JP3844296B2 - 光記録媒体の傾斜量検出装置およびそれを備える光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの出射光に対する光記録媒体の傾斜量を検出する光記録媒体の傾斜量検出装置およびそれを備える光ピックアップ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザ光を情報記録面に照射することによって記録された情報が読取られる円板状光記録媒体として、アルミニウム蒸着層に形成されるピットによって情報が記録されるたとえばコンパクトディスク(Compact Disc;略称:CD)などに加え、たとえばレーザ光の照射によって有機色素などの色素膜が物理的に変化して形成されるピットによって情報が記録される追記型光ディスク(Compact Disc-Recordable;略称:CD−R)、レーザ光の照射と外部磁界により変化する記録膜の磁化方向によって情報が記録される光磁気ディスク(Magneto Optical Disc;略称:MO)およびレーザ光の照射によって変化する記録層のアモルファス状態と結晶化状態とによって情報が記録される相変化型光ディスク(Phase-Change Optical Disc;略称:PD)などの様々な記録様式に基づいて情報が記録される光ディスクが利用されている。
【0003】
光記録媒体の単位面積当りの情報記憶容量である記録密度の増加に伴って、光記録媒体の傾斜量を精度よく検出し、その傾きを制御することによって、光記録媒体に対して情報を記録再生する精度の信頼性を確保することが強く要求されている。したがって、光記録媒体に対して情報の記録および再生を行う際には、光記録媒体に集光される光の光軸に対する光記録媒体の傾斜量の制御が行われる。
【0004】
図12は、光記録媒体1上の光スポットの位置2を平面的に示す図である。光記録媒体1の軸心3と光スポットの位置2とを結ぶ直線4および直線4の延長方向を光記録媒体の半径方向と呼び、光記録媒体に集光される光の光軸に対する光記録媒体の半径方向の傾斜量をラジアルチルト量と呼ぶ。
【0005】
光記録媒体のラジアルチルト量を検出する従来技術は以下のようである。光ピックアップに備わる対物レンズの位置に対して光記録媒体の半径方向へずれた位置にたとえば光反射型センサであるチルトセンサが設けられ、光ピックアップを光記録媒体の半径方向へ移動させたときの反射光量をチルトセンサが受光し、半径方向へ移動する前の反射光量との差を検出することによって、光記録媒体のラジアルチルト量が検出される。
【0006】
また、光記録媒体のラジアルチルト量を検出するもう1つの従来技術がたとえば特開平2000−149298号公報に開示されている。図13は、もう1つの従来のラジアルチルト量検出装置に備わる光検出手段5の構成を簡略化して示す平面図である。光源から出射される光は回折格子によって零次回折光6、プラス(+)1次回折光7およびマイナス(−)1次回折光8に回折され、光記録媒体に照射される。光記録媒体によって反射された光のうち、零次回折光6は2行2列の行列状に配置された4個の受光素子9a,9b,9c,9dからなる受光素子群9に受光され、+1次回折光7、−1次回折光8は2行1列の行列状に配置された2個の受光素子10e,10f,11g,11hからなる2つの受光素子群10,11にそれぞれ受光される。
【0007】
受光素子9a,9b,9c,9d,10e,10f,11g,11hが検出する検出信号をそれぞれ検出信号A,B,C,D,E,F,G,Hとする。各受光素子が検出する検出信号に基づいて式(1)に示すディファレンシャル・プッシュ・プル(Differential Push Pull;略称:DPP)信号を得ることができる。また検出信号A,B,C,Dが等価回路、2値化回路によって処理された後、位相比較回路によって検出信号Aと検出信号Bとが比較され、また検出信号Dと検出信号Cとが比較されて得られた各パルス列に基づいて式(2)に示すディファレンシャル・フェーズ・ディテクション(Differential Phase Detection;略称:DPD)信号が得られ、得られたDPP信号とDPD信号との差が求められる。DPP信号とDPD信号との差は、光記録媒体のラジアルチルト量の増加に伴って増加するので、DPP信号とDPD信号との差を求めることによって光記録媒体のラジアルチルト量が検出される。
【0008】
ここで、kは{(A+D)−(B+C)}および{(E−F)+(G−H)}
の振幅を等しくするための定数
DPD信号=P(A+D)−P(B+C) …(2)
ここで、Pは位相
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した反射型センサを用いてラジアルチルト量を検出する従来技術には以下の問題がある。光を光記録媒体上に集光する対物レンズとチルトセンサとを光記録媒体の半径方向において同じ位置に設けることができないので、チルトセンサがラジアルチルト量を検出する光記録媒体の半径方向の位置と光スポットの位置とが異なり、光スポットの位置における正確なラジアルチルト量を検出することが困難であるという問題がある。またチルトセンサを備えるので、部材点数が増加し装置が大型化するという問題がある。
【0010】
また特開平2000−149298号公報に開示されたもう1つの従来技術には以下の問題がある。DPD信号は、ピットを有する光記録媒体から反射される反射光の位相差に基づいて検出される信号であるので、高い周波数特性を有する反射光も検出することができる受光素子からなる光検出手段と、前述したDPD信号を求めるための複雑な回路が必要であり、装置のコスト高を招くという問題がある。また、光磁気ディスクのようにピットが形成されていない光記録媒体に対してはDPD信号を利用することができないので、ラジアルチルト量を検出することが困難であるという問題がある。
【0011】
またDPD信号には以下の特性がある。図14は、4種類の光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を示す図である。ここでオフセット量とは、同じ強さのDPD信号を出力する光記録媒体が傾斜していないときの光スポットの位置と光記録媒体が傾斜しているときの光スポットの位置とのずれ量をいう。すべての光記録媒体においてピットが形成されており、トラック幅は0.23μmであり、ピット深さは35nmである。第10ライン81は、ピット長さが363.6nmであり、隣接ピットとの位相関係が同相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示し、第11ライン82は、ピット長さが1090.8nmであり、隣接ピットとの位相関係が逆相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示し、第12ライン83は、ピット長さが363.6nmであり、隣接ピットとの位相関係が逆相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示し、第13ライン84は、ピット長さが1090.8nmであり、隣接ピットとの位相関係が同相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示す。
【0012】
いずれの光記録媒体においてもラジアルチルト量とオフセット量との関係は線形に変動していないことに加え、トレースするピットの長さおよび隣接ピットとの位相関係によってピット幅、ラジアルチルト量などが同じであってもオフセット量が大きく異なる。このように、DPD信号は、ピットの長さ、隣接ピットとの位相関係に依存する傾向がある。このことによって、同じラジアルチルト量であってもピットパターンによってDPD信号は異なり、ラジアルチルト量の検出精度を上げることができないという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、簡易な構成で光記録媒体の傾斜量を精度よく検出することができる光記録媒体の傾斜量検出装置およびそれを備える光ピックアップ装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光によって情報が記録または再生され、トラック幅t1を有する第1トラックとトラック幅t1よりも小さいトラック幅t2(t1>t2)を有する第2トラックとが形成される光記録媒体の傾斜量を検出する光記録媒体の傾斜量検出装置において、
光を出射する光源と、
光源と光記録媒体との間に配置され、光源から出射される光をメインビームと第1および第2サブビームとに回折する光回折手段と、
光記録媒体から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの反射光をそれぞれ検出する光検出手段と、
前記光記録媒体の第1トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいてトラッキング誤差信号を求め、トラッキング誤差信号に応答しトラッキングサーボをかけることによって、トラッキング誤差信号の出力が零になるようにした状態で、前記光記録媒体の第2トラック部分をメインビーム、第1および第2サブビームがトレースし、第2トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいて求められるトラッキング誤差信号を、前記光記録媒体の傾斜量検出信号として検出する傾斜量検出手段とを含むことを特徴とする光記録媒体の傾斜量検出装置である。
【0015】
本発明に従えば、光源から出射される光は、光回折手段によって回折されて光記録媒体に照射される。光記録媒体から反射される光は光検出手段によって受光されて検出信号が出力される。光記録媒体の第1トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいてトラッキング誤差信号が求められ、トラッキング誤差信号に応答しトラッキングサーボをかけることによって、トラッキング誤差信号の出力が零になるようにした状態で、光記録媒体の第2トラック部分をメインビーム、第1および第2サブビームがトレースし、第2トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいて求められるトラッキング誤差信号が光記録媒体の傾斜量検出信号として傾斜量検出手段によって検出される。このことによって、トラッキングサーボをかける過程で自動的に光記録媒体の傾斜量を検出することができる。また、光記録媒体の傾斜量を検出するための部材および演算回路を新たに設ける必要がないので、装置の小型化およびコストの低減を実現することが可能になる。また、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体であれば、記録方式を限定することなくより多くの光記録媒体に対応して傾斜量を検出することができる。
【0016】
また本発明は、前記トラッキング誤差信号は、
前記光検出手段によって検出されるメインビームおよび第1および第2サブビームの検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル(DPP)信号であることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、トラッキング誤差信号は光検出手段によって検出されるメインビームおよび第1および第2サブビームの検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル信号である。このことによって、ピットを有さない光記録媒体においても傾斜量検出信号を検出することができるので、より多くの光記録媒体に対応して傾斜量を精度よく検出することが可能になる。
【0018】
また本発明は、光記録媒体から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームに含まれる信号に基づいて、前記メインビーム、第1および第2サブビームがトレースしている光記録媒体のトラック部分が、第1トラック部分または第2トラック部分のいずれであるかを判断する判断手段と、
前記メインビーム、第1および第2サブビームが第2トラック部分のトレースを開始してから、トラッキング誤差信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでの間に検出されるトラッキング誤差信号を記憶する記憶手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、判断手段の判断結果に応答して記憶手段がトラッキング誤差信号を記憶し、記憶されたトラッキング誤差信号が傾斜量検出信号として利用される。このことによって、第2トラックのトラック長さに関係なく、光記録媒体の第2トラック部分において検出されるトラッキング誤差信号を傾斜量検出信号として利用することができる。
【0020】
また本発明は、光記録媒体の情報を記録または光記録媒体から情報を再生する光ピックアップ装置であって、
前記いずれかに記載の光記録媒体の傾斜量検出装置を備え、
さらに傾斜量検出装置による前記光記録媒体の傾斜量検出出力に応答し、光記録媒体の傾斜量を補正する補正手段と、
前記光記録媒体からの反射光をRF信号として検出するもう1つの光検出手段と、
前記光記録媒体ともう1つの光検出手段との間に配置され、前記光記録媒体からの反射光をもう1つの光検出手段に集光させる集光手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0021】
本発明に従えば、光ピックアップ装置において光記録媒体の傾斜量は傾斜量検出装置によって検出され補正手段によって補正されるので、光記録媒体に対して情報の記録および再生を精度よく行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置21の構成を簡略化して示す系統図であり、図2は図1に示す光ピックアップ装置21に備わる光検出手段22の構成を簡略化して示す平面図であり、図3は光記録媒体23の要部拡大図である。
【0023】
光ピックアップ装置21は、光を出射する光源24と、光源24と光記録媒体23との間に配置され、光源24から出射される光を光記録媒体23上に集光させる集光手段25(以後、第1集光手段と呼ぶ)と、光源24と光記録媒体23との間に配置され、光源24から出射される光をメインビーム26と第1および第2サブビーム27,28とに回折する光回折手段29と、光記録媒体23から反射されるメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28の反射光をそれぞれ検出する光検出手段22(以後、第1光検出手段と呼ぶ)と、光記録媒体23の傾斜量検出信号を検出する傾斜量検出手段31と、光記録媒体23の傾斜量検出出力に応答し、光記録媒体23の傾斜量を補正する補正手段32と、光記録媒体23からの反射光をRF信号として検出するもう1つの光検出手段33(以後、第2光検出手段と呼ぶ)と、光記録媒体23と第1および第2光検出手段22,33との間に配置され、光記録媒体23からの反射光を第1および第2光検出手段22,33にそれぞれ集光させる集光手段34(以後、第2集光手段と呼ぶ)と、各手段の動作を制御する図示しない制御手段とを備え、光記録媒体23に対して情報の記録および再生を行う。
【0024】
光記録媒体23は、たとえばCD−R、書換え型コンパクトディスク(Compact disc-Rewritable;略称:CR−RW)、追記型デジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disc-Recordable;略称:DVD−R)、書換え型デジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disc Rewritable;略称:DVD−RW、Digital Versatile Disc plus Rewritable;略称:DVD+RW、Digital Versatile Disc-Random Access Memory;略称:DVD−RAM)、MOなどの光ディスクである。
【0025】
光記録媒体23は、たとえば使用者が情報を記録することができるグルーブであり、トラック幅t1が0.4μm、グルーブ深さが35nmである第1トラック36と、次に続く第1トラック36のアドレス情報が予めピットを配列することによって記録されているアドレス部であり、トラック幅t2が0.23μm、ピット深さが35nmである第2トラック37とを有する。また第2トラック37はトラック長さが短いので、光記録媒体23に対して情報を記録再生する際、第2トラック37部分においてメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28の検出出力に基づいてトラッキング誤差信号が検出されると、検出されたトラッキング誤差信号に応答してトラッキングサーボがかかる前にメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28は次の第1トラック36部分へ移動する。
【0026】
光記録媒体23の厚みは0.5mm、屈折率は1.62、トラックピッチPは0.8μmである。光記録媒体23は、所望の位置に装着されると図示しないスピンドルモータによって回転駆動される。
【0027】
前述したように光記録媒体23の軸心と対物レンズによって形成されるメインビームの光スポットの位置とを結ぶ直線および直線の延長方向を光記録媒体の半径方向と呼び、光記録媒体に集光される光の光軸に対する光記録媒体の半径方向の傾斜量をラジアルチルト量と呼ぶ。光記録媒体23のラジアルチルト量のうち、光記録媒体が図1の紙面に向かって反時計まわりに傾斜しているときのラジアルチルト量を正とし、図1の紙面に向かって時計まわりに傾斜しているときのラジアルチルト量を負とする。
【0028】
光源24は、半導体レーザ装置であり、たとえば405nmの光を光記録媒体23に向けて出射する。半導体レーザ装置に備わる半導体レーザチップのレーザ放射角は、接合面に水平な方向の角度が10度、接合面に垂直な方向の角度が25度である。
【0029】
第1集光手段25は、コリメートレンズ38と、アナモプリズム39と、第1ビームスプリッタ40と、対物レンズ41とを備える。コリメートレンズ38は、光源24から出射された光を平行光にする。またコリメートレンズ38は、焦点距離が8.37mmである。アナモプリズム39は、光源24から出射される楕円形の光束を円形の光束に成形するとともに、非点収差を補正する。第1ビームスプリッタ40は、光源24からの出射光を透過し、光記録媒体23からの反射光を反射する。
【0030】
対物レンズ41は、入射光を光記録媒体23上の情報記録面に集光し、情報記録面上に光スポットを形成する。対物レンズ41の開口数(Numerical Aperture;略称:NA)は0.6、焦点距離は2mm、ビーム整形比は1:1.5である。また対物レンズ41は、電磁力を利用して対物レンズ41を駆動する2軸アクチュエータ75によって、光記録媒体23へ近接離反する方向であるフォーカス方向、光記録媒体23の半径方向であるトラッキング方向へ駆動される。
【0031】
光回折手段29は、回折格子であり、アナモプリズム39によって成形された円形の光束をメインビーム26である零次回折光と、第1および第2サブビーム27,28であるプラス(+)1次回折光およびマイナス(−)1次回折光とに回折する。(以後、光記録媒体23、第1および第2光検出手段22,33上においてメインビーム26が形成する光スポットをメインスポット26、第1および第2サブビーム27,28が形成する光スポットを第1および第2サイドスポット27,28とそれぞれ呼ぶことがある。)図3に示すように第1サイドスポット27は、光記録媒体23の半径方向においてメインスポット26の位置から軸心側にトラックピッチPの2分の1ずれ、また第2サイドスポット28は、光記録媒体23の半径方向においてメインスポット26の位置から外周側にトラックピッチPの2分の1ずれて位置する。このことによって、光記録媒体23からの第1および第2サブビーム27,28の反射光の位相はメインビーム26の反射光の位相と比較して180度遅れている。またさらに第1サイドスポット27と第2サイドスポット28とは、光スポットがトラックをトレースする方向(以後、トレース方向と呼ぶ)においてメインスポット26の位置から互いに反対の方向に同じ距離だけずれて位置する。
【0032】
第2集光手段34は、第2ビームスプリッタ42と、第1および第2集光レンズ43,44と、シリンドリカルレンズ45とを含む。第2ビームスプリッタ42は、入射した反射光のうち一部の光を第1光検出手段22へ入射する方向へ反射し、残余の光を第2光検出手段33へ入射する方向へ透過する。
【0033】
第1および第2集光レンズ43,44は、入射した光を集束し集束光とする。シリンドリカルレンズ45は、一方向の断面のみ屈折力を有し、一方向と直交する他方向の断面には屈折力がなく、透過した反射光に非点収差を発生させる。
【0034】
制御手段は、傾斜量検出出力に応答して補正手段32を駆動し、光記録媒体23のラジアルチルト量を補正する。また制御手段は、対物レンズ41を駆動する2軸アクチュエータ75の動作、光記録媒体23を回転させるスピンドルモータの動作などを制御する。
【0035】
補正手段32は、対物レンズ41の重心を角変位の中心として対物レンズ41および2軸アクチュエータ75を光記録媒体23に対して角変位駆動することによって、光記録媒体23に集光される光の光軸に対する光記録媒体23の傾斜量を補正する。また補正手段32は、対物レンズ41の重心を角変位の中心として光ピックアップ装置21全体を光記録媒体23に対して角変位駆動する構成であってもよい。
【0036】
第1および第2光検出手段22,33は、たとえばフォトダイオードであり、光記録媒体23からの反射光を受光し、その光量に対応する電流に変換して反射光の検出信号を得る。第2光検出手段33は、フォトダイオードによる検出出力に基づいてRF信号を生成する図示しない信号増幅アンプを備える。生成されたRF信号は、復調処理、誤り訂正処理およびデインターリーブ処理などを行うデータ処理部76に出力される。またデータ処理部76は、後述する判断手段78を備える。
【0037】
第1光検出手段22は、2行2列の行列状に配置された4個の受光素子46a,46b,46c,46dからなる受光素子群46(以後、第1受光素子群と呼ぶ)と、2行1列の行列状に配置された2個の受光素子47e,47f,48g,48hからなる2つの受光素子群47,48(以後、第2、第3受光素子群と呼ぶ)とによって構成される。第1受光素子群46はメインビーム26を受光し、第2および第3受光素子群47,48は第1および第2サブビーム27,28をそれぞれ受光する。光記録媒体23からの第1および第2サブビーム27,28の反射光を受光する第2および第3受光素子群47,48は、光記録媒体23の半径方向およびトレース方向にずれているけれども、図2では便宜上第1、第2および第3受光素子群46,47,48を3行1列の行列状に示す。
【0038】
また、ここでは便宜上、第1受光素子群46に備わる受光素子46a,46b,46c,46dの検出信号をそれぞれ検出信号a,b,c,dと呼び、第2受光素子群47に備わる受光素子47e,47fの検出信号をそれぞれ検出信号e,fと呼び、第3受光素子群48に備わる受光素子48g,48hの検出信号をそれぞれ検出信号g,hと呼ぶ。
【0039】
図4は、傾斜量検出手段31の構成を簡略化して示すブロック図である。傾斜量検出手段31は、演算回路であり、第1光検出手段22の検出出力に基づいてトラッキング誤差信号と、フォーカス誤差信号(Focus Error Signal;略称:FES)とが演算される。トラッキング誤差信号は、第1光検出手段22によって検出されるメインビーム26および第1および第2サブビーム27,28の検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル(以後、DPPと略称する)信号である。また傾斜量検出手段31は、後述する記憶手段77を備える。
【0040】
検出信号a,dは、第1論理和回路49の加算入力端子にそれぞれ入力され、検出信号b,cは第2論理和回路50の加算入力端子にそれぞれ入力されて演算される。得られた信号(a+d)は第1論理差回路51の非反転入力端子に入力され、信号(b+c)は第1論理差回路51の反転入力端子に入力されて信号{(a+d)−(b+c)}が演算される。
【0041】
検出信号eは、第2論理差回路52の非反転入力端子に入力され、検出信号fは、第2論理差回路52の反転入力端子に入力されて信号(e−f)が演算される。検出信号gは、第3論理差回路53の非反転入力端子に入力され、検出信号hは、第3論理差回路53の反転入力端子に入力されて信号(g−h)が演算される。
【0042】
第1論理差回路51によって演算処理された信号{(a+d)−(b+c)}は第4論理差回路54の非反転入力端子に入力される。第2論理差回路52によって演算処理された信号(e−f)と、第3論理差回路53によって演算処理された信号(g−h)とは、第3論理和回路55の加算入力端子にそれぞれ入力され信号{(e−f)+(g−h)}が演算される。得られた信号{(e−f)+(g−h)}は、第1増幅回路56によってk倍に増幅されて第4論理差回路54の反転入力端子に入力される。第4論理差回路54によって演算された信号が第2増幅回路57によってk1倍に増幅されて、式(3)に示すDPP信号が演算される。
ここで、kは{(a+d)−(b+c)}および{(e−f)+(g−h)}の振幅を等しくするための定数
また、第1受光素子群46による検出出力に基づいてFESが求められる。検出信号a,cは、第4論理和回路58の加算入力端子にそれぞれ入力され、検出信号b,dは、第5論理和回路59の加算入力端子にそれぞれ入力され演算される。得られた信号(a+c)は、第5論理差回路60の非反転入力端子に入力され、信号(b+d)は、第5論理差回路60の反転入力端子に入力されて、式(4)に示すFESが演算される。
【0043】
FES=(a+c)−(b+d) …(4)
得られたDPP信号およびFESは、2軸アクチュエータ75に出力されて対物レンズがフォーカス方向およびトラッキング方向へ駆動される。
【0044】
光ピックアップ装置21を構成する以上の部材のうち、光源24、第1集光手段25、光回折手段29、第1光検出手段22、傾斜量検出手段31、第2集光手段34、判断手段78および記憶手段77は、本発明の他の実施の形態である光記録媒体23の傾斜量検出装置61(以下、単に傾斜量検出装置61と呼ぶことがある)を構成する。
【0045】
光記録媒体23が所望の位置に装着されたことが制御手段によって認識されると、光記録媒体23は図示しないスピンドルモータによって回転され、回転する光記録媒体23に向かって光源24から光が出射される。光源24から出射された光は、コリメートレンズ38によって平行光とされ、アナモプリズム39によって円形光束に成形され、非点収差が補正される。アナモプリズム39を透過した光は、光回折手段29によってメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28へ回折され第1ビームスプリッタ40を透過し、対物レンズ41によってそれぞれ集束されて光記録媒体23上に各光スポットが形成される。光記録媒体23からの反射光は、対物レンズ41を透過し、第1ビームスプリッタ40によって反射され、第2ビームスプリッタ42によって一部の光が第1光検出手段22の方向へ反射される。
【0046】
第1光検出手段22の方向へ反射された光は、第1集光レンズ43によって集光され、シリンドリカルレンズ45を透過することによって、非点収差が与えられた後、第1光検出手段22に受光される。第1光検出手段22による検出出力に基づいて傾斜量検出手段31によってDPP信号が検出される。また傾斜量検出手段31によって検出されるFESに応答してフォーカスサーボがかけられる。
【0047】
図5は、光記録媒体23の第1トラック36部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す図である。メインスポット26の位置は、図3に示す光記録媒体23の半径方向におけるトラックの中心62とメインスポットの中心63との距離によって示す。なお、メインスポット26の位置は、光記録媒体23の半径方向においてメインスポット26が光記録媒体23の軸心側に移動したときを正とし、外周側に移動したときを負とする。また、第1および第2サイドスポット27,28はメインスポット26とともに移動するので、メインスポット26の位置が移動すると第1および第2サイドスポット27,28もメインスポット26と同じ距離を移動する。
【0048】
第1ライン64は、光記録媒体23が半径方向に傾斜していないとき、すなわちラジアルチルト量が0度のとき、メインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示し、第2ライン65は、光記録媒体23が傾斜しラジアルチルト量が0.5度のときのメインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示す。
【0049】
光記録媒体23のラジアルチルト量が0度の場合、メインスポット26の位置が0μmであるとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62にあるときDPP信号が零になるけれども、ラジアルチルト量が0.5度の場合、メインスポット26の位置が0.046μmであるとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62から光記録媒体23の軸心側へ0.046μmずれているときDPP信号は零となる。
【0050】
図6は、光記録媒体23の第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す。第3ライン66は、ラジアルチルト量が0度のときのメインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示し、第4ライン67は、ラジアルチルト量が0.5度のときのメインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示す。ラジアルチルト量が0度の場合、メインスポット26の位置が0μmであるとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62にあるときDPP信号は零となるけれども、ラジアルチルト量が0.5度の場合、メインスポット26の位置が0.023μmのとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62から光記録媒体23の軸心側へ0.023μmずれた位置にあるときDPP信号は零となる。
【0051】
図7は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第1トラック36部分および第2トラック37部分におけるオフセット量との関係を示す図である。ここで、オフセット量とは、同じ強さのDPP信号を出力する光記録媒体23が傾斜していないときのメインスポット26の位置と光記録媒体23が傾斜しているときのメインスポット26の位置とのずれ量をいう。第5ライン68は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第1トラック36部分におけるオフセット量との関係を求めた結果を示し、第6ライン69は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるオフセット量との関係を求めた結果を示す。第5および第6ライン68,69はそれぞれ線形に変動している。また第2トラック37部分におけるオフセット量は、第1トラック36部分におけるオフセット量と比較して小さい。
【0052】
ここで図5において第2ライン65は、ラジアルチルト量が0.5度のとき第1トラック36部分において発生するオフセット量分第1ライン64をX軸方向へずらしたものと一致する。また、図6において第4ライン67は、ラジアルチルト量が0.5度のときの第2トラック37部分において発生するオフセット量分第3ライン66をX軸方向へずらしたものと一致する。図7に示すようにラジアルチルト量と第1および第2トラック36,37部分におけるオフセット量との関係は線形に変動している。このことによって、第1および第2トラック36,37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係は、ラジアルチルト量がどのような値を取っても、第1および第3ライン64,66が、図7の第5および第6ライン68,69に示すラジアルチルト量とオフセット量との関係に基づいてX軸方向にずれることよってそれぞれ表されることがわかる。
【0053】
図8は傾斜している光記録媒体23上のメインスポット26の経路を示す図であり、図9は図8に示すメインスポット26の経路におけるDPP信号を示す図である。図9中の第7ライン70は、図8に示すメインスポット26の経路におけるDPP信号の出力を示す。第1トラック36部分をメインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28がトレースすると、メインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28の検出出力に基づいて傾斜量検出手段31によってDPP信号が求められ、DPP信号に応答しトラッキングサーボがかけられる。このとき、対物レンズ41が2軸アクチュエータ75によって駆動され位置制御が行われて第1トラック36部分におけるDPP信号が零となるけれども、光記録媒体23が傾斜しているのでメインスポット26の位置はトラックの中心62からずれている。このずれ量がオフセット量Gである。第1および第2サブビーム27,28も、光記録媒体23が傾斜していないときのスポット位置であるトラックの中心62からトラックピッチPの2分の1ずらした位置からメインスポット26のオフセット量G分ずれている。
【0054】
このオフセット量Gを保ったままメインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28は第2トラック37部分へ移動し、第2トラック37部分をトレースする。図7に示すように第2トラック37部分におけるオフセット量と第1トラック36部分におけるオフセット量とは異なるので、DPP信号は第2トラック37部分において零から変動し、メインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28の検出出力に基づいて傾斜量検出手段31によってDPP信号dが検出される。
【0055】
第2トラック37部分において検出されるDPP信号dは、ラジアルチルト量がたとえば0.5度である場合、第4ライン67に示す第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係において、メインスポット26の位置が0.046μmであるときのDPP信号である。第2トラック37のトラック長さは短いので、第2トラック37部分において検出されるDPP信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでにメインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28が次に続く第1トラック36部分へ移動する。このため、対物レンズ41は第1トラック36部分でトラッキングサーボがかかることによって制御された位置から移動することがなく、メインスポット26の中心63は直線71上を移動し、メインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28が、続く第1トラック36部分へ移動したとき再びDPP信号が零となる。
【0056】
前述したように第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係は、ラジアルチルト量がどのような値を取っても、第3ライン66が、図7の第6ライン69に示すラジアルチルト量とオフセット量との関係に基づいてX軸方向にずれることよって表される。また第1トラック36部分においてDPP信号に応答してトラッキングサーボがかけられDPP信号が零となったときのオフセット量が第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置であるので、図6に示す前記第2トラック37部分のメインスポット26の位置とDPP信号との関係において、図7の第5ライン68に示す各ラジアルチルト量での第1トラック36部分におけるオフセット量、すなわち各ラジアルチルト量での第2トラック37部分のメインスポットの位置に対するDPP信号を前記関係に基づいて算出すると、各ラジアルチルト量での第1トラック36部分におけるオフセット量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係は線形に変動することがわかる。また第5ライン68に示す第1トラック36部分におけるオフセット量とラジアルチルト量との関係は線形に変動しているので、第2トラック37部分におけるDPP信号とラジアルチルト量との関係が線形に変動することがわかる。
【0057】
図10は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係を示す図である。第8ライン72は、傾斜量検出装置61を用いて光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分において検出されるDPP信号との関係を求めた結果を示す。第8ライン72に示すように光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係は前述したように線形に変動している。このことによって、第1トラック36部分においてDPP信号に応答してトラッキングサーボがかけられDPP信号が零となった後の第2トラック37部分におけるDPP信号は、傾斜量検出信号であるラジアルチルト量検出信号として利用することができる。
【0058】
また、ディファレンシャル・フェーズ・ディテクション(以後、DPDと呼ぶ)信号を用いてラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた場合、前述した図14に示すように、ラジアルチルト量とオフセット量との関係が線形に変動していないことに加え、メインスポット26がトレースするピットの長さおよび隣接ピットとの位相関係によってピット幅、ラジアルチルト量などが同じ長さであってもオフセット量が大きく異なる。したがって、ピット長さおよび隣接ピットとの位相関係に大きく依存するDPD信号を利用するより、依存しないDPP信号をラジアルチルト量検出に利用することが好適であることがわかる。このことによって、ピットを有さない光記録媒体においてもラジアルチルト量検出信号を検出することができるので、より多くの光記録媒体に対応してラジアルチルト量を精度よく検出することができる。
【0059】
傾斜量検出装置61によって検出されたラジアルチルト量検出信号は、制御手段に出力され、ラジアルチルト量検出出力に応答して制御手段が補正手段32へ傾き制御信号を出力し補正手段32を駆動することによって光記録媒体23のラジアルチルト量が補正される。また、光記録媒体23のラジアルチルト量の検出および補正と同時に、第2ビームスプリッタ42を透過したメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28は、第2光検出手段33によって受光され、信号増幅アンプによってRF信号として検出される。光記録媒体23に記録された情報を含む信号であるRF信号はデータ処理部76によって復調処理される。RF信号は、誤り訂正符号が検出されて誤り訂正処理が施された後、デインターリーブ処理され8−16変調方式(Eight to Fourteen Modulation-PLUS;略称:EFM−PLUS)によって復調処理されることによって復調信号となる。復調信号は出力可能なレベルまで増幅されて出力される。
【0060】
本発明の傾斜量検出装置61によってラジアルチルト量が検出される前述した光記録媒体23は、第2トラック37のトラック長さが、DPP信号が検出されてもトラッキングサーボがかかることなく次に続く第1トラック36部分をメインスポット26がトレースするほど短いけれども、トラッキングサーボがかかるほど充分長いトラック長さの第2トラックを有する光記録媒体のラジアルチルト量を検出する場合は、以下のようにして検出を行う。
【0061】
前述したように傾斜量検出装置61には、判断手段78と記憶手段77が備わる。判断手段78は、たとえばマイクロコンピュータなどによって実現され、データ処理部76によって得られる復調信号に基づいて、メインビーム26、第1および第2サブビーム27,28がトレースしている光記録媒体のトラック部分が、第1トラック部分または第2トラック部分のいずれであるかを判断する。また判断手段78は、データ処理部76に備わるけれども、データ処理部76とは別に設けてもよい。
【0062】
また記録手段77は、たとえばランダムアクセスメモリ(Random Access Memory;略称:RAM)などからなり、メインビーム26、第1および第2サブビーム27,28が第2トラック部分のトレースを開始してから、DPP信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでの間に検出されるDPP信号を記憶する。
【0063】
図11は、ラジアルチルト量の検出方法を説明するフローチャートである。ステップa1では、光記録媒体に対する情報の再生または記録が開始されると、ラジアルチルト量検出が開始される。ステップa2では、判断手段78によって復調信号のモニタが開始される。またこのとき、傾斜量検出手段31によってDPP信号の検出が開始される。ステップa3では、得られた復調信号が第2トラック部分のデータであるか否かが判断手段78によって判断される。判断結果が肯定であるとき、ステップa4に進む。ステップa4では、第2トラック部分のトレースを開始してから、DPP信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでの間に検出されるDPP信号のうち最大値が記憶手段77によって記憶される。先のステップa3における判断結果が否定であるとき、ステップa2に戻って以降のステップを繰返す。
【0064】
ステップa5では、得られる復調信号が第1トラック部分のデータになったか否かが判断手段78によって判断される。判断結果が肯定であるとき、ステップa6に進む。ステップa6では、記憶手段77に記憶されたDPP信号の最大値をラジアルチルト量検出信号として制御手段に出力し補正手段32を駆動する。先のステップa5における判断結果が否定であるとき、ステップa4に戻って以降のステップを繰返す。ステップa7では、光記録媒体に対する情報の再生または記録が終了か否かを判断する。判断結果が否定であるとき、ステップa2に戻って以降のステップを繰返す。判断結果が肯定であるときa8に進み、ラジアルチルト量検出を終了する。
【0065】
以上によって、第2トラックのトラック長さに関係なく、光記録媒体の第2トラック部分において検出されるトラッキング誤差信号を傾斜量検出信号として利用することができる。
【0066】
本実施の形態の光ピックアップ装置21が備える傾斜量検出装置61によれば、トラッキングサーボをかける過程で自動的に光記録媒体23のラジアルチルト量を検出することができる。また光記録媒体23のラジアルチルト量を検出するための部材および演算回路を新たに設ける必要がないので、装置の小型化およびコストの低減を実現することが可能になる。また、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体23であれば、記録方式を限定することなくより多くの光記録媒体に対応してラジアルチルト量を検出することができる。
【0067】
また本実施の形態の光ピックアップ装置21によれば、光記録媒体23のラジアルチルト量が検出され補正手段32によって補正されるので、光記録媒体23に対して情報の記録および再生を精度よく行うことができる。
【0068】
以上のように本発明の他の実施の形態によれば、傾斜量が検出されるのは円板状の光記録媒体23である光ディスクであるけれども、これに限定されることなく、光によって情報が記録再生され、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体であればたとえば光メモリカードのような矩形またそれ以外の板状光記録媒体であってもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、メインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいて光記録媒体の第1トラック部分におけるトラッキング誤差信号が求められ、トラッキング誤差信号に応答しトラッキングサーボをかけることによって、トラッキング誤差信号の出力が零になるようにした状態で、光記録媒体の第2トラック部分をメインビーム、第1および第2サブビームがトレースし、第2トラック部分におけるトラッキング誤差信号が光記録媒体の傾斜量検出信号として傾斜量検出手段によって検出される。このことによって、トラッキングサーボをかける過程で自動的に光記録媒体の傾斜量を検出することができる。また、光記録媒体の傾斜量を検出するための部材および演算回路を新たに設ける必要がないので、装置の小型化およびコストの低減を実現することが可能になる。また、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体であれば、記録方式を限定することなくより多くの光記録媒体に対応して傾斜量を検出することができる。
【0070】
また本発明によれば、トラッキング誤差信号は光検出手段によって検出されるメインビームおよび第1および第2サブビームの検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル信号である。このことによって、ピットを有さない光記録媒体においても傾斜量検出信号を検出することができるので、より多くの光記録媒体に対応して傾斜量を精度よく検出することが可能になる。
【0071】
また本発明によれば、判断手段の判断結果に応答して記憶手段によって記憶されたトラッキング誤差信号が傾斜量検出信号として利用される。このことによって、第2トラックの長さに関係なく、光記録媒体の第2トラック部分において検出されるトラッキング誤差信号を傾斜量検出信号として利用することができる。
【0072】
また本発明によれば、光ピックアップ装置において光記録媒体の傾斜量は傾斜量検出装置によって検出され補正手段によって補正されるので、光記録媒体に対して情報の記録および再生を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置21の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】図1に示す光ピックアップ装置21に備わる光検出手段22の構成を簡略化して示す平面図である。
【図3】光記録媒体23の要部拡大図である。
【図4】傾斜量検出手段31の構成を簡略化して示すブロック図である。
【図5】光記録媒体23の第1トラック36部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す図である。
【図6】光記録媒体23の第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す。
【図7】光記録媒体23のラジアルチルト量と第1トラック36部分および第2トラック37部分におけるオフセット量との関係を示す図である。
【図8】傾斜している光記録媒体23上のメインスポット26の経路を示す図である。
【図9】図8に示すメインスポット26の経路におけるDPP信号を示す図である。
【図10】光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係を示す図である。
【図11】ラジアルチルト量の検出方法を説明するフローチャートである。
【図12】光記録媒体1上の光スポットの位置2を平面的に示す図である。
【図13】もう1つの従来のラジアルチルト量検出装置に備わる光検出手段5の構成を簡略化して示す平面図である。
【図14】4種類の光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を示す図である。
【符号の説明】
21 光ピックアップ装置
22 第1光検出手段
23 光記録媒体
24 光源
25 第1集光手段
31 傾斜量検出手段
32 補正手段
33 第2光検出手段
34 第2集光手段
61 傾斜量検出装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの出射光に対する光記録媒体の傾斜量を検出する光記録媒体の傾斜量検出装置およびそれを備える光ピックアップ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザ光を情報記録面に照射することによって記録された情報が読取られる円板状光記録媒体として、アルミニウム蒸着層に形成されるピットによって情報が記録されるたとえばコンパクトディスク(Compact Disc;略称:CD)などに加え、たとえばレーザ光の照射によって有機色素などの色素膜が物理的に変化して形成されるピットによって情報が記録される追記型光ディスク(Compact Disc-Recordable;略称:CD−R)、レーザ光の照射と外部磁界により変化する記録膜の磁化方向によって情報が記録される光磁気ディスク(Magneto Optical Disc;略称:MO)およびレーザ光の照射によって変化する記録層のアモルファス状態と結晶化状態とによって情報が記録される相変化型光ディスク(Phase-Change Optical Disc;略称:PD)などの様々な記録様式に基づいて情報が記録される光ディスクが利用されている。
【0003】
光記録媒体の単位面積当りの情報記憶容量である記録密度の増加に伴って、光記録媒体の傾斜量を精度よく検出し、その傾きを制御することによって、光記録媒体に対して情報を記録再生する精度の信頼性を確保することが強く要求されている。したがって、光記録媒体に対して情報の記録および再生を行う際には、光記録媒体に集光される光の光軸に対する光記録媒体の傾斜量の制御が行われる。
【0004】
図12は、光記録媒体1上の光スポットの位置2を平面的に示す図である。光記録媒体1の軸心3と光スポットの位置2とを結ぶ直線4および直線4の延長方向を光記録媒体の半径方向と呼び、光記録媒体に集光される光の光軸に対する光記録媒体の半径方向の傾斜量をラジアルチルト量と呼ぶ。
【0005】
光記録媒体のラジアルチルト量を検出する従来技術は以下のようである。光ピックアップに備わる対物レンズの位置に対して光記録媒体の半径方向へずれた位置にたとえば光反射型センサであるチルトセンサが設けられ、光ピックアップを光記録媒体の半径方向へ移動させたときの反射光量をチルトセンサが受光し、半径方向へ移動する前の反射光量との差を検出することによって、光記録媒体のラジアルチルト量が検出される。
【0006】
また、光記録媒体のラジアルチルト量を検出するもう1つの従来技術がたとえば特開平2000−149298号公報に開示されている。図13は、もう1つの従来のラジアルチルト量検出装置に備わる光検出手段5の構成を簡略化して示す平面図である。光源から出射される光は回折格子によって零次回折光6、プラス(+)1次回折光7およびマイナス(−)1次回折光8に回折され、光記録媒体に照射される。光記録媒体によって反射された光のうち、零次回折光6は2行2列の行列状に配置された4個の受光素子9a,9b,9c,9dからなる受光素子群9に受光され、+1次回折光7、−1次回折光8は2行1列の行列状に配置された2個の受光素子10e,10f,11g,11hからなる2つの受光素子群10,11にそれぞれ受光される。
【0007】
受光素子9a,9b,9c,9d,10e,10f,11g,11hが検出する検出信号をそれぞれ検出信号A,B,C,D,E,F,G,Hとする。各受光素子が検出する検出信号に基づいて式(1)に示すディファレンシャル・プッシュ・プル(Differential Push Pull;略称:DPP)信号を得ることができる。また検出信号A,B,C,Dが等価回路、2値化回路によって処理された後、位相比較回路によって検出信号Aと検出信号Bとが比較され、また検出信号Dと検出信号Cとが比較されて得られた各パルス列に基づいて式(2)に示すディファレンシャル・フェーズ・ディテクション(Differential Phase Detection;略称:DPD)信号が得られ、得られたDPP信号とDPD信号との差が求められる。DPP信号とDPD信号との差は、光記録媒体のラジアルチルト量の増加に伴って増加するので、DPP信号とDPD信号との差を求めることによって光記録媒体のラジアルチルト量が検出される。
【0008】
ここで、kは{(A+D)−(B+C)}および{(E−F)+(G−H)}
の振幅を等しくするための定数
DPD信号=P(A+D)−P(B+C) …(2)
ここで、Pは位相
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した反射型センサを用いてラジアルチルト量を検出する従来技術には以下の問題がある。光を光記録媒体上に集光する対物レンズとチルトセンサとを光記録媒体の半径方向において同じ位置に設けることができないので、チルトセンサがラジアルチルト量を検出する光記録媒体の半径方向の位置と光スポットの位置とが異なり、光スポットの位置における正確なラジアルチルト量を検出することが困難であるという問題がある。またチルトセンサを備えるので、部材点数が増加し装置が大型化するという問題がある。
【0010】
また特開平2000−149298号公報に開示されたもう1つの従来技術には以下の問題がある。DPD信号は、ピットを有する光記録媒体から反射される反射光の位相差に基づいて検出される信号であるので、高い周波数特性を有する反射光も検出することができる受光素子からなる光検出手段と、前述したDPD信号を求めるための複雑な回路が必要であり、装置のコスト高を招くという問題がある。また、光磁気ディスクのようにピットが形成されていない光記録媒体に対してはDPD信号を利用することができないので、ラジアルチルト量を検出することが困難であるという問題がある。
【0011】
またDPD信号には以下の特性がある。図14は、4種類の光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を示す図である。ここでオフセット量とは、同じ強さのDPD信号を出力する光記録媒体が傾斜していないときの光スポットの位置と光記録媒体が傾斜しているときの光スポットの位置とのずれ量をいう。すべての光記録媒体においてピットが形成されており、トラック幅は0.23μmであり、ピット深さは35nmである。第10ライン81は、ピット長さが363.6nmであり、隣接ピットとの位相関係が同相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示し、第11ライン82は、ピット長さが1090.8nmであり、隣接ピットとの位相関係が逆相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示し、第12ライン83は、ピット長さが363.6nmであり、隣接ピットとの位相関係が逆相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示し、第13ライン84は、ピット長さが1090.8nmであり、隣接ピットとの位相関係が同相である光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた結果を示す。
【0012】
いずれの光記録媒体においてもラジアルチルト量とオフセット量との関係は線形に変動していないことに加え、トレースするピットの長さおよび隣接ピットとの位相関係によってピット幅、ラジアルチルト量などが同じであってもオフセット量が大きく異なる。このように、DPD信号は、ピットの長さ、隣接ピットとの位相関係に依存する傾向がある。このことによって、同じラジアルチルト量であってもピットパターンによってDPD信号は異なり、ラジアルチルト量の検出精度を上げることができないという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、簡易な構成で光記録媒体の傾斜量を精度よく検出することができる光記録媒体の傾斜量検出装置およびそれを備える光ピックアップ装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光によって情報が記録または再生され、トラック幅t1を有する第1トラックとトラック幅t1よりも小さいトラック幅t2(t1>t2)を有する第2トラックとが形成される光記録媒体の傾斜量を検出する光記録媒体の傾斜量検出装置において、
光を出射する光源と、
光源と光記録媒体との間に配置され、光源から出射される光をメインビームと第1および第2サブビームとに回折する光回折手段と、
光記録媒体から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの反射光をそれぞれ検出する光検出手段と、
前記光記録媒体の第1トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいてトラッキング誤差信号を求め、トラッキング誤差信号に応答しトラッキングサーボをかけることによって、トラッキング誤差信号の出力が零になるようにした状態で、前記光記録媒体の第2トラック部分をメインビーム、第1および第2サブビームがトレースし、第2トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいて求められるトラッキング誤差信号を、前記光記録媒体の傾斜量検出信号として検出する傾斜量検出手段とを含むことを特徴とする光記録媒体の傾斜量検出装置である。
【0015】
本発明に従えば、光源から出射される光は、光回折手段によって回折されて光記録媒体に照射される。光記録媒体から反射される光は光検出手段によって受光されて検出信号が出力される。光記録媒体の第1トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいてトラッキング誤差信号が求められ、トラッキング誤差信号に応答しトラッキングサーボをかけることによって、トラッキング誤差信号の出力が零になるようにした状態で、光記録媒体の第2トラック部分をメインビーム、第1および第2サブビームがトレースし、第2トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいて求められるトラッキング誤差信号が光記録媒体の傾斜量検出信号として傾斜量検出手段によって検出される。このことによって、トラッキングサーボをかける過程で自動的に光記録媒体の傾斜量を検出することができる。また、光記録媒体の傾斜量を検出するための部材および演算回路を新たに設ける必要がないので、装置の小型化およびコストの低減を実現することが可能になる。また、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体であれば、記録方式を限定することなくより多くの光記録媒体に対応して傾斜量を検出することができる。
【0016】
また本発明は、前記トラッキング誤差信号は、
前記光検出手段によって検出されるメインビームおよび第1および第2サブビームの検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル(DPP)信号であることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、トラッキング誤差信号は光検出手段によって検出されるメインビームおよび第1および第2サブビームの検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル信号である。このことによって、ピットを有さない光記録媒体においても傾斜量検出信号を検出することができるので、より多くの光記録媒体に対応して傾斜量を精度よく検出することが可能になる。
【0018】
また本発明は、光記録媒体から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームに含まれる信号に基づいて、前記メインビーム、第1および第2サブビームがトレースしている光記録媒体のトラック部分が、第1トラック部分または第2トラック部分のいずれであるかを判断する判断手段と、
前記メインビーム、第1および第2サブビームが第2トラック部分のトレースを開始してから、トラッキング誤差信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでの間に検出されるトラッキング誤差信号を記憶する記憶手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、判断手段の判断結果に応答して記憶手段がトラッキング誤差信号を記憶し、記憶されたトラッキング誤差信号が傾斜量検出信号として利用される。このことによって、第2トラックのトラック長さに関係なく、光記録媒体の第2トラック部分において検出されるトラッキング誤差信号を傾斜量検出信号として利用することができる。
【0020】
また本発明は、光記録媒体の情報を記録または光記録媒体から情報を再生する光ピックアップ装置であって、
前記いずれかに記載の光記録媒体の傾斜量検出装置を備え、
さらに傾斜量検出装置による前記光記録媒体の傾斜量検出出力に応答し、光記録媒体の傾斜量を補正する補正手段と、
前記光記録媒体からの反射光をRF信号として検出するもう1つの光検出手段と、
前記光記録媒体ともう1つの光検出手段との間に配置され、前記光記録媒体からの反射光をもう1つの光検出手段に集光させる集光手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0021】
本発明に従えば、光ピックアップ装置において光記録媒体の傾斜量は傾斜量検出装置によって検出され補正手段によって補正されるので、光記録媒体に対して情報の記録および再生を精度よく行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置21の構成を簡略化して示す系統図であり、図2は図1に示す光ピックアップ装置21に備わる光検出手段22の構成を簡略化して示す平面図であり、図3は光記録媒体23の要部拡大図である。
【0023】
光ピックアップ装置21は、光を出射する光源24と、光源24と光記録媒体23との間に配置され、光源24から出射される光を光記録媒体23上に集光させる集光手段25(以後、第1集光手段と呼ぶ)と、光源24と光記録媒体23との間に配置され、光源24から出射される光をメインビーム26と第1および第2サブビーム27,28とに回折する光回折手段29と、光記録媒体23から反射されるメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28の反射光をそれぞれ検出する光検出手段22(以後、第1光検出手段と呼ぶ)と、光記録媒体23の傾斜量検出信号を検出する傾斜量検出手段31と、光記録媒体23の傾斜量検出出力に応答し、光記録媒体23の傾斜量を補正する補正手段32と、光記録媒体23からの反射光をRF信号として検出するもう1つの光検出手段33(以後、第2光検出手段と呼ぶ)と、光記録媒体23と第1および第2光検出手段22,33との間に配置され、光記録媒体23からの反射光を第1および第2光検出手段22,33にそれぞれ集光させる集光手段34(以後、第2集光手段と呼ぶ)と、各手段の動作を制御する図示しない制御手段とを備え、光記録媒体23に対して情報の記録および再生を行う。
【0024】
光記録媒体23は、たとえばCD−R、書換え型コンパクトディスク(Compact disc-Rewritable;略称:CR−RW)、追記型デジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disc-Recordable;略称:DVD−R)、書換え型デジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disc Rewritable;略称:DVD−RW、Digital Versatile Disc plus Rewritable;略称:DVD+RW、Digital Versatile Disc-Random Access Memory;略称:DVD−RAM)、MOなどの光ディスクである。
【0025】
光記録媒体23は、たとえば使用者が情報を記録することができるグルーブであり、トラック幅t1が0.4μm、グルーブ深さが35nmである第1トラック36と、次に続く第1トラック36のアドレス情報が予めピットを配列することによって記録されているアドレス部であり、トラック幅t2が0.23μm、ピット深さが35nmである第2トラック37とを有する。また第2トラック37はトラック長さが短いので、光記録媒体23に対して情報を記録再生する際、第2トラック37部分においてメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28の検出出力に基づいてトラッキング誤差信号が検出されると、検出されたトラッキング誤差信号に応答してトラッキングサーボがかかる前にメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28は次の第1トラック36部分へ移動する。
【0026】
光記録媒体23の厚みは0.5mm、屈折率は1.62、トラックピッチPは0.8μmである。光記録媒体23は、所望の位置に装着されると図示しないスピンドルモータによって回転駆動される。
【0027】
前述したように光記録媒体23の軸心と対物レンズによって形成されるメインビームの光スポットの位置とを結ぶ直線および直線の延長方向を光記録媒体の半径方向と呼び、光記録媒体に集光される光の光軸に対する光記録媒体の半径方向の傾斜量をラジアルチルト量と呼ぶ。光記録媒体23のラジアルチルト量のうち、光記録媒体が図1の紙面に向かって反時計まわりに傾斜しているときのラジアルチルト量を正とし、図1の紙面に向かって時計まわりに傾斜しているときのラジアルチルト量を負とする。
【0028】
光源24は、半導体レーザ装置であり、たとえば405nmの光を光記録媒体23に向けて出射する。半導体レーザ装置に備わる半導体レーザチップのレーザ放射角は、接合面に水平な方向の角度が10度、接合面に垂直な方向の角度が25度である。
【0029】
第1集光手段25は、コリメートレンズ38と、アナモプリズム39と、第1ビームスプリッタ40と、対物レンズ41とを備える。コリメートレンズ38は、光源24から出射された光を平行光にする。またコリメートレンズ38は、焦点距離が8.37mmである。アナモプリズム39は、光源24から出射される楕円形の光束を円形の光束に成形するとともに、非点収差を補正する。第1ビームスプリッタ40は、光源24からの出射光を透過し、光記録媒体23からの反射光を反射する。
【0030】
対物レンズ41は、入射光を光記録媒体23上の情報記録面に集光し、情報記録面上に光スポットを形成する。対物レンズ41の開口数(Numerical Aperture;略称:NA)は0.6、焦点距離は2mm、ビーム整形比は1:1.5である。また対物レンズ41は、電磁力を利用して対物レンズ41を駆動する2軸アクチュエータ75によって、光記録媒体23へ近接離反する方向であるフォーカス方向、光記録媒体23の半径方向であるトラッキング方向へ駆動される。
【0031】
光回折手段29は、回折格子であり、アナモプリズム39によって成形された円形の光束をメインビーム26である零次回折光と、第1および第2サブビーム27,28であるプラス(+)1次回折光およびマイナス(−)1次回折光とに回折する。(以後、光記録媒体23、第1および第2光検出手段22,33上においてメインビーム26が形成する光スポットをメインスポット26、第1および第2サブビーム27,28が形成する光スポットを第1および第2サイドスポット27,28とそれぞれ呼ぶことがある。)図3に示すように第1サイドスポット27は、光記録媒体23の半径方向においてメインスポット26の位置から軸心側にトラックピッチPの2分の1ずれ、また第2サイドスポット28は、光記録媒体23の半径方向においてメインスポット26の位置から外周側にトラックピッチPの2分の1ずれて位置する。このことによって、光記録媒体23からの第1および第2サブビーム27,28の反射光の位相はメインビーム26の反射光の位相と比較して180度遅れている。またさらに第1サイドスポット27と第2サイドスポット28とは、光スポットがトラックをトレースする方向(以後、トレース方向と呼ぶ)においてメインスポット26の位置から互いに反対の方向に同じ距離だけずれて位置する。
【0032】
第2集光手段34は、第2ビームスプリッタ42と、第1および第2集光レンズ43,44と、シリンドリカルレンズ45とを含む。第2ビームスプリッタ42は、入射した反射光のうち一部の光を第1光検出手段22へ入射する方向へ反射し、残余の光を第2光検出手段33へ入射する方向へ透過する。
【0033】
第1および第2集光レンズ43,44は、入射した光を集束し集束光とする。シリンドリカルレンズ45は、一方向の断面のみ屈折力を有し、一方向と直交する他方向の断面には屈折力がなく、透過した反射光に非点収差を発生させる。
【0034】
制御手段は、傾斜量検出出力に応答して補正手段32を駆動し、光記録媒体23のラジアルチルト量を補正する。また制御手段は、対物レンズ41を駆動する2軸アクチュエータ75の動作、光記録媒体23を回転させるスピンドルモータの動作などを制御する。
【0035】
補正手段32は、対物レンズ41の重心を角変位の中心として対物レンズ41および2軸アクチュエータ75を光記録媒体23に対して角変位駆動することによって、光記録媒体23に集光される光の光軸に対する光記録媒体23の傾斜量を補正する。また補正手段32は、対物レンズ41の重心を角変位の中心として光ピックアップ装置21全体を光記録媒体23に対して角変位駆動する構成であってもよい。
【0036】
第1および第2光検出手段22,33は、たとえばフォトダイオードであり、光記録媒体23からの反射光を受光し、その光量に対応する電流に変換して反射光の検出信号を得る。第2光検出手段33は、フォトダイオードによる検出出力に基づいてRF信号を生成する図示しない信号増幅アンプを備える。生成されたRF信号は、復調処理、誤り訂正処理およびデインターリーブ処理などを行うデータ処理部76に出力される。またデータ処理部76は、後述する判断手段78を備える。
【0037】
第1光検出手段22は、2行2列の行列状に配置された4個の受光素子46a,46b,46c,46dからなる受光素子群46(以後、第1受光素子群と呼ぶ)と、2行1列の行列状に配置された2個の受光素子47e,47f,48g,48hからなる2つの受光素子群47,48(以後、第2、第3受光素子群と呼ぶ)とによって構成される。第1受光素子群46はメインビーム26を受光し、第2および第3受光素子群47,48は第1および第2サブビーム27,28をそれぞれ受光する。光記録媒体23からの第1および第2サブビーム27,28の反射光を受光する第2および第3受光素子群47,48は、光記録媒体23の半径方向およびトレース方向にずれているけれども、図2では便宜上第1、第2および第3受光素子群46,47,48を3行1列の行列状に示す。
【0038】
また、ここでは便宜上、第1受光素子群46に備わる受光素子46a,46b,46c,46dの検出信号をそれぞれ検出信号a,b,c,dと呼び、第2受光素子群47に備わる受光素子47e,47fの検出信号をそれぞれ検出信号e,fと呼び、第3受光素子群48に備わる受光素子48g,48hの検出信号をそれぞれ検出信号g,hと呼ぶ。
【0039】
図4は、傾斜量検出手段31の構成を簡略化して示すブロック図である。傾斜量検出手段31は、演算回路であり、第1光検出手段22の検出出力に基づいてトラッキング誤差信号と、フォーカス誤差信号(Focus Error Signal;略称:FES)とが演算される。トラッキング誤差信号は、第1光検出手段22によって検出されるメインビーム26および第1および第2サブビーム27,28の検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル(以後、DPPと略称する)信号である。また傾斜量検出手段31は、後述する記憶手段77を備える。
【0040】
検出信号a,dは、第1論理和回路49の加算入力端子にそれぞれ入力され、検出信号b,cは第2論理和回路50の加算入力端子にそれぞれ入力されて演算される。得られた信号(a+d)は第1論理差回路51の非反転入力端子に入力され、信号(b+c)は第1論理差回路51の反転入力端子に入力されて信号{(a+d)−(b+c)}が演算される。
【0041】
検出信号eは、第2論理差回路52の非反転入力端子に入力され、検出信号fは、第2論理差回路52の反転入力端子に入力されて信号(e−f)が演算される。検出信号gは、第3論理差回路53の非反転入力端子に入力され、検出信号hは、第3論理差回路53の反転入力端子に入力されて信号(g−h)が演算される。
【0042】
第1論理差回路51によって演算処理された信号{(a+d)−(b+c)}は第4論理差回路54の非反転入力端子に入力される。第2論理差回路52によって演算処理された信号(e−f)と、第3論理差回路53によって演算処理された信号(g−h)とは、第3論理和回路55の加算入力端子にそれぞれ入力され信号{(e−f)+(g−h)}が演算される。得られた信号{(e−f)+(g−h)}は、第1増幅回路56によってk倍に増幅されて第4論理差回路54の反転入力端子に入力される。第4論理差回路54によって演算された信号が第2増幅回路57によってk1倍に増幅されて、式(3)に示すDPP信号が演算される。
ここで、kは{(a+d)−(b+c)}および{(e−f)+(g−h)}の振幅を等しくするための定数
また、第1受光素子群46による検出出力に基づいてFESが求められる。検出信号a,cは、第4論理和回路58の加算入力端子にそれぞれ入力され、検出信号b,dは、第5論理和回路59の加算入力端子にそれぞれ入力され演算される。得られた信号(a+c)は、第5論理差回路60の非反転入力端子に入力され、信号(b+d)は、第5論理差回路60の反転入力端子に入力されて、式(4)に示すFESが演算される。
【0043】
FES=(a+c)−(b+d) …(4)
得られたDPP信号およびFESは、2軸アクチュエータ75に出力されて対物レンズがフォーカス方向およびトラッキング方向へ駆動される。
【0044】
光ピックアップ装置21を構成する以上の部材のうち、光源24、第1集光手段25、光回折手段29、第1光検出手段22、傾斜量検出手段31、第2集光手段34、判断手段78および記憶手段77は、本発明の他の実施の形態である光記録媒体23の傾斜量検出装置61(以下、単に傾斜量検出装置61と呼ぶことがある)を構成する。
【0045】
光記録媒体23が所望の位置に装着されたことが制御手段によって認識されると、光記録媒体23は図示しないスピンドルモータによって回転され、回転する光記録媒体23に向かって光源24から光が出射される。光源24から出射された光は、コリメートレンズ38によって平行光とされ、アナモプリズム39によって円形光束に成形され、非点収差が補正される。アナモプリズム39を透過した光は、光回折手段29によってメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28へ回折され第1ビームスプリッタ40を透過し、対物レンズ41によってそれぞれ集束されて光記録媒体23上に各光スポットが形成される。光記録媒体23からの反射光は、対物レンズ41を透過し、第1ビームスプリッタ40によって反射され、第2ビームスプリッタ42によって一部の光が第1光検出手段22の方向へ反射される。
【0046】
第1光検出手段22の方向へ反射された光は、第1集光レンズ43によって集光され、シリンドリカルレンズ45を透過することによって、非点収差が与えられた後、第1光検出手段22に受光される。第1光検出手段22による検出出力に基づいて傾斜量検出手段31によってDPP信号が検出される。また傾斜量検出手段31によって検出されるFESに応答してフォーカスサーボがかけられる。
【0047】
図5は、光記録媒体23の第1トラック36部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す図である。メインスポット26の位置は、図3に示す光記録媒体23の半径方向におけるトラックの中心62とメインスポットの中心63との距離によって示す。なお、メインスポット26の位置は、光記録媒体23の半径方向においてメインスポット26が光記録媒体23の軸心側に移動したときを正とし、外周側に移動したときを負とする。また、第1および第2サイドスポット27,28はメインスポット26とともに移動するので、メインスポット26の位置が移動すると第1および第2サイドスポット27,28もメインスポット26と同じ距離を移動する。
【0048】
第1ライン64は、光記録媒体23が半径方向に傾斜していないとき、すなわちラジアルチルト量が0度のとき、メインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示し、第2ライン65は、光記録媒体23が傾斜しラジアルチルト量が0.5度のときのメインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示す。
【0049】
光記録媒体23のラジアルチルト量が0度の場合、メインスポット26の位置が0μmであるとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62にあるときDPP信号が零になるけれども、ラジアルチルト量が0.5度の場合、メインスポット26の位置が0.046μmであるとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62から光記録媒体23の軸心側へ0.046μmずれているときDPP信号は零となる。
【0050】
図6は、光記録媒体23の第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す。第3ライン66は、ラジアルチルト量が0度のときのメインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示し、第4ライン67は、ラジアルチルト量が0.5度のときのメインスポット26の位置とDPP信号との関係を求めた結果を示す。ラジアルチルト量が0度の場合、メインスポット26の位置が0μmであるとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62にあるときDPP信号は零となるけれども、ラジアルチルト量が0.5度の場合、メインスポット26の位置が0.023μmのとき、すなわちメインスポット26の中心63がトラックの中心62から光記録媒体23の軸心側へ0.023μmずれた位置にあるときDPP信号は零となる。
【0051】
図7は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第1トラック36部分および第2トラック37部分におけるオフセット量との関係を示す図である。ここで、オフセット量とは、同じ強さのDPP信号を出力する光記録媒体23が傾斜していないときのメインスポット26の位置と光記録媒体23が傾斜しているときのメインスポット26の位置とのずれ量をいう。第5ライン68は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第1トラック36部分におけるオフセット量との関係を求めた結果を示し、第6ライン69は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるオフセット量との関係を求めた結果を示す。第5および第6ライン68,69はそれぞれ線形に変動している。また第2トラック37部分におけるオフセット量は、第1トラック36部分におけるオフセット量と比較して小さい。
【0052】
ここで図5において第2ライン65は、ラジアルチルト量が0.5度のとき第1トラック36部分において発生するオフセット量分第1ライン64をX軸方向へずらしたものと一致する。また、図6において第4ライン67は、ラジアルチルト量が0.5度のときの第2トラック37部分において発生するオフセット量分第3ライン66をX軸方向へずらしたものと一致する。図7に示すようにラジアルチルト量と第1および第2トラック36,37部分におけるオフセット量との関係は線形に変動している。このことによって、第1および第2トラック36,37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係は、ラジアルチルト量がどのような値を取っても、第1および第3ライン64,66が、図7の第5および第6ライン68,69に示すラジアルチルト量とオフセット量との関係に基づいてX軸方向にずれることよってそれぞれ表されることがわかる。
【0053】
図8は傾斜している光記録媒体23上のメインスポット26の経路を示す図であり、図9は図8に示すメインスポット26の経路におけるDPP信号を示す図である。図9中の第7ライン70は、図8に示すメインスポット26の経路におけるDPP信号の出力を示す。第1トラック36部分をメインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28がトレースすると、メインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28の検出出力に基づいて傾斜量検出手段31によってDPP信号が求められ、DPP信号に応答しトラッキングサーボがかけられる。このとき、対物レンズ41が2軸アクチュエータ75によって駆動され位置制御が行われて第1トラック36部分におけるDPP信号が零となるけれども、光記録媒体23が傾斜しているのでメインスポット26の位置はトラックの中心62からずれている。このずれ量がオフセット量Gである。第1および第2サブビーム27,28も、光記録媒体23が傾斜していないときのスポット位置であるトラックの中心62からトラックピッチPの2分の1ずらした位置からメインスポット26のオフセット量G分ずれている。
【0054】
このオフセット量Gを保ったままメインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28は第2トラック37部分へ移動し、第2トラック37部分をトレースする。図7に示すように第2トラック37部分におけるオフセット量と第1トラック36部分におけるオフセット量とは異なるので、DPP信号は第2トラック37部分において零から変動し、メインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28の検出出力に基づいて傾斜量検出手段31によってDPP信号dが検出される。
【0055】
第2トラック37部分において検出されるDPP信号dは、ラジアルチルト量がたとえば0.5度である場合、第4ライン67に示す第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係において、メインスポット26の位置が0.046μmであるときのDPP信号である。第2トラック37のトラック長さは短いので、第2トラック37部分において検出されるDPP信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでにメインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28が次に続く第1トラック36部分へ移動する。このため、対物レンズ41は第1トラック36部分でトラッキングサーボがかかることによって制御された位置から移動することがなく、メインスポット26の中心63は直線71上を移動し、メインスポット26、第1および第2サイドスポット27,28が、続く第1トラック36部分へ移動したとき再びDPP信号が零となる。
【0056】
前述したように第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係は、ラジアルチルト量がどのような値を取っても、第3ライン66が、図7の第6ライン69に示すラジアルチルト量とオフセット量との関係に基づいてX軸方向にずれることよって表される。また第1トラック36部分においてDPP信号に応答してトラッキングサーボがかけられDPP信号が零となったときのオフセット量が第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置であるので、図6に示す前記第2トラック37部分のメインスポット26の位置とDPP信号との関係において、図7の第5ライン68に示す各ラジアルチルト量での第1トラック36部分におけるオフセット量、すなわち各ラジアルチルト量での第2トラック37部分のメインスポットの位置に対するDPP信号を前記関係に基づいて算出すると、各ラジアルチルト量での第1トラック36部分におけるオフセット量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係は線形に変動することがわかる。また第5ライン68に示す第1トラック36部分におけるオフセット量とラジアルチルト量との関係は線形に変動しているので、第2トラック37部分におけるDPP信号とラジアルチルト量との関係が線形に変動することがわかる。
【0057】
図10は、光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係を示す図である。第8ライン72は、傾斜量検出装置61を用いて光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分において検出されるDPP信号との関係を求めた結果を示す。第8ライン72に示すように光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係は前述したように線形に変動している。このことによって、第1トラック36部分においてDPP信号に応答してトラッキングサーボがかけられDPP信号が零となった後の第2トラック37部分におけるDPP信号は、傾斜量検出信号であるラジアルチルト量検出信号として利用することができる。
【0058】
また、ディファレンシャル・フェーズ・ディテクション(以後、DPDと呼ぶ)信号を用いてラジアルチルト量とオフセット量との関係を求めた場合、前述した図14に示すように、ラジアルチルト量とオフセット量との関係が線形に変動していないことに加え、メインスポット26がトレースするピットの長さおよび隣接ピットとの位相関係によってピット幅、ラジアルチルト量などが同じ長さであってもオフセット量が大きく異なる。したがって、ピット長さおよび隣接ピットとの位相関係に大きく依存するDPD信号を利用するより、依存しないDPP信号をラジアルチルト量検出に利用することが好適であることがわかる。このことによって、ピットを有さない光記録媒体においてもラジアルチルト量検出信号を検出することができるので、より多くの光記録媒体に対応してラジアルチルト量を精度よく検出することができる。
【0059】
傾斜量検出装置61によって検出されたラジアルチルト量検出信号は、制御手段に出力され、ラジアルチルト量検出出力に応答して制御手段が補正手段32へ傾き制御信号を出力し補正手段32を駆動することによって光記録媒体23のラジアルチルト量が補正される。また、光記録媒体23のラジアルチルト量の検出および補正と同時に、第2ビームスプリッタ42を透過したメインビーム26、第1および第2サブビーム27,28は、第2光検出手段33によって受光され、信号増幅アンプによってRF信号として検出される。光記録媒体23に記録された情報を含む信号であるRF信号はデータ処理部76によって復調処理される。RF信号は、誤り訂正符号が検出されて誤り訂正処理が施された後、デインターリーブ処理され8−16変調方式(Eight to Fourteen Modulation-PLUS;略称:EFM−PLUS)によって復調処理されることによって復調信号となる。復調信号は出力可能なレベルまで増幅されて出力される。
【0060】
本発明の傾斜量検出装置61によってラジアルチルト量が検出される前述した光記録媒体23は、第2トラック37のトラック長さが、DPP信号が検出されてもトラッキングサーボがかかることなく次に続く第1トラック36部分をメインスポット26がトレースするほど短いけれども、トラッキングサーボがかかるほど充分長いトラック長さの第2トラックを有する光記録媒体のラジアルチルト量を検出する場合は、以下のようにして検出を行う。
【0061】
前述したように傾斜量検出装置61には、判断手段78と記憶手段77が備わる。判断手段78は、たとえばマイクロコンピュータなどによって実現され、データ処理部76によって得られる復調信号に基づいて、メインビーム26、第1および第2サブビーム27,28がトレースしている光記録媒体のトラック部分が、第1トラック部分または第2トラック部分のいずれであるかを判断する。また判断手段78は、データ処理部76に備わるけれども、データ処理部76とは別に設けてもよい。
【0062】
また記録手段77は、たとえばランダムアクセスメモリ(Random Access Memory;略称:RAM)などからなり、メインビーム26、第1および第2サブビーム27,28が第2トラック部分のトレースを開始してから、DPP信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでの間に検出されるDPP信号を記憶する。
【0063】
図11は、ラジアルチルト量の検出方法を説明するフローチャートである。ステップa1では、光記録媒体に対する情報の再生または記録が開始されると、ラジアルチルト量検出が開始される。ステップa2では、判断手段78によって復調信号のモニタが開始される。またこのとき、傾斜量検出手段31によってDPP信号の検出が開始される。ステップa3では、得られた復調信号が第2トラック部分のデータであるか否かが判断手段78によって判断される。判断結果が肯定であるとき、ステップa4に進む。ステップa4では、第2トラック部分のトレースを開始してから、DPP信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでの間に検出されるDPP信号のうち最大値が記憶手段77によって記憶される。先のステップa3における判断結果が否定であるとき、ステップa2に戻って以降のステップを繰返す。
【0064】
ステップa5では、得られる復調信号が第1トラック部分のデータになったか否かが判断手段78によって判断される。判断結果が肯定であるとき、ステップa6に進む。ステップa6では、記憶手段77に記憶されたDPP信号の最大値をラジアルチルト量検出信号として制御手段に出力し補正手段32を駆動する。先のステップa5における判断結果が否定であるとき、ステップa4に戻って以降のステップを繰返す。ステップa7では、光記録媒体に対する情報の再生または記録が終了か否かを判断する。判断結果が否定であるとき、ステップa2に戻って以降のステップを繰返す。判断結果が肯定であるときa8に進み、ラジアルチルト量検出を終了する。
【0065】
以上によって、第2トラックのトラック長さに関係なく、光記録媒体の第2トラック部分において検出されるトラッキング誤差信号を傾斜量検出信号として利用することができる。
【0066】
本実施の形態の光ピックアップ装置21が備える傾斜量検出装置61によれば、トラッキングサーボをかける過程で自動的に光記録媒体23のラジアルチルト量を検出することができる。また光記録媒体23のラジアルチルト量を検出するための部材および演算回路を新たに設ける必要がないので、装置の小型化およびコストの低減を実現することが可能になる。また、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体23であれば、記録方式を限定することなくより多くの光記録媒体に対応してラジアルチルト量を検出することができる。
【0067】
また本実施の形態の光ピックアップ装置21によれば、光記録媒体23のラジアルチルト量が検出され補正手段32によって補正されるので、光記録媒体23に対して情報の記録および再生を精度よく行うことができる。
【0068】
以上のように本発明の他の実施の形態によれば、傾斜量が検出されるのは円板状の光記録媒体23である光ディスクであるけれども、これに限定されることなく、光によって情報が記録再生され、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体であればたとえば光メモリカードのような矩形またそれ以外の板状光記録媒体であってもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、メインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいて光記録媒体の第1トラック部分におけるトラッキング誤差信号が求められ、トラッキング誤差信号に応答しトラッキングサーボをかけることによって、トラッキング誤差信号の出力が零になるようにした状態で、光記録媒体の第2トラック部分をメインビーム、第1および第2サブビームがトレースし、第2トラック部分におけるトラッキング誤差信号が光記録媒体の傾斜量検出信号として傾斜量検出手段によって検出される。このことによって、トラッキングサーボをかける過程で自動的に光記録媒体の傾斜量を検出することができる。また、光記録媒体の傾斜量を検出するための部材および演算回路を新たに設ける必要がないので、装置の小型化およびコストの低減を実現することが可能になる。また、トラック幅が異なる少なくとも2つのトラックを有する光記録媒体であれば、記録方式を限定することなくより多くの光記録媒体に対応して傾斜量を検出することができる。
【0070】
また本発明によれば、トラッキング誤差信号は光検出手段によって検出されるメインビームおよび第1および第2サブビームの検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル信号である。このことによって、ピットを有さない光記録媒体においても傾斜量検出信号を検出することができるので、より多くの光記録媒体に対応して傾斜量を精度よく検出することが可能になる。
【0071】
また本発明によれば、判断手段の判断結果に応答して記憶手段によって記憶されたトラッキング誤差信号が傾斜量検出信号として利用される。このことによって、第2トラックの長さに関係なく、光記録媒体の第2トラック部分において検出されるトラッキング誤差信号を傾斜量検出信号として利用することができる。
【0072】
また本発明によれば、光ピックアップ装置において光記録媒体の傾斜量は傾斜量検出装置によって検出され補正手段によって補正されるので、光記録媒体に対して情報の記録および再生を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置21の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】図1に示す光ピックアップ装置21に備わる光検出手段22の構成を簡略化して示す平面図である。
【図3】光記録媒体23の要部拡大図である。
【図4】傾斜量検出手段31の構成を簡略化して示すブロック図である。
【図5】光記録媒体23の第1トラック36部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す図である。
【図6】光記録媒体23の第2トラック37部分におけるメインスポット26の位置とDPP信号との関係を示す。
【図7】光記録媒体23のラジアルチルト量と第1トラック36部分および第2トラック37部分におけるオフセット量との関係を示す図である。
【図8】傾斜している光記録媒体23上のメインスポット26の経路を示す図である。
【図9】図8に示すメインスポット26の経路におけるDPP信号を示す図である。
【図10】光記録媒体23のラジアルチルト量と第2トラック37部分におけるDPP信号との関係を示す図である。
【図11】ラジアルチルト量の検出方法を説明するフローチャートである。
【図12】光記録媒体1上の光スポットの位置2を平面的に示す図である。
【図13】もう1つの従来のラジアルチルト量検出装置に備わる光検出手段5の構成を簡略化して示す平面図である。
【図14】4種類の光記録媒体におけるラジアルチルト量とオフセット量との関係を示す図である。
【符号の説明】
21 光ピックアップ装置
22 第1光検出手段
23 光記録媒体
24 光源
25 第1集光手段
31 傾斜量検出手段
32 補正手段
33 第2光検出手段
34 第2集光手段
61 傾斜量検出装置
Claims (4)
- 光によって情報が記録または再生され、トラック幅t1を有する第1トラックとトラック幅t1よりも小さいトラック幅t2(t1>t2)を有する第2トラックとが形成される光記録媒体の傾斜量を検出する光記録媒体の傾斜量検出装置において、
光を出射する光源と、
光源と光記録媒体との間に配置され、光源から出射される光をメインビームと第1および第2サブビームとに回折する光回折手段と、
光記録媒体から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの反射光をそれぞれ検出する光検出手段と、
前記光記録媒体の第1トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいてトラッキング誤差信号を求め、トラッキング誤差信号に応答しトラッキングサーボをかけることによって、トラッキング誤差信号の出力が零になるようにした状態で、前記光記録媒体の第2トラック部分をメインビーム、第1および第2サブビームがトレースし、第2トラック部分から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームの検出出力に基づいて求められるトラッキング誤差信号を、前記光記録媒体の傾斜量検出信号として検出する傾斜量検出手段とを含むことを特徴とする光記録媒体の傾斜量検出装置。 - 前記トラッキング誤差信号は、
前記光検出手段によって検出されるメインビームおよび第1および第2サブビームの検出信号を減算演算または加算演算して得られるディファレンシャル・プッシュ・プル(DPP)信号であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の傾斜量検出装置。 - 光記録媒体から反射されるメインビーム、第1および第2サブビームに含まれる信号に基づいて、前記メインビーム、第1および第2サブビームがトレースしている光記録媒体のトラック部分が、第1トラック部分または第2トラック部分のいずれであるかを判断する判断手段と、
前記メインビーム、第1および第2サブビームが第2トラック部分のトレースを開始してから、トラッキング誤差信号に応答してトラッキングサーボがかかるまでの間に検出されるトラッキング誤差信号を記憶する記憶手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の光記録媒体の傾斜量検出装置。 - 光記録媒体の情報を記録または光記録媒体から情報を再生する光ピックアップ装置であって、
前記請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体の傾斜量検出装置を備え、
さらに傾斜量検出装置による前記光記録媒体の傾斜量検出出力に応答し、光記録媒体の傾斜量を補正する補正手段と、
前記光記録媒体からの反射光をRF信号として検出するもう1つの光検出手段と、
前記光記録媒体ともう1つの光検出手段との間に配置され、前記光記録媒体からの反射光をもう1つの光検出手段に集光させる集光手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置。
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