JPH09138919A - 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気記録再生装置

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JPH09138919A
JPH09138919A JP8174567A JP17456796A JPH09138919A JP H09138919 A JPH09138919 A JP H09138919A JP 8174567 A JP8174567 A JP 8174567A JP 17456796 A JP17456796 A JP 17456796A JP H09138919 A JPH09138919 A JP H09138919A
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film
magnetic
magnetoresistive
magnetoresistive effect
oxide
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Application number
JP8174567A
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English (en)
Inventor
Matahiro Komuro
又洋 小室
Yasunari Tajima
康成 田島
Yoshiaki Kawato
良昭 川戸
Reiko Arai
礼子 荒井
Moriaki Fuyama
盛明 府山
Shigeru Tadokoro
茂 田所
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気抵抗効果膜の膜厚が20nm以下の薄い場
合でも、磁歪定数の絶対値が1×10~6以下、異方性磁
気抵抗効果の比抵抗変化が0.6μΩcm 以上の磁気ヘッ
ドとそれを用いた磁気記録再生装置を提供する。 【解決手段】磁気抵抗効果膜の膜厚を5〜20nmと
し、磁気抵抗効果膜をNi60〜85wt%,Fe15
〜40wt%、合金にPt,At,Pdの中の少なくとも
一元素を1wt%示以上添加した材料で形成することに
より、その比抵抗が50μΩcm以下、磁歪定数の絶対値
が1×10~6以下及び異方性磁気抵抗効果の比抵抗変化
が0.6μΩcm 以上である値が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異方性磁気抵抗効
果膜を用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッドに係り、特に高
い再生出力を有する磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気
記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】NiFeCo三元合金の抵抗変化率はN
iFe合金よりも高いことが知られており、蒸着膜の場
合は、日本応用磁気学会誌13(1989),第237
頁に記載されているように、膜厚150nmでガラス基
板上に成長させると比抵抗変化率が5.1%になる。こ
の膜組成は、Ni82Fe12Co6(ここで添字の数字
は、Niが82wt%、Feが12wt%、Coが6w
t%含有されていることを示している。以下同様であ
る。)であり、異方性磁界は7.8Oe(エルステッド)
となるが、磁歪定数に関して記載されていない。
【0003】また、NiFeCo三元合金の磁気抵抗効
果に関して、ジャーナル オブ マグネティズム アンド
マグネティク マテリアルズ 97(1991),第17
1頁〜第177頁(Journal of Magnetism and Magneti
c Materials 97 (1991),P171-177)に記載されており、
膜厚100〜170nmの比抵抗変化量は磁歪が負の高
Ni組成範囲で大きくなることが報告されている。上記
Ni82Fe12Co6 膜の磁歪定数は本実施例に示されて
いるように−20×10~6であり、磁歪に起因するノイ
ズ発生の点からNi82Fe12Co6 膜は磁気ヘッドに適
用することが困難である。また、上記報告例は膜厚が1
00nm以上であり反磁界が大きく感度が低下する等の
理由から、磁気ディスク装置等のヘッドへの応用は困難
である。膜厚を薄くした場合に磁気特性が変化すること
は良く知られており、NiFe合金の場合には、ジャー
ナル オブ マグネティズム アンド マグネティックマテ
リアルズ 81(1989),第86頁〜第90頁(Jou
rnal of Magnetism andMagnetic Materials 81(1989),P
86-90)の論文に報告されているように、膜厚減少とと
もに比抵抗は増加し、比抵抗変化量が減少する。特に高
感度高出力を得るための膜厚20nm以下の範囲では、
比抵抗の増加が著しく、膜厚60nm以上の膜の値とは
比抵抗及び比抵抗変化量ともに大きく異なる。例えばN
82Fe18合金膜では、上記論文のFig.2 に記載さ
れているように、60nmで比抵抗変化量が0.62μ
Ωcmであるのに対し、20nmでは0.54μΩcmに低
下する。磁気抵抗効果膜を用いた磁気ヘッドの再生出力
は、比抵抗変化量にほぼ比例するので、高再生出力を得
るためには20nm以下で比抵抗変化量の大きな磁性膜
が必要である。
【0004】特開平5−263170 号公報には誘導型磁気ヘ
ッドにおける磁性膜としてNi5〜75%,Co10〜
90%及びFe15%以下にTi,Zr,Hf,Ag,
Pd,Pt,Auを0.1〜10% 添加した合金が示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録装置用異方性
磁気抵抗効果膜として従来よりNiFe二元合金が用い
られているが、比抵抗変化率のみの比較ではNiFeC
o三元合金の方が高く、NiFeCo三元合金を用いる
と磁気ヘッドの再生出力を高められる可能性がある。し
かし、比抵抗変化率以外の特性である、磁歪定数の絶対
値及び異方性磁界は比抵抗変化率の高い組成では大きい
ために、NiFeCo三元合金の磁気ヘッドへの応用は
困難である。しかも膜厚20nmの場合、NiFeCo
三元合金膜で比抵抗変化量が0.6μΩcm 以上,磁歪が
−10×10~7≦10×10~7,異方性磁界15Oe以
下となる組成範囲は見出されていない。
【0006】また、NiFe二元合金の比抵抗変化量の
高いNi90Fe10付近の膜では磁歪定数が大きいため
に、NiFe二元合金を磁気ヘッドに応用することも困
難である。
【0007】更に、前述の公報には磁気抵抗効果膜につ
いては全く示されていない。
【0008】本発明の目的は、磁気抵抗効果膜の膜厚が
20nm以下の薄い場合でも、磁歪定数の絶対値が1×
10~6以下で、異方性磁気抵抗効果の比抵抗変化量が
0.6μΩcm以上の特性を有する磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッド、及びその磁気ヘッドを搭載した磁気記録再生装置
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】NiFeCo三元合金膜
で比抵抗変化率2.5%以上、磁歪が−10×10~7
10×10~7、異方性磁界15Oe以下となる組成範囲
は見出されていない。これは膜厚20nmでNiFeC
o三元合金膜で比抵抗変化率の大きい組成範囲では磁歪
定数が−10×10~7よりも大きく異方性磁界も大きい
ため、ノイズの発生及び感度の点で応用することが困難
となるからである。そこで磁歪を負から正側にする元素
を添加する必要がある。NiFeCo合金の磁歪定数を
負から正側にする元素として、Al,Si,Ti,V,
Cr,Mn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,が挙げら
れる。これらの元素の中で(111)優先成長を保ち、
比抵抗を急激に増加させない元素は、Ti,V,Cr及
びMnである。
【0010】また、NiFe合金にPt,Auあるいは
Pdを1wt%以上添加し、比抵抗が50μΩcm以下で
ある20nm以下の膜厚の合金膜の場合においても、無
添加のNiFe合金よりも高い出力が得られ、磁歪定数
の絶対値も10×10~7以下にすることが可能である。
【0011】すなわち、本発明の磁気ヘッドは、膜厚が
5〜20nmの磁気抵抗効果膜を有し、その磁気抵抗効
果膜は、磁歪定数の絶対値が1×10~6以下で、異方性
磁気抵抗効果の比抵抗変化量が0.6μΩcm以上(また
は抵抗変化率が2.5% 以上)であり、さらにこれらの
特性に加えて、異方性磁界が15Oe以下,比抵抗が5
0μΩcm以下,飽和磁束密度が1.0T(テスラ)以下の
特性を有するものである。
【0012】具体的に述べれば、本発明の磁気ヘッド
は、その磁気抵抗効果膜がNi75〜90wt%,Co
5〜20wt%,Fe5〜20wt%の三元合金にT
i,V,Cr,Mnの中の少なくとも一元素を0.1w
t% 以上添加した材料で形成されたものである。この
場合、更に基板に平行に(111)面が優先成長したも
のでも良い。
【0013】また本発明の磁気ヘッドは、膜厚が5〜2
0nmの磁気抵抗効果膜を有し、その磁気抵抗効果膜が
Ni65〜95wt%,Co5〜30wt%,Fe5〜
30wt%の三元合金にTi,V,Cr,Mnの中の少
なくとも一元素を0.1wt%以上の添加した材料で形成
され、かつ基板に平行に(111)面が優先成長してい
るものである。なお、基板に平行に(111)面を優先
成長させるためには、1nm以上のTa膜もしくはZr
膜を下地に用いると良い。
【0014】さらに、本発明の磁気ヘッドは、膜厚が5
〜20nmの磁気抵抗効果膜を有し、その磁気抵抗効果
膜がNi60〜85wt%,Fe15〜40wt%の二
元合金にPt,Au,Pdの中の少なくとも一元素を1
wt%以上添加した材料で形成され、比抵抗が50μΩ
cm以下で、かつ基板に平行に(111)面が優先成長し
ているものである。なお、基板に平行に(111)面を
優先成長させるためには、1nm以上のTa膜もしくは
Zr膜を下地に用いると良い。本発明においてはトラッ
ク幅が2.5μm 以下及びMR膜高さが2.0μm 以下
が好ましい。
【0015】また、本発明の磁気ヘッドは、膜厚が5〜
20nmの磁気抵抗効果膜を有し、その磁気抵抗効果膜
は、膜磁歪定数の絶対値が1×10~6以下で、飽和磁束
密度(Bs(T))と抵抗変化率(Δρ/ρ0(%))
の逆数の積が0.40以下であるか、または同一条件に
おける再生出力がNi81Fe19合金膜よりも大きいこと
を特徴としている。
【0016】またさらに、本発明は、一定の回転数で回
転し情報が磁気的に記録される磁気ディスクと、前記磁
気ディスクに対して情報の書き込み及び読み出しを行う
磁気ヘッドと、を備えた磁気記録再生装置において、前
記磁気ヘッドとして、上述の各磁気ヘッドを搭載し、面
記録密度が1.3Gb/in2以上としたことを特徴とし
ている。
【0017】本発明は、磁界の変化によって電気抵抗が
変化する磁気抵抗効果膜,磁気抵抗効果膜に横バイアス
磁界を印加する横バイアス膜及び前記磁気抵抗効果膜と
横バイアス膜との間に設けられた分離膜を有する磁気抵
抗効果膜からなり、該磁気抵抗効果膜の両端部に接して
設けられた前記磁気抵抗効果膜に縦バイアスを印加する
一対の永久磁石膜及び前記磁気抵抗効果膜に信号検出電
流を流す前記永久磁石膜上に設けられた一対の電極膜を
有し、前記磁気抵抗効果膜が前述のNi基合金又は特性
を有する合金からなることを特徴とする磁気抵抗効果型
磁気ヘッドにある。
【0018】本発明は、磁気抵抗効果を用いて磁気的信
号を電気的信号に変換する磁気抵抗効果膜と、前記磁気
抵抗効果膜に信号検出電流を流すための一対の電極と、
前記磁気抵抗効果膜の下側に配置された酸化物反強磁性
膜を有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、前記磁
気抵抗効果膜と前記酸化物反強磁性膜の中間の、少なく
とも前記磁気抵抗効果膜の感磁部に非磁性膜を少なくと
も1層含み前記磁気抵抗効果膜が前述の合金からなるこ
とを特徴とする。
【0019】上記構成によれば、感磁部で出力発生源と
なるNiFeCo系磁気抵抗効果膜の磁歪定数を小さく
でき、20nmの膜厚で(111)優先成長が保持され
ており、比抵抗変化率が2.5% 以上,比抵抗が50μ
Ωcm以下とすることができる。このことから、本発明の
NiFeCo系合金膜はNiFe合金よりも高出力をも
つ再生ヘッドに適用することが可能である。異方性磁気
抵抗効果膜の膜厚が薄いほど、磁性膜の反磁界が小さく
なり、磁化が回転しやすくなることからできるだけ薄い
方が望ましい。
【0020】しかし、膜厚が薄くなり、電子の平均自由
工程よりも膜厚が薄くなると表面散乱の寄与が大きくな
り、比抵抗は増加する。磁気抵抗効果膜の比抵抗が増加
すると、磁気抵抗効果膜に流れる電流と素子全体に流す
電流の比である分流比が減少し、再生出力は低下する。
比抵抗を低くするためには、欠陥の少ない単結晶に近い
膜を作製すれば良いが、実用上単結晶基板を使用するこ
とは困難である。そこで、fcc構造の最密面である
(111)を優先成長させた配向膜を作製することにより
比抵抗を小さくする。(111)配向膜を作製するために
は、CoNiFe系磁性膜の下地にTaやZr等の膜を
使用して、その上にNiFeCo系膜を形成すれば良
い。磁歪定数が大きい場合には、磁性膜に付加される応
力の方向や大きさによって磁化回転の挙動が変化し、ノ
イズの原因になる可能性があるために、磁歪定数を小さ
くする必要がある。
【0021】また異方性磁界が大きくなると、単位外部
磁界に対する出力が減少するため、小さい方が好まし
い。そこでバルクで磁歪定数が負であり、比抵抗変化量
が高い組成では磁歪定数の絶対値を1×10~6以下にす
るためにTi,V,Cr,Mnの中の少なくとも一元素
を0.1wt% 以上添加させ、配向性を崩さず比抵抗変
化率を2.5% 以上の磁気抵抗効果膜を得ることが可能
である。
【0022】またNiFe三元合金の場合はZrもしく
はTa下地膜の上の20nm以下のNiFe合金膜にP
t,Au,Pdの中の少なくとも一元素を1wt%以上
添加し、比抵抗変化量をNiFe合金の値よりも増加さ
せることが可能である。この時、NiFe膜の格子定数
は上記第三元素の添加により増加し、NiFe合金のス
ピン−軌道相互作用が変化するために、比抵抗変化量が
大きくなる。
【0023】このようなNiFe三元合金を5〜20n
mの膜厚で(111)面を優先成長させることにより、
比抵抗変化量が0.6μΩcm 以上で飽和磁束密度が1.
0T以上の特性が得られる。異方性磁気抵抗効果膜は膜
厚が薄くなるほど磁性膜の反磁界が小さくなり、磁化が
回転しやすくなることから磁気抵抗効果膜の膜厚が薄い
方が反磁界の点では望ましいが、5nm未満の膜厚では
比抵抗変化量が急激に減少するために出力が低下する。
膜厚が5nm未満に薄くなると、電子の平均自由行程と
膜厚が同程度となり、伝導電子の表面散乱の寄与が大き
くなり、比抵抗は急激に増加する。このように比抵抗が
増加すると、磁気抵抗効果膜に流れる電流と素子全体に
流れる電流の比である分流比が減少し、再生出力は低下
する。分流比を高くし、磁気抵抗効果膜の比抵抗を低く
するためには、表面散乱以外の抵抗増大因子を取り除く
必要がある。そのためには欠陥の少ない膜即ち単結晶に
近い膜を作製すればよいが、実用上単結晶基板を用いる
ことは混難であり、単結晶膜の特性は再生ヘッドに適し
た特性とは異なる。なお、fcc構造であるNiFe合金
膜の最密面である(111)を基板あるいは下地面に平
行に優先成長させた配向膜を作製することによって比抵
抗を小さくする。このような(111)配向膜を作製す
るためには下地にTaやZr等を使用してその上にNi
Fe(Au,Pt,Pd)三元合金膜を形成すれば良
い。磁歪定数が大きくなると、磁性膜に付加される応力
の方向や大きさはによって磁化回転の挙動が変化し、ノ
イズの原因になる可能性があるために磁歪定数を小さく
する必要がある。本発明における異方性磁気抵抗効果膜
の磁歪定数の絶対値は1×10~6以下である。異方性磁
界が大きくなると、単位外部磁界に対する出力が減少す
るため、小さい方が望ましい。本発明では検討したNi
Fe三元合金膜の異方性磁界は15Oe以下である。
【0024】磁気ディスク装置の面記録密度が1.3G
b/in2以上になると電流密度を約30MA/cm2
上に設定しないとNiFe二元合金の場合には十分な感
度を得られない。このようにNiFe二元合金を用いた
従来の異方性磁気抵抗効果膜では、電流密度を増加させ
ることが感度向上に必要であった。しかし、30MA/
cm2 以上の電流密度では、MR膜の信頼性低下,発熱に
よるノイズ発生,電極膜の信頼性低下等の問題が生じ
る。したがって、電流密度を増加させずに感度を増加さ
せる手段が必要となる。本発明の異方性磁気抵抗効果膜
を用いれば、NiFe二元合金膜(磁歪がゼロ近傍の組成)
を用いた場合よりも同一電流密度においてS/Nが高く
なり、面記録密度が1.3Gb/in2以上の磁気ディス
ク装置用再生ヘッドに応用することにより、高信頼性を
確保できる。
【0025】また、本発明の磁気ヘッドを磁気記録再生
装置に搭載することにより、高出力・高感度で且つ低ノ
イズといった優れた性能を有する磁気記録再生装置を実
現することが可能となる。
【0026】前記永久磁石膜がCo−Pt合金,Co−
Cr−Pt合金、又はこれらの合金にTi酸化物,V酸
化物,Zr酸化物,Nb酸化物,Mo酸化物,Hf酸化
物,Ta酸化物,W酸化物,Al酸化物,Si酸化物,
Cr酸化物の内の少なくとも一元素を含む合金のいずれ
かからなるものが好ましい。
【0027】前記永久磁石膜が(数1)又は(数2)の
組成からなることが好ましい。
【0028】
【数3】 CoaCrbPtc又は …(数1)
【0029】
【数4】 (CoaCrbPtc)1-x(MOy)x …(数2) (但し、x=0.01〜0.20,y:0.4 〜3,a:
0.7〜0.9,b:0〜0.15,C:0.03〜0.1
5,M:Ti,V,Zr,Mo,Hf,Ta,W,A
l,Si及びCrの少なくとも1つ) 前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加するための
軟磁性膜が、ニッケル−鉄合金,コバルト,ニッケル−
鉄−コバルト合金の1種と、酸化ジルコニウム,酸化ア
ルミニウム,酸化ハフニウム,酸化チタン,酸化ベリリ
ウム,酸化マグネシウム,希土類酸素化合物,窒化ジル
コニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニウム,窒化チ
タン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウム,窒化シリコ
ン、及び希土類窒素化合物の内から選択された1種以上
の化合物とからなるのが好ましい。
【0030】前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印
加するための軟磁性薄膜の比抵抗が、70μΩcm以上で
あるものが好ましい。
【0031】前記横バイアス膜がニッケルを78〜84
原子%を有するニッケル−鉄系合金よりなるものが好ま
しい。
【0032】本発明は、基板上に設けられた一対の永久
磁石膜と、該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電
極と、前記永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果
膜とを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、前記
基板側より酸化ニッケルよりなる反強磁性膜,2層の強
磁性膜,非磁性金属膜及び軟磁性膜が順次形成され、前
述の磁気抵抗効果膜を有することを特徴とする。
【0033】前記2層の強磁性膜は前記基板側からNi
70〜95原子%の鉄合金層とCo層とからなるものが
好ましい。
【0034】前記2層の強磁性膜は前記反強磁性側から
軟磁性膜及び該軟磁性膜より磁気抵抗変化率の大きい軟
磁性膜からなるものが好ましい。
【0035】本発明は、基板上に設けられた一対の永久
磁石膜と、該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電
極と、前記永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果
膜とを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、前記
基板側より反強磁性膜,強磁性膜,非磁性膜,軟磁性
膜,非磁性膜,強磁性膜、及び反強磁性膜が順次積層さ
れ、前述の磁気抵抗効果膜を有することを特徴とする。
【0036】本発明ではMRセンサ端部受動領域に配置
される永久磁石膜としてCo系磁性膜又はこれに酸化物
を添加した膜を用いるのが好ましい。酸化物をCo系磁
性膜に添加するとCo系磁性膜の保磁力が大きくなる。
【0037】さらに酸化物を添加することにより結晶配
向が乱れ、下地膜の影響が小さくなる。またCo系磁性
膜に酸化物を添加することにより保磁力が増加する原因
は永久磁石膜の結晶粒界に析出した酸化物により各結晶
粒の磁気的結合が遮断されるためである。よってこの機
構により保磁力が増加している永久磁石膜の保磁力は下
地膜の影響を受けにくい。
【0038】また、本発明では永久磁石膜を非磁性層に
より分割された多層膜とする。単層のCo系永久磁石膜
の保磁力は膜厚10nm〜30nmにおいて最大値をと
る。そこで永久磁石膜を非磁性層で分割された多層構造
とする。各永久磁石膜の膜厚は最も保磁力の高くなる膜
厚に設定することにより単層厚膜での保磁力の低下を回
避できる。ここで全永久磁石膜の膜厚は中央能動領域に
適切なバイアス磁界を与えるように設定される。
【0039】バイアス膜に含まれる前述の化合物の量
は、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、化合物の酸素あるい
は窒素を除いた原子の割合が、酸素及び窒素を除いた全
原子に対して3から20%であることが好ましい。これ
は、化合物の量が3%以下では電気抵抗の増加が小さ
く、また、20%以上では飽和磁束密度が低下し、バイ
アス膜として十分な値でなくなるためである。本発明の
バイアス膜の比抵抗は、ほぼ化合物の添加量に比例して
増大するが、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、70μΩcm
以上の比抵抗を有することが好ましい。これはバイアス
膜の比抵抗が、磁気抵抗効果膜の比抵抗に比べて十分大
きくなければ磁気抵抗効果型ヘッドの出力が低下するた
めである。磁気抵抗効果膜の比抵抗は20〜30μΩcm
であり、バイアス膜の比抵抗は少なくともこの2倍が目
安となるためである。
【0040】本発明のバイアス膜は蒸着,スパッタリン
グ法,イオンビームスパッタリング法などの方法によっ
て作製できる。スパッタリングあるいはイオンビームス
パッタリングの際のターゲットは、ニッケル,鉄,コバ
ルト等からなる合金の粉末と化合物の粉末を適当な方法
によって混合し、焼結,成形するか、あるいはニッケ
ル,鉄,コバルト等からなる金属ターゲット上に化合物
のチップを配置したターゲットで良く、このようなター
ゲットを用いることによってニッケル,鉄,コバルト等
からなる合金と化合物を同時に蒸着することができる。
また本発明のバイアス膜は、スパッタリング装置内に、
ニッケル,鉄,コバルト等からなる金属ターゲットと、
化合物のターゲットを配置し、ターゲットから放出され
る各々の粒子が基板上で実質的に混合されるような方法
によっても作製可能である。
【0041】磁気抵抗効果型磁気ヘッドのバイアス膜
は、前述のように軟磁気特性と高い電気抵抗を併せ持つ
ことが必要である。また、それらの特性がヘッドの作製
プロセス中に変化しないことも必要である。電気抵抗の
増加のために、金属中に他の元素を添加することが行わ
れるが、軟磁性薄膜に金属元素を添加すると、添加した
金属元素と磁性元素が金属結合するため、磁性元素の電
子状態が大きく変化し、軟磁気特性が損なわれることが
多い。本発明のバイアス膜に含まれる化合物は化合物自
体がすでにイオン結合をしているため、磁性金属元素の
電子状態を大きく変化させることなく、すなわち、軟磁
気特性を損なわずに膜の電気抵抗を上昇させることがで
きる。このように電気抵抗の大きな軟磁性膜をバイアス
膜に用いることによって、バイアス膜に分流される電流
が減少し、磁気抵抗効果型磁気ヘッドの再生電圧が増大
する。
【0042】また、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッド
のバイアス膜は、結晶質合金であるので、熱的に安定で
あり、磁気特性の変化は小さい。
【0043】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドのバイ
アス膜の化合物は、十分大きな結合エネルギを持つもの
である。一般に薄膜は真空装置中で気相から原子を凝縮
させることによって作製される。結合エネルギの小さな
化合物は、蒸発過程あるいは凝縮過程で分解してしま
い、分解によって発生した酸素や窒素などが磁性元素と
結合し、磁気特性を損なう。これに対し、化合物のよう
に結合エネルギの大きな化合物は分解せず、化合物のま
ま膜中に取り込まれる。本発明の添加化合物の内、窒素
化合物は同酸素化合物に比べれば結合エネルギが小さ
い。しかし、磁性元素である、ニッケル,鉄、及びコバ
ルトの窒素との結合エネルギが非常に小さいので、酸化
物添加元素に比べ結合エネルギが小さくても分解せず、
膜中に安定に存在する。
【0044】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドのバイ
アス膜のニッケル,鉄,コバルト等の金属元素と、化合
物は、これらを同時に蒸着することによって、膜中に均
一に分散する。これら金属元素と化合物は、バルク状態
ではほとんど混ざり合わないが、本発明の製造法のよう
に、同時に蒸着することによって、均一に分散し、良好
な軟磁気特性を示す。
【0045】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用い
た磁気記録再生装置は、コンピュータ等の外部装置に接
続して使用されることが好ましく、信号を磁気的に保持
する信号を磁気的に記憶する記録媒体と、記録媒体に対
して相対的に移動する電磁変換構造体と、記録媒体を回
転させるための手段と、電磁変換構造体を記録媒体上の
所定の位置に移動させるための手段と、を有することが
好ましい。更に好ましくは外部の情報処理装置と接続す
るためのインターフェイス回路や記録媒体に記憶されて
いる信号を処理するための回路をも有する。
【0046】本発明に搭載される記録媒体とは、いわゆ
る磁気ディスクであって、信号を磁気的に記憶する磁性
膜に加え、基板,保護膜等を有するものであり、記録媒
体に記録される磁気的信号は、記録媒体面に平行に記録
される場合、又は記録媒体面に垂直に記録される場合で
あっても良い。記録媒体の磁性膜としては、磁気的に信
号を保持できる程度の保磁力を有する必要がある。
【0047】本発明の磁気記録再生装置に搭載される磁
気抵抗効果型磁気ヘッドは、記録媒体に対して相対的に
駆動する方向、つまり記録媒体に対して平行方向に、基
板,反強磁性膜,磁性膜,非磁性導電膜,軟磁性膜,非
磁性導電膜,磁性膜、及び反強磁性膜を積層してなるこ
とを特徴とするものである。
【0048】前記反強磁性膜には、酸化ニッケルを用い
ることが好ましく、この他、鉄マンガン合金薄膜,クロ
ムマンガン,クロムアルミ合金膜等が用いられる。
【0049】本発明における硬磁性膜である永久磁石膜
は、前述のコバルト−白金系合金,鉄−コバルトテルビ
ウム合金膜が用いられる。硬磁性膜とは、外部磁界に対
してその磁化の変化しにくい磁性膜であって、保磁力が
例えば100エルステッド以上であるとする、50エル
ステッドの磁界を加えてもその磁化の方向は殆ど変化し
ないので、反強磁性膜と同様の効果がある。つまり、他
の磁性膜に密着して形成したときに交換結合バイアスに
よる一方向異方性を印加できる特性を有するもので、磁
気抵抗効果膜に縦バイアス磁界を形成するものである。
【0050】前記磁性膜には、Ni70〜95原子%,
Fe5〜30原子%及びCo1〜5原子%の合金、又は
Co30〜85原子%,Ni2〜30原子%及びFe2
〜50原子%の合金を用いることが好ましく、この他、
パーマロイ,パーメンダー合金等を用いても良い。つま
り、強磁性で良好な軟磁気特性を有するものを用いるこ
とが好ましい。
【0051】前記非磁性導電膜には、Au,Ag,Cu
を用いることが好ましく、この他、Cr,Pt,Pd,
Ru,Rh等またはこれらの合金を用いても良い。つま
り、室温で自発磁化を持たず、電子の良好な透過性を有
するものを用いることが好ましい。以上の膜は、それぞ
れ2〜1000Å程度の膜厚を有することが好ましい。
【0052】また、非磁性導電膜の代わりに、極めて薄
い非磁性絶縁膜を使用することもできる。つまり、この
膜は磁性膜と磁性膜との間を電子が移動できるものであ
れば足りるため、例えばトンネル効果を使用しても良
い。この場合には、前記非磁性絶縁膜は電子のトンネリ
ングが可能である程度に薄い必要があり、一般的には1
00Å以下、実質的には50Å以下に形成する。上記形
成の手段としては前記軟磁性膜の表面酸化、あるいは、
前記軟磁性膜上に別個に形成した金属膜、例えばアルミ
ニウムの表面の酸化膜を前記非磁性絶縁膜として用いる
ことが好ましい。この他、酸化アルミニウム膜等を成膜
して用いても良い。つまり、磁性膜間の磁気的な結合を
遮断する特性を有するものを用いることが好ましい。
【0053】更に、前記基板は、これらの膜を形成する
ための下地であって、磁気ディスク装置のスライダーと
しての機能を有するものでも良く、この材料としては5
%以下のTiCを含むアルミナ,安定化ジルコニア等の
セラミックス焼結体が好ましい。
【0054】こうした膜構成を有することにより、磁気
抵抗効果素子はその電気抵抗が微弱な外部磁界に対して
変化する機能を有し、しかもその電気抵抗の変化の割合
が5%から10%と大きい効果を有する。このため、本
発明の磁気記録再生装置は、アナログ状態で記録された
信号を再生時には直接デジタル化する機能をも有し、さ
らにディスク面積あたりの記録容量、即ち記録密度が高
くする効果を有する。また、膜構成としては、基板上に
酸化アルミニウム,酸化ニッケルなどの平坦な膜を形成
してなるもの、又は基板上に、鉄,チタン,タンタル,
ジルコニウム,ハフニウム,ニオブ,コバルト鉄合金な
どの膜を下地としてさらに形成してなるものであっても
良い。基体上の膜は、その表面上に多層膜を平坦に形成
する効果を有し、基体表面上に均質かつ平坦な膜構造を
有することが好ましく、それぞれの膜の厚みは金属の膜
では20から200Å、金属以外の膜では5から1000Å
程度であることが好ましい。
【0055】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの膜は
少なくとも磁性膜/非磁性導電膜/磁性膜の構造を持
つ。こうした非磁性導電膜を間に挟んだ磁性膜のサンド
ウイッチ構造を有することにより、磁性膜/非磁性膜界
面において電子のスピン依存散乱を生じさせる機能を有
し、2つの磁性膜の間での磁気抵抗効果を生じさせる効
果を有する。また、磁性膜間の磁気的な結合を遮断する
機能を有し、磁気抵抗効果型磁気ヘッドの外部磁界に対
する感度を向上する効果を有する。
【0056】これにより、本発明の磁気記録再生装置
は、一定の信号に対して常に同一の出力を得る、良好な
再現性を有し、再生時のエラーレイトを低減する効果を
有する。
【0057】本発明は、反強磁性膜/磁性膜/非磁性導
電膜/磁性膜/硬磁性膜の膜構成を有することが好まし
く、反強磁性膜及び硬磁性膜のそれぞれの膜の厚みは2
0から2000Å程度であることが好ましい。
【0058】本発明における永久磁石膜以外のMR膜に
対して積層されるバイアス膜は、磁性膜及び非磁性膜よ
りもさらに基板側に配置することが好ましく、表面を平
坦化し積層膜のぬれを向上する下地膜としての機能を有
することが好ましく、異方性によって磁性膜の磁区構造
を単磁区化し、ノイズの発生を抑制するものである。膜
構成としては、非磁性導電膜を介して積層される第一及
び第二の磁性膜と第一の磁性膜に密着形成させるバイア
ス膜との構成を有するようにするとよい。
【0059】このように、磁気抵抗効果を示す積層膜や
その複合積層体と、これの電気抵抗を測るために電気的
に接触してなる少なくとも一対の電極とを有する構造を
採ることによって磁界センサとしての機能を有し、記録
媒体上の信号を高感度に検出する効果を有する。
【0060】特に、基体上に積層した第一のバイアス
膜,第一の磁性膜,非磁性膜,第二の磁性膜,非磁性導
電膜,第三の磁性膜,第二のバイアス膜及び電極からな
ることが好ましい。なお、第三の磁性膜は磁気的に第一
の磁性膜と同じ機能を有することが好ましい。
【0061】バイアス膜のバイアス方向及び磁性膜の異
方性方向の制御は、素子の多層膜形成時に、その形成工
程に応じて適宜磁界を印加して行うことが好ましい。又
は、素子の多層膜形成中或いは形成後に、磁界中熱処理
を行うことが好ましい。
【0062】膜の形成において、磁場の印加に関して
は、膜の積層工程に合わせて磁界の方向及び大きさを制
御し、バイアスの印加方向と磁性膜の一軸異方性とを制
御することが好ましい。
【0063】更に、膜の形成において、磁場中で熱処理
を行う場合には、バイアス膜の異方性及び磁性膜の一軸
異方性を制御することが好ましい。
【0064】MR膜に対し積層される硬磁性膜を有する
場合には、素子を作製後、磁界を印加して硬磁性膜の磁
化を所定の方向に向ける方法が望ましい。
【0065】バイアス膜の材料は、高い電気抵抗を有す
るものであることが好ましく、具体的には、電気抵抗率
が5×10~4オームセンチメートル(Ωcm)以上である
ことが好ましい。このバイアス膜は、電流漏洩による素
子の出力低下を防ぐと共に、用いられる材料の積層構
造、特に平坦性を制御し、素子の積層を可能にするもの
である。実質的に絶縁体である酸化ニッケル(NiO)膜
をバイアス膜として用いた場合には、特に、磁界感度が
10エルステッド程度に高感度であって、従来と比較し
て2から4倍程度の高い信頼性を有する積層構造が実現
できる。
【0066】また、本発明の磁気記録再生装置は、一方
の磁性膜には、記録媒体に対して実質的に垂直な方向に
磁気異方性を印加する手段を有し、他方の磁性膜には、
記録媒体に対して実質的に磁性膜面内で平行な方向に前
記磁気異方性より大きさの小さい磁気異方性を印加する
手段を有することを特徴とする。上記より大きさの小さ
い異方性を印加する手段としては、磁気抵抗効果膜の磁
性膜の、形状異方性,一軸異方性を用いるか、適当なシ
ャント膜,ソフト膜を上記磁気抵抗効果膜に隣接して配
置すること、或いは上記磁性膜に別のバイアス膜を密着
して形成する、などの方法がある。
【0067】また、本発明の磁気記録再生装置は、信号
を所定のトラック幅で磁気的に記憶する記録媒体と、記
録媒体から漏洩する磁界を検出し、非磁性導電膜を間に
挟んだ磁性膜のサンドウイッチ構造を有し、構造に電流
を印加する一対の電極を有する磁気抵抗効果素子とを具
備するものであって、記録媒体に対して垂直な方向の構
造の長さが記録媒体に対して平行な面内の方向の長さ、
特に電極間の長さ以下であって、電極間の長さが記録媒
体に形成されるトラック幅以下であることを特徴とす
る。これは上記形状異方性を磁気抵抗効果素子の再生に
関与する部分に有効に作用せしめて磁気抵抗効果素子の
出力範囲を補償し、かつ、再生時のトラッキングの誤差
によって所定のトラックの端部及び外部の信号を読み取
ることのないようにする効果がある。
【0068】また、本発明の磁気記録再生装置は、記録
媒体に所定のトラック幅で書き込まれた磁化のパターン
からの磁界を読み取る磁気抵抗効果素子を搭載したもの
であって、素子の記録媒体に対して垂直方向の長さd
(μm)と、媒体上のトラックの密度T(トラック/イ
ンチ)との関係が、d<12.5×103/Tであること
が好ましい。
【0069】また、本発明の磁気ヘッドは、信号を磁気
的に記憶する記録媒体と、前記媒体から漏洩する磁界を
検出する磁気抵抗効果膜とを有するものであって、前記
磁気抵抗効果膜が、前記媒体から漏洩する±10Oeの
磁界に対して5.0〜8.5%の抵抗変化率が得られる。
【0070】また、本発明の磁気記録再生装置は、信号
を磁気的に記憶する記録媒体と、前記記録媒体から漏洩
する磁界を検出し、非磁性導電膜を間に挟んだ磁性膜の
サンドウイッチ構造を具備する磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドとを有するものであって、前記磁気ヘッドが、前記記
録媒体から漏洩する±8Oeの磁界に対して5.0〜9.
5% の抵抗変化率が得られる。
【0071】本発明の薄膜磁気ヘッドは、基板と、信号
を記録するインダクティブ型記録ヘッドと、信号を再生
する磁気抵抗効果型再生ヘッドとを組み合わせてなるも
のであって、前記再生ヘッドが、非磁性導電膜を間に挟
んだ磁性膜のサンドウイッチ構造を有し、前記記録ヘッ
ドが前記基板と前記再生ヘッドとの間に形成される。本
発明は、磁気抵抗効果型磁気ヘッドでの磁性膜の形状異
方性の増大による感度の低下を低減させることが可能で
ある。これは磁性膜を薄くすることで低減できる。磁性
膜の形状異方性の大きさはおおよそその厚さに比例する
からである。一方、本発明の磁気抵抗効果膜の合計の厚
さは、やはり表面散乱による出力の低下を防ぐために1
00〜300Å程度とする必要があるが、非磁性膜で分
離された個々の磁性膜、特に膜中央の軟磁性膜の厚さは
100Å以下、特に10から20Å以下にしても出力の
低下を全く生じないからである。この作用は磁気抵抗効
果の発現機構が、その磁性膜/非磁性膜/磁性膜の界面
に起因することにより生じる。
【0072】本発明の磁気記録再生装置は、従来に比し
て、2倍から10倍程度記録密度を向上させることがで
き、特に、再生部の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの再生性
能を1.5 倍から20倍程度向上させることができる。
【0073】すなわち、互いに隔てられた磁性膜間での
磁化の方向の違いによって発生する磁気抵抗効果を利用
すると共に、磁性膜の厚さを分離によって薄くし、素子
の形状による磁気的異方性の発生及びそれによる素子の
磁界に対する感度の低下を防止する。これによって初め
て磁気抵抗効果素子の細小化が、再生能力の低下なしに
実現できた。さらに非磁性膜がその電気抵抗率に比して
十分薄くして、これを介して磁性膜間の電子の透過を可
能にし、スピンの方向に依存した磁気抵抗効果を発現す
る。加えて、その厚さと構造を制御して磁性膜間の磁気
的な結合をゼロか、記録媒体からの磁界に比べて小さく
して高感度の応答を可能にするのである。
【0074】第二に、非磁性膜で分離した磁性膜の磁化
の方向を特定の方向に誘導した点にある。すなわち、記
録媒体からの磁界が到達する方向に平行に強く誘導す
る。これは、より具体的には磁気抵抗効果膜が対向する
記録媒体表面の法線に平行な方向である。これによって
磁気抵抗効果膜の一部の磁性膜が有する磁化をその方向
に固定し、それ以外の磁性膜が有する磁化を記録媒体か
らの磁界に感応して回転可能にし、磁気抵抗効果による
出力を安定に生じさせることができたのである。第三
に、前記それ以外の磁性膜が有する磁化を記録媒体から
の磁界が到達する方向に対して垂直方向に弱く誘導した
点である。ここで、弱く誘導する、とは、前記一部の磁
性膜の磁化の固定の強さに比較して、前記それ以外の磁
性膜の磁化の誘導の強さが弱いことを意味する。
【0075】これは、この磁性膜の磁化の回転を促進し
て、特に高周波数での感度の向上及びノイズの抑制の効
果がある。さらに、磁界がゼロの時の出力を規定したの
で、正負いずれの磁界に対しても稼働を可能にする効果
がある。
【0076】また、本発明の磁気記録再生装置は、信号
を磁気的に記憶する記録媒体と、媒体から漏洩する磁界
を検出する磁気抵抗効果膜とを有し、磁気抵抗効果膜に
よって感知された磁界に対する出力特性が、ステップ状
に変化するのが好ましい。
【0077】ここでステップ状とは、磁気抵抗効果型再
生ヘッドの外部磁界に対する応答特性において、これが
三角形状でなく、1つの四角形状のステップに類似した
特性、すなわち磁界によって比較的急峻に変化する部位
と、その間の磁界に対してほぼ一定の応答を示す部位、
とを有する特性を示すことを意味する。
【0078】また、本発明に搭載される磁気抵抗効果膜
の磁性膜の厚さは、5〜1000Å、特に10〜100
Åであることが好ましい。磁性膜が室温で十分な磁化を
有し、かつ、電流を有効に磁気抵抗効果に活用するため
である。
【0079】各磁性膜を隔離する非磁性導電膜の厚さ
は、5〜1000Åであることが好ましい。この非磁性
導電膜の厚さは、電子の伝導を妨げず、特に磁性膜間の
反強磁性的或いは強磁性的な結合を十分に小さく保つ必
要があるからであり、特定の厚さ、例えばCuであれば
10Åから30Å程度であることが望ましい。
【0080】磁性膜、特に軟磁性膜の材料としては、N
i70〜95原子%及びFe5〜30原子%なる合金を
用いることが好ましい。
【0081】更に、磁性膜の材料としては、上記Ni−
Fe系合金に、適宜、Coを5原子%以下の範囲で添加
することが好ましい。或いはCo30〜85原子%,N
i2〜30原子%,Fe2〜50原子%の面心立方構造
を有する合金薄膜を用いることが望ましい。これらは良
好な積層構造の形成を可能とし、軟磁気特性に優れ、さ
らに大きな磁気抵抗効果を生じるからである。
【0082】また非磁性導電膜の材料としては、Au,
Ag,Cuの少なくとも1つを用いることが好ましい。
これらの膜は磁性膜との組み合わせによって磁気抵抗効
果を生じ、電気伝導度に優れ、かつ良好な積層構造の形
成を可能にするからである。本発明の磁気抵抗効果型磁
気ヘッドの構成の一例は、基板上に、NiO,NiF
e,Cu,NiFe,Cu,NiFe,NiOを順次積
層した膜に一対の電極を配してなる。または、基板上
に、NiO,Co/NiFe,Cu,Co/NiFe,
Cu,Co/NiFe,NiOを順次積層した膜に一対
の電極を配してなる。
【0083】或いは、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドは、基板上に、NiO,CoNiFe,Cu,NiF
e,Cu,Co/NiFe,NiOを順次積層した膜に
一対の電極を配してなる。これはこれらの構成が表面散
乱による出力の低下を極めて効率的に防止し、実効上出
力を向上させる効果があるとともに中央の膜を薄くする
ことを可能にして磁性膜の形状異方性による素子の感度
の劣化を、出力の低下なしに防止することができるから
である。
【0084】本発明の磁気記録再生装置は、このように
磁気抵抗効果型磁気ヘッドを再生部とし、高い記録密
度、すなわち記録媒体上に記録される記録波長を短くす
ることができる。また、記録トラックの幅が狭い記録を
実現でき、十分な再生出力を得、記録を良好に保つこと
ができる。
【0085】本発明の磁気記録再生装置に搭載される磁
気抵抗効果型磁気ヘッドは、記録媒体対向面に垂直な方
向に強く磁化を誘導した第一の磁性膜と、これに垂直な
方向に弱く磁化を誘導した第二の磁性膜を非磁性膜を隔
てて隣接してなる。
【0086】この素子を記録媒体にごく接近して配置
し、記録媒体から磁気抵抗効果型磁気ヘッドに達する磁
界を多層膜の電気抵抗の変化として感知する。すなわ
ち、磁界に感応して第二の磁性膜の磁化が回転し、第一
の磁性膜の磁化は殆ど回転しない。このため第一および
第二の磁性膜の互いの磁化のなす角が磁界に対して安定
に変化し、磁気抵抗効果により信号が出力される。
【0087】非磁性膜を介して隣接する磁性膜の間で電
子が透過し、互いの磁性膜の磁化の向きの相対的な違い
によって電子のスピンの向きに依存して散乱の確率が変
わることから、大きな磁気抵抗効果が生じる。この効果
は膜面内での電流の向き,全体の磁化の向きに依存しな
い。
【0088】磁気抵抗効果型磁気ヘッドの多層膜は小さ
な領域に、5ミクロン以下の小さな領域、さらには1ミ
クロンの幅に形成され、記録媒体からの磁界を有効に、
かつ感度良く感知でき、特に高記録密度での再生能力が
向上する。
【0089】本発明の、バイアス膜による一方向異方性
磁界が100から200エルステッドとすると形状によ
る異方性磁界Hkは軟磁性体の保磁力より大きく、バイ
アス磁界より小さい、0.4 から100エルステッド未
満であることが望ましい。本発明の磁気抵抗効果型磁気
ヘッドでは強磁性層の厚さを特に10から50Åまで薄
くしても出力の低下を生じないことから、異方性磁界は
幅1ミクロンの素子においても4から20エルステッド
と小さく、磁気抵抗効果型磁気ヘッドの感度を悪化させ
ないのである。
【0090】以上の点から、本発明の磁気記録再生装置
は従来型に比べて10倍程度の記録密度の向上を可能と
するものである。より具体的には、記録波長0.1〜0.
3μm,トラック幅0.2 〜4μm、すなわち、面記録
密度において、1〜30Gb/in2 の記録密度を有す
る磁気記録再生装置として適している。
【0091】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、磁
気抵抗効果膜と磁区制御層との間に少なくとも感磁部に
非磁性膜を介在させるものである。この非磁性膜は感磁
部で磁気抵抗効果膜と磁区制御層の間の直接的な磁気交
換結合の形成を阻止する作用をする。このため、磁気抵
抗効果膜の感磁部では、磁気抵抗効果膜の異方性磁界の
増加がないので、磁気抵抗効果素子の磁気応答特性が低
下することはない。
【0092】また、磁気抵抗効果膜と磁区制御層が、直
接、接している領域では、磁区制御層は磁気抵抗効果膜
に縦バイアス磁界を付与する作用をする。この領域で縦
バイアス磁界が付与されると、磁気抵抗効果膜の感磁部
にも適度な縦バイアス磁界を付与でき、磁気抵抗効果膜
感磁部に磁壁が発生するのを抑制するので、磁壁の不規
則な移動が原因であるバルクハウゼンノイズを抑える作
用をする。
【0093】また、磁気抵抗効果膜と磁区制御層の中間
に介在させた非磁性膜の領域を、拡大、あるいは縮小す
ることにより、感磁部に付与される縦バイアス磁界の大
きさを自由に調節できるので、比較的簡単に、バルクハ
ウゼンノイズを低減できる範囲で磁気応答特性を高めた
適度な縦バイアス磁界を感磁部に付与できる。
【0094】また、非磁性膜上と非磁性膜の形成されて
いない磁区制御層上に磁気抵抗効果膜を形成する際に、
非磁性膜と磁気抵抗効果膜および磁区制御層の接触面
積、あるいは、磁気抵抗効果膜のアスペクト比を変える
ことによっても、感磁部に付与される縦バイアス磁界の
大きさを調節することも可能である。
【0095】本発明に係る磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
磁区制御用の材料は、酸化物反強磁性膜が望ましい。酸
化物反強磁性膜は、大気にさらしても磁気抵抗効果膜と
磁気交換結合を形成させることが可能である。このた
め、従来技術のように磁区制御層と磁気抵抗効果膜を磁
気交換結合させる前にこれらの界面を表面クリーニング
しなければならないという製造工程の制約を解除でき
る。さらに、表面クリーニングの必要がないため、表面
クリーニングの結果発生する複数の磁気ヘッド間の磁区
制御層の性能のばらつきを極力抑えることができるとい
う特徴がある。
【0096】さらに、本発明に係る磁気抵抗効果型磁気
ヘッドでは、酸化物反強磁性膜上に薄い非磁性膜を所定
の位置に形成し、非磁性膜上と非磁性膜の配置されてい
ない磁区制御層上の所定の位置に磁気抵抗効果膜が形成
される。このように、本発明では、従来技術のように磁
気抵抗効果膜の両端部に磁区制御層をパターニングする
工程を含まず、さらに磁気抵抗効果膜は、厚い磁区制御
層などが存在せず、段差の小さい場所に形成されるので
安定性よく磁区制御層が形成できるという特徴がある。
【0097】酸化物反強磁性膜を磁区制御層に適用する
際、磁区制御層として機能するにはある程度の膜厚が必
要であった。また、磁気抵抗効果膜は、通常、数百Å以
下と非常に薄い膜で構成されている。このため、磁気抵
抗効果膜の下側両端部に酸化物反強磁性膜を配置した場
合、この上側に形成される磁気抵抗効果膜は、酸化物反
強磁性膜がなくなるところで段差が発生し、この段差の
ところで磁気抵抗効果膜に段切れが発生する。段切れが
発生すると、磁気抵抗効果膜内を充分に単一磁区状態に
維持することが不可能となり、バルクハウゼンノイズを
防止するのが不可能となる。一方、本発明の非磁性層の
膜厚は、酸化物反強磁性膜と磁気抵抗効果膜の磁気交換
結合を阻止するに充分な膜厚であればよい。磁気交換結
合は、強磁性膜と反強磁性膜の界面付近での現象である
ので、この直接的な磁気交換結合を阻止するには、非磁
性膜の膜厚は数十Å程度でよかった。酸化物反強磁性膜
上の所定の位置に、極めて薄い非磁性膜を設置し、この
非磁性膜を覆い、非磁性膜の配置されていない酸化物反
強磁性膜の所定の位置を覆って磁気抵抗効果膜が形成さ
れると、段差を極力小さくした磁区制御層を有する磁気
抵抗効果型磁気ヘッドが得られる。磁区制御層におい
て、段差となる箇所は磁気抵抗効果膜が非磁性膜に乗り
上げる部分である。しかし、本発明に係る非磁性膜は極
めて薄いため、この段切れを極力小さくすることができ
る。このため、磁気抵抗効果膜と酸化物反強磁性膜が直
接接している磁気抵抗効果膜端部で、酸化物反強磁性膜
によって付与された縦バイアス磁界を、段切れにより損
なうことなく、感磁部に確実に、かつ安定性よく付与す
ることが可能になり、バルクハウゼンノイズを抑止する
とともに複数の磁気抵抗効果型磁気ヘッド間における性
能のばらつきを抑えることができる。
【0098】
【発明の実施の形態】
(実施例1)始めにNiFeCo系磁気抵抗効果膜の作
製法について述べる。NiFeCoにTi,V,Cr,
Mnの中の少なくとも一元素が0.1wt% 以上添加さ
れた磁気抵抗効果膜は、Ta膜もしくはZr膜の下地に
ガラス基板上にスパッタリング法または蒸着法で形成さ
れる。図1は上記膜の磁歪定数の変化を示している。T
a下地膜上のNi76Fe16Co8 膜の磁歪定数は−30
×10~7であり、同一条件で作製したMR膜であるNi
82Fe18膜よりも絶対値が非常に大きい。しかし、上記
添加元素を添加することによりその絶対値を小さくする
ことが可能である。一般に、Feに対するbcc形成元
素は磁歪定数を負から正側にすることがNiFe合金の
場合に知られているが、NiFeCo合金の場合は報告
されていない。また、MR膜としての応用を考慮して、
磁歪を負から正側にし、比抵抗変化量(Δρ)を増加あ
るいは減少量を小さくし、飽和磁束密度(Bs)を低下
させ、比抵抗(ρ0 )を急激に増加させないための添加
元素の選択はなされていない。
【0099】図1はNi76Fe16Co8 にTi,V,C
r,Mnを添加した場合の磁歪定数の添加量依存性を示
している。下地にはTa膜(10nm)を用い、基板温
度200℃以下,到達真空度1×10~6Torr以下,Ar
ガス圧0.6mTorrでスパッタリング法で作製した結果
である。磁気抵抗効果膜の膜厚は20nmである。膜厚
が5nmよりも薄い場合には比抵抗変化量は急激に減少
し、5〜20nmの膜厚において膜厚依存性が小さくな
る。Tiを添加した場合には0.1% 以上10%以下の
添加濃度で磁歪定数の絶対値が10×10~7以下とな
る。またCrの場合には0.5〜8wt% の添加量で磁
歪定数の絶対値は10×10~7以下になる。いずれの添
加元素の場合にも、0.1wt% 以上の添加量で比抵抗
変化量(Δρ)は無添加の膜に比べて低くなる。
【0100】図2は比抵抗変化量(Δρ)の添加濃度依
存性を示している。Ti及びVは2wt%以下、Mnは
1wt%以下、Crは0.5wt%以下の濃度でΔρが
0.6μΩcm以上となる。したがって、磁歪の絶対値を
10×10~7以下とし、比抵抗変化量を0.6μΩcm以
上とするためには、Tiが0.1〜2wt%,Vが0.1
〜2wt%,Crが0.5wt%,Mnが0.5〜1wt
%の組成範囲にすれば良い。
【0101】図3に膜の比抵抗(ρ0)を示す。いずれ
の添加元素の場合にもρ0は添加元素濃度の増加ととも
に増加する。ρ0 の増加は磁気抵抗効果(MR)膜に流
れる電流の分流比を低下させ、熱ノイズの発生源になる
ため、小さい方が望ましい。したがって、ρ0 増加が比
較的小さい、低濃度の添加濃度の方が望ましい。検討し
た組成範囲ではいずれの膜も50μΩcm以下であった。
【0102】図4は上記膜の飽和磁束密度である。いず
れの膜においても添加元素濃度の増加とともに減少する
傾向がある。飽和磁束密度の減少は、MR膜の反磁界を
低減し高感度に寄与する。特にNi82Fe18合金よりも
高い出力及び感度を得るためには、飽和磁束密度と比抵
抗変化率の逆数の積が0.4 以下であることが望まし
い。
【0103】図5は上記添加元素濃度と(111)回折
強度との関係を示しており、これらの添加元素により
(111)回折強度は次第に減少する傾向があるが、急
激な強度の減少はみられず、(111)優先成長は保持
されている。これは比抵抗ρが添加元素濃度と共に単
調に増加し、急激な増加が認められないことと関連して
いる。比抵抗の増加はMR膜に流れる電流と全電流の比
を示す分流比を小さくし、熱ノイズの原因となるため、
出力が減少する。比抵抗が50μΩcm以上になると出
力として10%低下し、NiFe二元合金を上回る出力
は期待できない。上記NiFeCo系合金の場合、比抵
抗が50μΩcm以下であり、抵抗変化率が無添加の場合
以上、磁歪定数の絶対値が1×10~6以下となるNiF
eCo合金組成範囲は、Niが75〜90wt%,Co
が5〜20wt%,Feが5〜20wt%である。この
組成範囲で、比抵抗が50μΩcm以下となる添加元素濃
度範囲でTi,V,CrあるいはMnを0.1wt% 以
上添加すれば、NiFe二元合金(Ni82Fe18)を越え
る出力を得ることが可能である。また、NiFeCo合
金組成範囲は、Niが65〜95wt%,Coが5〜3
0wt%,Feが5〜30wt%でも良い。
【0104】これらの第四元素を添加したCoNiFe
合金膜の比抵抗変化量は、膜形成後の熱処理により変化
する。図2で説明したTi0.5wt%添加の合金膜を
磁界中熱処理した時の異方性磁界及び比抵抗変化量をそ
れぞれ図6及び図7に示す。比抵抗変化量は熱処理温度
と共に増加する傾向がある。この時、膜の比抵抗はほぼ
一定かわずかに減少した。また、図6は合金膜の異方性
磁界の熱処理依存性を示している。異方性磁界は200
℃以上で熱処理温度によらずほぼ一定であり、いずれの
CoNiFe組成(Niが75〜90wt%,Coが5
〜20wt%,Feが5〜20wt%)でも15Oe以
下である。
【0105】次に、NiFe二元系合金膜にPt,Au
もしくはPdを添加した場合の比抵抗および比抵抗変化
量と添加量の関係を図8に示す。5nmのTa膜をガラ
ス,ZrO2 、もしくはAl23基板上にスパッタリン
グ法で作製し、次にこのTa膜を下地にして20nmの
Ni81Fe19を作製した。スパッタ中のArガス圧は1
mTorr以下,基板温度250℃以下,膜形成速度10Å
/s以下である。この条件で作製したTa膜の比抵抗は
150〜200μΩcmである。また、Ni81Fe19膜の比抵
抗変化量Δρは0.54μΩcm であった。また、下地の
Ta膜厚が1nm以上であれば、Δρは0.54μΩcm
以上となる。この結果、下地にZrを用いた場合も同
様でありΔρは0.54μΩcm 以上となる。このような
比抵抗変化量の増加が見られ、且つ磁歪定数の絶対値が
10×10~7以下の組成は、Niが60〜85wt%,
Feが15〜40wt%の範囲であった。
【0106】膜の製造方法は次の通りである。基板を洗
浄し、基板表面に付着した水分や油等を取り除いた。洗
浄後、膜厚5nmのTaあるいはZr膜をスパッタリン
グ法によって形成した。次にこのTaあるいはZr膜を
下地として膜厚20nmのNi81Fe19を作製した。ス
パッタリング中のArガス圧は1mTorr以下,基板温度
250℃以下,膜形成速度10Å/s以下である。この
条件で作製したTa膜の比抵抗は150〜200−μΩ
cmである。またNi81Fe19膜の比抵抗変化量Δρは
0.54μΩcm であった。下地のTaの膜厚が1nm以
上であればNi81Fe19の比抵抗変化量Δρは0.54
μΩcm となる。Zr膜を下地に用いた場合も同様であ
り、比抵抗変化量Δρは0.54μΩcm となる。添加元
素としてAu,PtあるいはPdを選択した場合、比抵
抗変化量Δρはいずれの元素を添加した場合でも増加す
る。このような三元合金膜はスパッタリング装置のター
ゲットとして三元合金ターゲットを用いるかあるいは添
加元素の板をターゲット上に置くことによって形成し
た。図8に示すようにAu,PtあるいはPdのいずれ
の元素も1wt%以上の濃度において比抵抗変化量Δρ
が0.6μΩcm 以上となり、Ni81Fe19に比べて高出
力が得られることを示している。このような比抵抗変化
量の増加が見られ、かつ磁歪定数の絶対値が1×10~6
以下となるNiFe組成はNiが60−85wt%,F
eが15−40wt%の範囲であった。これらの膜の比
抵抗ρ0 を図9に示す。いずれの添加元素の場合でもN
81Fe19の比抵抗よりも高くなり、例えば比抵抗が5
0μΩcm以上となる添加元素の濃度はAuで25wt
%,Ptの場合20wt%,Pdの場合30wt%とな
る。前述したように比抵抗の増加は分流比を減少させる
と共に、熱ノイズを増加させるので再生ヘッドの出力が
増加してもヘッドのS/Nとしては増加量が減ることに
なる。再生ヘッドのノイズは電流密度によってその発熱
量が異なり、高電流密度での使用には比抵抗が低い膜の
方が望ましい。従ってヘッドノイズを考慮すると、添加
元素の濃度が低い合金膜を使用することが望ましい。
【0107】図10にX線回折パターンの(111)回
折ピーク強度とPt濃度の関係を示す。いずれの膜も
(111)優先成長しており、Ta下地膜上(1nm以
上の膜厚)で作製したNiFe系膜はガラス基板に直接
成長させた場合よりも比抵抗が低くなる。しかし、添加
元素濃度が増加するとともに回折ピーク強度は減少する
傾向にある。これはこれらの添加元素の原子半径がNi
やFeよりも大きく、添加元素の原子周囲がひずむため
に(111)優先成長しにくくなるものと考えられる。
【0108】図11にX線回折法で求めたPt含有合金
膜の格子定数とPt濃度の関係を示す。Pt含有合金膜
の格子定数は無添加の場合よりも大きくなる。格子定数
が大きくなるのはPt原子が強磁性元素の位置に置き換
わっているためである。格子定数が大きくなったために
磁性原子間の距離が非磁性元素の回りで大きくなり、磁
性原子間のスピン−軌道相互作用が変化してΔρが大き
くなったものと考えられる。
【0109】図12に膜の磁歪定数を示す。Au,Pt
あるいはPdいずれの元素を添加を添加した場合でも磁
歪定数は添加元素の濃度とともに正から負側に変化す
る。
【0110】Ptの場合には10wt%の添加量で磁歪
定数が約17×10~7負側にする効果がある。ここでは
例えば、磁歪定数が1×10~6以下で、Ni81Fe19
膜厚20nmにおける比抵抗が50μΩcm以下、比抵抗
変化量が無添加のNiFe合金よりも大きくなるための
NiFe合金膜の組成範囲はNi60〜85wt%であ
る。これは主に、NiFe二元合金の磁歪定数が正側に
なる組成範囲である。これらの添加元素を加えて磁歪が
ゼロ付近の膜を得るためには、磁歪が正側のNiFe合
金にこれらの添加元素を添加すればよい。Ni76Fe24
膜にPtを添加した場合の磁歪定数の変化から、磁歪定
数の絶対値が1×10~6以下となるPt組成は4−18
wt%であり、Pt濃度を適正にすることにより磁歪を
0に設定することが可能であり、磁歪に起因するノイズ
を低減することができる。また磁歪をゼロに設定する方
法として、磁歪が正の膜と負の膜を重ね、全体の磁歪を
ゼロにするようにしてもよい。この場合、分流比を考慮
してΔρの高い磁性膜の方により多くの電流が流れるよ
うにするためにΔρの低い膜のρ0 を高くすることが望
ましい。
【0111】図13は、Ni81Fe19合金にPt,Au
及びPdをそれぞれ10wt%添加した場合の比抵抗変
化量Δρの膜厚依存性を示している。膜厚が5nm以上
では、全ての膜のΔρがNi81Fe19膜(20nmで
0.54μΩcm )を超える高いΔρを示している。膜厚
が5nmよりも薄くなると電子の表面散乱の寄与が大き
くなり、結晶粒径も小さくなるためΔρが小さくなる。
膜厚が薄くなると、伝導電子の表面散乱確率が増加する
ためΔρが減少するものと考えられる。
【0112】本発明では、磁気ヘッドがNi−Fe−C
o合金に0.1wt% 以上のTi,V,Cr,Mnの中
の少なくとも一元素を0.1wt% 以上添加した磁気抵
抗効果膜、あるいは、Niが60〜85wt%,Feが
15〜40wt%の二元合金に、Pt,Au,Pdの中
の少なくとも一元素を1wt%以上添加した磁気抵抗効
果膜によって構成されている。高性能磁気ディスク装置
としては、磁気ディスク上の面記録密度は1平方インチ
当たり50メガビット以上、線記録密度は1インチ当た
り25キロビット以上、トラック密度は1インチ当たり
2000トラック以上であることが望ましい。
【0113】(実施例2)図14は記録再生分離型ヘッ
ド構造を示す斜視図である。基板50としては、AlT
iCやZrO2やAl23あるいは複合酸化物を用いた
酸化物系セラミックスを使用し、その基板50の表面を
研磨・清浄化した後、下部シールド膜82をスパッタリ
ング法で作製する。下部シールド膜82の材料は、Ni
Fe合金,CoNiFe合金、もしくは非晶質Co系合
金等である。なお、下部シールド膜82の上には、図1
4に示すように、電極,下部コア兼上部シールド膜,励
磁コイル、及び上部コア等が積層されている。
【0114】電極膜の材料はTaやWであり、約30m
A/cm2 の電流密度に耐えることが確認されている。下
部コア兼上部シールド膜は下部シールド膜と同さにNi
Fe合金,CoNiFe合金、もしくは非晶質Co系合
金(たとえばCoNbZr)である。コイルにはCuを
用い、上部コアにはCoNiFe合金やNiFe合金を
用いている。
【0115】記録再生分離型ヘッドは、本発明の素子を
用いた再生ヘッドと、インダクティブ型の記録ヘッド、
及び、漏れ磁界による再生ヘッドの混乱を防止するため
のシールド部からなる。ここでは水平磁気記録用の記録
ヘッドとの搭載を示したが、本発明の磁気抵抗効果素子
を垂直磁気記録用のヘッドと組み合わせ、垂直記録に用
いても良い。ヘッドは、基板50上に下部シールド膜8
2,磁気抵抗効果素子60及び信号検出電極42,上部
シールド膜81からなる再生ヘッドと、下部磁性膜8
4,コイル導体85,上部磁性膜83からなる記録ヘッ
ドとを形成してなる。このヘッドによって、記録媒体上
に信号を書き込み、また記録媒体から信号を読み取るの
である。再生ヘッドの感知部分と、記録ヘッドの磁気ギ
ャップはこのように同一スライダー上に重ねた位置に形
成することで、同一トラックに同時に位置決めができ
る。このヘッドをスライダーに加工し、磁気記録再生装
置に搭載した。
【0116】ヘッドスライダーを兼ねる基板50上に磁
気抵抗効果素子60および信号検出電極42を形成し、
これを記録媒体上に位置決めして再生を行う。記録媒体
は回転し、ヘッドスライダーは記録媒体の上を、0.2
μm 以下の高さ、或いは接触状態で対向して相対運動
する。この機構により、磁気抵抗効果素子60は記録媒
体に記録された磁気的信号を、その漏れ磁界から読み取
ることのできる位置に設定されるのである。磁気抵抗効
果素子60は複数の磁性膜と非磁性導電膜を交互に積層
した膜とバイアス膜、特に反強磁性膜、からなる。本発
明の特徴はこの積層膜の一部の磁性膜、望ましくは積層
した磁性膜のうち1層おきの膜に、記録媒体に対向する
面に対して垂直な方向に強い異方性を誘導し、その磁化
を、この方向におおよそ固定することにある。また磁性
膜の他の膜は、磁気抵抗効果膜の膜面内で垂直な方向、
つまり比較的弱く異方性を印加して、その磁化をこの方
向に誘導する。このような構成により、記録媒体上に磁
気的に記録された信号は、媒体上に漏れ磁界として磁気
抵抗効果素子60に達し、その成分、特に磁気抵抗効果
膜の膜面内の成分に従って磁化が回転し、非磁性導電膜
を介して隣合った2つの磁性膜の互いの磁化の方向のな
す角度が変化して磁気抵抗効果が生じ、再生出力を得
る。磁気抵抗効果素子の信号を感知する部分は、磁気抵
抗効果素子60の電流の流れる部分、即ち信号検出電極
42で挟まれる部分であるが、この部分の記録媒体表面
に平行な方向の幅は記録トラックの幅より狭く、特にそ
の比が0.8以下になして互いの位置のずれによる隣接す
るトラックの混信を防止する。
【0117】永久磁石膜を縦バイアスに用いるハードバ
イアス型の場合には、図15に示すように、下部シール
ド膜102上のギャップ膜上にMR膜105,分離膜1
06,ソフトバイアス(SAL)膜107の積層構造が
形成され、この積層構造両側の下地膜104上に永久磁
石膜110と電極膜111が設けられている。この場合
は永久磁石膜110としてCoCr−ZrO2 ,CoP
t又はCoCrPt合金膜を用い、また膜厚を変えるこ
とにより、縦バイアス磁界を制御できる。永久磁石膜1
10としてはCoCr系合金膜を用い、保磁力は500
Oe以上である。永久磁石膜110,下地膜104及び
電極膜111はリフトオフプロセス法を用いて作製す
る。
【0118】下地膜はTa、電極膜はTaやWである。
本発明で検討したトラック幅は2.5μm以下、MR高さ
は2.0μm 以下であり、面記録密度が1.3GB/i
2である。
【0119】図16に図14のMRヘッドの相対出力を
示す。MR材料としてFe16Co84にTiを添加した場
合、及びNiが60〜85wt%,Feが15〜40w
t%の二元合金にPtを1wt%以上添加した場合の出
力はNi81Fe19膜の場合(相対出力100)よりも高
いことが分かる。また電流密度を増加させた場合、図1
6に示すように、いずれの膜でも4×107A/cm2以上
の電流密度でも出力は電流密度とともに増加する。しか
しNi81Fe19膜の場合には4×107A/cm2 以上の
電流密度で比例関係よりも低下する。これはNi81Fe
19にPt,AuもしくはPdを添加したMR膜の方がN
iFe合金よりも耐マイグレーション性が高いためであ
る。
【0120】図17は、種々の膜の磁歪定数の絶対値と
図14で示した磁気ヘッドの再生時における出力に対す
るノイズの値を規格化したものである。磁歪定数の絶対
値が10×10~7を超えると規格化ノイズが110以上
となり、出力が高くなっても、エラーが増加してしま
う。また、図18はMR膜の比抵抗と相対出力との関係
を示したものである。図18から分かるように、磁気ヘ
ッドの再生出力はMR膜の比抵抗が50μΩcm以上とな
ると相対出力が90以下となり、比抵抗変化量が高い膜
でも出力は分流比低下及び熱ノイズのため低下する。図
17及び図18より、MR膜の磁歪の絶対値は10×1
0~7以下,比抵抗は50μΩcm以下とすることが望まし
い。
【0121】(実施例3)図19は本実施例の磁気抵抗
効果型ヘッドの構造である。まずSAL1,分離膜2お
よびMR膜3を順次成膜した。MR膜3として実施例1
に示す各種Ni基合金を用いた。その後、中央能動領域
上にステンシル状のホトレジストを形成した。続いてこ
のレジスト材によってマスクされていない領域の上記S
AL1,上記分離膜2および上記MR膜3をイオンミリ
ングにより除去した。このとき基板をイオンビームに対
し適切な角度を維持したまま回転させることにより末広
がりのテーパ5を形成した。次に端部受動領域を形成す
る永久磁石膜7および電極膜8を付着した。永久磁石膜
としてCo0.82Cr0.09Pt0.09膜又はCo0.80Cr0.
08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜を用いた。今回の永久磁石
膜はRFスパッタ法により形成し、ターゲット上にZr
2 チップを配置することによりCoCrPt膜中のZ
rO2 濃度を調節した。永久磁石膜7の膜厚は中央能動
領域に与えるバイアス磁界がCo0.82Cr0.09Pt0.09
膜とCo0.80Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜で同じ
になるようそれぞれ50nm,52nmに選んだ。それ
ぞれの永久磁石膜の保磁力は600Oe及び1200Oeであ
った。ステンシル上に付着した永久磁石膜および電極膜
は、リフトオフによりステンシルと共に除去した。SA
L1はMR膜3に横バイアス磁界4を印加するものであ
り、永久磁石膜7はMR膜3に縦バイアス磁界6を印加
するものである。永久磁石膜7はMR膜3を所定の形状
に作成した後SAL1,分離膜2及びMR膜3の合計の
厚さより薄く積層され、MR膜3の部分に残らないよう
に除去され、MR膜3との端部で残るようにテーパが形
成される。更に、その後電極膜8が形成され、MR膜3
との接触部でテーパが形成される。9は0.4μm の厚
さのアルミナの下部ギャップ膜、10は約2μmのNi
Fe合金からなる下部シールド膜、11は基板12の表
面にアルミナの絶縁膜を10μmの厚さで形成し研摩し
て基板12の表面を平滑にするためのものである。基板
12はTiC含有アルミナ焼結体が用いられる。分離膜
2は200ÅのTa膜が用いられる。MR膜3は厚さ4
00ÅのNi基合金が用いられる。
【0122】これらのヘッドの電気磁気変換特性を測定
した結果、出力変動20%,波形変動10%であったC
0.82Cr0.09Pt0.09膜を用いたヘッドに対し、Co
0.80Cr0.08Pt0.09(ZzO2)0.03 膜を用いたヘッド
では出力変動5%以内,波形変動5%以内に低減するこ
とができた。よって、Co0.80Cr0.08Pt0.09(Zr
2)0.03 膜を永久磁石膜に用いることによりBHN及
び波形変動抑制効果が高くなることを確認した。
【0123】中央能動領域はMR膜,横バイアスを印加
するソフトバイアス膜であるSAL1と前記2磁性膜を分離
する分離膜2を有する。端部受動領域は中央能動領域に
縦バイアスを印加する永久磁石膜7より構成される。端
部接合領域は中央能動領域に2つのテーパを有してい
る。
【0124】この永久磁石膜7は、永久磁石膜からの漏
洩磁界と、永久磁石膜と中央能動領域との接合領域での
結合磁界により中央能動領域に縦バイアスを与える。永
久磁石膜はBHN抑制のために磁気媒体からの磁界に対
して安定に中央能動領域に磁界を印加する必要がある。
このためには永久磁石膜の保磁力として1000Oe以
上が必要である。永久磁石膜はCoPt,CoCrPt
等の永久磁石膜が用いられる。Co系磁性膜はCr等の
下地膜を用いることにより高保磁力が得られる。
【0125】磁気抵抗効果膜にバイアス磁界を印加する
ための軟磁性膜からなるSAL1として、80原子%ニ
ッケル及び残部鉄からなる磁性合金に酸化ジルコニウム
を10%添加した軟磁性膜を、スパッタリング法によっ
て400Å形成する。スパッタリングはニッケル−鉄合
金ターゲット上に酸化ジルコニウムチップを配置したタ
ーゲットを用いて行った。スパッタリングの際のArガ
ス圧は2mTorrとした。また、基板温度は室温とした。
さらにその上部に上部ギャップ膜としてアルミナ膜を
0.3μm 、さらにその上部に上部磁気シールドを形成
する。さらにその上部に絶縁膜を形成後、記録用の誘導
型磁気ヘッドを作製するが詳細は省略する。この後、基
板を切断,スライダーに加工して磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドの作製を完了する。次に本実施例の磁気抵抗効果型
磁気ヘッドの特性について述べる。磁気抵抗効果型磁気
ヘッドの評価は再生出力で行った。本実施例の磁気ヘッ
ド及び、比較のために同様の構造でバイアス膜に5%ニ
オブを添加したニッケル−鉄合金を用いたヘッドについ
て行った。本実施例の酸化ジルコニウムを添加したバイ
アス膜は飽和磁束密度が0.7T で、比抵抗が約120
μΩcmであるのに対し、比較のための5%ニオブを添加
したニッケル−鉄膜では飽和磁束密度0.6T、比抵抗が
70μΩcmであった。ニオブを5%添加したニッケル−
鉄膜をバイアス膜に用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
再生出力は、10MHzの周波数で約400μVであっ
たのに対し、本発明の磁気ヘッドは10%大きな約44
0μVであった。これは、ニオブを添加したニッケル−
鉄合金膜をバイアス膜としたヘッドでは、バイアス膜の
比抵抗が小さいため、検出電流が磁気抵抗効果膜とバイ
アス膜の両方に流れ、読み出される抵抗の変化が小さく
なるためである。ニオブを添加したニッケル−鉄膜では
添加するニオブの量を増やすことによって、電気抵抗を
上昇させることが可能であるが、ニオブの添加量を増加
させると飽和磁束密度が著しく低下するので、5%が限
界である。このように、酸化ジルコニウムを添加したニ
ッケル−鉄膜をバイアス膜とした本実施例の磁気抵抗効
果型磁気ヘッドでは、バイアス膜の電気抵抗が大きいの
で、高い再生出力が得られる。
【0126】次に本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
バイアス膜の電気抵抗について述べる。80原子%ニッ
ケル,残部鉄よりなる磁性合金膜に、酸化ジルコニウム
を添加した場合の膜の比抵抗及び飽和磁束密度を示した
ものである。膜厚は400Åである。酸化アルミニウム
を添加すると膜の電気抵抗は増加し、約10%で100μ
Ωcmになる。一方、飽和磁束密度は酸化アルミニウムの
添加によって単調に減少し、10%では約0.75T で
ある。これは化合物として酸化アルミニウムを添加した
場合の例であるが、他の化合物でも同様の傾向を示し、
化合物の添加により、高い比抵抗の膜を作製することが
可能である。このような高い比抵抗の膜は、従来の金属
元素の添加では得ることが困難であり、化合物の添加が
有効であることがわかる。
【0127】次に種々の化合物を含むバイアス膜の特性
について述べる。表1はニッケルが80%で残部鉄より
なる金属磁性薄膜に酸化ジルコニウム,酸化アルミニウ
ム,酸化ハフニウム,酸化チタン,酸化ベリリウム,酸
化マグネシウム,希土類酸素化合物として酸化セリウ
ム,窒化ジルコニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニ
ウム,窒化チタン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウ
ム,窒化シリコン、及び希土類窒素化合物として窒化セ
リウムを約5%添加した場合の保磁力,異方性磁界,飽
和磁束密度の値を示したものである。
【0128】
【表1】
【0129】比較のために酸化シリコンを添加した場合
と、金属ジルコニウムを添加した場合の磁気特性につい
ても示す。膜の作製はスパッタリング法で行った。ター
ゲットはニッケル−鉄合金上に各化合物のチップを配置
したターゲットとした。スパッタリングの際のArガス
圧は2mTorrとし、膜厚は400Åとした。膜の比抵抗
はいずれの膜もおよそ70μΩcmであった。また、保磁
力,異方性磁界,飽和磁束密度のいずれも化合物の種類
には殆ど依存せず同様な値を示したが、酸化シリコンを
添加した膜は異方性磁界が15Oeと大きくなってい
る。これは、酸化シリコンの結合エネルギが小さく、膜
作製中に分解が進み、発生した酸素が鉄あるいはニッケ
ルと化合し内部に酸化物を形成したためと考えられる。
ここで添加した窒素化合物は酸素化合物に比べれば結合
エネルギが小さいが、磁性元素である鉄,コバルト,ニ
ッケルの窒素と結合が非常に弱いため、磁性元素が化合
物を作らず、磁気特性の劣化がなかったと考えられる。
このことは、添加化合物の結合エネルギが、磁性元素が
作る同種の化合物の結合エネルギに比べ十分大きければ
磁気特性が改善されることを示している。以上のことか
ら類推すれば、他の化合物、例えば炭化物,塩化物,フ
ッ化物等の化合物でも磁気特性の改善が期待されるが、
炭化物は著しく真空装置を汚染すること、また塩化物及
びフッ化物はその多くが水溶性であり、膜の耐食性の点
で問題があると予想されるため実験を行わなかった。ま
た、比較のためにジルコニウムを添加した膜は保磁力及
び異方性磁界は小さくなるが、飽和磁束密度の大きさが
約0.5T と大きく減少した。このことはジルコニウム
を金属のまま添加すると、磁性元素の電子状態を大きく
変化させることを示しており、化合物として添加するこ
とが有効であることがわかる。
【0130】次に種々の合金に酸化ジルコニウムを添加
したバイアス膜の磁気特性について述べる。表2は金属
磁性体である鉄,鉄−コバルト合金、及びニッケル−コ
バルト合金に酸化ジルコニウムを5%添加した場合の保
磁力,異方性磁界,飽和磁束密度の値を示したものであ
る。
【0131】
【表2】
【0132】鉄−コバルト合金については、鉄を50原
子%,残部コバルトとした。また、ニッケル−コバルト
合金についてはニッケル70原子%,残部コバルトとし
た。これらの膜は金属ターゲット上に酸化ジルコニウム
のチップを配置したターゲットを用いて、スパッタリン
グ法によって作製した。スパッタリング時のArガス圧
は2mTorrとした。また、磁気異方性を付与するため、
スパッタリング中に約40Oeの磁界を印加した。膜厚
は0.1μm とした。表2には比較のため、酸化ジルコ
ニウムを添加しない場合の磁気特性についても示してい
る。表中で異方性磁界の項が空欄の場合があるが、これ
はM−Hループ上で明瞭な磁気異方性が観察されず、異
方性磁界が測定できなかった場合である。金属磁性体が
鉄の場合、酸化ジルコニウムを添加しない膜では、保磁
力が8Oeと大きく、また明瞭な磁気異方性は見られな
い。これに対し、酸化ジルコニウムを添加した膜は保磁
力が約3Oeに減少し、また磁気異方性が観察され、異
方性磁界は7Oeであった。鉄−コバルト合金,ニッケ
ル−コバルト合金の場合にも酸化ジルコニウムを添加し
ていない場合に比べ、酸化ジルコニウムを添加した場合
には保磁力の減少が見られ、軟磁気特性が向上すること
が明らかである。
【0133】(実施例4)図20は実施例1の磁気抵抗
効果膜を用いた磁気抵抗効果ヘッドの斜視図である。
【0134】本実施例は実施例3と同じ構造で、同じ磁
気抵抗効果膜を用い、磁気抵抗効果型ヘッドの膜の積層
構造が異なるものである。アルミナからなる下部ギャッ
プ膜9の上に順次厚さ50nmのNiOからなる反強磁
性膜13,MR膜3として実施例1と同様に厚さ1nm
の種々のNi基合金膜14と厚さ1nmのCo膜15,
厚さ2nmのCuから非磁性金属膜16及び厚さ5nm
のNiFe合金の軟磁性膜からなる横バイアス印加用の
SAL1が形成されたものである。
【0135】本実施例におけるMR膜3は二枚の磁性膜
(NiFe)で薄い非磁性膜(Cu)を挾み、片方の磁性
膜に接した反強磁性膜(NiO)からなる構造である。
この構造により、製造工程の不安定さと、電流の分流に
よる感度低下を防止したものである。また、反強磁性膜
としては、従来材料のFeMnに比べ、製造工程での腐
食がない酸化物NiOを用い、これにより量産工程での
高信頼化を図った。また、ヘッドの出力は、ヘッドに流
す電流とスピンバルブ膜の抵抗変化量の積によって決ま
り、反強磁性膜自身は抵抗変化には寄与しない。従っ
て、反強磁性膜として絶縁物質であるNiOを用いるこ
とで、入力した電流を効率良く抵抗変化に寄与させ、高
い磁界感度を得ることができるようになった。以上のよ
うに、本実施例においては約5Gb/in2 の記録密度
を実現できる。
【0136】さらに、本実施例におけるSAL1に実施
例3と同様にNiFe合金に酸化物を分散させた膜を形
成させることにより高い再生出力が得られる。
【0137】(実施例5)図21は実施例1の磁気抵抗
効果膜を用いた磁気抵抗効果型ヘッドの断面図である。
軟磁性層からなるSAL1及びMR膜3を非磁性金属膜
16を挾んで感磁部を構成する。磁性層からなるSAL
1,MR膜3としては、共に厚さ5nmのパーマロイ
(Ni80Fe20)に実施例1と同様に各種添加元素を加
えたものを、非磁性金属膜16としては、厚さ2nmの
Cuを用いる。反強磁性層13として、膜厚50nmの
NiOを用いた。硬磁性層である永久磁石膜7および電
極膜8を磁性膜に接するようにして設け、両者を同時に
パターニングする。硬磁性層としては、膜厚10nmの
CoCrPt,電極としては、Cu,Ag,Au等を用
いる。
【0138】このようにして作製した、トラック幅4μ
m,磁気抵抗効果膜の深さ方向の幅2μmの、シールド
のない磁気抵抗効果素子は磁界ゼロの原点付近では、印
加磁界に対して、抵抗変化は、近似的に線形になってい
るので、この部分を使用して、媒体磁界を抵抗変化とし
て検出できる。
【0139】この素子を、上下のシールド膜で挾み、磁
気抵抗効果型再生ヘッドを作製した。このとき下部シー
ルドは、非晶質Co−Ta−Zr(2μm)を用い、上
部シールドは、パーマロイ(2μm)を用いた。シール
ド間のギャップ絶縁膜としては、スパッタ法により形成
したアルミナ膜を用いた。このようにして作製した磁気
抵抗効果型ヘッドにおいて、バルクハウゼンノイズは認
められず、良好な出力特性を示した。
【0140】このようにして作製した巨大磁気抵抗効果
型ヘッドは、0.8μm 幅の記録トラックを、トラック
幅方向に位置をずらせながら再生することによって再生
感度分布の測定を行った。再生ヘッドの形状は、トラッ
ク幅4μm,上下シールド間隔0.5μm ,磁気抵抗効
果膜の深さ方向の幅は2μmのものを用いた。本発明ヘ
ッドの感度分布は、従来型の巨大磁気抵抗効果ヘッドと
比べて、より裾が短くなっている。このように本発明の
磁気抵抗効果型ヘッドは、感度分布の裾の広がりが少な
く、高いトラック密度にて記録を行った場合に、隣のト
ラックからの再生クロストークを低減でき、有利である
ことを確認した。
【0141】(実施例6)図22は実施例1の磁気抵抗
効果膜を用いた磁気抵抗効果型ヘッドの斜視図である。
【0142】図23は本実施例の磁気抵抗効果素子の異
方性制御の例を示す概念図である。反強磁性材からなる
バイアス膜31及び32は、図中矢印71及び72の方
向に交換結合による異方性を印加する。図中矢印60は
感知すべき磁界の方向,矢印61は磁性膜21に誘導し
た一方向異方性の方向を示す。非磁性導電膜26に挟ま
れた磁性膜22の容易磁化方向は図中矢印62の方向に
一軸異方性の誘導によって印加する。これは磁性膜の成
長中に所定の方向に磁界を印加することで達成される。
本図の実施例は異方性の印加をバイアス膜と誘導磁気異
方性で実現した例である。この結果矢印61と62は共
に膜面内で、互いに直交する。感知すべき磁界の大きさ
に比較して、磁性膜21の異方性を大きく磁性膜22の
異方性を小さくすることで、磁性膜21の磁化を外部磁
界に対してほぼ固定し、磁性膜22の磁化のみが外部磁
界に対して大きく反応するようになる。さらに矢印60
の方向にかかる感知すべき磁界に対して、磁性膜21の
磁化は異方性61によって磁化と外部磁界が平行な容易
軸励磁の状態に、逆に磁性膜22の異方性に依って磁化
と外部磁界が垂直な困難軸励磁の状態になっている。こ
の効果によって上記の応答をさらに顕著なものにできる
とともに、外部磁界に対して磁性膜22の磁化が、矢印
62の方向を起点に、回転による困難軸励磁で素子が駆
動される状態が実現し、磁壁移動による励磁に伴うノイ
ズを防止し、高周波での動作を可能にすることができ
る。
【0143】本発明の磁気抵抗効果素子を構成する膜は
高周波マグネトロンスパッタリング装置により以下のよ
うに作製した。アルゴン3ミリトールの雰囲気中にて、
厚さ1ミリ,直径3インチのセラミックス基板およびS
i単結晶基板上に以下の材料を順に積層して作製した。
スパッタリングターゲットとして酸化ニッケル,コバル
ト,ニッケル−20at%鉄合金,銅のターゲットを用
いた。ニッケル−鉄中へのコバルトの添加にはニッケル
−20at%鉄合金ターゲット上にコバルトのチップを
配置した。またコバルト中へのニッケル,鉄の添加には
コバルトターゲット上にニッケルおよび鉄のチップを配
置した。積層膜は、各ターゲットを配置したカソードに
各々高周波電力を印加して装置内にプラズマを発生させ
ておき、各カソードごとに配置されたシャッターを一つ
ずつ開閉して順次各層を形成した。膜形成時には基板面
内で直交する二対の電磁石を用いて基板に平行におよそ
50エルステッドの磁界を印加して、一軸異方性を持た
せると共に、酸化ニッケル膜の交換結合バイアスの方向
をそれぞれの方向に誘導した。
【0144】異方性の誘導は、基板近傍に取り付けた二
対の電磁石によって、各磁性膜の形成時に誘導すべき方
向に磁界を加えて行った。或いは、多層膜形成後に反強
磁性膜のネール温度近傍で磁界中熱処理を行い、反強磁
性バイアスの方向を磁界の方向に誘導した。
【0145】磁気抵抗効果素子の性能の評価は膜を短冊
形状にパターニングし、電極を形成して行った。この
時、磁性膜の一軸異方性の方向と素子の電流方向が平行
となるようにした。電気抵抗は電極端子間に一定の電流
を通じ、素子の面内に電流方向に垂直な方向に磁界を印
加して、素子の電気抵抗を電極端子間の電圧として測定
し、磁気抵抗変化率として感知した。
【0146】Cu膜の厚さを変えたNiO/NiFe/
Cu/NiFe膜において磁化曲線を測定し、NiFe
膜間の磁気的結合の強さを求めた結果、磁気的結合の強
さはCuの厚さと共におよそ10Å周期で反強磁性/強
磁性間で振動し、磁界に対する感度の高い磁気抵抗効果
素子を得るにはこの磁気的結合をおよそゼロにすること
が必須である。非磁性導電膜としてCuを用いた場合に
は、その厚さを11Å〜22Åの範囲にすることで磁性
膜間の磁気的結合をゼロにすることができる。これによ
って初めて数エルステッドの弱い外部磁界に応答して電
気抵抗が大きく変化する、すなわち感度の高い磁気抵抗
効果素子を得ることができるのである。また、NiFe
磁性膜に化合物とCoを添加するとCoの添加につれ
て、抵抗変化率はNiFeのみのおよそ4%から6.0
% まで向上する。
【0147】膜の構成を変えて作製した磁気抵抗効果素
子の特性例を表3に示す。膜構成は紙面左側が基体側で
順次右側に積層したものである。
【0148】
【表3】
【0149】表3では素子の特性を抵抗変化率と飽和磁
界で表した。素子としての再生出力はこの抵抗変化率の
大きさに、感度は飽和磁界の小ささに、それぞれ対応す
る。表3の結果から明らかなように本発明の磁気抵抗素
子(No.1〜5)は4%以上の抵抗変化率と良好な磁気
特性を有するものであり、従来の積層膜(No.6,7)
に比べ、抵抗変化率において優れている。特に、試料N
o.1,2,4は飽和磁界10エルステッド程度の良好な
磁界感度と抵抗変化率6から7%の高い出力を示してい
る。
【0150】(実施例7)本発明のMR膜を用いたMR
膜近傍の膜構成は図15に示す以外に図24に示すよう
に、反強磁性膜を使用したパターンド・エクスチェンジ
構造のバイアス方式も採用できる。すなわち、このバイ
アス方式は、永久磁石膜を使用せずにMR膜112の両
端を反強磁性膜113との交換結合磁界によってMR膜
112の磁化を固定する方式であり、反強磁性膜113
としては、ブロッキング温度が高く且つ交換結合磁界が
大きいNiMnやFeMn系合金膜が適している。感磁
部となるMR膜112の下にはAl23等からなるスペ
ーサ膜115が設けられている。また、MR膜112の
上のTa膜116上にはSAL膜117が設けられ、S
ALの磁化及び電流バイアスにより、MR膜112の出
力特性を適性にしている。SAL膜117の上には電極
膜114が設けられており、この電極膜114としては
AuやCuもしくはTaなどが適している。
【0151】(実施例8)図25は、実施例1の磁気抵
抗効果膜を用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッド1000の斜視
図であり、上記問題点を解決するに最も適した実施例を
示している。また、図26は、媒体対抗面、すなわち、
磁気記録媒体に対抗する面から見た断面図を示してい
る。
【0152】図25および図26の磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、ジルコニアなどのセラミックス製の基板50
上に下部シールド膜10と、下部シールド膜10の上に
形成される下部ギャップ膜20と、この下部ギャップ膜
20の上側に形成される酸化物反強磁性膜45と、酸化
物反強磁性膜45上に、少なくとも磁気抵抗効果膜40
の感磁部に配置される非磁性膜77と、非磁性膜77
と、非磁性膜77の配置されていない酸化物反強磁性膜
45の所定の領域を覆って形成される磁気抵抗効果膜4
0と、磁気抵抗効果膜40上に、磁気抵抗効果膜40の
磁気応答特性を高めるために配置されるシャント膜41
とソフト膜55と、このソフト膜55の上に形成される
信号検出電極42と、各膜を覆うように形成される上部
ギャップ膜70と、この上部ギャップ膜70の上側に形
成される上部シールド膜81を備えて形成される。尚、
図25および図26の磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは、
下部シールド膜10も、信号検出電極を兼ねている。
【0153】これらの構成要素のうち、本発明は、バル
クハウゼンノイズと呼ばれるノイズを防止する役割を果
たす磁区制御層に係るものであり、さらには磁区制御層
と磁気抵抗効果膜の層構成に係るものである。
【0154】図27に、磁気抵抗効果型磁気ヘッド10
00に備えてある磁区制御層100を模式的に説明する
ため、媒体対抗面から見た磁気抵抗効果膜40,非磁性
膜77,酸化物反強磁性膜45の拡大断面図を示した。
また、図27では、磁気抵抗効果膜40の感磁部に縦バ
イアス磁界が付与される過程を詳細に説明するため、磁
気抵抗効果膜40内の磁気モーメントの方向,酸化物反
強磁性膜内の磁気モーメントの方向を、それぞれ、矢印
401,451で示した。
【0155】図27の磁区制御層100に示すように、
酸化物反強磁性膜45は磁気抵抗効果膜40と、磁気抵
抗効果膜40の両端部で直接接している。したがって、
磁気抵抗効果膜40と酸化物反強磁性膜45は、この領
域で強磁性−反強磁性の磁気交換結合を形成する。たと
えば、酸化物反強磁性膜45のブロッキング温度以上に
加熱し、一方向に外部磁界を印加しながらブロッキング
温度以下に冷却される工程の中で、この磁気交換結合が
形成されると、酸化物反強磁性膜45内の磁気モーメン
トは矢印451の方向に固定され、磁気抵抗効果膜40
内の磁気モーメントは矢印401の方向に向けられる。
一般に、反強磁性体の磁気異方性は極めて強いため、ひ
とたび、反強磁性膜内の磁気モーメントの方向が固定さ
れると数十Oe程度の外部磁界によっては、反強磁性膜
内部の磁化は変化しない。したがって、酸化物反強磁性
膜45と磁気交換結合を形成している磁気抵抗効果膜4
0内の磁気モーメントは、矢印401で示した方向に強
く固定されることになる。磁気抵抗効果膜40両端部
で、磁気モーメントの方向が矢印401の方向に向けら
れると、酸化物反強磁性膜45と、直接、接していな
い、磁気抵抗効果膜40の感磁部の磁気モーメントも矢
印402で示した方向に強制的に向けられることにな
る。これにより、磁気抵抗効果膜40の感磁部をも強制
的に単一磁区状態に維持することが可能となる。
【0156】本発明では、少なくとも磁気抵抗効果膜4
0の感磁部に、磁気抵抗効果膜40と酸化物反強磁性膜
45の中間に、非磁性膜77を配置している。非磁性膜
77を配置しない場合、感磁部でも磁気抵抗効果膜40
と酸化物反強磁性膜45は磁気交換結合を形成する。こ
の場合、磁気抵抗効果膜40内の磁気モーメントは、磁
気交換結合が強すぎて磁気記録媒体からの磁気信号に応
じて自由に回転することができなくなり、磁気抵抗効果
型磁気ヘッドの再生感度を著しく小さくしてしまう。一
方、磁気抵抗効果膜40と酸化物反強磁性膜45の中間
に非磁性膜77を介在させた本発明では、この領域で
は、磁気抵抗効果膜40と酸化物反強磁性膜45の直接
的な磁気交換結合の形成を阻止することができる。この
ため、感磁部の磁気抵抗効果膜40内の磁気モーメント
の回転は比較的自由となり、磁気応答特性を高めた磁気
抵抗効果型磁気ヘッドが得られる。しかも、磁気抵抗効
果膜40両端部で、酸化物反強磁性膜45によって、磁
気抵抗効果膜40の感磁部には、感磁部を単一磁区状態
に維持する適度な縦バイアス磁界が付与されているので
バルクハウゼンノイズの抑止もできる。
【0157】酸化物反強磁性膜45としてNiOを選択
し、磁気抵抗効果膜40として代表的なNiFe合金膜
を選択し、NiO膜とNiFe合金膜を磁気交換結合さ
せた磁化曲線を示す。尚、NiOの膜厚は1000Å,
NiFe合金の膜厚は400Åである。容易軸励磁では
磁気交換結合が形成されていると、磁化曲線は一方向に
シフトした曲線となる。磁化曲線の原点のシフト量が結
合磁界の大きさ、すなわち、縦バイアス磁界の大きさで
ある。結合磁界の大きさは約20Oeである。また、磁
気交換結合の形成に伴い、結合磁界に相当する分だけ異
方性磁界が増加する。ここで、異方性磁界とは、困難軸
励磁で磁化曲線が飽和するのに要する磁界であり、磁気
モーメントの回転のし易さを示し、異方性磁界の大きさ
は約25Oeである。この異方性磁界の大きさは、再生
感度を高めるには大きすぎる。本発明では、この大きす
ぎる異方性磁界を低減するため、感磁部に非磁性膜77
を介在させてある。この構成では、磁気抵抗効果膜40
の感磁部に付与される縦バイアス磁界は数Oeにまで低
減され、磁気応答特性を充分高めるに充分な異方性磁界
の大きさを得ることができ、しかも、バルクハウゼンノ
イズは生じなかった。
【0158】次に、NiOの膜厚を変えたときのNiF
e合金膜との結合磁界の大きさは、NiO膜厚500Å
以上で一定となり、それ以下では劣化する。さらに、ブ
ロッキング温度のNiO膜厚依存性をみると、ブロッキ
ング温度はNiO膜厚500Å以上で一定となり、約2
00℃であり、それ以下では劣化する。NiO膜厚が薄
いとき磁気特性が劣化するのは、NiO膜の膜厚が薄い
場合、NiO膜はしっかりとした結晶構造を形成するこ
とが出来ず、NiO膜がしっかりとした反強磁性状態に
なっていないためと推定される。このため、NiFe合
金膜とNiO膜との間で、安定性よく磁気交換結合を形
成するには、NiO膜の膜厚を少なくとも500Å以上
必要とすることが明らかとなった。
【0159】このように、NiO膜が磁区制御層として
機能するためには、少なくとも500Å以上必要とする。
このため、磁気抵抗効果膜40下側に、両端部だけにN
iO膜を配置した構造では、NiO膜の配置されている
領域とNiO膜の配置されていない領域の境のところ
で、その上方に形成される磁気抵抗効果膜40に、段切
れが発生してしまう。磁気抵抗効果膜に段切れが生じて
いると、両端部で磁気抵抗効果膜40に付与された縦バ
イアス磁界を感磁部まで及ぼすことが出来ず、段切れし
た領域で縦バイアス磁界は途切れてしまう。しかし、本
発明では、図25および図26に示すように、酸化物反
強磁性膜は、磁気抵抗効果膜40感磁部の下側にも配置
され、その上方に非磁性膜77を形成し、機能的には結
果的に磁気抵抗効果膜40両端部に磁区制御層を配置し
た構造を持つ磁気抵抗効果型磁気ヘッドと同じにしてい
る。本発明の非磁性膜77は、極めて薄い膜で構成され
る。磁気交換結合は、強磁性膜と反強磁性膜の界面付近
での物理現象である。このため、感磁部で磁気交換結合
の形成を阻止するためには、強磁性膜と反強磁性膜の中
間に非磁性膜を少なくとも1層介在させればよい。非磁
性膜が連続膜であれば1原子層の厚さであっても直接的
な磁気交換結合の阻止は可能である。本発明では、非磁
性膜77はスパッタリング法により形成している。発明
者らの実験では、非磁性膜77を完全に連続膜にするに
は、非磁性膜77の膜厚は100Å程度の非常に薄い膜
でよかった。このように、本発明では、酸化物反強磁性
膜45上,磁気抵抗効果膜40の少なくとも感磁部に非
磁性膜77を介在させ、その上方に磁気抵抗効果膜40
を形成した場合、非磁性膜77の膜厚は非常に薄いので
磁気抵抗効果膜40に段切れが生じることはない。この
ため、磁気抵抗効果膜40の感磁部に、安定性よく磁気
応答特性を高めた適度な大きさの縦バイアス磁界を印加
することが可能となり、複数の磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ド間の特性のばらつきを抑えることができた。
【0160】さらに、非磁性膜77は必ずしも連続膜で
ある必要はない。多少の孔があいた不連続膜でも、感磁
部での酸化物反強磁性膜45と磁気抵抗効果膜40との
間の大きすぎる縦バイアス磁界を小さくすることが可能
である。さらに、飽和磁束密度の小さな膜を介在させて
も目的は達成できる。
【0161】非磁性膜77は、単一金属膜,合金膜,酸
化物膜のいずれの膜で構成してもよく、結晶質であって
も非晶質であってもよいが、合金膜が最も望ましい。
【0162】磁気抵抗効果型磁気ヘッド1000に示す
ように、磁気抵抗効果膜40の上側に、磁気応答特性を
高めるための磁気抵抗効果膜40に横バイアス磁界を印
加するためのシャント膜41,ソフト膜55が形成さ
れ、その上方に、信号検出電極42が形成される。ここ
で、シャント膜41は導電膜であり、シャント膜41に
電流が流れると、シャント膜41の周囲には、右ねじの
法則で定まる方向に磁界が生じる。その結果、磁気抵抗
効果膜40内の磁気モーメントは回転する。これによ
り、磁気抵抗効果膜40には横バイアス磁界が印加され
ることになる。また、ソフト膜55とは軟磁性膜であ
る。磁気抵抗効果膜40に電流が流れると磁気抵抗効果
膜40の周囲に右ねじの法則で定まる方向に磁界を生
じ、ソフト膜55内の磁気モーメントが回転すると静磁
エネルギを安定とするよう磁気抵抗効果膜40内の磁気
モーメントが回転する。これにより、磁気抵抗効果膜4
0に横バイアス磁界が印加されることになる。横バイア
ス磁界を印加するために、これらシャント膜41,ソフ
ト膜55のいずれの膜を用いてもよいが、これら、シャ
ント膜41,ソフト膜55を上記の構成で用いる場合、
磁気モーメントの回転方向は同じであるので同時に用い
てもよい。
【0163】さて、本発明では、磁気抵抗効果膜40の
下側感磁部に非磁性膜77を介在させている。非磁性膜
77が導電性の膜で構成される場合、この膜はシャント
膜41と同じ効果を磁気抵抗効果膜40に及ぼすことに
なる。この場合、シャント膜41とソフト膜55によっ
て付与される横バイアス磁界とは逆方向の横バイアス磁
界を磁気抵抗効果膜40に付与することになり、磁気抵
抗効果型磁気ヘッドの磁気応答特性を劣化させることに
なる。この劣化を防止するには、非磁性膜の膜厚を薄く
し、比抵抗を大きくするのがよい。本発明では、この劣
化を防止するために非磁性膜を合金膜で構成している。
合金化することにより、比抵抗を大きくできるからであ
る。
【0164】さらに、非磁性膜77は酸素拡散防止の重
大な役割も同時に果たすことができる。酸化物反強磁性
膜45と磁気抵抗効果膜40が直接接している場合、た
とえば製造工程の中で熱履歴を受けると酸化物反強磁性
膜45から磁気抵抗効果膜40に酸素が拡散する。磁気
抵抗効果膜40に酸素などの不純物が含まれていると、
磁気抵抗効果膜40の磁気抵抗変化率が劣化する。した
がって、少なくとも感磁部では、酸化物反強磁性膜45
から磁気抵抗効果膜40内への酸素侵入を防止しなけれ
ばならない。本発明の非磁性膜77の介在は、この酸素
侵入を効果的にブロックしているものと推定できる。磁
気抵抗効果膜40両端部で酸化物反強磁性膜45と直接
接している領域では、ある程度磁気抵抗効果膜40内に
酸素が侵入する。しかし、これらの酸素は、製造工程の
温度範囲では磁気抵抗効果膜40の感磁部にまで酸素は
拡散しないと考えられ、磁気抵抗効果膜40両端部での
酸素侵入はあまり問題にならないと考えられる。
【0165】さらに、非磁性膜77と、磁気抵抗効果膜
40および酸化物反強磁性膜45との接触面積を増減す
ることにより、磁気抵抗効果膜40の感磁部に付与され
る縦バイアスの大きさを調節することが可能である。本
発明では、磁気抵抗効果膜40両端部で、磁気抵抗効果
膜40と酸化物反強磁性膜45が、直接、接した層構造
を所有しており、この領域で磁気抵抗効果膜40に強い
縦バイアス磁界を付与している。このような層構成で
は、感磁部に印加される実効的な縦バイアス磁界の大き
さは、磁気抵抗効果膜40と酸化物反強磁性膜45が、
直接、接している端部から感磁部までの距離により変化
し、この距離が短くなるにつれて実効的な縦バイアス磁
界の大きさは大きくなる。したがって、磁気抵抗効果型
磁気ヘッドの磁気応答特性を充分に高めるべく、縦バイ
アス磁界の大きさをバルクハウゼンノイズの低減できる
範囲で小さくし、最適値を定めるにはこの距離を適度な
長さに選定しなければならない。磁気抵抗効果膜40と
酸化物反強磁性膜45が、直接、接している端部から感
磁部までの距離の最適値は、磁気抵抗効果型磁気ヘッド
構造や磁気抵抗効果膜40のアスペクト比,膜厚などに
より異なるので、種々の実験により、その都度、最適値
を選ばなければならない。本発明では、この距離を非磁
性膜77の長手方向の長さを変えることにより調節して
いる。非磁性膜77の長さが短くなるにつれ、磁気抵抗
効果膜40と酸化物反強磁性膜45が、直接、接してい
る端部から感磁部までの距離は短くなる。これにより、
感磁部に付与される縦バイアスの大きさを自由に調節す
ることが可能となる。本手法によれば、非磁性膜77の
長手方向の長さを変えるだけで縦バイアス磁界の大きさ
を簡単に調節できるので、バルクハウゼンノイズの低減
できる範囲で、磁気応答特性を充分に高めた磁気抵抗効
果型磁気ヘッドを容易に得られるという利点がある。
【0166】次に、非磁性膜77の材質について述べ
る。上述したように非磁性膜は、酸化物膜より金属膜の
方が望ましい。金属膜は下記より選ばれる材料で構成さ
れる。すなわち、Al,Ti,Cr,Cu,Zr,N
b,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,In,S
n,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Auのいずれ
かより選ばれる金属膜で構成すればよい。
【0167】さらに、金属膜を2種以上組み合わせて合
金膜としてもよい。この場合、非磁性膜77の比抵抗を
高めることができる。
【0168】さらに、上記元素のうちCrを除く1種以
上の元素を主成分とし、これに少量のCrを添加して非
磁性膜77を構成することにより非磁性膜77の耐食
性、および耐腐食性を飛躍的に向上できる。
【0169】さらに、F.C.C. の結晶構造を持つC
u,Rh,Pd,Ag,Ir,Pt,Auなど、あるい
は、これらの元素を主成分とし、これ以外の上記元素を
1種以上少量添加して構成した金属膜、あるいは、合金
膜で非磁性膜77を構成することにより磁気抵抗効果膜
40の磁気特性を改善することが可能である。磁気抵抗
効果膜40は、通常NiFe合金膜,NiCo合金膜な
どで構成され、これらの膜はF.C.C.の結晶構造をし
ている。したがって、非磁性膜77がF.C.C.の結晶
構造を所有する場合、磁気抵抗効果膜40は、非磁性膜
77の上にエピタキシャル成長することができる。磁気
抵抗効果膜40がエピタキシャル成長すると磁気抵抗効
果膜40の磁気特性が向上するからである。
【0170】さらに、非磁性膜77をFe,Co,Ni
などの磁性元素を主成分とし、これに非磁性になるまで
非磁性元素を添加して、非磁性膜77を構成してもよ
い。
【0171】次に、本発明に磁気抵抗効果型磁気ヘッド
1000の製造方法について説明する。まず最初に、非
磁性基板101の上側に記録媒体からのノイズとなる不
要な信号を吸収するために設けられる下部シールド膜1
0がスパッタリング法等の手法により形成される。次
に、下部シールド膜10の上に、下部ギャップ膜20と
するアルミナなどの絶縁膜を同様の手法により形成す
る。次に、下部ギャップ膜20上に酸化物反強磁性膜4
5を同様の手法により形成する。そして、この下部シー
ルド膜10と下部ギャップ膜20と酸化物反強磁性膜4
5を所定の形状に加工する。ここで、下部シールド膜1
0の端部は、図1に示すように、基板面に対して傾斜す
るように加工する。これは、下部シールド膜10の端部
で断線するのを防止するためである。次に、酸化物反強
磁性膜45の上に、磁気抵抗効果膜40の少なくとも感
磁部に非磁性膜77が配置されるようレジストフレーム
が形成される。そして、この上方にスパッタリング法な
どの手法により非磁性膜77が形成される。非磁性膜7
7を形成後、有機溶剤などを用いて、レジストフレーム
を除去すると、非磁性膜77が磁気抵抗効果膜40の感
磁部の所定の位置に配置される。非磁性膜77の上方
と、非磁性膜77の配置されていない酸化物反強磁性膜
45の所定の位置に磁気抵抗効果膜40が同じくスパッ
タリング法の手法により形成され、磁気抵抗効果膜40
の上方に、シャント膜41とソフト膜55が同様の手法
により形成され、これらの膜をフォトリソグラフィなど
の技術を用い所定の形状に加工した後、ソフト膜55の
上方に信号検出用電極42を形成し、所定の形状に加工
した後、上部ギャップ膜70,上部シールド膜80を形
成,加工をして磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造を完了
する。
【0172】酸化物反強磁性膜45は、酸化物反強磁性
膜45を形成後、下部ギャップ膜20と同じ形状に加工
して配置したが酸化物反強磁性膜45を磁気抵抗効果膜
40加工時に磁気抵抗効果40と同じ形状に加工しても
よい。
【0173】さらに、酸化物反強磁性膜は、磁気抵抗効
果膜40より大きな長さと幅を所有する構造とすれば、
いかなる形状に加工してもよい。
【0174】磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、たとえば上
方に、記録ヘッドとして機能する従来の電磁誘導型の薄
膜磁気ヘッドを形成し、記録再生分離型薄膜磁気ヘッド
を構成し、たとえば大型コンピュータ用外部磁気記憶装
置に搭載して使用される。従来技術、たとえば米国特許
第4103315 号では、感磁部も磁気抵抗効果膜40と酸化
物反強磁性膜45との間で直接磁気交換結合を形成した
配置にしている。このため、バルクハウゼンノイズは低
減できるものの再生感度が低下し、S/N比が低下し
た。しかし、本発明では、バルクハウゼンノイズを低減
できる範囲で磁気抵抗効果膜40に付与される縦バイア
ス磁界を極力小さくしている。すなわち、Nを小さく
し、Sを極力大きくする層構成にしている。このため、
本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは大きなS/N比
を確保でき、これにより、従来では実現できなかった面
記録密度200Mb/in2 以上を有する大容量磁気デ
ィスク装置の製造が可能になる。
【0175】さらに、本発明に係る磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、シールド膜を備えて構成しているが、ノンシ
ールド型磁気抵抗効果型磁気ヘッド,ヨークタイプ磁気
抵抗効果型磁気ヘッド、さらに強磁性膜の磁気抵抗効果
を利用した磁気センサにも適用は可能である。
【0176】さらに、本発明では、磁区制御用の材料と
して酸化物反強磁性膜45を用いているが、磁気ディス
ク装置内の湿度を低減するなど、周囲環境を改善するこ
とにより、FeMn系合金膜を用いて、この構成の磁区
制御層を構成することによっても第1の目的は達成でき
ると推定される。さらに、CoPt合金膜など永久磁石
を磁区制御用の材料に用いてもよい。
【0177】(実施例9)図27は本発明の磁気抵抗効
果型磁気ヘッド及び誘導型磁気ヘッドを搭載した磁気記
録再生装置の構成図である。記録媒体95を両面に有す
る記録媒体91をスピンドルモータ93にて回転させ、
アクチュエイター92によってヘッドスライダー90を
記録媒体95のトラック上に誘導する。ただし記録媒体
91は必ずしもディスク両面に磁性膜を有する必要はな
い。磁性膜がディスク片面のみの場合ヘッドスライダー
90は記録媒体の片面にのみ配置する。
【0178】即ち磁気ディスク装置においてはヘッドス
ライダー90上に形成した再生ヘッド、及び記録ヘッド
がこの機構によって記録媒体95上の所定の記録位置に
近接して相対運動し、信号を順次書き込み、及び読み取
るのである。記録信号は信号処理系94を通じて記録ヘ
ッドにて媒体上に記録し、再生ヘッドの出力を信号処理
系94を経て信号として得る。さらに再生ヘッドを所望
の記録トラック上へ移動せしめるに際して、本再生ヘッ
ドからの高感度な出力を用いてトラック上の位置を検出
し、アクチュエイターを制御して、ヘッドスライダーの
位置決めを行うことができる。
【0179】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
膜厚が5〜20nmの異方性磁気抵抗効果膜の比抵抗変
化量を0.6μΩcm 以上、磁歪定数の絶対値を10×1
0~7以下の特性を有する、NiFeもしくはCoNiF
e系合金膜で構成された磁気ヘッドを得ることができ
る。
【0180】本発明によれば、永久磁石膜を磁気抵抗効
果素子の両端部に形成することにより電気磁気変換特性
が安定し、バルクハウゼンノイズ及び波動変動が小さく
できるものである。また、本発明によれば再生出力が大
きく、高記録密度の磁気記録再生装置が達成できる。
【0181】そして、その磁気ヘッドを磁気記録再生装
置に搭載することにより、高出力・高感度かつ低ノイズ
の磁気記録再生装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁歪定数の添加元素(Ti,V,Cr,Mn)
濃度に対する依存性を示した図である。
【図2】比抵抗変化量の添加元素(Ti,V,Cr,M
n)濃度に対する依存性を示した図である。
【図3】比抵抗の添加元素(Ti,V,Cr,Mn)濃
度に対する依存性を示した図である。
【図4】飽和磁束密度の添加元素(Ti,V,Cr,M
n)濃度に対する依存性を示した図である。
【図5】(111)回折ピークの相対強度の、添加元素
(Ti,V,Cr,Mn)濃度に対する依存性を示した
図である。
【図6】異方性磁界の熱処理温度に対する依存性を示し
た図である。
【図7】比抵抗変化量の熱処理温度に対する依存性を示
した図である。
【図8】比抵抗変化量の添加元素(Pt,Au,Pd)
濃度に対する依存性を示した図である。
【図9】比抵抗の添加元素(Pt,Au,Pd)濃度に
対する依存性を示した図である。
【図10】(111)回折ピークの相対強度の、Pt濃
度に対する依存性を示した図である。
【図11】格子定数のPt濃度に対する依存性を示した
図である。
【図12】磁歪定数のPt濃度に対する依存性を示した
図である。
【図13】比抵抗変化量の膜厚に対する依存性を示した
図である。
【図14】記録再生分離ヘッドの構造図である。
【図15】磁気抵抗効果膜付近のハードバイアス型MR
ヘッドの断面図である。
【図16】相対出力の電流密度に対する依存性を示した
図である。
【図17】磁歪定数とノイズとの関係を示した図であ
る。
【図18】MR膜の比抵抗と相対出力との関係を示した
図である。
【図19】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの斜視
図。
【図20】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの斜視
図。
【図21】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの部分断
面図。
【図22】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの斜視
図。
【図23】磁気抵抗効果素子多層膜に磁気異方性制御を
説明する図。
【図24】反強磁性膜を用いた(パターンドエクスチェ
ンジ構造)MRヘッドの断面図。
【図25】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの斜視
図。
【図26】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの媒体面
側から見た断面図。
【図27】本発明の磁区制御層の機能を示す断面図。
【図28】本発明に係る磁気記録再生装置の構成図。
【符号の説明】
1…SAL、2,106…分離膜、3,105,112
…MR膜、4…横バイアス磁界、5…テーパ、6…縦バ
イアス磁界、7,110…永久磁石膜、8,111,1
14…電極膜、9…下部ギャップ膜、10,82…下部
シールド膜、11…絶縁膜、12,50…基板、13…
反強磁性層、16…非磁性金属膜、20…下部ギャップ
膜、26…非磁性導電膜、40…磁気抵抗効果膜、41
…シャント膜、42…信号検出電極、45…酸化物反強
磁性膜、55…ソフト膜、60…磁気抵抗効果素子、7
0…上部ギャップ膜、77…非磁性膜、81…上部シー
ルド膜、83…上部磁性膜、84…下部磁性膜、85…
コイル導体、90…ヘッドスライダー、91…記録媒
体、92…アクチュエイター、93…スピンドルモータ
ー、94…信号処理回路系、104…下地膜、107,
117…ソフトバイアス(SAL)膜、113…反強磁
性膜、115…スペーサ膜、116…Ta膜。
フロントページの続き (72)発明者 荒井 礼子 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 府山 盛明 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 田所 茂 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁界の変化によって電気抵抗が変化する磁
    気抵抗効果膜を有し、該磁気抵抗効果膜が重量で、Ni
    65〜90%,Co5〜30%,Fe5〜30%及びT
    i,V,Cr,Mnの少なくとも1種0.1〜10% を
    含むことを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】磁界の変化によって電気抵抗が変化する磁
    気抵抗効果膜を有し、該磁気抵抗効果膜が重量で、Ni
    60〜85%,Fe15〜40%及びPt,Au,Pd
    の少なくとも1種1〜20%を含むことを特徴とする磁
    気抵抗効果型磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記磁気抵抗効
    果膜が基板に平行に(111)面が優先成長しているこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記磁気抵抗効果膜は
    下地膜がTa膜又はZr膜からなることを特徴とする磁
    気抵抗効果型磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】磁界の変化によって電気抵抗が変化する磁
    気抵抗効果膜を有し、該磁気抵抗効果膜は、磁歪定数の
    絶対値が1×10~6以下及び異方性磁気抵抗効果の比抵
    抗変化量が0.6μΩcm 以上の特性と、異方性磁界が1
    5Oe以下,比抵抗が50μΩcm以下,飽和磁束密度が
    1.0T 以下及び抵抗変化率が2.5% 以上の少なくと
    も1つの特性とを有することを特徴とする磁気抵抗効果
    型磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】磁界の変化によって電気抵抗が変化する磁
    気抵抗効果膜,磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加
    する横バイアス膜及び前記磁気抵抗効果膜と横バイアス
    膜との間に設けられた分離膜を有する磁気抵抗効果素子
    膜からなり、該磁気抵抗効果素子膜の両端部に接して設
    けられた前記磁気抵抗効果膜に縦バイアスを印加する一
    対の永久磁石膜及び前記磁気抵抗効果膜に信号検出電流
    を流す前記永久磁石膜上に設けられた一対の電極膜を有
    し、前記磁気抵抗効果膜が重量で、Ni60〜85%,
    Fe15〜40%及びPt,Au,Pdの少なくとも1
    種1〜20%を含む合金又はNi65〜90%,Co5
    〜30%,Fe5〜30%及びTi,V,Cr,Mnの
    少なくとも1種0.1〜10% を含む合金からなること
    を特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】磁界の変化によって電気抵抗が変化する磁
    気抵抗効果膜,磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加
    する横バイアス膜及び前記磁気抵抗効果膜と横バイアス
    膜との間に設けられた分離膜を有する磁気抵抗効果素子
    膜からなり、該磁気抵抗効果素子膜の両端部に接して設
    けられた前記磁気抵抗効果膜に縦バイアスを印加する一
    対の永久磁石膜及び前記磁気抵抗効果膜に信号検出電流
    を流す前記永久磁石膜上に設けられた一対の電極膜を有
    し、磁気抵抗効果膜は、磁歪定数の絶対値が1×10~6
    以下及び異方性磁気抵抗効果の比抵抗変化量が0.6μ
    Ωcm 以上の特性と、異方性磁界が15Oe以下,比抵
    抗が50μΩcm以下,飽和磁束密度が1.0T以下及び抵
    抗変化率が2.5% 以上の少なくとも1つの特性とを有
    することを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】請求項6又は7において、前記永久磁石膜
    がCo−Pt合金,Co−Cr−Pt合金、又はこれら
    の合金にTi酸化物,V酸化物,Zr酸化物,Nb酸化
    物,Mo酸化物,Hf酸化物,Ta酸化物,W酸化物,
    Al酸化物,Si酸化物,Cr酸化物の内の少なくとも
    一元素を含む合金のいずれかからなる磁気抵抗効果型磁
    気ヘッド。
  9. 【請求項9】請求項6〜8のいずれかにおいて、前記永
    久磁石膜が(数1)又は(数2)の組成からなることを
    特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。 【数1】 CoaCrbPtc又は …(数1) 【数2】 (CoaCrbPtc)1-x(MOy)x …(数2) (但し、x=0.01〜0.20,y:0.4 〜3,a:
    0.7〜0.9,b:0〜0.15,C:0.03〜0.1
    5,M:Ti,V,Zr,Mo,Hf,Ta,W,A
    l,Si及びCrの少なくとも1つ)
  10. 【請求項10】請求項6〜9のいずれかにおいて、前記
    磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加するための軟磁
    性膜が、ニッケル−鉄合金,コバルト,ニッケル−鉄−
    コバルト合金の1種と、酸化ジルコニウム,酸化アルミ
    ニウム,酸化ハフニウム,酸化チタン,酸化ベリリウ
    ム,酸化マグネシウム,希土類酸素化合物,窒化ジルコ
    ニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニウム,窒化チタ
    ン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウム,窒化シリコ
    ン、及び希土類窒素化合物の内から選択された1種以上
    の化合物とからなることを特徴とする磁気抵抗効果型磁
    気ヘッド。
  11. 【請求項11】請求項10において、前記磁気抵抗効果
    膜に横バイアス磁界を印加するための軟磁性薄膜の比抵
    抗が、70μΩcm以上である磁気抵抗効果型磁気ヘッ
    ド。
  12. 【請求項12】請求項10又は11において、前記横バ
    イアス膜がニッケルを78〜84原子%を有するニッケ
    ル−鉄系合金よりなる磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】請求項1〜5のいずれかにおいて、基板
    上に設けられた一対の永久磁石膜と、該永久磁石膜上の
    各々に形成された一対の電極と、前記永久磁石間に接し
    て設けられた磁気抵抗効果膜とを有する磁気抵抗効果型
    磁気ヘッドであって、前記磁気抵抗効果膜は前記基板側
    より酸化ニッケルよりなる反強磁性膜,2層の強磁性
    膜,非磁性金属膜及び軟磁性膜が順次形成されているこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】請求項13において、前記2層の強磁性
    膜は前記基板側からNi70〜95原子%を含む鉄合金
    層とCo層及び前記軟磁性膜が前記鉄合金層又は前記基
    体側からCo層と前記鉄合金層とからなる磁気抵抗効果
    型磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】請求項1〜5のいずれかにおいて、基板
    上に設けられた一対の永久磁石膜と、該永久磁石膜上の
    各々に形成された一対の電極と、前記永久磁石間に接し
    て設けられた磁気抵抗効果膜とを有する磁気抵抗効果型
    磁気ヘッドであって、前記基板側より反強磁性膜,強磁
    性膜,非磁性膜,軟磁性膜,非磁性膜,強磁性膜、及び
    反強磁性膜が順次積層されていることを特徴とする磁気
    抵抗効果型磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】前記反強磁性膜が酸化ニッケルであり、
    前記基板側の強磁性膜がNi70〜95原子%を含む鉄
    合金層とCo層、前記軟磁性膜が前記鉄合金層及び後者
    の強磁性膜が前記基体側よりCo層と前記鉄合金層とか
    らなる請求項15記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  17. 【請求項17】前記強磁性膜が、Ni70〜95原子
    %,Fe5〜30原子%及びCo1〜5原子%の合金、
    又は、Co30〜85原子%,Ni2〜30原子%及び
    Fe2〜50原子%の合金である請求項15記載の磁気
    抵抗効果型磁気ヘッド。
  18. 【請求項18】前記非磁性導電膜が、Au,Ag,Cu
    の何れか1つである請求項15記載の磁気抵抗効果型磁
    気ヘッド。
  19. 【請求項19】磁気抵抗効果を用いて磁気的信号を電気
    的信号に変換する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果
    膜に信号検出電流を流すための一対の電極と、前記磁気
    抵抗効果膜の下側に配置された酸化物反強磁性膜を有す
    る磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、前記磁気抵抗効
    果膜と前記酸化物反強磁性膜の中間の、少なくとも前記
    磁気抵抗効果膜の感磁部に非磁性膜を少なくとも1層含
    み前記磁気抵抗効果膜が重量で、Ni60〜85%,F
    e15〜40%及びPt,Au,Pdの少なくとも1種
    1〜20%を含む合金又はNi65〜90%,Co5〜
    30%,Fe5〜30%及びTi,V,Cr,Mnの少
    なくとも1種0.1〜10% を含む合金からなることを
    特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  20. 【請求項20】磁気抵抗効果を用いて磁気的信号を電気
    的信号に変換する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果
    膜に信号検出電流を流すための一対の電極と、前記磁気
    抵抗効果膜の下側に配置された酸化物反強磁性膜を有す
    る磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、前記磁気抵抗効
    果膜と前記酸化物反強磁性膜の中間の、少なくとも前記
    磁気抵抗効果膜の感磁部に非磁性膜を少なくとも1層含
    み前記磁気抵抗効果膜は、磁歪定数の絶対値が1×10
    ~6以下及び異方性磁気抵抗効果の比抵抗変化量が0.6
    μΩcm 以上の特性と、異方性磁界が15Oe以下,比
    抵抗が50μΩcm以下,飽和磁束密度が1.0T以下及
    び抵抗変化率が2.5%以上の少なくとも1つの特性と
    を有することを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  21. 【請求項21】請求項20又は21において、前記感磁
    部に付与される縦バイアス磁界を、前記非磁性膜と、前
    記磁気抵抗効果膜および前記酸化物反強磁性膜との接触
    面積を変える磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  22. 【請求項22】磁界の変化によって電気抵抗が変化する
    磁気抵抗効果膜を有し、その磁気抵抗効果膜は、磁歪定
    数の絶対値が1×10~6以下で、飽和磁束密度(Bs
    (T))と抵抗変化率(Δρ/ρ0(%))の逆数の積
    が0.40以下であることを特徴とする磁気抵抗効果型
    磁気ヘッド。
  23. 【請求項23】磁界の変化によって電気抵抗が変化する
    磁気抵抗効果膜を有し、その磁気抵抗効果膜は、磁歪定
    数の絶対値が1×10~6以下で、同一条件における再生
    出力がNi81Fe19合金膜よりも大きいことを特徴とす
    る磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  24. 【請求項24】一定の回転数で回転し情報が磁気的に記
    録される磁気ディスクと、前記磁気ディスクに対して情
    報の書き込みを行う誘導型磁気ヘッド及び読み出しを行
    う磁気抵抗効果型磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装
    置において、 前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、請求項1〜23のい
    ずれかに記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッドが搭載されて
    いることを特徴とする磁気記録再生装置。
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