JP3963466B2 - 非水電解質二次電池とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池とその製造方法とに関する。
近年、非水電解質二次電池の負極活物質として、Si(ケイ素)やSn(スズ)などの元素を含む合金系負極材料が注目されている。SiやSnなど、ある種の金属元素は、Li(リチウム)を可逆的かつ電気化学的に吸蔵および放出することができる。また、従来、負極活物質として一般的である黒鉛などの炭素材料に比べて、負極容量を増大できる可能性がある。例えば、Siの理論放電容量は約4199mAh/gであり、黒鉛の理論放電容量の約11倍である。
しかしながら、これら合金系負極材料は、Liを吸蔵する際に、Li−SiやLi−Snなどの合金を形成してその結晶構造が変化するため、大きく膨張する傾向にある。黒鉛を負極活物質に用いた場合、Liは黒鉛の層間に挿入される(インターカレーション反応)ため、Li吸蔵前後の体積の膨張は約1.1倍程度である。これに対して、例えば、Siが最大限にLiを吸蔵した場合、理論上、吸蔵前に比べて体積は約4倍になる。Liの吸蔵に伴って負極活物質が大きく膨張すると、活物質粒子が割れたり、集電体から活物質層が剥がれたりすることによって、負極の導電性が低下する可能性がある。負極の導電性が低下すると、充放電サイクル特性などの電池特性が低下する。
例えば、活物質層の剥がれを抑制するために、活物質層に含まれる結着剤(バインダー)の割合を増加させることが考えられるが、結着剤自体は充放電反応には寄与しないため、負極容量が低下する可能性がある。
また、負極の導電性の低下を抑制するために、銅箔または銅合金箔を集電体として用い、Siを含む活物質粒子と、銅または銅合金などの導電性金属粉末との混合体を、上記集電体の表面上で非酸化性雰囲気において焼結して得られる負極が、特許文献1などに提案されている。
特開2002−260637号公報
しかしながら、特開2002−260637号公報に開示されている負極では、製造時の焼結工程によって、Liと電気化学的に反応しないCu−Si化合物が生成し、負極容量が低下する可能性がある。また、上記公報に開示されている技術では、高温下の焼結が必須であり、集電体に用いる銅(Cu)が溶解あるいは硬化する可能性がある。このような現象が発生すると、集電体としての柔軟性が失われることになり、電池の構成が困難になる可能性が考えられる。
このような状況に鑑み、本発明は、充放電サイクル特性に優れる非水電解質二次電池、より具体的には、例えば、充放電サイクルに伴う負極の導電性の低下が抑制された非水電解質二次電池と、その製造方法とを提供することを目的とする。
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含み、
前記負極は、集電体と、前記集電体の表面に配置された活物質粒子とを含み、
前記集電体は、95質量%以上の含有率でCuを含み、
前記活物質粒子は、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rと、Siと、Ti、Cu、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素である遷移金属元素Mとを含み、かつ、組成式MSi 2 で示される金属間化合物からなる第1の相と、非結晶質のSiからなる第2の相とを含み、
前記第1の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、
前記第2の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、
前記活物質粒子の一部と前記集電体との間に、前記元素Rを含む金属結合が形成されており、
前記活物質粒子の粒径をDとしたとき、前記元素Rのうち90原子%以上が前記活物質粒子の表面から深さ0.1Dまでの範囲に存在する。
次に本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含む非水電解質二次電池の製造方法であって、
(i)Siと、Ti、Cu、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素である遷移金属元素Mとを含み、かつ、組成式MSi 2 で示される金属間化合物からなる第1の相と、非結晶質のSiからなる第2の相とを含み、前記第1の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、前記第2の相における結晶子の平均直径が50nm以下である活物質粒子表面にSn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rを付着させ、この活物質粒子を含むスラリーを、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体の表面に塗布して乾燥させることによって、第1のシートを形成する工程と、
(ii)非酸化性雰囲気中において、80℃〜350℃の範囲の温度で前記第1のシートを熱処理することによって、前記活物質粒子の一部と前記集電体との間に前記元素Rを含む金属結合が形成され、かつ前記活物質粒子の粒径をDとしたとき、前記元素Rのうち90原子%以上が前記活物質粒子の表面から深さ0.1Dまでの範囲に存在する負極を形成する工程とを含む。
また、本発明の別の非水電解質二次電池の製造方法は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含む非水電解質二次電池の製造方法であって、
(I)95質量%以上の含有率でCuを含む集電体の表面に、Siと、Ti、Cu、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素である遷移金属元素Mとを含み、かつ、組成式MSi 2 で示される金属間化合物からなる第1の相と、非結晶質のSiから
なる第2の相とを含み、前記第1の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、前記第2の相における結晶子の平均直径が50nm以下である活物質粒子を含むスラリーを塗布して乾燥させることによって、第1のシートを形成する工程と、
(II)前記活物質粒子の表面に、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rを含む膜を形成して第2のシートを形成する工程と、
(III)非酸化性雰囲気中において、80℃〜350℃の範囲の温度で前記第2のシー
トを熱処理することによって、前記活物質粒子の一部と前記集電体との間に前記元素Rを含む金属結合が形成された負極を形成する工程とを含むことを特徴とする
本発明によれば、充放電サイクル特性に優れる非水電解質二次電池、より具体的には、例えば、充放電サイクルに伴う負極の導電性の低下が抑制された非水電解質二次電池と、その製造方法とを提供できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態の説明において、同一の部材には同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
最初に、本発明の非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」あるいは「電池」ともいう)について説明する。
本発明の二次電池は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含んでおり、負極に特徴がある。なお、リチウムイオンの吸蔵および放出とは、リチウムイオンの電気化学的な吸蔵および放出を意味しており、吸蔵および放出されるリチウムイオンの形態は特に限定されない。一般的には、Li+が吸蔵および放出される。なお、本明細書において、「リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる」を単に「リチウムを可逆的に吸蔵および放出できる」と、また、「リチウムイオン伝導性を有する」を単に「リチウム伝導性を有する」と記載する場合がある。
より具体的には、本発明の二次電池は、例えば、ケースと、ケース内に収容された極板群および非水電解質とを備えている。極板群は、正極と、負極と、正極および負極の間に配置されたセパレータとを含んでいる。正極および負極は、それぞれ、リチウムを可逆的に吸蔵および放出することができる。
負極以外の部分には、非水電解質二次電池に一般的に用いられる部材を適用することができる。例えば、正極には、リチウムを含む遷移金属複合酸化物を正極活物質とする正極を用いればよい。上記複合酸化物は特に限定されず、なかでも、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24などの複合酸化物や、これら複合酸化物における遷移金属に対して異なる種類の金属元素(例えば、Co、Ni、Mn、Al、Mg、Zrなど)を固溶させた化合物などを用いることが好ましい。リチウムを可逆的に吸蔵および放出できる正極活物質を含む限り、正極の構造や形状などは特に限定されない。
セパレータは、電池の内部環境下において電気化学的に安定であり、非水電解質を保持することが可能で、かつ、正極と負極との電気的な短絡を防ぐことができる限り、構造や形状、用いる材料などは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布、織布などを用いればよい。
非水電解質は、リチウム伝導性を有する限り、用いる材料などは特に限定されない。固体の非水電解質であってもよいし、液体の非水電解質(即ち、非水電解質溶液)であってもよい。非水電解質溶液としては、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液を用いればよい。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(CF3SO22などを用いればよい。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステル化合物や、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル化合物、その他、γ−ブチロラクトンなどのブチロラクトン化合物などを用いればよい。これらの化合物を任意の比率で混合した非水溶媒であってもよい。
二次電池としての形状も特に限定されない。本発明の二次電池は、例えば、図1に示すような扁平形の二次電池20(非水電解質二次電池20)であってもよい。図1に示す二次電池20は、正極端子を兼ねるケース22の中に、正極21と、負極24と、正極21および負極24に狭持されたセパレータ23とが収容されている。ケース22の内部には、図示しないが、非水電解質が同時に収容されている。ケース22は、ガスケット25と、負極端子を兼ねる封口板26とによって封口されている。その他、本発明の二次電池は、例えば、正極とセパレータと負極とをこの順序で積層して捲回した円筒状の極板群を含む円筒形の二次電池であってもよい。
本発明の二次電池は、精密機器や携帯機器などに用いる小型の二次電池から、ハイブリッド自動車などに用いる大型の二次電池まで、サイズ、用途を問わずに適用することができる。
以下、本発明の二次電池における負極について説明する。
図2に、本発明の二次電池における負極の構造の一例を示す。図2に示す負極10は、集電体11と、集電体11の表面に配置された活物質粒子13とを含んでいる。集電体11の表面には、活物質粒子13の他に導電剤14が配置されており、活物質粒子13と導電剤14とによって活物質層12が形成されている。換言すれば、活物質粒子13と導電剤14とを含む活物質層12が集電体11の表面に形成されている。なお、導電剤14は省略可能であり、必要に応じて活物質層12に含まれていればよい。活物質粒子13は、Sn(スズ)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Pb(鉛)およびBi(ビスマス)から選ばれる少なくとも1種の元素Rと、Si(ケイ素)とを含んでいる。活物質粒子13間には、元素Rを含む金属結合が(金属結合部15が)形成されている。換言すれば、活物質粒子13同士が元素Rを介して金属結合によって結合しているともいえる。あるいは、活物質粒子13同士が、元素Rを含む合金によって結合しているともいえる。なお、本明細書における合金の概念には、一般的な合金の他に、固溶体や金属間化合物なども含まれる。また、図2では、説明を分かりやすくするために、活物質粒子13および導電剤14のハッチングを省略する。以降の図においても同様に、ハッチングを省略する場合がある。
元素Rは、それぞれ単体の状態で、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できる元素である。このため、本発明の二次電池における負極では活物質粒子13がSi以外に元素Rを含んでいるが、活物質粒子13自身の容量の大幅な低下を抑制することができる。また、元素Rは、比較的低温(例えば、100℃〜350℃程度の範囲)において、他の元素、なかでも遷移金属元素と合金を形成しやすい。さらに、形成された合金は、リチウムと電気化学的に反応しにくい(リチウムを吸蔵および放出しにくい)という特性を有している。このため、負極10における金属結合部15では、電池の充放電時に、リチウムの吸蔵および放出が抑制され、これに伴って金属結合部15の膨張および収縮を抑制することができる。即ち、本発明の二次電池20における負極10では、活物質粒子13同士を、従来よりも強固に結合させることが可能である。従って、活物質粒子13に含まれるSiが、電池の充放電に伴って(リチウムの吸蔵および放出に伴って)膨張および収縮する場合においても、活物質粒子13が活物質層12から脱離したり、活物質層12に割れが生じたりする現象を抑制することができる。即ち、充放電サイクル特性に優れる二次電池、より具体的には、例えば、充放電サイクルに伴う負極の導電性の低下が抑制された二次電池とすることができる。このような二次電池は、例えば、後述する本発明の二次電池の製造方法によって得ることができる。
活物質粒子13のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、0.1μm〜45μmの範囲であり、好ましくは1μm〜25μmの範囲である。活物質粒子13の平均粒径が、例えば、0.1μm以上の場合、活物質粒子間の接触抵抗の増大を抑制することができる。活物質粒子の平均粒径が、例えば、45μm以下の場合、活物質層12の表面、即ち、負極10の表面の粗さの増大を抑制することができる。
活物質層12において活物質粒子13が含まれる割合は特に限定されず、必要な電池の特性に応じて任意に設定すればよい。
本発明の二次電池では、活物質粒子13が、遷移金属元素M(以下、単に元素Mともいう)をさらに含んでいてもよい。このような二次電池では、リチウムの吸蔵および放出に伴う活物質粒子13自体の割れを抑制することができる。
リチウムの吸蔵および放出に伴う活物質粒子13の割れを抑制するためには、Siを非常に微細な結晶子とし、上記結晶子を、リチウムを吸蔵および放出しにくく、かつ、電子伝導性(導電性)に富む材料中に分散させる手法が有効である。このような活物質として、Siと元素Mとの金属間化合物からなる相と、Si単体相とを含む活物質がある。Siと元素Mとの金属間化合物は、Si単体相に比べて電子伝導性に優れ、かつ、リチウムと電気化学的に反応しにくい特性を有している。このため、活物質粒子13が元素Mをさらに含むことによって、リチウムの吸蔵および放出に伴う活物質粒子13自体の割れを抑制することができる。
活物質粒子13に含まれる元素Rの含有量は特に限定されない。なかでも、活物質粒子13に含まれるSiの合計100質量部(活物質粒子13が元素Mをさらに含む場合においては、Siおよび元素Mの合計100質量部)に対して、2質量部以上25質量部以下の範囲が好ましい。元素Rの含有量が2質量%よりも小さい場合、金属結合15が十分に形成されず、上述した効果が減少する可能性がある。また、元素Rが25質量%よりも大きい場合、元素Rが単体で存在する割合が大きくなる可能性がある。元素R自体はリチウムを可逆的に吸蔵および放出できるため、単体で存在する元素Rの割合が大きくなると、元素R自体が膨張および収縮することによって、活物質粒子13の割れなどが発生したり、金属結合15が破壊されたりする可能性がある。
元素Mは、Siと金属間化合物を形成する元素であれば特に限定されない。なかでも、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素を用いることが好ましく、Tiを用いることが特に好ましい。例えば、TiとSiとを合金化することによって、電子伝導性が高く、かつ、リチウムと電気化学的に反応しにくい特性を有するTi−Si金属間化合物からなる相と、Si単体相との少なくとも2相を有する活物質粒子13を得ることができる。
本発明の二次電池では、活物質粒子13が、組成式MSi2で示される金属間化合物からなる第1の相と、非結晶質のSiからなる第2の相とを含むことが好ましい。リチウムの吸蔵および放出に伴う活物質粒子13の割れを、より抑制することができる。このような活物質粒子の構造の一例を図3に示す。図3に示す例では、非結晶質のSiからなるSi相31が、組成式MSi2で示される金属間化合物からなるMSi2相32に島状に分布している(MSi2相32を海(matrix)、Si相31を島(island)とする海島構造が形成されている)。なお、組成式MSi2における「M」とは上述した元素Mである。
組成式MSi2で示される金属間化合物(元素Mのシリサイド、ともいえる)は特に限定されず、例えば、上述した元素Mの具体例とSiとの金属間化合物であればよい。なかでも、元素MがTiであるTiSi2は、Ti以外の元素Mのシリサイドに比べて、電子伝導性が高く、また、形成が容易であることから好ましい。
ここで、非結晶質のSiとは、例えば、CuKα線を用いたX線回折測定において、回折プロファイルに、2θ値にして20°〜40°の範囲に頂点を有するブロードな散乱帯が存在するSiを意味している。非結晶質のSiの回折プロファイルには、結晶性の回折線が存在していてもよい。ただし、結晶性の回折線を有する場合には、2θ値に対して最も強い回折強度が現れたピークの半価幅が0.6°以上であることが好ましい。このような非結晶質のSiからなるSi相は、結晶質のSiからなるSi相とは異なり、乱れた結晶構造あるいは無秩序なアモルファス構造を有している。このため、リチウムを吸蔵した際にも構造が変化しにくく(上述したように、結晶質のSiでは、リチウムを吸蔵することによって結晶構造が変化し、膨張する現象を強く示す)、破壊されにくい。また、非結晶質のSiは、結晶質のSiに比べて一般に強度が高いため、リチウムの吸蔵および放出に伴う活物質粒子13の割れを、より抑制することができる
第1の相(TiSi2相などのMSi2相32)の結晶子の平均直径は50nm以下(例えば、1nm〜40nmの範囲)であることが好ましい。MSi2相の結晶子の平均直径が50nmより大きい場合、充電時に(リチウム吸蔵時に)膨張するSi相によって活物質粒子13が割れる可能性がある。活物質粒子13の割れは、負極の導電性が低下する要因となる。
第2の相(非結晶質のSi相31)の結晶子の平均直径は50nm以下(例えば、1nm〜40nmの範囲)であることが好ましい。なかでも、30nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。Si相の結晶子の平均直径が50nmより大きい場合、活物質粒子13の内部における膨張および収縮によって、活物質粒子13が割れる確率が増大する可能性がある。
元素MがTiである場合、活物質粒子13に含まれるTiに対するSiの質量比(Siの質量/Tiの質量)は、1.18以上であることが好ましい。TiSi2相とSi相の2相を含む活物質粒子を形成するためには、TiSi2(Ti46wt%−Si54wt%である。即ち、質量比Si/Ti=1.17)よりもSiリッチな組成であることが好ましい。なかでも、Ti40wt%−Si60wt%(即ち、質量比Si/Ti=1.50)からTi35wt%−Si65wt%(即ち、質量比Si/Ti=1.86)の範囲の質量比でTiとSiとを含む活物質粒子が、負極容量および充放電サイクル特性の観点から好ましい。
本発明の二次電池では、活物質粒子13の酸素含有率が、電池を構成する前の時点で、2質量%以下であることが好ましい。酸素含有率が2質量%より多い場合、活物質粒子13の表面および内部に、絶縁性のSiO2や遷移金属酸化物が生成し、粒子内の電子伝導性が低下する可能性がある。また、リチウムを吸蔵および放出するSiが酸化物となることによって、負極容量が低下する可能性がある。活物質粒子13の酸素含有率は、活物質粒子13をフッ化水素酸などで処理することによって低減することができる。あるいは、活物質粒子13の平均粒径を限定し、極度に微小な平均粒径の粉末を排除することによっても酸素含有率を低減することが可能である。
金属結合部15は、元素Rを含む金属結合が形成されている限り、その組成、構造、形状などは特に限定されない。例えば、金属結合部15が遷移金属元素と元素Rとの合金を含んでいてもよい。換言すれば、活物質粒子13間における金属結合が形成された領域が、遷移金属元素と元素Rとを含んでいてもよい。遷移金属元素としては、Cuが好ましい。即ち、金属結合部15が、元素RとCuとの固溶体を含んでいてもよい。換言すれば、活物質粒子13間における金属結合が形成された領域が、Cuと元素Rとを含んでいてもよい。Cuと元素Rとの固溶体は、リチウムとの間で電気化学的な反応性をほとんど示さないために、充放電時においても金属結合部15の膨張および収縮を抑制することができる。また、Cuと元素Rとの固溶体に限らず、リチウムとの間で電気化学的な反応性をほとんど示さない金属結合部15であることが好ましい。換言すれば、活物質粒子13間における金属結合が形成された領域が、非リチウム反応性を示すことが好ましい。
遷移金属元素と元素Rとの合金、例えば、Cuと元素Rとの固溶体を含む金属結合部15は、例えば、後述する本発明の二次電池の製造方法によって形成することができる。このとき、遷移金属元素、例えばCuは、例えば、集電体、あるいは、活物質層に存在する導電剤から供給することが可能である。
なお、金属結合部15は、すべての活物質粒子13間に形成されている必要はない。少なくとも一部の活物質粒子13間に形成されていればよい。
活物質粒子13において、活物質粒子の粒径をDとしたときに、元素Rのうち80原子%以上(好ましくは90原子%以上)が、活物質粒子13の表面から深さ0.1Dまでの範囲に存在することが好ましい。負極10の製造時に活物質粒子の表面近傍に元素Rが存在することによって、集電体あるいは導電剤中のCuと元素Rとが反応しやすくなり、Cuと元素Rとの固溶体が活物質粒子間に形成されやすくなる。このような活物質粒子13を得るためには、例えば、元素RをSiを含む活物質粒子の表面に付着させる方法を用いればよい。より具体的には、例えば、メッキ法、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、メカニカルミリング法などを用いて、Siを含む活物質粒子の表面に元素Rを付着させればよい。なかでも、メッキ法を用いることが、低温における処理が可能であることなどから好ましい。
集電体11に用いる材料は、二次電池の内部で負極10がとりうる電位において溶解などの変性を起こさず、導電性に優れている材料であれば特に限定されない。例えば、銅や銅合金などを用いればよい。なかでも、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体11が好ましい。95質量%以上の含有率でCuを含む集電体11を用いた場合、負極10の製造時に、元素RとCuとの固溶体を含む金属結合部15の形成をより容易に行うことができる。また、集電体11自体の導電性にも優れている。
集電体11の形状は特に限定されず、例えば、箔、多孔体および発泡体から選ばれる少なくとも1つの形状を有する集電体11であればよい。箔状の集電体11を用いる場合、表面粗さがある程度大きい(例えば、JIS B 0601−1994に規定される中心線平均粗さRaにして、0.2μm以上)ことが好ましく、例えば、表面にスパイク状などの突起が形成された集電体11を用いてもよい。このような集電体11では、活物質層12と集電体11との接着性を向上することができ、充放電時における活物質層12の剥離を抑制することができる。また、後述するが、集電体11と活物質粒子13の一部との間に金属結合部が形成されている場合、活物質粒子13と集電体11との間に3次元的に金属結合部を形成することが可能となり、充放電時における活物質層12の剥離を抑制することができる。
集電体11の厚さは特に限定されず、例えば、1μm〜20μmの範囲であり、5μm〜12μmの範囲が好ましい。厚さが薄い集電体11を用いることによって、電池の単位体積あたりの活物質量を大きくすることができる。なお、集電体11が多孔体や発泡体である場合、活物質粒子13は、集電体11に形成された孔の内部の表面にまで配置されていてもよい。
導電剤14は、活物質層12の導電性を確保する役割を担っている。このため、導電剤14に用いる材料は、導電性に優れる材料であれば特に限定されない。例えば、導電剤14が遷移金属元素L(以下、単に「元素L」ともいう)を含んでいてもよい。活物質粒子13に含まれるSiの電子伝導性を補うことができ、なかでも電池の高率放電時にその効果を発揮することができる。また、活物質粒子13に含まれる元素Rと元素Lとは、比較的低温(例えば、350℃以下)において合金を形成することができる。活物質粒子13と導電剤14との間に合金が形成されると、活物質粒子13と導電剤14との間の接触抵抗が低減され、電池特性が向上できる。また、負極10の製造時において、遷移金属元素と元素Rとの合金を含む金属結合部15の形成をより容易に行うことができる。
元素Lの具体的な種類は特に限定されない。なかでも、元素LがCuであることが好ましい。Cuと元素Rとの結合性が高いため、活物質粒子13と導電剤14との間の合金の形成をより容易に行うことができる。また、Cuを含む導電剤14であれば、負極10の製造時において、Cuと元素Rとの固溶体を含む金属結合部15の形成をより容易に行うことができる。
活物質層12は、活物質粒子13や導電剤14以外にも、必要に応じて任意の材料を含んでいてもよい。例えば、活物質層12が結着剤を含んでいてもよい。結着剤の種類は特に限定されず、非水電解質二次電池に一般的に用いられる結着剤を用いればよい。
活物質層12の厚さは特に限定されない。また、図2に示す例では、集電体11の一方の表面(一方の主面)にのみ活物質層12が配置されているが、集電体11の両方の表面(両方の主面)に活物質層12が配置されていてもよい。
図4に、本発明の二次電池における負極の構造のまた別の一例を示す。図4に示すように、本発明の二次電池における負極10では、活物質粒子13の一部と、集電体11との間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部15が)形成されていてもよい。換言すれば、活物質粒子13の一部と集電体11とが元素Rを介して金属結合によって結合していてもよい。あるいは、活物質粒子13の一部と集電体11とが、元素Rを含む合金によって結合していてもよい。
上述したように、負極10における金属結合部15では、電池の充放電時に、リチウムの吸蔵および放出が抑制され、これに伴って金属結合部15の膨張および収縮を抑制することができる。即ち、図4に示す負極10では、活物質粒子13と集電体11とを(活物質層12と集電体11とを)、従来よりも強固に結合させることが可能である。従って、活物質粒子13に含まれるSiが、電池の充放電に伴って(リチウムの吸蔵および放出に伴って)膨張および収縮する場合においても、活物質粒子13が(活物質層12が)集電体11の表面から剥離する現象などを抑制することができる。また、活物質層12と集電体11との間の電子伝導性をより良好に保つことができる。即ち、充放電サイクル特性に優れる二次電池、より具体的には、例えば、充放電サイクルに伴う負極の導電性の低下が抑制された二次電池とすることができる。なお、図4に示す負極では、金属結合部15は、活物質粒子13と集電体11との間に形成されるため、集電体11が95質量%以上の含有率でCuを含むことが好ましい。負極10の製造時において、元素RとCuとを含む金属結合部15をより容易に形成することができる。
図5に、本発明の二次電池における負極の構造のまた別の一例を示す。図5に示す負極10では、図2に示す負極10に対して、活物質粒子13の一部と集電体11との間に、元素Rを含む金属結合が(金属結合部15が)さらに形成されている。あるいは、図4に示す負極10に対して、活物質粒子13間に、元素Rを含む金属結合が(金属結合部15が)さらに形成されている。
上述したように、負極10における金属結合部15では、電池の充放電時に、リチウムの吸蔵および放出が抑制され、これに伴って金属結合部15の膨張および収縮を抑制することができる。即ち、図5に示す負極10では、活物質粒子13同士だけではなく、活物質粒子13と集電体11とを、従来よりも強固に結合させることが可能である。従って、活物質粒子13に含まれるSiが、電池の充放電に伴って(リチウムの吸蔵および放出に伴って)膨張および収縮する場合においても、活物質粒子13が活物質層12から脱離したり、活物質層12に割れが生じたり、活物質粒子13が(活物質層12が)集電体11から剥離したりする現象を抑制することができる。また、活物質層12と集電体11との間の電子伝導性を良好に保つことができる。即ち、充放電サイクル特性により優れる二次電池、より具体的には、例えば、充放電サイクルに伴う負極の導電性の低下がより抑制された二次電池とすることができる。
以下、本発明の非水電解質二次電池の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウム伝導性を有する非水電解質とを含む非水電解質二次電池の製造方法である。負極の製造方法以外(例えば、正極の製造方法や、作製した正極および負極から図1に示すような非水電解質二次電池を製造する方法など)は、非水電解質二次電池の製造に用いられる一般的な製造方法を適用すればよい。各部材に用いる材料など、本発明の二次電池の説明において上述した記載は省略する。
図6A〜図6Dに、本発明の製造方法の一例を示す。
最初に、図6Aに示すように、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体11の表面に、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素RとSiとを含む活物質粒子を含むスラリー41を塗布する。続いて、図6Bに示すように、スラリー41を乾燥させて、集電体11の表面に前駆層44が形成されたシート43を形成する(工程(i))。
次に、図6Cに示すように、非酸化性雰囲気中において80℃〜350℃の範囲の温度でシート43を熱処理する(工程(ii))。活物質粒子は元素Rを含んでおり、元素Rは比較的低温(例えば、350℃以下)においてCuとの合金(好ましくは固溶体)を形成することができる。このため、工程(ii)の熱処理によって、集電体11に含まれる金属元素(特にCu)と、集電体に隣接する活物質粒子中の金属元素(特に元素R)とを互いに拡散させることができ、両者の間に金属結合を(金属結合部を)形成することができる。即ち、図4や図5に示すような、活物質粒子の一部と集電体との間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)形成された本発明の二次電池における負極10を得ることができる(図6D)。
集電体11および活物質粒子には、それぞれ、上述した集電体11および活物質粒子を用いればよい。活物質粒子を含むスラリーの塗布は、例えば、ドクターブレード法などの一般的な塗布方法を用いて行えばよい。図6Aでは、ブレード42を矢印の方向へ移動させることによってほぼ均一の厚さでスラリー41の塗布が行われている。スラリーを塗布、乾燥させた後、必要に応じて、シート43の乾燥や圧延を行ってもよい。塗布するスラリー41の厚さは、例えば、形成したい活物質層12の厚さと同様であればよい。
図6A〜図6Cに示す製造方法において、活物質粒子が、遷移金属元素Mをさらに含むことが好ましい。元素Mは特に限定されず、なかでも、元素MがTi(チタン)であることが特に好ましい。このような活物質粒子は、例えば、原料となる元素をアトマイズ法やメカニカルミリング法によって混合し、合金化することによって形成できる。なお、上述したように、元素Rは、活物質粒子の表面近傍に存在することが好ましい。
スラリー41には、活物質粒子以外にも、必要に応じて任意の材料が含まれていてもよい。例えば、導電剤や結着剤をさらに含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛、活性炭、アセチレンブラックまたはカーボンブラックといった炭素質材料や、ニッケルまたは銅といった金属粉末、あるいは、これらの混合物を用いればよい。
なかでも、スラリー41が、遷移金属元素Lを含む導電剤をさらに含むことが好ましい。元素Lは特に限定されず、なかでも、元素LがCu(銅)であることが好ましい。工程(ii)の熱処理によって、導電剤に含まれる元素L(特にCu)と、活物質粒子中の金属元素(特に元素R)とを互いに拡散させることができ、両者の間に金属結合を(金属結合部を)さらに形成することができる。即ち、図5に示すような、活物質粒子間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)さらに形成された本発明の二次電池における負極10を得ることができる。
結着剤は、活物質粒子間および活物質−集電体間を接着することができ、かつ、還元性雰囲気(リチウムに対して0Vから2Vの電位範囲)において電池特性に悪影響を及ぼさない物質である限り、特に限定されない。例えば、ゴム系材料、ポリフッ化ビニリデンやその誘導体を用いればよい。なお、導電性を有する結着剤を用いてもよい。
工程(i)においてスラリー41を乾燥させて前駆層44を形成する方法は特に限定されない。例えば、自然乾燥や、加熱を併用した乾燥によりスラリー41を乾燥させればよい。
工程(ii)における最適な熱処理温度は、元素Rの種類によって異なる。元素RがSnである場合、熱処理温度は、例えば、100℃〜200℃の範囲に最適値が存在する。元素RがInの場合、例えば、150℃〜250℃の範囲に最適値が存在する。元素RがGaの場合、例えば、150℃〜250℃の範囲に最適値が存在する。元素RがPbの場合、例えば、250℃〜350℃の範囲に最適値が存在する。元素RがBiの場合、例えば、200℃〜300℃の範囲に最適値が存在する。
工程(ii)における熱処理の雰囲気は、非酸化性雰囲気である限り特に限定されない。なかでも還元性雰囲気が好ましい。還元性雰囲気中で熱処理することによって、活物質粒子の酸化物皮膜を除去することができ、活物質粒子の電子伝導性を良好にすることができる。非酸化性雰囲気としては、例えば、真空雰囲気、Ar雰囲気、水素雰囲気、Ar+水素混合雰囲気、窒素+水素混合雰囲気などが挙げられる。なかでも、水素を含む雰囲気は還元性雰囲気であるため、好ましい。
図7A〜図7Eに、本発明の製造方法の別の一例を示す。
最初に、図7Aに示すように、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体11の表面に、Siを含む活物質粒子を含むスラリー51を塗布する。続いて、図7Bに示すように、スラリー51を乾燥させて、集電体11の表面に前駆層54が形成されたシート53を形成する(工程(I))。
次に、図7Cに示すように、前駆層54に含まれる活物質粒子の表面に、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rを含む膜を形成して、集電体11の表面に前駆層55が形成されたシート56を形成する(工程(II))。
次に、図7Dに示すように、非酸化性雰囲気中において80℃〜350℃の範囲の温度でシート56を熱処理する(工程(III))。活物質粒子は元素Rを含んでおり、元素Rは比較的低温(例えば、350℃以下)においてCuとの合金(好ましくは固溶体)を形成することができる。このため、工程(III)の熱処理によって、集電体11に含まれる金属元素(特にCu)と、集電体に隣接する活物質粒子表面の金属元素(特に元素R)とを互いに拡散させることができ、両者の間に金属結合を(金属結合部を)形成することができる。即ち、図4や図5に示すような、活物質粒子の一部と集電体との間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)形成された本発明の二次電池における負極10を得ることができる(図7E)。
集電体11および活物質粒子には、それぞれ、上述した集電体11および活物質粒子を用いればよい。活物質粒子を含むスラリー51の塗布および乾燥は、工程(i)と同様に行えばよい。
図7A〜図7Eに示す製造方法では、図6A〜図6Dに示す製造方法と同様に、活物質粒子が、遷移金属元素Mをさらに含むことが好ましい。元素Mは特に限定されず、なかでも、元素MがTi(チタン)であることが特に好ましい。このような活物質粒子は、例えば、原料となる元素をアトマイズ法やメカニカルミリング法によって混合し、合金化することによって形成できる。なお、上述したように、元素Rは、活物質粒子の表面近傍に存在することが好ましい。
スラリー51には、スラリー41と同様に、活物質粒子以外にも、必要に応じて任意の材料が含まれていてもよい。例えば、導電剤や結着剤をさらに含んでいてもよい。なかでも、スラリー51が、遷移金属元素Lを含む導電剤をさらに含むことが好ましい。元素Lは特に限定されず、なかでも、元素LがCu(銅)であることが好ましい。工程(III)の熱処理によって、導電剤に含まれる元素L(特にCu)と、活物質粒子中の金属元素(特に元素R)とを互いに拡散させることができ、両者の間に金属結合を(金属結合部を)さらに形成することができる。即ち、図5に示すような、活物質粒子間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)さらに形成された本発明の二次電池における負極10を得ることができる。
工程(II)において、活物質粒子の表面に、元素Rを含む膜を形成する方法は特に限定されない。例えば、メッキ法および化学気相蒸着法(CVD法)から選ばれる少なくとも1種の方法を用いて、元素Rを含む膜を形成すればよい。メッキ法としては、例えば、無電解メッキ法や電解メッキ法を用いればよい。なかでも、メッキ法を用いることによって、シート53の内部を含め、シート53に含まれる活物質粒子の表面に、より均一に元素Rを付着させることができる。
工程(III)は、工程(ii)と同様に行えばよい。
本発明の製造方法は、例えば、以下の工程を含んでいてもよい。
具体的には、本発明の製造方法が
(a)集電体の表面に、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素RとSiとを含む活物質粒子と、Cuを含む導電剤とを含むスラリーを塗布して乾燥させることによって、第1のシートを形成する工程と、
(b)非酸化性雰囲気中において、80℃〜350℃の範囲の温度で前記第1のシートを熱処理することによって、負極を形成する工程とを含んでいてもよい。
工程(a)および工程(b)は、図6A〜図6Dに示す方法と同様に行えばよい。この製造方法では、工程(b)における熱処理によって、導電剤に含まれる金属元素(特にCu)と、活物質粒子中の金属元素(特に元素R)とを互いに拡散させることができ、活物質粒子間に金属結合を(金属結合部を)形成することができる。即ち、図2や図5に示すような、活物質粒子間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)形成された本発明の二次電池における負極10を得ることができる。このとき、集電体として、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体を用いれば、上述したように、集電体と活物質粒子との間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)さらに形成された、図5に示すような、本発明の二次電池における負極を得ることができる。なお、活物質粒子などは、図6A〜図6Dに示す例と同様であればよい。例えば、活物質粒子が、遷移金属元素Mをさらに含むことが好ましい。元素Mは特に限定されず、なかでも、元素MがTi(チタン)であることが特に好ましい。このような活物質粒子は、例えば、原料となる元素をアトマイズ法やメカニカルミリング法によって混合し、合金化することによって形成できる。なお、上述したように、元素Rは、活物質粒子の表面近傍に存在することが好ましい。
また、本発明の製造方法が、
(A)集電体の表面に、Siを含む活物質粒子と、Cuを含む導電剤とを含むスラリーを塗布して乾燥させることによって、第1のシートを形成する工程と、
(B)前記活物質粒子および前記導電剤の表面に、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rを含む膜を形成して第2のシートを形成する工程と、
(C)非酸化性雰囲気中において、80℃〜350℃の範囲の温度で前記第2のシートを熱処理することによって、負極を形成する工程とを含んでいてもよい。
工程(A)〜工程(C)は、図7A〜図7Eに示す方法と同様に行えばよい。この製造方法では、工程(C)における熱処理によって、導電剤に含まれる金属元素(特にCu)と、活物質粒子表面の金属元素(特に元素R)とを互いに拡散させることができ、活物質粒子間に金属結合を(金属結合部を)形成することができる。即ち、図2や図5に示すような、活物質粒子間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)形成された本発明の二次電池における負極10を得ることができる。このとき、集電体として、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体を用いれば、上述したように、集電体と活物質粒子との間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)さらに形成された本発明の二次電池における負極を得ることができる。なお、活物質粒子などは、図7A〜図7Eに示す例と同様であればよい。例えば、活物質粒子が、遷移金属元素Mをさらに含むことが好ましい。元素Mは特に限定されず、なかでも、元素MがTi(チタン)であることが特に好ましい。このような活物質粒子は、例えば、原料となる元素をアトマイズ法やメカニカルミリング法によって混合し、合金化することによって形成できる。なお、上述したように、元素Rは、活物質粒子の表面近傍に存在することが好ましい。
また、本発明の製造方法が、
(α)集電体の表面に、Siを含む活物質粒子と、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rを含む添加剤とを含むスラリーを塗布して乾燥させることによって、第1のシートを形成する工程と、
(β)非酸化性雰囲気中において、80℃〜350℃の範囲の温度で前記第1のシートを熱処理することによって、負極を形成する工程とを含んでいてもよい。
工程(α)および工程(β)は、図6A〜図6Dに示す方法と同様に行えばよい。この製造方法では、工程(β)における熱処理によって、導電剤あるいは集電体に含まれる金属元素(特にCu)と、添加剤に含まれる金属元素(特に元素R)とを互いに拡散させることができ、活物質粒子間、および/または、集電体と活物質粒子との間に金属結合を(金属結合部を)形成することができる。即ち、図2や図4、あるいは図5に示すような、活物質粒子間、および/または、集電体と活物質粒子との間に元素Rを含む金属結合が(金属結合部が)形成された本発明の二次電池における負極10を得ることができる。このとき、集電体として、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体を用いれば、集電体と活物質粒子との間に元素Rを含む金属結合を(金属結合部を)より確実に形成できる。また、工程(α)において、スラリーが、Cuを含む導電剤をさらに含むことによって、活物質粒子間に元素Rを含む金属結合を(金属結合部を)より確実に形成することができる。なお、活物質粒子などは、図6A〜図6Dに示す例と同様であればよい。例えば、活物質粒子が、遷移金属元素Mをさらに含むことが好ましい。元素Mは特に限定されず、なかでも、元素MがTi(チタン)であることが特に好ましい。このような活物質粒子は、例えば、原料となる元素をアトマイズ法やメカニカルミリング法によって混合し、合金化することによって形成できる。なお、上述したように、元素Rは、活物質粒子の表面近傍に存在することが好ましい。
これらの製造方法によって負極を得た後は、作製した負極を用いて非水電解質二次電池を製造すればよい。上述したように、負極の製造方法以外の工程は、非水電解質二次電池の製造方法として一般的な方法を用いて行えばよい。例えば、正極は、正極集電体に正極活物質を含むペーストを塗布したのち、乾燥および圧延することによって形成できる。また、例えば、次に、セパレータを挟んで正極および負極を捲回することによって極板群を構成すればよい。構成した極板群はケースに挿入し、ケース内に非水電解質溶液を注液する。最後に、封口板でケースを封口する。このようにして、非水電解質二次電池を形成することができる。
本発明の製造方法では、低温(例えば、350℃以下)での熱処理を行うことによって、集電体と活物質粒子との間、および/または、活物質粒子間に金属結合(金属結合部)を形成している。仮に、400℃以上の高温で熱処理を行った場合、活物質粒子中における結晶子のサイズが大きくなりすぎる可能性が高い。結晶子のサイズが大きくなりすぎると、上述したように、充放電時に活物質粒子が割れやすくなる。本発明の製造方法では、低温で熱処理を行うことによって、活物質粒子中の結晶子のサイズの増大を抑制することができ、充放電サイクル特性に優れる非水電解質二次電池を得ることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
本実施例では、実際に非水電解質二次電池を作製し、電池特性(放電容量、充放電サイクル特性など)を評価した。以下に、電池の作製方法および特性の評価方法について説明する。
(比較例1)
比較例1では、比較例サンプルを15種類(比較例サンプル101〜115)作製した。
(比較例サンプル101〜104における負極活物質)
サンプル101の負極に用いる負極活物質には、篩によって平均粒径を32μm以下とした天然黒鉛(日本黒鉛製)を用いた。サンプル102の負極活物質には、Si粉末(高純度化学研究所製、純度99.9%、平均粒径10μm以下)をそのまま用いた。サンプル103の負極活物質には、上記Si粉末を、Ar雰囲気中においてメカニカルミリングを行って得た微粉末Si(平均粒径8μm以下)を用いた。メカニカルミリングは、アトライタボールミルを用い、Si粉末とステンレスボールとを1:10(質量比)で投入して3時間行った。
サンプル104の負極活物質は以下の方法で作製した。最初に、サンプル102の負極活物質に用いたSi粉末と、Al粉末(高純度化学製、純度99.9%、平均粒径20μm以下)とを質量比で1:1になるように混合し、アトマイズ法によって平均粒径15μmの粉末を得た。次に、作製した粉末と、質量比で10倍のステンレスボールとをアトライタボールミルに投入し、Ar雰囲気下において3時間メカニカルミリングすることによって、サンプル104の負極活物質を作製した。
(比較サンプル105〜115における負極活物質)
最初に、Si粉末(高純度化学研究所製、純度99.9%、平均粒径20μm)と、以下の表1Aに記載した遷移金属元素Mの単体粉末(高純度化学研究所製、純度99.9%、平均粒径20μm〜26μm)とを表1Aに示す質量比で混合した後、アトマイズ法によって合金化し、平均粒径が約17μm〜23μmの範囲の合金粉末を得た。これらの合金はいずれも、結晶質の相を含んでおり、その結晶子の平均直径は3μm〜7μmの範囲であった。
次に、得られた合金粉末を、ステンレス製ボールとともに(合金:ボール=1:10(質量比))、アトライタボールミル中において一定の回転数(6000rpm)で3時間メカニカルミリングした。次に、得られた合金粉末をAr雰囲気中で取り出して、比較サンプル105〜115に用いる活物質粉末とした。
(負極活物質の評価)
負極活物質である各活物質粉末(活物質粒子)に対して、X線回折による結晶構造分析および透過電子顕微鏡(TEM)観察を行った。これらの測定から、各活物質粉末は、Si相と、Siを含む金属間化合物からなる相との2つの相を含む非結晶質の合金であり、Siを含む金属間化合物の相にはMSi2(M:遷移金属元素)が存在することが確認できた。なかでも、遷移金属元素MがTi、Ni、CoまたはZrである場合には、金属間化合物の相のほとんど全てがMSi2相であった。また、活物質粉末の平均粒径は1.2μm〜3.3μmの範囲内であった。活物質粉末に含まれる結晶子の平均直径は、およそ8nm〜38nmの範囲内であることがTEM観察によって確認できた。さらに、赤外線吸収法(JIS Z 2613に規定)によって活物質粉末中に含まれる酸素量を測定したところ、すべての活物質粉末において2質量%以下であった。これらの測定結果を表1Aに示す。なお、M(質量%)およびSi(質量%)は、合金形成時における元素MとSiとの混合比を示している。また、結晶子の平均直径(nm)、酸素量(質量%)および平均粒径(μm)は、メカニカルミリング後の値である。
Figure 0003963466
(負極の作製)
以上のようにして作製した負極活物質10gと、導電剤として繊維状炭素粉末(昭和電工製VGCF)0.8gと、結着剤としてポリアクリル酸(和光純薬工業製、分子量 約15万)0.5gとを混合して混合物を作製した。次に、純水10gを上記混合物に加えて混練し、負極スラリーを作製した。
次に、作製したスラリーを、負極集電体である銅箔(電解銅箔、Cu純度99.99%以上、古河電工製、厚さ10μm、表面粗さ0.2μm)の片面に塗布した。このとき、乾燥後の厚さが40μmになるようにスラリーを塗布した。その後、得られたシートを、Ar気流下において60℃で乾燥して負極シートを作製した。次に、得られた負極シートを、直径12.5mmの円形に切り抜いて図1に示すような円形の負極24を作製した。
(扁平形電池の作製)
以上のようにして作製した負極を用い、図1に示す扁平形の電池20(非水電解質二次電池)を作製した。電池20は、正極端子を兼ねるケース22と、正極21と、セパレータ23と、負極24と、ガスケット25と、負極端子を兼ねる封口板26とを備えている。
最初に、Li2CO3とCoCO3とを所定のモル比で混合し、950℃で加熱することによってLiCoO2を合成した。さらに、これを100メッシュ以下の大きさに分級し、正極活物質を得た。この正極活物質100gと、導電剤であるアセチレンブラック5gと、結着剤であるポリフッ化ビニリデン4g(樹脂成分が4g、実際は、N―メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液として使用)とを混合し、正極スラリーを得た。この正極スラリーを、正極集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥した後に圧延して正極シートを得た。このとき、スラリーの塗布量を調整することによって、正極容量と負極容量とを一致させた。この正極シートを、直径12mmの円形に切り抜き、図1に示すような円形の正極21を作製した。
次に、ポリエチレン製のセパレータ23(厚さ27μm)を、正極21および負極24で挟んだ。このとき、正極21の合剤側(活物質層側)および負極24の合剤側(活物質層側)がセパレータ23側に配置されるようにした。次に、正極、負極およびセパレータに、電解質溶液を十分に含浸させた。電解質溶液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:3(体積比))に、1mol/Lの濃度となるようにLiPF6を溶解させて調製した。次に、正極、負極およびセパレータをケース22の内に収容し、ガスケット25および封口板26によってケース22を封口した。このとき、正極21の集電体(アルミニウム箔)をケース22に、負極24の集電体(銅箔)を封口板26に、電気的に接続した。ケース22と封口板26とは、ガスケット25によって絶縁される。このようにして図1に示すような扁平形電池を作製し、以下に示す電池特性の評価を行った。
(放電容量の測定および充放電サイクル試験)
作製した各電池の放電容量の測定および充放電サイクル試験を、20℃に設定した恒温槽中において以下のように行った。最初に、0.2C(1Cは1時間率電流)の定電流で電池電圧が4.05Vになるまで電池を充電し、次いで、4.05Vの定電圧で充電電流値が0.01Cになるまで充電を行った。その後、0.2Cの定電流で電池電圧が2.5Vになるまで放電を行い、このときの放電容量を測定した。
次に、充放電サイクル試験を行った。充電工程は、1Cの定電流で電池電圧が4.05Vになるまで充電したのち、4.05Vの定電圧で充電電流値が0.05Cになるまで充電することによって行った。放電工程は、1Cの定電流で電池電圧が2.5Vになるまで電池を放電することによって行った。上記充電工程と放電工程とを1サイクルとする充放電サイクルを250サイクル繰り返した。そして、2サイクル目の放電容量に対する250サイクル目の放電容量の比を求め、その値に100をかけて容量維持率(%)とした。容量維持率が100に近いほどサイクル寿命が良好である(充放電サイクル特性に優れる)ことを示す。
(膨張率の測定)
電池中の負極の膨張率を以下のようにして測定した。組み立て後の最初の充電(初回充電)を行った電池を分解し、正極、負極およびセパレータを分離した。次に、負極をジエチルカーボネートで洗浄し、ドライエア環境下で乾燥した。このときの負極の厚さを測定し、初回充電後の負極の厚さとした。この厚さを、電池組み立て前の負極の厚さと比較し、[負極の膨張率](%)={(初回充電後の厚さ)/(電池組み立て前の厚さ)}×100を算出した。
各電池における放電容量の測定結果、充放電サイクル試験結果、および、膨張率の測定結果を以下の表1Bに示す。
Figure 0003963466
表1Bに示すように、Siを含む負極活物質を用いたサンプル102〜115は、黒鉛を負極活物質に用いたサンプル101に比べて高容量であった。また、サンプル105〜115は、サンプル102〜104に比べて充放電サイクル特性が優れていた。しかしながら、サンプル105〜115は、サンプル101に比べると250サイクル後の容量維持率が低く、また、負極の膨張率が140%以上と、サンプル102〜104に比べて改善されているものの依然大きい結果となった。また、250サイクル後のサンプル105〜115の内部抵抗を解析したところ、負極の電気抵抗が、初回充電時の抵抗の約100倍に増加していた。負極活物質の割れや、負極活物質層の集電体からの剥離などが発生したことによって負極の導電性が低下したと推定される。
また、サンプル103〜115で用いた負極を、非酸化性雰囲気下において熱処理した後に、上述の方法により電池を作製し、その電池特性を評価した。400℃までの熱処理では未処理の負極とほぼ同等の電池特性を示した。一方、400℃以上の温度で熱処理した場合、充放電サイクル試験後の容量維持率がさらに低下した。500℃で熱処理した負極中の活物質について、結晶子の平均直径を測定したところ、平均直径が80nm〜150nm程度と非常に大きくなっていた。また、負極活物質自身も粒子割れを起こしていることが電子顕微鏡を用いて観察された。熱処理によって負極活物質中の結晶子が肥大化し、充放電サイクルに伴う活物質の粒子割れが起きやすくなったと考えられる。また、内部抵抗の解析によれば、活物質−集電体間における抵抗の増大が著しいことが判明した。集電体近傍において、活物質の粒子割れが起きやすくなっているのではないかと推定される。
(実施例1)
続いて、実施例サンプル(サンプル1〜28)を作製した。
最初に、比較例サンプル108で用いた負極活物質(組成がSi−Ti)を準備した。この活物質をジルコニア製ボールとともに(活物質:ボール比=1:3(質量比))、アトライタボールミル中に投入し、表2Aに示す元素Rの粉末を表2Aに示す添加量加えた。表2Aにおける元素Rの添加量は、Siと、遷移金属元素MであるTiとの合計を100質量部としたときの量である。以降の表においても同様とする。元素Rの粉末として、Sn粉末には純度99.9%で平均粒径2μmの粉末を用いた。In粉末には、純度99%で平均粒径4μmの粉末を用いた。Ga粉末には純度99.9%で平均粒径4μmの粉末を用いた。Pb粉末およびBi粉末には、それぞれ、純度99.9%で平均粒径3μmの粉末を用いた。上記活物質と元素Rの粉末との混合粉末をAr雰囲気下において6000rpmの回転数で1時間メカニカルミリングし、負極活物質を得た(サンプル1〜18、21〜28)。また、メカニカルミリングの時間を3時間または10時間(その他の条件は同様)としたサンプル19および20を得た。
次に、得られた活物質をX線回折によって評価したところ、添加した元素Rはそれぞれ単体の状態で検出された。また、電子線マイクロアナリシス(EPMA)分析によって、SiおよびTiと、元素Rとについて断面観察を行った。元素Rが検出される断面の面積を測定すると、活物質粒子の粒径をDとしたときに、添加した元素Rのうち90原子%以上の元素Rが、粒子の表面から深さ0.1Dの範囲内に存在することがわかった。さらに、ICP分光分析によって負極活物質の組成比を定量したところ、表2Aに示すように、負極活物質における実際の元素Rの量は、最初に添加した量とは異なっていた。これは、ミル中の壁面やボール表面に元素Rが付着したためと考えられる
なお、メカニカルミリングを3時間行ったサンプル19、および、10時間行ったサンプル20では、元素Rの一部がTiまたはSiと金属間化合物を形成していた。また、元素Rは活物質粒子の表面近傍だけでなく、その内部にも多くの量が拡散していた。活物質粒子の粒径をDとしたときに、表面から深さ0.1Dの範囲には、20原子%〜40原子%程度しか元素Rが残存しておらず、残りはすべて活物質粒子のより内部に存在していた。
サンプル一覧を表2Aに示す。なお、酸素量(質量%)および平均粒径(μm)は、メカニカルミリング後の値である。酸素量の測定は比較例1と同様に行った。これらは、以降の実施例においても同様である。
Figure 0003963466
次に、得られたサンプル1〜28の負極活物質を用いて、比較例1と同様に負極を作製した。続いて、作製した負極に対して熱処理を行った。熱処理の温度は、60℃、80℃、100℃、および、150℃から400℃までの50℃刻みで行った。熱処理は、20℃/分の昇温速度で目的の温度まで昇温したのち、その温度を10時間維持することによって行った。10時間経過後は、加熱を停止して室温まで自然冷却した。400℃で熱処理を行った場合には、室温に戻るまでに約12時間必要とした。熱処理の雰囲気は、Arガスのみの雰囲気、またはArガスとH2ガス(5体積%)との混合ガス雰囲気(還元性雰囲気)の2種類で行った。各サンプルにおける熱処理条件を表2Bに示す。
Figure 0003963466
熱処理後の負極に対してX線回折による分析を行った。元素RとしてSnを用いた負極では、熱処理温度が80℃以上の場合、Cu4Sn、Cu3SnおよびCuSnといったCuとSnとの金属間化合物を示すX線回折ピークが得られた。また、熱処理後の負極の断面をX線光電子分光分析(ESCA)によって評価した。その結果、負極活物質層と集電体(銅箔)との界面において、Cu−Sn結合を示す非常に強いピークが観察された。
元素RとしてSn以外の元素を用いた負極についても、X線回折およびESCA分析を行った。その結果、元素RとしてInを用いた場合には100℃以上の熱処理、元素RとしてGaを用いた場合には200℃以上の熱処理、元素RとしてPbを用いた場合には300℃以上の熱処理、元素RとしてBiを用いた場合には250℃以上の熱処理によって、Cuと元素Rとの結合を示すピーク、あるいは両者の金属間化合物を示すピークが観察された。さらに、ESCA分析により、活物質粒子間の界面近傍において元素Rを介して接合している状態が確認できた。
また、熱処理後の負極から活物質粒子を取り出し、TEMによって結晶子のサイズを評価したところ、400℃で熱処理を行ったサンプルでは、結晶子の平均直径が50nmを越えた結晶質のSi相が多く観察された。同様に、TiSi2相においても、平均直径が50nmを越える結晶子が観察された。
このようにして準備した各負極を用いて、比較例1と同様に電池を作製し、その特性を評価した。電池特性の評価は比較例1と同様に行った。結果を表2Cに示す。
Figure 0003963466
表2Cに示すように、すべてのサンプルにおいて、比較例であるサンプル101よりも放電容量が大きくなり、黒鉛を負極に用いた電池よりも高容量であることが示された。また、多くのサンプルにおいて容量維持率および膨張率が、同一組成の比較例であるサンプル108に比べて改善できた。なかでもサンプル2〜18、および、サンプル21〜24について、放電容量、容量維持率および膨張率ともに優れる結果となった。これは、活物質が元素Rを含み、かつ、熱処理を実施することによって、活物質粒子間および/または活物質粒子と集電体との間に元素Rを含む金属結合が形成され、電極の膨張が抑制されたり、安定した集電の確保に伴って容量維持率が向上したりしたためであると考えられる。
サンプル2〜18およびサンプル21〜24について、比較例1と同様に内部抵抗の解析を行ったところ、250充放電サイクル後の電池においても、初回の充電状態の電池に比べて、3倍から5倍程度の抵抗増加しか測定されなかった。
これらの結果より、80℃〜350℃の範囲における熱処理によって、活物質粒子−集電体間、活物質粒子−活物質粒子間に、遷移元素(Cu)と元素Rとを含む金属結合を形成することにより、充放電サイクル特性に優れる負極および非水電解質二次電池が形成できたことがわかった。
また、サンプル19およびサンプル20は、その他のサンプルに比べて容量維持率が低く、膨張率が大きい傾向を示した。これらの電極を分析したところ、元素Rを含む金属結合がほとんど形成されていなかった。このため、膨張を抑制できず、負極の集電性が低下したと考えられる。これらの結果より、元素Rが活物質粒子の表面近傍に存在することによって、本発明の効果をより発揮できると考えられる。
(実施例2)
続いて、実施例サンプル(サンプル29〜32)を作製した。
最初に、比較例サンプル106、111、113および114で用いた負極活物質を準備した。この活物質に、Sn粉末(純度99.9%、平均粒径2μm)を10質量部添加した。続いて、この混合粉末を、サンプル1〜28と同じ条件で1時間メカニカルミリングすることによって、サンプル29〜32の負極活物質を作製した。サンプルの一覧を表3Aに示す。
Figure 0003963466
次に、得られたサンプル29〜32の負極活物質を用いて、比較例1と同様に負極を作製した。続いて、作製した負極に対して実施例1と同様に熱処理を行った。熱処理の温度は150℃とし。熱処理の雰囲気はArガスとH2ガス(5体積%)との混合ガス雰囲気(還元性雰囲気)とした。
熱処理後の負極に対してX線回折による分析を行った。元素RとしてSnを用いているため、Cu4Sn、Cu3SnおよびCuSnといったCuとSnとの金属間化合物を示すX線回折ピークが得られた。
また、熱処理後の負極の断面をX線光電子分光分析(ESCA)によって評価したところ、実施例1と同様に、負極活物質層と集電体(銅箔)との界面において、Cu−Sn結合を示す非常に強いピークが観察された。さらに、ESCA分析により、活物質粒子間の界面近傍においてSnを介して接合している状態が確認できた。
このようにして準備した各負極を用いて、比較例1と同様に電池を作製し、その特性を評価した。電池特性の評価は比較例1と同様に行った。結果を表3Bに示す。
Figure 0003963466
表3Bに示すように、すべてのサンプルにおいて、比較例であるサンプル101よりも放電容量が大きくなった。また、すべてのサンプル29〜32において、容量維持率および膨張率が、それぞれ、同一組成のサンプル106、111、113および114に比べて改善できた。
サンプル29〜32について、比較例1と同様に内部抵抗の解析を行ったところ、250充放電サイクル後の電池においても、初回の充電状態の電池に比べて、3倍から5倍程度の抵抗増加しか測定されなかった。
これらの結果より、350℃以下の熱処理によって、活物質粒子−集電体間、活物質粒子−活物質粒子間に、遷移元素(Cu)と元素R(Sn)とを含む金属結合を形成することにより、充放電サイクル特性に優れる負極および非水電解質二次電池が形成できたことがわかった。
(実施例3)
最初に、比較例サンプル108で用いた負極活物質(組成がSi−Ti)を準備した。次に、この活物質の表面に元素RとしてSnまたはInをメッキによって付着させた。SnおよびInのメッキを行う前に、前処理として、活物質表面の活性化(Pd触媒の負荷)を行い、下地層として無電解メッキによりCuをメッキした。Snのメッキは、Snの無電解メッキ液(pH=1.8、メッキ温度40℃)に、Cuをメッキした活物質を30分浸漬することによって行った。Inのメッキは、Inの無電解メッキ液(pH=12、メッキ温度25℃)に、Cuをメッキした活物質を30分浸漬することによって行った。SnまたはInのメッキ後、活物質を蒸留水で3回洗浄し、110℃の真空雰囲気において10.5時間乾燥を行い、表4Aに示すサンプル33〜42の負極活物質を得た。
得られた活物質について、ICP分光分析によって組成比を定量化したところ、元素Rの実際の含有率は9.9質量%〜11.8質量%の範囲であった。また、活物質の断面をEPMA分析したところ、活物質粒子の粒径Dに対して、表面から深さ0.1Dの範囲に元素Rの全てが存在することが確認できた。
続けて、Snのメッキにおいて、浸漬時間を5分、8分、100分および120分とした負極活物質を作製した(表4Aに示すサンプル43〜62)。これらの活物質について、同様に、ICP分光分析によって組成比を定量化したところ、活物質粒子における元素Rの実際の含有率は、それぞれ上述の処理時間に対して、0.5質量%、2.0質量%、25質量%および28質量%であった。表4Aにサンプル一覧を示す。
Figure 0003963466
次に、得られたサンプル33〜62の負極活物質を用いて、比較例1と同様に負極を作製した。続いて、作製した負極に対して、実施例1と同様に熱処理を行った。熱処理の温度は、60℃、150℃、200℃、350℃または400℃とした。熱処理は、20℃/分の昇温速度で目的の温度まで昇温したのち、その温度を10時間維持することによって行った。熱処理の雰囲気は、ArガスとH2ガス(5体積%)との混合ガス雰囲気(還元性雰囲気)とした。各サンプルにおける熱処理条件を表4Bに示す。
Figure 0003963466
このようにして準備した各負極を用いて、比較例1と同様に電池を作製し、その特性を評価した。電池特性の評価は比較例1と同様に行った。結果を表4Cに示す。
Figure 0003963466
表4Cに示すように、すべてのサンプルにおいて、比較例であるサンプル101よりも放電容量が大きくなった。なかでもサンプル34〜42、サンプル49〜52およびサンプル54〜56について、放電容量、容量維持率および膨張率ともに優れる結果となった。サンプル43〜47では、Snの付着量が十分ではなかった可能性がある。サンプル58〜62では、Snの付着量が多すぎた可能性がある。
また、メッキ以外にも、スパッタ法、真空蒸着法、あるいは、CVD法などを用いて活物質粒子の表面にSnを付着させた場合においても同様の結果を得ることができた。熱処理温度が150℃の場合に、特に、放電容量および容量維持率に優れ、膨張率が小さい結果となった。また、スパッタ法、真空蒸着法、あるいは、CVD法などを用いて活物質粒子の表面にSnを付着させた場合、実際のSnの付着量は、活物質の質量に対して約6質量%〜10質量%程度の範囲であった。また、すべてのSnは、活物質の粒径Dに対して表面から0.1D以内の範囲に存在することが確認できた。
(実施例4)
最初に、比較例サンプル106、108および111で用いた負極活物質を準備した(組成が、Si−Cu、Si−TiおよびSi−Ni)。サンプル一覧を表5Aに示す。
Figure 0003963466
準備したサンプル63〜72の負極活物質を用いて、比較例1と同様に負極を作製した(ただし、円形の加工は行わず)。次に、作製した負極のうち、集電体である銅箔が露出した面(集電体における活物質を塗布していない面)をマスキングテープで保護した上で、元素R(Sn、InおよびPb)を負極にメッキした。
Snのメッキは、Snの無電解メッキ液(pH=1.8、メッキ温度40℃)に負極を30分浸漬することによって行った。Inのメッキは、Inの無電解メッキ液(pH=12、メッキ温度25℃)に負極を30分浸漬することによって行った。Pbのメッキは、Pbの無電解メッキ液(pH=1.5、メッキ温度45℃)に負極を15分浸漬することによって行った。なお、Sn、InおよびPbの無電解メッキを行う前に、前処理として、負極の活物質表面の活性化(Pd触媒の付与)および下地Cu層の形成(無電解メッキによる)を行った。
次に、メッキ後の負極を蒸留水に10分間浸漬する洗浄を3回繰り返した。最後に、負極を、60℃のAr雰囲気下で10.5時間乾燥した。
このようにして作製した負極から活物質層の一部を剥がしとり、ICP分光分析によって活物質の組成比を定量化したところ、表5Bに示すように、各サンプルの活物質粒子における元素Rの含有率は7.4質量%〜12.4質量%の範囲であった。
また、負極活物質層の断面をEPMA分析したところ、活物質粒子の粒径に対して表面から10%以内の範囲に全ての元素Rが存在することが確認できた。また、活物質粒子同士を結ぶように元素Rが析出していることが確認できた。
Figure 0003963466
次に、上述のように準備した負極を直径12.5mmの円形に切り抜き、実施例1と同様に熱処理を行った。熱処理温度は、元素RがSnの場合には150℃、元素RがInの場合には200℃、元素RがPbの場合には350℃で行った。熱処理は、目的の温度まで昇温したのち、その温度を10時間維持することによって行った。熱処理の雰囲気は、ArガスとH2ガス(5体積%)との混合ガス雰囲気(還元性雰囲気)とした。
次に、熱処理後の各負極を用いて、比較例1と同様に電池を作製し、その特性を評価した。電池特性の評価は比較例1と同様に行った。結果を表5Cに示す。
Figure 0003963466
表5Cに示すように、すべてのサンプルにおいて、比較例であるサンプル101よりも放電容量が大きくなった。また、サンプル63〜65、サンプル66〜68、サンプル69〜71において容量維持率および膨張率が、それぞれ、同一組成のサンプル106、108および111に比べて改善できた。
(実施例5)
最初に、実施例サンプル1で用いた負極活物質を準備した。表2Aに示すように、この活物質粒子は、Siと、Tiと、元素RとしてSnとを含み、活物質粒子におけるSnの含有率は、7.2質量%である。
次に、準備した活物質を用いて、比較例1と同様に負極を作製した。ただし、形状、組成などが異なる集電体を複数の種類準備し、それぞれの集電体を用いて負極を作製した。サンプルの一覧を表6Aに示す。
Figure 0003963466
サンプル72〜77の集電体には、それぞれ、Cu圧延箔(厚さ14μm、Cu含有率が99.9質量%以上、表面粗さRa0.02μm)、Cu電解箔(厚さ11μm、Cu含有率が99.99質量%以上、表面粗さRa0.8μm)、Cu電解箔(厚さ15μm、Cu含有率が99.99質量%以上、表面粗さRa1.2μm)、Cu突起箔(平坦部の厚さ10μm、Cu含有率が99.9質量%以上、突起部平均長さ7μm、突起部平均太さ0.5μm)、Cu板(厚さ45μm、Cu含有率が99.99質量%以上)を電解することによって表面を多孔化(平均孔径3.5μm、多孔部厚さ10μm)した多孔質集電体、Cu発泡メッシュ体(Cu含有率が99.9質量%以上、平均孔径4.2μm、厚さ60μm、メッシュ部Cu平均太さ0.1μm)を用いた。
また、比較のため、サンプル79の集電体には、Cu80質量%とSn20質量%とからなるCu−Sn合金箔(厚さ14μm、表面粗さRa0.8μm)を用いた。また、サンプル80の集電体には、Ni発泡メッシュ体(平均孔径3.8μm、厚さ60μm、メッシュ部Ni平均太さ0.1μm)を用いた。
このようにして準備した集電体および負極活物質を用い、比較例1と同様に負極を作製した。このとき、Cuの発泡メッシュ体およびNiの発泡メッシュ体を用いたサンプルでは、単位面積あたりの活物質量が金属箔を用いた他のサンプルとほぼ同一になるように、発泡体にスラリーを塗り込み、厚さが40μmになるようにさらに圧延して負極を作製した。
次に、作製した各負極を、すべて実施例1と同様に、ArガスとH2ガス(5体積%)との混合ガス雰囲気(還元性雰囲気)において、150℃で10.5時間熱処理した。
このようにして準備した各負極を用いて、比較例1と同様に電池を作製し、その特性を評価した。電池特性の評価は比較例1と同様に行った。結果を表6Bに示す。
Figure 0003963466
表6Bに示すように、Cuを95質量%以上含む集電体を用いた場合は、容量維持率および膨張率が極めて良好であった。これに対して、サンプル79および80に用いた集電体では膨張率が大きくなり、集電性が低下して容量維持率が低下している。これらの結果から、元素Rが負極中に存在し、集電体にCuが含まれることによって、本発明の効果をより得ることができる。
(比較例2)
最初に、実施例サンプル1、29〜32で使用した負極活物質を準備した。次に、準備した活物質を用いて、比較例1と同様に負極を作製した。
次に、作製した負極を150℃で10.5時間熱処理した。熱処理雰囲気は、ArガスとO2ガス(10体積%)との混合ガス、または、大気中(N2約80体積%、O2約20体積%)とした。次に、熱処理後の負極を用いて、比較例1と同様に電池を作製し、その特性を評価した。電池特性の評価は比較例1と同様に行った。サンプル一覧を表7Aに、電池特性の評価結果を表7Bに示す。
Figure 0003963466
Figure 0003963466
表7Bに示すように、酸素を含む雰囲気で熱処理した負極を用いた場合、容量維持率は約50%以下と大きく低下する結果となった。この原因を探るべく本実施例で作製した電池特性評価前の負極を用いて、電極表面および電極断面のオージェ分光分析を行った。その結果、特に、電極の表面および活物質粒子の表面に酸化物被膜が生成しており、その厚さは、数100nm程度にもなっていた。酸化物被膜が過剰に生成することによって、電極自体の電子伝導性が低下し、容量維持率が低下したと推定される。
(実施例6)
最初に、比較例サンプル108で用いた負極活物質を準備した(組成がSi−Ti)。また、負極作製時に、負極活物質と同時にスラリーに加える元素Rの添加剤として、Sn粉末(純度99.9%、平均粒径2μm)、In粉末(純度99.9%、平均粒径10μm)およびPb粉末(純度99.9%、平均粒径5μm)を準備した。次に、活物質粉末:添加剤:結着剤=90:5:5(質量比)の混合比で純水を用いて負極スラリーを作製し、比較例1と同様にして負極を作製した。
次に、作製した負極を、表8Aに示す所定の温度で熱処理した。昇温速度は全て20℃/分とし、熱処理温度において10時間維持し、室温まで自然冷却することで行った。熱処理雰囲気は、全てのサンプルにおいてArガスのみの雰囲気で行った。
また、さらに導電剤を加えたサンプルにおいても検討を行った。このとき、導電剤として、Cu粉末(純度99.9%、平均粒径1μm)、Ni粉末(純度99.9%、平均粒径2μm)およびTi粉末(純度99.9%、平均粒径2μm)を用いた。導電剤の混合は、負極スラリーの作製時に行い、それぞれの混合比は活物質:添加剤:導電剤:結着剤=85:5:5:5(質量比)とした。導電剤を加えるサンプルにおいては、元素RはSnとした。
サンプル一覧を表8Aに示す。
Figure 0003963466
熱処理後の負極に対してX線回折による分析を行ったところ、集電体のCuと元素Rとの金属間化合物を示すX線回折ピークが確認された。また、ESCA分析の結果より、活物質粒子−活物質粒子の界面近傍において、活物質粒子同士が元素Rを介して接合している状態が確認できた。
このようにして準備した各負極を用いて、比較例1と同様に電池を作製し、その特性を評価した。電池特性の評価は比較例1と同様に行った。結果を表8Bに示す。
Figure 0003963466
表8Bに示すように、すべてのサンプルにおいて、比較例であるサンプル101よりも放電容量が大きくなった。また、すべてのサンプルにおいて容量維持率および膨張率が、同一組成のサンプル108に比べて改善できた。導電剤として遷移金属元素が好ましく、なかでもCuを用いることによって極めて高い効果が得られることが判明した。
以上説明したように、本発明によれば、充放電サイクル特性に優れる非水電解質二次電池、より具体的には、例えば、充放電サイクルに伴う負極の導電性の低下が抑制された非水電解質二次電池と、その製造方法とを提供することができる。
本発明の非水電解質二次電池の一例を示す模式図である。 本発明の非水電解質二次電池における負極の構造の一例を示す模式図である。 本発明の非水電解質二次電池の負極における活物質粒子の構造の一例を示す模式図である。 本発明の非水電解質二次電池の別の一例を示す模式図である。 本発明の非水電解質二次電池のまた別の一例を示す模式図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の別の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の別の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の別の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の別の一例を示す模式工程図である。 本発明の非水電解質二次電池の製造方法の別の一例を示す模式工程図である。
符号の説明
10 負極
11 集電体
12 活物質層
13 活物質粒子
14 導電剤
15 金属結合部
20 非水電解質二次電池
21 正極
22 ケース
23 セパレータ
24 負極
25 ガスケット
26 封口板
31 Si相
32 MSi2
41、51 スラリー
42 ブレード
43、53、56 シート
44、55 前駆層

Claims (14)

  1. リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含み、
    前記負極は、集電体と、前記集電体の表面に配置された活物質粒子とを含み、
    前記集電体は、95質量%以上の含有率でCuを含み、
    前記活物質粒子は、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rと、Siと、Ti、Cu、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素である遷移金属元素Mとを含み、かつ、組成式MSi 2 で示される金属間化合物からなる第1の相と、非結晶質のSiからなる第2の相とを含み、
    前記第1の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、
    前記第2の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、
    前記活物質粒子の一部と前記集電体との間に、前記元素Rを含む金属結合が形成されており、
    前記活物質粒子の粒径をDとしたとき、前記元素Rのうち90原子%以上が前記活物質粒子の表面から深さ0.1Dまでの範囲に存在する非水電解質二次電池。
  2. 前記活物質粒子に含まれる前記元素Rの含有量が、前記活物質粒子に含まれるSiおよび前記元素Mの合計100質量部に対して、2質量部以上25質量部以下の範囲である請求項に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記負極が、遷移金属元素Lを含む導電剤をさらに含み、
    前記元素Lは、Cu、NiおよびTiから選ばれる少なくとも1種の元素である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記元素LがCuである請求項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記金属結合が、Cuと前記元素Rとの固溶体を含む請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記活物質粒子と前記集電体との間における前記金属結合が形成された領域が、非リチウム反応性を示す請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記集電体が、箔、多孔体および発泡体から選ばれる少なくとも1つの形状を有する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記活物質粒子の酸素含有率が2wt%以下である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  9. リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含む非水電解質二次電池の製造方法であって、
    (i)Siと、Ti、Cu、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素である遷移金属元素Mとを含み、かつ、組成式MSi 2 で示される金属間化合物からなる第1の相と、非結晶質のSiからなる第2の相とを含み、前記第1の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、前記第2の相における結晶子の平均直径が50nm以下である活物質粒子表面にSn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rを付着させ、この活物質粒子を含むスラリーを、95質量%以上の含有率でCuを含む集電体の表面に塗布して乾燥させることによって、第1のシートを形成する工程と、
    (ii)非酸化性雰囲気中において、80℃〜350℃の範囲の温度で前記第1のシートを熱処理することによって、前記活物質粒子の一部と前記集電体との間に前記元素Rを含む金属結合が形成され、かつ前記活物質粒子の粒径をDとしたとき、前記元素Rのうち90原子%以上が前記活物質粒子の表面から深さ0.1Dまでの範囲に存在する負極を形成する工程とを含む非水電解質二次電池の製造方法。
  10. 前記工程(i)において前記集電体の表面に塗布する前記スラリーが、遷移金属元素Lを含む導電剤をさらに含み、
    前記元素Lは、Cu、NiおよびTiから選ばれる少なくとも1種の元素である請求項に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  11. リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極および負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含む非水電解質二次電池の製造方法であって、
    (I)95質量%以上の含有率でCuを含む集電体の表面に、Siと、Ti、Cu、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素である遷移金属元素Mとを含み、かつ、組成式MSi 2 で示される金属間化合物からなる第1の相と、非結晶質のSiからなる第2の相とを含み、前記第1の相における結晶子の平均直径が50nm以下であり、前記第2の相における結晶子の平均直径が50nm以下である活物質粒子を含むスラリーを塗布して乾燥させることによって、第1のシートを形成する工程と、
    (II)前記活物質粒子の表面に、Sn、In、Ga、PbおよびBiから選ばれる少なくとも1種の元素Rを含む膜を形成して第2のシートを形成する工程と、
    (III)非酸化性雰囲気中において、80℃〜350℃の範囲の温度で前記第2のシートを熱処理することによって、前記活物質粒子の一部と前記集電体との間に前記元素Rを含む金属結合が形成された負極を形成する工程とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  12. 前記工程(I)において前記集電体の表面に塗布する前記スラリーが、遷移金属元素Lを含む導電剤をさらに含み、
    前記元素Lは、Cu、NiおよびTiから選ばれる少なくとも1種の元素である請求項11に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  13. 前記工程(II)において、
    メッキ法および化学気相蒸着法(CVD法)から選ばれる少なくとも1種の方法を用いて、前記少なくとも1種の元素Rを含む膜を形成する請求項11に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
  14. 前記元素LがCuである請求項10または12に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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