JP2950917B2 - 軟磁性薄膜 - Google Patents

軟磁性薄膜

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JP2950917B2 JP15694290A JP15694290A JP2950917B2 JP 2950917 B2 JP2950917 B2 JP 2950917B2 JP 15694290 A JP15694290 A JP 15694290A JP 15694290 A JP15694290 A JP 15694290A JP 2950917 B2 JP2950917 B2 JP 2950917B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、軟磁性薄膜、特に高密度記録に適した磁気
ヘッド、薄膜インダクタ等に用いられる軟磁性薄膜に関
する。
<従来の技術> 磁気記録の分野では、磁気記録の高密度化、高周波化
が進んでいる。
そして、磁気記録の高密度化に伴ない、磁気記録媒体
の保磁力Hcが高くなってきている。
このため、従来のセンダストやパーマロイを用いた磁
気ヘッドでは、軟磁性薄膜の飽和磁束密度Bsが不十分な
ため、高保磁力、例えば保磁力Hcが1400 Oe以上の磁気
記録媒体に十分に書き込むことができない。
このような事情から飽和磁束密度Bsが高い軟磁性薄膜
(15kG)が種々提案されている。
これらは単層膜あるいは多層膜であるが、製造上、構
造が単純な単層膜が好ましい。
また、高周波化に関しては、例えば7MHzで使用される
S−VHS方式の家庭用VTRが実用化されている。
そして、今後は、10〜20MHz帯域にて使用されるシス
テムが実用化されることが考えられる。
このような高周波領域では、膜厚にもよるが、例え
ば、通常MIG型磁気ヘッドや薄膜磁気ヘッドに使用され
ている1〜5μm程度の膜厚の軟磁性薄膜の場合、渦電
流による損失が増加し、透磁率μが低下する。
例えば、高飽和磁束密度の軟磁性薄膜として電子情報
通信学会技術研究報告MR89−12には、Fe−(Ti、Zr、H
f)−C軟磁性薄膜が開示されている。
しかし、飽和磁束密度Bsや比較的低い周波数での透磁
率μは高いが、電気抵抗率ρが低い。
このため高周波数領域、例えば、10〜20MHzでの透磁
率μが低下してしまう。
透磁率μの低下を防止するには、例えば、軟磁性薄膜
の間にSiO2等の絶縁膜を挿入し、電気抵抗率ρを向上さ
せればよい。
しかし、折角単純な構造の単層膜で軟磁性が得られる
薄膜でも膜の間に絶縁膜が挿入されるため、多層膜と同
様の構造となり、製造工程が増加し、しかも複雑にな
る。
また、特開昭64−22403号公報には、「Feを主体と
し、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Ru、Os、C
o、Ni、B、C、Al、Si、Ga、Ge、Sn、P、Sbの少なく
とも一種を20at%以下含有し、かつ酸素を0.005〜3at%
含有する軟磁性薄膜」が開示されている。
しかし、酸素含有量が少なく、しかも炭素を含有して
いないため、透磁率μが低く、十分な軟磁性特性を得る
ことができずかつ電気抵抗率ρも不十分である。
また、1989年電子情報通信学会秋期全国大会C−5に
は、高飽和磁束密度のFe−(Ta、Nb)−N−O軟磁性薄
膜が開示されている。
しかし、酸素含有量が少なく、しかも炭素を含有して
いないため、電気抵抗率ρが不十分であり、このため高
周波数領域、特に10〜20MHzでの透磁率μが低下してし
まう。
<発明が解決しようとする課題> 本発明の目的は、飽和磁束密度Bsが高く、透磁率μが
高く、しかも電気抵抗率ρが高い軟磁性薄膜を提供する
ことにある。
<課題を解決するための手段> このような目的は下記(1)、(2)の本発明によっ
て達成される。
(1)Fe、M(Mは3A族元素、4A族元素および5A族元素
から選ばれる1種以上である)、CおよびOを含有し、
M、CおよびOの含有量をそれぞれa、bおよびcとし
たとき2≦a≦15、4≦b+c≦35、1≦b≦34、1≦
c≦34であり、電気抵抗率100×10-6Ω・cm以上であ
り、Feを主成分とする主磁性相を有し前記主磁性相の結
晶粒子の平均結晶粒径Dが1000Å以下であり、前記結晶
粒子が全体の50体積%以上存在することを特徴とする軟
磁性薄膜。
(2)Fe、M(Mは3A族元素、4A族元素および5A族元素
から選ばれる1種以上である)、CおよびOを含有し、
M、CおよびOの含有量をそれぞれa、bおよびcとし
たとき2≦a≦15、4≦b+c≦35、1≦b≦34、1≦
c≦34であり、単層膜での保磁力2 Oe以下、電気抵抗率
100×10-6Ω・cm以上であることを特徴とする軟磁性薄
膜。
<作用> 本発明の軟磁性薄膜は、酸素および炭素を含有するた
め、透磁率μおよび電気抵抗率ρが高く、熱的安定性が
良く、しかも酸素および炭素添加による飽和磁束密度Bs
の低下が少ない。
この場合、酸素が含有されていないと、電気抵抗率ρ
が不十分であり、高周波数での透磁率μが低い。
また、炭素が含有されていないと、軟磁気特性が低下
し、さらに熱的安定性が低下する。
このような、本発明の軟磁性薄膜を例えば、磁気ヘッ
ドに適用する場合、高保磁力の磁気記録媒体に十分書き
込むことができ、しかも高い記録・再生感度が得られ、
加えて、高周波数特性が向上する。
<発明の具体的構成> 以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明の軟磁性薄膜は、下記式で示される原子比組成
を有する。
式 Fe100-(a+b+c)MaCbOc 上式においてMは、3A族元素、4A族元素および5A族元
素から選ばれる1種以上である。
このうち、熱的安定性の点でY、Ti、Zr、Hf、Nbおよ
びTaの1種以上が好ましい。
また、aは2〜15、好ましくは3〜13、より好ましく
は4〜11、特に好ましくは5〜10である。
前記範囲未満では、微細結晶とならないため、十分な
軟磁性が得られない。
前記範囲をこえると飽和磁束密度Bsが12kG程度以下に
低下する。
b+cは4〜35、好ましくは7〜30、特に好ましくは
9〜27である。
前記範囲未満では、微細結晶とならないため、十分な
軟磁性が得られない。
前記範囲をこえると飽和磁束密度Bsが12kG程度以下に
低下する。
bは1〜34、好ましくは5〜18である。
前記範囲未満では十分な軟磁気特性や高い熱的安定性
が得られない。
前記範囲をこえると飽和磁束密度Bsが12kG程度以下に
低下する。
cは1〜34である。
前記範囲未満では、電気抵抗率ρが100×10-6Ω・cm
程度以下に低下する。そして、例えば本発明を薄膜磁気
ヘッドに適用した場合、高周波数領域、特に10〜20MHz
での再生感度が低下する。
前記範囲をこえると、飽和磁束密度Bsが12kG程度以下
に低下する。
そして、例えば本発明を薄膜磁気ヘッドに適用した場
合、高保磁力、特に保磁力Hcが1400 Oe程度以上の磁気
記録媒体に対しオーバーライト特性が低下する。
この場合、cの下限値は3、より好ましくは4、特に
好ましくは5であることが好ましい。また、cの上限値
は30、より好ましくは25、特に好ましくは15であること
が好ましい。
cが前記範囲の場合、飽和磁束密度Bsを高く維持し、
しかも高周波数領域、特に10〜20MHzの透磁率μを向上
させる本発明の効果がより一層向上する。
そして、例えば本発明を薄膜磁気ヘッドに適用した場
合、オーバーライト特性や高周波数領域、特に、10〜20
MHzでの再生感度がより一層向上する。
なお、場合によっては、さらに窒素が、酸素や炭素の
一部を置換して含有していてもよい。
この場合、酸素および炭素の含有量は、酸素、窒素お
よび炭素の合計に対して、50at%以上、より好ましくは
80at%以上、特に好ましくは90〜100at%であることが
好ましい。
これにより、特にρが向上し、高周波特性が向上す
る。
このような本発明の軟磁性薄膜の組成は、例えば、El
ectron Probe Micro Analysis(EPMA)法によりすれば
よい。
軟磁性薄膜の膜厚は、用途等に応じて適宜選択すれば
よいが、通常1〜6μm程度である。
このような本発明の軟磁性薄膜は、通常、Feを主成分
とする主磁性相と、Mの酸化物および炭化物を主成分と
する酸化物相および炭化物相とを有する。ただし、酸化
物相や炭化物相の粒子は微細なため、通常のX線回折等
では検出が困難な場合もある。
主磁性相は、通常、Feを主成分とする結晶粒子にて構
成される。そして、結晶粒子は、Feのみで構成されても
よく、あるいはFeにM、酸素および炭素の1種以上が固
溶したものであってもよい。
また、酸化物相や炭化物相は、通常、Mの酸化物や炭
化物にて構成されるが、さらにMの窒化物等が含まれて
いてもよい。この場合、Mの酸化物や炭化物は、通常、
最も安定な酸化物や炭化物の形で存在するが、化学量論
の組成から多少ずれていてもよい。
主磁性層の結晶粒子の平均結晶粒径Dは、1000Å以下
であることが好ましい。
前記範囲をこえると異方性分散を小さくすることがで
きなくなると考えられ、結果として保磁力Hcが大きくな
り、軟磁気特性を得ることができない。
そして、平均結晶粒径Dは、より好ましくは300Å以
下、特に20〜300Åであることが好ましい。
前記範囲の場合、特に高い透磁率μが得られ、例え
ば、本発明を薄膜磁気ヘッドに適用した場合、高い再生
感度が得られる。
なお、平均結晶粒径Dが1000Å以下、特に300Å以下
の場合、高い耐食性が得られる。
結晶粒子の平均結晶粒径Dは、粉末法によるX線回折
線のα−Fe(110)ピークの半値巾W50を測定し、下記の
シェラーの式から求めればよい。
式 D=0.9λ/W50cosθ 上式において、λは用いたX線の波長であり、θは回
折角である。
なお、α−Fe(110)ピークの2θは、44.4度であ
る。
また、主磁性相の結晶粒子は全体の50体積%以上、特
に80体積%以上存在することが好ましい。
前記範囲未満では保磁力Hcが大きく、軟磁気特性が得
られず、しかも飽和磁束密度Bsも低い。
微結晶よりなる主磁性相の体積比率は、例えば透過型
電子顕微鏡を用いて、マトリックスの非晶質相と析出し
ている微結晶相の体積比にて求めればよい。
本発明の軟磁性薄膜を成膜するには、蒸着、スパッタ
リング、イオンプレーティング、CVD等の気相法を用い
ればよい。
成膜時には、通常、基板を水冷する。基板温度が高い
と成膜される軟磁性薄膜の主磁性相および酸化物相の結
晶粒が成長するため、基板温度は200℃以下が好まし
い。
基板の冷却法に特に制限はなく、例えば、水冷して成
膜すればよい。
軟磁性薄膜をスパッタ法により形成するには、例え
ば、以下のようにする。
ターゲットには、合金鋳造体や焼結体さらには複合タ
ーゲット等を用いる。
酸素を膜中に混入するためには、酸素雰囲気中の反応
性スパッタでもよく、あるいは、ターゲットに酸化物を
用いてもよい。
スパッタリングは、Ar等不活性ガス雰囲気下で行なわ
れる。
そして、反応性スパッタの場合は、酸素を0.2〜2.5体
積%程度含有させればよい。
スパッタの方式には特に制限はなく、また、使用する
スパッタ装置にも制限はなく、通常のものを用いればよ
い。
なお、動作圧力は、通常、RFスパッタの場合には3〜
30×10-3Torr程度、イオンビームスパッタの場合には1.
5〜2.5×10-4Torr程度とすればよく、このほかの諸条件
は、スパッタ方式の種類等に応じて適宜決定する。
成膜直後の膜は、非晶質でも、あるいは結晶質すなわ
ち結晶粒子が存在してもよい。
なお、Mと酸素は親和力が強いため、酸素含有量の多
い組成では成膜時にM酸化物の生成熱により膜が自己熱
処理され、良好な軟磁気特性が得られる。
軟磁性薄膜の軟磁気特性をより一層向上させるため熱
処理を行うことが好ましい。この場合、特に下記の条件
が好適である。
昇温速度:2〜10℃/分程度 保持温度:200〜550℃、特に300〜450℃程度 保持時間:5〜100分程度 冷却速度:2〜20℃/分程度 雰囲気 :1×10-4Torr以下の真空中またはAr等の不活性
ガス中 なお、本発明の場合、微細に分散したM酸化物やM炭
化物が、熱処理による結晶粒子の粒成長を抑制するた
め、平均結晶粒径Dは前記の範囲内となる。
得られた軟磁性薄膜の直流〜50Hz程度での保磁力Hc
は、2 Oe以下、より好ましくは1 Oe以下であることが好
ましい。
また、20MHzでの実効透磁率|μ|は1300程度以上の
ものが得られる。
保磁力Hcが前記範囲をこえると、あるいは初透磁率μ
が前記範囲未満であると、磁気ヘッドに適用したと
き、記録・再生感度が低下する傾向にある。
また、軟磁性薄膜の飽和磁束密度Bsは、12kG以上、特
に15kG以上のものが得られる。
前記範囲未満であるとオーバーライト特性が悪化し、
特に高保磁力の磁気記録媒体への記録が困難となる。
また、軟磁性膜の電気抵抗率ρは、100×10-6Ω・cm
以上、特に130×10-6Ω・cm以上のものが得られる。
このため、本発明の軟磁性薄膜は、例えば膜厚5μm
の薄膜の場合、5MHz程度、特に8MHz程度の周波数までは
|μ|は低下せず、高周波でも高透磁率が得られる。
なお、Bc、Hc、|μ|およびρは下記のとおり測定す
ればよい。
Bs:試料振動式磁力計(VSM)を用いて、10 kOeの磁場中
で行なう。
Hc:薄膜ヒストロスコープを用いて行なう。
|μ|:8の字コイル法を用いて3mOeの高周波磁場中にて
実数成分μ′と虚数成分μ″とを測定して実効透磁率|
μ|を算出する。
ρ:四端子法でシート抵抗を測定して求める。
本発明の軟磁性薄膜は薄膜磁気ヘッド等の各種磁気ヘ
ッドに適用できる。
第2図に、本発明を適用した好適実施例である浮上型
の薄膜磁気ヘッドを示す。
第2図に示される薄膜磁気ヘッドは、スライダ7上
に、絶縁層81、下部磁極層91、ギャップ層10、絶縁層8
3、コイル層11、絶縁層85、上部磁極層95および保護層1
2を順次有する。
本発明においてスライダ7は、材料として従来公知の
種々のものを用いればよく、例えばセラミックス、フェ
ライト等により構成される。
この場合、セラミックス、特にAl2O3−TiCを主成分と
するセラミックス、ZrO2を主成分とするセラミックス、
SiCを主成分とするセラミックスまたはAlNを主成分とす
るセラミックスが好適である。なお、これらには、添加
物としてMg、Y、ZrO2、TiO2等が含有されていてもよ
い。
スライダ7の形状やサイズ等の諸条件は公知の何れの
ものであってもよく、用途に応じ適宜選択される。
スライダ7上には、絶縁層81が形成される。
絶縁層81の材料としては従来公知のものは何れも使用
可能であり、例えば、薄膜製作をスパッタ法により行な
うときには、SiO2、ガラス、Al2O3等を用いることがで
きる。
絶縁層81の膜厚やパターンは公知の何れのものであっ
てもよく、例えば膜厚は、5〜40μm程度とする。
磁極は、通常図示のように、下部磁極層91と、上部磁
極層95として設けられる。
本発明では、下部磁極層91および上部磁極層95に、前
記式で表わされる原子比組成の軟磁性薄膜を用いる。
このため、高保磁力の磁気記録媒体に対してもオーバ
ーライト特性に優れ、記録・再生感度、特に、高周波数
での記録・再生感度が高い磁気ヘッドが得られる。
下部および上部磁極層91、95のパターン、膜厚等は公
知のいずれのものであってもよい。例えば下部磁極層91
の膜厚は1〜5μm程度、上部磁極層95の膜厚は1〜5
μm程度とすればよい。
下部磁極層91および上部磁極層95の間にはギャップ層
10が形成される。
ギャップ層10には、Al2O3、SiO2等公知の種々の材料
を用いればよい。
また、ギャップ層10のパターン、膜厚等は公知の何れ
のものであってもよい。例えば、ギャップ10の膜厚は0.
2〜1.0μm程度とすればよい。
コイル層11の材質には特に制限はなく、通常用いられ
るAl、Cu等の金属を用いればよい。
コイルの巻回パターンや巻回密度についても制限はな
く、公知のものを適宜選択使用すればよい。例えば巻回
パターンについては、図示のスパイラル型の他、積層
型、ジグザグ型等何れであってもよい。
また、コイル層11の形成にはスパッタ法、めっき法等
の各種気相被着法を用いればよい。
図示例ではコイル層11は、いわゆるスパイラル型とし
てスパイラル状に上部および下部磁極層91、95間に配設
されており、コイル層11と上部および下部磁極層91、95
間には絶縁層83、85が設層されている。
絶縁層83、85の材料としては従来公知のものは何れも
使用可能であり、例えば、薄膜作製をスパッタ法により
行うときには、SiO2、ガラス、Al2O3等を用いることが
できる。
また、上部磁極層95上には保護層12が設層される。保
護層12の材料としては従来公知のものは何れも使用可能
であり、例えばAl2O3等を用いることができる。
この場合、保護層12のパターンや膜厚等は従来公知の
ものはいずれも使用可能であり、例えば膜厚は10〜50μ
m程度とすればよい。
なお、本発明ではさらに各種樹脂コート層等を積層し
てもよい。
このような薄膜磁気ヘッドの製造工程は、通常、薄膜
作製とパターン形成とによって行なわれる。
各層の薄膜作製には、上記したように、従来公知の技
術である気相被着法、例えば真空蒸着法、スパッタ法等
を用いればよい。
薄膜磁気ヘッドの各層のパターン形成は、従来公知の
技術である選択エッチングあるいは選択デポジションに
より行なうことができる。エッチングとしてはウェット
エッチングやドライエッチングにより行なうことができ
る。
本発明を適用した薄膜磁気ヘッドは、アーム等の従来
公知のアセンブリーと組み合わせて使用される。
また、前記の薄膜磁気ヘッドを用いて、種々の方式の
オーバーライト記録を行うことができる。
本発明の軟磁性薄膜は、このような薄膜磁気ヘッドの
ほかMIG(メタル・イン・ギャップ)ヘッド等の各種磁
気ヘッドに適用できる。
また、熱処理温度が比較的低い300℃程度で十分な磁
気特性が得られるので、ポリイミドなどの高分子フィル
ムの上に成膜することもできるので、薄膜インダクタ等
にも適用できる。
<実施例> 以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに
詳細に説明する。
実施例1 イオンビームスパッタ装置を用いて、表1に示される
原子比組成を有し、膜厚、約5μmのFe−Zr−C−O軟
磁性薄膜を基板上に成膜した。
まず、純鉄ターゲット上にZrおよびC(カーボン)の
チップを対称性よく配置した複合ターゲットを用意し
た。そして、100mm径のバケット型イオンガンをもつイ
オンビームスパッタ装置にてArイオンを加速してターゲ
ットに当て、ターゲットから所定の距離に置かれている
基板上に膜厚約5μmの膜を成膜した。
この場合、真空チャンバーの基板に近い所から微量の
酸素を流し、反応性スパッタを行なった。
なお、基板には結晶化ガラス(コーニング社製 フォ
トセラム)を用い、間接水冷して、基板の温度を100℃
以下に保持した。
主な成膜条件は、下記のとおりである。
加速電圧:1200V ビーム電流:130mA 成膜速度:160Å/分 到達真空度:1×10-7Torr 成膜中真空度:1.5〜2.5×10-4Torr 次に得られた薄膜の磁気特性を向上させるために真空
度1×10-6Torr、温度300℃、保持時間1時間にて熱処
理を行なった後に、以下の方法で諸特性を評価した。な
お、比較サンプルNo.3だけは軟磁性を得るために、熱処
理温度を600℃とし、他の条件は実施例と同じように熱
処理した。
(1)膜組成 特別に純度99.85%のアルミニウム基板上に成膜し、
熱処理を行なった膜を用いて、EPMA法により求めた。
(2)実効透磁率(|μ|) 8の字コイル法を用い、3mOeの高周波磁場中で実数成
分μ′と虚数成分μ″を測定して|μ|を算出した。
(3)保磁力(Hc) 薄膜ヒストロスコープにより求めた。
(4)飽和磁束密度(Bs) VSMを用いて100 kOeの磁場中で測定した。
(5)電気抵抗率(ρ) 四端子法でシート抵抗を測定することにより求めた。
(6)結晶粒子の平均結晶粒径(D) X線回折法を用いてα−Fe(110)ピークの半値幅よ
り求めた。
(7)結晶粒子の含有率 透過型電子顕微鏡を用いて、マトリックスの非晶質相
と、析出している微結晶相の体積比より求めた。
結果は表1に示されるとおりである。
表1に示される結果から本発明の効果が明らかであ
る。
すなわち、いずれのサンプルも14kG以上の高いBsが得
られたが、0の含有量が少ない比較サンプルNo.3は、ρ
が低く、このため20MHzでの|μ|が低い。
また、Cを含有しない比較サンプルNo.4は、|μ|が
低く、Hcが高い。
これに対し本発明のサンプルNo.1およびNo.2は、Hcが
低く、ρが高い。
そして、20MHzにて1400以上の|μ|が得られた。
また第1図に、サンプルNo.1(本発明)およびサンプ
ルNo.3(比較)の|μ|の周波数特性を示す。
グラフから明らかなように、低周波数領域での|μ|
はほぼ同じであるが、約4MHz以上の高周波数領域での|
μ|は、サンプルNo.1の方が高い。
より詳細には、サンプルNo.3は、約3MHzから|μ|が
減少しはじめ、約33MHzでサンプルNo.1とクロスしてい
る。
これに対し、サンプルNo.1は、約5MHzまで|μ|が一
定であることがわかる。
なお、サンプルNo.2の|μ|の周波数特性もNo.1とほ
ぼ同等であった。
また、サンプルNo.1およびNo.2は熱的安定性や耐食性
も良好であった。
このほか、Y、La、Ce、Ti、Zr、Hf、V、HbおよびTa
から選ばれる種々の金属あるいは、Y、La、Ce、Ti、Z
r、Hf、V、HbおよびTaから選ばれる2種以上の金属を
用いてFe−M−C−O軟磁性薄膜を成膜して前記と同様
の評価を行なったところ同等の結果が得られた。
また、本発明の軟磁性薄膜を磁気ヘッドに適用して、
薄膜磁気ヘッドを製造した。
そして、高保磁力の磁気記録媒体に対し、記録・再生
を行なったところ、十分なオーバーライト特性と高周波
数での高い記録・再生感度等の優れた電磁変換特性が得
られた。この場合、保磁力1400 Oeの媒体に一定の波長
の信号を記録し、相対速度を変えて再生して得た再生周
波数特性の相対出力は、5MHzまで一定であった。
<発明の効果> 本発明の軟磁性薄膜は、飽和磁束密度Bsが高く、透磁
率μ特に高周波数でのμが高く、保磁力Hcが低い軟磁気
特性を有し、電気抵抗率ρが高く、しかも熱安定性が良
い。
加えて、耐食性が良い。
さらには、単層膜で前記の特性が得られるため、成膜
が容易であり、生産歩留りや量産性が高い。
また、本発明の軟磁性薄膜を例えば、磁気ヘッドに適
用する場合、高保磁力の磁気記録媒体へ十分な記録を行
なうことができ、十分なオーバーライト特性が得られ
る。
加えて、記録・再生感度、特に高周波数での記録・再
生感度が従来のものに比べ格段と向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、軟磁性薄膜の実効透磁率|μ|の周波数特性
が示されるグラフである。 第2図は、本発明の軟磁性薄膜を適用した薄膜磁気ヘッ
ドの1例が示される部分断面図である。 符号の説明 7……スライダ 81、83、85……絶縁層 91……下部磁極層 95……上部磁極層 10……ギャップ層 11……コイル層 12……保護層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−99203(JP,A) 特開 平2−229406(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 10/14 C22C 38/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe、M(Mは3A族元素、4A族元素および5A
    族元素から選ばれる1種以上である)、CおよびOを含
    有し、M、CおよびOの含有量をそれぞれa、bおよび
    cとしたとき2≦a≦15、4≦b+c≦35、1≦b≦3
    4、1≦c≦34であり、電気抵抗率100×10-6Ω・cm以上
    であり、Feを主成分とする主磁性相を有し前記主磁性相
    の結晶粒子の平均結晶粒径Dが1000Å以下であり、前記
    結晶粒子が全体の50体積%以上存在することを特徴とす
    る軟磁性薄膜。
  2. 【請求項2】Fe、M(Mは3A族元素、4A族元素および5A
    族元素から選ばれる1種類以上である)、CおよびOを
    含有し、M、CおよびOの含有量をそれぞれa、bおよ
    びcとしたとき2≦a≦15、4≦b+c≦35、1≦b≦
    34、1≦c≦34であり、単層膜での保磁力2 0e以下、電
    気抵抗率100×10-6Ω・cm以上であることを特徴とする
    軟磁性薄膜。
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