドアセンブリーとされる。
そして、いわゆるラミネートタイプやバルクタイプ等の
トンネルイレーズ型あるいはイレーズヘッドを有しない
リードライト型などのオーバーライト記録を行なうフロ
ッピーヘッド、モノリシックタイプやコンポジットタイ
プの浮上型の計算機用ヘッド、回転型のVTR用ヘッドや
R−DAT用ヘッドなどの各種磁気ヘッドとして用いられ
る。
このようにして、前記の本発明の磁気ヘッドを用いて、
公知の種々の方式のオーバーライト記録を行なうことが
できる。
次に、本発明の薄膜磁気ヘッドについて説明する。
第4図に、本発明の好適実施例である浮上型の薄膜磁気
ヘッドを示す。
第4図に示される薄膜磁気ヘッドは、スライダ7上に、
絶縁層81、下部磁極層91、ギャップ層10、絶縁層83、コ
イル層11、絶縁層85、上部磁極層95および保護層12を順
次有する。
本発明においてスライダ7は、材料として従来公知の種
々のものを用いればよく、例えばセラミックス、フェラ
イト等により構成される。
この場合、セラミックス、特にAl2O3−TiCを主成分とす
るセラミックス、ZrO2を主成分とするセラミックス、Si
Cを主成分とするセラミックスまたはAlNを主成分とする
セラミックスが好適である。なお、これらには、添加物
としてMg、Y、ZrO2、TiO2等が含有されていてもよい。
スライダ7の形状やサイズ等の諸条件は公知の何れのも
のであってもよく、用途に応じ適宜選択される。
スライダ7上には、絶縁層81が形成される。
絶縁層81の材料としては従来公知のものは何れも使用可
能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法により行なう
ときには、SiO2、ガラス、Al2O3等を用いることができ
る。
絶縁層81の膜厚やパターンは公知の何れのものであって
もよく、例えば膜厚は、5〜40μm程度とする。
磁極は、通常図示のように、下部磁極層91と、上部磁極
層95として設けられる。
本発明では、下部磁極層91および上部磁極層95には、そ
れぞれ、前述のMIG型磁気ヘッドやEDG型のMIG型磁気ヘ
ッドの場合と同様に、前記式で表わされる原子比組成の
本発明の軟磁性薄膜を用いる。
このため、オーバーライト特性に優れ、記録・再生感度
が高い磁気ヘッドが得られる。
なお、成膜や熱処理等も前記と同様に行えばよい。
下部および上部磁極層91、95のパターン、膜厚等は公知
のいずれのものであってもよい。例えば下部磁極層91の
膜厚は1〜5μm程度、上部磁極層95の膜厚は1〜5μ
m程度とすればよい。
下部磁極層91および上部磁極層95の間にはギャップ層10
が形成される。
ギャップ層10には、Al2O3、SiO2等公知の種々の材料を
用いればよい。
また、ギャップ層10のパターン、膜厚等は公知の何れの
ものであってもよい。例えば、ギャップ10の膜厚は0.2
〜1.0μm程度とすればよい。
コイル層11の材質には特に制限はなく、通常用いられる
Al、Cu等の金属を用いればよい。
コイルの巻回パターンや巻回密度についても制限はな
く、公知のものを適宜選択使用すればよい。例えば巻回
パターンについては、図示のスパイラル型の他、積層
型、ジグザグ型等何れであってもよい。
また、コイル層11の形成にはスパッタ法等の各種気相被
着法やめっき法等を用いればよい。
図示例ではコイル層11は、いわゆるスパイラル型として
スパイラル状に上部および下部磁極層91、95間に配設さ
れており、コイル層11と上部および下部磁極層91、95間
には絶縁層83、85が設層されている。
絶縁層83、85の材料としては従来公知のものは何れも使
用可能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法により行
なうときには、SiO2、ガラス、Al2O3等を用いることが
できる。
また、上記磁極層95上には保護層12が設層される。保護
層12の材料としては従来公知のものは何れも使用可能で
あり、例えばAl2O3等を用いることができる。
この場合、保護層12のパターンや膜厚等は従来公知のも
のはいずれも使用可能であり、例えば膜厚は10〜50μm
程度とすればよい。
ところで、例えばスパッタリングにより保護層12を形成
する際には、プラズマに曝されるため、200〜400℃程度
の温度下におかれる。
このため、本発明では、上部および下部磁極層91、95の
それぞれに前記の耐熱性の高い軟磁性薄膜を用いてい
る。
なお、本発明ではさらに各種樹脂コート層等を積層して
もよい。
このような薄膜磁気ヘッドの製造工程は、通常、薄膜作
製とパターン形成とによって行なわれる。
各層の薄膜作製には、上記したように、従来公知の技術
である気相被着法、例えば真空蒸着法、スパッタ法、あ
るいはめっき法等を用いればよい。
薄膜磁気ヘッドの各層のパターン形成は、従来公知の技
術である選択エッチングあるいは選択デポジションによ
り行なうことができる。エッチングとしてはウェットエ
ッチングやドライエッチングにより行なうことができ
る。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、アーム等の従来公知のアセ
ンブリーと組み合わせて使用される。
また、前記の本発明の薄膜磁気ヘッドを用いて、種々の
方式のオーバーライト記録を行うことができる。この場
合、保磁力HCが、800Oe以上、特に1000〜1500Oeの磁気
記録媒体に対し有効に、記録・再生を行うことができ
る。
<実施例> 以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに詳
細に説明する。
比較例1 第1図に示されるように、第1コア1と、ギャップ部対
向面に軟磁性薄膜4が形成されている第2コア2とをギ
ャップ5を介して接合一体化し、MIG型磁気ヘッドを製
造した。
コア1、2の材質はMn−Znフェライトとし、直流での飽
和磁束密度BSは5000G、初透磁率μは3000、保磁力Hc
は0.1Oeであった。
軟磁性薄膜4は、RFマグネトロンスパッタにより形成
し、膜厚は1μmとした。
この場合、スパッタリングは、 Fe0.96Zr0.04(原子比)の合金をターゲットとし、Ar中
にN2を5体積%含有する雰囲気下で行った。動作圧力
は、0.4Paとした。
軟磁性薄膜4の組成、直流での飽和磁束密度Bs、周波数
50Hzでの保磁力Hc、周波数5MHzでの初透磁率μおよび
耐熱温度は表1に示されるとおりである。
なお、Bs、Hcおよびμは溶着熱処理後の値である。こ
の場合、熱処理温度は500℃、保持時間は60分間とし
た。
また、耐熱温度は、60分間の熱処理を行った後でHcを測
定し、Hcが2Oe以上になったときの熱処理温度である。
なお、磁気特性等の測定は、非磁性基板上に軟磁性薄膜
4をヘッド作製の際と同一の条件で形成して行った。
そして、組成分析にはEPMA、Bs測定にはVSM、Hc測定に
はB−Hトレーサ、μ測定には8の字コイル透磁率測
定器(印加磁界5mOe)を用いて行った。
ギャップ51にはSiO2を用い、スパッタにより形成し、そ
の膜厚は0.3μmとした。
ギャップ53には、作業温度Twが550℃の接着ガラスを用
いた。
なお、ギャップ53はスパッタにより形成し、その膜厚は
0.1μmとした。
溶着ガラス3には、作業温度Twが、500℃の77.50PbO−
6.05B2O3−10.57SiO2−0.55Al2O3−2.75ZnO−0.05Bi2O3
−2.50Na2O−0.30Sb2O3(重量%)を用い、500℃で溶着
を行った。
また、コイルターン数は20×2ターンとした。
そして、チタン酸カルシウム製スライダに固定・封着し
て、コンポジットタイプの浮上型磁気ヘッドを得た。
このようにして製造された磁気ヘッドをサンプルNo.1と
する。
また、軟磁性薄膜4の組成の異なる磁気ヘッドサンプル
No.2〜No.16や比較サンプルNo.17〜No.20も製造した。
これらの各サンプルと、保磁力が1500Oeのハードディス
クとを用いて、トラック幅14μmにて下記の特性を測定
した。
なお、測定に際しては、第1コア1を、ハードディスク
リーディング側とした。
(オーバーライト特性) 1.25MHzの1f信号を記録し、次いでこの上から2.5MHzの2
f信号を重ね書きした。
2f信号の出力に対する1f信号の出力を算出し、オーバー
ライト特性を評価した。
(記録・再生感度測定) 5MHzの信号を記録し、次いで記録した信号を再生し、そ
の時の再生出力電圧値V′P-P(ピーク・ツー・ピー
ク)を測定する。
なお、表中には測定値V′P-Pを規格化した値VP-Pが示
される。
結果は表1に示されるとおりである。
表1により本発明の効果が明らかである。
また、サンプルを濃度5%(重量百分率)の塩化ナトリ
ウム水溶液中に168時間浸した後、軟磁性薄膜4の表面
を電子顕微鏡で観察したところ、比較サンプルNo.17〜N
o.19では、さびの発生が確認された。
これに対し、本発明のサンプルNo.1〜No.16では、さび
の発生はほとんど確認されなかった。
なお、サンプルNo.1〜19はすべて、X線回折チャートを
みたとき、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピークの
相対強度比が、約0であり、(110)面配向あるいは(2
20)面配向であった。
実施例1 比較例1と同様にして、MIG型磁気ヘッドを製造し、同
様の測定を行なった。
この場合、軟磁性薄膜4の熱処理条件は、熱処理温度60
0℃、保持時間60分間とした。
結果は表2に示されるとおりである。
また、サンプルNo.1の熱処理後の軟磁性薄膜4のX線回
折チャートを第5図に示す。
このチャートを見ると、Fe(110)ピークに対するFe(2
00)ピークの相対強度は、3.1であり、サンプルNo.1
は、(100)面配向性が強いことを確認できる。
同様に、サンプルNo.2〜9の軟磁性薄膜りFe(110)ピ
ークに対するFe(200)ピークの相対強度比は、3〜10
程度であった。
これに対し、比較サンプルNo.10の軟磁性薄膜の相対強
度比は約0であり、(110)面配向であった。
また、本発明のサンプルは、耐食性も良好であった。
なお、このほか、前記組成式においてMが異なる各サン
プルを製造したところ同等の結果が得られた。
実施例2 第3図に示されるように、ギャップ部対向面にコアより
飽和磁束密度Bsが低い低飽和磁束密度合金薄膜6が形成
されている第1コア1と、軟磁性薄膜4が形成されてい
る第2コア2とをギャップ5を介して接合一体化し、ED
G型のMIG型磁気ヘッドを製造した。
そして、実施例1と同様の測定を行ったところ、同等の
結果が得られた。
比較例2 第4図に示されるように、スライダ7上に順次、絶縁層
81、下部磁極層91、ギャップ層10、絶縁層83、コイル層
11、絶縁層85、上部磁極層95および保護層12を有する薄
膜磁気ヘッドを製造した。この場合、各層の形成には、
スパッタ法を用い、パターン形成には、ドライエッチン
グを用いた。
スライダ7には、Al2O3−TiCを用いた。
絶縁層81には、Al2O3を用い、膜厚は30μmとした。
下部および上部磁極層91、95には、表2に示される組成
の軟磁性薄膜を用いた。
この場合、下部および上部磁極層91、95は、実施例1の
軟磁性薄膜4と同様にRFマグネトロンスパッタにより形
成し、下部および上部磁極層91、95の膜厚はそれぞれ3
μmとした。
磁極層91、95の直流での飽和磁束密度Bs、周波数50Hzで
の保磁力Hc、周波数5MHzでの初透磁率μおよび耐熱性
温度は表2に示されるとおりである。
なお、熱処理条件は、熱処理温度350℃、保持時間60分
間とした。
ギャップ層10には、SiO2を用い、膜厚は0.25μmとし
た。
コイル層11には、Cuを用い、図示のようにスパイライ状
に形成した。
絶縁層83、85には、Al2O3を用いた。
また、保護層12には、Al2O3を用い、膜厚は40μmとし
た。なお、製造中の磁気ヘッドは、保護層12のスパッタ
リング時に、約350℃の温度下におかれた。
このように、本発明の磁気ヘッドサンプルNo.1〜No.14
と、比較サンプルNo.15〜No.17とを製造した。
これらの各サンプルと、保磁力が1500Oeのハードディス
クとを用いて、実施例1と同様の測定を行った。
結果は表3に示されるとおりである。
表3により本発明の効果が明らかである。
また、本発明のサンプルは、耐食性も良好であった。
なお、サンプルNo.1〜17はすべて、X線回折チャートを
みたとき、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピークの
相対強度比が、約0であり、(110)面配向あるいは(2
20)面配向であった。
実施例3 比較例2と同様にして、薄膜磁気ヘッドを製造し、同様
の測定を行なった。
この場合下部および上部磁極層91、95の熱処理条件は、
熱処理温度350℃、保持時間60分間とした。
また、サンプルNo.1〜9の下部および上部磁極層91、95
は、X線回折チャートをみたとき、Fe(110)ピークに
対するFe(200)ピークの相対強度比が3〜10程度であ
り、比較サンプルNo.10の下部および上部磁極層91、95
は、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピークの相対強
度比が約0であった。
結果は表4に示されるとおりである。
なお、本発明のサンプルは、耐食性も良好であった。
以上の結果から本発明の効果が明らかである。
<発明の効果> 本発明の軟磁性薄膜は、飽和磁束密度Bsが高い。加え
て、耐食熱性が高く、特に(100)面配向性が強いた
め、保磁力Hcが低く、透磁率μが高い、優れた軟磁気特
性を有する。
このため、本発明の磁気ヘッドは、オーバーライト特性
や記録・再生感度等が高く、優れた電磁変換特性を有す
る。
そして、本発明の軟磁性薄膜は耐食性や耐摩耗性に優れ
るため、信頼性の高い磁気ヘッドが実現する。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明のMIG型磁気ヘッドの1
例を示す部分断面図である。 第3図は、本発明のEDG型のMIG型磁気ヘッドの1例を示
す部分断面図である。 第4図は、本発明の薄膜磁気ヘッドの1例を示す部分断
面図である。 第5図は、本発明の軟磁性薄膜のX線回折チャートを示
すグラフである。 符号の説明 1……第1コア 2……第2コア 3……溶着ガラス 4……軟磁性薄膜 5、51、53……ギャップ 6……低飽和磁束密度合金薄膜 7……スライダ 81、83、85……絶縁層 91……下部磁極層 95……上部磁極層 10……ギャップ層 11……コイル層 12……保護層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式Iで表わされる原子比組成を有し、 X線回折にて、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピー
    クの相対強度比が1以上であり、 5MHzでの初透確率μiが3200以上であり、 50Hzでの保磁力が10e以下であり、 実質的に組成が均質な軟磁性薄膜。 式I [Fe1-xMx1-zNz (上式においてMは、Mg、Ca、Y、Ti、Zr、Hf、V、N
    b、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選ばれる1種以上
    であり、0.001≦x≦0.15、0.001≦z≦0.15である。)
  2. 【請求項2】下記式IIで表わされる原子比組成を有し、 X線回折にて、Fe(110)ピークに対するFe(200)ピー
    クの相対強度比が1以上であり、 5MHzでの初透確率μiが3200以上であり、 50Hzでの保磁力が10e以下であり、実質的に組成が均質
    な軟磁性薄膜。 式II [(Fe1-yNiy1-xMx1-zNz (上式においてMは、Mg、Ca、Y、Ti、Zr、Hf、V、N
    b、Ta、Cr、Mo、W、MnおよびBから選ばれる1種以上
    であり、0.001≦x≦0.15、0<y≦0.1、0.001≦z≦
    0.15である。)
  3. 【請求項3】200〜800℃の温度で熱処理を行なった請求
    項1または2の軟磁性薄膜。
  4. 【請求項4】飽和磁束密度Bsが14000G以上である請求項
    1〜3のいずれかの軟磁性薄膜。
  5. 【請求項5】一対のコア間に、請求項1〜4のいずれか
    の軟磁性薄膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】前記一対のコアを作業温度Twが450〜700℃
    の溶着ガラスにより溶着一体化した請求項5に記載の磁
    気ヘッド。
  7. 【請求項7】上部磁極層と、下部磁極層と、保護層とを
    有する薄膜磁気ヘッドであって、 前記上部磁極層および下部磁極層が、請求項1〜4のい
    ずれかの軟磁性薄膜で形成されていることを特徴とする
    磁気ヘッド。
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