JPH11247075A - 皮革様シートの製造方法 - Google Patents

皮革様シートの製造方法

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JPH11247075A
JPH11247075A JP4912598A JP4912598A JPH11247075A JP H11247075 A JPH11247075 A JP H11247075A JP 4912598 A JP4912598 A JP 4912598A JP 4912598 A JP4912598 A JP 4912598A JP H11247075 A JPH11247075 A JP H11247075A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 柔軟性と充実感に優れた天然皮革用の風合い
を有する皮革様シートを、エマルジョン系による樹脂付
与で、簡便に製造する方法を提供する。 【解決手段】 不織布に感熱ゲル化性を有するアクリル
エマルジョン等のエマルジョンを含浸・凝固して皮革様
シートを得るに際し、不織布に予めシリコーン系の柔軟
撥水剤を付与する。柔軟撥水剤としてはジメチルポリシ
ロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの1/
9〜9/1(重量比)混合物等が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮革様シートの製
造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、従来のエ
マルジョン系による樹脂付与により得られる皮革様シー
トと比べて、柔軟性と充実感等が著しく改良される、エ
マルジョン系の樹脂付与によって得られる皮革様シート
の製造方法に関する。
【0002】従来より、天然皮革代用品としてポリウレ
タン等の樹脂成分を繊維質基材の結束剤として用いたシ
ートが製造されている。その代表的な製造方法として
は、ポリウレタン等の樹脂をジメチルホルムアミド(D
MFと略す)等の溶媒に溶解した溶液を繊維質基材に含
浸後、水等の非溶剤中で該樹脂を凝固する湿式法と、ポ
リウレタン等の樹脂を有機溶剤に溶解した溶液、又は水
等に分散させたエマルジョン液を繊維質基材に含浸後、
乾燥する乾式法に大別することができる。湿式法は、乾
式法に比べて、天然皮革により近い風合いを有するシー
トを製造することが可能である反面、生産性に劣り、D
MF等の人体に有害な有機溶剤の使用が不可欠であると
いう欠点がある。一方、乾式法においては、水系エマル
ジョンを使用することにより有機溶剤を使用することな
くシートを得ることが可能であるが、湿式法に比べて風
合いが著しく劣るものとなるという欠点を有している。
【0003】この理由として、乾式法によって得られる
シートは乾燥過程で樹脂が繊維を拘束する構造をとるこ
とにより硬い風合いになるためと考えられる。柔軟性を
損なわないために付着樹脂量を少なくすると不織布ライ
クな風合いとなり、一方充実感を与えるために付着樹脂
量を多くすると硬い風合いとなる。樹脂付与後に柔軟剤
を付与し、柔軟性を発現することも可能であるが、柔軟
剤を付与する工程を追加しなければならず、生産性にと
って不利であるし、柔軟剤を使用した場合でも湿式法に
相当する柔軟性を有する天然皮革様の風合いを有するシ
ートは得られていない。上記の理由から、より天然皮革
に近い人工皮革の製造方法としては生産性に劣るもの
の、湿式法が採用されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記し
たエマルジョンを用いた場合の問題点を解決するため鋭
意研究を重ねた結果、従来のエマルジョン系による樹脂
付与に比べ柔軟性と充実感が著しく改良された皮革様シ
ートを製造する方法を見出し、これらの知見に基づいて
本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、不
織布に感熱ゲル化性を有するエマルジョンを含浸・凝固
して皮革様シートを得るに際し、不織布として柔軟撥水
剤、好ましくはシリコーン系の柔軟撥水剤が付与されて
いるものを用いることを特徴とする皮革様シートの製造
方法であり、より好ましくは該シリコーン系柔軟撥水剤
が、ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポ
リシロキサンの重量比が1/9〜9/1の混合物である
該皮革様シートの製造方法であって、さらに好ましくは
凝固を70℃以上の温水中、又はスチーム雰囲気下で行
う皮革様シートの製造方法であり、さらに一層好ましく
は該不織布が収縮性ポリエチレンテレフタレート系繊維
を少なくとも1成分とする比重0.25〜0.50の不
織布である皮革様シートを製造する方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる不織布は、適
度の厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合いを有するも
のであれば特に限定はなく、従来より皮革様シートの製
造に使用されている各種の繊維質基材を使用することが
できる。繊維質基材としては、例えは、通常の合成繊
維、収縮性繊維、潜在自発伸長性収縮性繊維、多層貼り
合わせ型潜在分割性繊維、極細繊維またはその束状繊
維、特殊多孔質繊維、半合成繊維、天然繊維などを単独
または併用して形成された絡合不織布を挙げることがで
きる。繊維の種類としては、例えば、ポリエステル系の
繊維、ナイロン系の繊維、アクリル系の繊維等を挙げる
ことができる。
【0007】繊維質基材の厚みは得られるシートの用途
などによって任意に選択でき、特に制限されるものでは
ないが、0.3〜3.0mm程度であることが好まし
く、0.8〜2.5mm程度であることがより好まし
い。繊維質基材の見かけ密度は、柔軟な風合いを有する
皮革様シートを得るためには0.1〜0.5g/cm3
であることが好ましく、0.15〜0.45g/cm3
であることがより好ましい。見かけ密度が0.5g/c
m3より大きくなると、得られるシートの腰がなくなっ
たり、ゴムの様な風合いとなる傾向がある。一方、見か
け密度が0.1g/cm3より小さくなると、反発性お
よび腰感が劣り、天然皮革のような風合いが損なわれる
傾向がある。
【0008】この中でも特に、収縮性ポリエチレンテレ
フタレート系繊維を少なくとも1成分とする見かけ密度
0.25〜0.5の不織布を用いることでより一層柔軟
性と腰感に優れたシートを得ることができる。収縮性と
しては70℃の温水中にフリーの状態で10分間浸漬し
た時に15%以上の収縮率を示す繊維が好ましい。この
ような少なくとも収縮性ポリエチレンテレフタレート繊
維を1成分とする不織布のより好適なものとしては、た
とえば特開昭56―37353号公報や特開昭53―5
3388号公報に記載されるようなポリエステル系の通
常繊維と潜在自発伸長性収縮性繊維を適当な割合で併用
して得られる不織布を温水で収縮させた後、乾熱処理に
より自発伸長処理を行うことによって得られるものであ
る。
【0009】本発明に用いられるエマルジョン化合物
は、従来より不織布バインダーとして使用されているノ
ニオン性界面活性剤等によって乳化分散されている各種
のエマルジョンを使用することができる。エマルジョン
はW/Oタイプ、O/Wタイプのどちらでも差し支えな
く、有機溶剤を含んでいても、有機溶剤を含まない完全
水系であっても良いが、環境面および回収工程による生
産性の低下の面から有機溶剤を含まない水系エマルジョ
ンを使用することが好ましい。これらのエマルジョンを
構成する樹脂化合物としては、天然ゴムおよびアクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン、ス
チレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリアクリ
レート、アクリレートタイプの共重合体、シリコーン、
ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ
エステル−ポリエ−テルブロック共重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体等の合成弾性重合体を挙げることが
できる。この中でも、得られるシートの物性、腰感が良
好なためポリウレタン系のエマルジョンが最も好まし
く、また低価格である点からアクリル系エマルジョンを
使用することも好ましい。これらの樹脂は単独で使用し
ても、複数を併用して使用してもよい。
【0010】本発明においては、これらのエマルジョン
は感熱ゲル化性を有していることが重要である。感熱ゲ
ル化性を有しないエマルジョンを使用すると、含浸後に
熱風で乾燥した場合に、エマルジョン粒子がマイグレー
ションの発生により均一に付与できず得られるシートの
強伸度や柔軟性等の物理的性質、風合いに著しく悪影響
を与え、後述する温水中での凝固を行う場合は凝固温水
浴中にエマルジョンが流出してしまう。エマルジョン粒
子をマイグレーションを引き起こすことなく感熱ゲル化
させ均一に付与するためにはいわゆるマイグレーション
防止剤と称する物質をエマルジョン中に添加するか、樹
脂自身が感熱ゲル化性を有する必要がある。
【0011】前者の場合用いられる感熱ゲル化剤(マイ
グレーション防止剤)としては、例えば、無機塩類、ポ
リエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、ポリビ
ニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、シリ
コーンポリエーテル共重合体、ポリシロキサン等を挙げ
ることができ、これらのうち1種または2種以上を用い
ることができる。これらのうちでも無機塩類とポリエチ
レングリコール型ノニオン性界面活性剤の組み合わせが
好適な結果を与えるため好ましい。
【0012】このようなポリエチレングリコール型ノニ
オン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの
エチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチ
レンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付
加物、多価アルコールの脂肪酸エステルのエチレンオキ
サイド付加物、高級アルキルアミンのエチレンオキサイ
ド付加物、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサ
イド付加物等を挙げることができる。また無機塩類とし
てはノニオン性界面活性剤の曇点を低下させるような一
価または二価の金属塩がより好ましい。例えば、炭酸ナ
トリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、水酸化ナ
トリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、塩化亜鉛、塩化
マグネシウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、硝酸ナト
リウム、硝酸鉛等を挙げることができる。特に、これら
の無機塩類を、曇点が30〜80℃のノニオン性界面活
性剤と併用するとより優れた効果が得られる。感熱凝固
剤の配合量は、樹脂100重量部に対して0.2〜20
重量部であることが好ましい。また感熱凝固剤を配合す
ることにより樹脂のゲル化温度を40〜80℃の範囲内
にするのが好ましい。
【0013】上記の要領で調製したエマルジョンを不織
布へ含浸させ、プレスロールなどで絞るか、またはドク
ターナイフ等によって適量の含浸量とした後、70〜1
00℃の温水浴中で凝固させるか、スチームを浴びせか
けて凝固するか、スチーム雰囲気下において凝固した後
に乾燥機中で乾燥させることでシート状物を得ることが
でき、また直接50〜150℃の乾燥機中で乾燥中に凝
固することによっても目的とするシートが得られる。こ
の中でもより柔軟な風合いを与えることから、温水中で
の凝固またはスチームを用いた凝固が好ましい。
【0014】エマルジョンを含浸、乾燥して得られるシ
ートに付与される樹脂量は不織布の重量に対して5〜1
50重量%であることが好ましく、10〜100重量%
であることがより好ましい。樹脂付着量が5重量%未満
では得られるシートの充実感が不足し、皮革様の風合い
が悪くなる傾向がある。一方150重量%を越えると、
得られるシートは硬くなり、皮革様の風合いが悪くなる
傾向がある。
【0015】本発明に使用される柔軟撥水剤は、撥水剤
の中でも繊維に柔軟性を付与することができる公知のも
のを用いることができ、好ましくはシリコーン系のもの
である。このようなシリコーン系の柔軟撥水剤として
は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコ
ーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、
ポリジオルガノシロキサンジオール、フロロシリコーン
オイル、シリコーンポリエーテル共重合体、アルキル変
性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイ
ル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコ
ーンオイル等があり、繊維用撥水剤としてはメチルハイ
ドロジェンシリコーンオイルが、繊維用柔軟剤としては
ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオ
イル、アミノ変性シリコーンオイルなどが一般に使用さ
れている。この中でも、ジメチルシリコーンオイルとメ
チルハイドロジェンシリコーンオイルを併用したシリコ
ーン系柔軟撥水剤が撥水性付与と柔軟性付与に優れ、か
つ汎用性も優れることから最も好適に使用される。
【0016】ジメチルシリコーンオイルはジメチルポリ
シロキサンからなるシリコーンオイルである。メチルハ
イドロジェンシリコーンオイルはメチルハイドロジェン
ポリシロキサンおよび/またはメチルハイドロジェンシ
ロキシ単位とジメチルシロキシ単位からなるポリシロキ
サンであり、撥水剤としてはSi-H結合が多いほど撥
水性が向上したり、焼き付け温度を低くできる。従っ
て、後者をもってメチルハイドロジェンシリコーンオイ
ルとする場合においても撥水性の点からはシリコーン中
のメチルハイドロジェンシロキシ単位は60%以上ある
ことが好ましい。ジメチルポリシロキサンとメチルハイ
ドロジェンポリシロキサンを併用する場合、その混合比
は撥水性と柔軟性が共に良好に発現できるように、重量
比で1/9〜9/1の混合物が好ましい。ジメチルポリ
シロキサンが全体の1割未満になると得られる皮革様シ
ートの風合いが硬くなる傾向があり、一方、メチルハイ
ドロジェンポリシロキサンが全体の1割未満になると得
られる皮革様シートの撥水性は不十分となる。また、低
温で高撥水性を付与するために、触媒として金属の有機
酸塩を用いることができる。この有機酸塩としては、例
えば、溶液系ではスズ、チタン、ジルコニウムなどの金
属塩、エマルジョン系では亜鉛塩などが用いられる。ま
た耐洗濯性を向上させるためにユリア、メラミン、エチ
レン尿素、グリオキザール系の樹脂を併用するなどの処
理を行っても良い。
【0017】シリコーン系柔軟撥水剤はオイル型、エマ
ルジョン型、溶液型などがあり、そのいずれもが使用可
能であるが、工業的に使用する場合は水中油滴型に乳化
分散したものが好適に使用される。シリコーン系柔軟撥
水剤の付着方法としては、シリコーン固形分濃度を0.
5〜5%程度に水で希釈し、必要に応じて触媒を加えて
均一化した処理液を調製し、不織布を処理液に浸積し、
柔軟撥水剤の付着量を調製するための絞り、必要に応じ
て予備乾燥を行い、加熱乾燥するなどして得ることがで
きる。また不織布化する前の繊維の段階で柔軟撥水剤を
付与してもよい。
【0018】シリコーン系柔軟撥水剤の付着量は不織布
重量に対して0.05〜5%、好ましくは0.3〜3%
である。付着量が0.05%未満では得られるシートの
柔軟性、撥水性が共に不足する。また5%を超えるとシ
リコーン化合物が表面にブリードアウトするなどして、
表面タッチが悪化したり、接触したものに付着したりす
るため好ましくない。
【0019】本発明により得られるシートは、適度な柔
軟性と充実感を有し、マットレス、鞄内張り材料、衣料
芯地、靴用芯材、クッション材、自動車内装材、壁材、
カーペットなどに好適に使用することができる。さらに
片面にポリウレタン被覆層等を既知の方法により付与す
ることによりスポーツシューズ、紳士靴、鞄などに用い
られる銀付き人工皮革としても好適に使用することがで
きる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限される
ものではない。なお、以下の実施例および比較例におい
て、シートの感熱ゲル化温度、柔軟性、風合いは以下の
方法により評価した。
【0021】[感熱ゲル化温度]:試験管にエマルジョ
ンを10g秤取し、90℃の恒温熱水浴中で撹拌しなが
ら昇温し、エマルジョンが流動性を失いゲル状物となる
ときのエマルジョンの温度を感熱ゲル化温度とした。
【0022】[柔軟性]:皮革様シートを10×10c
mに切り取り、純曲げ試験機(KATO TEKKO製
KES−FB2−L)を用いて、不織布の巻き取り方向
に対して直角方向の曲げ剛性率を測定した。
【0023】[風合い]:シートが天然皮革様の風合い
を有するものである場合を「○」と判定し、柔軟性不
足、または充実感不足のためシートが天然皮革様の風合
いを呈さない場合を「×」と判定した。
【0024】表1に実施例で用いられる化合物の略号を
示す。
【0025】
【表1】
【0026】<繊維質基材の製造> [参考例1]70℃の温水中での収縮率が25%のポリ
エチレンテレフタレート繊維(単糸繊度2デニール、長
さ51mm)からカードとクロスラッパーを用いて24
0g/m2のウェブを作製した。このウェブをニードル
ロッカールームに通し700本/cm2のニードルパン
チを行い、その後70℃の温水中に2分間浸積して元の
面積の56%に収縮させた。これをシリンダーベルト加
圧機を用い155℃で処理し、重さが360g/m2、
厚さ1.2mm、見かけ密度0.30g/cm3の不織
布を得た。この不織布にジメチルポリシロキサンとメチ
ルハイドロジェンポリシロキサンが1:1の重量割合で
配合されたシリコーン固形分が5重量%のシリコーン水
系エマルジョンを含浸し、130℃で30分間乾燥し
た。以下、この不織布を不織布と称する。
【0027】[参考例2]シリコーン水系エマルジョン
を含浸乾燥しないこと以外は参考例1と同様にして不織
布を作製した。この不織布を不織布と称する。
【0028】<ポリウレタンエマルジョンの製造> [参考例3]2L三ツ口フラスコに、PMPA2150
を537.5g、IPDIを111.1g、DMPAを
6.71gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で2h
r撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシア
ネート末端のプレポリマーを得た。これにMEK20
2.9gを加えて均一に撹拌した後、40℃にフラスコ
内温度を下げ、TEAを5.06gを加えて10分間撹
拌を行った。次いで、乳化剤としてエマルゲン985
(花王製、ノニオン系界面活性剤)33.9gを蒸留水
402.8gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加
えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ちにD
ETAを7.84g、IPDAを12.94gを蒸留水
178.7gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで
1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った。その後、MEKを
ロータリーエバポレーターにより除去してから、除去し
たMEKにあたる重量の蒸留水を加えて固形分重量46
wt%のポリウレタンエマルジョンを得た。このポリウ
レタンエマルジョン80重量部に対して、蒸留水20重
量部、感熱ゲル化剤(大日本インキ製「MT−30」)
4重量部を配合し、感熱ゲル化性を有するポリウレタン
エマルジョン(以下、PUエマルジョンと称する)を
得た。PUエマルジョンの感熱ゲル化温度は48℃であ
った。
【0029】[参考例4]エマルジョンに感熱ゲル化剤
を加えない以外は参考例3と同様に調製したエマルジョ
ンを得た。以下、PUエマルジョンと称する。このP
Uエマルジョンの感熱ゲル化温度を上記試験方法にて測
定したが90℃においてもゲル化挙動を示さなかった。
【0030】<アクリルエマルジョンの製造> [参考例5]大日本インキ製アクリルエマルジョンSF
A−8100(アクリル樹脂固形分50重量%)を10
0重量部に対して蒸留水50重量部、感熱ゲル化剤(大
日本インキ製「MT−30」)5重量部を配合し、感熱
ゲル化性を有するアクリルエマルジョン(以下、アクリ
ルエマルジョンと称する)を得た。このエマルジョン
の感熱ゲル化温度は52℃であった。
【0031】[参考例6]アクリルエマルジョンに感熱
ゲル化剤を加えない以外は参考例4と同様に調製したエ
マルジョンを得た。以下、アクリルエマルジョンと称
する。このアクリルエマルジョンの感熱ゲル化温度を上
記試験方法にて測定したが90℃においてもゲル化挙動
を示さなかった。
【0032】[実施例1]PUエマルジョン中に、不
織布を浸し、プレスロールにて絞った後、90℃の温
水浴にて1分間凝固し、さらに130℃の熱風乾燥機中
で30分間乾燥することによりシートを得た。樹脂の付
着重量は不織布重量に対して66重量%であった。この
シートは柔軟性と充実感を有する天然皮革様のものであ
った。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した
結果を表2に示す。
【0033】[実施例2]PUエマルジョン中に、不
織布を浸し、プレスロールにて絞った後、1.5kg
/cm2の圧力のスチームを全体に吹き付け凝固し、さ
らに130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥することに
よりシートを得た。樹脂の付着重量は不織布重量に対し
て65重量%であった。このシートは柔軟性と充実感を
有する天然皮革様のものであった。風合いと曲げ剛性に
ついて上記の方法で評価した結果を表2に示す。
【0034】[比較例1]不織布を用いる以外は実施
例1と同様にしてシートを作製した。樹脂の付着重量は
不織布重量に対して65重量%であった。このシートは
硬い風合いであった。風合いと曲げ剛性について上記の
方法で評価した結果を表2に示す。
【0035】[比較例2]PUエマルジョンを用いる
以外は実施例1と同様にしてシートを作製した。エマル
ジョンを含浸した不織布を温水浴につけたところ、エマ
ルジョンの白濁液が浴槽内に流出し、浴槽を汚染した。
樹脂の付着重量は不織布重量に対して15重量%であっ
た。このシートは局部的に硬い部分と全体的に不織布ラ
イクな充実感のない部分が分散したものであった。風合
いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2
に示す。
【0036】[比較例3]PUエマルジョンを用いる
以外は実施例2と同様にしてシートを作製した。樹脂の
付着重量は不織布重量に対して65重量%であった。こ
のシートは実施例2のシートに比べ硬い風合いであっ
た。風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結
果を表2に示す。
【0037】[実施例3]細さ2.5デニールの通常ポ
リエステル繊維からなる絡合不織布(厚み:1.1m
m、密度0.20)にジメチルポリシロキサンとメチル
ハイドロジェンポリシロキサンが1:2の割合で配合さ
れてなるシリコーン固形分が2%のシリコーン水系エマ
ルジョンを含浸し、130℃で30分間乾燥した。この
不織布にアクリルエマルジョンを浸し、プレスロール
にて絞った後、130℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥
することによりシートを得た。樹脂の付着重量は不織布
重量に対して30重量%であった。このシートは柔軟性
と充実感を有する天然皮革様のものであった。風合いと
曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表2に示
す。
【0038】[比較例4]不織布にシリコーン水系エマ
ルジョンを処理していない細さ2.5デニールのポリエ
ステル繊維からなる実施例3で用いた不織布を使用する
以外は実施例3と同様にしてシートを得た。得られたシ
ートは実施例3のシートに比べ硬い風合いであった。風
合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を表
2に示す。
【0039】[比較例5]アクリルエマルジョンを用
いる以外は実施例3と同様にしてシートを得た。得られ
たシートは実施例3のものに比べ硬い風合いであった。
風合いと曲げ剛性について上記の方法で評価した結果を
表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、従来のエマ
ルジョン系による樹脂付与に比べ柔軟性と充実感等が著
しく改良された天然皮革用の風合いを有するシートを安
価に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹波 善博 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不織布に感熱ゲル化性を有するエマルジョ
    ンを含浸・凝固して皮革様シートを得るに際し、不織布
    として柔軟撥水剤が付与されているものを用いることを
    特徴とする皮革様シートの製造方法。
  2. 【請求項2】柔軟撥水剤がシリコーン系の化合物である
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】シリコーン系柔軟撥水剤が、ジメチルポリ
    シロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの1
    /9〜9/1(重量比)の混合物である請求項2記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】不織布が、収縮性ポリエチレンテレフタレ
    ート系繊維を少なくとも1成分とする比重0.25〜
    0.50の不織布である請求項1〜3のいずれかに記載
    の製造方法。
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