JP3953620B2 - 皮革様シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮革様シートの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、従来のエマルジョン系による樹脂付与により得られる皮革様シートと比べて、柔軟性と充実感等が著しく改良される、エマルジョン系の樹脂付与によって得られる皮革様シートの製造方法に関する。
【0002】
従来より、天然皮革代用品としてポリウレタン等の樹脂成分を繊維質基材の結束剤として用いたシートが製造されている。その代表的な製造方法としては、ポリウレタン等の樹脂をジメチルホルムアミド(DMFと略す)等の溶媒に溶解した溶液を繊維質基材に含浸後、水等の非溶剤中で該樹脂を凝固する湿式法と、ポリウレタン等の樹脂を有機溶剤に溶解した溶液、又は水等に分散させたエマルジョン液を繊維質基材に含浸後、乾燥する乾式法に大別することができる。湿式法は、乾式法に比べて、天然皮革により近い風合いを有するシートを製造することが可能である反面、生産性に劣り、DMF等の人体に有害な有機溶剤の使用が不可欠であるという欠点がある。一方、乾式法においては、水系エマルジョンを使用することにより有機溶剤を使用することなくシートを得ることが可能であるが、湿式法に比べて風合いが著しく劣るものとなるという欠点を有している。
【0003】
この理由として、乾式法によって得られるシートは乾燥過程で樹脂が繊維を拘束する構造をとることにより硬い風合いになるためと考えられる。柔軟性を損なわないために付着樹脂量を少なくすると不織布ライクな風合いとなり、一方充実感を与えるために付着樹脂量を多くすると硬い風合いとなる。樹脂付与後に柔軟剤を付与し、柔軟性を発現することも可能であるが、柔軟剤を付与する工程を追加しなければならず、生産性にとって不利であるし、柔軟剤を使用した場合でも湿式法に相当する柔軟性を有する天然皮革様の風合いを有するシートは得られていない。上記の理由から、より天然皮革に近い人工皮革の製造方法としては生産性に劣るものの、湿式法が採用されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記したエマルジョンを用いた場合の問題点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、従来のエマルジョン系による樹脂付与に比べ柔軟性と充実感が著しく改良された皮革様シートを製造する方法を見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、不織布に感熱ゲル化性を有するエマルジョンを含浸・凝固して皮革様シートを得るに際し、不織布としてジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの1/9〜9/1 ( 重量比 ) の混合物からなるシリコーン系柔軟撥水剤が付与されているものを用いることを特徴とする皮革様シートの製造方法であり、さらに好ましくは凝固を70℃以上の温水中、又はスチーム雰囲気下で行う皮革様シートの製造方法であり、さらに一層好ましくは該不織布が収縮性ポリエチレンテレフタレート系繊維を少なくとも1成分とする比重0.25〜0.50の不織布である皮革様シートを製造する方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる不織布は、適度の厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合いを有するものであれば特に限定はなく、従来より皮革様シートの製造に使用されている各種の繊維質基材を使用することができる。繊維質基材としては、例えは、通常の合成繊維、収縮性繊維、潜在自発伸長性収縮性繊維、多層貼り合わせ型潜在分割性繊維、極細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、半合成繊維、天然繊維などを単独または併用して形成された絡合不織布を挙げることができる。繊維の種類としては、例えば、ポリエステル系の繊維、ナイロン系の繊維、アクリル系の繊維等を挙げることができる。
【0007】
繊維質基材の厚みは得られるシートの用途などによって任意に選択でき、特に制限されるものではないが、0.3〜3.0mm程度であることが好ましく、0.8〜2.5mm程度であることがより好ましい。繊維質基材の見かけ密度は、柔軟な風合いを有する皮革様シートを得るためには0.1〜0.5g/cm 3 であることが好ましく、0.15〜0.45g/cm 3 であることがより好ましい。見かけ密度が0.5g/cm 3 より大きくなると、得られるシートの腰がなくなったり、ゴムの様な風合いとなる傾向がある。一方、見かけ密度が0.1g/cm 3 より小さくなると、反発性および腰感が劣り、天然皮革のような風合いが損なわれる傾向がある。
【0008】
この中でも特に、収縮性ポリエチレンテレフタレート系繊維を少なくとも1成分とする見かけ密度0.25〜0.5の不織布を用いることでより一層柔軟性と腰感に優れたシートを得ることができる。収縮性としては70℃の温水中にフリーの状態で10分間浸漬した時に15%以上の収縮率を示す繊維が好ましい。このような少なくとも収縮性ポリエチレンテレフタレート繊維を1成分とする不織布のより好適なものとしては、たとえば特開昭56―37353号公報や特開昭53―53388号公報に記載されるようなポリエステル系の通常繊維と潜在自発伸長性収縮性繊維を適当な割合で併用して得られる不織布を温水で収縮させた後、乾熱処理により自発伸長処理を行うことによって得られるものである。
【0009】
本発明に用いられるエマルジョン化合物は、従来より不織布バインダーとして使用されているノニオン性界面活性剤等によって乳化分散されている各種のエマルジョンを使用することができる。エマルジョンはW/Oタイプ、O/Wタイプのどちらでも差し支えなく、有機溶剤を含んでいても、有機溶剤を含まない完全水系であっても良いが、環境面および回収工程による生産性の低下の面から有機溶剤を含まない水系エマルジョンを使用することが好ましい。これらのエマルジョンを構成する樹脂化合物としては、天然ゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリアクリレート、アクリレートタイプの共重合体、シリコーン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル−ポリエ−テルブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成弾性重合体を挙げることができる。この中でも、得られるシートの物性、腰感が良好なためポリウレタン系のエマルジョンが最も好ましく、また低価格である点からアクリル系エマルジョンを使用することも好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても、複数を併用して使用してもよい。
【0010】
本発明においては、これらのエマルジョンは感熱ゲル化性を有していることが重要である。感熱ゲル化性を有しないエマルジョンを使用すると、含浸後に熱風で乾燥した場合に、エマルジョン粒子がマイグレーションの発生により均一に付与できず得られるシートの強伸度や柔軟性等の物理的性質、風合いに著しく悪影響を与え、後述する温水中での凝固を行う場合は凝固温水浴中にエマルジョンが流出してしまう。エマルジョン粒子をマイグレーションを引き起こすことなく感熱ゲル化させ均一に付与するためにはいわゆるマイグレーション防止剤と称する物質をエマルジョン中に添加するか、樹脂自身が感熱ゲル化性を有する必要がある。
【0011】
前者の場合用いられる感熱ゲル化剤(マイグレーション防止剤)としては、例えば、無機塩類、ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、シリコーンポリエーテル共重合体、ポリシロキサン等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのうちでも無機塩類とポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤の組み合わせが好適な結果を与えるため好ましい。
【0012】
このようなポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また無機塩類としてはノニオン性界面活性剤の曇点を低下させるような一価または二価の金属塩がより好ましい。例えば、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸鉛等を挙げることができる。特に、これらの無機塩類を、曇点が30〜80℃のノニオン性界面活性剤と併用するとより優れた効果が得られる。
感熱凝固剤の配合量は、樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部であることが好ましい。また感熱凝固剤を配合することにより樹脂のゲル化温度を40〜80℃の範囲内にするのが好ましい。
【0013】
上記の要領で調製したエマルジョンを不織布へ含浸させ、プレスロールなどで絞るか、またはドクターナイフ等によって適量の含浸量とした後、70〜100℃の温水浴中で凝固させるか、スチームを浴びせかけて凝固するか、スチーム雰囲気下において凝固した後に乾燥機中で乾燥させることでシート状物を得ることができ、また直接50〜150℃の乾燥機中で乾燥中に凝固することによっても目的とするシートが得られる。この中でもより柔軟な風合いを与えることから、温水中での凝固またはスチームを用いた凝固が好ましい。
【0014】
エマルジョンを含浸、乾燥して得られるシートに付与される樹脂量は不織布の重量に対して5〜150重量%であることが好ましく、10〜100重量%であることがより好ましい。樹脂付着量が5重量%未満では得られるシートの充実感が不足し、皮革様の風合いが悪くなる傾向がある。一方150重量%を越えると、得られるシートは硬くなり、皮革様の風合いが悪くなる傾向がある。
【0015】
本発明に使用される柔軟撥水剤は、撥水剤の中でも繊維に柔軟性を付与することができる公知のものを用いることができ、好ましくはシリコーン系のものである。このようなシリコーン系の柔軟撥水剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ポリジオルガノシロキサンジオール、フロロシリコーンオイル、シリコーンポリエーテル共重合体、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等があり、繊維用撥水剤としてはメチルハイドロジェンシリコーンオイルが、繊維用柔軟剤としてはジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどが一般に使用されている。この中でも、ジメチルシリコーンオイルとメチルハイドロジェンシリコーンオイルを併用したシリコーン系柔軟撥水剤が撥水性付与と柔軟性付与に優れ、かつ汎用性も優れることから最も好適に使用される。
【0016】
ジメチルシリコーンオイルはジメチルポリシロキサンからなるシリコーンオイルである。メチルハイドロジェンシリコーンオイルはメチルハイドロジェンポリシロキサンおよび/またはメチルハイドロジェンシロキシ単位とジメチルシロキシ単位からなるポリシロキサンであり、撥水剤としてはSi-H結合が多いほど撥水性が向上したり、焼き付け温度を低くできる。従って、後者をもってメチルハイドロジェンシリコーンオイルとする場合においても撥水性の点からはシリコーン中のメチルハイドロジェンシロキシ単位は60%以上あることが好ましい。ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンを併用する場合、その混合比は撥水性と柔軟性が共に良好に発現できるように、重量比で1/9〜9/1の混合物が好ましい。ジメチルポリシロキサンが全体の1割未満になると得られる皮革様シートの風合いが硬くなる傾向があり、一方、メチルハイドロジェンポリシロキサンが全体の1割未満になると得られる皮革様シートの撥水性は不十分となる。また、低温で高撥水性を付与するために、触媒として金属の有機酸塩を用いることができる。この有機酸塩としては、例えば、溶液系ではスズ、チタン、ジルコニウムなどの金属塩、エマルジョン系では亜鉛塩などが用いられる。また耐洗濯性を向上させるためにユリア、メラミン、エチレン尿素、グリオキザール系の樹脂を併用するなどの処理を行っても良い。
【0017】
シリコーン系柔軟撥水剤はオイル型、エマルジョン型、溶液型などがあり、そのいずれもが使用可能であるが、工業的に使用する場合は水中油滴型に乳化分散したものが好適に使用される。シリコーン系柔軟撥水剤の付着方法としては、シリコーン固形分濃度を0.5〜5%程度に水で希釈し、必要に応じて触媒を加えて均一化した処理液を調製し、不織布を処理液に浸積し、柔軟撥水剤の付着量を調製するための絞り、必要に応じて予備乾燥を行い、加熱乾燥するなどして得ることができる。また不織布化する前の繊維の段階で柔軟撥水剤を付与してもよい。
【0018】
シリコーン系柔軟撥水剤の付着量は不織布重量に対して0.05〜5%、好ましくは0.3〜3%である。付着量が0.05%未満では得られるシートの柔軟性、撥水性が共に不足する。また5%を超えるとシリコーン化合物が表面にブリードアウトするなどして、表面タッチが悪化したり、接触したものに付着したりするため好ましくない。
【0019】
本発明により得られるシートは、適度な柔軟性と充実感を有し、マットレス、鞄内張り材料、衣料芯地、靴用芯材、クッション材、自動車内装材、壁材、カーペットなどに好適に使用することができる。さらに片面にポリウレタン被覆層等を既知の方法により付与することによりスポーツシューズ、紳士靴、鞄などに用いられる銀付き人工皮革としても好適に使用することができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、シートの感熱ゲル化温度、柔軟性、風合いは以下の方法により評価した。
【0021】
[感熱ゲル化温度]:試験管にエマルジョンを10g秤取し、90℃の恒温熱水浴中で撹拌しながら昇温し、エマルジョンが流動性を失いゲル状物となるときのエマルジョンの温度を感熱ゲル化温度とした。
【0022】
[柔軟性]:皮革様シートを10×10cmに切り取り、純曲げ試験機(KATO TECH製KES−FB2−L)を用いて、不織布の巻き取り方向に対して直角方向の曲げ剛性率を測定した。
【0023】
[風合い]:シートが天然皮革様の風合いを有するものである場合を「○」と判定し、柔軟性不足、または充実感不足のためシートが天然皮革様の風合いを呈さない場合を「×」と判定した。
【0024】
表1に実施例で用いられる化合物の略号を示す。
【0025】
【表1】
【0026】
<繊維質基材の製造>
[参考例1]
70℃の温水中での収縮率が25%のポリエチレンテレフタレート繊維(単糸繊度2デニール、長さ51mm)からカードとクロスラッパーを用いて240g/m 2 のウェブを作製した。このウェブをニードルロッカールームに通し700本/cm 2 のニードルパンチを行い、その後70℃の温水中に2分間浸積して元の面積の56%に収縮させた。これをシリンダーベルト加圧機を用い155℃で処理し、重さが360g/m 2 、厚さ1.2mm、見かけ密度0.30g/cm 3 の不織布を得た。この不織布にジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンが1:1の重量割合で配合されたシリコーン固形分が5重量%のシリコーン水系エマルジョンを含浸し、130℃で30分間乾燥した。以下、この不織布を不織布▲1▼と称する。
【0027】
[参考例2]
シリコーン水系エマルジョンを含浸乾燥しないこと以外は参考例1と同様にして不織布を作製した。この不織布を不織布▲2▼と称する。
【0028】
<ポリウレタンエマルジョンの製造>
[参考例3]
2L三ツ口フラスコに、PMPA2150を537.5g、IPDIを111.1g、DMPAを6.71gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で2hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。これにMEK202.9gを加えて均一に撹拌した後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEAを5.06gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてエマルゲン985(花王製、ノニオン系界面活性剤)33.9gを蒸留水402.8gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ちにDETAを7.84g、IPDAを12.94gを蒸留水178.7gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った。その後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去してから、除去したMEKにあたる重量の蒸留水を加えて固形分重量46wt%のポリウレタンエマルジョンを得た。このポリウレタンエマルジョン80重量部に対して、蒸留水20重量部、感熱ゲル化剤(大日本インキ製「MT−30」)4重量部を配合し、感熱ゲル化性を有するポリウレタンエマルジョン(以下、PUエマルジョン▲1▼と称する)を得た。PUエマルジョンの感熱ゲル化温度は48℃であった。
【0029】
[参考例4]
エマルジョンに感熱ゲル化剤を加えない以外は参考例3と同様に調製したエマルジョンを得た。以下、PUエマルジョン▲2▼と称する。このPUエマルジョンの感熱ゲル化温度を上記試験方法にて測定したが90℃においてもゲル化挙動を示さなかった。
【0030】
<アクリルエマルジョンの製造>
[参考例5]
大日本インキ製アクリルエマルジョンSFA−8100(アクリル樹脂固形分50重量%)を100重量部に対して蒸留水50重量部、感熱ゲル化剤(大日本インキ製「MT−30」)5重量部を配合し、感熱ゲル化性を有するアクリルエマルジョン(以下、アクリルエマルジョン▲1▼と称する)を得た。このエマルジョンの感熱ゲル化温度は52℃であった。
【0031】
[参考例6]
アクリルエマルジョンに感熱ゲル化剤を加えない以外は参考例4と同様に調製したエマルジョンを得た。以下、アクリルエマルジョン▲2▼と称する。このアクリルエマルジョンの感熱ゲル化温度を上記試験方法にて測定したが90℃においてもゲル化挙動を示さなかった。
【0032】
[実施例1]
PUエマルジョン▲1▼中に、不織布▲1▼を浸し、プレスロールにて絞った後、90℃の温水浴にて1分間凝固し、さらに130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥することによりシートを得た。樹脂の付着重量は不織布重量に対して66重量%であった。このシートは柔軟性と充実感を有する天然皮革様のものであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0033】
[実施例2]
PUエマルジョン▲1▼中に、不織布▲1▼を浸し、プレスロールにて絞った後、1.5kg/cm2の圧力のスチームを全体に吹き付け凝固し、さらに130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥することによりシートを得た。樹脂の付着重量は不織布重量に対して65重量%であった。このシートは柔軟性と充実感を有する天然皮革様のものであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0034】
[比較例1]
不織布▲2▼を用いる以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。樹脂の付着重量は不織布重量に対して65重量%であった。このシートは硬い風合いであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0035】
[比較例2]
PUエマルジョン▲2▼を用いる以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。エマルジョンを含浸した不織布を温水浴につけたところ、エマルジョンの白濁液が浴槽内に流出し、浴槽を汚染した。樹脂の付着重量は不織布重量に対して15重量%であった。このシートは局部的に硬い部分と全体的に不織布ライクな充実感のない部分が分散したものであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0036】
[比較例3]
PUエマルジョン▲2▼を用いる以外は実施例2と同様にしてシートを作製した。樹脂の付着重量は不織布重量に対して65重量%であった。このシートは実施例2のシートに比べ硬い風合いであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0037】
[実施例3]
細さ2.5デニールの通常ポリエステル繊維からなる絡合不織布(厚み:1.1mm、密度0.20)にジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンが1:2の割合で配合されてなるシリコーン固形分が2%のシリコーン水系エマルジョンを含浸し、130℃で30分間乾燥した。この不織布にアクリルエマルジョン▲1▼を浸し、プレスロールにて絞った後、130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥することによりシートを得た。樹脂の付着重量は不織布重量に対して30重量%であった。このシートは柔軟性と充実感を有する天然皮革様のものであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0038】
[比較例4]
不織布にシリコーン水系エマルジョンを処理していない細さ2.5デニールのポリエステル繊維からなる実施例3で用いた不織布を使用する以外は実施例3と同様にしてシートを得た。得られたシートは実施例3のシートに比べ硬い風合いであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0039】
[比較例5]
アクリルエマルジョン▲2▼を用いる以外は実施例3と同様にしてシートを得た。得られたシートは実施例3のものに比べ硬い風合いであった。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来のエマルジョン系による樹脂付与に比べ柔軟性と充実感等が著しく改良された天然皮革様の風合いを有するシートを安価に製造することができる。
Claims (2)
- 不織布に感熱ゲル化性を有するエマルジョンを含浸・凝固して皮革様シートを得るに際し、不織布としてジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの1/9〜9/1 ( 重量比 ) の混合物からなるシリコーン系柔軟撥水剤が付与されているものを用いることを特徴とする皮革様シートの製造方法。
- 不織布が、収縮性ポリエチレンテレフタレート系繊維を少なくとも1成分とする比重0.25〜0.50の不織布である請求項1に記載の製造方法。
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