JP2000150233A - 磁性膜とその製造方法 - Google Patents

磁性膜とその製造方法

Info

Publication number
JP2000150233A
JP2000150233A JP24938199A JP24938199A JP2000150233A JP 2000150233 A JP2000150233 A JP 2000150233A JP 24938199 A JP24938199 A JP 24938199A JP 24938199 A JP24938199 A JP 24938199A JP 2000150233 A JP2000150233 A JP 2000150233A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
film
layer
resistance
intermediate layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP24938199A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayoshi Hiramoto
雅祥 平本
Nozomi Matsukawa
望 松川
Hiroshi Sakakima
博 榊間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP24938199A priority Critical patent/JP2000150233A/ja
Publication of JP2000150233A publication Critical patent/JP2000150233A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波特性にすぐれた高BS軟磁性材料とそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 磁性層と中間層とを備えた磁性膜であっ
て、前記磁性層は、(M 1α11β1100-δ11δ
1(但し、添え字のα1,β1,δ1は原子量%を示し、ま
たM1はFe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種
の磁性金属、X1はMg、Ca、Sr、Ba、Si、G
e、Sn、Al、Gaまたは前記M1をのぞく遷移金属
から選ばれた少なくとも1種、A1はO、Nの少なくと
も1種を表す)なる組成式で表され、0.1≦β1≦1
2 α1+β1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲を有し、前記中間層は、(M2α22β2
100-δ22δ2(但し、添え字のα2,β2,δ2は原子量
%を示し、M2はFe、Co、Niから選ばれた少なく
とも1種の磁性金属、X2はMg、Ca、Sr、Ba、
Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記M1をのぞく
遷移金属から選ばれた少なくとも1種、A2はO、Nの
少なくとも1種を表す)なる組成式で表される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク装
置(HDD)の記録ヘッド、磁気再生ヘッド。磁気イン
ピーダンスセンサーを始めとする磁気センサーや、磁気
コイル、インダクター等の磁気回路部品などで用いられ
る高飽和磁束密度を有する磁性膜およびその製造方法、
およびこれを用いた薄膜ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年HDDの記録最高周波数ののびは著
しく200MHzに近づいており、また高密度記録媒体
は高保磁力化に向かっている。このために、記録ヘッド
材料には高周波でも実効透磁率が高く、磁極飽和のしに
くい、すなわち材料値として一般に、高抵抗率(高ρ)
で強一軸異方性、さらに高飽和磁束密度(高Bs)を有
する材料が要求されている。
【0003】これらの要求に応えるために、例えばBs
が2T(テスラ)以上の材料としてスパッタリング法で
形成した、FeCrN(j.Appl.Phy.81
(8),15 April 1997)やFeRhN
(IEEE Trans.Magn.VVOl133.
No.5 1997)などF−N系材料が報告されてい
る。
【0004】これら高Bs材料は本質的に抵抗率が低い
ために、高周波で使用することが困難であるが、Al2
3 SiO2などの非磁性絶縁体と積層し、渦電流損失
を抑制して使用する方法が提案されている(日本応用磁
気学会 第103回研究会資料p2 1998)。
【0005】図40に示すように、米国特許第5、54
3、989号、米国特許第5、686、193号は、セ
ンダストのシード層とセンダストのバルク層とを含む積
層構造を含む磁極先端領域119および123を備えた
薄膜磁性層を開示している。
【0006】一方、単層膜で高ρを持つ材料としては、
Fe−M−O(M=Hf、Zr)(日本金属学会講演概
要 第122回 P179(424)1998)が知ら
れているが、Bsが低いのが難点である。このような高
Bs、あるいは、高ρ材料は、さらに一軸異方性を付与
し、強磁性共鳴損失を抑制できることが必要であるが、
これには、磁場中熱処や、磁場中成膜が行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の開発
した高Bs膜に一軸異方性をもうけた場合でも、薄膜ヘ
ッドに用いられる記録磁極形状は狭トラック化に伴う磁
極厚み/磁極幅のアスペクト比が大きくなるために、ギ
ャップ面垂直方向に反磁界による磁気異方性が生じる。
【0008】このために、磁化容易軸方向が膜面垂直方
向にシフトし、磁極全体の磁区構造が複雑化し、その結
果、高周波での磁気特性が悪くなるという課題があっ
た。
【0009】また従来の高Bs膜を絶縁抵抗層と積層し
た膜で磁極形成を行ったばあい、高Bs材料と、非磁性
材料を積層化する際に少なくとも2つの膜形成物質供給
源が必要となり、かつこれらを交互に成膜するために成
膜時間が長くなるという課題があった。
【0010】また、磁極パターンに微細加工をドライエ
ッチング技術を用いて行う際に、Fe、Co、Niと言
った遷移金属系の磁性体と、Al23やSiO2などの
非磁性絶縁物質では、エッチングレイトが大きく異な
る。したがって、例えばエッチングレイトが早い、ラジ
カルエッチングや、RIEを行った場合、これらの反応
は等方的であるために、磁性層、非磁性絶縁物層断面に
凹凸を生じてしまう。またそれぞれの層に対して使用す
る反応性ガス種を変更すると、ガス置換などのために全
体としての加工速度が遅くなり、また装置が煩雑になる
という課題があった。
【0011】またこれらの膜が高周波記録で使用される
場合、再生ヘッドとしてはスピンバルブ膜が用いられる
が、スピンバルブ膜を構成する磁性層のうちの少なくと
も一つが磁化が媒体磁界方向に固定されたピン層となっ
ており、この固定磁化の方向が、高周波化のために記録
磁極膜に必要な一軸異方性の方向と直交している。
【0012】従来開発されてきた記録用磁性膜では、一
軸異方性を形成しながら成膜、あるいは成膜後、磁場中
熱処理で一軸異方性を形成しているために、スピンバル
ブ膜の固定層を好ましい固定磁化方向にピンするために
施す別の磁場中熱処理により、記録用磁性膜の異方性が
弱まるという課題があった。
【0013】また、上部磁極形成時にスロープ部の膜質
が斜め成膜により膜質劣化が起こるという課題があっ
た。
【0014】本発明の目的は、高周波特性にすぐれた高
BS軟磁性材料とその製造方法を提供する事にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁性膜は、
磁性層と中間層とを備えた磁性膜であって、前記磁性層
は、(M1α11β1100-δ11δ1(但し、添え字の
α1,β1,δ1は原子量%を示し、またM1はFe、C
o、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性金属、X1
はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sn、Al、
Gaまたは前記M1をのぞく遷移金属から選ばれた少な
くとも1種、A1はO、Nの少なくとも1種を表す)な
る組成式で表され、 0.1≦β1≦12 α1+β1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲を有し、前記中間層は、(M2α22β2
100-δ22δ2(但し、添え字のα2,β2,δ2は原子量
%を示し、M2はFe、Co、Niから選ばれた少なく
とも1種の磁性金属、X2はMg、Ca、Sr、Ba、
Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記M1をのぞく
遷移金属から選ばれた少なくとも1種、A2はO、Nの
少なくとも1種を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β2≦80 α2+β2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲を有し、前記磁性層と前記中間層とが交互に
積層され、そのことにより上記目的が達成される。
【0016】少なくともX1がSi、Al、Ti、Vか
ら選ばれた少なくとも1種を含んでおよい。
【0017】M1=M2、かつX1=X2であってもよい。
【0018】A2がOを含んでもよい。
【0019】前記磁性層の平均厚みをT1、前記中間層
の平均厚みをT2とすると、 2nm≦T1≦150nm 0.4nm≦T2≦15nm 1≦T1/T2≦50 なる関係式を満足してもよい。
【0020】前記磁性膜は、 20nm<T1≦150nm 1nm<T2≦15nm 4≦T1/T2≦50 なる関係式を満足し、前記中間層を介して隣り合う前記
磁性層を構成する磁性結晶粒のうち少なくとも50%が
前記中間層で分離されていてもよい。
【0021】本発明に係る磁性膜は、磁性層と中間層と
を備えた磁性膜であって、前記磁性層は、(M1α11
β1100-δ11δ1(但し、添え字のα1,β1,δ1
は原子量%を示し、M1はFe、Co、Niから選ばれ
た少なくとも1種の磁性金属元素、X1はMg、Ca、
Sr、Ba、Si、Ge、Al、Gaまたは遷移金属で
あるIVa族またはVa族またはCrから選ばれた少な
くとも1種、A1はO、Nの少なくとも1種を表す)な
る組成式で表され、 0.1≦β1≦12 α1+β1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲を有し、前記中間層は、(M2α22β2
100-δ22δ2(但し、添え字のα2,β2,δ2は原子量
%を示し、M2はFe、Co、Niから選ばれた少なく
とも1種の磁性金属元素、X2はMg、Ca、Sr、B
a、Si、Al、GaまたはGeまたは遷移金属である
IVa族またはVa族またはCrから選ばれた少なくと
も1種、A2はO、Nの少なくとも1種を表す)なる組
成式で表され、 0.1≦β2≦80 α2+β2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲を有し、前記磁性層と前記中間層とが交互に
積層され、そのことにより上記目的が達成される。
【0022】少なくともX1がSi、Al、Ti、Vか
ら選ばれた少なくとも1種を含んでもよい。
【0023】M1=M2、かつX1=X2であってもよい。
【0024】A2がOを含んでもよい。
【0025】前記磁性層の平均厚みをT1、前記中間層
の平均厚みをT2とすると、 2nm≦T1≦150nm 0.4nm≦T2≦15nm 1≦T1/T2≦50 なる関係式を満足してもよい。
【0026】前記磁性膜は、 20nm<T1≦150nm 1nm<T2≦15nm 4≦T1/T2≦50 なる関係式を満足し、前記中間層を介して隣り合う前記
磁性層を構成する磁性結晶粒のうち少なくとも50%が
前記中間層で分離されていてもよい。
【0027】本発明に係る磁性膜は、磁性層と中間層と
を備えた磁性膜であって、前記磁性層は、(M1α11
β11γ1100-δ11δ1(但し、添え字のα1,β1
γ1、δ1は原子量%を示し、M1はFe、Co、Niか
ら選ばれた少なくとも1種の磁性金属元素、X1はM
g、Ca、Sr、Ba、Si、Al、GaまたはGeま
たは遷移金属であるIVa族またはVa族またはCrか
ら選ばれた少なくとも1種、Z1はZn、Rh、Ru、P
tから選ばれた少なくとも1種、A1はO、Nの少なく
とも1種を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β1≦12 0.1≦γ1≦8 α1+β1+γ1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲を有し、前記中間層は、(M2α22β22
γ2100-δ22δ2(但し、添え字のα2,β2,γ2
δ2は原子量%を示し、M2はFe、Co、Niから選ば
れた少なくとも1種の磁性金属元素、X2はMg、C
a、Sr、Ba、Si、Al、GaまたはGeまたは遷
移金属であるIVa族またはVa族またはCrから選ば
れた少なくとも1種、Z2はRh、Ru、Ptから選ば
れた少なくとも1種、A2はO、Nの少なくとも1種を
表す)なる組成式で表され、 0.1≦β2≦80 0.1≦γ2≦8 α2+β2+γ2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲を有し、前記磁性層と前記中間層とが交互に
積層され、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】少なくともX1がSi、Al、Ti、Vか
ら選ばれた少なくとも1種を含んでもよい。
【0029】M1=M2、かつX1=X2であってもよい。
【0030】A2がOを含んでもよい。
【0031】前記磁性層の平均厚みをT1、前記中間層
の平均厚みをT2とすると、 2nm≦T1≦150nm 0.4nm≦T2≦15nm 1≦T1/T2≦50 なる関係式を満足してもよい。
【0032】前記磁性膜は、 20nm<T1≦150nm 1nm<T2≦15nm 4≦T1/T2≦50 なる関係式を満足し、前記中間層を介して隣り合う前記
磁性層を構成する磁性結晶粒のうち少なくとも50%が
前記中間層で分離されていてもよい。
【0033】本発明に係る高抵抗磁性膜は、MαXβ
(NδOε)γ(但し、添え字のα、β、γ、δ、εは
原子量%を示し、MはFe、Co、Niから選ばれた少
なくとも1種の磁性金属、XはMg、Ca、Sr、B
a、Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記Mをのぞ
く遷移金属から選ばれた少なくとも1種)なる組成式で
表される高抵抗磁性膜であって、前記Xが、窒素化物生
成自由エネルギーが最も低い窒化物となるときの化学式
をXNm、酸化物生成自由エネルギーが最も低い酸化物
となるときの化学式をXOn、とすると、前記高抵抗磁
性膜は、 α+β+γ=100 45≦α≦78 δ+ε=100 1<100×γ/β/(m×δ+n×ε)<2.5 の組成範囲を有し、前記高抵抗磁性膜は、結晶粒を含
み、前記結晶粒の最短径が20nm以下であり、そのこ
とにより上記目的が達成される。
【0034】本発明に係る高抵抗磁性積層膜は、磁性層
と中間層とを備えた高抵抗磁性積層膜であって、前記磁
性層は、高抵抗磁性膜を含み、前記高抵抗磁性膜がM
1m11 n11q1、前記中間層がM2m22n22q2、(但
し、添え字のm1、n1、q1、m2、n2、q2は原
子量%を示し、M1、M2はFe、Co、Niから選ばれ
た少なくとも1種の磁性金属、X1、X2はMg、Ca、
Sr、Ba、Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記
磁性金属をのぞく遷移金属から選ばれた少なくとも1
種、A1、A2はO、Nの少なくとも1種を表す)なる組
成式で表され、前記高抵抗磁性膜と前記中間層とは、 M1=M2、X1=X2 q1<q2 なる関係を満足し、前記高抵抗磁性膜と前記中間層とが
交互に積層され、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0035】本発明に係る高抵抗層の製造方法は、磁性
薄膜あるいは磁性層上に、Mg、Ca、Sr、Ba、S
i、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記M1をのぞく遷
移金属から選ばれた少なくとも1種以上の元素を10原
子量%以上含む低抵抗層を形成するステップと、前記低
抵抗層を酸素雰囲気化、窒素雰囲気化、酸素プラズマ雰
囲気化および窒素プラズマ雰囲気化のいずれかで、酸化
あるいは窒化させるステップとを包含し、そのことによ
り上記目的が達成される。
【0036】前記磁性薄膜あるいは前記磁性層は、酸素
親和性元素を含んでもよい。
【0037】本発明に係る磁性積層膜は、磁性薄膜と高
抵抗層とが交互に積層される磁性積層膜であって、前記
磁性薄膜の平均厚みをT3、前記高抵抗層の平均厚みを
4とすると、 100nm≦T3≦1000nm 2nm<T4≦50nm 10≦T3/T4≦500 なる関係式を満足し、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0038】前記磁性薄膜は、磁性層と中間層とを含
み、前記磁性層がM111、前記中間層がM222
前記高抵抗層がM333(M1〜M3はFe、Co、N
iから選ばれた少なくとも1種の磁性金属、X1、X2
3はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sn、A
l、Gaまたは前記磁性金属をのぞく遷移金属から選ば
れた少なくとも1種、A1、A2、A3はO、Nの少なく
とも1種を表す)なる組成式で表され、前記磁性層と前
記中間層と前記高抵抗層とは、少なくともM1=M2=M
3、X1=X2=X3なる条件を満たしてもよい。
【0039】本発明に係る薄膜ヘッドは、上部磁極と下
部磁極とを備え、少なくとも前記上部磁極は、比抵抗が
80μΩcm以上である高抵抗磁性膜または高抵抗磁性
積層膜と、磁性薄膜または磁性積層膜とを含み、前記上
部磁極と前記下部磁極とは、記録ギャップを形成し、少
なくとも前記上部磁極の先端部の記録ギャップの近傍に
は、前記磁性薄膜または前記磁性積層膜が形成され、そ
のことにより上記目的が達成される。
【0040】少なくとも前記記録ギャップ上に前記磁性
薄膜または前記磁性積層膜が形成され、前記磁性薄膜ま
たは前記磁性積層膜上に比抵抗が80μΩcm以上であ
る高抵抗磁性膜または高抵抗磁性積層膜が形成されても
よい。
【0041】本発明に係る薄膜の製造方法は、披膜形成
物と膜形成物質供給源とを相対的に移動させる第1ステ
ップと、磁性薄膜と磁性積層膜と高抵抗磁性膜と高抵抗
磁性積層膜との少なくとも1つを成膜する第2ステップ
とを包含し、前記披膜形成物と前記膜形成物質供給源と
が互いに相対的に移動する移動方向に磁性薄膜と磁性積
層膜と高抵抗磁性膜と高抵抗磁性積層膜との少なくとも
1つの磁化困難軸が形成され、そのことにより上記目的
が達成される。
【0042】移動方向は、薄膜ヘッドの上部磁極のデプ
ス方向を含んでもよい。
【0043】前記第1ステップは、前記移動方向に略直
角で、かつ前記被膜形成物上の、成膜面内に略平行に、
50(Oe)以上の略一様でかつ略一方向の磁場を形成
する気相成膜法を用いて成膜するステップを包含しても
よい。
【0044】前記第1ステップは、気相成膜装置内での
酸素または酸素プラズマあるいは窒素または窒素プラズ
マの濃度を変化させることで成膜するステップを包含し
てもよい。
【0045】成膜中の前記披膜形成物の実質的な温度が
300℃以下であってもよい。
【0046】本発明に係るハードディスク装置は、本発
明に係る磁性膜を少なくとも磁極あるいはシールドの一
部に用い、そのことにより上記目的が達成される。
【0047】本発明に係るハードディスク装置は、本発
明に係る高抵抗磁性膜を少なくとも磁極あるいはシール
ドの一部に用い、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0048】本発明に係るハードディスク装置は、本発
明に係る磁性積層膜を少なくとも磁極あるいはシールド
の一部に用い、そのことにより上記目的が達成される。
【0049】本発明に係るハードディスク装置は、本発
明に係る薄膜ヘッドを用い、そのことにより上記目的が
達成される。
【0050】本発明のある局面に従えば、高周波での軟
磁気特性に優れ、かつ高Bsを持つ磁性膜を得ることが
できる。これは磁性層を中間層で磁気的にほぼ分断する
ことで、中間層を介する磁性層同士が静磁結合によって
磁壁エネルギーを減少すること、あるいは中間層により
磁性結晶粒の粒成長を抑制し、微細にすることで、見か
けの結晶磁気異方性が低下する、いわゆる微細化効果に
より軟磁気特性が向上することによると思われる。
【0051】また、何れの場合でも、膜微細加工時に、
膜厚/膜幅が、高アスペクト比を持つ場合でも、膜垂直
方向の形状磁気異方性エネルギーが抑制されるために、
優れた高周波特性を示すことができるが、特に薄膜ヘッ
ドの上部磁極のギャップ近傍に静磁結合タイプの磁性膜
を用いた場合、中間層で分離された異なる磁性層同士の
磁化が、磁極部の側面において静磁結合を行い、見かけ
上一軸異方性を形成したことと同様の好ましい磁化方向
を向く傾向があるために、磁場中の熱処理や磁場中成膜
を行わずとも、高周波特性が向上する。
【0052】M1はFe、FeCo合金、FeCoNi
合金の何れでもよく、また磁性層中に含まれるX1は少
なくとも0.1%以上あれば材料の耐食性をたかめる、
あるいは磁性金属の結晶粒径を微細化する、磁性結晶粒
の結晶磁気異方性を下げる、磁歪を小さくするなどの少
なくとも一つ以上の効果があり、例えばM1がFeの場
合それぞれの添加量にもよるが、Zn、Pt、Rh、R
u等は耐食性を高め、Cr、Ge、Ga、V、Al、S
i、Ti、Moは結晶磁気異方性をさげ、Ti、Si、
Snは磁歪を下げるなどの効果が見られる。M1は1種
類でも効果があるが、2種以上の複合添加でも、さらに
結晶粒径を下げる働きが顕著になる。またA1が添加さ
れることでさらに結晶粒径が微細化され、軟磁気特性が
向上する効果がある。ここでβ1が12%、δ1が10%
より多くなるとになるとBsが低下するために好ましく
ない。
【0053】また、中間層に遷移金属が含まれるため
に、例えば遷移金属のカルボニル生成を伴うRIE法な
どを用いても、微細パターン形状を比較的容易に作成す
ることができる。加工性の点からは例えばCr、Ptな
どの遷移金属単体を中間層に用いることが好ましく、ま
た層間の渦電流損失を抑制することからは、SiO2
23など高抵抗酸化物を用いることも好ましいが、本
発明の中間層では、比較的乖離エネルギーが小さい、酸
化物、窒化物、あるいは酸窒化物であるために、比較的
加工性がよく、かつ渦電流を十分抑制できる程度の高抵
抗を両立できる。
【0054】また中間層に含まれるX2はA2と反応生成
物を形成することで磁性層との分離を促す効果があり、
たとえ本発明の中間層が渦電流を抑制しない組成あるい
は厚みにおいても、静磁結合や、結晶粒の微細化に優れ
た働きを持つ。このときX2は0.1%以上で効果が見
られ、80%よりも多くなると、微細形状にパターン化
する場合に加工性が悪い、あるいは内部応力歪みによる
磁気劣化が起こるなどの問題がある。
【0055】またδ2は磁性層の分離を充分にするため
にはδ1よりもOまたはN濃度が高いことが必要であ
る。δ2濃度が67%を超えると、成膜温度以上の温度
で熱処理した場合に過剰な酸素、あるいは窒素がガス離
脱し、膜に損傷を与えることがあるために67%以下で
あることが必要である。
【0056】また前記構成において、M1=M2、かつX
1=X2である磁性薄膜では磁性層と同元素を共有する中
間層を用いることで、異種界面に発生する界面エネルギ
ーを抑制でき、そのために界面に発生する内部応力によ
る磁気弾性エネルギーが小さく、膜内部の異方性エネル
ギーを低めることができる。またその結果として軟磁気
特性に優れ、かつ高Bsを持つ磁性膜を得ることができ
る。さら本発明の構成を持つ磁性薄膜の中間層が静磁結
合を可能にするに充分な厚みを持つ場合、界面の歪みに
より発生する垂直磁化を抑制できるために、静磁結合が
より有効に働く磁区構造が実現される。
【0057】また比較的界面エネルギーが低いために成
膜時、あるいは成膜後に歪みエネルギーを除去するため
の高温成膜、あるいは高温での歪み取り熱処理が不要で
あり、300℃以下の低温プロセスで容易に軟磁性を生
じることができる。さらに通常異種材料同士の積層膜に
おいては、界面エネルギーの低い材料同士の組み合わせ
では、層間剥離が生じやすくなるが本発明の構成を持つ
異性膜では、共通する元素がノリの働きを持つために強
度も高い。またさらにM1=M2、かつX1=X2であるた
めに、例えば気相成膜法を用いて作製する場合、膜形成
物質供給源が一つでも簡便に成膜できる利点がある。ま
た本構成の場合、各磁性層と中間層は組成が連続的に変
調した構造になっていても同様の効果がある。
【0058】本発明の他の局面に従えば、中間層に含ま
れるX2が何れも酸化物生成自由エネルギーが低いため
にA2と反応生成物を容易に形成でき、比較的薄い中間
層厚においても磁性層同士の適度な分離効果が高い。
【0059】本発明のさらに他の局面に従えば、磁性
層、中間層のそれぞれに、Rh、Ru、Ptから選ばれ
た少なくとも1種が添加されることで、薄膜材料の耐食
性が顕著に向上する。ここでこれらの元素の含有量は、
0.1%以上で効果があるが8%以上になると飽和磁束
密度の低下とともに、軟磁気特性の劣化が起こる。
【0060】また前記構成において、少なくともX1
Si、Al、Ti、Vから選ばれた少なくとも1種であ
る磁性薄膜においては、磁性層を構成する結晶粒内に、
Si、Al、Ti、Vが僅かに含まれる場合は結晶磁気
異方性エネルギーが小さくなるために、磁壁エネルギー
の低下や、微細化効果が顕著に起こり、軟磁気特性がさ
らに優れた値を示す。またこれらの元素が磁性層内のO
あるいはNと反応した場合は、結晶粒の成長を抑制し、
微細化効果を促進させる働きがある。あるいはさらに中
間層にこれらの元素が含まれる場合は、何れの元素も酸
化物、あるいは窒化物生成自由エネルギーが大きく、ま
た拡散定数が大きいために比較的薄い厚みで有効な中間
層を形成することができる。この比較的薄い中間層は、
これを介した磁性層間の静磁結合が強まるために、磁壁
エネルギーの減少が大きく、また中間層による膜全体の
飽和磁束密度の低下が少ない。
【0061】また前記構成において、中間層に含まれる
2がOである磁性薄膜では、中間層の熱安定が特に高
く、例えばスピンバルブ膜の反強磁性膜をHDDの動作
環境温度で、固定する際に必要な磁場中熱処理温度が比
較的高い場合においても、軟磁気特性の劣化が起こらな
い。
【0062】本発明のさらに他の局面に従えば、優れた
軟磁気特性とともに高Bsを持つことができる。これは
磁性結晶粒の微細化効果の一種によって軟磁気特性が現
れているものと思われる。
【0063】ここで磁性層は、結晶粒あるいは非晶質を
僅かに含む結晶粒で構成され、隣り合う磁性層同士は、
中間層で完全に分離されている必要はない。中間層を挟
む磁性層の結晶粒が部分的には結晶学的に連続している
ように観察されても、膜面内と中間層を通る膜垂直方向
では結晶粒の磁気的なつながりの強さが変わる。
【0064】このために、例えば薄膜ヘッドの磁極とし
て微細形状の加工しても、垂直方向の形状異方性の影響
を受けず高周波で優れた軟磁気特性を示す。とくに中間
層が非晶質または非晶質を含む微結晶であるときに優れ
ている。磁性層は2nmより小さいと磁気特性が劣化
し、20nm以上では粒成長しすぎている。また中間層
は0.4nm以上でないと効果的な結晶粒の微細化がで
きず、また2nm以下でないと磁性層間を通じた交換結
合が弱まるためか、軟磁気特性に劣化が見られる。ま
た、Bsの点から、膜厚比は1≦T1/T2≦50である
ことが好ましい。
【0065】本発明のさらに他の局面に従えば、高Bs
であるとともにさらに軟磁気特性の高周波特性が優れて
いる。この構成の範囲の膜は主として静磁結合効果の一
種によるものと思われる。ここで磁性層は、結晶粒ある
いは非晶質相を僅かに含む結晶粒で構成される。
【0066】両磁性層が中間層により電気的に絶縁され
ている必要はない。磁性層は20nm以下、あるいは1
50nmより大きいと静磁結合が効果的でなくなる。ま
た中間層が2nm以下では磁性層間を充分に分離でき
ず、交換結合が支配的となる。
【0067】また15nmを超える場合では、磁性層間
の距離が遠く充分な静磁結合を起こしにくい。これらの
静磁結合に加え、磁性層を構成する結晶粒子の最短径
が、微細化効果を起こすのに充分な20nm程度以下で
あればさらに軟磁気特性は向上する。これら好ましい層
厚は本発明の組成範囲の磁性薄膜の静磁結合により減少
する静磁エネルギーと、積層化の結果生じる磁区構造に
関係する諸エネルギーの合計が最小になるバランスの結
果決定されてたものと思われる。またBsの点から、膜
厚比は4≦T1/T2≦50であることが好ましい。
【0068】本発明のさらに他の局面に従えば、高抵抗
層による渦電流抑制効果効果のほか、磁性層、中間層お
よび高抵抗層の組成構成が近いために、異種界面に発生
する界面エネルギーを抑制でき、そのために界面に発生
する内部応力による磁歪×歪エネルギーが小さく、膜内
部の異方性エネルギーを低めることができる。
【0069】その結果、総膜厚が比較的厚い場合におい
ても軟磁気特性に優れ、かつ高Bsを持つ磁性膜を得る
ことができる。また界面エネルギーが低いために成膜
時、あるいは成膜後に歪みエネルギーを除去するための
高温成膜、あるいは高温での歪み取り熱処理が不要であ
り、300℃以下の低温プロセスで容易に軟磁性を生じ
ることができる。
【0070】さらに本発明の磁性膜の組成構成によって
は、気相成膜法を用いて作製する場合、膜形成物質供給
源が一つでも作製が可能であり、このために装置が簡便
でかつ量産性に優れた高速成膜が行える。さらに通常異
種材料同士の積層膜においては、界面エネルギーの低い
材料同士の組み合わせでは、層間剥離が生じやすくなる
が本発明の構成を持つ異性膜では、共通する元素がノリ
の働きを持つために強度も高い。
【0071】また前記構成の磁性積層膜の高抵抗層を、
まず、磁性薄膜、あるいは磁性層上に、Mg、Ca、S
r、Ba、Si、Al、Ti、Crから選ばれた少なく
とも1種以上の元素を10原子量%以上含む低抵抗層を
形成し、次に、前記低抵抗層を酸素または窒素あるいは
酸素プラズマ、窒素プラズマ雰囲気化で、酸化あるいは
窒化させることで形成する製造方法では、比較的薄く絶
縁性に優れてた高抵抗層を作製できる。低抵抗層は、S
i、Al、Ti、Crのそれぞれの単一組成でもよく、
またこれらの合金膜でも良い。また例えばFeをはじめ
とする磁性遷移金属との合金であってもMg、Ca、S
r、Ba、Si、Al、Ti、Crが10原子量%以上
あれば、優れた高抵抗膜を作製できる。比較的薄い絶縁
層は、静磁結合特性に優れるために、高い軟磁気特性を
優れた高周波特性が両立できる。
【0072】また本発明の、少なくとも上部磁極が比抵
抗が80μΩcm以上である高抵抗磁性膜または高抵抗
磁性積層膜と前記構成の磁性薄膜または磁性積層膜から
なり、少なくとも前記上部磁極の先端部の記録ギャップ
近傍部には、前記磁性薄膜または前記磁性積層膜が形成
された構成を持つ薄膜ヘッドでは、高周波においても比
較的低い記録電流で優れたオーバーライト特性を示す。
これは、上部磁極の中でも、コア幅が狭く絞り込まれた
磁束の飽和が起こりやすい記録ヘッドのギャップ先端部
に本発明の高Bs材料を用い、またこのギャップ先端部
に磁束を誘導する他の上部磁極部には、渦電流損失の少
ない高抵抗磁性膜あるいは高抵抗磁性積層膜を用いるこ
とによる。
【0073】高抵抗膜は、高抵抗層と磁性層の積層膜で
もよく、またグラニュラーと見なせる微結晶粒の粒界が
高抵抗非晶質物質でほぼ囲まれた、高抵抗単層膜でもよ
く、比抵抗が80μΩcm以上である軟磁性膜であるこ
とが重要である。また上部磁極と同様に、下部磁極にお
いても本発明の構成を用いることでさらに記録電流が少
なくなる。
【0074】また、少なくとも記録ギャップ上に前記構
成の磁性薄膜または磁性積層膜が形成され、前記磁性薄
膜または前記磁性積層膜上に比抵抗が80μΩcm以上
である高抵抗磁性膜または高抵抗磁性積層膜が形成され
た構成を持つ前記構成の薄膜ヘッドでは、比較的低い記
録電流で優れたオーバーライト特性を示す薄膜ヘッド
を、容易なプロセスで作製することが可能である。ここ
で先と同じように高抵抗膜とは、比抵抗が80μΩcm
以上である軟磁性膜であれば良い。
【0075】本発明のさらに他の局面に従えば、高周波
特性に優れたヘッドが作製できる。
【0076】これは、本発明の組成と構造を持つ高抵抗
材料では、渦電流損失を押さえることができるために、
高周波での記録能力を著しく改善できるためである。8
0μcm以上の比抵抗は、磁性結晶粒界に形成された、
高抵抗のX−OまたはN化合物による。
【0077】また、O、Nは上式の表される範囲のよう
に、X−OまたはN化合物を形成するのに必要な量以上
含まれていることが重要である。軟磁気特性は最短径が
20nm以下の微結晶粒による。この微結晶粒は、針状
に近い粒構造をもつかあるいは、粒状に近い形状を持
つ。
【0078】本発明のさらに他の局面に従えば、さらに
高周波特性に優れたヘッドが作製できる。先の高抵抗薄
膜では最短径が20nm以下である微結晶あるいは微結
晶と非晶質から構成されるため、結晶粒界が多くなり、
その結果、局所的に、磁壁移動がスムーズでなくなり磁
壁共鳴損失が大きいことがある。
【0079】しかしながら、本発明のように積層化する
事により、膜全体の静磁エネルギーが減少するように、
磁壁構造が変化した結果、磁壁エネルギーが低下し、高
周波における磁壁共鳴損失が低下したものと思われる。
また、高抵抗磁性膜からの漏れ磁界を高抵抗磁性膜内お
よび上部磁極を構成する磁性薄膜または磁性積層膜の間
で静磁結合が行われた場合、ヘッド全体の静磁エネルギ
ーが減少し高周波特性が向上する。
【0080】また、磁性層、中間層の組成構成が近いた
めに、異種界面に発生する界面エネルギーを抑制でき、
そのために界面に発生する内部応力による磁歪×歪エネ
ルギーが小さく、膜内部の異方性エネルギーを低めるこ
とができる。さらに本発明の高抵抗磁性膜の構成によっ
ては、気相成膜法を用いて作製する場合、膜形成物質供
給源が一つでも作製が可能であり、このために装置が簡
便でかつ量産性に優れた高速成膜が行える等の利点があ
る。
【0081】また前記構成で、磁性薄膜および磁性積層
膜および高抵抗磁性膜および高抵抗磁性積層膜を披膜形
成物と膜形成物質供給源が膜形成時に互いの位置関係が
相対的に移動する気相成膜法を用いて成膜され、かつ前
記相対的な移動を行う移動方向に薄膜の磁化困難軸が形
成される薄膜の製造方法では膜に生じた一軸磁気異方性
が、主に磁性膜を構成する磁性結晶粒子の成長方向と微
細な結晶粒径によって決定されるために、例えばスピン
バルブ膜の反強磁性膜をHDDの動作環境温度で、固定
する際に必要な、磁性薄膜および磁性積層膜および高抵
抗磁性膜の磁化容易軸方向に対して直角方向に磁界をか
けて熱処理を施しても、異方性が乱れることが少ない。
【0082】また前記構成の相対的な移動を行う移動方
向が、薄膜ヘッドの上部磁極のデプス方向である薄膜ヘ
ッドの薄膜製造方法では、上部磁極のデプス方向に熱処
理に対して安定な磁化困難磁区が形成されるとともに、
上部磁極のスロープ面の膜質も改善されるために、優れ
た記録特性を持つ薄膜ヘッドが作製できる。
【0083】また相対的な移動を行う移動方向に略直角
で、かつ被膜形成物上の、成膜面内に略平行に、50
(Oe)以上の略一様でかつ略一方向の磁場を形成した
気相成膜法を用いて成膜する前記構成の磁性薄膜および
磁性積層膜および高抵抗磁性膜および薄膜ヘッドでは、
磁性膜あるいは磁性積層膜と、高抵抗磁性膜ありは高抵
抗磁性積層膜の一軸異方性の強度を揃える働きがあり、
ヘッド全体としての高周波特性が安定する。
【0084】本発明のさらに他の局面に従えば、磁性薄
膜の磁性層と中間層、磁性積層膜の磁性層と中間層およ
び高抵抗層また高抵抗磁性膜や高抵抗磁性積層膜の磁性
層および中間層を同一の膜形成物質供給源を用いて作製
することが可能で、成膜装置が小型で、かつ高速に成膜
できる。
【0085】また、成膜中の披膜形成物の実質的な温度
が300℃以下である前記構成の磁性薄膜および磁性積
層膜および高抵抗磁性膜および高抵抗磁性積層膜および
薄膜ヘッドの製造方法では、比較的低温であるために、
熱拡散による構造緩和などが行われにくいものの、本来
熱安定性の悪いために、500℃近い高温では使用でき
ない極薄中間層を用いることができる。この極薄中間層
は、磁性薄膜が、前記構成の静磁結合タイプであれば、
中間層を介して隣り合う磁性層間に、最も強い静磁結合
を行うことができ、またBsを低下させない極薄高抵抗
層も容易に実現できる。また本来、高Bs組成で、つま
り金属磁性元素比が高い組成では、熱処理により粒成長
しやすい。しかしながら製造温度が比較的低温であるた
めに、結晶粒を微細に保つことが容易であるために、前
記構成の微細化効果が用いた磁性薄膜や磁性積層膜が容
易に実現できる。このため高Bs、高抵抗、優れた高周
波特性を両立し、さらに微結晶や非晶質に由来する高耐
食性を備えた薄膜ヘッドが実現できる。
【0086】また前記構成の磁性薄膜または磁性積層膜
または高抵抗磁性膜または高抵抗磁性積層膜を少なくと
も磁極あるいはシールドの一部に用いたハードディスク
装置および前記ハードディスク装置を用いた情報処理装
置では100MHz以上の周波数での高記録密度が達成
できるために、装置の小型化、軽量化ができる。
【0087】また前記構成の薄膜ヘッドを用いたハード
ディスク装置および前記ハードディスク装置を用いた情
報処理装置では、高記録密度の達成による装置の小型
化、軽量化に加え、記録電流が少ないために、省電力化
が行え、その結果例えばハードディスクを装備した携帯
用の情報処理装置のバッテリーの小型化や装置の連続使
用時間の長時間化ができる。
【0088】
【発明の実施の形態】本発明の構造、組成を持つ磁性薄
膜は、低ガス圧雰囲気で蒸着法により形成することが最
良である。蒸着法の中で特に優位な手法としての差異は
ないが、例えば高周波マグネトロンスパッタリング、直
流スパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、イ
オンビームスパッタリング等に代表されるスパッタリン
グ法や、基板付近に反応性ガスを導入部と、蒸着材料を
溶解する溶解部をもった反応性蒸着法等で実現できる。
スパッタリング法で本発明を実施するには、まず本発明
の磁性膜を構成する磁性層、中間層、あるいは磁性積層
膜を構成する磁性層、中間層、高抵抗層、あるいは高抵
抗磁性膜のそれぞれ成膜後の組成を考慮して組成決定し
た合金ターゲットを不活性ガス中でスパッタし基板上に
成膜させる、あるいは金属ターゲット上に、添加元素ペ
レットを配置してスパッタする、あるいは添加物の一部
をガス状態で装置内にドーピングする反応性スパッタを
する等して、各層を必要な厚みだけ順次成膜をすればよ
い。ここで放電を行う電極は組成によっては、最小1基
でも可能である。
【0089】ここで放電ガス圧、放電電力、あるいは基
板の温度、基板のバイアス状態やターゲット上、及び基
板近傍の磁場値、あるいはターゲット形状、基板へ入射
粒子の方向、放電ガス種類を制御することで、本発明の
磁性膜の構造とともに見かけの熱膨張係数、基板とター
ゲット位置による膜特性等が制御できる。
【0090】
【実施例】以下の実施例中、薄膜はRFマグネトロンス
パッタリング、あるいはDCマグネトロンスパッタリン
グを用いて作製した。以下で基板温度として、室温から
100℃程度に幅があるのは、成膜時のエネルギーによ
る自然昇温であり、実際には250℃以下程度であれば
本実施例の好ましい磁性薄膜を作製することが可能であ
る。膜構造はX線回折(XRD)、透過型電子顕微鏡
(TEM)を用いて観察した。また組成分析はEPMA
(Electron Probe Microanal
ysis)、また抗磁力はBHループトレーサー、飽和
磁束密度はVSM(Vibration sample
magnetometer)で評価した。本実施例
中、中間層、磁性層をはじめとする各層の組成は、主に
それぞれの層を形成する条件で3μm程度の厚みに作製
した単層膜からの組成値で示している。
【0091】以下本発明の実施例の詳細を記す。
【0092】(実施例1)本実施例では磁性層をFeS
i、中間層をFeSiOとする磁性薄膜の磁性層厚と中
間層厚について調べた結果を示す。
【0093】実験条件は次の通りである。
【0094】 基板:非磁性セラミックス基板 基板温度:室温〜100℃ 磁性膜ターゲット:FeSi合金ターゲット ターゲットサイズ 3インチ 放電ガス圧 8mTorr 放電電力 300W スパッタガス 磁性層 Ar 中間層 Ar+O2 酸素分流比 O2/(Ar+O2) 3あ るいは25% 尚、本実施例でArのみで単層膜を作製した時の膜組成
は約Fe94.0Si6.0であった。
【0095】以下の表中の実施例ではBsが1.5
(T)以上、抗磁力が2.0(Oe)以下であること目
安としているが、用途によってはBsが1.5T以下、
あるいは抗磁力がより大きくても充分である。
【0096】図1〜図4に同一のFeSi合金ターゲッ
トを用いて、磁性層をArガスのみで、また中間層を酸
素分流比25%で作製した場合のFeSi/FeSiO
磁性薄膜について、磁性層と中間層の厚みを変化させた
ときの磁気特性を示す。
【0097】図5に中間層の酸素分流比を3%として作
製した場合のFeSi/FeSiO磁性薄膜について、
磁性層の厚みを変化させた結果を示す。
【0098】また図1に見られる(比較実施例ab)と
(実施例aa)の膜の断面TEMの観察を行ったとこ
ろ、中間層が比較的薄い(比較実施例ab)において
は、磁性層を構成する磁性結晶粒の50%より多くの粒
子が、中間層を超えて隣の磁性層にまたがってることが
わかった。また中間層は比較的薄いが軟磁気特性の良好
な(図2)における(実施例ba)の膜では、多くの結
晶粒子が中間層を超えて隣の磁性層にまたがってはいる
ものの、中間層と磁性層の周期が短いために、膜全体と
しての結晶粒の分断は(比較実施例ab)より良好であ
った。これらのことから、比較的磁性層が厚い磁性薄膜
では、たんに中間層と磁性層の周期厚みだけでなく、少
なくとも50%以上の結晶粒が中間層で分離されている
ことが重要であることがわかる。
【0099】また図1〜4の磁性層は何れも10nm以
上の結晶粒であったのに対し、中間層は、非晶質、ある
いは数nm程度の微結晶を含んだ非晶質となっていた。
【0100】本実施例の磁性薄膜は、磁性層、中間層作
製時に十分プレスパッタして行った。また前記実施例の
他、Arガス雰囲気中で、RFスパッタにより磁性層を
成膜中に、間欠的に酸素ガスを導入し中間層を形成する
ことで、中間層と磁性層を交互に連続して磁性薄膜を作
製した。この場合、チャンバー内の残留酸素ガスが充分
に排気されていないために、磁性層中には1%〜2%の
酸素ガスが添加されることが分かった。この連続作製し
た、磁性薄膜において、中間層と磁性層の厚みと磁気特
性の関係を調べたところ、実施例で記した好ましい厚み
の磁性層と中間層と同様の膜厚において、好ましい磁気
特性を得ることができた。
【0101】また本実施例では、磁性層として、FeS
i、中間層としてFeSiOを用いたが、磁性層または
中間層のFeの代わりに、FeCo、FeCoNiを用
いた場合、あるいはSiのかわりにSi、Ge、Sn、
Al、Ga、あるいは遷移金属から選ばれた少なくとも
一種で置換した場合、とくに遷移金属の中でも、IVa
族またはVa族またはCrの何れかの元素で置換した場
合、磁性層中に、酸素あるいは窒素が適量以下添加され
た場合、あるいは中間層に磁性層中に含まれるより多く
の酸素あるいは窒素が適量含まれた場合であればいずれ
も、本実施例と同様の磁性層膜厚、中間層厚で、成膜直
後から300℃の熱処理後にいたるまで優れた軟磁気特
性が得られた。
【0102】特にそのなかでも、Al、Ti、Vで置換
したサンプルについては、軟磁気特性の他、高いBsが
えられた。また以上のサンプルの酸素あるいは窒素を除
く元素中にPt、RhまたRuの何れかが少なくとも8
原子量%以下含まれた場合には耐食性の改善がみられ
た。
【0103】以上の結果から、磁性層の平均厚みを
1、中間層の平均厚みをT2とすると、 2nm≦T1≦150nm 0.4nm≦T2≦15nm 1≦T1/T2≦150 なる式で表される請求項1〜6記載の磁性薄膜において
は優れた軟磁気特性とともに高Bsを持つことができ
る。この膜のうち特に、磁性層の平均厚みをT1、中間
層の平均厚みをT2とすると、 20nm<T1≦150nm 1nm<T2≦15nm 4≦T1/T2≦50 なる式で表され、中間層を介して隣り合う磁性層を構成
する磁性結晶粒のうち少なくとも50%が中間層で分離
されている磁性薄膜は、特に静磁結合が効果的に起こ
り、高周波特性が優れた磁性薄膜となることがわかる。
【0104】(実施例2)本実施例は、磁性層をFeS
i(O)(N)、中間層をFeSiOとする磁性薄膜
の、磁性層中に含まれるSi、O、N添加元素量につい
て調べた結果を示す。
【0105】実験条件は次の通りである。
【0106】基板:非磁性セラミックス基板 基板温度:室温〜100℃ ターゲットサイズ 3インチ Fe あるいは FeS
i合金 放電ガス圧 8mTorr 放電電力 300W 尚、図6の実施例ではBsが1.5(T)以上、抗磁力
が2.5(Oe)以下であること目安としているが、用
途によってはBsが1.5T以下である、あるいは、抗
磁力がより大きい場合でも充分である。
【0107】図6に同一のSi添加量が異なるFeある
いはFeSi合金ターゲットを用いて作製した、Fe/
Fe−O、FeSi/FeSiO磁性薄膜の磁気特性を
示す。ここで、磁性層はArガス雰囲気で、また中間層
は磁性層と同じターゲットを酸素分流比25%の雰囲気
でのスパッタリングして作製した。FeSi磁性層は7
0nm FeSiO中間層は5nmに固定している。
【0108】図7に磁性層中の酸素、窒素添加量を変え
て作製した、FeSi(O)(N)/FeSiO磁性薄
膜の結果を示す。ここで、磁性層はAr+(O2)+
(N2)ガス雰囲気で、また中間層は磁性層と同じター
ゲットを酸素分流比25%の雰囲気でのスパッタリング
して作製した。FeSi磁性層は100nm FeSi
O中間層は7nmに固定している。
【0109】以上は、すべて成膜直後の値であるが、本
実施例の膜は何れも300℃で熱処理後も良好な軟磁気
特性を示した。図6の比較実施例faと実施例faから
少なくとも添加物が0.1原子量%あることで軟磁気特
性に大きな改善が見られることがわかる。また図7の実
施例と比較実施例から、Si添加量が比較的少ない場
合、酸素、あるいは窒素含有量は10原子%以下が好ま
しいことがわかる。
【0110】また本実施例では、磁性層として、FeS
i(O)(N)、中間層としてFeSiOを用いたが、
磁性層または中間層のFeの代わりに、FeCo、Fe
CoNiを用いた場合、あるいはSiのかわりにSi、
Ge、Sn、Al、Ga、あるいは遷移金属から選ばれ
た少なくとも一種で置換した場合、とくに遷移金属の中
でも、IVa族またはVa族またはCrの何れかの元素
で置換した場合であればいづれの磁性薄膜も、磁性層
が、本実施例の好ましい酸素、あるいは窒素含有量の範
囲でかつ、磁性金属中に添加された金属あるいは半金属
の組成量が本実施例の好ましい範囲である限るにおい
て、成膜直後から300℃の熱処理後にいたるまで優れ
た軟磁気特性が得られた。特にそのなかでも、Al、T
i、Vで置換したサンプルについては、軟磁気特性の
他、高いBsがえられた。また以上のサンプルの酸素あ
るいは窒素を除く元素中にPt、RhまたRuの何れか
が少なくとも8原子量%以下含まれた場合には耐食性の
改善がみられた。
【0111】以上をまとめれば、磁性層の組成を、(M
1α11β1100-δ11δ1(但し、添え字のα1
β1,δ1は原子量%を示し、M1はFe、Co、Niか
ら選ばれた少なくとも1種の磁性金属、X1はSi、G
e、Sn、Al、Gaまたは前記M1をのぞく遷移金属
から選ばれた少なくとも1種、A1はO、Nの少なくと
も1種を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β1≦12 α1+β1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲であることがわかる。
【0112】(実施例3)本実施例は、中間層の種類を
様々に変えて調べた結果を示す。
【0113】図8に用いた中間層の組成と、作製した磁
性薄膜の磁気特性を示す。
【0114】ここで、磁性層はArガス雰囲気で、また
中間層は磁性層と同じターゲットをAr+(O2)+
(N2)ガス雰囲気でスパッタリングして作製した。F
eSi磁性層の組成はFe96.5Si3.5、厚みは10n
m、中間層は2nmに固定している。
【0115】図8の値は真空中で250℃の熱処理を行
った結果である。酸素あるいは窒素を含んだ中間層で
は、Si/Fe比が大きくなっている。比較実施例ha
と比べ、実施例haあるいは実施例hdのように僅かな
OあるいはNが入ることで軟磁気特性が向上することが
わかる。また比較実施例hbは軟磁気特性そのものは悪
くないが熱処理後、膜表面あれが生じた。すなわち、中
間層に含まれる酸素、あるいは窒素量は、磁性層よりも
多く且つ67%以下であることが必要であることがわか
った。
【0116】また図9に磁性層と異なるターゲットを用
いた中間層の組成と、作製した磁性薄膜の磁気特性を示
す。ここで、磁性層はArガス雰囲気で作製し、組成は
Fe 96.5Si3.5、厚みは100nmである。また中間
層は表に示す組成になるように、Ar+(O2)+
(N2)ガス雰囲気でスパッタリングして作製した。こ
こで、中間層の厚みは5nmに固定している。また図9
中に、400W、5mTorrのAr雰囲気下でスパッ
タエッチングしたときのエッチングレートを記す。
【0117】図9の値は成膜後に真空中で250℃の熱
処理を行った結果である。比較実施例と実施例を比べれ
ばわかるように、Feに対する、Ti、Cr、V、S
i、Alの量が高くなると、磁気特性は僅かに劣化して
おり、また、中間層の加工速度が顕著に低下しているこ
とがわかる。すなわち、Feに対して4倍より多い添加
を行うと、磁気特性の劣化と加工性の低下が見られた。
【0118】以上の図8および図9に示した本実施例で
は、磁性層として、FeSi、中間層としてFeSi
(O)(N)を用いたが、磁性層が(実施例2)に示し
た好ましい組成範囲であれば、中間層のFeの代わり
に、FeCo、FeCoNiを用いた場合、あるいはS
iのかわりにMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、S
n、Al、Ga、あるいは遷移金属から選ばれた少なく
とも一種で置換した場合、とくに遷移金属の中でも、I
Va族またはVa族またはCrの何れかの元素で置換し
た場合であっても、中間層が、本実施例と同様の酸素、
あるいは窒素含有量の範囲であること、あるいは中間層
内の金属および半金属の添加量が、本実施例と同様に磁
性金属の4倍以下の添加量範囲であることを満たす範囲
である何れの磁性薄膜においても、成膜直後から300
℃の熱処理後にいたるまで優れた軟磁気特性が得られ、
加工性に優れることがわかった。
【0119】以上をまとめれば本発明の磁性薄膜の中間
層の組成を(M2α22β2100-δ 22δ2(但し、添
え字のα2,β2,δ2は原子量%を示す)で表せば、M
2はFe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁
性金属、X2はSi、Ge、Sn、Al、Gaまたは前
記M1をのぞく遷移金属から選ばれた少なくとも1種、
2はO、Nの少なくとも1種を表す)なる組成式で表
され、 0.1≦β2≦80 α2+β2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲であることが重要であることがわかる。
【0120】(実施例4)本実施例は、磁性層に含まれ
る添加元素について調べた結果を示す。
【0121】実験条件は次の通りである。
【0122】基板:非磁性セラミックス基板 基板温度:室温〜100℃ ターゲット FeあるいはFeターゲット上に、下記の
表中の金属あるいは半金属添加元素チップを配置した複
合ターゲット。ターゲットは、磁性層と中間層で同一で
ある。
【0123】 放電ガス圧 8mTorr 放電電力 300W スパッタガス 磁性層 Ar+(O2)+(N2) 酸素流量比 O2/(Ar+O2) 0〜1.5% 窒素流量比 N2/(Ar+N2) 0〜5%(窒素が添加され たもののみ) 中間層 Ar+O2+(N2) 酸素流量比 O2/(Ar+O2) 20%固定 窒素流量比 N2/(Ar+N2) 0〜5%(磁 性層での窒素流量比に同じ) スパッタリングガスは上記の流量比で、成膜中に交互に
切り替えた。
【0124】図10〜15に作製した磁性薄膜の磁気特
性と磁性薄膜を構成する磁性層の組成を示す。尚比較実
施例jaにFe単層膜を併記する。磁性層は70nm、
中間層は約5nmである。尚、本実施例は、同一のター
ゲットを用いたスパッタリング中に反応性ガスの切り替
えにより磁性層、非磁性層の連続成膜を行った結果でオ
ージュデプスプロファイルの結果などから、上記作成条
件により、中間層中には磁性層に含まれる磁性元素およ
び添加元素、および磁性層中に含まれる以上の酸素が添
加されていることを確認しているが、正確な中間層組成
については不明である。
【0125】なお、反応ガスの切り替えは、プラズマ発
生源へのパワー供給の切り替えと、アルゴン不活性ガス
の混合比の切り替えと、スパッタ時の放電ガス圧の切り
替えと、スパッタのパワーの切り替えと、ガス流量比の
切り替えとを含む。
【0126】また図中の磁性層の元素量は、磁性層作製
条件で3μm程度作製した単層膜の値で、実際に連続成
膜した磁性層中には、中間層作製時の酸素の残留などの
影響により、単層膜の値より0〜3原子%程度の酸素を
余分に含む可能性が高い。
【0127】図10〜15に示したような添加物を加
え、酸素、あるいは窒素量を変化させて成膜すること
で、Fe単層膜よりも軟磁気特性が遙かに優れた磁性薄
膜をえることができる。
【0128】本実施例では、Feを母組成とした磁性薄
膜について調べたが、Feの代わりに、FeCo、Fe
CoNiを用いた場合でも、成膜直後から300℃の熱
処理後にいたるまで優れた軟磁気特性が得られた。
【0129】以上をまとめれば本発明の磁性薄膜の中間
層の組成を(M2α22β2100-δ 22δ2(但し、添
え字のα2,β2,δ2は原子量%を示す)で表せば、M2
はFe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性
金属、X2はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、S
n、Al、Gaまたは前記M1をのぞく遷移金属から選
ばれた少なくとも1種、A2はO、Nの少なくとも1種
を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β2≦80 α2+β2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲でさらに前記構成において、M1=M2、かつ
1=X2である磁性薄膜では優れた軟磁気特性が得られ
ることがわかる。
【0130】また、本実施例のように、気相成膜装置内
での酸素または酸素プラズマあるいは窒素または窒素プ
ラズマの濃度を変化させることで成膜する前記構成の磁
性薄膜の製造方法では、磁性薄膜の磁性層と中間層、磁
性積層膜の磁性層、中間層および高抵抗層、高抵抗磁性
膜の磁性層および中間層を同一の膜形成物質供給源を用
いて作製することが可能で、成膜装置が小型でかつ高速
に成膜できる。
【0131】(実施例5)本実施例は、磁性薄膜を高抵
抗層と積層する事で作製した、磁性体積層膜について、
高抵抗層の組成、厚みについて調べた結果を示す。
【0132】まず磁性層、中間層、高抵抗層ともに同一
のターゲットを用いた場合について調べた。
【0133】実験条件は次の通りである。
【0134】 基板:非磁性セラミックス基板 基板温度:室温〜100℃ 磁性積層膜ターゲット:FeSiAl合金ターゲット 磁性層 中間層 高抵 抗層とも同じ 放電ガス圧 8mTorr 放電電力 300W スパッタガス 磁性層 Ar 中間層 Ar+O2 酸素分流比 O2/(Ar+O2) 20 % 高抵抗層 Ar+O2 酸素分流比 O2/(Ar+O2) 2 0% 100(Oe)程度の一軸磁場中成膜 尚、本実施例でArのみで単層膜を作製した時の膜組成
は約Fe96.5Si3.0Al0.5であった。
【0135】図16に磁性層厚みを48.5nm、中間
層厚みを約1.5nmとし、磁性薄膜厚みと、高抵抗層
厚みを変化させたときの磁気特性を示す。なお磁性積層
膜の総厚みは4μmとしている。
【0136】図16で実施例は、100MHzで500
以上、300MHzで400以上の透磁率を持ち、且つ
Bsが1.7T以上の磁性積層膜を選んでいる。尚、磁
性積層膜には5(Oe)程度の一軸異方性が付与されて
いた。実施例qa〜qdのサンプルでは、僅かに10n
mの中間層でほぼ絶縁がとれているものと考えられる。
一方、比較実施例qdの透磁率の周波数依存等から、作
製した磁性薄膜の約1.5nm中間層では磁性層間の絶
縁はされていないものと考えることができる。また、比
較実施例qb、qcから、50nmの高抵抗層が十分絶
縁機能を果たしていることが容易にわかるが、厚い高抵
抗層を介する磁性薄膜間に充分な静磁結合が起こってい
ないなどの理由により、軟磁気特性そのものは悪く、B
sも低くなっている。
【0137】次に、磁性薄膜を構成する磁性層 中間層
は同一で、高抵抗層をAlあるいはSiターゲットの併
用により作製した磁性積層膜について調べた。
【0138】実験条件は高抵抗層の作製条件以外は先と
同じである。以下相違点のみ記す。
【0139】 比較実施例ra ターゲット:FeSiAl合金ターゲット 磁性層 中間層 高抵抗層とも同 じ 実施例ra ターゲット:FeSiAl合金ターゲット 磁性層 中間層 は同じ Al 高抵抗層用 実施例rb ターゲット:FeSiAl合金ターゲット 磁性層 中間層 は同じ Si 高抵抗層用 実施例rc ターゲット:FeSiAl合金ターゲット 磁性層 中間層 は同じ FeSiAl合金ターゲット+Alターゲット同時放電 スパッタガス 比較実施例raの高抵抗層 Ar+O2 酸素分流比 O2/(Ar+O2) 20% 実施例raの高抵抗層 Al層(低抵抗層)を酸素プラズマ雰囲気で酸化 実施例rbの高抵抗層 Si層(低抵抗層)を酸素プラズマ雰囲気で酸化 実施例rcの高抵抗層 同時放電で作製したFe90Si3l7層(低抵抗層) を酸素プラズマ雰囲気で酸化 100(Oe)の一様磁場中成膜。
【0140】図17に磁性層厚みを48.5nm、中間
層厚みを約1.5nmとし、磁性薄膜厚みを500nm
とし、磁性積層膜の総厚みを4μmとしたときの、高抵
抗膜の種類による磁気特性を示す。
【0141】何れの膜も13〜14Oeの一軸異方性が
付与されていた。比較実施例raは、成膜中に酸素を導
入し作製した高抵抗膜であるが、透磁率の周波数特性か
ら、この高抵抗膜が、磁性薄膜間を充分に絶縁していな
いことがわかる。これはFeを母組成とする酸化膜のた
め、抵抗値が低いためであることが考えられる。また実
施例に示した磁性積層膜では何れも高抵抗層が、磁性薄
膜間を絶縁し、さらに透磁率そのものが高くなっている
ことがわかる。これは高抵抗膜が薄いために、静磁結合
効果が効果的に働いた結果であると思われる。また実施
例rcでは、実施例ra、rbよりも軟磁気特性が優れ
ていることがわかる。
【0142】以上をまとめれば、磁性薄膜と高抵抗層が
交互に積層され、前記磁性薄膜の厚みをT3、前記高抵
抗層の厚みをT4とすると、 100nm≦T3≦1000nm 2nm<T4≦50nm 10≦T3/T4≦500 なる式で表される磁性積層膜では、優れた磁性膜の高周
波特性と高いBsを実現できることがわかる。
【0143】また前記磁性積層膜において、磁性層がM
111、中間層がM222、高抵抗層がM33
3(M1、M2、M3はFe、Co、Niから選ばれた少な
くとも1種の磁性金属、X1、X2、X3はMg、Ca、
Sr、Ba、Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記
磁性金属をのぞく遷移金属から選ばれた少なくとも1
種、A1〜A3はO、Nの少なくとも1種を表す)なる組
成式で表され、少なくともM 1=M2=M3、X1=X2
3なる条件を満たす磁性積層膜では総膜厚が比較的厚
い場合においても軟磁気特性に優れ、かつ高Bsを持つ
磁性膜を得ることができる。
【0144】また前記構成の磁性積層膜の高抵抗層を、
まず、磁性薄膜、あるいは磁性層上に、Mg、Ca、Sr,
Ba,Si、Ge,Sn,Al、Gaまたはこれらを除
く遷移金属から選ばれた少なくとも1種以上の元素を1
0原子量%以上含む低抵抗層を形成し、次に、前記低抵
抗層を酸素または窒素あるいは酸素プラズマ、窒素プラ
ズマ雰囲気化で、酸化あるいは窒化させることで形成す
る製造方法では、比較的薄くても絶縁性に優れた高抵抗
層を作製できる。低抵抗層は、前記元素から選ばれた、
単一組成でも合金でも良く、AlTi合金でもよく、さら
には、Fe90Si10合金でもよい。また前記元素のうち
特にSi,Al,Ti,Crから選ばれた元素では、磁
性金属と固溶しやすく、低抵抗層が磁性合金である場合
に好ましい。
【0145】図18A〜図18Eおよび図19A〜図1
9Cを参照して、高抵抗層の製造方法を説明する。図1
8A〜図18Dは、高抵抗層の製造方法を説明する図で
ある。図18Eは、高抵抗層の製造方法のフローチャー
トを示す。図19A〜図19Cは、高抵抗層の他の製造
方法を説明する図である。
【0146】図18A〜図18Dおよび図18Eを参照
して、基板181上に磁性薄膜182が形成される(図
18A)。磁性薄膜182上に、Mg、Ca、Sr、B
a、Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記M1をの
ぞく遷移金属から選ばれた少なくとも1種以上の元素を
10原子量%以上含む低抵抗層183が形成される(図
18B、S181)。
【0147】低抵抗層183を酸素雰囲気化、窒素雰囲
気化、酸素プラズマ雰囲気化および窒素プラズマ雰囲気
化のいずれかで、酸化あるいは窒化させ、高抵抗層18
3Aを形成する(図18C、S182)。
【0148】磁性薄膜182は、磁性層であってもよ
い。高抵抗層183A上に磁性薄膜182と高抵抗層1
83Aとをくりかえし形成し、磁性薄膜182と高抵抗
層183Aとを多層化してもよい(図18D)。
【0149】図19A〜図19Cを参照して、高抵抗層
の他の製造方法を説明する。磁性薄膜あるいは磁性層
は、酸素親和性元素を含んでもよい。基板191上にS
i、Al、Ti、Cr等の酸素親和性元素を含む磁性薄
膜192が形成される(図19A)。磁性薄膜192上
に、Mg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sn、A
l、Gaまたは前記M1をのぞく遷移金属から選ばれた
少なくとも1種以上の元素を10原子量%以上含む低抵
抗層193が形成される。低抵抗層193を酸素雰囲気
化、窒素雰囲気化、酸素プラズマ雰囲気化および窒素プ
ラズマ雰囲気化のいずれかで、酸化あるいは窒化させ、
高抵抗層を形成する(図19B)。
【0150】磁性薄膜192は、磁性層であってもよ
い。高抵抗層193上に磁性薄膜192と高抵抗層19
3とをくりかえし形成し、磁性薄膜192と高抵抗層1
93とを多層化してもよい(図19C)。
【0151】(実施例6)本実施例は、80μΩcm以
上の抵抗率をもつ高抵抗磁性膜の組成と高抵抗磁性膜を
積層した高抵抗磁性積層膜について調べた結果を示す。
【0152】実験条件は次の通りである。
【0153】基板:非磁性セラミックス基板 基板温度:室温〜100℃ ターゲット FeあるいはFeCoターゲット上に、下
記の表中の金属あるいは半金属あるいは酸化物チップを
配置した複合ターゲット。ターゲットは、磁性層と中間
層で同一 放電ガス圧 8mTorr 放電電力 300W スパッタガス 高抵抗磁性膜 Ar+(O2)+(N2) 酸素流量比 O2/(Ar+O2) 0〜5% 窒素流量比 N2/(Ar+N2) 20%(窒素が添加
されたもののみ) 100(Oe)の一様磁場中成膜 高抵抗磁性積層膜 磁性層:上に同じ 中間層 Ar+O2 酸素流量比 O2/(Ar+O2) 20%固定 磁界なし(スパッタリングガスは上記の流量比で、成膜
中に交互に切り替え) 図20に250℃の真空中で熱処理後の高抵抗磁性膜の
磁気特性と組成を示す。高抵抗磁性膜の厚みはすべて4
μmとした。
【0154】高抵抗磁性膜は、成膜直後に比べ熱処理
後、僅かに抵抗率が減少したものの、図20に示す実施
例は、すべて80μΩcm以上の高抵抗を示した。この
実施例からわかるように高抵抗磁性膜を組成式、MαX
β(NδOε)γ(但し、添え字のα、β、γ、δ、ε
は原子量%を示す。またMはFe、Co、Niから選ば
れた少なくとも1種の磁性金属、XはMg、Ca、S
r、Ba、Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは前記M
をのぞく遷移金属から選ばれた少なくとも1種)で表し
た場合、前記Xが、窒素化物生成自由エネルギーが最も
低い窒化物となるときの化学式をXNm 、酸化物生成自
由エネルギーが最も低い酸化物となるときの化学式をX
n、とすると、 α+β+γ=100 45≦α≦78 δ+ε=100 1<100×γ/β/(m×δ+n×ε)<2.5 の範囲であることが重要であることがわかる。また実施
例の平均的な結晶粒の最短径は20nm以下であった。
【0155】次に実施例として高抵抗磁性膜を磁性層と
し、また各高抵抗磁性膜と同じターゲットを酸素流量比
20%で作製した中間層とし、これらを交互に約500
nm積層した高抵抗磁性積層膜を、FIB(Focus
sed Ion Beam)により幅1μm 長さ1m
mの短冊状に加工し、高周波での透磁率を測定した。ま
た比較実施例として高抵抗磁性膜を同様の形状に加工し
た。ここで磁性層厚は100nm、また中間層厚は5n
mである。250℃の熱処理後の磁気特性を図21に示
す。
【0156】図21の比較実施例に示したように、比較
的、微細な形状に加工された高抵抗磁性薄膜は、さらに
酸素濃度の高い中間層と積層する事で、高周波での透磁
率が高くなり、薄膜ヘッドなどの微細加工された磁気デ
バイスに有効であることがわかる。
【0157】以上より、前記構成の高抵抗磁性膜を磁性
層とし、前記磁性層が、M1m11n11q1、また中間層
がM2m22n22q2、(但し、添え字のm1、n1、q
1、m2、n2、q2は原子量%を示す。M1、M2はF
e、Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性金
属、X1、X2はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、
Sn、Al、Gaまたは前記磁性金属をのぞく遷移金属
から選ばれた少なくとも1種、A1、A2はO、Nの少な
くとも1種を表す)なる組成式で表され、 M1=M2、X1=X2 q1<q2 なる関係にある前記磁性層と前記中間層が交互に積層さ
れた構造を持つ高抵抗磁性積層膜では、さらに高周波特
性に優れたヘッドが作製できる。なお、本実施例では、
スパッタリング法を用いたが、これらの膜は反応性蒸着
法を用いても作製することができる。
【0158】(実施例7)本実施例は、薄膜ヘッドの記
録磁極部に、前記本実施例の磁性薄膜を用いることで、
記録特性を調べたものである。
【0159】使用したヘッド構成を以下に示す。
【0160】記録媒体 2200 (Oe) 記録ギャップ 0.2μm 記録周波数 100MHz ターン数 42 上部磁極、下部磁極厚み 各4μm 記録電流 5mA 固定 比較実施例の膜としてはメッキ法で堆積させたパーマロ
イ(NiFe) また実施例の磁性薄膜としては、 磁性層 Fe94.0Si6.0 1層当たり 100nm 中間層 (Fe0.93Si0.7X100-X 1層当たり 5nm を用い、また高抵抗磁性薄膜としては、 磁性層 Fe69Mg1318 1層当たり 100nm 中間層 (Fe.0.84Mg0.16X100-X 1層当たり 5nm 18<X を用いている。
【0161】図22〜図30を参照して、実施例に係る
薄膜ヘッドを説明する。 尚、以降の図面中、磁性薄膜
を高Bs、高抵抗磁性積層膜と高ρとして表記した。
【0162】図22は、比較実施例uaを用いた薄膜ヘ
ッド220の構成を示す。薄膜ヘッド220は、上部磁
極221と下部磁極222とシールド膜223とコイル
224とを備える。上部磁極221と下部磁極222と
シールド膜223とは、Ni50Fe50を含む。
【0163】図23は、実施例uaを用いた薄膜ヘッド
230の構成を示す。薄膜ヘッド230は、上部磁極2
31と下部磁極232とシールド薄膜233とコイル2
24とを備える。上部磁極231と下部磁極232とシ
ールド薄膜233とは、磁性薄膜を含む。
【0164】図24は、実施例ubを用いた薄膜ヘッド
240の構成を示す。薄膜ヘッド240は、上部磁極2
41と下部磁極242とシールド薄膜243とコイル2
44とを備える。上部磁極241と下部磁極242とシ
ールド薄膜243とは、高抵抗磁性積層膜を含む。
【0165】図25は、実施例ucを用いた薄膜ヘッド
250の構成を示す。薄膜ヘッド250は、上部磁極2
51と下部磁極252とシールド膜253とコイル25
4とを備える。上部磁極251は、0.5μmの厚みを
有する磁性薄膜251Bと3.5μmの厚みを有する高
抵抗磁性積層膜251Aとを含む。下部磁極252は、
0.5μmの厚みを有する磁性薄膜252Bと3.5μ
mの厚みを有する高抵抗磁性積層膜252Aとを含む。
シールド膜253は、高抵抗磁性積層膜を含む。
【0166】図26は、実施例udを用いた薄膜ヘッド
260の構成を示す。薄膜ヘッド260は、上部磁極2
61と下部磁極262とシールド膜263とコイル26
4とを備える。上部磁極261は、最大4μmの厚みを
有する磁性薄膜261Bと最大4μmの厚みを有する高
抵抗磁性積層膜261Aを含む。下部磁極262は、
0.5μmの厚みを有する磁性薄膜262Bと3.5μ
mの厚みを有する高抵抗磁性積層膜262Aとを含む。
シールド膜263は、高抵抗磁性積層膜を含む。
【0167】図27は、実施例ueを用いた薄膜ヘッド
270の構成を示す。薄膜ヘッド270は、上部磁極2
71と下部磁極272とシールド膜273とコイル27
4とを含む。上部磁極271は、0.5μmの厚みを有
する磁性薄膜271Bと3.5μmの厚みを有する高抵
抗磁性積層膜271Aとを含む。下部磁極272は、
0.5μmの厚みを有する磁性薄膜272Bと3.5μ
mの厚みを有する高抵抗磁性積層膜272Aとを含む。
シールド膜273は、高抵抗磁性積層膜で形成される。
【0168】図28は、実施例ufを用いた薄膜ヘッド
280の構成を示す。薄膜ヘッド280は、上部磁極2
81と下部磁極282とシールド膜283とコイル28
4とを備える。上部磁極281は、0.5μmの厚みを
有する磁性薄膜281Bと3.5μmの厚みを有する高
抵抗磁性積層膜281Aとを含む。下部磁極282は、
4μmの厚みを有する高抵抗磁性積層膜で形成される。
シールド膜283は、高抵抗磁性積層膜で形成される。
【0169】図29は、実施例ugを用いた薄膜ヘッド
290の構成を示す。薄膜ヘッド290は、上部磁極2
91と下部磁極292とシールド膜293とコイル29
4とを備える。上部磁極291は、最大4μmの厚みを
有する磁性薄膜291Bと最大4μmの厚みを有する高
抵抗磁性積層膜291Aとを含む。下部磁極292は、
4μmの厚みを有する高抵抗磁性積層膜で形成される。
シールド膜293は、高抵抗磁性積層膜で形成される。
【0170】図30は、実施例uhを用いた薄膜ヘッド
300の構成を示す。薄膜ヘッド300は、上部磁極3
01と下部磁極302とシールド膜303とコイル30
4とを備える。上部磁極301は、0.5μmの厚みを
有する磁性薄膜301Bと3.5μmの厚みを有する高
抵抗磁性積層膜301Aとを含む。下部磁極302は、
4μmの厚みを有する高抵抗磁性積層膜で形成される。
シールド膜303は、高抵抗磁性積層膜で形成される。
【0171】図31は、膜作製に用いるマグネトロンス
パッタ320の構成を示す。DCマグネトロンスパッタ
320は、中心軸361Aを中心に回転する回転体36
1を備える。回転体361には皮膜形成物250が搭載
される。DCマグネトロンスパッタ320は、皮膜形成
物250に高Bs膜を蒸着する高Bs蒸着源261BS
と皮膜形成物250に高ρ膜を蒸着する高ρ蒸着源26
1ASとを備える。ターゲットサイズ5インチ 放電ガ
ス圧5mTorr 皮膜形成物温度(基板温度)を室温
とする。
【0172】図32A〜図32Cに示すように、例え
ば、実施例ucを用いた薄膜ヘッド250の場合におい
ては、特に、コイル254上の上部磁極251を形成す
る際に、高Bs膜である磁性薄膜251Bと高ρ膜であ
る高抵抗磁性積層膜251Aとを高Bs蒸着源251B
Sと高ρ蒸着源251ASとにより順次形成する。
【0173】図33A〜図33Cに示すように、実施例
udを用いた薄膜ヘッド260では、まず、テーパー部
側(ギャップのフロント側)高Bs膜である磁性薄膜2
61Bを形成し、次に、ギャップのバック側から高ρ膜
である高抵抗磁性積層膜261Aを成膜している。
【0174】図34に示すように、従来のパーマロイ材
料を磁極に用いた場合と比べ、本発明の磁性薄膜、高抵
抗磁性積層膜を磁極に用いた薄膜ヘッドは、低い記録電
流でも優れたオーバーライト特性を示す。これは、本発
明の、高い飽和磁束密度あるいは高い比抵抗をもち、さ
らに磁区構造が制御された、優れた軟磁気特性を持つ磁
性材料によるものである。以上から、少なくとも上部磁
極が比抵抗が80μΩcm以上である高抵抗磁性膜と前
記構成の磁性薄膜または磁性積層膜からなり、少なくと
も前記上部磁極の先端部の記録ギャップ近傍部には、前
記磁性薄膜または前記磁性積層膜が形成された構成を持
つ薄膜ヘッド、また、少なくとも記録ギャップ上に前記
構成の磁性薄膜または磁性積層膜が形成され、前記磁性
薄膜または前記磁性積層膜上に比抵抗が80μΩcm以
上である高抵抗磁性膜が形成された構成を持つ前記構成
の薄膜ヘッドでは、比較的低い記録電流で優れたオーバ
ーライト特性を示す薄膜ヘッドを、比較的容易なプロセ
スで得ることができる。
【0175】(実施例8)本実施例は、薄膜ヘッドの記
録磁極部作製の際に、披膜形成物である薄膜ヘッドとタ
ーゲットとの相対位置を変化させた成膜法について調べ
た。
【0176】図35A〜図35Cおよび図36A〜図3
6Cは、本発明の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用いた
薄膜ヘッドのさらに他の製造方法の説明図である。図3
6Dは、本発明の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用いた
薄膜ヘッドのさらに他の製造方法のフローチャートであ
る。ここで、膜作製には図31で前述したマグネトロン
スパッタ320を用い、ターゲットサイズ5×15イン
チ 放電ガス圧5mTorr 披膜形成物温度(基板温
度)を20℃とした。
【0177】図35A〜図35C、図36A〜図36C
および図36Dを参照して、用いたターゲット材質はF
94Si6である。ターゲットを固定し、披膜形成物を
ターゲットの短手方向に一定の方向に往復運動させなが
ら(S361)、成膜を行った(S362)。一定の方
向とは、薄膜ヘッドの上部磁極のデプス方向DDを意味
する(図35A)。移動速度は2rpmで、移動の変化
幅は、約±0度から45度とした。ここで、使用した装
置では、披膜形成物の変化幅が20度から30度を超え
ると、成膜速度は変化幅が0度の時の1/5以下となっ
た。すなわち、変化幅が大きくなるに連れ、ターゲット
/披膜形成物の距離が増大し、披膜形成物に対して、タ
ーゲットから飛来するスパッタ粒子数が極端に減少する
条件でスパッタしていることになる。
【0178】作製した膜の磁気特性、およびTEMによ
る膜の断面構造を調べた。結果を図37に示す。
【0179】図37に示すように、ターゲットを固定し
た場合に比べ、ターゲットを移動させた方向に膜の磁化
困難軸が形成され、さらに軟磁気特性が向上することが
わかる。この磁化困難軸の方向は、ターゲット上の漏れ
磁場などの方向とは関係なく、本実施例の成膜方法に依
存するものである。比較実施例vaの膜断面TEMを調
べると、柱状あるいは針状の結晶粒から構成されている
のに対し、実施例vcの膜のTEM断面図を調べると、
3nm程度の微結晶質層と1〜2nm程度の非晶質層の
積層構造ができていることがわかった。すなわち、同一
スパッタ条件で成膜しているにもかかわらず、被膜形成
物(基板)とターゲットの位置関係を特定方向に変化さ
せることで、膜の成膜速度が周期的に変化すること、あ
るいは、入射するスパッタ粒子のエネルギー、や平均自
由行程を変化させたこと、あるいは入射するスパッタ粒
子の角度を変えたこと等により、自然に積層構造が形成
されたことがわかる。
【0180】またこのときの非晶質層の組成は、微結晶
質に比べ酸素含有量が多かった。また、膜の基板の反り
量から求めた、膜内部応力は、変化幅を大きく、したが
って同一移動速度で成膜しているために、膜に取っては
積層周期が短くなるに連れ、小さくなっていることがわ
かった。
【0181】(実施例9)図38および図39を参照し
て、本発明に係る薄膜ヘッドを用いたハードディスク装
置を説明する。
【0182】図38は、本実施の形態に係る薄膜ヘッド
を用いたハードディスク装置110の側面図であり、図
39は、その平面図である。
【0183】ハードディスク装置110は、本発明に係
る薄膜ヘッドを保持するスライダ120と、スライダを
支持するヘッド支持機構130と、ヘッド支持機構13
0を介して薄膜ヘッドをトラッキングするアクチュエー
タ114とディスク116を回転駆動するディスク駆動
モータ112とを備える。ヘッド支持機構130は、ア
ーム122とサスペンジョン124とを含む。
【0184】ディスク駆動モータ112は、ディスク1
16を所定の速度で回転駆動する。アクチュエータ11
4は、薄膜ヘッドがディスク116の所定のデータトラ
ックにアクセスできるように、薄膜ヘッドを保持するス
ライダ120をディスク116の表面を横切って半径方
向に移動させる。アクチュエータ114は、代表的には
直線式または回転式のボイスコイルモータである。
【0185】薄膜ヘッドを保持するスライダ120は、
例えば空気ベアリングスライダである。この場合には、
スライダ120は、ハードディスク装置110の起動・
停止動作時にはディスク116の表面と接触する。ハー
ドディスク装置110の情報記録再生動作時には、スラ
イダ120は回転するディスク116とスライダ120
との間で形成される空気ベアリングによりディスク11
6の表面上に維持される。スライダ120に保持された
薄膜ヘッドは、ディスク116に情報を記録再生する。
【0186】
【発明の効果】以上のように本発明の組成および構造を
持つ磁性薄膜、磁性積層膜、高抵抗磁性膜、高抵抗磁性
積層膜およびその製造方法を用いることで、微細形状に
加工後も、高周波での軟磁気特性に優れ、高い飽和磁束
密度あるい高比抵抗を有する磁性材料を、300℃以下
の低温プロセスで提供できるという効果がある。またさ
らにこれらの磁性薄膜、および磁性積層膜は、微細形状
への加工性に優れ、膜形成速度が早く、また磁場中熱処
理などを用いずに、磁性膜の異方性を付与できるため
に、これを用いた磁気デバイスの量産性と信頼性を高
め、また加工装置、および成膜装置を簡便で安価である
いう効果もある。
【0187】またこれら本発明の、磁性薄膜、磁性積層
膜、高抵抗磁性膜、高抵抗磁性積層膜を用いた、本発明
の薄膜磁気ヘッドでは、量産性に優れた、高記録密度用
記録ヘッドを実現するばかりでなく、これを用いた、装
置を低消費電力化しうるために、情報処理装置の小型
化、軽量化、装置の連続使用時間の長時間化が達成でき
るという顕著な効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図2】実施例1に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図3】実施例1に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図4】実施例1に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図5】実施例1に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図6】実施例2に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図7】実施例2に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図8】実施例3に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図9】実施例3に係る磁性薄膜の磁気特性を示す図。
【図10】実施例4に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図11】実施例4に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図12】実施例4に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図13】実施例4に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図14】実施例4に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図15】実施例4に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図16】実施例5に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図17】実施例5に係る磁性薄膜の磁気特性を示す
図。
【図18A】実施例5に係る高抵抗層の製造方法を説明
する図。
【図18B】実施例5に係る高抵抗層の製造方法を説明
する図。
【図18C】実施例5に係る高抵抗層の製造方法を説明
する図。
【図18D】実施例5に係る高抵抗層の製造方法を説明
する図。
【図18E】実施例5に係る高抵抗層の製造方法のフロ
ーチャート。
【図19A】実施例5に係る高抵抗層の他の製造方法を
説明する図。
【図19B】実施例5に係る高抵抗層の他の製造方法を
説明する図。
【図19C】実施例5に係る高抵抗層の他の製造方法を
説明する図。
【図20】実施例6に係る高抵抗磁性膜の磁気特性を示
す図。
【図21】実施例6に係る高抵抗磁性膜の磁気特性を示
す図。
【図22】従来の薄膜ヘッドの断面図.。
【図23】実施例7に係る磁性薄膜を用いた薄膜ヘッド
の断面図略図。
【図24】実施例7の高抵抗磁性積層膜を用いた薄膜ヘ
ッドの断面図略図。
【図25】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用
いた薄膜ヘッドの断面図略図。
【図26】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用
いた薄膜ヘッドの断面図略図。
【図27】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用
いた薄膜ヘッドの断面図略図。
【図28】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用
いた薄膜ヘッドの断面図略図。
【図29】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用
いた薄膜ヘッドの断面図略図。
【図30】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を用
いた薄膜ヘッドの断面図略図。
【図31】実施例7の薄膜の製造方法に用いるマグネト
ロンスパッタの構成図。
【図32A】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドの製造方法の説明図。
【図32B】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドの製造方法の説明図。
【図32C】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドの製造方法の説明図。
【図33A】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドの他の製造方法の説明図。
【図33B】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドの他の製造方法の説明図。
【図33C】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドの他の製造方法の説明図。
【図34】実施例7の薄膜ヘッドのオーバーライト特性
を示す図。
【図35A】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドのさらに他の製造方法の説明図。
【図35B】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドのさらに他の製造方法の説明図。
【図35C】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドのさらに他の製造方法の説明図。
【図36A】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドのさらに他の製造方法の説明図。
【図36B】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドのさらに他の製造方法の説明図。
【図36C】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドのさらに他の製造方法の説明図。
【図36D】実施例7の磁性薄膜と高抵抗磁性積層膜を
用いた薄膜ヘッドのさらに他の製造方法のフローチャー
ト。
【図37】実施例8の薄膜ヘッドの磁気特性を示す図。
【図38】本発明のハードディスク装置の側面図。
【図39】本発明のハードディスク装置の平面図。
【図40】従来の薄膜磁性層の説明図。
【符号の説明】
250 皮膜形成物 261BS 高BS蒸着源 261AS 高ρ蒸着源

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性層と中間層とを備えた磁性膜であっ
    て、 前記磁性層は、(M1α11β1100-δ11δ1(但
    し、添え字のα1,β1,δ1は原子量%を示し、またM1
    はFe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性
    金属、X1はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、S
    n、Al、Gaまたは前記M1をのぞく遷移金属から選
    ばれた少なくとも1種、A1はO、Nの少なくとも1種
    を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β1≦12 α1+β1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲を有し、 前記中間層は、(M2α22β2100-δ22δ2(但
    し、添え字のα2,β2,δ2は原子量%を示し、M2はF
    e、Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性金
    属、X2はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、S
    n、Al、Gaまたは前記M1をのぞく遷移金属から選
    ばれた少なくとも1種、A2はO、Nの少なくとも1種
    を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β2≦80 α2+β2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲を有し、 前記磁性層と前記中間層とが交互に積層される磁性膜。
  2. 【請求項2】 少なくともX1がSi、Al、Ti、V
    から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1記載の磁
    性膜。
  3. 【請求項3】 M1=M2、かつX1=X2である、請求項
    1記載の磁性膜。
  4. 【請求項4】 A2がOを含む、請求項1記載の磁性
    膜。
  5. 【請求項5】 前記磁性層の平均厚みをT1、前記中間
    層の平均厚みをT2とすると、 2nm≦T1≦150nm 0.4nm≦T2≦15nm 1≦T1/T2≦50 なる関係式を満足する、請求項1記載の磁性膜。
  6. 【請求項6】 前記磁性膜は、 20nm<T1≦150nm 1nm<T2≦15nm 4≦T1/T2≦50 なる関係式を満足し、 前記中間層を介して隣り合う前記磁性層を構成する磁性
    結晶粒のうち少なくとも50%が前記中間層で分離され
    ている、請求項5記載の磁性膜。
  7. 【請求項7】 磁性層と中間層とを備えた磁性膜であっ
    て、 前記磁性層は、(M1α11β1100-δ11δ1(但
    し、添え字のα1,β1,δ1は原子量%を示し、M1
    はFe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性
    金属元素、X1はMg、Ca、Sr、Ba、Si、G
    e、Al、Gaまたは遷移金属であるIVa族またはV
    a族またはCrから選ばれた少なくとも1種、A1
    O、Nの少なくとも1種を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β1≦12 α1+β1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲を有し、 前記中間層は、(M2α22β2100-δ22δ2(但
    し、添え字のα2,β2,δ2は原子量%を示し、M2はF
    e、Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性金属
    元素、X2はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Al、G
    aまたはGeまたは遷移金属であるIVa族またはVa
    族またはCrから選ばれた少なくとも1種、A2はO、
    Nの少なくとも1種を表す)なる組成式で表され、 0.1≦β2≦80 α2+β2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲を有し、 前記磁性層と前記中間層とが交互に積層される磁性膜。
  8. 【請求項8】 少なくともX1がSi、Al、Ti、V
    から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項7記載の磁
    性膜。
  9. 【請求項9】 M1=M2、かつX1=X2である、請求項
    7記載の磁性膜。
  10. 【請求項10】 A2がOを含む、請求項7記載の磁性
    膜。
  11. 【請求項11】 前記磁性層の平均厚みをT1、前記中
    間層の平均厚みをT2とすると、 2nm≦T1≦150nm 0.4nm≦T2≦15nm 1≦T1/T2≦50 なる関係式を満足する、請求項7記載の磁性膜。
  12. 【請求項12】 前記磁性膜は、 20nm<T1≦150nm 1nm<T2≦15nm 4≦T1/T2≦50 なる関係式を満足し、 前記中間層を介して隣り合う前記磁性層を構成する磁性
    結晶粒のうち少なくとも50%が前記中間層で分離され
    ている、請求項11記載の磁性膜。
  13. 【請求項13】 磁性層と中間層とを備えた磁性膜であ
    って、 前記磁性層は、(M1α11β11γ1100-δ11δ1
    (但し、添え字のα1,β1,γ1、δ1は原子量%を示
    し、M1はFe、Co、Niから選ばれた少なくとも1
    種の磁性金属元素、X1はMg、Ca、Sr、Ba、S
    i、Al、GaまたはGeまたは遷移金属であるIVa
    族またはVa族またはCrから選ばれた少なくとも1
    種、Z1はZn、Rh、Ru、Ptから選ばれた少なくと
    も1種、A1はO、Nの少なくとも1種を表す)なる組
    成式で表され、 0.1≦β1≦12 0.1≦γ1≦8 α1+β1+γ1=100 0≦δ1≦10 の組成範囲を有し、 前記中間層は、(M2α22β22γ2100-δ22δ2
    (但し、添え字のα2,β2,γ2,δ2は原子量%を示
    し、M2はFe、Co、Niから選ばれた少なくとも1
    種の磁性金属元素、X2はMg、Ca、Sr、Ba、S
    i、Al、GaまたはGeまたは遷移金属であるIVa
    族またはVa族またはCrから選ばれた少なくとも1
    種、Z2はRh、Ru、Ptから選ばれた少なくとも1
    種、A2はO、Nの少なくとも1種を表す)なる組成式
    で表され、 0.1≦β2≦80 0.1≦γ2≦8 α2+β2+γ2=100 δ1<δ2≦67 の組成範囲を有し、 前記磁性層と前記中間層とが交互に積層される磁性膜。
  14. 【請求項14】 少なくともX1がSi、Al、Ti、
    Vから選ばれた少なくとも1種を含む、請求項13記載
    の磁性膜。
  15. 【請求項15】 M1=M2、かつX1=X2である、請求
    項13記載の磁性膜。
  16. 【請求項16】 A2がOを含む、請求項13記載の磁
    性膜。
  17. 【請求項17】 前記磁性層の平均厚みをT1、前記中
    間層の平均厚みをT2とすると、 2nm≦T1≦150nm 0.4nm≦T2≦15nm 1≦T1/T2≦50 なる関係式を満足する、請求項13記載の磁性膜。
  18. 【請求項18】 前記磁性膜は、 20nm<T1≦150nm 1nm<T2≦15nm 4≦T1/T2≦50 なる関係式を満足し、 前記中間層を介して隣り合う前記磁性層を構成する磁性
    結晶粒のうち少なくとも50%が前記中間層で分離され
    ている、請求項17記載の磁性膜。
  19. 【請求項19】 MαXβ(NδOε)γ(但し、添え
    字のα、β、γ、δ、εは原子量%を示し、MはFe、
    Co、Niから選ばれた少なくとも1種の磁性金属、X
    はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sn、Al、
    Gaまたは前記Mをのぞく遷移金属から選ばれた少なく
    とも1種)なる組成式で表される高抵抗磁性膜であっ
    て、 前記Xが、窒素化物生成自由エネルギーが最も低い窒化
    物となるときの化学式をXNm、酸化物生成自由エネル
    ギーが最も低い酸化物となるときの化学式をXOn、と
    すると、 前記高抵抗磁性膜は、 α+β+γ=100 45≦α≦78 δ+ε=100 1<100×γ/β/(m×δ+n×ε)<2.5 の組成範囲を有し、 前記高抵抗磁性膜は、結晶粒を含み、 前記結晶粒の最短径が20nm以下である高抵抗磁性
    膜。
  20. 【請求項20】 磁性層と中間層とを備えた高抵抗磁性
    積層膜であって、 前記磁性層は、高抵抗磁性膜を含み、前記高抵抗磁性膜
    がM1m11n11q1、前記中間層がM2m22n22q2
    (但し、添え字のm1、n1、q1、m2、n2、q2
    は原子量%を示し、M1、M2はFe、Co、Niから選
    ばれた少なくとも1種の磁性金属、X1、X2はMg、C
    a、Sr、Ba、Si、Ge、Sn、Al、Gaまたは
    前記磁性金属をのぞく遷移金属から選ばれた少なくとも
    1種、A1、A2はO、Nの少なくとも1種を表す)なる
    組成式で表され、 前記高抵抗磁性膜と前記中間層とは、 M1=M2、X1=X2 q1<q2 なる関係を満足し、 前記高抵抗磁性膜と前記中間層とが交互に積層される高
    抵抗磁性積層膜。
  21. 【請求項21】 磁性薄膜あるいは磁性層上に、Mg、
    Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sn、Al、Gaまた
    は前記M1をのぞく遷移金属から選ばれた少なくとも1
    種以上の元素を10原子量%以上含む低抵抗層を形成す
    るステップと、 前記低抵抗層を酸素雰囲気化、窒素雰囲気化、酸素プラ
    ズマ雰囲気化および窒素プラズマ雰囲気化のいずれか
    で、酸化あるいは窒化させるステップとを包含する高抵
    抗層の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記磁性薄膜あるいは前記磁性層は、
    酸素親和性元素を含む、請求項21記載の高抵抗層の製
    造方法。
  23. 【請求項23】 磁性薄膜と高抵抗層とが交互に積層さ
    れる磁性積層膜であって、 前記磁性薄膜の平均厚みをT3、前記高抵抗層の平均厚
    みをT4とすると、 100nm≦T3≦1000nm 2nm<T4≦50nm 10≦T3/T4≦500 なる関係式を満足する磁性積層膜。
  24. 【請求項24】 前記磁性薄膜は、磁性層と中間層とを
    含み、 前記磁性層がM111、前記中間層がM222、前記
    高抵抗層がM333(M1〜M3はFe、Co、Niか
    ら選ばれた少なくとも1種の磁性金属、X1、X2、X3
    はMg、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sn、Al、
    Gaまたは前記磁性金属をのぞく遷移金属から選ばれた
    少なくとも1種、A1、A2、A3はO、Nの少なくとも
    1種を表す)なる組成式で表され、 前記磁性層と前記中間層と前記高抵抗層とは、少なくと
    もM1=M2=M3、X1=X2=X3なる条件を満たす、請
    求項23記載の磁性積層膜。
  25. 【請求項25】 上部磁極と下部磁極とを備え、 少なくとも前記上部磁極は、比抵抗が80μΩcm以上
    である高抵抗磁性膜または高抵抗磁性積層膜と、磁性薄
    膜または磁性積層膜とを含み、 前記上部磁極と前記下部磁極とは、記録ギャップを形成
    し、 少なくとも前記上部磁極の先端部の記録ギャップの近傍
    には、前記磁性薄膜または前記磁性積層膜が形成される
    薄膜ヘッド。
  26. 【請求項26】 少なくとも前記記録ギャップ上に前記
    磁性薄膜または前記磁性積層膜が形成され、 前記磁性薄膜または前記磁性積層膜上に比抵抗が80μ
    Ωcm以上である高抵抗磁性膜または高抵抗磁性積層膜
    が形成される、請求項25記載の薄膜ヘッド。
  27. 【請求項27】 披膜形成物と膜形成物質供給源とを相
    対的に移動させる第1ステップと、 磁性薄膜と磁性積層膜と高抵抗磁性膜と高抵抗磁性積層
    膜との少なくとも1つを成膜する第2ステップとを包含
    し、 前記披膜形成物と前記膜形成物質供給源とが互いに相対
    的に移動する移動方向に磁性薄膜と磁性積層膜と高抵抗
    磁性膜と高抵抗磁性積層膜との少なくとも1つの磁化困
    難軸が形成される薄膜の製造方法。
  28. 【請求項28】 移動方向は、薄膜ヘッドの上部磁極の
    デプス方向を含む、請求項27記載の薄膜の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記第1ステップは、前記移動方向に
    略直角で、かつ前記被膜形成物上の、成膜面内に略平行
    に、50(Oe)以上の略一様でかつ略一方向の磁場を
    形成する気相成膜法を用いて成膜するステップを包含す
    る、請求項27記載の薄膜の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記第1ステップは、気相成膜装置内
    での酸素または酸素プラズマあるいは窒素または窒素プ
    ラズマの濃度を変化させることで成膜するステップを包
    含する、請求項27記載の薄膜の製造方法。
  31. 【請求項31】 成膜中の前記披膜形成物の実質的な温
    度が300℃以下である、請求項27記載の薄膜の製造
    方法。
  32. 【請求項32】 請求項1記載の磁性膜を少なくとも磁
    極あるいはシールドの一部に用いたハードディスク装
    置。
  33. 【請求項33】 請求項7記載の磁性膜を少なくとも磁
    極あるいはシールドの一部に用いたハードディスク装
    置。
  34. 【請求項34】 請求項13記載の磁性膜を少なくとも
    磁極あるいはシールドの一部に用いたハードディスク装
    置。
  35. 【請求項35】 請求項19記載の高抵抗磁性膜を少な
    くとも磁極あるいはシールドの一部に用いたハードディ
    スク装置。
  36. 【請求項36】 請求項20記載の高抵抗磁性積層膜を
    少なくとも磁極あるいはシールドの一部に用いたハード
    ディスク装置。
  37. 【請求項37】 請求項23記載の磁性積層膜を少なく
    とも磁極あるいはシールドの一部に用いたハードディス
    ク装置。
  38. 【請求項38】 請求項14記載の薄膜ヘッドを用いた
    ハードディスク装置。
  39. 【請求項39】 請求項15記載の薄膜ヘッドを用いた
    ハードディスク装置。
JP24938199A 1998-09-03 1999-09-02 磁性膜とその製造方法 Withdrawn JP2000150233A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24938199A JP2000150233A (ja) 1998-09-03 1999-09-02 磁性膜とその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-249360 1998-09-03
JP24936098 1998-09-03
JP24938199A JP2000150233A (ja) 1998-09-03 1999-09-02 磁性膜とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000150233A true JP2000150233A (ja) 2000-05-30

Family

ID=26539242

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24938199A Withdrawn JP2000150233A (ja) 1998-09-03 1999-09-02 磁性膜とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000150233A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002058086A1 (en) * 2001-01-18 2002-07-25 Taiyo Yuden Co. Ltd. Granular thin magnetic film and method of manufacturing the film, laminated magnetic film, magnetic part, and electronic device
US6638596B1 (en) * 1999-06-22 2003-10-28 Alps Electric Co., Ltd. Thin film magnetic head using soft magnetic film having soft magnetic characteristics of high resistivity, low coercive force, and high saturation magnetic flux density
US6771473B2 (en) 2001-01-22 2004-08-03 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive element and method for producing the same
JP2006041527A (ja) * 2004-07-27 2006-02-09 St Microelectronics Sa 磁化が高く絶縁性のある軟磁性薄膜および該薄膜を生成するための方法および集積回路
US7576950B2 (en) 2004-08-06 2009-08-18 Sae Magnetics (H.K.) Ltd. Perpendicular magnetic recording head utilizing tensile stress to optimize magnetic pole layer domain structure
JP4531331B2 (ja) * 2000-05-31 2010-08-25 高橋 研 磁性薄膜、その製造方法、その評価方法及びこれを用いた磁気ヘッド、磁気記録装置並びに磁気デバイス

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6638596B1 (en) * 1999-06-22 2003-10-28 Alps Electric Co., Ltd. Thin film magnetic head using soft magnetic film having soft magnetic characteristics of high resistivity, low coercive force, and high saturation magnetic flux density
JP4531331B2 (ja) * 2000-05-31 2010-08-25 高橋 研 磁性薄膜、その製造方法、その評価方法及びこれを用いた磁気ヘッド、磁気記録装置並びに磁気デバイス
WO2002058086A1 (en) * 2001-01-18 2002-07-25 Taiyo Yuden Co. Ltd. Granular thin magnetic film and method of manufacturing the film, laminated magnetic film, magnetic part, and electronic device
US7060374B2 (en) 2001-01-18 2006-06-13 Taiyo Yuden Co., Ltd. Granular magnetic thin film and method for making the same, multilayered magnetic film, magnetic components and electronic equipment
US7498088B2 (en) 2001-01-18 2009-03-03 Taiyo Yuden Co., Ltd. Granular magnetic thin film and method for making the same, multilayered magnetic film, magnetic components and electronic equipment
US6771473B2 (en) 2001-01-22 2004-08-03 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive element and method for producing the same
US7042686B2 (en) 2001-01-22 2006-05-09 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive element and method for producing the same
JP2006041527A (ja) * 2004-07-27 2006-02-09 St Microelectronics Sa 磁化が高く絶縁性のある軟磁性薄膜および該薄膜を生成するための方法および集積回路
US7576950B2 (en) 2004-08-06 2009-08-18 Sae Magnetics (H.K.) Ltd. Perpendicular magnetic recording head utilizing tensile stress to optimize magnetic pole layer domain structure

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100819410B1 (ko) 수직 자기 기록 매체 및 그 제조 방법, 자기 기억 장치
US6132892A (en) Soft magnetic alloy film and manufacturing method thereof, and magnetic head incorporating the same
KR100790281B1 (ko) 수직 자기 기록 매체, 그 제조 방법 및 자기 기억 장치
JP4531331B2 (ja) 磁性薄膜、その製造方法、その評価方法及びこれを用いた磁気ヘッド、磁気記録装置並びに磁気デバイス
JPH08171716A (ja) 磁性合金及びその製造方法
JP2002025030A (ja) 垂直磁気記録媒体とその製法および磁気記録装置
KR100348920B1 (ko) 자성막과 그 제조 방법
JP2950912B2 (ja) 軟磁性薄膜
JP3970610B2 (ja) 磁性薄膜および記録ヘッド
JPH11340036A (ja) 軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、平面型磁気素子、及びフィルタ
JP2000150233A (ja) 磁性膜とその製造方法
JPH07116563B2 (ja) Fe基軟磁性合金
JP2003203330A (ja) 磁気記録媒体
JP2950917B2 (ja) 軟磁性薄膜
JP4453479B2 (ja) 交換結合型軟磁性材料
US20030143434A1 (en) Perpendicular magnetic recording medium
JP2016225002A (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP2002133635A (ja) 情報記録媒体及び情報記録装置
US6902826B1 (en) High moment films with sub-monolayer nanolaminations retaining magnetic anisotropy after hard axis annealing
JPH0282601A (ja) 多層磁性膜
JP2774702B2 (ja) 軟磁性薄膜およびそれを用いた薄膜磁気ヘッド
JPH0358316A (ja) 垂直磁気記録媒体
JP2893706B2 (ja) 鉄系軟磁性膜
JPH10289437A (ja) 磁気記録媒体及び磁気記憶装置
JPH0315245B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20061107