JP2003040616A - アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子、その製法及び用途 - Google Patents

アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子、その製法及び用途

Info

Publication number
JP2003040616A
JP2003040616A JP2001225723A JP2001225723A JP2003040616A JP 2003040616 A JP2003040616 A JP 2003040616A JP 2001225723 A JP2001225723 A JP 2001225723A JP 2001225723 A JP2001225723 A JP 2001225723A JP 2003040616 A JP2003040616 A JP 2003040616A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkaline earth
earth metal
magnesium
acid
silicate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001225723A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Ishida
仁 石田
Yoshinobu Komatsu
善伸 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Original Assignee
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mizusawa Industrial Chemicals Ltd filed Critical Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Priority to JP2001225723A priority Critical patent/JP2003040616A/ja
Priority to JP2003515452A priority patent/JP4176013B2/ja
Priority to US10/484,384 priority patent/US7041265B2/en
Priority to PCT/JP2002/007503 priority patent/WO2003010091A1/ja
Priority to CA002454790A priority patent/CA2454790A1/en
Publication of JP2003040616A publication Critical patent/JP2003040616A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素含有重合体用安定剤として有用な、アル
カリ土類金属水酸化物粒子の表面にアルカリ土類金属ケ
イ酸塩を形成させたアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒
子及びその製法を提供する。 【解決手段】 アルカリ土類金属水酸化物粒子の表面に
実質上アルカリ土類金属ケイ酸塩を有し、全体としてS
iO/MO(式中、Mはアルカリ土類金属である)の
モル比が0.01乃至0.90の範囲にあるアルカリ土
類金属塩基性ケイ酸塩粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩素含有重合体用安
定剤として有用なアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子
及びその製法に関するもので、より詳細には初期着色傾
向が抑制され且つ熱安定化時間(黒化時間)が延長され
た新規アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】塩素含有重合体、例えば塩化ビニル樹脂
は、熱及び光に曝されるとその分子鎖内で脱塩化水素を
生じ、分解、変色、物性の低下等が生じる。この変色や
物性低下の原因はポリエン構造の形成によることも知ら
れている。この熱分解に対して塩化ビニル樹脂を安定化
するために、従来種々の安定剤或いは安定剤組成物が提
案され、広く使用されている。
【0003】塩素含有重合体用安定剤として、アルカリ
土類金属の水酸化物や、ケイ酸塩を用いることも古くか
ら知られている。
【0004】例えば、特開昭49−102770号公報
には、含塩素高分子化合物にその高分子化合物中の塩素
含有重量の1/2重量以上の水酸化カルシウムを添加練
和してなる塩化水素ガス捕捉性含塩素高分子化合物組成
物が記載されている。
【0005】また、特開昭54−97648号公報に
は、ハロゲン含有樹脂100部に対し、(a)塩基性炭
酸マグネシウム0.1〜2.5部、(b)有機酸のアル
カリ土類金属塩及び亜鉛塩より選ばれる1種もしくは2
種以上の化合物0.1〜5部、(c)ジペンタエリスリ
トール0.1〜5部、(d)滑剤0.1〜10部、
(e)炭酸カルシウム、クレー、酸化チタン及びカーボ
ンブラックより選ばれる充填剤0〜20部を配合したハ
ロゲン含有樹脂組成物が記載されている。
【0006】特開昭55−43144号公報には、硬質
塩化ビニル樹脂組成物に、脂肪酸で処理した微細炭酸カ
ルシウムを2〜20PHRと、酸化マグネシウム及び水
酸化マグネシウムの少なくとも一方を0.3〜3.0P
HRと、ジブチルスズジラウレート及びジブチル−β−
メルカプトプロピオネートの少なくとも一方を0.2〜
2.0PHR配合したことを特徴とする塩化ビニル樹脂
成形材料が記載されている。
【0007】特開平5−262941号公報には、塩化
ビニル系樹脂に対して、酸化マグネシウム、炭酸マグネ
シウム及び水酸化マグネシウムよりなる群から選ばれ
る、少なくとも一種の化合物(a)と、酸化カルシウム
及び/または水酸化カルシウム(b)と、有機酸亜鉛塩
(c)と、有機亜リン酸エステルとを配合せしめること
を特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物が記載されてい
る。
【0008】特開平6−1898号公報には、全体とし
てのSiO/MgOのモル組成比が0.25乃至1.
33の範囲にあり且つ結晶性層状フィロケイ酸マグネシ
ウムと過剰の水酸化マグネシウム乃至酸化マグネシウム
との均質組成物からなることを特徴とする塩素含有重合
体用配合剤が記載されている。また、上記公報の比較例
1には、SiO/MgOのモル組成比が0.10の組
成物では、熱安定性が不十分であることも記載されてい
る。
【0009】特開平7−62182号公報には、ポリ塩
化ビニル樹脂に対して粒子径40μm以下の水酸化カル
シウムを含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物が記載され
ている。
【0010】第2895108号特許公報には、ゼオラ
イト型安定剤1重量部当り、水酸化カルシウム又は水酸
化マグネシウムを0.5 乃至1.7 重量部、金属石鹸型安定
剤を0.05乃至0.4 重量部及び過塩素酸を0.1 乃至0.4 重
量部含有することを特徴とする塩素含有重合体用複合安
定剤が記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】水酸化カルシウムや水
酸化マグネシウムは典型的な2価金属の塩基であり、し
かも単位重量当たりの塩化水素の捕捉性(反応性)は本
来高いはずであるが、実際に塩素含有重合体用安定剤と
して用いたとき、塩素含有重合体を赤色に近い暖色系に
初期着色する傾向が大きく、しかも熱安定化時間(塩素
含有重合体が黒化するまでの時間)も期待されたほど大
きくないという問題がある。このため、従来技術に見ら
れるとおり、水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムは
安定剤の助剤的な一成分として使用されるに留まってい
る。
【0012】水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムが
初期着色傾向が大であり、熱安定化時間もさほど長くな
いという理由は、この水酸化物は塩基度が強く、塩素含
有重合体からの脱塩酸反応(ポリエン形成反応)をむし
ろ誘発しやすいことによると思われる。
【0013】本発明者らは、アルカリ土類金属水酸化物
粒子の表面にアルカリ土類金属ケイ酸塩を形成させる
と、アルカリ土類金属水酸化物と塩素含有重合体との直
接的な接触が回避される結果として、安定剤として使用
した際の初期着色傾向が回避され、熱安定性も向上する
のではないかという着想を得た。この着想の下に、アル
カリ土類金属ケイ酸塩をアルカリ土類金属水酸化物粒子
の表面に形成させることにより、アルカリ土類金属塩基
性ケイ酸塩粒子の製造に成功し、このアルカリ土類金属
塩基性ケイ酸塩粒子は、実際に顕著に抑制された初期着
色傾向及び顕著に延長化された熱安定化時間を示すこと
を見い出した。
【0014】従って、本発明の目的は、新規な粒子構
造、即ちアルカリ土類金属水酸化物粒子の表面にアルカ
リ土類金属ケイ酸塩を形成させたアルカリ土類金属塩基
性ケイ酸塩粒子及びその製法を提供するにある。本発明
の他の目的は、塩素含有重合体に対する初期着色傾向が
著しく低減され、しかも熱安定化時間も著しく延長さ
れ、その結果、塩素含有重合体用安定剤として特に有用
なアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子及びその製法を
提供するにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、アルカ
リ土類金属水酸化物粒子の表面に実質上アルカリ土類金
属ケイ酸塩を有し、全体としてSiO/MO(式中、
Mはアルカリ土類金属である)のモル比が0.01乃至
0.90の範囲にあることを特徴とするアルカリ土類金
属塩基性ケイ酸塩粒子が提供される。本発明のアルカリ
土類金属塩基性ケイ酸塩粒子においては、 1.アルカリ土類金属がカルシウムであること、 2.アルカリ土類金属がマグネシウムであること、 3.アルカリ土類金属がマグネシウムであり、水酸化マ
グネシウムの粒子表面にケイ酸マグネシウムが存在する
粒子構造を有し、且つ二次イオン質量分析装置(SIM
S)で測定して、下記式(1) RI400=A/B ‥‥(1) 式中、Aは、粒子表面から深さ方向400nmでの28
強度プロファイル[counts]、 Bは、粒子表面から深
さ方向 400nmでの25Mgの強度プロファイル[counts]
である、で表されるケイ酸化強度比(RI400)が
0.01以上であること、 4.アルカリ土類金属がマグネシウムで、且つアルカリ
土類金属ケイ酸塩がフィロケイ酸マグネシウムであり、
全体としてSiO/MgOのモル比が0.01乃至
0.40の範囲にあること、 5.アルカリ土類金属がカルシウム及びマグネシウムで
あること、 6.アルカリ土類金属がカルシウム及びマグネシウムで
ある場合には、カルシウム及びマグネシウムがCa/M
gのモル比が0.01乃至100となる割合で存在する
こと、 7.走査熱重量分析(DTG)において、温度350乃
至450℃に重量損失に基づくピークを有すること、 8.水和水(水酸基として存在する水)がMO1モル当
たり0.1乃至0.99モルの量で存在すること、 9.10乃至200m/gのBET比表面積と10乃
至150ml/100gの吸油量とを有すること、 10.体積基準のメジアン径が0.1乃至20μmの範
囲にあること、が好ましい。 本発明によればまた、アルカリ土類金属水酸化物粒子と
非晶質ケイ酸とを非摩砕条件下に水性媒体中で加熱し、
水酸化物粒子表面にアルカリ土類金属水酸化物と非晶質
ケイ酸との反応によるアルカリ土類金属ケイ酸塩を生成
させ、生成物を乾固することを特徴とするアルカリ土類
金属塩基性ケイ酸塩粒子の製法が提供される。本発明に
よれば更に、上記アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子
からなることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤が提
供される。上記アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子は
ゼオライトとの組み合わせで塩素含有重合体用安定剤と
して用いることが望ましい。
【0016】
【発明の実施形態】[作用]本発明のアルカリ土類金属
塩基性ケイ酸塩粒子は、 A.アルカリ土類金属水酸化物の表面に実質上アルカリ
土類金属ケイ酸塩が形成されていること、 B.全体としてSiO/MO(式中、Mはアルカリ土
類金属である)のモル比が0.01乃至0.90の範囲
にあること、が特徴である。
【0017】粒子表面に存在するアルカリ土類金属ケイ
酸塩は塩素含有重合体に配合したとき、暖色系への初期
着色傾向を著しく低減させ、一方粒子内部に存在するア
ルカリ土類金属水酸化物は塩素含有重合体から発生する
塩化水素を有効に捕捉する。かくして、本発明で規定し
た粒子構造のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子で
は、初期着色傾向を顕著に抑制しながら、塩素含有重合
体の黒化時間を顕著に延長させることが可能となる。
【0018】後述する例を参照されたい。水酸化マグネ
シウムを0.7PHR(樹脂100重量部当たりの配合
部数、以下同じ)で他の安定助剤と共に塩化ビニル樹脂
に配合した場合の初期着色の評価はレベル3であり、1
85℃のギアオーブンでの黒化時間は80分間である
(比較例1)。一方、ケイ酸マグネシウムを0.7PH
Rで他の安定助剤と共に塩化ビニル樹脂に配合した場合
の初期着色の評価はレベル1であり、185℃のギアオ
ーブンでの黒化時間は60分間である(比較例2)。更
に、水酸化マグネシウムとケイ酸マグネシウムとを8:
1のモル比(SiO /MgOモル比=1/9)で、混
合したものを0.7PHRで他の安定助剤と共に塩化ビ
ニル樹脂に配合した場合の初期着色の評価はレベル3で
あり、185℃のギアオーブンでの黒化時間は70分間
である(比較例3)。これに対して、ケイ酸とマグネシ
ウムとのモル比は上記同様であるが、水酸化マグネシウ
ム粒子の表面にケイ酸マグネシウムを設けたものを0.
7PHRで他の安定助剤と共に塩化ビニル樹脂に配合し
た場合の初期着色の評価はレベルは1に抑制され、18
5℃のギアオーブンでの黒化時間は100分間にも延長
されるのである(実施例1)。これらの実験結果は、表
面にケイ酸塩が存在し、且つ内部に水酸化物が存在する
粒子構造が初期着色防止と熱安定性向上とに相乗的に役
立っていることを示している。上記の作用効果は、後述
する実施例に示すとおり、水酸化カルシウムの場合、水
酸化マグネシウムと水酸化カルシウムとの組み合わせの
場合にも同様に達成される。
【0019】全体としてSiO/MO(式中、Mはア
ルカリ土類金属である)のモル比が0.01乃至0.9
0の範囲、一層好適には0.05乃至0.70の範囲に
あることも上記の作用効果を達成する上で重要である。
このモル比が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場
合に比して初期着色防止効果が劣る傾向がある。これは
アルカリ土類水酸化物の表面に形成されたケイ酸塩層の
厚みが減少したり、或いはケイ酸塩層が不均一になるた
めと考えられる。このモル比が上記範囲を上回ると、上
記範囲内にある場合に比して熱安定性が劣る傾向があ
る。これはアルカリ土類金属水酸化物がケイ酸塩に転化
され過ぎるために、塩化水素捕捉性が低下すると考えら
れる。
【0020】アルカリ土類金属がマグネシウムである場
合には、水酸化マグネシウムの粒子表面にケイ酸マグネ
シウムが存在する粒子構造を有し、且つ二次イオン質量
分析装置(SIMS)で測定して、下記式(1) RI400=A/B ‥‥(1) 式中、Aは、粒子表面から深さ方向400nmでの28
強度プロファイル[counts]、 Bは、粒子表面から深
さ方向 400nmでの25Mgの強度プロファイル[counts]
である、で表されるケイ酸化強度比(RI400)が
0.01以上であることが特徴である。 更に、アルカ
リ土類金属がマグネシウムで、且つアルカリ土類金属ケ
イ酸塩がフィロケイ酸マグネシウムであり、全体として
SiO/MgOのモル比が0.01乃至0.40、好
ましくは0.01乃至0.30、更に好ましくは0.0
1乃至0.20の範囲にあることが好ましく、これによ
り塩素含有重合体に対する初期着色傾向を低減し、しか
も熱安定化時間を著しく延長することができる。比較と
して、全体としてのSiO/MgOのモル組成比が
0.25にあり、且つ結晶性層状フィロケイ酸マグネシ
ウムと過剰の水酸化マグネシウムとの均質混合物を0.
7PHRで他の安定助剤と共に塩化ビニル樹脂に配合し
た場合の初期着色の評価はレベル2であり、185℃の
ギアオーブンでの黒化時間は80分間である(後述する
比較例4)。
【0021】二次イオン質量分析法(Secondary Ion Ma
ss Spectrometry, SIMS)では、高エネルギー(数KeV〜
20KeV)のイオンビームを固体表面に照射すると、スパ
ッタ現象により試料構成原子が中性原子またはイオンと
して放出される。SIMSは、このようにして二次的に放出
されるイオンすなわち二次イオンを質量分析計にかけて
質量・電荷の比(m/z)に分けて、試料の表面の元素
分析および化合物分析を行う方法である。更にSIMSは、
全元素に対して、表面から深さ方向への濃度プロファイ
ルを高感度に測定できる。図1に粒子表面から深さ方向
400nmでの 28Siの強度プロファイル[count
s] と粒子表面から深さ方向400nmでの25Mg
の強度プロファイル[counts]の28Si25Mg
の比で表されるケイ酸化強度比(RI400)を示
す。ここで、28Siは水酸化マグネシウムの表層に
存在するシリカを表す。図1から水酸化マグネシウムそ
のもののケイ酸化強度比(RI400)は、0.000
3程度であり(比較例1)、本発明品(実施例1)は
0.06程度であり、明らかに相違することが分かる。
【0022】本発明で、上記ケイ酸化強度比(RI
400)が0.01以上の当該粒子において、初期着色
及び熱安定性が改善される理由は、粒子表面に存在する
ケイ酸マグネシウム、好ましくは、ケイ酸塩がフィロケ
イ酸マグネシウムであり、内部の水酸化マグネシウムと
塩素含有重合体との直接的な接触を妨げる結果として、
水酸化マグネシウムによる塩素含有重合体からの塩化水
素の引き抜きを防止して、初期着色や黒化の原因となる
ポリエンの生成を抑制すること、及び塩素含有重合体か
ら発生する塩化水素については内部に存在する水酸化マ
グネシウムによりその捕捉が有効に行われることが関係
しているとみられる。
【0023】本発明のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子において、アルカリ土類水酸化物の表面にケイ酸塩
層が形成されている事実は、粒子表面にケイ酸塩がもと
のアルカリ土類水酸化物とは異なったギザギザ状もしく
はヒダヒダ状の粒子構造として存在していること(走査
型電子顕微鏡写真)から確認することができる。添付図
面の図2は、本発明によるアルカリ土類金属塩基性ケイ
酸塩粒子の走査型電子顕微鏡写真であり、図3は原料と
して用いた水酸化マグネシウム粒子の走査型電子顕微鏡
写真である。
【0024】本発明のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子でアルカリ土類金属がカルシウムである場合は、水
酸化カルシウムに特有のX線回折像とケイ酸カルシウム
に特有のX線回折像とを有することが特徴である。添付
図面の図4は本発明によるアルカリ土類金属塩基性ケイ
酸塩粒子(実施例4)のX線回折像であり、図5は水酸
化カルシウムのX線回折像であり、図6はケイ酸カルシ
ウムのX線回折像である。
【0025】これらのX線回折像の対比から、本発明の
アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子(図4)は、2θ
=15乃至20度及び30乃至35度に水酸化カルシウ
ムに特有の回折ピークと、2θ=25乃至35度にケイ
酸カルシウムに特有の回折ピークを有することが分か
る。
【0026】既に指摘したとおり、本発明のアルカリ土
類金属塩基性ケイ酸塩粒子では水分の少なくとも一部が
水和水(水酸基として存在する水)として存在する。こ
の水和水の存在は熱重量分析により確認できる。図7
は、本発明によるアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子
(実施例6)の示差熱重量分析(DTG)曲線を示す。
即ち、この複合ケイ酸塩中に存在する結晶水及び吸着水
等は全て350℃よりも低い温度で揮散するのに対し
て、複合ケイ酸塩中に存在する水和水は温度350乃至
450℃での重量損失ピークとなって現れる。
【0027】本発明においては、この水和水はMO1モ
ル当たり(Mはアルカリ土類金属)、0.1乃至0.9
9モル、特に0.3乃至0.7モルの割合で存在するこ
とが好ましい。水和水の量が上記範囲を下回ると、塩素
含有重合体用安定剤として用いたときの熱安定化時間
が、上記範囲内にある場合に比して、短くなるので好ま
しくなく、一方水和水の量が上記範囲を上回ると、塩素
含有重合体用安定剤として用いたときの初期着色傾向
が、上記範囲内にある場合に比して顕著となるので好ま
しくない。
【0028】本発明のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子は、アルカリ土類金属がカルシウムである場合、水
酸化カルシウムと非晶質ケイ酸とを、前記に示すモル割
合で反応させることにより合成される。SiO2成分の
割合が上記範囲を下回ると、塩素含有重合体用安定剤と
して用いたときの初期着傾向が大きくなり、また熱安定
化時間も短くなる傾向があるので好ましくない。一方、
SiO2成分の割合が上記範囲を上回ると、塩素含有重
合体用安定剤として用いたときの熱安定化時間がやはり
短くなる傾向があるので好ましくない。
【0029】後述する例を参照されたい。水酸化カルシ
ウムを0.7PHR(樹脂100重量部当たりの配合部
数、以下同じ)で他の安定助剤と共に塩化ビニル樹脂に
配合した場合の初期着色の評価はレベル3であり、18
5℃のギアオーブンでの黒化時間は60分間である(比
較例6)。この傾向は、SiO2のモル比が本発明の範
囲よりも低いケイ酸塩についても同様に当てはまる(比
較例7)。一方、SiO2のモル比が本発明の範囲より
も高いケイ酸塩を上記と同じ配合部数で他の安定助剤と
共に塩化ビニル樹脂に配合した場合の初期着色の評価は
レベル1であり、185℃のギアオーブンでの黒化時間
は80分間である(比較例8)。これに対して、SiO
2/CaO=0.3/0.7のモル比のアルカリ土類金
属塩基性ケイ酸塩粒子では、上記と同様に塩化ビニル樹
脂に配合したとき、初期着色の評価はレベル1であり、
185℃のギアオーブンでの黒化時間は120分間であ
って、塩素含有重合体に対する初期着色傾向が著しく低
減され、しかも熱安定化時間も著しく延長されるという
事実が明らかとなる(実施例4)。
【0030】更に、水酸化カルシウムとケイ酸カルシウ
ムとを、上記モル比を満足するように単に混合した混合
物(比較例9)では、これを上記配合部数で他の安定助
剤と共に塩化ビニル樹脂に配合した場合の初期着色の評
価はレベル2であり、185℃のギアオーブンでの黒化
時間は90分間であり、本発明のアルカリ土類金属塩基
性ケイ酸塩粒子のような初期着色防止性能や熱安定化作
用は得られないのであって、本発明の作用は、アルカリ
土類金属塩基性ケイ酸塩粒子に固有のものと考えられ
る。
【0031】アルカリ土類金属がカルシウム及びマグネ
シウムである場合には、カルシウム及びマグネシウムが
Ca/Mgのモル比が0.01乃至100、好ましくは
0.05乃至20となる割合で存在することにより、よ
り一層の初期着色防止性能や熱安定化作用が得られる
(後述する実施例5,6参照)。
【0032】本発明のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子が優れた初期着色防止性能や熱安定化作用を示すこ
とは、実験の結果現象として見い出されたものであり、
その理由は未だ解明されるに至っていない。しかしなが
ら、このアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子において
は、複合物に含まれるケイ酸カルシウム成分が塩素含有
重合体からの塩化水素の引き抜きを防止して、初期着色
や黒化の原因となるポリエンの生成を抑制すること、及
び複合物中の水酸化カルシウム成分が塩素含有重合体か
ら発生する塩化水素を迅速且つ有効に捕捉することが、
その理由と考えられる。或いは、このアルカリ土類金属
塩基性ケイ酸塩粒子では、水酸化カルシウム粒子の表面
にケイ酸カルシウムが形成されており、ケイ酸カルシウ
ムが、水酸化カルシウムと塩素含有重合体との直接的な
接触を妨げる結果として、水酸化カルシウムによる塩素
含有重合体からの塩化水素の引き抜きを防止して、初期
着色や黒化の原因となるポリエンの生成を抑制し、しか
も水酸化カルシウムが塩素含有重合体から発生する塩化
水素を迅速且つ有効に捕捉しているとも考えられる。
【0033】本発明のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子は、アルカリ土類金属水酸化物粒子と非晶質ケイ酸
とを非摩砕条件下に水性媒体中で加熱し、水酸化物粒子
表面にアルカリ土類金属水酸化物と非晶質ケイ酸との反
応によるアルカリ土類金属ケイ酸塩を生成させ、生成物
を乾固することにより製造される。この方法では、非晶
質ケイ酸がアルカリ性の水性媒体中に微量溶解し、溶解
したケイ酸が粒子表面のアルカリ土類金属水酸化物と反
応し、その場でアルカリ土類金属のケイ酸塩を形成す
る。このため、優れた初期着色防止性を与えるものであ
る。本発明の製法は、上記のように化学的湿式沈着法
(CWD、ケミカル・ウエット・デポジション)を利用
するものであり、操作が簡単で、生産性も高いという利
点を有している。
【0034】[アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子及
びその製法]本発明のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子は、消石灰及び/又は水酸化マグネシウムと消石灰
及び/又は水酸化マグネシウム1モル当たり0.01乃
至0.9モル、特に0.05乃至0.70モルの非晶質
ケイ酸とを湿式で混合し、この混合物を50℃以上の温
度で反応させ、その後得られたスラリーを蒸発乾固する
ことにより、容易に製造することができる。
【0035】原料となる消石灰は、工業石灰(JIS
R 9001)の特号、1号及び2号の何れのものでも
好適に使用できるが、これに限定されず、他の用途のも
の例えば左官用消石灰でも用いることができる。また、
水酸化マグネシウムとしては、天然、合成のマグネシウ
ムを使用できる。
【0036】非晶質ケイ酸としては、ホワイトカーボ
ン、その他の湿式法非晶質シリカ(沈降法シリカやゲル
法シリカ)や、スメクタイト族粘土鉱物を酸処理して得
られる非晶質シリカが使用される。この非晶質シリカ
は、一般に150乃至400m2/gのBET比表面積
を有し、その二次粒子径が1乃至10μmの範囲内にあ
るものがよい。
【0037】具体的な製法としては、 1.消石灰とホワイトカーボンを用い、SiO2/Ca
Oモル比0.1乃至0.9で、反応温度50乃至100
℃、好ましくは80乃至98℃で反応する。 2.水酸化マグネシウムとホワイトカーボンを用い、S
iO2/MgOモル比0.05乃至0.3で、反応温度
50乃至100℃、好ましくは80乃至98℃で反応す
る。 3.消石灰、水酸化マグネシウム及びホワイトカーボン
を用い、SiO2/MOモル比0.05乃至0.9で、
反応温度50乃至100℃、好ましくは80乃至98℃
で反応する。なお、Mは、Ca及びMgを表す。 得られたアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子は、10
乃至200m2/g、好ましくは30乃至150m2/g
のBET比表面積と10乃至150ml/100g、好
ましくは、30乃至120ml/100gの吸油量とを
有し、体積基準のメジアン径が0.1乃至20μmの範
囲にある。また、必要によりステアリン酸アンモニウム
等を添加して、表面処理を行うことができる。
【0038】本発明によればまた、本発明のアルカリ土
類金属塩基性ケイ酸塩粒子とゼオライトとは、0.5:
9.5乃至9.5:0.5、好ましくは2:8乃至8:
2で混合してなる塩素含有重合体用安定剤が提供され
る。ゼオライトとしては、天然、合成に限定されず、例
えば、A型、X型、Y型、Pc型、L型ゼオライト等
や、アナルサイム、チャバサイト、モルデナイト、エリ
オナイト、クリノプチロライトが使用され、当然Ca、Z
n、Mg、Sn、Ti、Pb等のイオンでイオン交換されたもの
も使用できる。一般に、A型ゼオライトのカチオン交換容量
は、400乃至550meq/100g、Y型ゼオライトで約3
70meq/100g、X型ゼオライトで約470meq/100g程度
である。平均粒子径としては、0.01乃至20μm、
好ましくは0.1乃至5μmのものが使用される。
【0039】本発明の塩素含有重合体組成物には、それ
自体公知の塩素含有重合体用配合剤をそれ自体公知の処
方に従って、配合することができる。例えば、本発明の
組成物には、金属石鹸系熱安定剤、可塑剤、滑剤、充填
剤、着色剤、耐候安定剤、老化防止剤、光安定剤、紫外
線吸収剤、帯電防止剤、強化剤、改質用樹脂乃至ゴム、
塩基性無機化合物、過塩素酸、過塩素酸塩、エポキシ化
合物、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、多価アルコール乃至
そのエステル、スズ系等の公知の安定剤等、抗菌剤、キ
レート化剤、酸化防止剤等の公知の樹脂配合剤を、それ
自体公知の処方に従って配合できる。
【0040】[金属石鹸系熱安定剤]金属石鹸系熱安定
剤としては、炭素数10乃至22、特に14乃至18の
飽和乃至不飽和脂肪酸の金属石鹸、例えばナトリウム
塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マ
グネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、亜
鉛塩等が使用される。これらの内でも、カルシウム塩、
バリウム塩、亜鉛塩が好適であり、これらは単独でも2
種以上の組合せでも使用できる。金属石鹸の脂肪酸とし
ては、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリ
ン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ
酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。
ステアリン酸が好適なものである。脂肪酸は勿論牛脂脂
肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸で
あってもよい。
【0041】[多価アルコール乃至そのエステル]多価
アルコール乃至そのエステルとしては、例えば、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグ
リセリン、ジペンタエリスリトール、マンニトール、ソ
ルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロー
ルプロパン、トリスイソシアヌレート、モノペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトールアジペート等を挙
げることができる。好ましくは、モノペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトール、アセトン・エタノール
精製物、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、マンニトール、ソルビトールが使用され、更に好ま
しくは平均粒径が0.1〜100μmのモノペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトールが使用される。ま
た、上記多価アルコール乃至そのエステルを単独もしく
は、その中から選ばれる少なくとも1種以上を併用する
こともできる。
【0042】次に、塩基性無機化合物としては、アルミ
ノケイ酸金属塩、ケイ酸カルシウム、水酸化マグネシウ
ム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸
化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク、ハイド
ロタルサイト、アルカリアルミニウム複合水酸化物塩、
アルカリアルミニウム複合水酸化物炭酸塩、カルシウム
−マグネシウム系固溶体等が挙げられる。
【0043】[アルミノケイ酸金属塩]アルミノケイ酸
金属塩としては、層状アルミノケイ酸塩、特に各種粘土
鉱物や、テクトケイ酸塩が挙げられる。
【0044】[ケイ酸カルシウム]ケイ酸カルシウムと
しては、トバモライト、ゾノトライト等が挙げられ、中
でも微結晶カルシウムシリケートが好ましい。本発明に
用いる微結晶カルシウムシリケートは、下記式(2) CaO・xSiO・nHO ‥‥(2) 式中、xは0.5乃至5.0の数であり、nは2.5以
下の数である、で表される化学組成を有し且つ面間隔
3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.7
8乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃
至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結
晶カルシウムシリケートが好ましい。
【0045】シリカ分の含有量が、この範囲を越えて大
きいときには、上記範囲内にある場合に比して熱安定性
が低下する傾向があり、一方、この範囲を越えて小さい
場合には、上記範囲内にある場合に比して初期着色傾向
が増大する場合がある。この微結晶カルシウムシリケー
トは、若干水和している方が、熱安定化の活性が大きく
なる傾向があるが、水和量が余りにも多くなると、樹脂
の発泡傾向があるので好ましくない。
【0046】上記の微結晶カルシウムシリケートは、一
般に40μm以上の粒度のものが全体の10重量%以下
で且つ20μm以下の粒度のものが全体の50重量%以
上であるような粒度分布を有していることが、塩素含有
重合体への均一な分散と熱安定化効果の点で好ましい。
また、この微結晶カルシウムシリケートは、上記の粒子
構造に関連して、60乃至200m/g、特に70乃
至150m/gの比較的大きな比表面積、0.5ml
/g以上、特に1.0乃至4.0ml/gの細孔容積、
及び50乃至250ml/100g、特に80乃至20
0ml/100gの吸油量を有している。
【0047】この微結晶カルシウムシリケートは、非晶
質の活性ケイ酸を石灰乳中で微粉砕することにより製造
できるが、勿論この製造法に限定されない。
【0048】[ハイドロタルサイト]ハイドロタルサイ
トは、炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化物に属する
合成鉱物である。炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化
物の一般的な化学組成は、下記式(3)、 M (OH)2x+3y−2z(A2−・aHO ‥(3) 式中、M はMg等の2価金属イオンであり、M
Al等の3価金属イオンであり、A2−はCO等の2
価アニオンであり、x,y及びzは8≧x/y≧1/4 および
z/x+y >1/20を満足する正数であり、aは0.25≦a/x+y
≦1.0 を満足する数である。を有する複合金属水酸化物
が使用される。
【0049】これらの複合金属水酸化物の内、式(4) MgAl(OH)16(CO)・4HO ‥(4) で表わされる化合物は、ハイドロタルサイトとして知ら
れる天然鉱物であり、この鉱物及び同族類は、協和化学
工業株式会社の出願に係る特公昭47−32198号、
特公昭48−29477号及び特公昭48−29478
号公報記載の方法等により合成されるものである。
【0050】これらのハイドロタルサイト類、特に式
(5) Mg4.5Al(OH)13(CO)・3HO ‥(5) で示される化合物が塩素イオンの捕捉性能に優れている
ことも既に知られており、このものを用いることもでき
る。
【0051】これらのハイドロタルサイト類が水に十分
に分散された状態において容易にイオン交換されるとい
う特性、即ち炭酸イオンが他のアニオンでイオン交換さ
れるという性質を利用して、過ハロゲン酸素酸イオンを
導入したものを用いることもできる。
【0052】本発明に用いるアルカリアルミニウム水酸
化物炭酸塩としては、リチウム・アルミニウム水酸化物
炭酸塩、ドーソナイト型のナトリウム・アルミニウム水
酸化物炭酸塩或いはこれらの混晶が挙げられる。
【0053】[リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸
塩]リチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(LA
HCS)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面
体層の空位(ベーカント)にリチウムイオンが入り込
み、その電荷を補うためにアニオンが組み込まれたもの
とされている。即ち、リチウムイオンはカチオンの中で
イオン半径が最も小さく、しかも1価イオンとしては例
外的に6配位イオンであるため上記空位に入り、上記構
造をとるものと認められる。
【0054】リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩
は、下記式(6)、 mAl・nMO・X・kHO ‥‥(6) 式中、Xは炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはリチウムを主体とするアルカリ金属であり、mは
1.5乃至2.5の数であり、nは0.1乃至1の数で
あり、kは0乃至10の数である、で表される組成を有
しており、下記表1
【表1】 面間隔d(オングストローム) ピーク強度 面指数 7.50乃至7.64 大 (002) 4.30乃至4.44 小 (110) 3.70乃至3.84 大 (004) 2.45乃至2.58 中 (006) 2.20乃至2.30 小 (016) 1.85乃至2.08 小 (017) 1.40乃至1.52 小 (330) 1.38乃至1.48 小 (600) のX線回折像を有する。
【0055】好適なリチウム・アルミニウム複合水酸化
物炭酸塩は、下記数式(7) I = tanθ/tanθ …(7) 式中、θは一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピ
ーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、θ
は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とが
なす角度を表す、で定義される積層不整指数(I)が
面指数(016)のピークにおいて1.0以下であり且
つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下である
ものである。
【0056】リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩
は、波数547、735、1004、1375及び34
43(cm−1)に大きな吸収のある赤外線吸収スペク
トルを有する。
【0057】また、リチウム・アルミニウム水酸化物炭
酸塩粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に
0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準
メジアン径(D50)を有していること、JIS K
6721で測定して、0.1乃至0.35g/cm
特に0.25乃至0.35g/cmの嵩密度を有する
こと、10乃至70m/gのBET比表面積を有する
こと、吸油量も40乃至70ml/100gと小さいこ
とが好ましい。
【0058】上記リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸
塩は、勿論これに限定されるものではないが、非晶質乃
至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルと、リチウムの炭
酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(A
)としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反
応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させる
方法(以下単に水和アルミナゲル法と呼ぶことがある)
により、或いは、ギブサイト型水酸化アルミニウムの微
粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸イオン及びリチウ
ムイオンを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との組合
せとを水の存在下に反応させる方法、即ちマイグレーシ
ョン法により製造される。
【0059】上記の塩基性無機化合物は、平均粒径が0.
1〜20μm、好ましくは0.1〜10μmで、且つBET法比
表面積100m/g以下、好ましくは30m/g以下のもの
が好ましい。
【0060】本発明では、初期着色を防止するために、
更にβ−ジケトン、β−ケト酸エステル又はジヒドロピ
リジン誘導体を含有することができる。
【0061】β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルと
しては、例えば、1,3−シクロヘキサジオン、メチレ
ンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−
1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パ
ルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベン
ゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2
−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3
−シクロヘキサンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、
ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−
メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベン
ゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイル
メタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベ
ンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウ
ロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス
(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−
3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセ
チルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベン
ゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイル
メタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビ
ス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメ
タン等を用いることが出来る。
【0062】ジヒドロピリジン誘導体としては、下記式
(8)
【化1】 〔式中、Rは炭素数9〜22の直鎖状若しくは分岐状の
アルキル基若しくはアルケニル基を示す。〕で表される
ジヒドロピリジン誘導体が使用され、具体的には2,6-ジ
メチル-3,5-ジカルボメトキシ-1,4-ジヒドロピリジン、
2,6-ジメチル-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリ
ジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボブトキシ-1,4-ジヒド
ロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボドデシルオキ
シ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボ
テトラデシルオキシ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメ
チル-3,5-ジカルボオクタデシルオキシ-1,4-ジヒドロピ
リジン等があげられる。
【0063】また、本重合体組成物には必要に応じて錫
系安定剤を配合することもできる。例えば有機錫化合物
としては、有機錫メルカプタイド類、有機錫サルファイ
ド類、有機錫メルカプタイド・サルファイド類、有機錫
メルカプトカルボキシレート類及び有機錫カルボキシレ
ート類が包含される。
【0064】(1)有機錫メルカプタイド類としては、
ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル
錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、ジオクチル錫ビ
ス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、
ジオクチル錫ビス(2−メルカプトエチルカプリレー
ト)、ジブチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂
脂肪酸エステル)、ジメチル錫ビス(メルカプトエチル
ステアレート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルチオ
グリコレート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシ
ルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ドデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(テトラデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ヘキサデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(オクタデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(C12−16
混合アルキルチオグリコレート)、ジブチル錫ビス(イ
ソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫ビス(イソ
オクチルメルカプトプロピオネート)、ビス(2−メル
カプトカルボニルエチル)錫ビス(イソオクチルチオグ
リコレート)、ビス(2−ブトキシカルボニルエチル)
錫ビス(ブチルチオグリコレート)等のジ有機錫メルカ
プタイド及びモノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタ
イド)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカ
プタイド)、モノオクチル錫トリス(2−メルカプトエ
チルカプリレート)、モノブチル錫トリス(メルカプト
エチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリ
ス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モ
ノメチル錫トリス(メルカプトエチルラウレート)、モ
ノメチル錫トリス(メルカプトエチルステアレート)、
モノメチル錫トリス(メルカプトエチルオレート)、モ
ノオクチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)
モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(テトラデシルチオグ
リコレート)、モノオクチル錫トリス(ヘキサデシルチ
オグリコレート)、モノオクチル錫トリス(C12−1
6 混合アルキルチオグリコレート)、モノオクチル錫
トリス(オクタデシルチオグリコレート)、モノブチル
錫トリス(イソオクチルチオグレコレート)、モノブチ
ル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネー
ト)、モノメチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレ
ート)、モノメチル錫トリス(テトラデシルチオグリコ
レート)、2−メトキシカルボニルエチル錫トリス(イ
ソオクチルチオグリコレート)、2−ブトキシカルボニ
ルエチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレー
ト)等のモノ有機錫メルカプタイドがあげられる。
【0065】(2)有機錫サルファイド類としては、メ
チルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、
オクチルチオスタノイック酸、ジメチル錫サルファイ
ド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイ
ド、ジシクロヘキシル錫サルファイド、モノブチル錫サ
ルファイド、オキサイド、2−メトキシカルボニルエチ
ル錫サルファイド、2−エトキシカルボニル錫サルファ
イド、2−ブトキシカルボニル錫サルファイド、2−イ
ソプロポキシカルボニルエチル錫サルファイド、ビス
(2−メトキシカルボニルエチル)錫サルファイド、ビ
ス(2−プロポキシカルボニルエチル)錫サルファイド
等があげられる。
【0066】(3)有機錫メルカプタイド・サルファイ
ド類としては、ビス〔モノブチル・ジ(イソオクトキシ
カルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジ
ブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)
錫〕サルファイド、ビス〔ビス(2−メトキシカルボニ
ルエチル)錫イソオクチルチオグリコレート〕スルファ
イド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレー
ト)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/
ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビ
ス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサ
ルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコ
レート)トリサルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メ
チルカプトエチルカプリレート)サルファイド、ビス
〔メチル錫ジ(2−メルカプトエチルカプリレート)〕
ジサルファイド等があげられる。
【0067】(4)有機錫メルカプトカルボキシレート
類としては、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネー
ト、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジ
ブチル錫メルカプトアセテート、ビス(2−メトキシカ
ルボニルエチル)錫チオグリコレート)錫チオグリコレ
ート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫メルカ
プトプロピオネート等があげられる。
【0068】(5)有機錫カルボキシレート類として
は、モノ又はジメチル錫、モノ又はジブチル錫、モノ又
はジオクチル錫あるいはモノ又はビス(ブトキシカルボ
ニルエチル)錫のオクトエート、ラウレート、ミリステ
ート、パルミテート、ステレート、イソステアレート等
の脂肪族一価のカルボキシレート類:マレートポリマ
ー、ブチルマレート、ベンジルマレート、オレイルマレ
ート、ステアリルマレート等のマレート;及びこれらの
混合塩あるいは塩基性塩があげられる。
【0069】これらの錫系安定剤は、塩素含有重合体1
00重量部当たり0.1乃至2.0重量部配合すること
ができる。
【0070】[可塑剤]可塑剤としては、フタル酸エス
テル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステ
ル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可
塑剤、塩素系可塑剤などがあげられる。
【0071】更にポリエチレン系可塑剤、トリメリット
酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤から選ばれる一
種または2種以上の組合せと他の可塑剤の併用も性能を
損なわない範囲で可能であり、フタル酸系、燐酸系、脂
肪酸系、アジピン酸系、エポキシ系、トリメリット系等
が用いられる。
【0072】ポリエステル系可塑剤としては、多価アル
コールと多価カルボン酸とから誘導されたポリエステル
であって、分子量が1000以上、特に1500以上の
ものが使用される。多価アルコールとしては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトー
ル、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA
のエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙
げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン
酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボ
ン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸等の芳香族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の
組合せが挙げられる。
【0073】ポリエステル系可塑剤の具体的なものとし
ては、ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エス
テル、ポリ(1,3−ブタンジオール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(1,3−ブタンジオール、セバチン酸)
エステル、ポリ(プロピレングリコール、セバチン酸)
エステル、ポリ(プロピレングリコール、フタル酸)エ
ステル、ポリ(1,3−ブタンジオール、フタル酸)エ
ステル、ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エス
テル、ポリ(エチレングリコール、セバチン酸)エステ
ル、ポリ(1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(ジエチレングリコール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(プロピレングリコール、テルペン無水マ
レイン酸付加物)エステル、アセチルポリ(ブタンジオ
ール、アジピン酸)エステル、等が挙げられる。
【0074】フタル酸系可塑剤としては、例えばブチル
酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、ジイ
ソデシルフタレート、フタル酸ジイソノニル、ジイソノ
ニルフタレート、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタ
ル酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルフタレート、ジ
オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレー
トジノルマルアルキルフタレート、フタル酸ジn−オク
チル、テトラヒドロフタルジ2−エチルヘキシル、ジト
リデシルフタレート、フタル酸ジウンデシル、ジアルキ
ルフタレート、ダイヤドール(711Hフタレート)、
リポネール79フタレート、リポネール911フタレー
ト等がある。
【0075】燐酸系可塑剤としては、例えばクレジール
・ジフェニルフォスヘート、トリス・クロロエチルフォ
スヘート、トリス・ジクロロプロピルフォスヘート、ト
リクレジルフォスフェート、リン酸トリクレジル、リン
酸トリエチル、トリキシレニルホスヘート、キシレニル
ジフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォス
フェート、オクチルジフェニルフォスフェート、イソプ
ロピルフェニルジフェニルフォスフェート、ターシャリ
ーブチルフェニルジフェニルフォスフェート、トリス
(ベータクロロエチル)フォスフェート等があげられ
る。
【0076】脂肪酸系可塑剤としては、例えばブチルオ
レエート、セバシン酸ジブチル、ジブチルセバケート、
セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシ
ルセバケート、ジ(2エチルヘキシル)セバケート等が
あげられる。
【0077】アジピン酸系可塑剤としては、例えばジn
−アルキル(C6,8,10)アジペート、アジピン酸ジn−
アルキル、ジイソブチルアセテート、ジイソノニールア
ジペート、アジピン酸ジイソノニール、アジピン酸ジイ
ソノニール、アジピン酸ジイソデシル、ジイソデシルア
ジペート、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エ
チルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、アジ
ピン酸ジオクチルジn−アルキル(C7-9)アジペー
ト、ジブトキシエトキシエチルアジペート、アジピン酸
ジエステル等があげられる。
【0078】エポキシ系可塑剤としては、例えばエポキ
シ化脂肪酸エステル、エポキシ化油、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化亜麻仁油、エポキ
シ化ものエステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2
エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソ
デシル、エポキシ化ブチルステアレート、オクチル・エ
ポキシステアレート等があげられる。
【0079】トリメリット酸系可塑剤としては、例えば
トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリイソデ
シル、トリ2−エチルヘキシルトリメリテート、トリメ
リット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸ト
リオクチル、トリオクチルトリメリテート、トリメリッ
ト酸エステル、トリノルマルオクチルトリメリテート、
トリイソデシルトリメリテート等があげられる。
【0080】その他可塑剤としては、例えば塩素化パラ
フィン、塩素化ノルマルパラフィン、アセチルトリブチ
ルシトレート、アセチルクエン酸トリブチル、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、2.2.4−トリメチル
1.3編胆ジオールジイソブチレート、フマル酸ジブチ
ル、マレイン酸ジブチル、ジn−ヘキシルアセテート、
ドデカンニ酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルドデカ
ノエート、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エ
チルヘキシルマレエート、アゼライン酸ジ−2−エチル
ヘキシル、ジ2−エチルヘキシルアゼレート、ジ(2エ
チルヘキシル)アゼレート、ジペンタエリスリトールエ
ステル、(メタ)アクリル酸エステル等があげられる。
【0081】これらの可塑剤は、塩素含有重合体100
重量部当たり0乃至200重量部、好ましくは、0乃至
100重量部配合することが好ましい。
【0082】その他有機酸金属塩化合物、滑剤、衝撃強
化剤、難燃剤も必要に応じて添加することもでき、具体
的には炭素数6〜22の脂肪酸、たとえばカプロン酸、
カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、イソス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リ
シノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはこ
れらの混合物などのナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム及びジルコニウムが使用でき
る。
【0083】これらの有機酸金属塩化合物は、塩素含有
重合体100重量部当たり0.1乃至5重量部、好まし
くは、0.1乃至1.0重量部配合することが好まし
い。
【0084】有機配合剤としては、シリコーン系表面処
理剤、脂肪酸、脂肪酸塩が使用される。シリコーン系表
面処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチル
フェニルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイ
ル、環状ポリジメチルシロキサン、アルキル変性シリコ
ーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーン
ポリエーテル共重合体、拡散ポンプ用オイル、脂肪酸変
性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、樹脂改
質用オイル等が使用できる。特にジメチルシリコーンオ
イルを使用することが好ましい。
【0085】滑剤としては、(イ)流動、天然または合
成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワック
ス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のも
の、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のも
の、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、
オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステ
アロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モ
ノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルス
テアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノス
テアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、
(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金
属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられ
る。
【0086】本発明に用いるフェノール系酸化防止剤と
しては、ビスフェノール型酸化防止剤、立体障害性フェ
ノール系酸化防止剤が何れも使用される。フェノール系
酸化防止剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビス
フェノールB、ビスフェノールF、2,6−ジフェニル
−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,
5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピ
オネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメ
チレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレン
ビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−
ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシ
ッド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−
メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブ
タン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒ
ドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレー
ト、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−
ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレン
グリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられ
る。これらのフェノール系酸化防止剤は、単独でも組み
合わせでも使用することができ、更にフェノール系以外
の酸化防止剤と組み合わせて使用しても良い。
【0087】[複合安定剤]本発明の安定剤は、粉粒体
の形で、即ち粉末の形で、或いは粒状物の形で、ワンパ
ックの安定剤として使用することができる。粒状物の製
造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒
法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法
を用いることができる。粉粒体の粒度は、粒度は目的に
応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μ
m乃至5mm特に70μm乃至2mmの範囲にあるのが
好適である。
【0088】衝撃強化剤としては、例えば30〜40%
の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エス
テルを主体とする共重合ゴムにメチルメタクリレート、
スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合
した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン樹脂、メタルメタクリエート・ブタジエン・スチ
レン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙
げられる。
【0089】難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤は勿
論、アンチモン、ジルコン、モリブデン、アルミニウ
ム、シリカ、チタンの酸化物、水酸化物、及び硫化物、
ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、これ
ら亜鉛化合物の金属水酸化物表面処理品などが挙げられ
る。
【0090】また、電気絶縁性向上の目的で、非晶質シ
リカ、焼成カオリン、酸化アルミニウム、珪酸アルミニ
ウム、チタンホワイト、リン酸チタン、リン酸ジルコニ
ウム等を配合することができる。
【0091】[塩素含有重合体組成物]塩素含有重合体
としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素
化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニ
ル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合
体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−
塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水
マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アク
リロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合
体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレ
イン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エ
ステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれら
の塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィ
ン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれ
らの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン
と他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、ア
クリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル
−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品など
を挙げることができる。
【0092】本発明の塩素含有重合体組成物成形加工方
法としては、公知の方法によって混合あるいは混和した
のち押出成形、射出成形、圧縮成形、インフレーショ
ン、カレンダー加工、コーティングなど各種の成形方法
により行うことができる。また、本発明における無酸素
成形法においてはできるだけ空気と接触しないような雰
囲気で行うか、更には不活性ガス雰囲気で行うことによ
り、着色を防止することができる。
【0093】
【実施例】本発明を次の実施例により、更に詳しく説明
する。尚、試験方法は次の方法によった。
【0094】(1)二次イオン質量分析(SIMS) PHI社製モデル6300型を用いて測定した。なお、
測定条件は以下のとおりである。 モニター元素 Si,Ca,Mg 一次イオン種 Cs 一次イオン加速エネルギー 3keV 一次イオン入射角 60度 ラスターサイズ 300μm 分析領域(面積) 9% 二次イオン極性 負イオン 酸素リーク No 帯電補償 Yes 導電膜コート No なお、図1の横軸の深さはガラスのスパッタ速度を用い
て換算している。また、試料は二回測定を行い、その平
均値をケイ酸化強度比とした。
【0095】(2)SEM写真試料を、走査型電子顕微
鏡(日立製S−570)を用いて撮影し、表面の状態を
観察した。
【0096】(3)X線回折測定 理学電機(株)製のガイガーフレックスRAD−IBシ
ステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。 ターゲット Cu フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター 検出器 SC 電圧 40KVP 電流 20mA カウントフルスケール 700c/s スムージングポイント 25 走査速度 1°/min ステップサンプリング 0.02° スリット DS1° RS0.15mm SS1° 照角 6°
【0097】(4)走査熱重量分析(DTG) セイコー電子工業製SSC−5200TG−DTAシス
テムを用いて測定した。
【0098】(5)平均粒径 Coulter 社製Particle Size Analyzer Model LS230 を
使用し、平均粒径を測定した。
【0099】(6)BET比表面積 マイクロメリティックス社製ASAP2010を使用し、測定し
た。
【0100】(7)吸油量 JIS.K.5101.19に準拠して測定した。
【0101】(8)初期着色性 下記混和組成物作成条件によって得られた硬質塩化ヒ゛ニル
シートを185℃に加熱したキ゛アオーフ゛ンに入れ、20分後に
取り出した時のシートの着色状態を目視により3段階で評
価した。 評価1…淡黄色 評価2…淡橙色 評価3…濃橙色 (混和組成物作成条件)下記配合組成物を、4インチロールミル
で160℃で3分混練し、厚さ0.5mmのシートを得た。 配合品 重量部 PVC(重合度=1050) 100ステアリン 酸亜鉛 0.7シ゛ヘ゜ンタエリスリトール 0.7 本試料 0.7
【0102】(9)黒化時間 上記(8)の条件にてシートが完全に黒化するまでの時間
を測定した。
【0103】(実施例1)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化マク゛ネシ
ウム(神島化学製#200,MgO=66wt%)55gと非晶質珪酸(シ
オノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)6.3gをイオン交換
水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で反応を行った(SiO
2/MgOモル比=0.1/0.9)。4時間後、最終的なpHは約9.
8を示して安定し、反応終結とした。スラリーをそのままステン
レス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一晩蒸発乾固した後、サンフ
゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得た。得られた試料につい
て、試験を行い結果を表2に示す。
【0104】(実施例2)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化マク゛ネシ
ウム(神島化学製#200,MgO=66wt%)48.8gと非晶質珪酸
(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)12.6gをイオン
交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で反応を行った
(SiO2/MgOモル比=0.2/0.8)。4時間後、最終的なpH
は約9.7を示して安定し、反応終結とした。スラリーをその
ままステンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一晩蒸発乾固した
後、サンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得た。得られた試
料について、試験を行い結果を表2に示す。
【0105】(実施例3)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化カルシウム
(菱光石灰工業製特号微粉,純度=98%)60.4gと非晶質
珪酸(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)12.6gを
イオン交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で反応を行っ
た(SiO2/CaOモル比=0.2/0.8)。4時間後、最終的なp
Hは約12.8を示して安定し、反応終結とした。スラリーをそ
のままステンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一晩蒸発乾固し
た後、サンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得た。得られた
試料について、試験を行い結果を表2に示す。
【0106】(実施例4)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化カルシウム
(菱光石灰工業製特号微粉,純度=98%)52.9gと非晶質
珪酸(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)18.9gを
イオン交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で反応を行っ
た(SiO2/CaOモル比=0.3/0.7)。4時間後、最終的なp
Hは約12.7を示して安定し、反応終結とした。スラリーをそ
のままステンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一晩蒸発乾固し
た後、サンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得た。得られた
試料について、試験を行い結果を表2に示す。
【0107】(実施例5)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化マク゛ネシ
ウム(神島化学製#200,MgO=66wt%)49.5g、水酸化カルシウム
(菱光石灰工業製特号微粉,純度=98%)6.8gと非晶質珪
酸(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)6.3gをイオン
交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で4時間反応を
行った(SiO2/MgO/CaOモル比=0.1/0.81/0.09)。その
後、仕込み物重量比で2%のステアリン酸アンモニウム加え、更に
30分間攪拌を継続して表面処理を行い反応を完了し
た。スラリーをそのままステンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一
晩蒸発乾固した後、サンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得
た。得られた試料について、試験を行い結果を表2に示
す。
【0108】(実施例6)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化マク゛ネシ
ウム(神島化学製#200,MgO=66wt%)19.5g、水酸化カルシウム
(菱光石灰工業製特号微粉,純度=98%)36.2gと非晶質
珪酸(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)12.6gを
イオン交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で4時間反応
を行った(SiO2/MgO/CaOモル比=0.2/0.32/0.48)。そ
の後、仕込み物重量比で2%のステアリン酸アンモニウム加え、更
に30分間攪拌を継続して表面処理を行い反応を完了し
た。スラリーをそのままステンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一
晩蒸発乾固した後、サンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得
た。得られた試料について、試験を行い結果を表2に示
す。
【0109】(比較例1)水酸化マク゛ネシウム(神島化学製
#200,MgO=66wt%)をそのまま用いた。試験を行い結果
を表2に示す。
【0110】(比較例2)タルク(3MgO・4SiO2・H2O)を用
いた。試験を行い結果を表2に示す。
【0111】(比較例3)MgとSiのモル比が実施例1を満
足するように水酸化マク゛ネシウムとタルク(3MgO・4SiO2・H 2O)と
を均一に混合したものを用いた(SiO2/MgOモル比=0.1/
0.9)。試験を行い結果を表2に示す。
【0112】(比較例4)SiO2/MgOモル比=0.25になる
ように、シリカ原料として平均粒子径3μmの市販ホワ
イトカーボン(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt
%)100gと試薬水酸化マグネシウム(Mg(OH)2
含有量97%)380g更に蒸留水4313gを加え
て、15Lボールミルにて5時間摩砕し、固形分10%
の水性スラリーを得た。その水性スラリーを500回転
/分の撹拌下で90℃で10時間反応を行った。その
後、濾過,水洗した後、110℃にて乾燥し、粉砕・分
級し、結晶性層状フィロケイ酸マグネシウムと過剰の水
酸化マグネシウムの均質混合物を得た。試験を行い結果
を表2に示す。
【0113】(比較例5)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化マク゛ネシ
ウム(神島化学製#200,MgO=66wt%)36.6gと非晶質珪酸
(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)25.3gをイオン
交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で4時間反応を
行った(SiO2/MgOモル比=0.4/0.6)。スラリーをそのままス
テンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一晩蒸発乾固した後、サ
ンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得た。得られた試料につ
いて、試験を行い結果を表2に示す。
【0114】(比較例6)水酸化カルシウム(菱光石灰工業
製特号微粉,純度=98%)をそのまま用いた。試験を行い
結果を表2に示す。
【0115】(比較例7)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化カルシウム
(菱光石灰工業製特号微粉,純度=98%)71.7gと非晶質
珪酸(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)3.2gをイ
オン交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で2時間反応
を行った(SiO2/CaOモル比=0.05/0.95)。スラリーをその
ままステンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一晩蒸発乾固した
後、サンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得た。得られた試
料について、試験を行い結果を表2に示す。
【0116】(比較例8)1000mlヒ゛ーカーにて水酸化カルシウム
(菱光石灰工業製特号微粉,純度=98%)30.2gと非晶質
珪酸(シオノキ゛製薬製カーフ゜レックス#80D SiO2分95wt%)37.9gを
イオン交換水400mlに懸濁させ、攪拌下に95℃で2時間反応
を行った(SiO2/CaOモル比=0.6/0.4)。スラリーをそのま
まステンレス製ハ゛ットに移し替え、110℃で一晩蒸発乾固した
後、サンフ゜ルミルにて粉砕して白色粉末を得た。得られた試
料について、試験を行い結果を表2に示す。
【0117】(比較例9)CaとSiのモル比が実施例4を満
足するように水酸化カルシウムと市販の珪酸カルシウムとを均一に
混合したものを用いた(SiO2/CaOモル比=0.3/0.7)。
試験を行い結果を表2に示す。
【0118】(実施例7、比較例10)下記配合を4イン
チロールミルで160℃で3分混練し、厚さ0.5mmのシートを得
た。 配合品 重量部 PVC(重合度=1050) 100ステアリン 酸亜鉛 0.5シ゛ヘ゜ンタエリスリトール 0.4シ゛ヘ゛ンソ゛イルメタン 0.1 重質炭酸カルシウム 3.0 無機配合剤 0.5 実施例7は、上記配合中の無機配合剤として4Aセ゛オライト0.
25重量部と実施例6で得たアルカリ土類金属塩基性ケイ
酸塩粒子0.25重量部を配合した。また、比較例10は、
無機配合剤として4Aセ゛オライト0.5重量部を配合し、それぞ
れ初期着色性と黒化時間の評価を行った。結果を表2に
示す。
【0119】
【表2】
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、アルカリ土類金属水酸
化物粒子の表面にアルカリ土類金属ケイ酸塩を形成させ
たアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子を提供し、それ
を塩素含有重合体に配合した際に初期着色傾向が回避さ
れ、熱安定性も向上し安定剤に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒子表面から深さ方向400nmでの28Si
の強度プロファイル[counts]と粒子表面から深さ方向
400nmでの25Mgの強度プロファイル[counts]
28Si25Mgの比で表されるケイ酸化強度
比(RI400)を示す。
【図2】本発明によるアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率:5000倍)であ
る。
【図3】水酸化マグネシウム粒子の走査型電子顕微鏡写
真(倍率:5000倍)である。
【図4】本発明によるアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子のX線回折像である。
【図5】水酸化カルシウムのX線回折像である。
【図6】ケイ酸カルシウムのX線回折像である。
【図7】本発明によるアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩
粒子の示差熱重量分析(DTG)曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G076 AA10 AB06 BF05 CA02 DA30 4J002 AC121 BB241 BD041 BD051 BD061 BD071 BD081 BD091 BD101 BD181 DJ006 DJ007 FA086 FD016 FD017 FD036 FD037

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ土類金属水酸化物粒子の表面に
    実質上アルカリ土類金属ケイ酸塩を有し、全体としてS
    iO/MO(式中、Mはアルカリ土類金属である)の
    モル比が0.01乃至0.90の範囲にあることを特徴
    とするアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子。
  2. 【請求項2】 アルカリ土類金属がカルシウムであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のアルカリ土類金属塩基
    性ケイ酸塩粒子。
  3. 【請求項3】 アルカリ土類金属がマグネシウムである
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ土類金属塩
    基性ケイ酸塩粒子。
  4. 【請求項4】 アルカリ土類金属がマグネシウムであ
    り、水酸化マグネシウムの粒子表面にケイ酸マグネシウ
    ムが存在する粒子構造を有し、且つ二次イオン質量分析
    装置(SIMS)で測定して、下記式(1) RI400=A/B ‥‥(1) 式中、Aは、粒子表面から深さ方向400nmでの28
    強度プロファイル[counts]、 Bは、粒子表面か
    ら深さ方向400nmでの25Mgの強度プロファイル
    [counts]である、で表されるケイ酸化強度比(RI
    400)が0.01以上であることを特徴とする請求項
    3に記載のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子。
  5. 【請求項5】 アルカリ土類金属がマグネシウムで、且
    つアルカリ土類金属ケイ酸塩がフィロケイ酸マグネシウ
    ムであり、全体としてSiO/MgOのモル比が0.
    01乃至0.40の範囲にあることを特徴とすることを
    特徴とする請求項3または4に記載のアルカリ土類金属
    塩基性ケイ酸塩粒子。
  6. 【請求項6】 アルカリ土類金属がカルシウム及びマグ
    ネシウムであることを特徴とする請求項1に記載のアル
    カリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子。
  7. 【請求項7】 カルシウム及びマグネシウムがCa/M
    gのモル比が0.01乃至100となる割合で存在する
    ことを特徴とする請求項6に記載のアルカリ土類金属塩
    基性ケイ酸塩粒子。
  8. 【請求項8】 走査熱重量分析(DTG)において、温
    度350乃至450℃に重量損失に基づくピークを有す
    ることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のア
    ルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子。
  9. 【請求項9】 水和水(水酸基として存在する水)がM
    O1モル当たり0.1乃至0.99モルの量で存在する
    ことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のアル
    カリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子。
  10. 【請求項10】 10乃至200m/gのBET比表
    面積と10乃至150ml/100gの吸油量とを有す
    ることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のア
    ルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子。
  11. 【請求項11】 体積基準のメジアン径が0.1乃至2
    0μmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至10
    の何れかに記載のアルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒
    子。
  12. 【請求項12】 アルカリ土類金属水酸化物粒子と非晶
    質ケイ酸とを非摩砕条件下に水性媒体中で加熱し、水酸
    化物粒子表面にアルカリ土類金属水酸化物と非晶質ケイ
    酸との反応によるアルカリ土類金属ケイ酸塩を生成さ
    せ、生成物を乾固することを特徴とするアルカリ土類金
    属塩基性ケイ酸塩粒子の製法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至11の何れかに記載のア
    ルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子からなることを特徴
    とする塩素含有重合体用安定剤。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至11の何れかに記載のア
    ルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子とゼオライトとから
    なることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤。
JP2001225723A 2001-07-26 2001-07-26 アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子、その製法及び用途 Pending JP2003040616A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001225723A JP2003040616A (ja) 2001-07-26 2001-07-26 アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子、その製法及び用途
JP2003515452A JP4176013B2 (ja) 2001-07-26 2002-07-24 アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子
US10/484,384 US7041265B2 (en) 2001-07-26 2002-07-24 Alkaline earth metal-basic silicate particle
PCT/JP2002/007503 WO2003010091A1 (en) 2001-07-26 2002-07-24 Alkaline earth metal-basic silicate particle
CA002454790A CA2454790A1 (en) 2001-07-26 2002-07-24 Alkaline earth metal-basic silicate particle

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001225723A JP2003040616A (ja) 2001-07-26 2001-07-26 アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子、その製法及び用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003040616A true JP2003040616A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19058667

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001225723A Pending JP2003040616A (ja) 2001-07-26 2001-07-26 アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子、その製法及び用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003040616A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008123566A1 (ja) 2007-04-02 2008-10-16 Kyowa Chemical Industry Co., Ltd. 炭酸基含有水酸化マグネシウム粒子およびその製造方法
JP2009517328A (ja) * 2005-11-28 2009-04-30 マーティン マリエッタ マテリアルズ,インコーポレイテッド 難燃性水酸化マグネシウム組成物並びに関連する製造及び使用方法
WO2010032564A1 (ja) 2008-09-19 2010-03-25 堺化学工業株式会社 発泡不良現象を抑えた塩素含有樹脂組成物
US7724321B2 (en) 2004-09-24 2010-05-25 Epistar Corporation Liquid crystal display
WO2013147284A1 (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 協和化学工業株式会社 微細ハイドロタルサイト粒子
JP2015229732A (ja) * 2014-06-05 2015-12-21 住友電気工業株式会社 難燃性柔軟樹脂組成物、並びにそれを用いた樹脂チューブ及び絶縁電線

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7724321B2 (en) 2004-09-24 2010-05-25 Epistar Corporation Liquid crystal display
US8054409B2 (en) 2004-09-24 2011-11-08 Epistar Corporation Liquid crystal display
US8724052B2 (en) 2004-09-24 2014-05-13 Epistar Corporation Light-spreading device
JP2009517328A (ja) * 2005-11-28 2009-04-30 マーティン マリエッタ マテリアルズ,インコーポレイテッド 難燃性水酸化マグネシウム組成物並びに関連する製造及び使用方法
WO2008123566A1 (ja) 2007-04-02 2008-10-16 Kyowa Chemical Industry Co., Ltd. 炭酸基含有水酸化マグネシウム粒子およびその製造方法
US9346683B2 (en) 2007-04-02 2016-05-24 Kyowa Chemical Industry Co., Ltd. Carbonate radical-containing magnesium hydroxide particle and manufacturing method thereof
WO2010032564A1 (ja) 2008-09-19 2010-03-25 堺化学工業株式会社 発泡不良現象を抑えた塩素含有樹脂組成物
WO2013147284A1 (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 協和化学工業株式会社 微細ハイドロタルサイト粒子
JPWO2013147284A1 (ja) * 2012-03-26 2015-12-14 協和化学工業株式会社 微細ハイドロタルサイト粒子
JP2015229732A (ja) * 2014-06-05 2015-12-21 住友電気工業株式会社 難燃性柔軟樹脂組成物、並びにそれを用いた樹脂チューブ及び絶縁電線
US10381128B2 (en) 2014-06-05 2019-08-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Flame-retardant flexible polymer composition, and polymer tube and insulated wire formed from the polymer composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4054144B2 (ja) 層間のアニオンとしてその一部または全部が珪素系、燐系及び硼素系多量体酸素酸イオンの少なくとも一種のアニオンとそれ以外のアニオンとを保持したハイドロタルサイト系化合物、その製法、農業用フィルム用赤外線吸収剤及び該赤外線吸収剤を含有する農業用フィルム
JP4669098B2 (ja) ホウ酸亜鉛、その製法及び用途
JPH05179052A (ja) 樹脂用安定剤
US5840792A (en) Lithium, Aluminum, magnesium/zinc hydroxide salt
US20080145296A1 (en) Mg-Al-based hydrotalcite-type particles, chlorine-containing resin composition and process for producing the particles
US7041265B2 (en) Alkaline earth metal-basic silicate particle
KR20190086697A (ko) 폴리머 조성물
JP2003040616A (ja) アルカリ土類金属塩基性ケイ酸塩粒子、その製法及び用途
SK99499A3 (en) Synthetic chalcoalumite compound, process for its production and heat insulator, resinous composition and agricultural film containing said compound
EP0725109B1 (en) Stabilizer for chlorine-containing polymers, process for the preparation thereof and chlorine-containing polymer composition
JP4596607B2 (ja) 塩素含有重合体用安定剤組成物及び塩素含有重合体組成物
JP4365047B2 (ja) 塩素含有重合体用安定剤及び樹脂組成物
JP2002338834A (ja) 塩素含有重合体用複合安定剤および塩素含有重合体組成物
JP3274340B2 (ja) 塩素含有重合体用安定剤、その製法及び塩素含有重合体組成物
JP2004225033A (ja) 電気絶縁性向上剤及び電気絶縁性が向上した樹脂組成物
JP4516650B2 (ja) 塩素含有重合体用安定剤組成物
JPH11302447A (ja) 塩素含有重合体用安定剤及び塩素含有重合体組成物
JP2001106922A (ja) 塩素含有重合体用安定剤及び該樹脂組成物乃至成形体
JPH1045411A (ja) アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩、その製法及び用途
JP2004059603A (ja) 塩素含有重合体用安定剤及び樹脂組成物
JP4610110B2 (ja) ホウ酸亜鉛及びその用途
JP3650231B2 (ja) リチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩、その製法及び用途
JPH10168263A (ja) 塩素含有重合体用安定剤及び塩素含有重合体組成物
JPH11189675A (ja) 塩素含有重合体用配合剤及び該配合剤を含む樹脂組成物
CZ20002791A3 (cs) Hydrotalcitová sloučenina, způsob její výroby a zemědělská fólie ji obsahující