JP3967040B2 - 多連のチップ型抵抗器の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,耐熱材にてチップ型に構成した絶縁基板の表面に,複数本の抵抗膜と,この各抵抗膜の各々における両端に対する端子用の上面電極とを形成して成る多連のチップ型抵抗器において,その構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,この種のチップ型抵抗器は,例えば,特開昭60−27104号公報等に記載されているように,チップ型の絶縁基板の表面に形成した抵抗膜を覆うカバーコートが,前記抵抗膜の両端に対する端子用の上面電極より可成り突出し,カバーコートの上面と端子電極の上面との間の段差が大きいという構成であったから,このチップ型抵抗器を,真空吸着式のコレットにて吸着するときに吸着ミス又は落下することが多発するとか,或いは,このチップ型抵抗器を,プリント基板等に対して,その抵抗膜を下向きにして半田付けにて実装するときに,片側が浮き上がり半田付けできない等の問題があった。
【0003】
また,前記従来のチップ型抵抗器では,抵抗膜の両端に対する端子用の上面電極を,銀粉末にガラスフリット及び溶剤を混合して成る銀ペーストを塗布・焼成することによって形成しているが,この銀による上面電極には,大気空気に起因する酸化腐食又は硫化腐食等の腐食による断線が発生するという問題もあった。
【0004】
そこで,先行技術としての特開平4−102302号公報は,前記抵抗膜の両端に対する端子用の銀による上面電極の上面に,これを覆うように補助上面電極を形成することにより,カバーコートとの間における段差をこの補助上面電極にて無くするか小さくして,真空吸着に際してのミス及び落下の発生,片側の浮き上がりを防止することを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,先行技術では,両上面電極の上面における補助上面電極を,上面電極と同じように,銀粉末ガラスフリット及び溶剤を混合して成る銀ペーストを塗布・焼成することによって形成しているから,この銀による補助上面電極に,大気空気に起因する酸化腐食又は硫化腐食等の腐食が発生して,上面電極は断線しないまでも,その酸化物又は硫化物等の腐食物が横に流れでることになるから,特に,一つの絶縁基板に複数個の抵抗膜を形成した多連のチップ型抵抗器において,隣接の抵抗膜との間にショートが発生するという問題があった。
【0006】
本発明は,この問題を解消することを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明は,
「チップ型に構成した絶縁基板の上面に,複数本の抵抗膜を並列に並べて形成するとともに,この各抵抗膜の各々における両端に対する端子用の銀ペーストによる上面電極を形成,更に,前記絶縁基板の上面に,前記各抵抗膜を覆うカバーコートを形成する一方,前記各上面電極の各々における表面に,これを覆う補助上面電極を,当該補助上面電極の一部が前記カバーコートの端部に重なるように形成して成る多連のチップ型抵抗器において,
前記補助上面電極を,硼化二ニッケル又は硼化一ニッケルの粉末にガラスフリット及び溶剤を混合して成る硼化ニッケルペーストにて形成する。」
という構成にした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を,図1及び図2の図面について説明する。
【0009】
この図において,符号1は,セラミック等の耐熱絶縁材料にてチップ型に構成した絶縁基板を示し,この絶縁基板1の上面には,二本の抵抗膜2が並列に並べて形成されていると共に,この両抵抗膜2の各々における両端に対する端子用の上面電極3,4とが形成されている。なお,この各上面電極3,4は,銀粉末にガラスフリット及び溶剤を混合して成る銀ペーストを塗布・焼成することによって形成される。
【0010】
更に,前記絶縁基板1の上面には,前記両抵抗膜2の全体を覆うカバーコート5が形成されている。なお,このカバーコート5は,抵抗膜2を直接覆うガラスによるアンダーコート5aと,このアンダーコート5aを覆うガラスによるミドルコート5bと,このミドルコート5bを覆うオーバーコート5cとの三層構造である。
【0011】
そして,前記各上面電極3,4の各々における上面に,これを覆う補助上面電極6,7を,当該補助上面電極6,7の一部が前記カバーコート5の端部に重なるように形成するにおいて,この各補助上面電極6,7を,硼化二ニッケル(Ni2 B)又は硼化一ニッケル(NiB)の粉末にガラスフリット及び溶剤を混合して成る硼化ニッケルペーストを塗布・焼成することによって形成する。
【0012】
なお,前記絶縁基板1における左右両端面には,前記上面電極3,4と同じ銀ペーストによる側面電極8,9が,また,前記絶縁基板1における下面は,前記上面電極3,4と同じ銀ペーストによる下面電極10,11が前記各上面電極3,4の各々に電気的に接続するように形成され,しかも,前記補助上面電極6,7,側面電極8,9及び下面電極10,11の表面には,下地としてのニッケルメッキ層と半田メッキ層又は錫メッキ層とから成る金属メッキ層12,13が形成されている。
【0013】
ところで,前記各補助上面電極6,7は,ガラスによるカバーコート5に一体化されていないことにより,この補助上面電極6,7とカバーコート5との間に大気空気が侵入するから,この補助上面電極6,7が銀ペーストにて形成されている場合には,この銀製の補助上面電極6,7に酸化腐食又は硫化腐食等の腐食が発生し,その酸化物又は硫化物等の腐食物がカバーコート5に沿って横に流れでることになるから,隣接の抵抗膜2との間にショートが発生する。
【0014】
また,前記各補助上面電極6,7を,ニッケルの粉末にガラスフリット及び溶剤を混合して成るニッケルペーストを塗布・焼成した場合にも,このニッケル製の補助上面電極6,7に大気空気に起因する酸化腐食又は硫化腐食等の腐食が発生し,その酸化物又は硫化物等の腐食物がカバーコート5に沿って横に流れでることになるから,前記と同様の問題が発生する。
【0015】
これに対して,各補助上面電極6,7を,前記したように,硼化二ニッケル(Ni2 B)又は硼化一ニッケル(NiB)の粉末にガラスフリット及び溶剤を混合して成る硼化ニッケルペーストを塗布・焼成することによって形成した場合には,硼素がニッケルの酸化又は硫化を防止することにより,この補助上面電極6,7を,耐酸化性又は耐硫化性の高いものにすることができる。
【0016】
【発明の効果】
従って,本発明によると,多連のチップ型抵抗器において,その各抵抗膜の各々における両端に対する各上面電極に重ねて補助上面電極を形成することによって,真空吸着式のコレットにて吸着するときにおける吸着ミス又は落下を防止するとともに,プリント基板等に半田付け実装するときにおける片側の浮き上がりを防止するように構成する場合に,前記各上面電極に重ねて形成した補助上面電極に起因して,各抵抗膜の間にショートが発生することを確実に低減できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態により多連のチップ型抵抗器を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II視拡大断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 抵抗膜
3,4 上面電極
5 カバーコート
6,7 補助上面電極
8,9 側面電極
10,11 下面電極
12,13 金属メッキ層
Claims (1)
- チップ型に構成した絶縁基板の上面に,複数本の抵抗膜を並列に並べて形成するとともに,この各抵抗膜の各々における両端に対する端子用の銀ペーストによる上面電極を形成,更に,前記絶縁基板の上面に,前記各抵抗膜を覆うカバーコートを形成する一方,前記各上面電極の各々における表面に,これを覆う補助上面電極を,当該補助上面電極の一部が前記カバーコートの端部に重なるように形成して成る多連のチップ型抵抗器において,
前記補助上面電極を,硼化二ニッケル又は硼化一ニッケルの粉末にガラスフリット及び溶剤を混合して成る硼化ニッケルペーストにて形成したことを特徴とする多連のチップ型抵抗器の構造。
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