JP2808547B2 - 複合磁気ヘッド - Google Patents

複合磁気ヘッド

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JP2808547B2
JP2808547B2 JP2006242A JP624290A JP2808547B2 JP 2808547 B2 JP2808547 B2 JP 2808547B2 JP 2006242 A JP2006242 A JP 2006242A JP 624290 A JP624290 A JP 624290A JP 2808547 B2 JP2808547 B2 JP 2808547B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,複合磁気ヘッドに関し,特にフェライトコ
アと特定の軟磁性層の間に拡散防止層を設けた高密度記
録再生用磁気ヘッドに関する。
〔発明の背景〕
例えばオーディオテープレコーダやVTR(ビデオテー
プレコーダ)等の磁気記録再生装置においては,記録信
号の高密度化や高品質化等が進められており,この高記
録密度化に対応して,磁気記録媒体としては磁性粉にF
e,Co,Ni等の金属あるいは合金からなる粉末を用いた,
いわゆるメタルテープや,強磁性金属材料を真空薄膜形
成技術によりベースフィルム上に直接被着した,いわゆ
る蒸着テープ等が開発され,各分野で実用化されてい
る。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ところで,このような所定の保磁力を有する磁気記録
媒体の特性を発揮せしめるためには,磁気ヘッドのコア
材料の特性として,高い飽和磁束密度を有するととも
に,同一の磁気ヘッドで再生を行なおうとする場合にお
いては,高透磁率を併せて有することが要求される。
従来は,センダスト合金(Fe−Si−Al,Bs10KG)や,
Co系アモルファス合金などが用いられていたが,センダ
スト合金は,膜の内部応力が大きく,また結晶粒が成長
し易く厚膜化が難しい。また,飽和磁束密度Bsが10KG程
度で,今以上の高密度記録には飽和磁束密度Bsが不充分
である。また,Co系アモルファス合金は特性も良く高飽
和磁束密度Bsのものも作製できるが,450℃程度で結晶化
してしまうため,ヘッド形成する際に高温でガラス接合
できず,充分な接合強度が得られないという難点があっ
た。
その他の軟磁性材料としては窒化鉄があり,一般に,
窒素含有雰囲気中で鉄をターゲットとしてイオンビーム
蒸着あるいはスパッタリング等により薄膜状に形成され
る。しかしながら,この軟磁性薄膜は,ガラスボンディ
ング等の際の加熱によって保磁力が大幅に上昇してしま
い特性の安定性が不充分であるという問題があった。
特開昭63−299219号公報には,このような問題点を改
良せんとした次の軟磁性薄膜が記載されている。
「FexNyAz(ただし,x,y,zは各々組成比を原子%とし
て表し,AはSi,Al,Ta,B,Mg,Ca,Sr,Ba,Cr,Mn,Zr,Nb,Ti,M
o,V,W,Hf,Ga,Ge,希土類元素の少なくとも1種を表
す。)なる組成式で示され,その組成範囲が 0.5≦y≦5.0 0.5≦z≦7.5 x+y+z=100 であることを特徴とする軟磁性薄膜。」 しかし,特開昭63−299219号公報に記載の軟磁性薄膜
もまた加熱によって保磁力が上昇するのを避けられない
ので,例えばガラスボンディング工程等の加熱工程を要
する磁気ヘッドの製造に用いることは好ましくない。
さらに一軸異方性を有していないため高周波における
透磁率を高くすることができないという欠点がある。
また,製膜条件にもよるが,一般的に結晶質材料は,
膜を付着する過程でセルフシャドウイング効果によって
柱状晶になり易く,粒界部にボイドが形成されるために
磁気的に不連続になり軟磁気特性が劣化してしまう傾向
がある。このセルフシャドウイング効果は,磁気ヘッド
を作製する際の様に下地に段差がある場合や厚膜化する
場合に特に顕著となり,充分な特性が得られないという
難点があった。
前記公報に記載の軟磁性薄膜には以上のような問題点
があるので,磁気ヘッドコア材料として好ましくなかっ
た。
本発明は,上記従来技術の問題点を改良した磁気ヘッ
ドの提供を目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば次の複合磁気ヘッドにより上記目的を
達成することができる。
先端対向面及び該対向面から後退して形成される凹
所を有するフェライトコアと,該コアの対向面間に設け
られギャップを規定する軟磁性層と,該コアと該軟磁性
層との界面に設けられSiO2から成る拡散防止層から成
り,前記軟磁性層は,FeaZrbNc(但し,a,b,cは各々原子
%を示す。)なる組成式で示され,その組成範囲は 69≦a≦93 2≦b≦15 5.5<c≦22 の範囲である複合磁気ヘッド。
先端対向面及び該対向面から後退して形成される凹
所を有するフェライトコアと,該コアの対向面間に設け
られギャップを規定する軟磁性層と,該コアと該軟磁性
層との界面に設けられSiO2から成る拡散防止層から成
り,前記軟磁性層は,Fe3XbNc(但し,a,b,cは各々原子%
を示し,XはHf,Ti,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1種以上を
表わす。)なる組成式で示され,その組成範囲は 69≦a≦93 2≦b≦15 5.5<c≦22 の範囲である複合磁気ヘッド。
前記組成範囲は、好ましくは、前記三者の三成分組成
座標系(Fe、Zr、N)又は(Fe、X、N)において P(91、2、7) Q(92.5、2、5.5) R(87、7.5、5.5) S(73、12、15) T(69、12、19) U(69、9、22) V(76、5、19) の7点を結ぶ線分で囲まれた範囲である。
軟磁性層のZrの少なくとも一部は,Hf,Ti,Nb,Ta,V,Mo,
Wのうちの少なくとも1種で置き換えることができる。
軟磁性層は、好ましくは、保磁力が1.5Oe以下であ
る。
拡散防止層の厚さは,好ましくは,50〜200Åにする。
本願発明者は,前記従来の軟磁性薄膜の問題点を改良
したものとして,FeaZrbNc又はFeaXbNc(但し,a,b,cは各
々原子%を示し,XはHf,Ti,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1
種以上を表わす。)なる組成式で示され,その組成範囲
が 0<b≦20 0<c≦22 の範囲(但し,b≦7.5かつc≦5を除く)である軟磁性
薄膜を新たに見い出した。
ところが,いわゆる複合磁気ヘッドの軟磁性層として
前記軟磁性薄膜を用いた複合磁気ヘッドは,再生時に,
再生信号の周波数特性が周期的に変動する,いわゆるう
なりが観察され,磁気ヘッドとして実用するには十分で
ないことが判明した。ここで,複合磁気ヘッドとは,先
端対向面及び該対向面から後退して形成される凹所を有
する磁気ヘッドコアと,少なくとも該対向面に露出しギ
ャップを規定する軟磁性層と,該コアの凹所に充填され
て成るガラス充填部から成る磁気ヘッドをいい,前記う
なりは,前記磁気ヘッドコアとしてフェライトを使用し
た場合に観察され非磁性材料を使用した場合には観察さ
れないことも判明した。
本願発明者は,複合磁気ヘッド製造過程において,
前記特定組成の軟磁性層をフェライトコアの表面に形成
する際及び形成した後等の,複合磁気ヘッド製造のため
の不可避の加熱により,著しく磁気特性の劣化した拡散
層が前記フェライトコアと前記特定組成の軟磁性層の界
面に形成されること,この拡散層がギャップと略平行
に位置して形成されるため,疑似ギャップとして作用
し,ヘッド再生出力に悪影響(いわゆる前記うなり)を
与えること,前記特定組成の軟磁性層を形成しようと
するフェライトコアの表面にSiO2から成る拡散防止層を
設けることにより前記拡散層の形成を防止できることを
新たに見い出し,本発明を完成するに至った。
なお,特開昭63−298806号公報及び特開平1−100714
号公報には,複合磁気ヘッドのコアを構成する酸化物磁
性材料と金属磁性薄膜との界面に夫々非磁性窒化物薄膜
やSi等の酸化物薄膜を配することにより,前記酸化物磁
性材料と金属磁性薄膜との間の反応を抑制し,疑似ギャ
ップの成形を防止する旨記載されている。
しかし,金属磁性薄膜として,本願発明者が見い出し
た前記特定組成の軟磁性薄膜,及び,これを複合磁気ヘ
ッドに使用した場合の,本願発明者によって新たに見い
出された問題点は,全く記載されていない。
また、特開昭63−298806号公報には、反応防止層の材
料として酸化シリコンを用いた場合には、反応防止効果
を得るためにある程度以上の膜厚を必要とし、反応防止
層自体が疑似ギャップとして作用し悪影響を及ぼす虞れ
があるので、非磁性窒化物にすべきである旨が記載され
ている(2頁左下欄9行〜右下欄8行)。
[作用] 本発明の複合磁気ヘッドは,先端対向面及び該対向面
から後退して形成される凹所を有するフェライトコア
と,該コアの対向面間に設けられギャップを規定する前
記特定組成の軟磁性層との界面に,SiO2からなる拡散防
止層を設けている。
そのため,本発明の複合磁気ヘッド製造過程における
不可避の加熱による,前記フェライトコアと前記特定組
成の軟磁性層間での,磁気特性の劣化した拡散層の形成
及び成長を防止することができる。以下,軟磁性層が前
記特定組成のFe−Zr−N軟磁性層の場合を例にして詳述
する。
例えば,前記特定組成のFe−Zr−N軟磁性層は,一般
に,非軟磁性のFe−Zr−N非晶質合金膜を例えば550℃
程度で熱処理して形成する。ところが,前記フェライト
コア表面に直接前記Fe−Zr−N非晶質合金膜を形成し熱
処理を行なうと,該Fe−Zr−N非晶質合金膜が前記特定
組成のFe−Zr−N軟磁性層に変化するとともに,前記フ
ェライトコアと該Fe−Zr−N軟磁性層の界面に,磁気特
性の劣化した拡散層が形成・成長する。これに対して本
発明の複合磁気ヘッドを製造する場合には,前記フェラ
イトコアと前記Fe−Zr−N非晶質合金膜の界面にSiO2
ら成る拡散防止層を設けるので,磁気特性の劣化した拡
散層は形成されない。
また,コアにフェライトを用いた複合磁気ヘッドは,
一般に,フェライトコア半体の先端対向面及び該対向面
から後退して形成される凹所に軟磁性層及びギャップ層
を順次設けて成る多層状の複合磁気ヘッド半体の1組
を,所定の方向に突合わせ,前記フェライトコア半体の
凹所に溶融ガラスを充填・冷却することにより製造す
る。ところが,フェライトコア半体に直接前記特定組成
のFe−Zr−N軟磁性層を形成して前記製造方法により複
合磁気ヘッドを製造すると,前記溶融ガラスの充填・冷
却による加熱によって,前記フェライトコア半体と前記
特定組成のFe−Zr−N軟磁性層の界面に,磁気特性の劣
化した拡散層が形成・成長する。これに対して本発明の
複合磁気ヘッドを製造する場合には,前記フェライトコ
ア半体と前記特定組成のFe−Zr−N軟磁性層の界面にSi
O2から成る拡散防止層を設けるので,磁気特性の劣化し
た拡散層は形成されない。
さらに前記複合磁気ヘッド製造方法において,前記多
層状の複合磁気ヘッド半体のひずみを加熱によって除去
する場合もある。本発明の複合磁気ヘッドを製造する場
合には,前記多層状の複合磁気ヘッドのフェライトコア
半体と前記特定組成のFe−Zr−N軟磁性層の界面にSiO2
から成る拡散防止層を設けるので,磁気特性の劣化した
拡散層を形成することなく,複合磁気ヘッド半体のひず
みを加熱により除去することができる。
第1−B図及び第1−C図は,SiO2からなる拡散防止
層の作用を裏付けている。第1−B図は,フェライト基
板(SSF−4:信越化学製)表面を逆スパッタ(10分間)
し,引き続きそこに本発明で特定する組成範囲内で非軟
磁性のFe−Zr−N非晶質合金薄膜1000Åを形成したas d
epo基板(a),該as depo基板を350℃(1時間)で加
熱した基板(b),該as depo基板を550℃(1時間)で
加熱した基板(c)の夫々のFe−Zr−N薄膜とフェライ
ト基板間のオージェデプスプロファイル模式図である
(但し,縦軸の最大は100at%を示している)。第1−
B図の(a),(b)及び(c)によれば,フェライト
基板に前記Fe−Zr−N非晶質合金薄膜を直接形成し,こ
れらを加熱した場合,これらの界面に拡散層が形成され
たことがわかる。即ち,加熱によりフェライト基板中の
OがFe−Zr−N軟磁性薄膜(非軟磁性のFe−Zr−N非晶
質合金薄膜の加熱により形成された薄膜)中に拡散し,F
e−Zr−N非晶質合金薄膜中のFeがフェライト基板中に
拡散して,フェライト基板とFe−Zr−N軟磁性薄膜の界
面に相互拡散層が形成されたことが示されている。
第1−C図は,フェライト基板(SSF−4:信越化学
製)表面を逆スパッタ(10分間)し,引き続きSiO2薄膜
を200Å形成し,さらに引き続きそのSiO2薄膜表面に本
発明で特定する組成範囲内で非軟磁性のFe−Zr−N非晶
質合金薄膜1000Åを形成したas depo基板(a),該as
depo基板を350℃(1時間)で加熱した基板(b),該a
s depo基板を550℃(1時間)で加熱した基板(c)の
夫々のFe−Zr−N薄膜とフェライト基板間のオージェデ
プスプロファイル模式図である。第1−C図の(a),
(b)及び(c)によれば,フェライト基板と前記Fe−
Zr−N非晶質合金薄膜の界面にSiO2薄膜を形成し,これ
らを加熱した場合には,SiO2薄膜が存在しなければ当然
に形成されていたであろう既述の相互拡散層は形成され
ていないということがわかる。即ち,加熱されてもフェ
ライト基板中のOはFe−Zr−N軟磁性薄膜(非軟磁性の
Fe−Zr−N非晶質合金薄膜の加熱により形成された薄
膜)中に拡散せず,またFe−Zr−N非晶質合金薄膜中の
Feもフェライト基板中に拡散しないので,フェライト基
板とFe−Zr−N軟磁性薄膜の界面に相互拡散層が形成さ
れないということが示されている。
なお,前記逆スパッタ,前記SiO2薄膜及び前記非軟磁
性のFe−Zr−N非晶質合金薄膜の形成は,スパッタ装置
SPR−403(トッキ株式会社製)を用いて連続して行っ
た。逆スパッタは,フェライトの表面に吸着した空気や
水蒸気等のコンタミネーションの除去,及びフェライト
表面研摩時に形成された磁気特性の良くない非晶質表面
層の除去のために行なういわゆるスパッタクリーニング
であり,これによりフェライト表面が荒れるので,この
表面に形成される層との密着性,結合性等を向上させ
る。また,前記SiO2薄膜形成のためのスパッタ装置の主
な条件は,次のとおりであった。
Arガス圧 :2Pa 電 力 :100W 電極間摩距離:55mm [好適な実施態様] SiO2から成る拡散防止層は,例えばスパッタリング等
の気相積着法により形成できる。前記拡散防止層の厚さ
は,少なくとも拡散層の形成を防止できる厚さ以上に
し,好ましくは50Å以上にする。しかしながら,前記層
が厚くなり過ぎると疑似ギャップとしての作用が大きく
なるので,前記層の厚さは好ましくは200Å以下にす
る。
フェライトコアはフェライトから成る。フェライトと
は,一般にMO・Fe2O3なる組成を持つ一群の鉄酸化物の
ことをいう。ここで,Mは2価の金属イオンであり,例え
ばMn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+等であるが,Mを2種
以上の2価の金属イオンにすることもできる。このよう
なフェライトとして,例えば,MnZn単結晶フェライトが
ある。
軟磁性層は,FeaZrbNc又はFeaXbNc(但し,a,b,cは各々
原子%を示し,XはHf,Ti,Nb,Ta,V,Mo,Wの少なくとも1種
以上を表わす。)なる組成式で示され,その組成範囲は 69≦a≦93 2≦b≦15 5.5<c≦23 の範囲である。この組成範囲を点Q,K,L,U,Mにより第1
−F図に示す。
より好ましくは,前記組成範囲は,前記三者の三成分
組成座標系(Fe,Zr,N)又は(Fe,X,N)において P(91,2,7) Q(92.5,2,5.5) R(87,7.5,5.5) S(73,12,15) T(69,12,19) U(69,9,22) V(76,5,19) の7点を結ぶ線分で囲まれた範囲である。この組成範囲
を点P,Q,R,S,T,U,Vにより第1−F図に示す。
さらに好ましくは,結晶粒経が300Å以下であり,軟
磁性層が一軸異方性を有する。
前記軟磁性層の組成範囲が,0<b≦20かつ,0<c≦22
の範囲(但し,b≦7.5かつc≦5を除く)である場合,
好ましくは,b≧0.5かつc≧0.5とする。b<0.5又はc
<0.5の場合にはその存在による効果が明瞭でないこと
があるからである。
組成式FeaZrbNcで示される軟磁性層のbが20原子%を
越えるか,又は,cが22原子%を越える場合には,良好な
軟磁性が得られない。
組成式FeaXbNcで示される軟磁性層のcが22原子%を
越える場合,低い保磁力(例えばHc<1)を示すことも
あるが,aがおよそ71原子%よりも小さい範囲では,aが小
さくなるにつれて飽和磁束密度Bsも低下する傾向にあ
る。また,bが20原子%を越える場合には,良好な軟磁性
が得られないことが多い。
前記軟磁性層の組成範囲が,69≦a≦93かつ2≦b≦1
5かつ5.5<c≦22の場合は,より良好な軟磁性を示す。
より好ましくは,前記組成は,前記三者の三成分組成
座標系(Fe,Zr,N)又は(Fe,X,N)において,前記特定
の点P,Q,R,S,T,U,Vの7点を結ぶ線分で囲まれた範囲で
ある。この組成範囲では保磁力が特に小さいので,磁気
ヘッドのコア材料として好適である。最も好ましい範囲
は,保磁力が1.5Oe以下(さらには1Oe以下)を示す組成
範囲である。
組成式FeaZrbNcで示される軟磁性層のさらに好ましい
組成範囲は, Fed(ZreN1-e100-d 77≦d≦88 0.3≦e≦0.38 で示される範囲である。この組成範囲を点W,X,Y,Zによ
り第1−F図に示す。これらの点W,X,Y,Zの座標は,ほ
ぼ次のとおりである。
W(88,3.6,8.4) X(88,4.56,7.44) Y(77,8.74,14.26) Z(77,6.9,16.1) 即ち,この範囲では,Feを77〜88原子%含み,かつ,
軟磁性層中のZrの含有率b(原子%)とNの含有率c
(原子%)の比c/bがおよそ1.63〜2.33となっている。
この組成範囲の軟磁性層は,良好な軟磁性(例えば,保
磁力Hc<5Oe)を有する。
組成式FeaZrbNcで示される軟磁性層においては,Hf,T
i,Nb,Ta,V,Mo,Wのうち少なくとも1種でZrの少なくとも
一部(例えば軟磁性層を構成するZrのうちの30原子%)
を置き換えることができる。
また,軟磁性層中のFeはCo,Ni又はRuの一種以上で置
き換えることができる。例えば軟磁性層を構成するFeの
うちの30原子%程度まで置き換えることができる。
本発明の複合磁気ヘッドの軟磁性層は,例えばRFスパ
ッタ法等の気相析着法により前記特定組成の非晶質層を
得て,この非晶質層を例えば350〜650℃で熱処理し前記
非晶質層の一部ないし全部を結晶化させて形成すること
ができる。このような熱処理後でもフェライトコアと軟
磁性層との間に拡散層は形成されない。好ましくは,磁
界中で熱処理して一軸磁気異方性を誘導し前記非晶質層
の一部ないし全部を結晶化させて形成する。
〔実施例〕
以下,本発明の複合磁気ヘッドの軟磁性層として用い
られる軟磁性薄膜の製造例及び特性について詳述する。
(実施例1) Fe100-yZry(y=5.0,10.0,15.0(at%))の組成の
合金ターゲットを作製し,それぞれ2.5〜12.5モル%の
窒素を含む,窒素含有アルゴンガス雰囲気中で,ガス圧
力0.6Pa,投入電力200Wの条件で高周波スパッタリングを
行ない種々の組成の非晶質合金薄膜を得た。これらの各
薄膜を磁界中で熱処理し,軟磁性薄膜を得て,それらの
飽和磁束密度Bs,保磁力Hcを測定した。BsおよびHcの測
定は交流BHトレーサー(印加磁界50Hz,25Oe,ただしHc>
25の場合は,90Oe)による(以下同様)。基板には結晶
化ガラス基板(PEG3130C HOYA製)及び単結サファイア
基板を用いた。また膜厚はいずれも0.6μm程度とし
た。
これらの結果を第1−A表に示す。なお,Hcは容易軸
方向の値で示す。また,一部の軟磁性薄膜については,5
MHzにおける透磁率μ及び磁歪について測定した。磁歪
は,膜に応力を加えた時のBH特性の変化から磁歪の正負
判定を行なった。この結果も第1−A表に示す。
一方,第1−B表には,スパッタ時の雰囲気中に窒素
を含有しない以外は前記実施例1の軟磁性薄膜の製造方
法と同様にして結晶化ガラス基板上に得られた3種の熱
処理薄膜(比較例1のNo.1,2,3)の組成,飽和磁束密度
Bs及び保磁力Hcの測定結果を示す。
また,前記実施例1の軟磁性薄膜の製造方法により製
造した軟磁性薄膜の組成と保磁力Hcの関係及び磁歪の正
負判定(結晶化ガラス基板を用い550℃で熱処理した場
合)を第2図に示す。さらに,Fe−Zr合金ターゲット中
のFe含有量及びスパッタガス中のN2含有量の軟磁性薄膜
製造条件と,保磁力Hcと,飽和磁歪λとの関係(結晶
化ガラス基板を用い550℃で熱処理した場合)を第3図
に示す。
X線回折と電気抵抗率 前記実施例1中のFe80.9Zr6.512.6の組成について
未熱処理(as depo)の薄膜と,250,350,450又は550℃で
熱処理した薄膜についてのX線回折の結果を第4図に示
し電気抵抗率の測定結果を第2表に示す。第4図によれ
ば,550℃熱処理の薄膜の結晶粒径は半値幅から約130Å
であることがわかった。なお,as depoの薄膜及び250℃
熱処理の薄膜はアモルファスであり,350℃及び450℃熱
処理の薄膜は微結晶から成り,550℃熱処理の薄膜はさら
に成長した微結晶から成ることがわかった。これらの微
結晶は薄膜の軟磁性に寄与すると考えられ,このような
微結晶の生成はN及びZrの存在によるものと考えられ
る。第2表によれば熱処理温度を高めることによって,
この薄膜の抵抗率は低下していくが,550℃まで温度を上
げて熱処理した場合でも,その値は,純鉄,パーマロイ
などよりはるかに高く,Fe−Si合金,センダストとほぼ
同等の値となっている。従って,磁気ヘッドのコアとし
て用いた場合には,渦電流損失が小さく有利である。
ビッカース硬度 さらにFe80.9Zr6.512.6の組成の薄膜について,ピ
ッカース硬度を測定した結果Hv=1000(kg/mm2,加重10
g)の値が得られた。この値は従来から磁気ヘッド材料
として用いられているセンダストやCo系アモルファス合
金(Hv=500〜650)に比べてはるかに高く,耐摩耗性も
従来より充分高めることができる。
BH曲線 前記実施例1の軟磁性薄膜の製造方法と同様にして製
造したいくつかの薄膜の交流BHトレーサーによるBH曲線
を第5図に示した。
第5図に示したサンプルは,製膜後1kOeの磁界中,10T
orrN2雰囲気中において550℃,60分間熱処理してある。
この図から明らかな様に,磁界中熱処理によって薄膜に
は明確な面内一軸異方性が誘導されている。従って,こ
の薄膜の困難軸方向を磁化方向とすることによって,1MH
zより高い周波数での透磁率を充分高くすることがで
き,この点からも磁気ヘッド材料として有利である。ま
た,この異方性磁界Hkは,組成によって3〜18Oeと変化
するため,目標とする透磁率の大きさ,使用する周波数
範囲によって材料を選ぶことができる。例えば10MHz以
下において高い透磁率を得たい場合には,Hk=3〜5Oeと
なる組成を用い,それ以上高い周波数でも透磁率を劣化
させないためには,Hkがもっと高い組成を用いることも
できる。
MH曲線 第6図には,前記実施例1中のFe80.9Zr6.512.6
組成の薄膜についてVSMを用いて測定したMH曲線の結果
について示した。図中(a)は製膜直後(as depo)の
薄膜について、(b)は550℃の磁界中熱処理後の薄膜
についてのMH曲線を示している。(反磁界補正は行なっ
ていない。ただし,サンプル形状は,φ5mm×t0.63μm
であった。)VSMを用いて測定した保磁力は,交流BHト
レーサーで求めた値より一桁以上小さく,(b)より約
50m Oeと求まった。この値はセンダストやCo系アモルフ
ァス合金とほぼ同等であり,軟磁気特性が優れているこ
とが解る。また,(b)より4πMs=14.5KGと求まり,
この値はセンダストやCo系アモルファス合金より充分高
く,高保磁力媒体に記録するための磁気ヘッド材料とし
て有利である。
熱処理前の薄膜の4πMsは13.0KGであり熱処理後より
やや低い。また,垂直異方性(Hk400Oe)をもってお
り,Hcも高く,軟磁気特性は悪い。
耐食性 前記実施例1中のFe80.9Zr6.512.6の組成の薄膜に
ついて耐食性の評価を,水道水に約一週間浸漬した後の
表面状態の変化から行なった。その結果,本サンプルの
表面状態は鏡面のまま全く変化しなかった。比較のため
に,Co88.4Nb8.0Zr3.6アモルファス合金膜及びFe−Si合
金(電磁鋼板)についても同様の実験を行なった。その
結果Co−Nb−Zr合金も全く変化しなかったが,Fe−Si合
金は全面に錆が発生した。以上より,本発明の磁気ヘッ
ドの軟磁性層として用いられる軟磁性薄膜は,耐食性に
も優れていることが解った。
次に,本発明の複合磁気ヘッドの軟磁性層の組成範囲
外の組成の軟磁性薄膜について述べる。
(比較例2) Fe91.2Zr3.94.9の非晶質合金膜を形成し,1kOeの磁
界中350℃及び550℃で1時間熱処理を行なった。前記非
晶質合金膜(as depo),これを350℃で熱処理した膜,
及び550℃で熱処理した膜の交流BHトレーサーによるBH
曲線を,夫々第7図の(a)〜(c)に示す。未熱処理
の非晶質合金膜(as depo)は,軟磁性を有していない
(a)。これを350℃で熱処理した膜は,一軸異方性を
示す(b)。しかし,550℃で熱処理した膜は,その特性
が悪くなっている(c)。
磁気ヘッド製造時に,溶融ガラスによる溶着(ガラス
ボンディング)が行なわれることがあり,通常550℃程
度に加熱して行なわれる。上記組成範囲の膜を用いた場
合,このガラスボンディング時の加熱により,最終的に
得られた磁気ヘッドにおいて良好な軟磁性を示さない。
即ち,前記組成範囲の場合には,熱的に不安定な軟磁性
薄膜しか得ることができない。
(実施例2) Fe92.5Zr7.5の組成の合金ターゲットを用い,2.5,5.0,
7.5,10.0又は12.5モル%の窒素を夫々含む窒素含有アル
ゴンガス雰囲気中で高周波スパッタリングを行ない,種
々の組成のFe−Zr−N非晶質薄膜をサファイア基板(R
面)上に形成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を350℃又は550℃で
1時間熱処理して,Fe−Zr−N軟磁性薄膜を得た。得ら
れたFe−Zr−N軟磁性薄膜の組成,飽和磁束密度Bs,保
磁力Hcを第3表に示す。
(比較例3) スパッタ時の雰囲気中に窒素を含有しない以外は前記
実施例2と同様にして得た熱処理薄膜の組成,飽和磁束
密度Bs,保磁力Hcも第3表に示す。
(実施例3) Fe90Zr10(at%)の組成のターゲットを用い,6.0モル
%の窒素を含有する窒素含有アルゴンガス雰囲気中でガ
ス圧力0.6Pa,投入電力400Wの条件で高周波スパッタリン
グを行ない,サファイア基板(R面,{102}面)上
にFe75.9Zr7.316.8非晶質薄膜を形成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を,250℃,350℃,450
℃,500℃又は550℃で60分間,120分間,180分間,240分間,
540分間,1140分間,2400分間又は4800分間等温磁界(〈0
010〉方向に1.1kOe印加)中で熱処理して,軟磁性薄膜
を得た。得られたFe−Zr−N軟磁性薄膜のBH特性(測定
磁界Hm=25(Oe)),保磁力Hc及び異方性磁界Hkを第8
図に示す。
第9図は,熱処理時間t[min]に対して得られたFe
−Zr−N軟磁性薄膜の(a)保磁力Hc及び(b)異方性
磁界Hkの関係を夫々示す。また,第10図は,(a)熱処
理時間t[min]と熱処理温度と保磁力Hcとの関係,及
び,(b)熱処理時間t[min]と熱処理温度と異方性
磁界Hkとの関係を夫々示す。
これらより、熱処理温度によるBH特性の変化は,350〜
500℃の範囲と,500℃を越える範囲と,350℃未満の範囲
の3つの温度域で異なることがわかる。
また,前記Fe75.9Zr7.316.8非晶質薄膜を,250℃で4
800分間,350℃で240分間,450℃で180分間,500℃で180分
間又は550℃で1140分間夫々熱処理して得られた5種類
の軟磁性薄膜の組成(at%),軟磁性薄膜のZr含有率
(at%)とFe含有率(at%)との比Zr/Fe,N含有率(at
%)とZr含有率(at%)との比N/Zr,及びBH特性(測定
磁界Hm=25(Oe))を第4表に示す。下記各組成は,Fe
91.2(Zr・Nx8.8但しx=N/Zrで表現できる。
第4表によれば,N/Zrの値は,熱処理温度250℃までの
範囲内と,350℃〜500℃の範囲内でほぼ一定であり,熱
処理温度約300℃付近と約500℃付近にN/Zrの値が急に変
化する熱処理温度が存在するということが推定できる。
X線回折パターン 前記実施例3で得られたFe−Zr−N軟磁性薄膜と,熱
処理前のFe75.9Zr7.916.8非晶質薄膜(as depo)のX
線回折パターン(線源CuKα線40kV,30mA,λ=1.5405
Å)を第11図に示す。以下,このX線回折パターンにつ
いて述べる。
as depoの薄膜の場合,典型的なハローパターンを示
しており,非晶質化していることを裏付けている。
主ピークの位置は熱処理温度が高くなるにつれ広角側
にずれ,550℃熱処理で最終的に2θ=44.6゜となりαFe
(110)ピークと一致している。250℃×4800分では2θ
=43.7゜となり,これはFe3Zr(440)ピークと一致して
いる。350℃から500℃の熱処理では2θ≒44゜であり,
これはαFe(110)とFe3Zr(440)ピークのほぼ中間の
値に対応している。
主ピークの半値幅からScherrerの式により求めた結晶
粒サイズは,250℃から450℃で約100Å,500℃×180分で
約120Å,550℃×1140分で約170Å(550℃×60分間では
約130Å(実施例1及び第4図参照))と温度×時間に
より連続的に大きくなっている。
550℃熱処理の時間と主ピークの位置,結晶粒サイズ
の関係は下記の様になっている。
このことから,550℃熱処理では比較的早く微細なαFe
相が析出するが,時間とともにわずかながら結晶粒の成
長が生じていることが解る。
また,550℃熱処理では,αFe以外に新たにFe3Zr,ZrN
と思われるピークが観測され,これらが微細に析出して
きていると考えられる。
(実施例4) Fe90Zr10(at%)の組成のターゲットを用い,5.0モル
%の窒素を含有する窒素含有アルゴンガス雰囲気中でガ
ス圧力0.6Pa,投入電力200Wの条件で高周波スパッタリン
グを行ない,サファイア基板(R面)上にFe−Zr−N非
晶質薄膜を形成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜(厚さ約0.6μm)
の磁化の温度変化(室温の磁化で規格化してある。)を
VSMにより測定した。その結果を第12図に示す。測定
は,室温から開始して約3℃/minで昇温しながら行な
い,試料Bは340℃で120分間,試料Dは450℃で60分
間,試料Eは500℃で60分間,試料Gは520℃で180分
間,試料Fは550℃で120分間保持した。その後今度は,
−3℃/minで室温まで降温しながら測定した。第12図よ
り,熱処理前のFe−Zr−N非晶質薄膜(as depo)のキ
ュリー温度は,約250℃であり,少なくとも340℃以上で
温度保持すると磁化の値が上昇し,キュリー温度が上昇
していくことがわかる。550℃で120分間保持した場合,
キュリー温度は700℃以上となり,熱処理によってαFe
のキュリー温度(770℃)に近づいていくことがわか
る。室温での磁化は,いずれの場合もas depoの非晶質
薄膜より高いが,520〜550℃保持でほぼ飽和し,as depo
の非晶質薄膜の1.12〜1.14倍となっている。
実施例3及び実施例4からわかったことを熱処理温度
ごとに述べる。
(a)熱処理前(as depo) 構造的には,非晶質である。軟磁性は得られておら
ず,キュリー温度がαFeに比べかなり低く,磁気モーメ
ントが熱処理後よりも低い。これらはFe系の非晶質合金
として,考え得る特性である。また,Nの含有量は16.8%
と多く,N/Zr=2.3となっている。
(b)250℃熱処理 BH特性はas depoよりはやや改善され,Hcが5〜7Oeを
示していた。熱処理時間を長くすることにより4800分で
結晶化がX線的に確認され,また一軸異方性膜(Hc=1.
4Oe)が得られた。主ピークの位置は,Fe3Zr(440)ピー
クに対応している。熱処理後のN含有量は,as depoと変
わらない。
(c)350〜500℃熱処理 主ピークは,Fe3Zr(400)とαFe(110)ピークの中間
に位置するが,ZrN(200)付近にもブロードな盛り上が
りが見られ,複雑な状態になっていると考えられる。BH
特性的には,Hc0.7〜0.9Oe,Hk=9〜12Oeで熱処理時間
×温度が大きくなるにつれHkが大きくなる傾向にある。
キュリー温度はこの範囲で連続的に変化しているが,室
温の磁化は,熱処理前の1.06〜1.08倍とほぼ一定であ
る。熱処理後のN含有量は500℃では熱処理前よりもや
や低下するが,N/Zr2の領域である。
(d)550℃熱処理 主ピークは,明らかにαFe(110)ピークに対応して
おり,新たに,Fe3Zr,ZrNと思われるピークも出現してく
る。このことから550℃熱処理後には(110)配向したα
Feの微細結晶(粒径100〜200Å程度)とさらに微細なFe
3Zr,ZrN等が析出しているものと考えられる。しかし,
キュリー温度は,αFeのキュリー温度770℃よりも低め
であり,これは結晶粒が微細なことと関係していると考
えられる。
Hcは長時間熱処理で低下し約400分で極小となり,そ
の後またわずかに増加する。Hkは時間とともに低下し,
約250分でほぼ等方的になる。
熱処理後のN含有量は熱処理時間に依存し,60分熱処
理ではN/Zr1.8,1140分熱処理ではN/Zr1.1まで低下
している。550℃熱処理により一部の窒素はN2ガスとし
て試料外に放出されるものと考えられる。
このように、Fe−Zr−N非晶質薄膜を熱処理すると,
熱処理温度によって得られる軟磁性薄膜の構造及び性質
が異なる。このことは,実施例1の電気抵抗率を示す第
2表とも対応する。
以上の内容を第13図に模式的に示した。
(実施例5) Fe90Zr10の組成の合金ターゲットを用い,6.0モル%の
窒素を含有する窒素含有アルゴンガス雰囲気中で高周波
スパッタリングを行なうことにより,Fe76.2Zr7.316.5
とFe75.9Zr7.316.8の2種の組成の非晶質薄膜を夫々
サファイア基板(R面)上に形成した。ただし前者はφ
6インチターゲットを用い全圧0.15Pa,投入電力1kWで,
後者はφ4インチターゲットを用い全圧0.6Pa,投入電力
400Wでスパッタリングした。
前記基板上に形成したFe76.2Zr7.316.5非晶質薄膜
を550℃で60分間磁界中熱処理して,Fe77.8Zr7.614.6
軟磁性薄膜(膜厚は約1μm)を得た。また,前記基板
上に形成したFe75.9Zr7.316.8非晶質薄膜を550℃で磁
界中熱処理して,軟磁性薄膜を得た。軟磁性薄膜の組成
は,熱処理時間が60分間の場合にはFe79.2Zr7.513.3
であり,1140分間の場合にはFe83.2Zr8.08.8であっ
た。得られたこれらの軟磁性薄膜の組成,飽和磁束密度
Bs,保磁力Hc及び異方性磁界Hkを第5表に示す。
(実施例6) Fe100-yHfy(y=5.0,10.0,15.0(at%))の組成の
合金ターゲットを用い,2,4,6,8,10又は12モル%の窒素
を含む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で高周波スパッタ
リングを行なうことにより,種々の組成のFe−Hf−N非
晶質薄膜をサファイア基板(R面)上に形成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を350℃又は550℃,
1.1kOeの磁界中で1時間熱処理して,Fe−Hf−N軟磁性
薄膜(膜厚約1μm)を得た。得られたFe−Hf−N軟磁
性薄膜の組成,飽和磁束密度Bs,保磁力Hcを第6表に示
す。
(比較例4) スパッタ時の雰囲気中に窒素を含有しない以外は前記
実施例6と同様にして得た3種の熱処理薄膜の組成,飽
和磁束密度Bs,保磁力Hcも第6表に示す。
(実施例7) Fe100-y.Tay(y=5.0,10.0,15.0(at%))の組成の
合金ターゲットを用い,2,4,6,8,10又は12モル%の窒素
を含む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で高周波スパッタ
リングを行なうことにより,種々の組成のFe−Ta−N非
晶質薄膜をサファイア基板(R面)上に形成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を350℃又は550℃,
1.1kOeの磁界中で1時間熱処理して,Fe−Ta−N軟磁性
薄膜(膜厚約1μm)を得た。得られたFe−Ta−N軟磁
性薄膜の組成,飽和磁束密度Bs,保磁力Hcを第7表に示
す。
(比較例59) スパッタ時の雰囲気中に窒素を含有しない以外は前記
実施例7と同様にして得た熱処理薄膜の組成,飽和磁束
密度Bs,保磁力Hcも第7表に示す。
(実施例8) Fe100-yNby(y=5.0,10.0,15.0(at%))の組成の
合金ターゲットを用い,2,4,6,8又は10モル%の窒素を含
む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で高周波スパッタリン
グを行なうことにより,種々の組成のFe−Nb−N非晶質
薄膜をサファイア基板(R面)上に形成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を350℃又は550℃,
1.1kOeの磁界中で1時間熱処理して,Fe−Nb−N軟磁性
薄膜(膜厚約1μm)を得た。得られたFe−Nb−N軟磁
性薄膜の組成,飽和磁束密度Bs,保磁力Hcを第8表に示
す。
(比較例6) スパッタ時の雰囲気中に窒素を含有しない以外は前記
実施例8と同様にして得た熱処理薄膜の組成,飽和磁束
密度Bs,保磁力Hcも第8表に示す。
(実施例9) Fe90Zr10(at%)の組成のターゲットを用い,6.0モル
%の窒素を含む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で,高周
波スパッタリングを行なうことにより,Fe−Zr−N非晶
質薄膜を基板上に形成した。基板としては,フェライト
基板上にSiO2膜を製膜して成るSiO2膜被覆フェライト基
板を用いた。前記非晶質薄膜は,前記SiO2膜の表面に形
成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を,550℃,1時間磁界
中(磁界強度1.1kOe)で熱処理して,一軸磁気異方性を
有する軟磁性薄膜(膜厚5.9μm)を得た。得られた軟
磁性薄膜の組成は,前記基板のかわりにサファイア基板
を用いる以外は同一の条件で得られた軟磁性薄膜の組成
から,Fe77.8Zr7.614.6と推定した。
得られた軟磁性薄膜の電気抵抗率ρは77μΩ・cmであ
り,ビッカース硬度Hvは1010kg/mm2であった。また,得
られた軟磁性薄膜の透磁率の周波数特性を第14−A図に
示し,B−Hカーブを第14−B図に示す。
(実施例10) Fe90Hf10(at%)の組成のターゲットを用い,4.0モル
%の窒素を含む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で,高周
波スパッタリングを行なうことにより,Fe−Hf−N非晶
質薄膜を基板上に形成した。基板としては,フェライト
基板上にSiO2膜を製膜して成るSiO2膜被覆フェライト基
板を用いた。前記非晶質薄膜は,前記SiO2膜の表面に形
成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜の膜厚は4.7μmで
あった。これを550℃,1.1[kOe]の磁界中で1時間熱処
理し軟磁性薄膜を得た。そして,この薄膜の透磁率およ
び異方性磁界Hkを測定してからさらに,時間以外は前記
と同様な条件で2時間の追加の熱処理を行った(合計3
時間の熱処理)。ここでまた透磁率および異方性磁界を
測定し,さらに時間以外は前記と同様な条件で3時間の
追加の熱処理(合計6時間の熱処理)をして,透磁率お
よび異方性磁界Hkを測定した。得られた3種の軟磁性薄
膜のうちの2種の組成は,前記基板のかわりにサファイ
ア基板を用い膜厚を1μmとした以外は同一の条件で得
られた軟磁性薄膜の組成から,夫々,Fe77.4Hf7.515.1
(1時間熱処理),及びFe82.6Hf7.79.7(6時間熱処
理)と推定した。
得られた軟磁性薄膜(6時間熱処理)の電気抵抗率ρ
は60μΩ・cmであり,ビッカース硬度Hvは1100kg/mm2
あった。この軟磁性薄膜(6時間熱処理)の透磁率の周
波数特性を第15−A図に示し,B−Hカーブを第15−B図
に示す。
また,前記3種の熱処理段階の透磁率(1MHzで)μ
1MHz及び異方性磁界Hkを第15−C図に示す。第15−C図
は,Fe−Hf−N薄膜の熱処理時間に対する透磁率μ1MHz
及び異方性磁界Hkの変化を示している。
(実施例11) Fe85Ta15(at%)の組成のターゲットを用い,6.0モル
%の窒素を含む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で,高周
波スパッタリングを行なうことにより,Fe−Ta−N非晶
質薄膜を基板上に形成した。基板としては,フェライト
基板上にSiO2膜を製膜して成るSiO2膜被覆フェライト基
板を用いた。前記非晶質薄膜は,前記SiO2膜の表面に形
成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を,550℃,1時間磁界
(磁界強度1.1kOe)中で熱処理して,一軸磁気異方性を
有する軟磁性薄膜(膜厚5.6μm)を得た。得られた軟
磁性薄膜の組成は,前記基板のかわりにサファイア基板
を用いる以外は同一の条件で得られた軟磁性薄膜の組成
から,Fe69.8Ta11.518.7と推定した。
得られた軟磁性薄膜の電気抵抗率ρは86μΩ・cmであ
り,ビッカース硬度Hvは1220kg/mm2であった。また,得
られた軟磁性薄膜の透磁率の周波数特性を第16−A図に
示し,B−Hカーブを第16−B図に示す。
(参考例) Fe85Hf15,Fe90Ta10,Fe85Ta15又はFe85Nb15(以上at
%)の組成の合金ターゲットを用い,4,6,8,10,12又は15
モル%の窒素を含む窒素含有アルゴンガス雰囲気中で高
周波スパッタリングを行ない,種々の組成の非晶質薄膜
をサファイア基板(R面)上に形成した。
前記基板上に形成した非晶質薄膜を350℃又は550℃,
1.1kOeの磁界中で1時間熱処理して,Nが22原子%を越え
るFe−Hf−N,Fe−Ta−N又はFe−Nb−N軟磁性薄膜(膜
厚約1μm)を得た。これらの軟磁性薄膜の組成,飽和
磁束密度Bs,保磁力Hcを第9表に示す。第9表によれ
ば,薄膜中のNが22原子%を越えFeが71原子%よりも減
少する範囲では,Feの減少につれて飽和磁束密度Bsも低
下する傾向にあることがわかる。
以下,図面の第1−A図により本発明の複合磁気ヘッ
ドの一実施例について説明する。
(実施例12) 第1−A図は,複合磁気ヘッドの先端拡大斜視図であ
り,Sは記録媒体指向面である。
フェライトコア1は,先端対向面1a,1a′及び該対向
面から後退して形成される凹所1b,1b′を有し,所定の
位置(図示せず)で結合し一体になっている。フェライ
トコアの先端対向面1a,1a′及び該対向面から後退して
形成される凹所1b,1b′は,SiO2から成る厚さ50Åの拡散
防止層3,3′及び本発明において特定される組成の軟磁
性層2,2′を順次備えている。軟磁性層2,2′は磁気ヘッ
ドのコアの一部を形成している。前記フェライトコア1
の先端対向面1aと1a′間に存在する軟磁性層部分は,互
いに対向しており,この軟磁性層対向面間にSiO2から成
るギャップG(厚さ2000Å)が構成されている。前記フ
ェライトコアの凹所ないしエッジ部に前記SiO2から成る
拡散防止層を介して設けられた前記軟磁性層部分は,ガ
ラス充填部5,5′と結合している。なおMはコイルを巻
装するための巻線溝である。
前記軟磁性層としては,次の3種のものを夫々用い
た。
(1)組成がFe80.9Zr6.512.6であり,一軸磁気異方
性を有する軟磁性層 (2)組成がFe82.6Hf7.79.7であり,一軸磁気異方性
を有する軟磁性層 (3)組成がFe69.8Ta11.518.7であり,一軸磁気異方
性を有する軟磁性層 第1−A図に示された複合磁気ヘッドの製造方法の一
例を次に概説する。
フェライトコア1の半体の先端対向面1a及び該対向面
から後退して形成される凹所1bに,スパッタ法等の気相
積着法により拡散防止層であるSiO2層3を形成し,その
方面に例えば前記軟磁性薄膜の製造例ないしそれに準ず
る方法で軟磁性層2を形成する。この軟磁性層2は,非
軟磁性の非晶質合金膜を前記フェライトコア1の半体に
SiO2から成る拡散防止層3を介して設け,約550℃,1時
間熱処理して形成した。そのため,フェライトコア1の
半体と軟磁性層2との間に拡散層は形成されなかった。
前記フェライトコア1の半体の先端対向面1aにSiO2層3
を介して形成された軟磁性層部分の表面に,前記ギャッ
プGの半分の厚さのSiO2層を形成する。このようにし
て,フェライトコア1の半体に前記3種の層を形成して
成る多層状の複合磁気ヘッド半体を得る。この多層状複
合磁気ヘッド半体とともにヘッドを構成するもう一方の
多層状複合磁気ヘッド半体を同様の製造方法により得
る。
以上のようにして得られた一対の多層状複合磁気ヘッ
ド半体を所定の方向に突合せ,多層状複合磁気ヘッド半
体の凹所への溶融ガラスの充填・冷却により前記一対の
磁気ヘッド半体同士を接合して,図示された複合磁気ヘ
ッドを製造する。
再生特性のうなりの比較 前記本発明の複合磁気ヘッドの製造方法の一例と同様
にして,フェライトコアとFe80.9Zr6.512.6軟磁性層
との界面に,SiO2から成り厚さが50Åの拡散防止層を設
けた複合磁気ヘッドを製造した。この複合磁気ヘッドの
再生信号の周波数特性を第1−D図に示す。第1−D図
によれば,再生信号の周波数特性のうなりが1dB以下に
おさえられていることがわかる。
これに対して,拡散防止層を設けない以外は,前記複
合磁気ヘッドの製造方法の一例と同様にして,複合磁気
ヘッドを製造した。そのため,この複合磁気ヘッドのフ
ェライトコアと軟磁性層との界面には磁気特性の劣化し
た相互拡散層が形成された。この複合磁気ヘッドの再生
信号の周波数特性を第1−E図に示す。第1−E図によ
れば,再生信号の周波数特性のうなりが20dB程度にまで
達していることがわかる。
なお,上記夫々の複合磁気ヘッドの再生信号の周波数
特性の主な測定条件は次のとおりである。
相対速度…6.7m/s 記録媒体…金属磁性粉塗布媒体 (商品名:FUJIXビデオフロッピーHR) [発明の効果] 本発明の複合磁気ヘッドは,先端対向面及び該対向面
から後退して形成される凹所を有するフェライトコア
と,該コアの対向面間に設けられギャップを規定する前
記特定組成の軟磁性層との界面にSiO2から成る拡散防止
層を設けているので,複合磁気ヘッド製造過程における
不可避の加熱による,前記フェライトコアと前記特定組
成の軟磁性層間での,磁気特性の劣化した拡散層の形成
及び成長を防止することができる。そのため,本発明の
複合磁気ヘッドは,再生時に,再生信号の周波数特性が
周期的に変動する,いわゆるうなりを1dB以下におさえ
ることができる。
また,本発明の複合磁気ヘッドによれば,従来の軟磁
性薄膜の問題点を改良した,前記特定の組成の軟磁性薄
膜を複合磁気ヘッド構成材料として実用化することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1−A図は,本発明の複合磁気ヘッドの一例の先端拡
大概略斜視図である。第1−B図及び第1−C図は,夫
々,SiO2から成る拡散防止層がない場合,及び前記拡散
防止層がある場合の,Fe−Zr−N薄膜とフェライト基板
間のオージェデプスプロファイル模式図である。第1−
D図は,本発明の複合磁気ヘッドの一例の,再生信号の
周波数特性を示す図である。第1−E図は,相互拡散層
が形成された複合磁気ヘッドの,再生信号の周波数特性
を示す図である。 第1−F図は,本発明の複合磁気ヘッドにおける軟磁性
層の組成範囲を示す図である。第2図は,軟磁性薄膜の
製造例で製造した軟磁性薄膜の組成と保磁力Hcの関係,
及び磁歪の正負判定を示す図である。第3図は,軟磁性
薄膜製造条件とそれにより製造された軟磁性薄膜の保磁
力Hcと飽和磁歪λとの関係を示す図である。第4図
は,熱処理条件の異なる薄膜のX線回折測定結果を示す
図である。第5図は,組成の異なる薄膜の交流BH曲線を
示す図である。第6図は,VSMより求めた熱処理前後の薄
膜のIH曲線を示す図である。第7図は,本発明の磁気ヘ
ッドの軟磁性層の組成範囲外の組成の軟磁性薄膜の交流
BH曲線を示す図である。 第8図は,Fe−Zr−N軟磁性薄膜のBH特性,保磁力Hc及
び異方性磁界Hkを示す図である。第9図は,熱処理時間
tに対して得られたFe−Zr−N軟磁性薄膜の保磁力Hc及
び異方性磁界Hkの関係を示す図である。第10図は,熱処
理時間tと熱処理温度と保磁力Hcとの関係,及び熱処理
時間tと熱処理温度と異方性磁界Hkとの関係を夫々示す
図である。第11図は,Fe−Zr−N軟磁性薄膜と,熱処理
前の非晶質薄膜のX線回折パターンを示す図である。第
12図は,Fe−Zr−N軟磁性薄膜の磁化の温度変化を示す
図である。第13図は,熱処理時間tと熱処理温度によっ
て得られる軟磁性薄膜の特性の推定を示す図である。第
14−A図,第15−A図及び第16−A図は,夫々,本発明
の一実施例の軟磁性薄膜の透磁率の周波数特性を示す図
である。第14−B図,第15−B図及び第16−B図は,夫
々,本発明の一実施例の軟磁性薄膜の容易軸方向(上
段)及び困難軸方向(下段)の交流BH曲線を示す図であ
り,Bは任意単位である。第15−C図は,Fe−Hf−N非晶
質薄膜の熱処理時間に対するFe−Hf−N軟磁性薄膜の透
磁率μ1MHz及び異方性磁界Hkの変化を示す図である。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端対向面及び該対向面から後退して形成
    される凹所を有するフェライトコアと、該コアの対向面
    間に設けられギャップを規定する軟磁性層と、該コアと
    該軟磁性層との界面に設けられSiO2から成る拡散防止層
    から成り、前記軟磁性層は、FeaZrbNc(但し、a、b、
    cは各々原子%を示す。)なる組成式で示され、その組
    成範囲は 69≦a≦93 2≦b≦15 5.5<c≦22 の範囲であることを特徴とする複合磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】前記組成範囲は、前記三者の三成分組成座
    標系(Fe、Zr、N)において P(91、2、7) Q(92.5、2、5.5) R(87、7.5、5.5) S(73、12、15) T(69、12、19) U(69、9、22) V(76、5、19) の7点を結ぶ線分で囲まれた範囲であることを特徴とす
    る請求項1記載の複合磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】前記軟磁性層のZrの少なくとも一部を、H
    f、Ti、Nb、Ta、V、Mo、Wのうちの少なくとも1種で
    置き換えたことを特徴とする請求項1又は2記載の複合
    磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】前記軟磁性層は保磁力が1.5Oe以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3の一に記載の複合磁気ヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】先端対向面及び該対向面から後退して形成
    される凹所を有するフェライトコアと、該コアの対向面
    間に設けられギャップを規定する軟磁性層と、該コアと
    該軟磁性層との界面に設けられSiO2から成る拡散防止層
    から成り、前記軟磁性層は、FeaXbNc(但し、a、b、
    cは各々原子%を示し、XはHf、Ti、Nb、Ta、V、Mo、
    Wの少なくとも1種以上を表わす。)なる組成式で示さ
    れ、その組成範囲は 69≦a≦93 2≦b≦15 5.5<c≦22 の範囲であることを特徴とする複合磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】前記組成範囲は、前記三者の三成分組成座
    標系(Fe、X、N)において P(91、2、7) Q(92.5、2、5.5) R(87、7.5、5.5) S(73、12、15) T(69、12、19) U(69、9、22) V(76、5、19) の7点を結ぶ線分で囲まれた範囲であることを特徴とす
    る請求項5記載の複合磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】前記軟磁性層は保磁力が1.5Oe以下である
    ことを特徴とする請求項5又は6記載の複合磁気ヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】前記拡散防止層の厚さは50〜200Åである
    ことを特徴とする請求項1〜7の一に記載の複合磁気ヘ
    ッド。
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