JP4365047B2 - 塩素含有重合体用安定剤及び樹脂組成物 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、非鉛系の塩素含有重合体用安定剤及び安定化された塩素含有樹脂組成物に関する。より詳細には、熱安定性と初期着色性を改良した塩素含有重合体用安定剤とそれを含有してなる塩素含有重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩素含有重合体、例えば塩化ビニル樹脂は熱及び光に曝されるとその分子鎖内で脱塩酸が生じ、分解、変色等生じる。この熱分解に対し塩化ビニル樹脂を安定化するために、従来種々の安定剤或いは安定剤組成物が提案され、広く使用されている。
このような安定剤は、塩素含有重合体の加熱時に発生する塩化水素を捕捉する性質を有するものであり、商業的にはカルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛等の多価金属の有機酸塩及び無機酸塩が、正塩或いは塩基性塩の形で専ら使用されている。実際にアルカリ金属塩を塩化ビニル樹脂に配合すると、配合時或いは加熱初期に樹脂を赤色に着色する傾向が大であり、熱安定化効果も期待される程大きくはない。この理由は、アルカリ金属塩そのものが配合時或いは加熱初期において、樹脂の脱塩酸を促し、樹脂を劣化させるように作用することによるものと思われる。
【0003】
また、代表的なものとして、鉛系安定剤、金属セッケン系或いは有機スズ系安定剤が使用されている。しかしながら、これらは耐熱性があっても耐硫化物性、透明性に劣るとか、毒性があるとか、高価であるとかの問題があり、多くの場合それぞれの欠点を補うため併用して使用されている。特に最近は、高温領域で成形加工を行うことが多くなっており、加工時に耐熱安定性を持ち、作業時及び使用面から無毒性の物が一層求められている。
【0004】
例えば、このような安定剤として特公昭58−18939号公報には、塩素含有重合体に対して、イオン交換容量が2.1meq/g以上のA型ゼオライト結晶のアルミノケイ酸塩を熱安定剤として、塩素含有重合体の熱安定化法が記載されている。
【0005】
特公平2−22101号公報には、吸油量が(JIS K 5101)が50ml/100g以上のケイ酸又はケイ酸塩に、過塩素酸を該ケイ酸又はケイ酸塩当たり10重量%以上で且つケイ酸又はケイ酸塩の吸油量の50%以下となる量で含有せしめてなる粉粒体を塩素含有重合体に配合して成り、前記過塩素酸が塩素含有重合体に対して0.005乃至3重量%の範囲となるように前記粉粒体を塩素含有重合体に配合してなる、安定化された塩素含有重合体組成物が記載されている。
【0006】
特公平1−56098号公報には、(i)過ハロゲン酸素酸アニオン、及び(iii)リンのオキシ酸、硫黄のオキシ酸、窒素のオキシ酸、ホウ素のオキシ酸、炭酸、ハロゲン化水素酸、ハロゲン化酸素酸から成る群より選ばれた少なくとも1種の酸の暖色着色性アニオンの組合せを、無機の酸化物、水酸化物又はそれらの複合物から成るマトリックスで包接した包接体から成る塩素重合体用安定剤が記載されている。
【0007】
一方、特開昭61−34042号公報には、含ハロゲン樹脂に、(a)有機酸の亜鉛塩の少なくとも一種、(b)ゼオライト結晶構造を有するアルミノケイ酸塩の少なくとも一種及び(c)ハロゲン酸素酸の金属塩の少なくとも一種を添加して成る、安定化された含ハロゲン樹脂組成物が記載されている。
【0008】
また、特開昭61−78874号公報には、含ハロゲン樹脂に、過塩素酸処理珪酸金属塩の少なくとも1種を添加してなる、安定化された含ハロゲン樹脂組成物が記載されている。
【0009】
更に、特開平3−121151号公報には、ゼオライト型安定剤、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム、金属石鹸型安定剤及び過塩素酸を必須成分として含有する塩素含有重合体用複合安定剤が記載されている。
【0010】
更にまた、特開平4−15237号公報には、主成分として式
CaO・xSiO2・nH2O
式中、xは1.0乃至2.0の数であり、nは0.3乃至1.0の数である、
で表される化学組成を有し、面間隔3.04乃至3.08オングストローム、2.78乃至2.82オングストローム及び1.81乃至1.84オングストロームにX線回折ピークを有し、且つ1.49乃至1.57の屈折率を有する微結晶カルシウム・ハイドレートから成る樹脂配合剤が記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案に見られるHClO4(過塩素酸)による熱安定性については、数多くの特許も出願されているが、ごく限られた用途以外使用されていないという問題がある。その理由として、過塩素酸は、吸湿性であり、且つ長期保存性が悪いこと更には、安全性の面とコストが高いことに問題があることが挙げられる。
また、ケイ酸カルシウム及びゼオライト型安定剤は、塩素含有重合体に配合することが容易で、ブリード現象がなく、しかも安価であるという利点を有するが、配合初期に塩素含有重合体を着色する傾向があり、通常の使用条件では熱安定化性能が未だ充分に高くないという問題がある。
【0012】
本発明者らは、過塩素酸がその塩に比べて塩素含有重合体に対する安定性に優れていることから、これをケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩から成る群より選択された少なくとも1種の化合物に、過塩素酸の欠点が発現しない程度に少量担持させ、粉粒体としての取扱いを容易にし、塩素含有重合体への分散が良好で且つ、熱安定性が顕著に向上し、初期着色性も向上することを見出した。更に上記安定剤成分にハイドロタルサイトを含有させることにより一層熱安定性が向上することを見出した。
【0013】
即ち、本発明の目的は、初期着色性を改善し、熱安定性の向上する塩素含有重合体用安定剤を提供するにある。
【0014】
本発明の他の目的は、初期着色性が改善され、過塩素酸による発泡もなく優れた熱安定性を有すると共にダイス、金型等に対するプレートアウト物の付着及び堆積がなく、ブリード防止にも優れた塩素含有重合体組成物を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)下記式(1):
CaO・xSiO 2 ・nH 2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5乃至5.0の数であり、
nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有するケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩からなる群より選択された少なくとも1種の化合物と、(B)過塩素酸とを含み、前記化合物(A)当たり過塩素酸を0.1乃至7重量%となる量で含有してなることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤が提供される。
本発明の安定剤においては、
1.前記安定剤に対して、更に(C)ハイドロタルサイトを前記(A)成分100重量部当たり10乃至500重量部含有すること、
2.前記ケイ酸カルシウムが、面間隔3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.78乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートから成り、該微結晶カルシウムシリケートが下記式(2)
IS=tanθ 2 /tanθ 1 ‥‥(2)
式中、θ 1 は面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけ るピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、
θ 2 は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(IS)が1.75以上であること、
3.微結晶カルシウムシリケートが60乃至200m2/gの比表面積、0.5ml/g以上の細孔容積、50乃至250ml/100gの吸油量、及び0.1乃至10μmの平均粒径を有するものであること、
4.前記ケイ酸カルシウムと共にアルミノケイ酸塩とを含み、該ケイ酸カルシウムとアルミノケイ酸塩とが5:95乃至95:5の重量比で存在すること、
5.前記ケイ酸カルシウムと過塩素酸(B)とを予め混合し、この混合物と前記アルミノケイ酸塩とを混合してなること、
が好ましい。
【0016】
本発明の塩素含有重合体においては、塩素含有重合体100重量部に対して前記安定剤を0.01乃至10重量部の量で含有することを特徴とする熱安定性、初期着色の改善された塩素含有重合体組成物が提供される。
【0018】
【発明の実施形態】
本発明は、過塩素酸(以下、過ハロゲン酸とも呼ぶ)そのものが、過塩素酸塩に比べ塩素含有重合体に対する熱安定化作用に優れているという知見に基づくものである。即ち、後述する比較例8乃至比較例15(表7及び表12参照)から、過塩素酸は、同じ量で比較して過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウムに比べ熱安定性が優れている。また、過塩素酸は、揮発性乃至揮散性を有するため、これを直接塩素含有重合体に有効に配合することが困難である。本発明は、過塩素酸をケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩から成る群より選択された少なくとも1種の化合物に少量担持させることが重要であり、これにより過塩素酸の優れた熱安定性を損なうことなしに、塩素含有重合体に配合することが可能となる。更に、過塩素酸を少量担持させるときにケイ酸カルシウムと過塩素酸とを予め混合し、この混合物とアルミノケイ酸塩とを混合することもできる。このことにより、粉体特性が良好で、取扱いも容易になり、塩素含有重合体に配合したときの分散性が非常に良好である。
【0019】
本発明では、過塩素酸をケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩から成る群より選択された少なくとも1種の化合物に0.1乃至7重量%、好ましくは0.5乃至5重量%となる量で担持させることが特徴であり、これにより塩素含有重合体の熱安定性を最も有効に向上させることができる。即ち、上記量よりも少ない場合には十分に過塩素酸による熱安定性(H.T.)を発現させることが困難であり、一方7重量%よりも多い量では、過塩素酸の吸湿性により発泡し易くなり、亜鉛バーニングと同様なバーニング現象が生じやすくなり、熱安定性(H.T.)も向上しない。更には、過塩素酸の量が多くなると、ケイ酸カルシウム或いはリチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩(以下、単にリチウムアルミニウム水酸化物塩と呼ぶことがある)とを混合したときに、これらの間の反応によりゲル状反応生成物が生成し、このものを塩素含有重合体組成物に均一且つ微細に分散させることが困難となって、安定剤として使用できなくなる。
【0020】
本発明はまた、後述する実施例1から分かるように過塩素酸を3wt%添加した場合は、添加しない比較例1に比べ熱安定性(H.T.)が30%以上向上している(表8参照)。更に実施例7から微結晶カルシウムシリケート(以下、CSHとも呼ぶ)と4A型ゼオライトを50:50比の割合で混合したものについては、比較例6に比べ熱安定性(H.T.)が80%以上向上した(表9参照)。本発明によればケイ酸カルシウム(A−1)とアルミノケイ酸塩(A−2)とを5:95乃至95:5の重量比、特に20:80乃至80:20の重量比で組み合わせることが好ましい。
また、リチウムアルミニウム水酸化物塩(A−3)に過塩素酸を3wt%添加したものについての性能を実施例5に示す(表8参照)。その結果から過塩素酸を添加しないものに比べ78%熱安定性が向上している事実が明らかである。
更にまた、上記安定剤成分(A)及び(B)成分にハイドロタルサイトを(A)成分100重量部当たり10乃至500重量部、特に50乃至400重量部含有させることにより熱安定性を一層向上させることができる。後述する実施例19からハイドロタルサイトを加えた場合、熱安定性が約70%向上していることが解る。
【0021】
また、ケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物塩(或いは必要により併用されるアミノケイ酸塩)は何れも、塩素含有重合体とやや赤色を帯びたコンプレックスを形成して初期着色を生ずる傾向がある。一方、過塩素酸は塩素含有重合体と青色乃至緑色のコンプレックスを形成し、このコンプレックスは赤色のコンプレックスと補色関係にあり、これらを併用する色消しによって初期着色を防止することが可能となる。従って、本発明では、塩素含有重合体組成物の熱安定性、初期着色の改善、過塩素酸の安全性、ハンドリング性、樹脂に対する分散性、コスト等を考慮して、塩素含有重合体100重量部に対して、(A)ケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物塩から成る群より選択された少なくとも1種の化合物と、(B)過塩素酸を、前記化合物(A)当たり過塩素酸が0.1乃至7重量%となる量で含有する安定剤を、0.01乃至10重量部、特に0.1乃至5重量部の量で含有せしめることが好ましい。
【0022】
更には、塩素含有重合体100重量部に対して(A)ケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物塩から成る群より選択された少なくとも1種の化合物と、(B)過塩素酸を、前記化合物(A)当たり過塩素酸が0.1乃至7重量%となる量で含有し、更に(C)ハイドロタルサイトを前記(A)成分100重量部当たり10乃至500重量部を含有する安定剤を0.01乃至10重量部、特に0.1乃至5重量部の量で含有せしめることが好ましい。
【0023】
[ケイ酸カルシウム]
ケイ酸カルシウムは、前記一般式(1)で表される化学組成を有するものであるが、特に前述したX線回折像を有している微結晶ケイ酸カルシウムが好ましい。この一般式において、xは0.5乃至5.0の範囲であるが、特に0.5乃至3.0の範囲にあることが好ましい。また、nは2.5以下の数であるが、特に0.5乃至1.0の範囲にあることが好ましい。
【0024】
シリカ分の含有量(x)が、この範囲を越えて多いときには、上記範囲内にある場合に比して熱安定性が低下する傾向があり、一方、この範囲を越えて少ない場合には、上記範囲内にある場合に比して初期着色傾向が増大する場合がある。この微結晶カルシウムシリケートは、若干水和している方が、熱安定化の活性が大きくなる傾向があるが、水和量が余りにも多くなると、樹脂の発泡傾向があるので好ましくない。
【0025】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートのX線回折像を図1に示す。この微結晶カルシウムシリケートと化学組成が近いゾノトライトのX線回折像を図2に示す。これらの対比から、本発明で用いるカルシウムシリケートは、微細結晶であることが理解される。
【0026】
本発明で使用する微結晶カルシウムシリケートのX線回折像について、その3強線を示すと、下記表1
【表1】
面間隔(オングストローム) 相対強度
29.2 m
32.0 w
49.3 w
表中、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示している、
のとおりとなるが、その最強ピークがかなりブロードなものとなっていることが明らかである。
【0027】
結晶のX線回折では、下記のBraggの式(3)
nλ=2dhkl Sinθ ‥‥(3)
式中、nは次数であり、
λはX線の波長であり、
dhkl は結晶の(hkl)の面間隔であり、
θは回折角である、
を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさとの間にも、下記のScherrerの式(4)
Lhkl =Kλ/Hcosθ ‥‥(4)
式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸法、
Kは約0.9の定数、
Hは干渉ピークの半価幅(ラジアン)、
λ及びθは前記式(3)と同一である、
で表される関係がある。
【0028】
図1のX線回折像から、面指数(220)の回折ピークの半価幅を求め、この半価幅から、前記式(4)により、結晶子の大きさを算出すると、面指数(220)の結晶子径は、60乃至120オングストロームの範囲に一般に抑制されている。
【0029】
カルシウムシリケートによる熱安定化作用は、結晶の表面を通して発現されるものであり、結晶子の大きさが小さくなれば、その表面積は当然大きくなるから、本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートが熱安定化作用に優れていることが容易に了解されるものである。
【0030】
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、下記式(2)
IS=tanθ2/tanθ1 ‥‥(2)
式中、θ1は面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、
θ2は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(IS)が1.75以上、特に1.8乃至2.0の範囲にあることが好ましい。本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、前述したX線回折像からも明らかなとおり、層状の微細結晶であるが、上記の積層不整指数とは、層のC軸方向の積み重ねが不規則である程度を示すものであり、この値が大きいほど、不規則性が大きいことを示している。本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、積層が不規則的であるため、活性表面が大きく、塩素含有重合体の安定化作用に優れているものである。図3に積層不整指数(IS)算出のためのθ1、θ2の求め方の一例を示した。
【0031】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、一般に40μm以上の粒度のものが全体の10重量%以下で且つ20μm以下の粒度のものが全体の50重量%以上であるような粒度分布を有していることが、塩素含有重合体への均一な分散と熱安定化効果の点で好ましい。また、この微結晶カルシウムシリケートは、上記の粒子構造に関連して、60乃至200m2/g、特に70乃至150m2/gの比較的大きな比表面積、0.5ml/g以上、特に1.0乃至4.0ml/gの細孔容積、及び50乃至250ml/100g、特に80乃至200ml/100gの吸油量を有している。
【0032】
この微結晶カルシウムシリケートは、非晶質の活性ケイ酸を石灰乳中で微粉砕することにより製造できるが、勿論この製造法に限定されない。
【0033】
[アルミノケイ酸金属塩]
本発明においては、前述したケイ酸カルシウムと併用してアルミノケイ酸金属塩を用いることができる。このようなアルミノケイ酸金属塩としては、層状アルミノケイ酸塩、特に各種粘土鉱物や、テクトケイ酸塩、ゼオライトが挙げられる。
ゼオライトとしては、天然、合成に限定されず、例えば、A型、X型、Y型、Pc型、L型ゼオライト等や、アナルサイム、チャバサイト、モルデナイト、エリオナイト、クリノプチロライトが使用され、当然Ca,Zn,Mg,Sn,Ti,Pb 等のイオンでイオン交換されたものも使用できる。一般に、A型ゼオライトのカチオン交換容量は、400乃至550meq/100g、Y型ゼオライトで約370meq/100g、X型ゼオラオトで約470meq/100g程度である。
【0034】
上記のアルミノケイ酸金属塩は、平均粒径が0.1〜20μmで、好ましくは1〜10μm、且つ50〜650meq/100gのカチオン交換容量を有するものが好ましく、特に4Aゼオライトが好ましい。
【0036】
[リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩]
リチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(LAHCS)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面体層の空位(ベーカント)にリチウムイオンが入り込み、その電荷を補うためにアニオンが組み込まれたものとされている。即ち、リチウムイオンはカチオンの中でイオン半径が最も小さく、しかも1価イオンとしては例外的に6配位イオンであるため上記空位に入り、上記構造をとるものと認められる。
【0037】
本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、下記式(5)、
mAl2O3・nM2O・X・kH2O ‥‥(5)
式中、Xは炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはリチウムを主体とするアルカリ金属であり、
mは1.5乃至2.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至10の数である、
で表される組成を有しており、下記表2
【表2】
面間隔d(A) ピーク強度 面指数
7.50乃至7.64 大 (002)
4.30乃至4.44 小 (110)
3.70乃至3.84 大 (004)
2.45乃至2.58 中 (006)
2.20乃至2.30 小 (016)
1.85乃至2.08 小 (017)
1.40乃至1.52 小 (330)
1.38乃至1.48 小 (600)
のX線回折像を有する。
【0038】
好適なリチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、下記数式(6)
IS=tanθ2/tanθ1 …(6)
式中、θ1は一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、
θ2は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とがなす角度を表す、
で定義される積層不整指数(IS)が面指数(016)のピークにおいて1.0以下であり且つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下であるものである。
【0039】
本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、波数547、735、1004、1375及び3443(cm−1)に大きな吸収のある赤外線吸収スペクトルを有する。
【0040】
また、本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有していること、JIS K6721で測定して、0.1乃至0.35g/cm3、特に0.25乃至0.35g/cm3の嵩密度を有すること、10乃至70m2/gのBET比表面積を有すること、吸油量も40乃至70ml/100gと小さいことが好ましい。
【0041】
上記リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、勿論これに限定されるものではないが、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルと、リチウムの炭酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(Al2O3)としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させる方法(以下単に水和アルミナゲル法と呼ぶことがある)により、或いは、ギブサイト型水酸化アルミニウムの微粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸イオン及びリチウムイオンを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との組合せとを水の存在下に反応させる方法、即ちマイグレーション法により製造される。
【0042】
上記の塩基性無機化合物は、平均粒径が0.1〜20μm、好ましくは0.1〜10μmで、且つBET法比表面積100m2/g以下、好ましくは30m2/g以下のものが好ましい。
【0043】
[ハイドロタルサイト]
ハイドロタルサイトは、炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化物に属する合成鉱物であり、一般式(7)
M2 xM3 y(OH)2x+3y−2z(A2−)z・aH2O‥(7)
式中、M2 はMg等の2価金属イオンであり、M3 はAl等の3価金属イオンであり、A2−はCO3等の2価アニオンであり、x,y及びzは8≧x/y ≧1/4 およびz/x+y >1/20を満足する正数であり、
aは0.25≦a/x+y ≦1.0 を満足する数である。
を有する複合金属水酸化物が使用される。
【0044】
これらの複合金属水酸化物の内、式(8)
Mg6Al2(OH)16(CO3)・4H2O ‥(8)
で表わされる化合物は、ハイドロタルサイトとして知られる天然鉱物であり、この鉱物及び同族類は、協和化学工業株式会社の出願に係る特公昭47−32198号、特公昭48−29477号及び特公昭48−29478号公報記載の方法等により合成されるものである。
【0045】
これらのハイドロタルサイト類のうち、特に式(9)
Mg4.5Al2(OH)13(CO3)・3H2O‥(9)
で示される化合物が塩素イオンの捕捉性能に優れていることも既に知られており、このものを用いることもできる。
【0046】
これらのハイドロタルサイト類が水に十分に分散された状態において容易にイオン交換されるという特性、即ち炭酸イオンが他のアニオンでイオン交換されるという性質を利用して、過ハロゲン酸素酸イオンを導入したものを用いることもできる。
【0047】
本発明の塩素含有重合体組成物には、それ自体公知の塩素含有重合体用配合剤をそれ自体公知の処方に従って、配合することができる。例えば、本発明の組成物には、金属石鹸系熱安定剤、可塑剤、滑剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、強化剤、改質用樹脂乃至ゴム、塩基性無機化合物、過塩素酸塩、エポキシ化合物、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、多価アルコール乃至そのエステル、スズ系等の公知の安定剤等、抗菌剤、キレート化剤、酸化防止剤等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0048】
金属石鹸系熱安定剤としては、炭素数10乃至22、特に14乃至18の飽和乃至不飽和脂肪酸の金属石鹸、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、亜鉛塩等が使用される。これらの内でも、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩が好適であり、これらは単独でも2種以上の組合せでも使用できる。
金属石鹸の脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。ステアリン酸が好適なものである。脂肪酸は勿論牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。
【0049】
上記塩基性無機化合物としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク等が挙げられる。
【0050】
また、本樹脂組成物には必要に応じて錫系安定剤を配合することもできる。例えば有機錫化合物としては、有機錫メルカプタイド類、有機錫サルファイド類、有機錫メルカプタイド・サルファイド類、有機錫メルカプトカルボキシレート類及び有機錫カルボキシレート類が包含される。
【0051】
(1)有機錫メルカプタイド類としては、ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、ジオクチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジオクチル錫ビス(2−メルカプトエチルカプリレート)、ジブチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジメチル錫ビス(メルカプトエチルステアレート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ドデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(テトラデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ヘキサデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(オクタデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(C12−16 混合アルキルチオグリコレート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ビス(2−メルカプトカルボニルエチル)錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ビス(2−ブトキシカルボニルエチル)錫ビス(ブチルチオグリコレート)等のジ有機錫メルカプタイド及びモノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタイド)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、モノオクチル錫トリス(2−メルカプトエチルカプリレート)、モノブチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルラウレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルステアレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルオレート)、モノオクチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ヘキサデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(C12−16 混合アルキルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(オクタデシルチオグリコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルチオグレコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノメチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、モノメチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、2−メトキシカルボニルエチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、2−ブトキシカルボニルエチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)等のモノ有機錫メルカプタイドがあげられる。
【0052】
(2)有機錫サルファイド類としては、メチルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、オクチルチオスタノイック酸、ジメチル錫サルファイド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイド、ジシクロヘキシル錫サルファイド、モノブチル錫サルファイド、オキサイド、2−メトキシカルボニルエチル錫サルファイド、2−エトキシカルボニル錫サルファイド、2−ブトキシカルボニル錫サルファイド、2−イソプロポキシカルボニルエチル錫サルファイド、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫サルファイド、ビス(2−プロポキシカルボニルエチル)錫サルファイド等があげられる。
【0053】
(3)有機錫メルカプタイド・サルファイド類としては、ビス〔モノブチル・ジ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫イソオクチルチオグリコレート〕スルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メチルカプトエチルカプリレート)サルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メルカプトエチルカプリレート)〕ジサルファイド等があげられる。
【0054】
(4)有機錫メルカプトカルボキシレート類としては、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫メルカプトアセテート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫チオグリコレート)錫チオグリコレート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫メルカプトプロピオネート等があげられる。
【0055】
(5)有機錫カルボキシレート類としては、モノ又はジメチル錫、モノ又はジブチル錫、モノ又はジオクチル錫あるいはモノ又はビス(ブトキシカルボニルエチル)錫のオクトエート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステレート、イソステアレート等の脂肪族一価のカルボキシレート類:マレートポリマー、ブチルマレート、ベンジルマレート、オレイルマレート、ステアリルマレート等のマレート;及びこれらの混合塩あるいは塩基性塩があげられる。
【0056】
これらの錫系安定剤は、塩素含有重合体100重量部当たり0.1乃至2.0重量部配合することができる。
【0057】
[可塑剤]
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤などがあげられる。
【0058】
さらにポリエチレン系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤から選ばれる一種または2種以上の組合せと他の可塑剤の併用も性能を損なわない範囲で可能であり、フタル酸系、燐酸系、脂肪酸系、アジピン酸系、エポキシ系、トリメリット系等が用いられる。
【0059】
ポリエステル系可塑剤としては、多価アルコールと多価カルボン酸とから誘導されたポリエステルであって、分子量が1000以上、特に1500以上のものが使用される。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の組合せが挙げられる。
【0060】
ポリエステル系可塑剤の具体的なものとしては、
ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステル、
ポリ(1,3−ブタンジオール、アジピン酸)エステル、
ポリ(1,3−ブタンジオール、セバチン酸)エステル、
ポリ(プロピレングリコール、セバチン酸)エステル、
ポリ(プロピレングリコール、フタル酸)エステル、
ポリ(1,3−ブタンジオール、フタル酸)エステル、
ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エステル、
ポリ(エチレングリコール、セバチン酸)エステル、
ポリ(1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸)エステル、
ポリ(ジエチレングリコール、アジピン酸)エステル、
ポリ(プロピレングリコール、テルペン無水マレイン酸付加物)エステル、
アセチルポリ(ブタンジオール、アジピン酸)エステル、
等が挙げられる。
【0061】
フタル酸系可塑剤としては、例えばブチル酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジヘプチル、ジヘプチルフタレート、フタル酸ジイソデシル、ジイソデシルフタレート、フタル酸ジイソノニル、ジイソノニルフタレート、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレートジノルマルアルキルフタレート、フタル酸ジn−オクチル、テトラヒドロフタルジ2−エチルヘキシル、ジトリデシルフタレート、フタル酸ジウンデシル、ジアルキルフタレート、ダイヤドール(711Hフタレート)、リポネール79フタレート、リポネール911フタレート等がある。
【0062】
燐酸系可塑剤としては、例えばクレジール・ジフェニルフォスヘート、トリス・クロロエチルフォスヘート、トリス・ジクロロプロピルフォスヘート、トリクレジルフォスフェート、リン酸トリクレジル、リン酸トリエチル、トリキシレニルホスヘート、キシレニルジフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルフォスフェート、ターシャリーブチルフェニルジフェニルフォスフェート、トリス(ベータクロロエチル)フォスフェート等があげられる。
【0063】
脂肪酸系可塑剤としては、例えばブチルオレエート、セバシン酸ジブチル、ジブチルセバケート、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルセバケート、ジ(2エチルヘキシル)セバケート等があげられる。
【0064】
アジピン酸系可塑剤としては、例えばジn−アルキル(C6,8,10)アジペート、アジピン酸ジn−アルキル、ジイソブチルアセテート、ジイソノニールアジペート、アジピン酸ジイソノニール、アジピン酸ジイソノニール、アジピン酸ジイソデシル、ジイソデシルアジペート、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、アジピン酸ジオクチルジn−アルキル(C7-9)アジペート、ジブトキシエトキシエチルアジペート、アジピン酸ジエステル等があげられる。
【0065】
エポキシ系可塑剤としては、例えばエポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化油、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ものエステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシ化ブチルステアレート、オクチル・エポキシステアレート等があげられる。
【0066】
トリメリット酸系可塑剤としては、例えばトリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリイソデシル、トリ2−エチルヘキシルトリメリテート、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル、トリオクチルトリメリテート、トリメリット酸エステル、トリノルマルオクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート等があげられる。
【0067】
その他可塑剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ノルマルパラフィン、アセチルトリブチルシトレート、アセチルクエン酸トリブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、2.2.4−トリメチル−1.3ペンタンジオールジイソブチレート、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、ジn−ヘキシルアセテート、ドデカンニ酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルドデカノエート、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルマレエート、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルアゼレート、ジ(2エチルヘキシル)アゼレート、ジペンタエリスリトールエステル、(メタ)アクリル酸エステル等があげられる。
【0068】
これらの可塑剤は、塩素含有重合体100重量部当たり0乃至200重量部、好ましくは、0乃至100重量部配合することが好ましい。
【0069】
[多価アルコール乃至そのエステル]
多価アルコール乃至そのエステルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリスイソシアヌレート、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールアジペート等を挙げることができる。好ましくは、平均粒径が0.1〜100μmのモノペンタエリスリトールが使用される。
また、上記多価アルコール乃至そのエステルを単独もしくは、その中から選ばれる少なくとも1種以上を併用することもできる。
【0070】
その他有機酸金属塩化合物、滑剤、衝撃強化剤、難燃剤も必要に応じて添加することもでき、具体的には炭素数6〜22の脂肪酸、たとえばカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはこれらの混合物などのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びジルコニウムが使用できる。
【0071】
これらの有機酸金属塩化合物は、塩素含有重合体100重量部当たり0.1乃至5重量部、好ましくは、0.1乃至1.0重量部配合することが好ましい。
【0072】
本発明では、配合バランスにより、初期着色や亜鉛バーニングを防止するために、更にβ−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルを含有することができる。
【0073】
β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることが出来る。
【0074】
有機配合剤としては、シリコーン系表面処理剤、脂肪酸、脂肪酸塩が使用される。シリコーン系表面処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、環状ポリジメチルシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーンポリエーテル共重合体、拡散ポンプ用オイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、樹脂改質用オイル等が使用できる。特にジメチルシリコーンオイルを使用することが好ましい。
【0075】
滑剤としては、(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられる。
【0076】
本発明に用いるフェノール系酸化防止剤としては、ビスフェノール型酸化防止剤、立体障害性フェノール系酸化防止剤が何れも使用される。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
これらのフェノール系酸化防止剤は、単独でも組み合わせでも使用することができ、更にフェノール系以外の酸化防止剤と組み合わせて使用しても良い。
【0077】
[複合安定剤]
本発明の安定剤は、粉粒体の形で、即ち粉末の形で、或いは粒状物の形で、ワンパックの安定剤として使用することができる。粒状物の製造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法を用いることができる。粉粒体の粒度は、粒度は目的に応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μm乃至5mm特に70μm乃至2mmの範囲にあるのが好適である。
【0078】
衝撃強化剤としては、例えば30〜40%の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エステルを主体とする共重合ゴムにメチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、メタルメタクリエート・ブタジエン・スチレン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙げられる。
【0079】
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤は勿論、アンチモン、ジルコン、モリブデン、アルミニウム、シリカ、チタンの酸化物、水酸化物、及び硫化物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、これら亜鉛化合物の金属水酸化物表面処理品などが挙げられる。
【0080】
また、電気絶縁性向上の目的で、非晶質シリカ、焼成カオリン、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、チタンホワイト、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム等を配合することができる。
【0081】
[塩素含有重合体組成物]
塩素含有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品などを挙げることができる。
【0082】
本発明の塩素含有重合体組成物成形加工方法としては、公知の方法によって混合あるいは混和したのち押出成形、射出成形、圧縮成形、インフレーション、カレンダー加工、コーティングなど各種の成形方法により行うことができる。
また、本発明における無酸素成形法においてはできるだけ空気と接触しないような雰囲気で行うか、更には不活性ガス雰囲気で行うことにより、着色を防止することができる。
【0083】
【実施例】
本発明を次の実施例により、更に詳しく説明する。尚、試験方法は次の方法によった。
【0084】
(測定方法)
(1)XRD測定
理学電機(株)製のRAD−IBシステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器 SC
電圧 40KVP
電流 20mA
カウントフルスケール 7000c/s
スムージングポイント 25
走査速度 1°/min
ステップサンプリング 0.02°
スリット DS1°RS0.15mm SS1°
照角 6°
【0085】
(2)積層不整指数(IS)
XRD測定で得られた回折ピークより、下記式(2)
IS=tanθ2/tanθ1 ‥‥(2)
式中、θ1は面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、θ2は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される式(2)より積層不整指数(IS)を求めた。
【0086】
(3)BET比表面積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1800を使用し、BET法により測定した。
【0087】
(4)細孔容積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1800を使用し、BET法により測定した。
【0088】
(5)平均粒径
コールターカウンター(株)製レーザー回折方式粒子サイズ・アナライザーLS130粒度分布測定器により平均粒径を求めた。
【0089】
(6)イオン交換容量の測定
硬水原液をCaOとしてとして300mg/L(D.H.30)の濃度になるようにカルシウム含有溶液を調整した。このカルシウム含有溶液500mLを1Lビーカーに採取し、30℃に加熱しておき、110℃恒温乾燥機中で2時間乾燥後デシケーターに入れ室温まで放冷した試料0.50gを精秤し、カルシウム含有溶液中に投入する。ジャーテスターで撹拌(120rpmで20分)して、試料にカルシウムイオンの交換を行った後、No.6のろ紙でろ過し、このろ液10mLを正確に採取し、イオン交換水で希釈し、約50mLとしこれに8N KOH 4mL添加してpHで12となし、5%KCN数滴添加後NN指示薬0.1gを添加し、M/100 EDTA溶液を用いて滴定し、ろ液中のCaO濃度を求め、下記式によってイオン交換容量(meq/100g)を算出した。
イオン交換容量(meq/100g) = [(300-56BF)/2804] × 100
式中、
B: M/100 EDTA溶液滴定量
F: M/100 EDTA溶液ファクター
【0090】
(7)初期着色及びギアオーブン耐熱試験(静的熱安定性)
下記(配合1)に示す組成物を温度160℃、3分間ロールミルで混練を行い、厚さ0.5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作成し、初期着色状態を測定した。その後185℃に設定したギアオーブンに試験片を入れ、経過時間による変色状態を測定した。測定は何れもLab表色系における白色度(W値)の測定により行った。 W値の算出式を下記に示すが、より白さを保つことを耐熱性良否の指標とするならば極めて合理的な方法と理解される。尚、試料の裏当てには白色板を使用し、測定条件を同一にした。
W=100−〔(100−L)2+a2+b2〕1/2
式中の記号は下記の意味を示す。
W:Lab表色系における白色度
L: 〃 明度指数
a: 〃 赤味指数
b: 〃 黄味指数
(配合1)
塩化ビニル樹脂(重合度=1050) 100部
ステアリン酸 0.2部
試料 表3〜7に記載(2部)
【0091】
(8)熱安定性試験(H.T.塩素捕捉能)
下記(配合2)に示す組成物を150℃、6分間ロールミルで混練を行い、
JIS.K.6723に準拠し、180℃オイルバス中における塩化ビニル熱分解による塩化水素脱離時間を測定した。
(配合2)
塩化ビニル樹脂(重合度=1050) 100部
ジ2-エチルヘキシルフタレート 50部
ステアリン酸 0.2部
試料 表3〜7に記載(2部)
【0092】
試料に用いた物質の物性は以下のとおりである。
[ケイ酸カルシウム]
(1)CSH−1
微結晶カルシウムシリケート(水澤化学製)
化学組成:CaO・1.25SiO2・nH2O
積層不整指数(IS):1.96
比表面積:89m2/g
細孔容積:3.10ml/g
吸油量:110ml/100g
平均粒径:4μm
(2)CSH−2
微結晶カルシウムシリケート(水澤化学製)
化学組成:CaO・0.63SiO2・nH2O
積層不整指数(IS):1.95
[アルミノケイ酸金属塩]
(1)ゼオライト−1
4Aゼオライト(水澤化学製ミズカライザーDS)
平均粒径:2.15μm
カチオン交換容量:550meq/100g
(2)ゼオライト−2
4Aゼオライト(微粉砕品)
平均粒径:0.50μm
[リチウムアルミニウム複合水酸化物塩]
LAHCS:水澤化学製 商品名 ミズカラックH−1
化学組成:2Al2O3・Li2O・0.5CO2・3H2O
比表面積:20m2/g
吸油量:62ml/100g
平均粒径:0.46μm
[ハイドロタルサイト]
(1)ハイドロタルサイト−1
アルカマイザー1(協和化学製ハイドロタルサイト)
(2)ハイドロタルサイト−2
アルカマイザー4(協和化学製ハイドロタルサイト)
【0093】
[試料調製−1]
ガラスビーカー等の適当な容器に、表3に記載の混合比率で各素材単品10gと過塩素酸(70%soln.)0.43g(3重量%相当量)を秤込み、ガラス棒で粗混合した後、更にカップミルに移し替えて1分間よく混合した。その後、50℃で10分間乾燥し試料を得た。ただし、素材にゼオライト-1を用いた試料1−4は硬い凝集粒を生じたため、これのみ更に乳鉢粉砕して供試料とした。
【0094】
【表3】
【0095】
[試料調製−2]
表4の混合比率に従い、各素材合計10gと過塩素酸(70%soln.)0.43g秤込み、ガラス棒で粗混合した後、更にカップミルにて1分間よく混合した。その後、50℃で10分間乾燥し試料を得た。ただし、ゼオライト-1を含む試料については、凝集粒の発生を防ぐため、ゼオライト以外の素材に予め過塩素酸を混合、分散させた後にゼオライトを混合し、更にカップミルにて1分間よく混合した。
【0096】
【表4】
【0097】
[試料調製−3]
表5の混合比率に従い、CSH-1+ゼオライト-1の合計が10gとなるように、凝集粒の発生を防ぐべく、始めにCSH-1のみに過塩素酸を混合、分散させた後ゼオライトを混合し、更にカップミルにて1分間よく混合した。その後、50℃で10分間乾燥し試料を得た。
【0098】
【表5】
【0099】
[試料調製−4]
表6の混合比率に従い、各素材と過塩素酸(70%soln.)を秤込み、ガラス棒で粗混合した後、更にカップミルにて1分間よく混合した。その後、50℃で10分間乾燥し試料を得た(試料4−1〜4−4)。ただし、ゼオライト-1又はゼオライト-2を含む試料(試料5−1〜5−5)については、凝集粒の発生を防ぐため、ゼオライト以外の素材に予め過塩素酸を混合、分散させた後にゼオライトを混合し、更にカップミルにて1分間よく混合した。
【0100】
【表6】
【0101】
(実施例1〜5)
表3に示した試料1−1乃至1−5について、前記(配合1)で初期着色性とギアオーブン耐熱、及び(配合2)で、熱安定性の試験を行った。その結果を表8に示した。
【0102】
(実施例6〜11)
表4に示した試料2−1乃至2−6について、前記(配合1)で初期着色性とギアオーブン耐熱、及び(配合2)で、熱安定性の試験を行った。その結果を表9に示した。
【0103】
(実施例12〜17)
表5に示した試料3−1乃至試料3−6について、前記(配合1)で初期着色性とギアオーブン耐熱、及び(配合2)で、熱安定性の試験を行った。その結果を表10に示した。
【0104】
(実施例18〜26)
表6に示した試料4−1乃至試料4−4、試料5−1乃至試料5−5について、前記(配合1)で初期着色性とギアオーブン耐熱、及び(配合2)で、熱安定性の試験を行った。その結果を表11に示した。
【0105】
(比較例1〜15)
後記表7に示した試料H−1乃至試料H−15を前記(配合1)で初期着色性とギアオーブン耐熱、及び(配合2)で、熱安定性の試験を行った。その結果を表12に示した。但し、試料H−7乃至H−15の調整は、試料調整−1と同様の操作で各素材と過塩素酸及び過塩素酸塩を表7の混合比率で調製し試料を得た。また、ゼオライトの素材についても同様な操作を行った。
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸塩及びリチウムアルミニウム水酸化物塩から成る群より選択された少なくとも1種の化合物に、過塩素酸の欠点が発現しない程度に少量担持させたことにより、粉粒体としての取扱いが容易で、しかも塩素含有重合体への分散が良好で且つ、熱安定性が顕著に向上し、初期着色性も向上した安定剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートのX線回折像である。
【図2】ゾノトライトのX線回折像である。
【図3】積層不整指数(IS)算出のためのθ1、θ2の求め方を図示したものである。
Claims (7)
- (A)下記式(1):
CaO・xSiO 2 ・nH 2 O ‥‥(1)
式中、xは0.5乃至5.0の数であり、
nは2.5以下の数である、
で表される化学組成を有するケイ酸カルシウム及びリチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩からなる群より選択された少なくとも1種の化合物と、(B)過塩素酸とを含み、前記化合物(A)当たり過塩素酸を0.1乃至7重量%となる量で含有してなることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤。 - 前記安定剤に対して、更に(C)ハイドロタルサイトを前記(A)成分100重量部当たり10乃至500重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 前記ケイ酸カルシウムが、面間隔3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.78乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートであり、該微結晶カルシウムシリケートが下記式(2)
IS=tanθ 2 /tanθ 1 ‥‥(2)
式中、θ 1 は面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけ
るピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、
θ 2 は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(IS)が1.75以上である請求項1または2に記載の塩素含有重合体用安定剤。 - 前記微結晶カルシウムシリケートが60乃至200m2/gの比表面積、0.5ml/g以上の細孔容積、50乃至250ml/100gの吸油量、及び0.1乃至10μmの平均粒径を有するものである請求項3に記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 前記ケイ酸カルシウムと共にアルミノケイ酸塩とを含み、該ケイ酸カルシウムとアルミノケイ酸塩とが5:95乃至95:5の重量比で存在することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 前記ケイ酸カルシウムと過塩素酸(B)とを予め混合し、この混合物と前記アルミノケイ酸塩とを混合してなることを特徴とする請求項5に記載の塩素含有重合体用安定剤。
- 塩素含有重合体100重量部当たり、請求項1乃至6の何れかに記載の安定剤を0.01乃至10重量部の量で含有することを特徴とする塩素含有重合体組成物。
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