JP3958436B2 - 塩素含有重合体用安定剤及び塩素含有重合体組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非鉛系の塩素含有重合体用安定剤及び安定化された塩素含有重合体組成物に関するもので、より詳細には耐低温熱老化性が顕著に向上した塩素含有重合体用安定剤及び塩素含有重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケイ酸カルシウム(カルシウムシリケート)が樹脂用配合剤として使用されていることは、古くから知られており、本出願人の提案にかかる特開平4−15237号公報には、特定のX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートが、熱安定化作用に優れた樹脂配合剤となることが記載されている。
【0003】
また、イソシアヌレート化合物が塩素含有重合体に含有されることも知られており、特開昭51−74043号公報にはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートと有機酸塩を含有する塩化ビニル系樹脂組成物が記載されている。
【0004】
ハイドロタルサイトが塩素含有重合体に対して熱安定化作用を有することも古くから知られており、例えば、特開昭55−80445号公報には、塩素含有重合体等の100重量部に対して、ハイドロタルサイトを0.01乃至5重量部配合することが記載されている。
【0005】
ケイ酸塩とハイドロタルサイトとの組み合わせを塩素含有重合体の安定剤として使用することも既に公知であり、特開平5−179090号公報には、塩素含有重合体100重量部当たり過塩素酸基含有ハイドロタルサイト0.05乃至10重量部及びアルミニウムもしくはアルカリ土類金属のケイ酸塩0.001乃至3重量部を含有する安定化された樹脂組成物が記載されている。
【0006】
また、特開平8−109297号公報には、塩化ビニル樹脂100重量部当たりハイドロタルサイト0.05乃至10重量部及びアルカリ土類金属酸化物当たりのシリカのモル比が2.2乃至8のアルカリ土類金属のケイ酸塩0.001乃至3重量部を含有する電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の提案に見られる安定剤は、非鉛系でありながら、ある程度の熱安定化作用を示すという点では評価に値するが、未だ低温熱老化性に関しては満足すべき結果が得られていない。
【0008】
即ち、塩素含有重合体に関して従来問題としている耐熱性は、180℃程度の比較的高温での耐熱性であり、この高温での耐熱性はそれはそれとして重要なものではあるが、一方塩素含有重合体は、例えば100℃程度の比較的低温に長時間曝されたときにも、老化するという問題があり、この低温熱老化により、樹脂が着色し、或いは伸び等の機械的性質が低下する傾向がある。
【0009】
本発明者らは、ケイ酸カルシウムの内でも、特定の組成とX線回折像とを有する微結晶カルシウムシリケート或いはこれと多価アルコールとの複合物を選択し、これをイソシアヌレート化合物と組み合わせるときには、熱安定性が顕著に向上すると共に、耐低温熱老化性も顕著に向上し、初期着色も少ないことを見いだした。
【0010】
即ち、本発明の目的は、熱安定性と共に耐低温熱老化性も顕著に向上した非鉛系の塩素含有重合体用安定剤を提供するにある。
【0011】
本発明の他の目的は、優れた熱安定性を有するともに、耐低温熱老化性にも優れており、電線被覆材として有用な非鉛系の塩素含有重合体組成物を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数であり、nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ面間隔3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.78乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケート或いはその多価アルコールとの複合物と、(B)イソシアヌレート化合物とを含有し、且つ前記成分(A)と(B)イソシアヌレート化合物が(A):(B)=5.0:95.0乃至99.8:0.2の重量比で存在する塩素含有重合体用安定剤が提供される。
本発明によればまた、塩素含有重合体100重量部当たり、(A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数であり、nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ比表面積が60乃至200m2 /gの範囲にある微結晶カルシウムシリケート或いは上記微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20重量比で含有する複合物を0.05乃至10重量部、及び(B)イソシアヌレート化合物を0.01乃至3.0重量部、特に0.02乃至1.0重量部含有することを特徴とする低温熱老化性の改善された塩素含有重合体組成物が提供される。
本発明の安定剤においては、
1.(A)微結晶カルシウムシリケートと(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を(A):(C)=0.5:99.5乃至99.0:1.0の重量比で更に含有させること、
2.(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(D)高級脂肪酸亜鉛を{(A)+(B)}:(D)=20:80乃至90:10の重量比で、同様に前記(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステルを{(A)+(B)}:(E)=35:65乃至99.9:0.1の重量比で更に含有させること、
3.(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(F)フェノール系酸化防止剤を{(A)+(B)}:(F)=35:65乃至99.9:0.1の重量比で更に含有させること、
が好ましい。
本発明の塩素含有重合体組成物においては、塩素含有重合体100重量部当たり、
1.(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を0.1乃至10.0重量部の量で更に含有させること、
2.(D)高級脂肪酸亜鉛を0.1乃至5.0重量部及び(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステル0.01乃至5.0重量部更に含有させること、
3.(F)フェノール系酸化防止剤を0.01乃至5.0重量部更に含有させること、
が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明では、ケイ酸カルシウムとして、(A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数、好適には0.5乃至5.0の数、最も好適には0.5乃至3.0の数であり、
nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ面間隔3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.78乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートを選択する。
【0014】
上記微結晶カルシウムシリケートは、前述した特開平4−15237号公報に記載されて公知のものであるが、本発明では、この微結晶カルシウムシリケートを選択して、これをイソシアヌレート化合物と組み合わせることにより、後述する表5、6に示すとおり、熱安定性と耐低温熱老化性とを顕著に向上させることができる。
【0015】
カルシウムシリケートとしては、ゾノトライト、トバモライト等の多くの鉱物が知られているが、本発明では、前述した特定の化学組成とX線回折像とを有する微結晶カルシウムシリケートを主安定剤として用いることにより、塩素含有重合体の熱安定性を向上させることができる。即ち、後述する比較例3に示すとおり、ゾノトライトを主安定剤として配合した塩化ビニル樹脂組成物は、190℃で約120分の黒化時間、コンゴーレッド法で求めて300分の塩化水素捕捉時間を示すに過ぎないのに対して、本発明で規定した微結晶カルシウムシリケートを主安定剤として配合した塩化ビニル樹脂組成物(実施例1)は、190℃で約160分以上の黒化時間、コンゴーレッド法で求めて362分の塩化水素捕捉時間を示すのであって、優れた熱安定化作用を有することが明らかである。
【0016】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、塩素含有重合体の熱安定性の向上に顕著に役立つものではあるが、耐低温熱老化性の点では未だ改善される余地があることが分かった。
即ち、上記の微結晶カルシウムシリケートを主安定剤として配合した塩素含有重合体組成物を、100℃の温度で1週間保持すると、この樹脂組成物はピンク色に着色する傾向が認められる。
【0017】
ところが、この微結晶カルシウムシリケートとイソシアヌレート化合物を5.0:95.0乃至99.8:0.2の重量比、特に好適には15:85乃至99:1の重量比で配合すると、上記の温度で上記の時間保持した場合にも、着色傾向が抑制されるのである。
【0018】
塩素含有重合体の低温熱老化性と対比されるものとして、塩素含有重合体の初期着色と一般的な耐熱性とがあるが、初期着色は安定剤が配合された塩素含有重合体がその加工温度(一般に150乃至170℃)で熱加工された後での着色であり、一方耐熱性は塩素含有重合体の脱塩酸反応が生じる様な温度条件(一般に180乃至200℃)での着色評価であるのに対して、低温熱老化ではこれらの温度よりもかなり低い温度でしかも長時間の熱履歴で生じる着色或いは劣化であって、温度条件もまたその原因も全く異なるものと思われる。
【0019】
本発明において、微結晶カルシウムシリケートに対してイソシアヌレート化合物を一定量比で組み合わせることにより、耐低温熱老化性が向上するのは、多数の実験の結果現象として見い出されたものであり、その理由は何らかの意味で本発明を拘束するものでは決してないが、ピンク色の着色は、微結晶カルシウムシリケートと塩素含有重合体との相互作用による軽度のポリエン構造の形成或いは更に錯体の形成に基づくものと解されるのに対して、イソシアヌレート化合物はこれらのポリエン構造の形成或いは錯体の形成を抑制していると信じられる。
【0020】
本発明においては、上記(A)微結晶カルシウムシリケート或いはその多価アルコールとの複合物に対して、(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を(A):(C)=0.5:99.5乃至99.0:1.0の重量比で組み合わせることが、耐低温熱老化性を優れたレベルに保持しながら、耐熱性を一層向上させるために好ましい。
【0021】
また、安定剤配合塩素含有重合体組成物の初期着色傾向を抑制するために、(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌネート化合物の合計と(D)高級脂肪酸亜鉛を{(A)+(B)}:(D)=20:80乃至90:10重量比で、同様に(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステルを{(A)+(B)}:(E)=35:65乃至99.9:0.1重量比で更に含有させることが好ましい。
【0022】
更に、(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(F)フェノール系酸化防止剤を{(A)+(B)}:(F)=35:65乃至99.9:0.1重量比で配合すると、塩化水素捕捉時間をかなり延長させることが可能となる。
【0023】
[微結晶カルシウムシリケート]
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、前記一般式(1)で表される化学組成と、前述したX線回折像とを有している。この一般式において、xは0.5以上の数であるが、0.5乃至5.0の範囲、特に0.5乃至3.0の範囲にあることが好ましい。また、nは2.5以下の数であるが、0.5乃至1.0の範囲にあることが好ましい。
【0024】
シリカ分の含有量が、この範囲を越えて大きいときには、上記範囲内にある場合に比して熱安定性が低下する傾向があり、一方、この範囲を越えて小さい場合には、上記範囲内にある場合に比して初期着色傾向が増大する場合がある。この微結晶カルシウムシリケートは、若干水和している方が、熱安定化の活性が大きくなる傾向があるが、水和量が余りにも多くなると、樹脂の発泡傾向があるので好ましくない。
【0025】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートのX線回折像を図1に示す。この微結晶カルシウムシリケートと化学組成が近いゾノトライトのX線回折像を図2に示す。これらの対比から、本発明で用いるカルシウムシリケートは、微細結晶であることが理解される。
【0026】
本発明で使用する微結晶カルシウムシリケートのX線回折像について、その3強線を示すと、下記表1
【表1】
表中、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示している、
のとおりとなるが、その最強ピークがかなりブロードなものとなっていることが明らかである。
【0027】
結晶のX線回折では、下記のBraggの式(3)
nλ = 2dhkl Sinθ ‥‥(3)
式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl は結晶の(hk l)の面間隔であり、θは回折角である、
を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさとの間にも、下記のScherrerの式(4)
式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸法、Kは約0.9の定数、Hは干渉ピークの半価幅(ラジアン)、λ及びθは前記式 (3)と同一である、
で表される関係がある。
【0028】
図1のX線回折像から、面指数220の回折ピークの半価幅を求め、この半価幅から、前記式(4)により、結晶子のサイズを算出すると、面指数220の結晶子サイズは、60乃至120オングストロームの範囲に一般に抑制されている。
【0029】
カルシウムシリケートによる熱安定化作用は、結晶の表面を通して発現されるものであり、結晶子のサイズが小さくなれば、その表面積は当然大きくなるから、本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートが熱安定化作用に優れていることが容易に了解されるものである。
【0030】
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、下記式(2)
IS =tanθ2 /tanθ1 ‥‥(2)
式中、θ1 は面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、θ2 は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(IS )が1.75以上、特に1.8乃至2.0の範囲にあることが好ましい。本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、前述したX線回折像からも明らかなとおり、層状の微細結晶であるが、上記の積層不整指数とは、層のC軸方向の積み重ねが不規則である程度を示すものであり、この値が大きいほど、不規則性が大きいことを示している。本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、積層が不規則的であるため、活性表面が大きく、塩素含有重合体の安定化作用に優れているものである。
【0031】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、一般に40μm以上の粒度のものが全体の10重量%以下で且つ20μm以下の粒度のものが全体の50重量%以上であるような粒度分布を有していることが、塩素含有重合体への均一な分散と熱安定化効果の点で好ましい。また、この微結晶カルシウムシリケートは、上記の粒子構造に関連して、60乃至200m2 /g、特に70乃至150m2 /gの比較的大きな比表面積、0.5ml/g以上、特に1.0乃至4.0ml/gの細孔容積、及び0.1乃至10μmの平均粒径50乃至250ml/100g、特に80乃至200ml/100gの吸油量を有している。
【0032】
この微結晶カルシウムシリケートは、非晶質の活性ケイ酸を石灰乳中で微粉砕することにより製造できるが、勿論この製造法に限定されない。
【0033】
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、塩化亜鉛に対しマスキング乃至キレート作用を有する有機配合剤を細孔内或いは表面に保持するものであることが好ましい。
【0034】
この目的の有機配合剤としては、多価アルコールが好ましく、その適当な例は次の通りである。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリスイソシアヌレート、ジペンタエリスリトールアジペート等を挙げることができる。ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが好適である。
【0035】
本発明の好適な態様では、(C)微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20、特に30:70乃至60:40の重量比で含有する複合物の形で使用する。上記の複合物は、塩素含有重合体の熱安定性を顕著に向上させうると共に、初期着色や亜鉛バーニングを防止し、移行性も小さいという利点を与える。この複合物は、一般に多価アルコールと微結晶カルシウムシリケートとを湿式及び乾式で共粉砕することにより得られる。
【0036】
多価アルコールの含有量が上記範囲よりも少ないと、初期着色や亜鉛バーニングの点で不満足となり、また上記範囲を上回ると、移行性が増大する傾向がある。多価アルコールとしては、ペンタエリスリトールやジペンタエリスリトールが好適である。
【0037】
[イソシアヌレート化合物]
本発明に用いるイソシアヌレート化合物は、下記式(5)
【化1】
式中、R1 、R2 及びR3 の各々は、ヒドロキシアルキル基である、で表されるトリス(ヒドロキシアルキル)シアヌレートであることが好ましく、その適当な例としては、トリス(ヒドロキシエチル)シアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)シアヌレート、トリス(ヒドロキシブチル)シアヌレート、トリス(2,3−ジヒドロキシプロピル)シアヌレート、トリス(グリシジル)シアヌレート等が挙げられる。
【0038】
上記トリス(ヒドロキシアルキル)シアヌレートは、前述した量比で用いることも重要であり、上記量比を下回ると、本発明の範囲内にある場合に比して耐低温熱老化性が低下する傾向があり、上記量比を上回ると、本発明の範囲内にある場合に比して耐熱性が低下する傾向がある。
【0039】
[ハイドロタルサイト]
前記微結晶カルシウムシリケート及びイソシアヌレート化合物と組み合わせで使用できるハイドロタルサイトは、炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化物に属する合成鉱物であり、一般式(6)
M2+ x M3+ y (OH)2x+3y-2z(A++)z ・aH2 O ‥(6)
式中、M2+はMg等の2価金属イオンであり、M3+はAl等の3価金属イオンであり、A++はCO3 等の2価アニオンであり、
x,y及びzは8≧x/y ≧1/4 およびz/x+y >1/20を満足する正数であり、
aは0.25≦a/x+y ≦1.0 を満足する数である。
で表される化学組成を有する。
【0040】
これらの複合金属水酸化物の内、式(7)
Mg6 Al2 (OH)16(CO3 )・4H2 O ‥(7)
で表わされる化合物は、ハイドロタルサイトとして知られる天然鉱物であり、この鉱物及び同族類は、協和化学工業株式会社の出願に係る特公昭47−32198号、特公昭48−29477号及び特公昭48−29478号公報記載の方法等により合成されるものである。
【0041】
これらのハイドロタルサイト類、特に式(8)
Mg4.5 Al2 (OH)13(CO3 )・3H2 O ‥(8)
で示される化合物が塩素イオンの捕捉性能に優れていることも既に知られており、このものを本発明の配合成分として用いることもできる。
【0042】
これらのハイドロタルサイト類が水に十分に分散された状態において容易にイオン交換されるという特性、即ち炭酸イオンが他のアニオンでイオン交換されるという性質を利用して、過ハロゲン酸素酸イオンを導入したものを用いることもできる。
【0043】
本発明では、通常のMg型のハイドロタルサイトを使用できるのは勿論であるが、亜鉛変性のハイドロタルサイトを使用することもできる。亜鉛変性ハイドロタルサイトとしては、前記一般式(6)において、M2+の2価金属イオンがMgとZnとの組み合わせからなるものであり、Mg:Znの原子比が9:1乃至1.8:1、特に3:1乃至2.5:1の範囲にあるものが、熱安定性と初期着色防止の点で優れている。
【0044】
[アルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩]
ハイドロタルサイトの代わりに用いるアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩としては、リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩、ドーソナイト型のナトリウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩或いはこれらの混晶が挙げられる。
【0045】
(1.リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩)
リチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(LAHCS)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面体層の空位(ベーカント)にリチウムイオンが入り込み、その電荷を補うためにアニオンが組み込まれたものとされている。即ち、リチウムイオンはカチオンの中でイオン半径が最も小さく、しかも1価イオンとしては例外的に6配位イオンであるため上記空位に入り、上記構造をとるものと認められる。
【0046】
このリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、下記式(9)、
mAl2 O3 ・nM2 O・X・kH2 O ‥‥(9)
式中、Xは炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはリチウムを主体とするアルカリ金属であり、
mは1.5乃至2.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至10の数である、
で表される組成を有しており、下記表2
【表2】
のX線回折像を有する。
【0047】
好適なリチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、下記数式(2)
IS = tanθ2 /tanθ1 …(2)
式中、θ1 は一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、θ2 は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とがなす角度を表す、
で定義される積層不整指数(IS )が面指数(016)のピークにおいて1.0以下であり且つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下であるものである。
【0048】
本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、波数547、735、1004、1375及び3443(cm-1)に大きな吸収のある赤外線吸収スペクトルを有する。
【0049】
また、本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有していること、JIS K6721で測定して、0.1乃至0.35g/cm3 、特に0.25乃至0.35g/cm3 の嵩密度を有すること、10乃至70m2 /gのBET比表面積を有すること、吸油量も40乃至70ml/100gと小さいことが好ましい。
【0050】
上記リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、勿論これに限定されるものではないが、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルと、リチウムの炭酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(Al2 O3 )としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させる方法(以下単に水和アルミナゲル法と呼ぶことがある)により、或いは、ギブサイト型水酸化アルミニウムの微粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸イオン及びリチウムイオンを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との組合せとを水の存在下に反応させる方法、即ちマイグレーション法により製造される。
【0051】
(2.ドーソナイト型アルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩)
本発明に用いるドーソナイト型のアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩(NAHCS)は、下記式(10)
mAl2 O3 ・nM2 O・X・kH2 O ‥‥(10)
式中、Xは炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはナトリウム、カリウムを主体とするアルカリ金属又はアンモニウム基であり、mは0.5乃至1.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至3の数である、
で表される組成を有する。
【0052】
ドーソナイト型結晶構造とは、Cu−αを用いたX線回折において、下記表3
【表3】
表中、VSは非常に強い、Sは強い、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示している、
と実質上同じX線回折像を示すものをいう。
【0053】
また、このド−ソナイトは、熱重量分析において、300℃以下の温度において実質上重量減少を有しないものであり、樹脂の混練時或いは成形時において、発泡を防止する上で好適である。
【0054】
本発明に好適に使用されるドーソナイト型結晶構造のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、Cu−αX線回折像における面指数(011)のピークの半値幅が0.4゜以上であり、且つ濃度5重量%の水性スラリーとしたときの比抵抗が8000Ω・cm以下であるものである。
【0055】
本発明に用いるナトリウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩において、面指数(011)のピークの半値幅が大きいということは、b軸方向(繊維軸方向)への結晶サイズが小さいということを示している。
【0056】
一般のドーソナイトは、アスペクト比の極めて大きい微細繊維の集束が絡み合って、粗大で糸鞠状の2次粒子を結合しているが、上記のドーソナイトは、繊維構造の発達の程度は極めて小さく、2次粒子も凝集の程度の小さな粒子形状であることが確認できる。
【0057】
従って、この粒子形状に関連して、一般のドーソナイトは吸油量が70乃至100ml/100gで比較的に大きめであるが、本発明で好適使用するドーソナイトの吸油量は40ml/100g以上70ml/100g未満である。更に前者の顔料体積濃度は35%以下と低めであるが、後者は40乃至50%と高めの特徴を有している。
【0058】
また、本発明に用いるドーソナイト型のアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩の粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有していること、吸油量(JIS K−5101)が50乃至110ml/100gの範囲にあり、BET比表面積が30乃至110m2 /gの範囲にあり、見掛比重(鉄シリンダー法)が0.1乃至0.3g/cm3 の範囲にあることが好ましい。
【0059】
ドーソナイト型のアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、そのアルカリ分がナトリウム、カリウム、アンモニウムの炭酸塩を用いて、それぞれのアルミニウム水酸化物炭酸塩とすることができる。
決してこれに限定されるものではないが、前述した水和アルミナゲル法において、リチウムの炭酸塩の代わりにナトリウム、カリウム、アンモニウムの炭酸塩を用いることにより製造される。
【0060】
また、非晶質乃至は擬ベーマイト型の水和アルミナと反応させるアルカリ塩をナトリウム炭酸塩とリチウム炭酸塩との組合せで行うことにより、LAHCSとドーソナイトとの混晶から成るアルカリ・アルミニウム複合水酸化炭酸塩が得られる。
【0061】
上記のLAHCS及びドーソナイト型のNAHCSは、そのまま塩素含有重合体に配合できることは勿論であるが、該複合塩の表面特性を改質させるために、予め10重量%以下、特に1乃至6重量%の表面処理剤で処理しておくと、樹脂中への分散性が向上し、透光性も更に向上するので好ましい。
【0062】
かかる表面処理剤としては、シラン系、アルミニウム系、チタン系或いはジルコニウム系のカップリング剤、高級脂肪酸、金属石鹸或いは樹脂酸石鹸、微粉末非晶質シリカまたは界面活性剤等が目的に応じて使用される。
一般に、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を含む反応母液中に高級脂肪酸或いは界面活性剤を添加して、攪拌下に処理するのがよい。
【0063】
これらのハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩は、単独でも組み合わせでも使用することができ、前記(A)微結晶カルシウムシリケートと(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩は(A):(C)=0.5:99.5乃至99.0:1.0の重量比で使用するのが好ましいが、5:95乃至95:5重量比で用いるのが一層好ましい。
【0064】
[高級脂肪酸亜鉛]
本発明では、上記成分に加えて、前記(A)成分と(B)成分の合計と(D)高級脂肪酸亜鉛を、90:10乃至20:80重量比、特に80:20乃至50:50重量比で更に配合することが好ましい。上記(D)成分を用いることにより、暖色系の初期着色を有効に防止することが可能となる。
【0065】
亜鉛塩となる脂肪酸としては、炭素数8乃至22、特に8乃至14、最も好適には8乃至12の飽和乃至不飽和脂肪酸、例えばオクチル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。ステアリン酸、パルミチン酸等を使用することもできるが、亜鉛バーニングを防止するには、より低級の脂肪酸が好適である。安定性の点では飽和脂肪酸が望ましく、ステアリン酸、ラウリン酸が最も好適なものである。脂肪酸は勿論ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。
【0066】
更に本発明の性能を損なわない程度にアミノ酸亜鉛を加えることができる。
アミノ酸亜鉛となるアミノ酸としては、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロニン、オキシプロニン等を使用することもできる
【0067】
これらの脂肪酸亜鉛、アミノ酸亜鉛は、滑剤としての作用をも兼ねるものであり、正塩であることが好ましい。
【0068】
[β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステル]
本発明では、上記成分に加えて、(E)β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルを含有することができ、前記(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(E)β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルを{(A)+(B)}:(E)=99.9:0.1乃至35:65の重量比で使用するのが好ましく、特に95:5乃至40:60重量比で更に配合することが好ましい。上記(E)成分を用いることにより、初期着色や亜鉛バーニングを有効に防止することが可能となる。
【0069】
β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることが出来る。
【0070】
[フェノール系酸化防止剤]
本発明ではまた、前記成分に加えて、(F)フェノール系酸化防止剤を更に含有でき、前記成分(A)+(B)と(F)フェノール系酸化防止剤が{(A)+(B)}:(F)=99.9:0.1乃至35:65、特に好ましくは95:5乃至40:60の重量比で存在することが好ましい。この酸化防止剤は、連鎖反応による減成等を抑制するのに有用である。
【0071】
本発明に用いるフェノール系酸化防止剤としては、ビスフェノール型酸化防止剤、立体障害性フェノール系酸化防止剤が何れも使用される。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
これらのフェノール系酸化防止剤は、単独でも組み合わせでも使用することができ、更にフェノール系以外の酸化防止剤と組み合わせて使用しても良い。
【0072】
[複合安定剤]
本発明の複合安定剤は、粉粒体の形で、即ち粉末の形で、或いは粒状物の形で、ワンパックの安定剤として使用することができる。粒状物の製造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法を用いることができる。粉粒体の粒度は、粒度は目的に応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μm乃至5mm特に70μm乃至2mmの範囲にあるのが好適である。
【0073】
[塩素含有重合体組成物]
本発明による耐低温熱老化性塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり、(A)微結晶カルシウムシリケート或いは上記微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20重量比で含有する複合物を0.05乃至10重量部、特に0.1乃至5重量部及び(B)イソシアヌレート化合物を0.01乃至3重量部、特に0.02乃至1.0重量部含有する。
【0074】
耐熱性に関して好適な塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり、(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を0.1乃至10重量部、特に0.2乃至5.0重量部更に含有する。
【0075】
初期着色に関して好適な塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり(D)高級脂肪酸亜鉛を0.1乃至5.0重量部、特に0.2乃至2.0重量部及び(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステル0.01乃至5.0重量部、特に0.03乃至1.0重量部更に含有する。
【0076】
耐熱性に関して好適な塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり(E)フェノール系酸化防止剤を0.01乃至5.0重量部、特に0.05乃至2.0重量部更に含有する。
【0077】
塩素含有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品などを挙げることができる。
【0078】
本発明の塩素含有重合体組成物には、それ自体公知の塩素含有重合体用配合剤をそれ自体公知の処方に従って、配合することができる。例えば、本発明の組成物には、可塑剤、滑剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、強化剤、改質用樹脂乃至ゴム、塩基性無機金属塩、過塩素酸塩、エポキシ化合物、帯電防止剤、脂肪酸エステル等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0079】
例えば、電気絶縁性向上の目的で、非晶質シリカ、焼成カオリン、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、チタンホワイト、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム等を、(A)乃至(D)の合計量100重量部当たり20乃至1000重量部、特に200乃至500重量部の量で配合することができる。
【0080】
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤、テトラヒドロフタール酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤などがあげられる。
【0081】
滑剤としては、(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられる。
【0082】
衝撃強化剤としては、例えば30〜40%の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エステルを主体とする共重合ゴムにメチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、メタルメタクリエート・ブタジエン・スチレン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙げられる。
【0083】
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤は勿論、アンチモン、ジルコン、モリブデン、アルミニウム、シリカ、チタンの酸化物、水酸化物、及び硫化物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、これら亜鉛化合物の金属水酸化物表面処理品などが挙げられる。
【0084】
塩基性金属塩は塩基性の無機酸金属塩であり、金属成分としては、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Ti,Al,Zr,Sn等が好ましく、無機酸としてはリン酸、亜リン酸、ケイ酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、ホウ酸、炭酸塩等が挙げられる。
この塩基性無機酸塩の好ましい例としては、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Al(OH)3、Ba(OH)3、MgO,CaO,BaO,Al2O3、SnO2、3CaO・Na3PO4、5CaO・NaHPO4、MgO・Mg3(PO4)2、3CaO・Ca3(PO4)2、Ca(OH)2・Ca3(PO4)2、Ba(OH)2・Ca3(PO4)2・3H2O、Sr(OH2)・Sr3(PO4)2、Ba0・Ba3(PO4)2、3Ba(OH2)・Ba3(PO4)2、ZnO・Zn3(PO4)2、2ZnO・BA3(PO4)2、Al2O3・AlPO4、3SnO・Sn3(PO4)2、Ba(OH2)2・NaHPHO3、5CaO・NaHPHO3、3Ba(OH)2・K2PHO3、MgO・MgPHO3、5Mg(OH)2・MgPHO3、CaO・CaHO3、3CaO(OH)2CaPHO3、Ba(OH)2・CaPHO3、5CaO・CaPHO3、BaO・BaPHO3、2Ba(OH)2・BaPHO3、3Ba(OH)2・BaPHO3・3H2O、ZnO・ZnPHO3、ZnO・3CaPHO3、TiO2・Ti(PHO3)2、Al2O3・Al2(PHO3)3、3ZrO・ZrPHO3、SnO・SnPHO3、3SnO・SnPHO3、Mg(OH)2・Mg2SiO4、3MgO・MgSiO3、CaO・Ca2SiO4、3CaO・Li2SiO3、3CaO・CaSi2O5、2Ca(OH)2・Ca2Si3O8、SrO・SrSiO3、5BaO・Ba2SiO4、Ba(OH)2・Ba2SiO4・6H2O、Ba(OH)2・BaSiO3、3Ba(OH)・BaSi2O5、3BaO・Ba2SiO4、Ba(OH)2・CaSiO3、2ZnO・ZnSiO3、ZnO・3CaSiO3、CaO・Sn2SiO4、Mg(OH)・Mg(NO3)2、3CaO・Ca(NO3)2、2Ca(OH)2・Ca(NO2)2・5H2O、3BaO・Ba(NO3)2、Ba(OH)2・Na2SO4、ZnO・K2SO4、3CaO・K2SO3、Mg(OH)2・MgSO4、5MgO・MgSO3、2MgO・MgSO3、MgO・CaSO3、5CaO・CaSO4、Ca(OH)2・CaSO4、3CaO・CaSO3、SrOSrSO2、3BaO・BaSO4、3BaO・CaSO3、Ba(OH)2・BaSO4、TiO2・TI(SO4)2、Al2O3・Al2(SO4)3、Al(OH)2・MgSO4、MgO・Mg3(BO4)2、CaO・(BO4)2、5Ca(OH)2・Ca3(BO4)2、3CaO・Ca(BO2)2、3Ba(OH)2・Ba3(BO4)2、3BaO・BaB4H7、5Ba(OH)2・Ba(BO2)2、NaHCO3、Mg(HCO3)2、LiHCO3、BaCO3、MgCO3、ZnCO3、Li2CO3がある。
【0085】
過塩素酸イオン導入ハイドロタルサイト及びアルカリアルミニウム複合水酸化物塩の他には、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸亜鉛があげられる。
また、それら過塩素酸塩と多価アルコールの錯体も使用でき、好ましい多価アルコールは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールモノメチルエーテルがあげられる。
【0086】
紫外線吸収剤としては例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類があげられる。
【0087】
ヒンダードアミン系化合物としては例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレートなどがあげられ、光安定剤や熱安定助剤として用いられる。
【0088】
エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化魚油、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、トリス8エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどがあげられる。
【0089】
本発明で使用する帯電防止剤は一般にポリオレフィンフィルムに使用されるもの全てが適用可能である。具体的な帯電防止剤としては、(イ)第一級アミン塩、第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、ピリジン誘導体等のカチオン系のもの、(ロ)硫酸化油、石ケン、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エルテル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系のもの、(ハ)多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等の非イオン系のもの、(ニ)カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性系のものが一般に使用可能であるが、特に非イオン系、中でもポリオキシエチレンアルキルアミンやポリオキシエチレンアルキルアミドないしそれらの脂肪酸エステル、グリセリンの脂肪酸エステル等が好ましい。
【0090】
脂肪酸エステルとしては部分エステルも含み、ステアリン酸n−ブチル、水添ロジンメチルエステル、セバチン酸ジブチル〈n−ブチル〉、セバチン酸ジオクチル〈2−エチルヘキシル、n−オクチル共〉グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリト−ルテトラステアレート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸ジエステル、ポリエチレングリコールトール油脂肪酸ジエステル、エタンジオールモンタン酸ジエステル、1,3ブタンジオールモンタン酸ジエステル、ジエチレングリコールステアリン酸ジエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステル、トリグリセライドワックス、水添食用油脂、12−ヒドロオキシステアリン酸のグリセリンエステル、スパームアセチワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、蜜蝋、木蝋、一価脂肪酸アルコールと脂肪酸飽和酸エステル、〈例:硬化鯨油ラウリルステアレート、ステアリルステアレート〉、ラノリン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸変性ポリオレフィンワックス、エポキシ変性ポリエチレンワックス、石油系ワックス等があげられる。
【0091】
【実施例】
本発明を次の実施例で更に説明する。
実施例における測定は、以下の方法で行った。
(1)ギヤオーブン耐熱性
混練成形したPVCシートをオーブン中にて190℃に加熱し、時間毎の着 色度合いを1〜6段階で評価した
1.無色
2.淡黄色
3.黄色
4.黄褐色
5.赤褐色
6.黒色化
(2)熱安定性(CR)
JIS−K−6723法に準じて、180℃におけるコンゴーレッド法による塩化水素捕捉性試験により測定した。
(3)低温熱老化試験
表5,6に示す配合の組成物を温度160℃、5分間ロールミルで混練を行い、厚さ1mmの均一な塩化ビニルシートを一定日数後に取り出してその着色状態を目視観察し判定した。
シートの着色度は下記の4段階に分けて評価した、評価基準を下記に示す。
【0092】
(合成例1)
本発明実施例に使用される微結晶カルシウムシリケート合成方法の一例を具体的に説明する。
石灰乳スラリー(Ca0分6%)498.8gと平均粒径5ミクロンの活性ケイ酸粉末42.8gを磁性ポットミルに入れ、54時間摩砕反応を行い、pH10のスラリーを得た。これを濾過・水洗後、110℃で乾燥し、次いで小型のサンプルミルで粉砕してSiO2/CaOモル比が1.25の微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(CSH−1)を得た、同様にSiO2/CaOモル比が2.5となるように微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(CSH−2)を得た。この物性を表4に示す。
【0093】
(合成例2)
本発明実施例に使用される微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールの摩砕混合物の合成方法の一例を具体的に説明する。
石灰乳スラリー(Ca0分6%)285gと平均粒径5ミクロンの活性ケイ酸粉末24.2gとジペンタエリスリトール40gを磁性ポットミルに入れ、54時間摩砕反応を行い、pH10のスラリーを得た。これを濾過・水洗後、110℃で乾燥し、次いで小型のサンプルミルで粉砕して多価アルコール被覆微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(CASH)を得たこの物性を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
(実施例1〜5、比較例1〜3)
表5に記載の配合物を160℃の混練ロールで5分間混練し、約1mmの厚さのシートを作成した。そのシートから試験片を作成しギヤオーブン耐熱性、熱安定性、低温熱老化性を測定した、その結果を表5に示す。
【0096】
(実施例6〜12、比較例4〜6)
表6に記載の配合物を160℃の混練ロールで5分間混練し、一定の厚さのシートを作成した。そのシートから試験片を作成しギヤオーブン耐熱性、熱安定性、低温熱老化性を測定した、その結果を表6に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ酸カルシウムの内でも、特定の組成とX線回折像とを有する微結晶カルシウムシリケート或いはこれと多価アルコールとの複合物を選択し、これをイソシアヌレート化合物と組み合わせ、これを塩素含有重合体の安定剤として用いることにより、塩素含有重合体の熱安定性が顕著に向上すると共に、耐低温熱老化性も顕著に向上させることができる。
本発明による塩素含有重合体組成物は、電線被覆材として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートのX線回折像である。
【図2】本発明の微結晶カルシウムシリケートと化学組成が近いゾノトライトのX線回折像である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、非鉛系の塩素含有重合体用安定剤及び安定化された塩素含有重合体組成物に関するもので、より詳細には耐低温熱老化性が顕著に向上した塩素含有重合体用安定剤及び塩素含有重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケイ酸カルシウム(カルシウムシリケート)が樹脂用配合剤として使用されていることは、古くから知られており、本出願人の提案にかかる特開平4−15237号公報には、特定のX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートが、熱安定化作用に優れた樹脂配合剤となることが記載されている。
【0003】
また、イソシアヌレート化合物が塩素含有重合体に含有されることも知られており、特開昭51−74043号公報にはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートと有機酸塩を含有する塩化ビニル系樹脂組成物が記載されている。
【0004】
ハイドロタルサイトが塩素含有重合体に対して熱安定化作用を有することも古くから知られており、例えば、特開昭55−80445号公報には、塩素含有重合体等の100重量部に対して、ハイドロタルサイトを0.01乃至5重量部配合することが記載されている。
【0005】
ケイ酸塩とハイドロタルサイトとの組み合わせを塩素含有重合体の安定剤として使用することも既に公知であり、特開平5−179090号公報には、塩素含有重合体100重量部当たり過塩素酸基含有ハイドロタルサイト0.05乃至10重量部及びアルミニウムもしくはアルカリ土類金属のケイ酸塩0.001乃至3重量部を含有する安定化された樹脂組成物が記載されている。
【0006】
また、特開平8−109297号公報には、塩化ビニル樹脂100重量部当たりハイドロタルサイト0.05乃至10重量部及びアルカリ土類金属酸化物当たりのシリカのモル比が2.2乃至8のアルカリ土類金属のケイ酸塩0.001乃至3重量部を含有する電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の提案に見られる安定剤は、非鉛系でありながら、ある程度の熱安定化作用を示すという点では評価に値するが、未だ低温熱老化性に関しては満足すべき結果が得られていない。
【0008】
即ち、塩素含有重合体に関して従来問題としている耐熱性は、180℃程度の比較的高温での耐熱性であり、この高温での耐熱性はそれはそれとして重要なものではあるが、一方塩素含有重合体は、例えば100℃程度の比較的低温に長時間曝されたときにも、老化するという問題があり、この低温熱老化により、樹脂が着色し、或いは伸び等の機械的性質が低下する傾向がある。
【0009】
本発明者らは、ケイ酸カルシウムの内でも、特定の組成とX線回折像とを有する微結晶カルシウムシリケート或いはこれと多価アルコールとの複合物を選択し、これをイソシアヌレート化合物と組み合わせるときには、熱安定性が顕著に向上すると共に、耐低温熱老化性も顕著に向上し、初期着色も少ないことを見いだした。
【0010】
即ち、本発明の目的は、熱安定性と共に耐低温熱老化性も顕著に向上した非鉛系の塩素含有重合体用安定剤を提供するにある。
【0011】
本発明の他の目的は、優れた熱安定性を有するともに、耐低温熱老化性にも優れており、電線被覆材として有用な非鉛系の塩素含有重合体組成物を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数であり、nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ面間隔3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.78乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケート或いはその多価アルコールとの複合物と、(B)イソシアヌレート化合物とを含有し、且つ前記成分(A)と(B)イソシアヌレート化合物が(A):(B)=5.0:95.0乃至99.8:0.2の重量比で存在する塩素含有重合体用安定剤が提供される。
本発明によればまた、塩素含有重合体100重量部当たり、(A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数であり、nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ比表面積が60乃至200m2 /gの範囲にある微結晶カルシウムシリケート或いは上記微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20重量比で含有する複合物を0.05乃至10重量部、及び(B)イソシアヌレート化合物を0.01乃至3.0重量部、特に0.02乃至1.0重量部含有することを特徴とする低温熱老化性の改善された塩素含有重合体組成物が提供される。
本発明の安定剤においては、
1.(A)微結晶カルシウムシリケートと(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を(A):(C)=0.5:99.5乃至99.0:1.0の重量比で更に含有させること、
2.(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(D)高級脂肪酸亜鉛を{(A)+(B)}:(D)=20:80乃至90:10の重量比で、同様に前記(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステルを{(A)+(B)}:(E)=35:65乃至99.9:0.1の重量比で更に含有させること、
3.(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(F)フェノール系酸化防止剤を{(A)+(B)}:(F)=35:65乃至99.9:0.1の重量比で更に含有させること、
が好ましい。
本発明の塩素含有重合体組成物においては、塩素含有重合体100重量部当たり、
1.(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を0.1乃至10.0重量部の量で更に含有させること、
2.(D)高級脂肪酸亜鉛を0.1乃至5.0重量部及び(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステル0.01乃至5.0重量部更に含有させること、
3.(F)フェノール系酸化防止剤を0.01乃至5.0重量部更に含有させること、
が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明では、ケイ酸カルシウムとして、(A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数、好適には0.5乃至5.0の数、最も好適には0.5乃至3.0の数であり、
nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ面間隔3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.78乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートを選択する。
【0014】
上記微結晶カルシウムシリケートは、前述した特開平4−15237号公報に記載されて公知のものであるが、本発明では、この微結晶カルシウムシリケートを選択して、これをイソシアヌレート化合物と組み合わせることにより、後述する表5、6に示すとおり、熱安定性と耐低温熱老化性とを顕著に向上させることができる。
【0015】
カルシウムシリケートとしては、ゾノトライト、トバモライト等の多くの鉱物が知られているが、本発明では、前述した特定の化学組成とX線回折像とを有する微結晶カルシウムシリケートを主安定剤として用いることにより、塩素含有重合体の熱安定性を向上させることができる。即ち、後述する比較例3に示すとおり、ゾノトライトを主安定剤として配合した塩化ビニル樹脂組成物は、190℃で約120分の黒化時間、コンゴーレッド法で求めて300分の塩化水素捕捉時間を示すに過ぎないのに対して、本発明で規定した微結晶カルシウムシリケートを主安定剤として配合した塩化ビニル樹脂組成物(実施例1)は、190℃で約160分以上の黒化時間、コンゴーレッド法で求めて362分の塩化水素捕捉時間を示すのであって、優れた熱安定化作用を有することが明らかである。
【0016】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、塩素含有重合体の熱安定性の向上に顕著に役立つものではあるが、耐低温熱老化性の点では未だ改善される余地があることが分かった。
即ち、上記の微結晶カルシウムシリケートを主安定剤として配合した塩素含有重合体組成物を、100℃の温度で1週間保持すると、この樹脂組成物はピンク色に着色する傾向が認められる。
【0017】
ところが、この微結晶カルシウムシリケートとイソシアヌレート化合物を5.0:95.0乃至99.8:0.2の重量比、特に好適には15:85乃至99:1の重量比で配合すると、上記の温度で上記の時間保持した場合にも、着色傾向が抑制されるのである。
【0018】
塩素含有重合体の低温熱老化性と対比されるものとして、塩素含有重合体の初期着色と一般的な耐熱性とがあるが、初期着色は安定剤が配合された塩素含有重合体がその加工温度(一般に150乃至170℃)で熱加工された後での着色であり、一方耐熱性は塩素含有重合体の脱塩酸反応が生じる様な温度条件(一般に180乃至200℃)での着色評価であるのに対して、低温熱老化ではこれらの温度よりもかなり低い温度でしかも長時間の熱履歴で生じる着色或いは劣化であって、温度条件もまたその原因も全く異なるものと思われる。
【0019】
本発明において、微結晶カルシウムシリケートに対してイソシアヌレート化合物を一定量比で組み合わせることにより、耐低温熱老化性が向上するのは、多数の実験の結果現象として見い出されたものであり、その理由は何らかの意味で本発明を拘束するものでは決してないが、ピンク色の着色は、微結晶カルシウムシリケートと塩素含有重合体との相互作用による軽度のポリエン構造の形成或いは更に錯体の形成に基づくものと解されるのに対して、イソシアヌレート化合物はこれらのポリエン構造の形成或いは錯体の形成を抑制していると信じられる。
【0020】
本発明においては、上記(A)微結晶カルシウムシリケート或いはその多価アルコールとの複合物に対して、(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を(A):(C)=0.5:99.5乃至99.0:1.0の重量比で組み合わせることが、耐低温熱老化性を優れたレベルに保持しながら、耐熱性を一層向上させるために好ましい。
【0021】
また、安定剤配合塩素含有重合体組成物の初期着色傾向を抑制するために、(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌネート化合物の合計と(D)高級脂肪酸亜鉛を{(A)+(B)}:(D)=20:80乃至90:10重量比で、同様に(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステルを{(A)+(B)}:(E)=35:65乃至99.9:0.1重量比で更に含有させることが好ましい。
【0022】
更に、(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(F)フェノール系酸化防止剤を{(A)+(B)}:(F)=35:65乃至99.9:0.1重量比で配合すると、塩化水素捕捉時間をかなり延長させることが可能となる。
【0023】
[微結晶カルシウムシリケート]
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、前記一般式(1)で表される化学組成と、前述したX線回折像とを有している。この一般式において、xは0.5以上の数であるが、0.5乃至5.0の範囲、特に0.5乃至3.0の範囲にあることが好ましい。また、nは2.5以下の数であるが、0.5乃至1.0の範囲にあることが好ましい。
【0024】
シリカ分の含有量が、この範囲を越えて大きいときには、上記範囲内にある場合に比して熱安定性が低下する傾向があり、一方、この範囲を越えて小さい場合には、上記範囲内にある場合に比して初期着色傾向が増大する場合がある。この微結晶カルシウムシリケートは、若干水和している方が、熱安定化の活性が大きくなる傾向があるが、水和量が余りにも多くなると、樹脂の発泡傾向があるので好ましくない。
【0025】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートのX線回折像を図1に示す。この微結晶カルシウムシリケートと化学組成が近いゾノトライトのX線回折像を図2に示す。これらの対比から、本発明で用いるカルシウムシリケートは、微細結晶であることが理解される。
【0026】
本発明で使用する微結晶カルシウムシリケートのX線回折像について、その3強線を示すと、下記表1
【表1】
表中、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示している、
のとおりとなるが、その最強ピークがかなりブロードなものとなっていることが明らかである。
【0027】
結晶のX線回折では、下記のBraggの式(3)
nλ = 2dhkl Sinθ ‥‥(3)
式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl は結晶の(hk l)の面間隔であり、θは回折角である、
を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさとの間にも、下記のScherrerの式(4)
式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸法、Kは約0.9の定数、Hは干渉ピークの半価幅(ラジアン)、λ及びθは前記式 (3)と同一である、
で表される関係がある。
【0028】
図1のX線回折像から、面指数220の回折ピークの半価幅を求め、この半価幅から、前記式(4)により、結晶子のサイズを算出すると、面指数220の結晶子サイズは、60乃至120オングストロームの範囲に一般に抑制されている。
【0029】
カルシウムシリケートによる熱安定化作用は、結晶の表面を通して発現されるものであり、結晶子のサイズが小さくなれば、その表面積は当然大きくなるから、本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートが熱安定化作用に優れていることが容易に了解されるものである。
【0030】
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、下記式(2)
IS =tanθ2 /tanθ1 ‥‥(2)
式中、θ1 は面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、θ2 は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(IS )が1.75以上、特に1.8乃至2.0の範囲にあることが好ましい。本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、前述したX線回折像からも明らかなとおり、層状の微細結晶であるが、上記の積層不整指数とは、層のC軸方向の積み重ねが不規則である程度を示すものであり、この値が大きいほど、不規則性が大きいことを示している。本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、積層が不規則的であるため、活性表面が大きく、塩素含有重合体の安定化作用に優れているものである。
【0031】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、一般に40μm以上の粒度のものが全体の10重量%以下で且つ20μm以下の粒度のものが全体の50重量%以上であるような粒度分布を有していることが、塩素含有重合体への均一な分散と熱安定化効果の点で好ましい。また、この微結晶カルシウムシリケートは、上記の粒子構造に関連して、60乃至200m2 /g、特に70乃至150m2 /gの比較的大きな比表面積、0.5ml/g以上、特に1.0乃至4.0ml/gの細孔容積、及び0.1乃至10μmの平均粒径50乃至250ml/100g、特に80乃至200ml/100gの吸油量を有している。
【0032】
この微結晶カルシウムシリケートは、非晶質の活性ケイ酸を石灰乳中で微粉砕することにより製造できるが、勿論この製造法に限定されない。
【0033】
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、塩化亜鉛に対しマスキング乃至キレート作用を有する有機配合剤を細孔内或いは表面に保持するものであることが好ましい。
【0034】
この目的の有機配合剤としては、多価アルコールが好ましく、その適当な例は次の通りである。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリスイソシアヌレート、ジペンタエリスリトールアジペート等を挙げることができる。ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが好適である。
【0035】
本発明の好適な態様では、(C)微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20、特に30:70乃至60:40の重量比で含有する複合物の形で使用する。上記の複合物は、塩素含有重合体の熱安定性を顕著に向上させうると共に、初期着色や亜鉛バーニングを防止し、移行性も小さいという利点を与える。この複合物は、一般に多価アルコールと微結晶カルシウムシリケートとを湿式及び乾式で共粉砕することにより得られる。
【0036】
多価アルコールの含有量が上記範囲よりも少ないと、初期着色や亜鉛バーニングの点で不満足となり、また上記範囲を上回ると、移行性が増大する傾向がある。多価アルコールとしては、ペンタエリスリトールやジペンタエリスリトールが好適である。
【0037】
[イソシアヌレート化合物]
本発明に用いるイソシアヌレート化合物は、下記式(5)
【化1】
式中、R1 、R2 及びR3 の各々は、ヒドロキシアルキル基である、で表されるトリス(ヒドロキシアルキル)シアヌレートであることが好ましく、その適当な例としては、トリス(ヒドロキシエチル)シアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)シアヌレート、トリス(ヒドロキシブチル)シアヌレート、トリス(2,3−ジヒドロキシプロピル)シアヌレート、トリス(グリシジル)シアヌレート等が挙げられる。
【0038】
上記トリス(ヒドロキシアルキル)シアヌレートは、前述した量比で用いることも重要であり、上記量比を下回ると、本発明の範囲内にある場合に比して耐低温熱老化性が低下する傾向があり、上記量比を上回ると、本発明の範囲内にある場合に比して耐熱性が低下する傾向がある。
【0039】
[ハイドロタルサイト]
前記微結晶カルシウムシリケート及びイソシアヌレート化合物と組み合わせで使用できるハイドロタルサイトは、炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化物に属する合成鉱物であり、一般式(6)
M2+ x M3+ y (OH)2x+3y-2z(A++)z ・aH2 O ‥(6)
式中、M2+はMg等の2価金属イオンであり、M3+はAl等の3価金属イオンであり、A++はCO3 等の2価アニオンであり、
x,y及びzは8≧x/y ≧1/4 およびz/x+y >1/20を満足する正数であり、
aは0.25≦a/x+y ≦1.0 を満足する数である。
で表される化学組成を有する。
【0040】
これらの複合金属水酸化物の内、式(7)
Mg6 Al2 (OH)16(CO3 )・4H2 O ‥(7)
で表わされる化合物は、ハイドロタルサイトとして知られる天然鉱物であり、この鉱物及び同族類は、協和化学工業株式会社の出願に係る特公昭47−32198号、特公昭48−29477号及び特公昭48−29478号公報記載の方法等により合成されるものである。
【0041】
これらのハイドロタルサイト類、特に式(8)
Mg4.5 Al2 (OH)13(CO3 )・3H2 O ‥(8)
で示される化合物が塩素イオンの捕捉性能に優れていることも既に知られており、このものを本発明の配合成分として用いることもできる。
【0042】
これらのハイドロタルサイト類が水に十分に分散された状態において容易にイオン交換されるという特性、即ち炭酸イオンが他のアニオンでイオン交換されるという性質を利用して、過ハロゲン酸素酸イオンを導入したものを用いることもできる。
【0043】
本発明では、通常のMg型のハイドロタルサイトを使用できるのは勿論であるが、亜鉛変性のハイドロタルサイトを使用することもできる。亜鉛変性ハイドロタルサイトとしては、前記一般式(6)において、M2+の2価金属イオンがMgとZnとの組み合わせからなるものであり、Mg:Znの原子比が9:1乃至1.8:1、特に3:1乃至2.5:1の範囲にあるものが、熱安定性と初期着色防止の点で優れている。
【0044】
[アルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩]
ハイドロタルサイトの代わりに用いるアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩としては、リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩、ドーソナイト型のナトリウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩或いはこれらの混晶が挙げられる。
【0045】
(1.リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩)
リチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(LAHCS)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面体層の空位(ベーカント)にリチウムイオンが入り込み、その電荷を補うためにアニオンが組み込まれたものとされている。即ち、リチウムイオンはカチオンの中でイオン半径が最も小さく、しかも1価イオンとしては例外的に6配位イオンであるため上記空位に入り、上記構造をとるものと認められる。
【0046】
このリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、下記式(9)、
mAl2 O3 ・nM2 O・X・kH2 O ‥‥(9)
式中、Xは炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはリチウムを主体とするアルカリ金属であり、
mは1.5乃至2.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至10の数である、
で表される組成を有しており、下記表2
【表2】
のX線回折像を有する。
【0047】
好適なリチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、下記数式(2)
IS = tanθ2 /tanθ1 …(2)
式中、θ1 は一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、θ2 は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とがなす角度を表す、
で定義される積層不整指数(IS )が面指数(016)のピークにおいて1.0以下であり且つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下であるものである。
【0048】
本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、波数547、735、1004、1375及び3443(cm-1)に大きな吸収のある赤外線吸収スペクトルを有する。
【0049】
また、本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有していること、JIS K6721で測定して、0.1乃至0.35g/cm3 、特に0.25乃至0.35g/cm3 の嵩密度を有すること、10乃至70m2 /gのBET比表面積を有すること、吸油量も40乃至70ml/100gと小さいことが好ましい。
【0050】
上記リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、勿論これに限定されるものではないが、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルと、リチウムの炭酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(Al2 O3 )としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させる方法(以下単に水和アルミナゲル法と呼ぶことがある)により、或いは、ギブサイト型水酸化アルミニウムの微粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸イオン及びリチウムイオンを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との組合せとを水の存在下に反応させる方法、即ちマイグレーション法により製造される。
【0051】
(2.ドーソナイト型アルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩)
本発明に用いるドーソナイト型のアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩(NAHCS)は、下記式(10)
mAl2 O3 ・nM2 O・X・kH2 O ‥‥(10)
式中、Xは炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはナトリウム、カリウムを主体とするアルカリ金属又はアンモニウム基であり、mは0.5乃至1.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至3の数である、
で表される組成を有する。
【0052】
ドーソナイト型結晶構造とは、Cu−αを用いたX線回折において、下記表3
【表3】
表中、VSは非常に強い、Sは強い、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示している、
と実質上同じX線回折像を示すものをいう。
【0053】
また、このド−ソナイトは、熱重量分析において、300℃以下の温度において実質上重量減少を有しないものであり、樹脂の混練時或いは成形時において、発泡を防止する上で好適である。
【0054】
本発明に好適に使用されるドーソナイト型結晶構造のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、Cu−αX線回折像における面指数(011)のピークの半値幅が0.4゜以上であり、且つ濃度5重量%の水性スラリーとしたときの比抵抗が8000Ω・cm以下であるものである。
【0055】
本発明に用いるナトリウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩において、面指数(011)のピークの半値幅が大きいということは、b軸方向(繊維軸方向)への結晶サイズが小さいということを示している。
【0056】
一般のドーソナイトは、アスペクト比の極めて大きい微細繊維の集束が絡み合って、粗大で糸鞠状の2次粒子を結合しているが、上記のドーソナイトは、繊維構造の発達の程度は極めて小さく、2次粒子も凝集の程度の小さな粒子形状であることが確認できる。
【0057】
従って、この粒子形状に関連して、一般のドーソナイトは吸油量が70乃至100ml/100gで比較的に大きめであるが、本発明で好適使用するドーソナイトの吸油量は40ml/100g以上70ml/100g未満である。更に前者の顔料体積濃度は35%以下と低めであるが、後者は40乃至50%と高めの特徴を有している。
【0058】
また、本発明に用いるドーソナイト型のアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩の粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有していること、吸油量(JIS K−5101)が50乃至110ml/100gの範囲にあり、BET比表面積が30乃至110m2 /gの範囲にあり、見掛比重(鉄シリンダー法)が0.1乃至0.3g/cm3 の範囲にあることが好ましい。
【0059】
ドーソナイト型のアルカリ・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、そのアルカリ分がナトリウム、カリウム、アンモニウムの炭酸塩を用いて、それぞれのアルミニウム水酸化物炭酸塩とすることができる。
決してこれに限定されるものではないが、前述した水和アルミナゲル法において、リチウムの炭酸塩の代わりにナトリウム、カリウム、アンモニウムの炭酸塩を用いることにより製造される。
【0060】
また、非晶質乃至は擬ベーマイト型の水和アルミナと反応させるアルカリ塩をナトリウム炭酸塩とリチウム炭酸塩との組合せで行うことにより、LAHCSとドーソナイトとの混晶から成るアルカリ・アルミニウム複合水酸化炭酸塩が得られる。
【0061】
上記のLAHCS及びドーソナイト型のNAHCSは、そのまま塩素含有重合体に配合できることは勿論であるが、該複合塩の表面特性を改質させるために、予め10重量%以下、特に1乃至6重量%の表面処理剤で処理しておくと、樹脂中への分散性が向上し、透光性も更に向上するので好ましい。
【0062】
かかる表面処理剤としては、シラン系、アルミニウム系、チタン系或いはジルコニウム系のカップリング剤、高級脂肪酸、金属石鹸或いは樹脂酸石鹸、微粉末非晶質シリカまたは界面活性剤等が目的に応じて使用される。
一般に、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を含む反応母液中に高級脂肪酸或いは界面活性剤を添加して、攪拌下に処理するのがよい。
【0063】
これらのハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩は、単独でも組み合わせでも使用することができ、前記(A)微結晶カルシウムシリケートと(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩は(A):(C)=0.5:99.5乃至99.0:1.0の重量比で使用するのが好ましいが、5:95乃至95:5重量比で用いるのが一層好ましい。
【0064】
[高級脂肪酸亜鉛]
本発明では、上記成分に加えて、前記(A)成分と(B)成分の合計と(D)高級脂肪酸亜鉛を、90:10乃至20:80重量比、特に80:20乃至50:50重量比で更に配合することが好ましい。上記(D)成分を用いることにより、暖色系の初期着色を有効に防止することが可能となる。
【0065】
亜鉛塩となる脂肪酸としては、炭素数8乃至22、特に8乃至14、最も好適には8乃至12の飽和乃至不飽和脂肪酸、例えばオクチル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。ステアリン酸、パルミチン酸等を使用することもできるが、亜鉛バーニングを防止するには、より低級の脂肪酸が好適である。安定性の点では飽和脂肪酸が望ましく、ステアリン酸、ラウリン酸が最も好適なものである。脂肪酸は勿論ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。
【0066】
更に本発明の性能を損なわない程度にアミノ酸亜鉛を加えることができる。
アミノ酸亜鉛となるアミノ酸としては、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロニン、オキシプロニン等を使用することもできる
【0067】
これらの脂肪酸亜鉛、アミノ酸亜鉛は、滑剤としての作用をも兼ねるものであり、正塩であることが好ましい。
【0068】
[β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステル]
本発明では、上記成分に加えて、(E)β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルを含有することができ、前記(A)微結晶カルシウムシリケートと(B)イソシアヌレート化合物の合計と(E)β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルを{(A)+(B)}:(E)=99.9:0.1乃至35:65の重量比で使用するのが好ましく、特に95:5乃至40:60重量比で更に配合することが好ましい。上記(E)成分を用いることにより、初期着色や亜鉛バーニングを有効に防止することが可能となる。
【0069】
β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることが出来る。
【0070】
[フェノール系酸化防止剤]
本発明ではまた、前記成分に加えて、(F)フェノール系酸化防止剤を更に含有でき、前記成分(A)+(B)と(F)フェノール系酸化防止剤が{(A)+(B)}:(F)=99.9:0.1乃至35:65、特に好ましくは95:5乃至40:60の重量比で存在することが好ましい。この酸化防止剤は、連鎖反応による減成等を抑制するのに有用である。
【0071】
本発明に用いるフェノール系酸化防止剤としては、ビスフェノール型酸化防止剤、立体障害性フェノール系酸化防止剤が何れも使用される。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
これらのフェノール系酸化防止剤は、単独でも組み合わせでも使用することができ、更にフェノール系以外の酸化防止剤と組み合わせて使用しても良い。
【0072】
[複合安定剤]
本発明の複合安定剤は、粉粒体の形で、即ち粉末の形で、或いは粒状物の形で、ワンパックの安定剤として使用することができる。粒状物の製造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法を用いることができる。粉粒体の粒度は、粒度は目的に応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μm乃至5mm特に70μm乃至2mmの範囲にあるのが好適である。
【0073】
[塩素含有重合体組成物]
本発明による耐低温熱老化性塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり、(A)微結晶カルシウムシリケート或いは上記微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20重量比で含有する複合物を0.05乃至10重量部、特に0.1乃至5重量部及び(B)イソシアヌレート化合物を0.01乃至3重量部、特に0.02乃至1.0重量部含有する。
【0074】
耐熱性に関して好適な塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり、(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を0.1乃至10重量部、特に0.2乃至5.0重量部更に含有する。
【0075】
初期着色に関して好適な塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり(D)高級脂肪酸亜鉛を0.1乃至5.0重量部、特に0.2乃至2.0重量部及び(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステル0.01乃至5.0重量部、特に0.03乃至1.0重量部更に含有する。
【0076】
耐熱性に関して好適な塩素含有重合体組成物では、塩素含有重合体100重量部当たり(E)フェノール系酸化防止剤を0.01乃至5.0重量部、特に0.05乃至2.0重量部更に含有する。
【0077】
塩素含有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品などを挙げることができる。
【0078】
本発明の塩素含有重合体組成物には、それ自体公知の塩素含有重合体用配合剤をそれ自体公知の処方に従って、配合することができる。例えば、本発明の組成物には、可塑剤、滑剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、強化剤、改質用樹脂乃至ゴム、塩基性無機金属塩、過塩素酸塩、エポキシ化合物、帯電防止剤、脂肪酸エステル等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0079】
例えば、電気絶縁性向上の目的で、非晶質シリカ、焼成カオリン、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、チタンホワイト、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム等を、(A)乃至(D)の合計量100重量部当たり20乃至1000重量部、特に200乃至500重量部の量で配合することができる。
【0080】
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤、テトラヒドロフタール酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤などがあげられる。
【0081】
滑剤としては、(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられる。
【0082】
衝撃強化剤としては、例えば30〜40%の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エステルを主体とする共重合ゴムにメチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、メタルメタクリエート・ブタジエン・スチレン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙げられる。
【0083】
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤は勿論、アンチモン、ジルコン、モリブデン、アルミニウム、シリカ、チタンの酸化物、水酸化物、及び硫化物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、これら亜鉛化合物の金属水酸化物表面処理品などが挙げられる。
【0084】
塩基性金属塩は塩基性の無機酸金属塩であり、金属成分としては、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Ti,Al,Zr,Sn等が好ましく、無機酸としてはリン酸、亜リン酸、ケイ酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、ホウ酸、炭酸塩等が挙げられる。
この塩基性無機酸塩の好ましい例としては、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Al(OH)3、Ba(OH)3、MgO,CaO,BaO,Al2O3、SnO2、3CaO・Na3PO4、5CaO・NaHPO4、MgO・Mg3(PO4)2、3CaO・Ca3(PO4)2、Ca(OH)2・Ca3(PO4)2、Ba(OH)2・Ca3(PO4)2・3H2O、Sr(OH2)・Sr3(PO4)2、Ba0・Ba3(PO4)2、3Ba(OH2)・Ba3(PO4)2、ZnO・Zn3(PO4)2、2ZnO・BA3(PO4)2、Al2O3・AlPO4、3SnO・Sn3(PO4)2、Ba(OH2)2・NaHPHO3、5CaO・NaHPHO3、3Ba(OH)2・K2PHO3、MgO・MgPHO3、5Mg(OH)2・MgPHO3、CaO・CaHO3、3CaO(OH)2CaPHO3、Ba(OH)2・CaPHO3、5CaO・CaPHO3、BaO・BaPHO3、2Ba(OH)2・BaPHO3、3Ba(OH)2・BaPHO3・3H2O、ZnO・ZnPHO3、ZnO・3CaPHO3、TiO2・Ti(PHO3)2、Al2O3・Al2(PHO3)3、3ZrO・ZrPHO3、SnO・SnPHO3、3SnO・SnPHO3、Mg(OH)2・Mg2SiO4、3MgO・MgSiO3、CaO・Ca2SiO4、3CaO・Li2SiO3、3CaO・CaSi2O5、2Ca(OH)2・Ca2Si3O8、SrO・SrSiO3、5BaO・Ba2SiO4、Ba(OH)2・Ba2SiO4・6H2O、Ba(OH)2・BaSiO3、3Ba(OH)・BaSi2O5、3BaO・Ba2SiO4、Ba(OH)2・CaSiO3、2ZnO・ZnSiO3、ZnO・3CaSiO3、CaO・Sn2SiO4、Mg(OH)・Mg(NO3)2、3CaO・Ca(NO3)2、2Ca(OH)2・Ca(NO2)2・5H2O、3BaO・Ba(NO3)2、Ba(OH)2・Na2SO4、ZnO・K2SO4、3CaO・K2SO3、Mg(OH)2・MgSO4、5MgO・MgSO3、2MgO・MgSO3、MgO・CaSO3、5CaO・CaSO4、Ca(OH)2・CaSO4、3CaO・CaSO3、SrOSrSO2、3BaO・BaSO4、3BaO・CaSO3、Ba(OH)2・BaSO4、TiO2・TI(SO4)2、Al2O3・Al2(SO4)3、Al(OH)2・MgSO4、MgO・Mg3(BO4)2、CaO・(BO4)2、5Ca(OH)2・Ca3(BO4)2、3CaO・Ca(BO2)2、3Ba(OH)2・Ba3(BO4)2、3BaO・BaB4H7、5Ba(OH)2・Ba(BO2)2、NaHCO3、Mg(HCO3)2、LiHCO3、BaCO3、MgCO3、ZnCO3、Li2CO3がある。
【0085】
過塩素酸イオン導入ハイドロタルサイト及びアルカリアルミニウム複合水酸化物塩の他には、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸亜鉛があげられる。
また、それら過塩素酸塩と多価アルコールの錯体も使用でき、好ましい多価アルコールは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールモノメチルエーテルがあげられる。
【0086】
紫外線吸収剤としては例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類があげられる。
【0087】
ヒンダードアミン系化合物としては例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレートなどがあげられ、光安定剤や熱安定助剤として用いられる。
【0088】
エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化魚油、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、トリス8エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどがあげられる。
【0089】
本発明で使用する帯電防止剤は一般にポリオレフィンフィルムに使用されるもの全てが適用可能である。具体的な帯電防止剤としては、(イ)第一級アミン塩、第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、ピリジン誘導体等のカチオン系のもの、(ロ)硫酸化油、石ケン、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エルテル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系のもの、(ハ)多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等の非イオン系のもの、(ニ)カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性系のものが一般に使用可能であるが、特に非イオン系、中でもポリオキシエチレンアルキルアミンやポリオキシエチレンアルキルアミドないしそれらの脂肪酸エステル、グリセリンの脂肪酸エステル等が好ましい。
【0090】
脂肪酸エステルとしては部分エステルも含み、ステアリン酸n−ブチル、水添ロジンメチルエステル、セバチン酸ジブチル〈n−ブチル〉、セバチン酸ジオクチル〈2−エチルヘキシル、n−オクチル共〉グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリト−ルテトラステアレート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸ジエステル、ポリエチレングリコールトール油脂肪酸ジエステル、エタンジオールモンタン酸ジエステル、1,3ブタンジオールモンタン酸ジエステル、ジエチレングリコールステアリン酸ジエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステル、トリグリセライドワックス、水添食用油脂、12−ヒドロオキシステアリン酸のグリセリンエステル、スパームアセチワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、蜜蝋、木蝋、一価脂肪酸アルコールと脂肪酸飽和酸エステル、〈例:硬化鯨油ラウリルステアレート、ステアリルステアレート〉、ラノリン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸変性ポリオレフィンワックス、エポキシ変性ポリエチレンワックス、石油系ワックス等があげられる。
【0091】
【実施例】
本発明を次の実施例で更に説明する。
実施例における測定は、以下の方法で行った。
(1)ギヤオーブン耐熱性
混練成形したPVCシートをオーブン中にて190℃に加熱し、時間毎の着 色度合いを1〜6段階で評価した
1.無色
2.淡黄色
3.黄色
4.黄褐色
5.赤褐色
6.黒色化
(2)熱安定性(CR)
JIS−K−6723法に準じて、180℃におけるコンゴーレッド法による塩化水素捕捉性試験により測定した。
(3)低温熱老化試験
表5,6に示す配合の組成物を温度160℃、5分間ロールミルで混練を行い、厚さ1mmの均一な塩化ビニルシートを一定日数後に取り出してその着色状態を目視観察し判定した。
シートの着色度は下記の4段階に分けて評価した、評価基準を下記に示す。
【0092】
(合成例1)
本発明実施例に使用される微結晶カルシウムシリケート合成方法の一例を具体的に説明する。
石灰乳スラリー(Ca0分6%)498.8gと平均粒径5ミクロンの活性ケイ酸粉末42.8gを磁性ポットミルに入れ、54時間摩砕反応を行い、pH10のスラリーを得た。これを濾過・水洗後、110℃で乾燥し、次いで小型のサンプルミルで粉砕してSiO2/CaOモル比が1.25の微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(CSH−1)を得た、同様にSiO2/CaOモル比が2.5となるように微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(CSH−2)を得た。この物性を表4に示す。
【0093】
(合成例2)
本発明実施例に使用される微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールの摩砕混合物の合成方法の一例を具体的に説明する。
石灰乳スラリー(Ca0分6%)285gと平均粒径5ミクロンの活性ケイ酸粉末24.2gとジペンタエリスリトール40gを磁性ポットミルに入れ、54時間摩砕反応を行い、pH10のスラリーを得た。これを濾過・水洗後、110℃で乾燥し、次いで小型のサンプルミルで粉砕して多価アルコール被覆微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(CASH)を得たこの物性を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
(実施例1〜5、比較例1〜3)
表5に記載の配合物を160℃の混練ロールで5分間混練し、約1mmの厚さのシートを作成した。そのシートから試験片を作成しギヤオーブン耐熱性、熱安定性、低温熱老化性を測定した、その結果を表5に示す。
【0096】
(実施例6〜12、比較例4〜6)
表6に記載の配合物を160℃の混練ロールで5分間混練し、一定の厚さのシートを作成した。そのシートから試験片を作成しギヤオーブン耐熱性、熱安定性、低温熱老化性を測定した、その結果を表6に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ酸カルシウムの内でも、特定の組成とX線回折像とを有する微結晶カルシウムシリケート或いはこれと多価アルコールとの複合物を選択し、これをイソシアヌレート化合物と組み合わせ、これを塩素含有重合体の安定剤として用いることにより、塩素含有重合体の熱安定性が顕著に向上すると共に、耐低温熱老化性も顕著に向上させることができる。
本発明による塩素含有重合体組成物は、電線被覆材として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートのX線回折像である。
【図2】本発明の微結晶カルシウムシリケートと化学組成が近いゾノトライトのX線回折像である。
Claims (17)
- (A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数であり、nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ面間隔3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.78乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケート或いはその多価アルコールとの複合物と、(B)イソシアヌレート化合物とを含有し、且つ前記成分(A)と(B)イソシアヌレート化合物が(A):(B)=5.0:95.0乃至99.8:0.2の重量比で存在する塩素含有重合体用安定剤。 - 微結晶カルシウムシリケートが下記式(2)
IS =tanθ2 /tanθ1 ‥‥(2)
式中、θ1 は面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、θ2 は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(IS )が1.75以上である請求項1記載の塩素含有重合体用安定剤。 - 微結晶カルシウムシリケートが60乃至200m2 /gの比表面積、50乃至250ml/100gの吸油量、0.1乃至10μmの平均粒径を有するものである請求項1または2に記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 前記複合物が微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20の重量比で含有する複合物である請求項1乃至3の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとの複合物が、微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを湿式及び乾式で共粉砕することにより得られたものである請求項1乃至4の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 多価アルコールがペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールである請求項1乃至5の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- イソシアヌレート化合物がトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートである請求項1乃至6の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- (C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を更に含有し、前記成分(A)と(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩が(A):(C)=0.5:99.5乃至99.0:1.0の重量比で存在する請求項1乃至7の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- ハイドロタルサイトが亜鉛変性ハイドロタルサイトである請求項8記載の塩素含有重合体用安定剤。
- アルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩がリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩である請求項8記載の塩素含有重合体用安定剤。
- アルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩がドーソナイト型アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩である請求項8記載の塩素含有重合体用安定剤。
- (D)高級脂肪酸亜鉛及び(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステルを更に含有し、前記成分(A)、(B)の合計と(D)高級脂肪酸亜鉛が{(A)+(B)}:(D)=20:80乃至90:10の重量比で存在し、前記成分(A)、(B)の合計と(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステルが{(A)+(B)}:(E)=35.0:65.0乃至99.9:0.1の重量比で存在する請求項1乃至11の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- (F)フェノール系酸化防止剤を更に含有し前記成分(A)、(B)の合計と(F)フェノール系酸化防止剤が{(A)+(B)}:(F)=35:65乃至99.9:0.1の重量比で存在する請求項1乃至12の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 塩素含有重合体100重量部当たり、(A)一般式(1)
CaO・xSiO2 ・nH2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5以上の数であり、nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有し且つ比表面積が60乃至200m2 /gの範囲にある微結晶カルシウムシリケート或いは上記微結晶カルシウムシリケートと多価アルコールとを20:80乃至80:20重量比で含有する複合物を0.05乃至10.0重量部、及び(B)イソシアヌレート化合物を0.01乃至3.0重量部含有することを特徴とする低温熱老化性の改善された塩素含有重合体組成物。 - 塩素含有重合体100重量部当たり、(C)ハイドロタルサイト或いはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物塩を0.1乃至10.0重量部更に含有する請求項14記載の塩素含有重合体組成物。
- 塩素含有重合体100重量部当たり(D)高級脂肪酸亜鉛を0.1乃至5.0重量部及び(E)β−ジケトン或いはβ−ケト酸エステル0.01乃至5.0重量部更に含有する請求項14または15に記載の塩素含有重合体組成物。
- 塩素含有重合体100重量部当たり(F)フェノール系酸化防止剤を0.01乃至5.0重量部更に含有する請求項14乃至16の何れかに記載の塩素含有重合体組成物。
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