JP4596607B2 - 塩素含有重合体用安定剤組成物及び塩素含有重合体組成物 - Google Patents

塩素含有重合体用安定剤組成物及び塩素含有重合体組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱安定性及びその持続性に優れ、しかも寒色系の発色傾向を示すケイ酸マグネシウム系の安定剤を含む塩素含有重合体用安定剤組成物並びに安定化された塩素含有重合体組成物関する。
【0002】
【従来の技術】
塩素含有重合体、例えば塩化ビニル樹脂は熱及び光に曝されるとその分子鎖内で脱塩酸が生じ、分解、変色等を生じる。この熱分解に対し塩化ビニル樹脂を安定化するために、従来種々の安定剤或いは安定剤組成物が提案され、広く使用されている。
このような安定剤は、塩素含有重合体の加熱時に発生する塩化水素を捕捉する性質を有するものであり、商業的にはカルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛等の多価金属の有機酸塩及び無機酸塩が、正塩或いは塩基性塩の形で専ら使用されている。
【0003】
また、代表的なものとして、鉛系安定剤、金属セッケン系或いは有機スズ系安定剤が使用されている。しかしながら、これらは耐熱性があっても耐硫化物性、透明性に劣り、毒性と高価なことも問題で、多くの場合それぞれの欠点を補うため併用して使用されている。特に最近は、高温領域で成形加工を行うことが多くなっており、加工時に耐熱安定性を持ち、作業時及び使用面から無毒性の安定剤が一層求められている。
【0004】
更に、ケイ酸マグネシウムも熱安定剤となることが古くから知られており、特公昭53−31500号公報には、加熱混練後、加熱成形し着色ポリ塩化ビニル成形物を得るに当たり、熱劣化を促進する金属含有着色剤とケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウムの中から選ばれた少なくとも一種以上と有機錫安定剤、および必要に応じて他の公知の安定剤を使用することを特徴とする熱安定化された着色ポリ塩化ビニル成形物の製造法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
無機系安定剤は、価格が安価であり、ブリード傾向が少ないという有機系安定剤に見られない利点を有しているが、殆どのものが塩素含有重合体を黄色乃至オレンジ色等の暖色に初期着色する傾向がある。
【0006】
一般に、塩素含有重合体の初期着色傾向や加熱による着色濃度の増大傾向を抑制するために、互いに色相の異なる初期着色傾向を有する複数の安定剤、例えば暖色系の着色(黄色、橙色、赤色系)傾向を有する安定剤(以下単に暖色系安定剤と呼ぶことがある)と寒色系の着色(青色、紫色、緑色系)傾向を有する安定剤(以下単に寒色系安定剤と呼ぶことがある)とを組み合わせて塩素含有重合体に配合し、これにより着色傾向を抑制することはよく行われている。この原理は、塩素含有重合体の着色物が、その混合により灰色となって無彩化されることを利用するものである。
【0007】
しかしながら、寒色系の着色傾向を示す無機系安定剤は非常に限られたものしか知られていなく、例えば、カドミウム系、亜鉛系、過塩素酸塩系のものが知られているに過ぎない。
これらの寒色系安定剤の内、カドミウム系のものは毒性の点で事実上使用できないものであり、一方、亜鉛系安定剤の配合は広く行われているが、亜鉛系安定剤の配合は、突然塩素含有重合体組成物が黒色に着色する所謂亜鉛バーニングを生じるという欠点がある。
また、過塩素酸塩系安定剤は、耐アミン性に優れているという利点を有するが、潮解性を有しており、取り扱い上の難点を有している。
【0008】
かくして、熱安定性及びその持続性に優れており、しかも寒色系の着色傾向を示す無機系安定剤の出現が大いに望まれている。
【0009】
本発明者らは、普通のケイ酸マグネシウム、例えば前に挙げた先行技術に示された三ケイ酸マグネシウム(Mg2Si38・5HO)は暖色系の着色傾向を示すのに対して、以下に説明する合成層状ケイ酸マグネシウムは、熱安定性及びその持続性に優れていると共に、寒色系の着色傾向を示すという予想外の事実を見い出すに至った。
また、上記合成ケイ酸マグネシウムを暖色系安定剤、特に微結晶カルシウムシリケートと組み合わせて複合安定剤とすると、着色傾向が無彩化されると共に初期着色傾向が抑制され、熱安定性及びその持続性が一層改善された複合安定剤となることをも見い出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(A)一般式(1)
MgO・pSiO・nHO ‥‥(1)
式中、pは1乃至3の数であり、
nは10以下の数である、
で表される化学組成を有する合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体と、(B)暖色の着色傾向を有する安定剤として微結晶カルシウムシリケートを含有して成ることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤組成物が提供される。
【0011】
本発明の安定剤組成物において、
1.合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体(A)と暖色の着色傾向を有する安定剤(B)とを、(A):(B)=99乃至1:1乃至99の重量比で含有すること、
2.前記ケイ酸マグネシウム(A)と暖色の着色傾向を有する安定剤(B)が、粒子径の小さな一次粒子同士の凝集体からなる緊密混合体粒子であること、
が好ましい。
【0012】
本発明によれば更に、塩素含有重合体100重量部当たり、一般式(1)
MgO・pSiO・nH0‥‥(1)
式中、pは1乃至3の数であり、
nは10以下の数である、
で表される化学組成を有する合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体を0.1乃至50重量部の量で含有し、さらに、暖色の着色傾向を有する安定剤(B)として微結晶カルシウムシリケートを含有することを特徴とする塩素含有重合体組成物が提供される。
本発明の塩素含有重合体組成物においては、
1.前記ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体(A)と、暖色の着色傾向を有する安定剤(B)とを(A):(B)=99乃至1:1乃至99の重量比で含有するものであること、
2.塩素含有重合体100重量部当たり、多価アルコール乃至そのエステル(C)を0.1乃至20重量部更に含有すること、
3.前記多価アルコールが、モノペンタエリスリトール、ジペンタエルスリトール又はグリセリンであること、
4.塩素含有重合体100重量部当たり、脂肪酸或いはその金属塩(D)を0.1乃至20重量部更に含有すること、
5.前記脂肪酸(D)がC8乃至C18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸脂肪酸であること、
が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
[作用]
本発明は、種々のケイ酸マグネシウムの内でも、一般式(1)
MgO・pSiO・nHO ‥‥(1)
式中、pは1乃至3の数であり、
nは10以下の数である、
で表される化学組成を有する合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体は、塩素含有重合体に対して、優れた熱安定性とその持続性とを示し、しかも青色等の寒色系の着色傾向を示すという知見に基づくものである。
【0014】
即ち、特公昭53−31500号公報に記載されたケイ酸マグネシウムは、後述する比較例4に示すとおり、塩化ビニル系樹脂に配合したとき、赤系の色などの暖色系の着色傾向を示し、その耐熱時間は15分のオーダーに過ぎないのに対して、上記合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体は、後述する実施例1に示すとおり、青に近い寒色系の着色系を示し、その耐熱時間は25分のオーダーに延長されるのであって、この安定剤は耐熱性及びその持続性に優れた寒色系安定剤であることが了解される。
【0015】
また、寒色系安定剤の代表例であるケイ酸亜鉛は、後述する比較例3に示すとおり、塩化ビニル系樹脂に配合したとき、青に近い寒色系の着色傾向を示すものの、180℃の温度で加熱したとき、わずか5分間の加熱で亜鉛バーニングを発生するのに対して、同じ温度で加熱した条件下で30分間加熱後にも黒変を生じることなしに耐熱性が尚持続するのであって、寒色系安定剤の内でも耐熱持続性に非常に優れていることが分かる。
【0016】
塩素含有重合体の初期着色傾向や加熱による着色濃度の増大傾向を抑制するために、互いに色相の異なる初期着色傾向を有する複数の安定剤、暖色系安定剤とと寒色系安定剤とを組み合わせて塩素含有重合体に配合し、これにより着色傾向を抑制することがよく行われていることは、既に指摘したとおりであるが、本発明によれば、熱安定性や耐熱持続性に優れ、しかもバーニング傾向のない新規な寒色系安定剤が見い出されたことにより、これを種々の暖色系安定剤と組み合わせることが可能となり、初期着色傾向や加熱による着色濃度の増大傾向を抑制することが可能となるものである。
【0017】
また、本発明で使用する微結晶カルシウムシリケートを塩化ビニル系樹脂に配合した試料(比較例9、10)では、暖色系の初期着色傾向があり、しかもこの着色は加熱時間と共に濃度が増大していることが確認される。
従って、本発明では、合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体(A)と暖色の着色傾向を有する安定剤(B)、好ましくは微結晶カルシウムシリケートとを特定の量比で組み合わせると、暖色系の初期着色傾向やその後の加熱履歴に伴う着色濃度の増大傾向が顕著に解消乃至低減されると共に、耐熱持続性や塩化水素捕捉性を一層増強することが可能となる。これは、従来のマグネシウム化合物を使用した着色防止とは原理を異にし、全く予想外のものと認められる。特に、本発明の合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体と微結晶カルシウムシリケートとが緊密な混合体粒子で使用することにより初期着色傾向を大幅に軽減できる。
【0018】
[安定剤成分]
(1)合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体
本発明に用いる合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体は、前記式(1)
MgO・pSiO・nHO ‥‥(1)
式中、pは1乃至3の数で、好ましくは1乃至2である、
nは、10以下の数で、好ましくは5以下である、
を有するものである。中でも合成層状フィロ珪酸マグネシウムが好ましく、そのX線回折像については、面間隔4.5〜4.6オングストローム、2.5〜2.6オングストローム及び1.5〜1.6オングストロームにX線回折ピークを有する。
【0019】
本発明に用いる合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体は、下記式(2)、
S1 =tanθ2 /tanθ1 ‥‥(2)
式中、θ1は面間隔4.5乃至4.6オングストロームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、θ2は上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(IS1)が3.0以上であり、且つ300m2/g以上のBET比表面積と100ml/g以上のメチレンブルー脱色力(JIS K1470)を有することが好ましい。
【0020】
また、このケイ酸マグネシウムは、300乃至800m/gの比表面積、0.5ml/g以上の細孔容積、50乃至300ml/100gの吸油量、及び0.01乃至10μmの平均粒径を有している。
具体的には、示性式が3MgO・4SiO・2.5HOである合成層状ケイ酸マグネシウムが好ましい。
【0021】
(2)暖色の着色傾向を有する安定剤
暖色の着色傾向を有する安定剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の脂肪酸塩、水酸化物、酸化物或いはケイ酸塩が挙げられる。中でもステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト等が使用され、特に微結晶カルシウムシリケートが好ましい。
(2−1)微結晶カルシウムシリケート
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、前記式(3)の化学組成と、前記X線回折像とを有するものであり、そのX線回折像を図2に示す。
本発明で使用する微結晶カルシウムシリケートのX線回折像について、その3強線を示すと、下記表1
【表1】
Figure 0004596607
表中、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示している、
のとおりとなるが、その最強ピークがかなりブロードなものとなっていることが明らかである。
【0022】
結晶のX線回折では、下記のBraggの式(5)
nλ = 2dhkl Sinθ ‥‥(5)
式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl は結晶の(hkl)の面間隔であり、θは回折角である、
を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさとの間にも、下記のScherrerの式(6)
Figure 0004596607
式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸法、Kは約0.9の定数、Hは干渉ピークの半価幅(ラジアン)、λ及びθは前記式(5)と同一である、
で表される関係がある。
【0023】
図2、4のX線回折像から、面指数(220)の回折ピークの半価幅を求め、この半価幅から、前記式(6)により、結晶子のサイズを算出すると、面指数(220)の結晶子サイズは、60乃至120オングストロームの範囲に一般に抑制されており、この微結晶カルシウムシリケートは熱安定化作用に優れている。
【0024】
本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、下記式(2)
=tanθ/tanθ ‥‥(2)
式中、θは面間隔3.01乃至3.08オングストロームのX線回折ピークにおけるピーク垂線と挟角側接線とがなす角度、θは上記ピークにおいてピーク垂線と広角側接線とがなす角度を示す、
で定義される積層不整指数(I)が1.75以上、特に1.8乃至2.0の範囲にあることが好ましい。本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、前述したX線回折像からも明らかなとおり、層状の微細結晶であるが、上記の積層不整指数とは、層のC軸方向の積み重ねが不規則である程度を示すものであり、この値が大きいほど、不規則性が大きいことを示している。本発明に用いる微結晶カルシウムシリケートは、積層が不規則的であるため、活性表面が大きく、塩素含有重合体の安定化作用に優れている。
【0025】
本発明で用いる微結晶カルシウムシリケートは、一般に40μm以上の粒度のものが全体の10重量%以下で且つ20μm以下の粒度のものが全体の70重量%以上であるような粒度分布を有していることが、塩素含有重合体への均一な分散と熱安定化効果の点で好ましい。また、この微結晶カルシウムシリケートは、上記の粒子構造に関連して、60乃至200m/g、特に70乃至150m/gの比較的大きな比表面積、0.5ml/g以上、特に1.0乃至4.0ml/gの細孔容積、及び50乃至250ml/100g、特に80乃至200ml/100gの吸油量を有している。
【0026】
本発明においては、合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体と暖色の着色傾向を有する安定剤、好ましくは微結晶カルシウムシリケートを湿式及び/又は乾式で共粉砕して粒子径の小さな一次粒子同士の凝集体からなる緊密混合体粒子にすること好ましい。両者の混合は、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル、アトマイザー等の粉砕型混合機によって行うことができる。
【0027】
(3)多価アルコール
安定化助剤として用いる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリスイソシアヌレート、ペンタエリスリトールアジペート、ジペンタエリスリトールアジペート等を挙げることができる。これらの内でも、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールが好適である。
【0028】
(4)脂肪酸
▲1▼高級脂肪酸としては、炭素数10乃至22、特に14乃至18の飽和乃至不飽和脂肪酸、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。中でもステアリン酸が好適なものである。脂肪酸は勿論牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。
▲2▼アルカリ金属石鹸とは脂肪酸アルカリ金属塩または脂肪酸アンモニウム塩であり、具体的には炭素数6〜22の脂肪酸、たとえばカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはこれらの混合物などのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が用いられる。
これらアルカリ石鹸の製造法は、特に限定されず、バッチ法でも連続法でもよいが、全体としての設備的メリットを考えると、連続法を採用した方がより好ましい。
無機金属塩としては水可溶性金属塩、たとえばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛、リチウム、アルミニウム、銅、鉄、コバルトなどの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる
【0029】
[塩素含有重合体組成物]
塩素含有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品などを挙げることができる。
【0030】
本発明では、上記塩素含有重合体に対して、本発明のケイ酸マグネシウム及び微結晶カルシウムシリケートを前述した量比で配合する。これに加えて、前述した補助成分を配合することが望ましい。以下これらの補助成分についても説明する。
【0031】
本発明の塩素含有重合体組成物には、それ自体公知の塩素含有重合体用配合剤をそれ自体公知の処方に従って、配合することができる。例えば、本発明の組成物には、可塑剤、滑剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、強化剤、改質用樹脂乃至ゴム、塩基性無機金属塩、過塩素酸塩、エポキシ化合物、脂肪酸エステル、スズ系等の公知の安定剤等、抗菌剤、キレート化剤、酸化防止剤等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0032】
[可塑剤]
本発明で用いる可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤、テトラヒドロフタール酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤などがあげられる。
【0033】
さらにポリエチレン系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤から選ばれる一種または2種以上の組合せと他の可塑剤の併用も性能を損なわない範囲で可能であり、フタル酸系、燐酸系、脂肪酸系、アジピン酸系、エポキシ系、トリメリット系等が用いられる。
【0034】
ポリエステル系可塑剤としては、多価アルコールと多価カルボン酸とから誘導されたポリエステルであって、分子量が1000以上、特に1500以上のものが使用される。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の組合せが挙げられる。
【0035】
ポリエステル系可塑剤の具体的なものとしては、
ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステル、
ポリ(1,3−ブタンジオール、アジピン酸)エステル、
ポリ(1,3−ブタンジオール、セバチン酸)エステル、
ポリ(プロピレングリコール、セバチン酸)エステル、
ポリ(プロピレングリコール、フタル酸)エステル、
ポリ(1,3−ブタンジオール、フタル酸)エステル、
ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エステル、
ポリ(エチレングリコール、セバチン酸)エステル、
ポリ(1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸)エステル、
ポリ(ジエチレングリコール、アジピン酸)エステル、
ポリ(プロピレングリコール、テルペン無水マレイン酸付加物)エステル、
アセチルポリ(ブタンジオール、アジピン酸)エステル、
等が挙げられる。
【0036】
フタル酸系可塑剤としては、例えばブチル酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジヘプチル、ジヘプチルフタレート、フタル酸ジイソデシル、ジイソデシルフタレート、フタル酸ジイソノニル、ジイソノニルフタレート、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレートジノルマルアルキルフタレート、フタル酸ジn−オクチル、テトラヒドロフタルジ2−エチルヘキシル、ジトリデシルフタレート、フタル酸ジウンデシル、ジアルキルフタレート、ダイヤドール(711Hフタレート)、リポネール79フタレート、リポネール911フタレート等がある。
【0037】
燐酸系可塑剤としては、例えばクレジール・ジフェニルフォスヘート、トリス・クロロエチルフォスヘート、トリス・ジクロロプロピルフォスヘート、トリクレジルフォスフェート、リン酸トリクレジル、リン酸トリエチル、トリキシレニルホスヘート、キシレニルジフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルフォスフェート、ターシャリーブチルフェニルジフェニルフォスフェート、トリス(ベータクロロエチル)フォスフェート等があげられる。
【0038】
脂肪酸系可塑剤としては、例えばブチルオレエート、セバシン酸ジブチル、ジブチルセバケート、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルセバケート、ジ(2エチルヘキシル)セバケート等があげられる。
【0039】
アジピン酸系可塑剤としては、例えばジn−アルキル(C6,8,10)アジペート、アジピン酸ジn−アルキル、ジイソブチルアセテート、ジイソノニールアジペート、アジピン酸ジイソノニール、アジピン酸ジイソノニール、アジピン酸ジイソデシル、ジイソデシルアジペート、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、アジピン酸ジオクチルジn−アルキル(C7-9)アジペート、ジブトキシエトキシエチルアジペート、アジピン酸ジエステル等があげられる。
【0040】
エポキシ系可塑剤としては、例えばエポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化油、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ものエステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシ化ブチルステアレート、オクチル・エポキシステアレート等があげられる。
【0041】
トリメリット酸系可塑剤としては、例えばトリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリイソデシル、トリ2−エチルヘキシルトリメリテート、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル、トリオクチルトリメリテート、トリメリット酸エステル、トリノルマルオクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート等があげられる。
【0042】
その他可塑剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ノルマルパラフィン、アセチルトリブチルシトレート、アセチルクエン酸トリブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、2.2.4−トリメチル1.3編胆ジオールジイソブチレート、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、ジn−ヘキシルアセテート、ドデカンニ酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルドデカノエート、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルマレエート、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシルアゼレート、ジ(2エチルヘキシル)アゼレート、ジペンタエリスリトールエステル、(メタ)アクリル酸エステル等があげられる。
【0043】
これらの可塑剤は、塩素含有重合体100重量部当たり0乃至200重量部、好ましくは、0乃至100重量部配合することが好ましい。
【0044】
塩基性無機化合物としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、ハイドロタルサイト、アルカリアルミニウム複合水酸化物塩、アルカリアルミニウム複合水酸化物炭酸塩等が挙げられる。
【0045】
[ハイドロタルサイト]
本発明で補助成分として用いるハイドロタルサイトは、炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化物に属する合成鉱物であり、一般式(7)
2+ 3+ (OH)2x+3y−2z(A2−・aHO ‥(7)
式中、M2+はMg等の2価金属イオンであり、M3+はAl等の3価金属イオンであり、A2−はCO等の2価アニオンであり、
x,y及びzは8≧x/y ≧1/4 およびz/(x+y) >1/
20を満足する正数であり、
aは0.25≦a/x+y ≦1.0 を満足する数である。
を有する複合金属水酸化物が使用される。
【0046】
これらの複合金属水酸化物の内、式(8)
MgAl(OH)16(CO)・4HO ‥(8)
で表わされる化合物は、ハイドロタルサイトとして知られる天然鉱物であり、この鉱物及び同族類は、協和化学工業株式会社の出願に係る特公昭47−32198号、特公昭48−29477号及び特公昭48−29478号公報記載の方法等により合成されるものである。
【0047】
これらのハイドロタルサイト類、特に式(9)
Mg4.5 Al(OH)13(CO)・3HO ‥(9)
で示される化合物が塩素イオンの捕捉性能に優れていることも既に知られており、このものを本発明の配合成分として用いることもできる。
【0048】
これらのハイドロタルサイト類が水に十分に分散された状態において容易にイオン交換されるという特性、即ち炭酸イオンが他のアニオンでイオン交換されるという性質を利用して、過ハロゲン酸イオンを導入したものを用いることもできる。
【0049】
本発明では、通常のMg型のハイドロタルサイトを使用できるのは勿論であるが、亜鉛変性のハイドロタルサイトを使用することもできる。亜鉛変性ハイドロタルサイトとしては、前記一般式(7)において、M2+の2価金属イオンがMgとZnとの組み合わせからなるものであり、Mg:Znの原子比が9:1乃至1.8:1の範囲にあるものが、熱安定性と初期着色防止の点で優れている。
【0050】
[リチウムアルミニウム複合水酸化物塩]
本発明で補助成分として用いるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩が下記のX線回折像を有するリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩である。
Figure 0004596607
【0051】
また、リチウムアルミニウム複合水酸化物塩が、下記数式
S3 = tanθ/tanθ …(10)
式中、θは一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、θは該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とがなす角度を表す、
で定義される積層不整指数(IS3)が面指数(016)のピークにおいて
以下であり且つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下で、
更に、リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、波数547、735、1004、1375及び3443(cm−1)に大きな吸収のある赤外線吸収スペクトルを有する。
【0052】
また、本発明に用いるリチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有していること、JIS K6721で測定して、0.1乃至0.35g/cm、特に0.25乃至0.35g/cmの嵩密度を有すること、10乃至70m/gのBET比表面積を有すること、吸油量も40乃至70ml/100gと小さいことが好ましい。
【0053】
上記リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩は、勿論これに限定されるものではないが、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルと、リチウムの炭酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(Al)としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させる方法(以下単に水和アルミナゲル法と呼ぶことがある)により、或いは、ギブサイト型水酸化アルミニウムの微粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸イオン及びリチウムイオンを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との組合せとを水の存在下に反応させる方法、即ちマイグレーション法により製造される。
【0054】
[他の補助成分]
本発明の塩素含有重合体組成物においては、必要により塩素含有重合体100重量部当たり、(E)高級脂肪酸亜鉛を0.01乃至10.0重量部、特に0.1乃至5.0重量部及び/又は(F)β−ジケトン、β−ケト酸エステルまたはジヒドロピリジン誘導体0.01乃至5.0重量部、特に0.02乃至2.0重量部、初期着色傾向の一層の改善のために更に含有させることができる。
【0055】
β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることが出来る。
【0056】
ジヒドロピリジン誘導体としては、下記式(11)
【式11】
Figure 0004596607
〔式中、Rは炭素数9〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基若しくはアルケニル基を示す。〕
で表されるジヒドロピリジン誘導体が使用され、具体的には2,6-ジメチル-3,5-ジカルボメトキシ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボブトキシ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボドデシルオキシ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボテトラデシルオキシ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボオクタデシルオキシ-1,4-ジヒドロピリジン等があげられる。
【0057】
更に、本発明の塩素含有重合体組成物においては、塩素含有重合体100重量部当たり(E)フェノール系酸化防止剤を0.01乃至5.0重量部、特に0.1乃至3.0重量部更に含有させることが、塩素含有重合体の熱減成による劣化を防止する上で有効である。
【0058】
本発明に用いるフェノール系酸化防止剤としては、ビスフェノール型酸化防止剤、立体障害性フェノール系酸化防止剤が何れも使用される。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。これらのフェノール系酸化防止剤は、単独でも組み合わせでも使用することができ、更にフェノール系以外の酸化防止剤と組み合わせて使用しても良い。
【0059】
また、本樹脂組成物には必要に応じて錫系安定剤を配合することもできる。例えば有機錫化合物としては、有機錫メルカプタイド類、有機錫サルファイド類、有機錫メルカプタイド・サルファイド類、有機錫メルカプトカルボキシレート類及び有機錫カルボキシレート類が包含される。
【0060】
(1)有機錫メルカプタイド類としては、ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、ジオクチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジオクチル錫ビス(2−メルカプトエチルカプリレート)、ジブチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジメチル錫ビス(メルカプトエチルステアレート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ドデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(テトラデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ヘキサデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(オクタデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(C12−16 混合アルキルチオグリコレート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ビス(2−メルカプトカルボニルエチル)錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ビス(2−ブトキシカルボニルエチル)錫ビス(ブチルチオグリコレート)等のジ有機錫メルカプタイド及びモノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタイド)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、モノオクチル錫トリス(2−メルカプトエチルカプリレート)、モノブチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルラウレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルステアレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルオレート)、モノオクチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ヘキサデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(C12−16 混合アルキルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(オクタデシルチオグリコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルチオグレコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノメチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、モノメチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、2−メトキシカルボニルエチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、2−ブトキシカルボニルエチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)等のモノ有機錫メルカプタイドがあげられる。
【0061】
(2)有機錫サルファイド類としては、メチルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、オクチルチオスタノイック酸、ジメチル錫サルファイド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイド、ジシクロヘキシル錫サルファイド、モノブチル錫サルファイド、オキサイド、2−メトキシカルボニルエチル錫サルファイド、2−エトキシカルボニル錫サルファイド、2−ブトキシカルボニル錫サルファイド、2−イソプロポキシカルボニルエチル錫サルファイド、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫サルファイド、ビス(2−プロポキシカルボニルエチル)錫サルファイド等があげられる。
【0062】
(3)有機錫メルカプタイド・サルファイド類としては、ビス〔モノブチル・ジ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫イソオクチルチオグリコレート〕スルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メチルカプトエチルカプリレート)サルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メルカプトエチルカプリレート)〕ジサルファイド等があげられる。
【0063】
(4)有機錫メルカプトカルボキシレート類としては、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫メルカプトアセテート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫チオグリコレート)錫チオグリコレート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫メルカプトプロピオネート等があげられる。
【0064】
(5)有機錫カルボキシレート類としては、モノ又はジメチル錫、モノ又はジブチル錫、モノ又はジオクチル錫あるいはモノ又はビス(ブトキシカルボニルエチル)錫のオクトエート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステレート、イソステアレート等の脂肪族一価のカルボキシレート類:マレートポリマー、ブチルマレート、ベンジルマレート、オレイルマレート、ステアリルマレート等のマレート;及びこれらの混合塩あるいは塩基性塩があげられる。
【0065】
これらの錫系安定剤は、塩素含有重合体100重量部当たり0.1乃至2.0重量部配合することができる。
【0066】
滑剤としては、(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられる。
【0067】
紫外線吸収剤としては例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類があげられる。
【0068】
ヒンダードアミン系化合物としては例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレートなどがあげられ、光安定剤や熱安定助剤として用いられる。
【0069】
エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化魚油、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、トリス8エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどがあげられる。
【0070】
これらの化合物は、塩素含有重合体100重量部当たり0.1乃至5重量部、好ましくは、0.1乃至1.0重量部配合することが好ましい。また、前記(A)、(B)成分の合量で100重量部当たり2乃至20重量部、好ましくは、5乃至10重量部配合することが好ましい。
【0071】
有機配合剤としては、シリコーン系表面処理剤、脂肪酸、脂肪酸塩が使用される。シリコーン系表面処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、環状ポリジメチルシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーンポリエーテル共重合体、拡散ポンプ用オイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、樹脂改質用オイル等が使用できる。特にジメチルシリコーンオイルを使用することが好ましい。
【0072】
シリコーン系表面処理剤としてオルガノポリシロキサンを使用する場合、例えばケイ酸マグネシウム及び/又は微結晶カルシウムシリケートを減圧下に加熱脱水し、次いでオルガノポリシロキサンの蒸気及び/又は液と接触させることを特徴とするオルガノポリシロキサン錯体として使用することができる。この製造方法においては、ケイ酸マグネシウム及び/又は微結晶カルシウムシリケートを560〜0torrの減圧下、150乃至410℃の加熱下に脱水することが好ましい。
【0073】
また、無機系の安定剤、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属型ゼオライト乃至その熱処理物等を配合することができる。これらの配合剤は、0.01乃至30重量部の範囲から、目的に応じて適宜配合できる。
【0074】
ゼオライトとしては、A型、X型、Y型、L型、P型、T型等の他に、オフレタイト、エリオナイト、モルデナイト、フェリエライト、クリノプチロライト、チャバサイト、アナルサイム、ソーダライト族アルミノケイ酸塩等の各種結晶構造のものが何れも使用されるが、塩化水素捕捉能の点で、特にA型ゼオライトが好ましい。
【0075】
[複合安定剤]
本発明の安定剤は、粉粒体の形で、即ち粉末の形で、或いは粒状物の形で、ワンパックの安定剤として使用することができる。粒状物の製造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法を用いることができる。粉粒体の粒度は、粒度は目的に応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μm乃至5mm特に70μm乃至2mmの範囲にあるのが好適である。
【0076】
衝撃強化剤としては、例えば30〜40%の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エステルを主体とする共重合ゴムにメチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、メタルメタクリエート・ブタジエン・スチレン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙げられる。
【0077】
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤は勿論、アンチモン、ジルコン、モリブデン、アルミニウム、シリカ、チタンの酸化物、水酸化物、及び硫化物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、これら亜鉛化合物の金属水酸化物表面処理品などが挙げられる。
【0078】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明を説明する。
なお、以下の例において、微結晶カルシウムが使用されていない実施例1,2,5,9−14は、本発明の範囲外の参考例である。
また、実施例及び比較例に用いる配合品の物性の測定方法は以下の通りである。
【0079】
(測定方法)
(1)XRD測定
理学電機(株)製のRAD−IBシステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器 SC
電圧 40KVP
電流 20mA
カウントフルスケール 7000c/s
スムージングポイント 25
走査速度 1°/min
ステップサンプリング 0.02°
スリット DS1°RS0.15mm SS1°
照角 6°
【0080】
(2)比表面積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1800を使用し、BET法により測定した。
【0081】
(3)細孔容積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1800を使用し、BET法により測定した。
【0082】
(4)吸油量
JIS.K.5101に準拠して測定した。
【0083】
(5)平均粒径
コールターカウンター(株)製レーザー回折方式粒子サイズ・アナライザーLS130粒度分布測定器により平均粒径を求めた。
【0084】
(6)化学組成
JIS.R.3101に準拠して測定した。
(7)メチレンブルー脱色力の測定法
JIS.K.1470に準拠して測定した。
【0085】
(配合品)
本発明に用いた配合品については以下のものをそれぞれ使用し、それ以外の配合品は市販品を用いた。
▲1▼酸化亜鉛:和光純薬工業(株)試薬一級
▲2▼マグネシウム三シリケート五水和物:和光純薬工業(株)試薬一級
▲3▼タルク:林化成(株)製 157-0526
▲4▼水酸化マグネシウム:神島化学(株)製
▲5▼酸化マグネシウム:神島化学(株)製
▲6▼Ca(OH):三峰産業(株)製
【0086】
(A)(珪酸マグネシウムの調整1)
共沈法活性シリカ(水澤化学製ミズカシルP527)68.7gと水酸化マグネシウム(試薬一級)37.9g を2リッタービーカー にとり、イオン交換水1リッターを加え、スラリー化する。
これを200回転/分の攪拌条件下で、95℃で5時間水熱合成を行った。冷却後反応物を取り出し、濾過により水を分離後、130℃で乾燥した。乾燥品を粉砕し、白色微粉末を得た。(これをMSH−1とする)
本品をX線回折にて分析したところ、層状珪酸マグネシウム であった。
本品の化学組成、積層不整指数、BET比表面積、メチレンブルー脱色力、平均粒子径、及び吸油量 を表2に示した。
【0087】
(B)(珪酸マグネシウムの調整2)
新潟県中条町産、酸性白土を粉砕した後、棒状に成型(直径3mm)したもの250gに、該粘土に含有されているアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、チタニウムなどの塩基性金属成分の全グラム当量数(1.14グラム当量/100g乾燥物)の3.5倍グラム当量数に相当する硫酸、即ち34%硫酸700mlを加え、85℃の水浴で15時間加熱し、酸処理を行った。
濾過により水洗し、ケーキを得た。該ケーキの少量を110℃で乾燥し、粉砕し、定量分析すると、SiO2分は92.7%(110℃乾燥物基準)であった、得られたケーキをポットミルに入れ、水を加えて朝鮮ボールとともに湿式粉砕し、SiO2を15%含むスラリーを得た。
次に得られたスラリー200gと(SiO2分30g)と水酸化マグネシウム(試薬一級)22gを1リッターのオートクレーブ容器にとり、更にイオン交換水370gを加えて、500回転/分の攪拌条件下で160℃で5時間水熱合成反応を行った。
冷却後反応物を取り出し、濾過により水を分離後、130℃で乾燥した。乾燥品を 粉砕し、白色微粉末を得た。(これをMSH−2とする)
本品をX線回折にて分析したところ、層状フィロ珪酸マグネシウム であった。
そのX線回折図を図1に示す。
本品の化学組成、積層不整指数、BET比表面積、メチレンブルー脱色力、平均粒子径、及び吸油量 を表2に示した。
【0088】
(B)微結晶カルシウムシリケートの調製
本発明に使用される微結晶カルシウムシリケート(CSH)の合成は以下の方法で行った。
石灰乳スラリー(CaO分6%)498.8gと平均粒径5μmの活性ケイ酸粉末42.8gを磁性ポットミルに入れ、54時間摩砕反応を行い、pH10のスラリーを得た。これを濾過・水洗後、110℃で乾燥し、次いで小型のサンプルミルで粉砕してSiO/CaOモル比が1.25の微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(これををCSH−1とする)を得た。同様にSiO/CaOモル比が0.8となるように微粉末カルシウムシリカ複合水酸化物(これをCSH−2とする)を得た。得られた生成物の化学組成及び物性を以下の表2に示し、CSH−1のX線回折像を図2に示す。
【0089】
【表2】
Figure 0004596607
【0090】
(実施例1〜2及び比較例1〜5)
表3にそれぞれ示す配合組成物(値は重量部)を温度165℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作成し、以下に述べるシート加熱試験(1)及び(2)に供した。その結果も表3に示す。
作製した塩化ビニルシートの評価方法は以下のようにして行った。
【0091】
(1)オーブン耐熱試験
180℃に設定したギヤオーブンに試験片を入れ、10分後のシート色相(初期着色性)を目視判定し、黒化までの時間(黒化時間)を測定した。
【0092】
(2)塩化水素脱離試験(H.T)
JIS.K.6723に準拠し、混練成型した硬質塩化ビニルシートを1mm×1mmに裁断し、コンゴーレッド紙を装着した試験管に試料チップ2gを充填し、180℃に加熱し、塩化ビニルの熱分解による塩化水素脱離時間を測定した。
【0093】
【表3】
Figure 0004596607
【0094】
(実施例3〜5)
本発明の合成層状珪酸マグネシウム(MSH−1)と各種暖色発色性熱安定剤(CSH-1,CSH-2,及び4Aゼオライト)とをボールミルを用い摩砕下に緊密混合して後、表4に示す配合組成物(値は重量部)で温度165℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作製し、シート加熱試験(1)及び(2)に供した。その結果も表4に示す。
【0095】
(比較例6〜8)
各種暖色発色性熱安定剤について、表4に示す配合組成物(値は重量部)で温度165℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作製し、シート加熱試験(1)及び(2)に供した。その結果も表4に示す。
【0096】
【表4】
Figure 0004596607
【0097】
(実施例6〜8)
本発明の合成層状珪酸マグネシウム(MSH−1)と暖色発色性熱安定剤(CSH-1)とをボールミルを用い摩砕下に緊密混合して後、これと多価アルコール乃至そのエステルとによる表5に示す配合組成物(値は重量部)で温度165℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作製し、シート加熱試験(1)及び(2)に供した。その結果も表5に示す。
【0098】
(実施例9〜14)
本発明の合成層状珪酸マグネシウム(MSH−1)と暖色発色性熱安定剤(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム)、多価アルコール乃至そのエステル、及び低級脂肪酸とによる表5に示す配合組成物(値は重量部)で温度165℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作製し、シート加熱試験(1)及び(2)に供した。その結果も表5に示す。
【0099】
【表5】
Figure 0004596607
【0100】
(参考例1〜3)
本発明の合成層状珪酸マグネシウム(MSH−1)と各種暖色発色性熱安定剤とを事前に混合せずに、表6に示す配合組成物(値は重量部)で温度165℃で5分間ロールミル混練を行い、厚さ0.5mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作製し、シート加熱試験(1)及び(2)に供した。その結果も表6に示す。
【0101】
【表6】
Figure 0004596607
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のケイ酸マグネシウムと微結晶カルシウムシリケート等暖色発色熱安定剤とを特定の量比で組み合わせることにより、暖色系の初期着色傾向やその後の加熱履歴に伴う着色濃度の増大傾向が顕著に解消乃至低減され、更に耐熱持続性や塩化水素捕捉性を一層増強する塩素含有重合体用安定剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる合成層状ケイ酸マグネシウム(MSH−2)のX線回折像である。
【図2】本発明で用いる微結晶カルシウムシリケート(CSH−1)のX線回折像である。
【図3】積層不整指数(Is)算出のためのθ、θの求め方を図示したものである。
【図4】積層不整指数(Is)算出のためのθ、θの求め方を図示したものである。

Claims (9)

  1. (A)一般式(1)
    MgO・pSiO・nHO ‥‥(1)
    式中、pは1乃至3の数であり、
    nは10以下の数である、
    で表される化学組成を有する合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体と、(B)暖色の着色傾向を有する安定剤として微結晶カルシウムシリケートを含有して成ることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤組成物。
  2. 合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体(A)と暖色の着色傾向を有する安定剤(B)とを、(A):(B)=99乃至1:1乃至99の重量比で含有することを特徴とする請求項1に記載の塩素含有重合体用安定剤組成物。
  3. 前記ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体(A)と暖色の着色傾向を有する安定剤(B)が、粒子径の小さな一次粒子同士の凝集体からなる緊密混合体粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩素含有重合体用安定剤組成物。
  4. 塩素含有重合体100重量部当たり、一般式(1)
    MgO・pSiO・nH0‥‥(1)
    式中、pは1乃至3の数であり、
    nは10以下の数である、
    で表される化学組成を有する合成層状ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体を0.1乃至50重量部の量で含有し、さらに、暖色の着色傾向を有する安定剤(B)として微結晶カルシウムシリケートを含有することを特徴とする塩素含有重合体組成物。
  5. 前記ケイ酸マグネシウム乃至そのシリカ複合体(A)と、暖色の着色傾向を有する安定剤(B)とを(A):(B)=99乃至1:1乃至99の重量比で含有するものであることを特徴とする請求項4に記載の塩素含有重合体組成物。
  6. 塩素含有重合体100重量部当たり、多価アルコール乃至そのエステル(C)を0.1乃至20重量部更に含有することを特徴とする請求項4または5に記載の塩素含有重合体組成物。
  7. 前記多価アルコールが、モノペンタエリスリトール、ジペンタエルスリトール又はグリセリンであることを特徴とする請求項6に記載の塩素含有重合体組成物。
  8. 塩素含有重合体100重量部当たり、脂肪酸或いはその金属塩(D)を0.1乃至20重量部更に含有することを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の塩素含有重合体組成物。
  9. 前記脂肪酸(D)がC8乃至C18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸であることを特徴とする請求項8に記載の塩素含有重合体組成物。
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