JP3962303B2 - 光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの面に対して常に垂直方向にレーザが照射されるようにレーザの角度を補正する機能を有する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクのトラック上に記録再生のためのレーザ光を集光して微小な光スポットを形成するための対物レンズは、光ディスクに対してその光軸が傾くと、光スポットに収差が生じ、記録再生に支障をきたすおそれがある。そのため、光ディスクの記録面に対する対物レンズの傾きは極力小さくしなければならない。
【0003】
光ディスクとしては、CD−ROM、CD−R、CD−RWといったものが一般に普及しているが、特に近年、CD系の光ディスクよりもトラック密度が高く高容量化を実現したDVD系の光ディスクが登場し、再生用のDVDは既に一般に普及し、記録用のDVDも実用化されている。
【0004】
このような光ディスクの高密度化に伴い、光学系の収差を増加させる要因である光ディスクと光学系との傾き(以下、チルトと称する)を補正する機構を備えた装置が増加している。
【0005】
チルトを補正する機構としては、従来より、LEDを用いた発光素子と、この発光素子の出射光が光ディスクで反射した反射光を受光する2分割受光素子によるチルトセンサと、このチルトセンサの出力に基づいて対物レンズあるいは光ピックアップを傾動させる機構とからなるチルト補正装置が提案されている。このようなチルトセンサは初期的にチルトのない光ディスクに対して2分割受光素子の出力に差が無いように設置姿勢が調整されており、発光素子の出射光が光ディスクによって反射されてチルトセンサに入射することにより、チルトセンサ上に反射光スポットが形成される。この反射光スポットの差信号を取ることによりチルトが検出される。
【0006】
また、チルトを検出する方法としては、他にもRF信号、TE信号が最大となるようなチルト補正値を取得してチルトを検出する方法がある。さらに、チルトを補正する方法としては、予め光ディスク上の幾つかの点でのチルト補正値を取得しておき、このデータを基にチルト制御を行う方法と、光ディスクの傾きを常に取得してチルトサーボを行う方法とがある。
【0007】
従来、この種の技術としては、特開2000−339727号公報に記載された技術があり、ディスクの半径方向の各位置でのチルトを予め測定して記憶し、記録再生時にその記憶したチルトに基づいてチルトを補正する光ディスク装置が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、予め光ディスク上の幾つかの点でRF信号、TE信号が最大となるようなチルト補正値を取得しておき、このデータを基にチルト制御を行う方法では、光ディスクの内周ではチルト絶対値および変化量が少なく、外周では大きいため、その間の補正値は複雑な演算などの処理、多くの補正値が必要となる。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決し、少ない検出点で精度の高いチルト補正値を得ることを実現した光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、回転する光ディスクに光を照射して情報の記録または再生を行う光ピックアップと、光ディスクと前記光ピックアップの相対的なチルトを検出するチルト検出手段と、光ディスク半径方向における前記光ピックアップの位置を検出する光ピックアップ位置検出手段と、前記チルト検出手段から出力されるチルト検出データを記憶するチルト記憶手段と、該チルト記憶手段に記憶されたチルト検出データに基づいてチルトを補正するチルト補正手段と、を有し、予め設定した光ディスクの半径方向の複数のチルト検出位置に前記光ピックアップを移動させ、前記チルト検出手段が検出した各チルト検出位置におけるチルトを前記チルト記憶手段に記憶する光ディスク装置において、前記複数のチルト検出位置の間隔を光ディスクの内周から外周に行くにしたがって短くし、光ディスクの管理情報を読み取って、予め設定したチルト検出位置が記録・未記録境界の近傍となる場合には、実際のチルト検出位置を予め設定したチルト検出位置に対して半径方向にシフトさせることを特徴とする。このように構成したことにより、チルト変化の少ない内周部ではチルト検出位置を少なくし、チルト変化の大きい外周部ではチルト検出位置を増やすことが可能になり、チルト検出位置の総数を増やすことなく、より正確なチルト補正が行うことができ、記録部分における反射率が未記録部分の反射率に比較して小さくなるために、未記録部から記録部への横断、記録部から未記録部への横断の際にチルトセンサに入射する信号が大きく変動し、チルトの検出に誤差が発生することによって、正確なチルト補正が行えなくなるといった問題を回避することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、隣り合うチルト検出位置間の略中央位置を境界として、光ディスクの領域を複数に分割し、前記光ピックアップの位置がどの領域にあるかを判断する領域判定手段と、前記光ピックアップの位置が属する領域に対応するチルト検出位置のチルト検出データに基づいて前記チルト補正手段を制御するチルト制御手段とを有することを特徴とする。このように構成したことにより、チルト検出位置の数を減らすことが可能になり、しかも、隣り合う検出位置間における補正値を求めるための演算が必要なくなり、制御の簡略化が図れるようになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、最も内周側のチルト検出位置よりも内周の領域では最も内周側のチルト検出データを出力し、最も外周側のチルト検出位置よりも外周の領域では最も外周側のチルト検出データを出力し、チルト検出位置の間では両側のチルト検出データから補間したチルト計算結果を出力するチルト算出手段と、このチルト算出手段の出力に基づいて前記チルト補正手段を制御するチルト制御手段とを有することを特徴とする。このように構成したことにより、チルトの算出ができない最も内周側のチルト検出位置よりも内周の領域、および最も外周側のチルト検出位置よりも外周の領域におけるチルトの補正値を設定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の第1実施形態の光ディスク装置における概略構成を示すブロック図であり、1は光ディスク、2はターンテーブル、3はスピンドルモータを示し、ターンテーブル2はスピンドルモータ3に固定され、ターンテーブル2に載置された光ディスク1は、スピンドルモータ3によって回転駆動される。4は対物レンズアクチュエータ、5はチルト補正機構、6はチルトセンサ、7は、対物レンズアクチュエータ4、チルト補正機構5、チルトセンサ6が備えられた光ピックアップを示す。対物レンズアクチュエータ4はチルト補正機構5を介して光ピックアップ7に取り付けられている。8は光ピックアップ7を半径方向に移動させるステッピングモータからなるシークモータ、9は、スピンドルモータ3,チルト補正機構5,シークモータ8を駆動制御する駆動回路、10は検出アンプ、11はCPU、12はメモリを示す。
【0019】
光ピックアップ7はシークモータ8に駆動される駆動機構に搭載されており、内周基準位置からのシークモータ8の駆動パルスをカウントすることによって光ピックアップ7の半径方向位置を特定することができる。
【0020】
チルト補正機構5は、対物レンズアクチュエータ4を機械的に回動させてレーザ光を半径方向に傾けるものであり、対物レンズアクチュエータ4の回動量を制御することによって光ピックアップ7のレーザ光が光ディスク1の面に対して常に垂直方向に照射されるように調整することができる。対物レンズアクチュエータ4の回動量はチルトセンサ6の検出信号に基づいてCPU11によって求められ、CPU11からの信号に基づいて駆動回路9によってチルト補正機構5が駆動制御される。
【0021】
チルトセンサ6には、発光素子と2分割の受光素子とが備えられており、発光素子から検出対象すなわち光ディスク1に光が照射され、その反射光が受光素子によって受光される。このとき、光ディスク1に傾きが無い場合には、受光素子上の反射光スポットがチルトセンサ6の2分割された受光部の分割線上に当たる。しかし、光ディスク1に傾きがある場合には、この分割線上からずれる。そのため、2分割受光素子のそれぞれの受光量を比較することにより、光ディスク1の傾き量、すなわちチルトに対応した信号を得ることができる。具体的には、2分割受光素子の受光信号は検出アンプ10によって増幅され2つの信号の差の演算結果がチルト信号としてCPU11に送られる。
【0022】
ここで、前述したように、チルト補正には、予め光ディスク1上の幾つかの点でチルト補正値を取得してメモリ12に記憶させておき、このデータを基にチルト制御を行う方法と、チルトセンサ6を用いて、光ディスク1の傾きを常に取得してチルトサーボを行う方法とがある。本実施形態においては、前者の方法が用いられている。
【0023】
図2は光ディスクの反りを示すグラフである。一般的に光ディスクは外周ほど反りがあり、内周部に比べ外周部はチルト量が大きくなっている。この場合のチルト制御において、例えば図3のように、光ディスク1に対して光ピックアップ7を等間隔に内周側から外周側に移動させ、予め光ディスクのチルト補正値を、検出点a1からa6において測定し、その補正値t1からt6とすると、補正値を各々メモリ12に記憶させておくことによって光ディスク形状の学習を行う。隣り合う検出点の間も補正値は、その2点例えば検出点a1と検出点a2の間では補正値t1と補正値t2によって1次近似などにより求める。そして、記録/再生中の光ピックアップ7の位置を監視し、例えば光ピックアップ7が所定距離を移動する毎にその時の光ピックアップ7の位置に応じて補正値をメモリ12からCPU11が読み出してチルトの制御を行う。しかし、図3に示す方法では、外周部では実際のチルト量の変化が大きいために、実際のチルト量と補正値の誤差が大きくなる。そのため、検出点と検出点の間の補正値を正確に求めようとすると、演算が複雑化する。検出点を多く取れば、簡単に1次近似などで求めることもできるが、マウント時間が長くなりユーザーの利便性がなくなる。
【0024】
図4は本発明のチルト補正方法の第1実施形態を説明するための説明図である。光ディスク1が光ディスク装置にマウントされた場合、光ディスク1の情報の記録、再生を行う前に光ピックアップ7を光ディスク1の検出点b1に移動させ、チルトセンサ6により検出点b1の位置におけるチルトを測定し、メモリ12に補正値t1を記憶する。次に検出点b2に移動させて、同様に補正値t2を取得する。このようなチルトの測定を繰り返すことによって、各々の検出点での補正値を取得し、検出点と検出点の間の補正値は記憶された補正値t1〜t5において隣り合う補正値を用いて1次近似して光ディスク1の形状を学習する。この時、光ディスクの内周から外周にいくにしたがって、隣り合う検出点の間隔が短くなるように各検出点が設定されている。
【0025】
次に、補間する方法は、例えば検出点b1と検出点b2の間であれば、検出点b1の位置をX1、検出点b2の位置をX2、X1でのチルト補正値をT1、X2でのチルト補正値をT2とし、現在の位置Xにおける補正値をTとすると、(数1)のように求め、検出点b1と検出点b2の間はこの式に基づいてチルト制御を行うようにする。
【0026】
【数1】
【0027】
ここで、最も内周の検出点においては両側に検出点が無いので2点を用いた補間ができない。同様に、最も外周の検出点においても両側に検出点が無いので2点を用いた補間ができない。すなわち、チルトセンサ6は、対物レンズが位置する光ディスク1の半径方向の直線上に配置されているため、最も内周の検出点に対してさらに内周側に若干の記録領域が存在し、最も外周の検出点に対してさらに外周側に若干の記録領域が存在する。光ピックアップ7の対物レンズがこれら領域に位置する場合には、その位置に対応するチルトが算出できない。そこで、最も内周の検出点より内周部では最も内周の検出点での補正値を用いてチルト制御を行い、最も外周の検出点より外周部では最も外周の検出点での補正値を用いてチルト制御を行う。
【0028】
ところで、書き換え型光ディスクのように記録・未記録部分がある場合、記録部分における反射率が未記録部分の反射率に比較して小さくなるために、未記録部から記録部への横断、記録部から未記録部への横断の際にチルトセンサ6に入射する信号が大きく変動する。このためチルトの検出に誤差が発生することになり、正確なチルト補正が行えなくなるといった問題が発生するおそれがある。このような問題を回避するために、光ディスクのTOC情報を基に、データが記録されている領域のアドレスを取得して記録・未記録領域を算出し、記録領域と未記録領域との境界部分が、予め設定されているチルトの検出点の近傍となる場合、具体的にはチルトの検出点を含む所定範囲内に入っている場合には、チルトの検出点を一定量ずらすように、光ピックアップ7の駆動制御を行う。
【0029】
このように構成した第1実施形態によれば、チルト変化の少ない内周部では検出点を少なくし、チルト変化の大きい外周部では検出点が増えることになり、少ない検出点で、演算を複雑にすることなく、より正確なチルト補正が行うことができる。
【0030】
図5は本発明のチルト補正方法の第2実施形態を説明するための説明図である。第1実施形態のようにチルトを検出する半径方向位置の間隔を、光ディスク1の内周から外周にいくにしたがって短くし、かつ、検出点の間隔に対応して複数の領域に分け、各領域に対応するチルト検出結果に基づいてチルトを補正を行う。第2実施形態においては、第1実施形態の検出点b1,b2,……,b5における隣り合う検出点間の領域をz1,……,z4とした場合、各領域の中点を検出点c1,c2,c3,c4とし、検出点c1,c2,c3,c4におけるチルトを予め測定して補正値をメモリ12に記憶しておく。
【0031】
そして、例えば、領域z1のチルト補正を行う際に、検出点c1で得た補正値を使用してチルト制御を行う。領域z2では検出点c2で得た補正値、領域z3では検出点c3で得た補正値、領域z4では検出点c4で得た補正値のようにチルト制御を行うことで、演算をすることなく、チルト補正が行える。
【0032】
ここで、チルト補正を行う場合には、ピックアップ7がどの領域に存在するかを認識しておく必要がある。第2実施形態においては、検出点c1,c2,c3,c4、領域z1,z2,z3,z4はともにアドレス情報を用いて決定されており、そして、記録再生中において光ディスク1から得られるアドレス情報と比較することにより、ピックアップ7がどの領域に存在するかを認識することができる。
【0033】
このように第2実施形態によれば、検出点を中心としてある一定の領域を持ち、この領域も検出点と同様に外周部では小さくなる。そして、領域内では同じ検出点の補正値を使用するため、検出点と検出点の間の補正値の1次近似などの演算が必要なくなる。
【0034】
なお、上述した実施形態においては、チルトセンサ6によってチルト検出を行うものであるが、それに限らず、チルトセンサ6を用いずにトラックエラー信号やRF信号を用いてチルト検出を行うものにも適用可能である。この場合、記録領域における最内周と最外周の位置のチルトを検出が可能になるため、光ディスク1の半径方向すべての位置に対応するチルトを演算によって得ることが可能になる。
【0035】
【発明の効果】
以上、説明したように構成された本発明によれば、チルト変化の少ない内周部では検出点を少なくし、チルト変化の大きい外周部では検出点が増えることになり、少ない検出点で、演算を複雑にすることなく、より正確なチルト補正が行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスク装置の実施形態における概略構成を示すブロック図
【図2】光ディスクの反りを示すグラフ
【図3】チルト補正方法の参考例を説明するための説明図
【図4】本発明のチルト補正方法の第1実施形態を説明するための説明図
【図5】本発明のチルト補正方法の第2実施形態を説明するための説明図
【符号の説明】
1 光ディスク
2 ターンテーブル
3 スピンドルモータ
4 対物レンズアクチュエータ
5 チルト補正機構
6 チルトセンサ
7 光ピックアップ
8 シークモータ
9 駆動回路
10 検出アンプ
11 CPU
12 メモリ
Claims (3)
- 回転する光ディスクに光を照射して情報の記録または再生を行う光ピックアップと、光ディスクと前記光ピックアップの相対的なチルトを検出するチルト検出手段と、光ディスク半径方向における前記光ピックアップの位置を検出する光ピックアップ位置検出手段と、前記チルト検出手段から出力されるチルト検出データを記憶するチルト記憶手段と、該チルト記憶手段に記憶されたチルト検出データに基づいてチルトを補正するチルト補正手段と、を有し、予め設定した光ディスクの半径方向の複数のチルト検出位置に前記光ピックアップを移動させ、前記チルト検出手段が検出した各チルト検出位置におけるチルトを前記チルト記憶手段に記憶する光ディスク装置において、
前記複数のチルト検出位置の間隔を光ディスクの内周から外周に行くにしたがって短くし、光ディスクの管理情報を読み取って、予め設定したチルト検出位置が記録・未記録境界の近傍となる場合には、実際のチルト検出位置を予め設定したチルト検出位置に対して半径方向にシフトさせることを特徴とする光ディスク装置。 - 隣り合うチルト検出位置間の略中央位置を境界として、光ディスクの領域を複数に分割し、前記光ピックアップの位置がどの領域にあるかを判断する領域判定手段と、前記光ピックアップの位置が属する領域に対応するチルト検出位置のチルト検出データに基づいて前記チルト補正手段を制御するチルト制御手段とを有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 最も内周側のチルト検出位置よりも内周の領域では最も内周側のチルト検出データを出力し、最も外周側のチルト検出位置よりも外周の領域では最も外周側のチルト検出データを出力し、チルト検出位置の間では両側のチルト検出データから補間したチルト計算結果を出力するチルト算出手段と、このチルト算出手段の出力に基づいて前記チルト補正手段を制御するチルト制御手段とを有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
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