JP2000096457A - 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンおよびその製造方法 - Google Patents

感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2000096457A
JP2000096457A JP10267650A JP26765098A JP2000096457A JP 2000096457 A JP2000096457 A JP 2000096457A JP 10267650 A JP10267650 A JP 10267650A JP 26765098 A JP26765098 A JP 26765098A JP 2000096457 A JP2000096457 A JP 2000096457A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emulsion
polyurethane
weight
nonionic surfactant
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10267650A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideaki Adachi
秀昭 足立
Mitsuru Kato
充 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP10267650A priority Critical patent/JP2000096457A/ja
Publication of JP2000096457A publication Critical patent/JP2000096457A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた感熱ゲル化性と保存安定性を有するポ
リウレタン系エマルジョンおよび風合いに優れた皮革様
シート状物を提供する。 【解決手段】 ポリウレタン100重量部、HLBが1
3.0〜17.0の範囲内であるノニオン性界面活性剤
(I)1〜5重量部、HLBが8.0〜15.0の範囲
内でありかつノニオン性界面活性剤(I)よりもHLB
が低いノニオン性界面活性剤(II)1〜10重量部およ
び水性媒体からなる感熱ゲル化性ポリウレタン系エマル
ジョンとその製造方法、並びに該感熱ゲル化性ポリウレ
タン系エマルジョンを用いた皮革様シート状物の製造方
法により上記の課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は感熱ゲル化性ポリウ
レタン系エマルジョンおよびその製造方法に関する。本
発明のポリウレタン系エマルジョンは、感熱ゲル化性お
よび保存安定性に優れることから、繊維の含浸加工、と
りわけ皮革様シート状物の製造に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】天然皮革代用品としてポリウレタン等の
樹脂成分を繊維質基材の結束剤として用いたシート状物
が従来より製造されている。その代表的な製造方法とし
ては、ポリウレタン等の樹脂成分の有機溶剤溶液を繊維
質基材に含浸後、水等の非溶剤中で凝固する湿式法と、
ポリウレタン等の樹脂成分を有機溶剤に溶解した溶液ま
たは水等に分散させたエマルジョンとし、これを繊維質
基材に含浸後、乾燥する乾式法に大別することができ
る。湿式法は乾式法に比べて、天然皮革により近い風合
いを有するシート状物を製造することが可能である反
面、生産性に劣り、DMF等の有機溶剤の使用が不可欠
であるという欠点がある。一方、乾式法においては、水
系エマルジョンを使用することにより有機溶剤を使用す
ることなくシート状物を得ることが可能であるが、湿式
法に比べ風合いが劣るものとなる。しかし、近年、環境
汚染の観点から湿式凝固に用いられるDMF等の有機溶
剤の使用が問題となっており、有機溶剤を使用する湿式
凝固からエマルジョン系、特に水系エマルジョンにより
ポリウレタンを付着させる方法への切り替えが強く要望
されている。一般に、水系エマルジョンによる樹脂含浸
に用いられるエマルジョンには、加熱すると樹脂成分が
凝固する感熱ゲル化性を有するエマルジョンが好適に使
用される。その理由として感熱ゲル化性エマルジョン
は、樹脂を速やかにゲル化させ、不織布などの繊維質基
材の樹脂加工時の加熱乾燥において発生する樹脂の移行
(マイグレーション)を防止することができ、樹脂を均
一に付着させることができるためである。このような例
としては、ゲル化剤としてノニオン系界面活性剤を添加
して感熱ゲル化性を付与した合成樹脂エマルジョンが特
開平2−308844号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
感熱ゲル化性を示すポリウレタンエマルジョンは、感熱
ゲル化性の感度が十分でないために、繊維質基材の樹脂
加工において、低温で長時間乾燥することにより樹脂の
移行を防止する必要が生じたり、逆に感熱ゲル化性の感
度が高すぎて保存安定性に劣るために、エマルジョンを
長時間保存すると分散質が分離してクリーム状の沈降物
や再分散不能な凝固物が発生したり、また機械的安定性
が劣るために、エマルジョンを激しく撹拌したり圧力を
かけたりすると分散系が壊れ、凝固物が発生したり粘度
が著しく変化したりするなどの問題があった。このため
繊維質基材への樹脂の含浸加工に適した感熱ゲル化性を
有し、かつ容易に取り扱えるという点において満足な水
準にあるとはいえなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた感
熱ゲル化性と保存安定性を有する水系ポリウレタンエマ
ルジョンを得るべく鋭意検討した結果、本発明を成すに
至った。すなわち、本発明は、ポリウレタン100重量
部、HLBが13.0〜17.0の範囲内であるノニオ
ン性界面活性剤(I)1〜5重量部、HLBが8.0〜
15.0の範囲内でありかつノニオン性界面活性剤
(I)よりもHLBが低いノニオン性界面活性剤(II)
1〜10重量部および水性媒体からなる感熱ゲル化性ポ
リウレタン系エマルジョンである。また本発明は、高分
子ポリオール、ジイソシアネートおよび鎖伸長剤から構
成されるポリウレタンを水性媒体中に分散させた感熱ゲ
ル化性ポリウレタン系エマルジョンを製造するに際し、 (1)高分子ポリオール、ジイソシアネートおよび必要
に応じて鎖伸長剤を反応させてイソシアネート基を有す
るポリウレタンプレポリマーを製造し; (2)ポリウレタンプレポリマーを、HLBが13.0
〜17.0の範囲内であるノニオン性界面活性剤(I)
を高分子ポリオール、ジイソシアネートおよび鎖伸長剤
の合計100重量部に対し1〜5重量部の割合で用いて
水性媒体中に乳化させ; (3)得られたエマルジョン中のポリウレタンプレポリ
マーと鎖伸長剤を反応させた後; (4)HLBが8.0〜15.0の範囲内でありかつノ
ニオン性界面活性剤(I)よりもHLBが低いノニオン
性界面活性剤(II)を、高分子ポリオール、ジイソシア
ネートおよび鎖伸長剤の合計100重量部に対し1〜1
0重量部の割合で配合する;ことを特徴とする感熱ゲル
化性ポリウレタン系エマルジョンの製造方法である。さ
らに、本発明は、上記の感熱ゲル化性ポリウレタン系エ
マルジョンを繊維質基材に含浸し、凝固させることを特
徴とする皮革様シート状物の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明のポリウレタン系エマルジョンを構成する
ポリウレタンとしては、以下に示すような高分子ポリオ
ール、ジイソシアネート、鎖伸長剤の各成分を適宜組み
合わせて反応させて得られるポリウレタンを用いること
ができる。
【0006】高分子ポリオールとしては、例えば、ポリ
エステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカ
ーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネート
ポリオールなどを挙げることができる。
【0007】ポリエステルポリオールは例えば、常法に
従い、ジカルボン酸もしくはそのエステル、無水物など
のエステル形成性誘導体とジオールとを直接エステル化
反応もしくはエステル交換反応に付すか、またはラクト
ンを開環重合することにより製造することができる。
【0008】ポリエステルポリオールの製造に使用する
ことのできるジオールとしては、ポリエステルの製造に
おいて一般的に使用されているものを用いることがで
き、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリ
コール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,
3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プ
ロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4
−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジ
オール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,
7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノ
ナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオ
ール、1,10−デカンジオールなどの炭素数2〜15
の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、シクロヘ
キサンジメタノール、ジメチルシクロオクタンジメタノ
ールなどの脂環式ジオール;1,4−ビス(β−ヒドロ
キシエトキシ)ベンゼンなどの芳香族ジオール;などを
挙げることができる。これらのジオールは単独で使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0009】ポリエステルポリオールの製造に使用する
ことのできるジカルボン酸としては、ポリエステルの製
造において一般的に使用されているものを用いることが
でき、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカン二酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、
3−メチルグルタル酸、トリメチルアジピン酸、2−メ
チルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,
7−ジメチルデカン二酸などの炭素数4〜12の脂肪族
ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環
式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルト
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカル
ボン酸;またはそれらのエステル形成誘導体などを挙げ
ることができる。これらのジカルボン酸は単独で使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0010】ポリエステルポリオールの製造に使用する
ことのできるラクトンの例としては、ε−カプロラクタ
ム、β−メチル−δ−バレロラクトンなどを挙げること
ができる。
【0011】ポリエーテルポリオールとしては、例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0012】ポリカーボネートポリオールとしては、例
えば、ジオールとジアルキルカーボネート、アルキレン
カーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネ
ート化合物との反応により得られるものを使用すること
ができる。ポリカーボネートジオールの製造に使用する
ことのできるジオールとしては、ポリエステルポリオー
ルの製造原料として先に例示したジオールを用いること
ができる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを挙げ
ることができる。さらに、アルキレンカーボネートとし
てはエチレンカーボネートなどを挙げることができ、ジ
アリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート
などを挙げることができる。
【0013】ポリエステルポリカーボネートポリオール
としては、例えば、ジオール、ジカルボン酸およびカー
ボネート化合物を同時に反応させて得られるものを使用
することができる。また、予め上記した製造原料を用い
てポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリ
オールをそれぞれ合成し、次いでそれらをカーボネート
化合物と反応させるか、またはジオールおよびジカルボ
ン酸と反応させて得られるものを使用することができ
る。
【0014】高分子ポリオールの数平均分子量は、得ら
れるポリウレタン系エマルジョンを含浸、凝固させて製
造される皮革様シート状物の耐屈曲性等の物性を優れた
ものとするため、500〜5000の範囲内であるのが
好ましく、850〜3500の範囲内であるのがより好
ましく、1000〜3000の範囲内であるのがさらに
好ましい。なお、本明細書でいう高分子ポリオールの数
平均分子量は、いずれもJIS K 1577に準拠し
て測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量で
ある。
【0015】高分子ポリオールは、1分子当たりの水酸
基の数が2.0であるものの他に、1分子当たりの水酸
基の数が2.0より大きいものも、ウレタン系エマルジ
ョンの製造に支障をきたさない限り使用することができ
る。水酸基の数が2より大きい高分子ポリオール、例え
ばポリエステルポリオールを得る方法としては、該高分
子ポリオールを製造する際に、高分子ポリオール1分子
当たりの水酸基が2.0より大きい所望の数となるよう
に、1分子中の水酸基の数が3個以上である低分子ポリ
オールを添加する方法を挙げることができる。1分子中
の水酸基の数が3個以上の低分子ポリオールとしては、
例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタン
トリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールブタ
ン、ペンタエリスリトールなどを挙げることができ、こ
れらのうち1種または2種以上を用いることができる。
高分子ポリオール1分子当たりの水酸基の数は、得られ
るポリウレタン系エマルジョンを含浸、凝固して製造さ
れる皮革様シート状物の柔軟性等の物性を優れたものと
するため、2.0〜3.0の範囲内とするのが好まし
い。
【0016】ジイソシアネートとしては、特に制限はな
く、通常のポリウレタンの製造に従来から使用されてい
る分子中にイソシアネート基を含有する公知の脂肪族、
脂環式または芳香族の有機ジイソシアネートのいずれも
が使用できる。そのようなジイソシアネートとしては、
例えばイソホロンジイソシアネート、トルイレンジイソ
シアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート、3,3´−ジクロロ−
4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化
キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これら
のジイソシアネートは単独で使用してもよく、2種以上
を併用してもよい。これらのジイソシアネートの中で
は、トルイレンジイソシアネートまたは4,4´−ジフ
ェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0017】鎖伸長剤としては特に制限はなく、通常の
ポリウレタンの製造に従来から使用されている鎖伸長剤
のいずれを使用してもよく、イソシアネート基と反応し
得る水素原子を分子中に2個以上含有する分子量400
以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。そのような
鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ビス(β−ヒドロキ
シエチル)テレフタレート、キシリレングリコール、
1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなど
のジオール;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミ
ン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミ
ン、トリレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソ
フタル酸ジヒドラジド、4,4´−ジアミノジフェニル
メタン、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジアミンな
どのジアミン;アミノエチルアルコール、アミノプロピ
ルアルコールなどのアミノアルコール類;などが挙げら
れる。これらの鎖伸長剤は単独で使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。これらの鎖伸長剤の中では、
反応性の点でジエチレントリアミン、イソホロンジアミ
ンなどのジアミンが好ましい。
【0018】本発明の感熱ゲル化性ポリウレタン系エマ
ルジョンとしては、上記のポリウレタンを含有するポリ
ウレタン系エマルジョンを50℃で乾燥して得られるフ
ィルムの90℃における弾性率が、2.0×107
5.0×108dyn/cm2の範囲内であるものが好ま
しく、2.5×107〜3.0×108dyn/cm2
範囲内であるものがより好ましい。弾性率が上記の範囲
内である場合、該エマルジョンを繊維質基材に含浸し凝
固させて得られる皮革様シート状物は、ポリウレタンが
繊維から部分的に離型した構造で凝固するために繊維を
拘束せず、極めて優れた柔軟性と充実感を両立でき、湿
式凝固により得られる皮革様シート状物に匹敵する風合
いが発現される。従来の不織布バインダーなどに用いら
れる、90℃における弾性率が2.0×107dyn/
cm2未満のポリウレタンでは繊維がポリウレタンによ
って過度に拘束されるために、充実感のない不織布様の
シート状物しか得られない。また90℃における弾性率
が5.0×108dyn/cm2より大きいウレタン樹脂
の場合は、得られる皮革様シート状物の充実感はある
が、硬い風合いとなる。
【0019】さらに、乳化分散性を向上させるために、
ポリウレタンのポリマー分子骨格または側鎖に、2,2
−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などから誘導
されるアニオン性親水基を有する単位、ポリエチレング
リコールなどから誘導されるノニオン性親水基を有する
単位などを導入したり、耐溶剤性、耐熱性、耐熱水性を
向上させる目的で、トリメチロールプロパン等の三官能
グリコールなどを反応させ、架橋構造を形成するなどの
ポリウレタン自体の変性による改質手段も、好適に使用
することができる。
【0020】本発明のポリウレタン系エマルジョンは、
HLB(親水親油バランス)が13.0〜17.0の範
囲内であるノニオン性界面活性剤(I)を、ポリウレタ
ン100重量部に対して1〜5重量部の割合で含有す
る。ノニオン性界面活性剤(I)はポリウレタンの乳化
剤として作用し、HLBが17.0より大きいと、ポリ
ウレタンの水に対する親和性が大きくなりすぎるため、
エマルジョンのゲル化の感度が不足し、熱をかけてもゲ
ル化に要する時間が長くなる。一方、HLBが13.0
より小さいと、エマルジョンを長期に保存した場合に、
凝固物が発生するなどの保存安定性に問題を生じる。ノ
ニオン性界面活性剤(I)のHLBは13.5〜17.
0の範囲内であるのが好ましい。また、ノニオン性界面
活性剤(I)の含有量がポリウレタン100重量部に対
して5重量部より多くなると、ゲル化の感度が不足し、
加熱してもゲル化に要する時間が長くなり、含有量が1
重量部より少なくなると、エマルジョンを長期に保存し
た場合に、相分離が発生し分散質が分離してクリーム状
の沈降物が発生したり、再分散不能な凝固物が発生する
といった保存安定性に問題を生じる。ノニオン性界面活
性剤(I)の含有量は、ポリウレタン100重量部に対
して3〜4.5重量部の割合であるのが好ましい。
【0021】さらに本発明のポリウレタン系エマルジョ
ンは、HLBが8.0〜15.0の範囲内でありかつノ
ニオン性界面活性剤(I)よりもHLBが低いノニオン
性界面活性剤(II)を、ポリウレタン100重量部に対
して1〜10重量部の割合で含有する。ノニオン性界面
活性剤(II)はエマルジョンの感熱ゲル化剤として作用
し、HLBが15.0より大きいか、またはノニオン性
界面活性剤(I)のHLBよりも大きいと、エマルジョ
ンのゲル化の感度が不足するため、速やかな感熱ゲル化
を達成できない。一方、HLBが8.0より小さいと、
室温下でノニオン性界面活性剤(II)を配合した直後か
らゲル化が進行し、当該ノニオン性界面活性剤(II)を
配合したエマルジョンを用いて加工処理を行う前にゲル
を生じて使用できなくなるなどの問題を生じる。ノニオ
ン性界面活性剤(II)のHLBは9.5〜12.5の範
囲内であるのが好ましい。また、ノニオン性界面活性剤
(II)の含有量がポリウレタン100重量部に対して1
重量部より少ないと、エマルジョンのゲル化の感度が不
足し、速やかな感熱ゲル化を達成できず、10重量部よ
り多いと室温下でノニオン性界面活性剤(II)を配合し
た直後からゲル化が進行し、当該ノニオン性界面活性剤
(II)を配合したエマルジョンを用いて加工処理を行う
前にゲルを生じて使用できなくなるなどの問題を生じ
る。ノニオン性界面活性剤(II)の含有量は、ポリウレ
タン100重量部に対して5〜9.5重量部の割合であ
るのが好ましい。
【0022】このようなノニオン性界面活性剤(I)お
よびノニオン性界面活性剤(II)としては、親水基とし
て水中でイオン解離しない水酸基やポリエーテル単位な
どを有している界面活性剤であり、一般に用いられてい
るポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤と多
価アルコール型ノニオン性界面活性剤を挙げることがで
きる。ポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤
としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリ
オキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンス
テアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ルなどの高級アルコールエチレンオキサイド付加物;ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェ
ノールエチレンオキサイド付加物;脂肪酸ポリエチレン
オキサイドエステル、多価アルコール脂肪酸エステルエ
チレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレン
オキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付
加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレ
ングリコールエチレンオキサイド付加物などを挙げるこ
とができる。多価アルコール型ノニオン性界面活性剤と
してはグリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリト
ールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタン
の脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アル
コールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂
肪酸アミドなどを挙げることができる。ノニオン性界面
活性剤(I)およびノニオン性界面活性剤(II)として
は、上記のノニオン性界面活性剤より、それぞれ適切な
HLBを有するものを1種または2種以上併用して使用
することができる。
【0023】また、本発明の感熱ゲル化性ポリウレタン
系エマルジョンに用いられる水性媒体は、有機溶剤を含
んでいても、有機溶剤を含まない完全水系であってもよ
いが、環境面および回収工程による生産性の低下の面か
ら有機溶剤を含まない水系エマルジョンが好ましく使用
される。水性媒体は、エマルジョンに含有される固形分
の割合が10〜70重量%となるように配合するのが好
ましい。
【0024】さらに本発明のエマルジョンを構成するポ
リウレタンに他の樹脂が併用されていても、感熱ゲル化
性、保存安定性を損なうことがない限り差し支えない。
ポリウレタンに併用可能な他の樹脂としては、天然ゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロ
ロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合
体、ポリアクリレート、シリコーン、ポリ酢酸ビニル、
ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエステル
−ポリエーテルブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体等の弾性重合体を挙げることができる。これ
らの樹脂は単独で使用しても、複数を併用して使用して
もよい。
【0025】本発明の感熱ゲル化性ポリウレタン系エマ
ルジョンは、(1)前記した高分子ポリオール、ジイソ
シアネートおよび必要に応じて鎖伸長剤を反応させてイ
ソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを製
造し;(2)ポリウレタンプレポリマーを、HLBが1
3.0〜17.0の範囲内であるノニオン性界面活性剤
(I)を高分子ポリオール、ジイソシアネートおよび鎖
伸長剤の合計100重量部に対し1〜5重量部の割合で
用いて水性媒体中に乳化させ;(3)得られたエマルジ
ョン中のポリウレタンプレポリマーをジアミン類等の鎖
伸長剤で高分子量化して鎖伸長反応を完結させた後;
(4)HLBが8.0〜15.0の範囲内でありかつノ
ニオン性界面活性剤(I)よりもHLBが低いノニオン
性界面活性剤(II)を、高分子ポリオール、ジイソシア
ネートおよび鎖伸長剤の合計100重量部に対し1〜1
0重量部の割合で配合する;ことにより製造することが
できる。なお、上記(2)の工程における鎖伸長剤の量
は、上記(3)の工程で使用する鎖伸長剤および上記
(1)の工程で必要に応じて使用する鎖伸長剤の合計量
を意味する。
【0026】ここで、ポリウレタンプレポリマーの乳化
は、ポリウレタンプレポリマーを、例えば2−ブタノ
ン、トルエンなどの有機溶剤の存在下または不存在下で
適切な粘度に調製し、ノニオン性界面活性剤(I)の存
在下で、ホモミキサーなどを使用して高い機械的剪断力
で水性媒体中に強制乳化することにより行うことができ
る。
【0027】また、ノニオン性界面活性剤(II)の添加
方法は、例えばノニオン性界面活性剤(II)を必要に応
じて後記する併用可能な金属塩等とともに水に溶解した
ものを感熱ゲル化剤として、乳化済みのポリウレタン分
散液に配合し、撹拌すればよい。感熱ゲル化剤の添加時
期については、使用直前が好ましいが、本発明の感熱ゲ
ル化性エマルジョンは溶液安定性に優れているため、使
用の24時間程度前の添加も可能である。
【0028】感熱ゲル化剤には上記のノニオン性界面活
性剤(II)に加え、感熱ゲル化感度を上げるために無機
塩類、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリ
コール、シリコーンポリエーテル共重合体、ポリシロキ
サン等の化合物を加えてもよい。この中でも無機塩類を
ノニオン性界面活性剤(II)と併用することにより感熱
ゲル化性を著しく向上させることができる。このような
無機塩類としては、ノニオン性界面活性剤(II)の曇点
を低下させる一価または二価の金属塩が好ましく、例え
ば、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウ
ム、水酸化ナトリウム、硫酸カルシウム、塩化カリウ
ム、炭酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸鉛等が挙げら
れる。使用量としては、ノニオン性界面活性剤(II)1
00重量部に対し1〜50重量部の範囲内であるのが好
ましい。これらのノニオン性界面活性剤(II)に加える
化合物は単独で使用しても、併用して使用することもで
きる。
【0029】本発明に使用するポリウレタン系エマルジ
ョンには、必要に応じて、更に公知の添加物、例えば、
耐光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、浸透剤、増粘
剤、防黴材、染料、顔料、充填剤、凝固調節剤などを配
合することができる。
【0030】このようにして得られた感熱ゲル化性ポリ
ウレタン系エマルジョンは、繊維質基材に含浸し、凝固
し、乾燥することにより、風合いに優れた皮革様シート
状物の製造に使用することができる。本発明の皮革様シ
ート状物の製造方法に用いられる繊維質基材は、適度の
厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合いを有するものが
よく、従来より皮革様シート状物の製造に使用されてい
る各種の繊維質基材を使用することができる。繊維質基
材としては、例えば、通常の合成繊維、収縮性繊維、潜
在自発伸長性収縮性繊維、多層貼り合わせ型潜在分割性
繊維、極細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、
半合成繊維、天然繊維などを単独でまたは併用して形成
された、絡合不織布、編織物などを挙げることができ
る。繊維の種類としては、例えば、ポリエステル系繊
維、ナイロン系繊維、アクリル系繊維等を挙げることが
できる。
【0031】繊維質基材として、通常の合成繊維、収縮
性繊維、潜在自発伸長性収縮性繊維からなる不織布を用
いる場合は、不織布をジメチルポリシロキサンなどの柔
軟性を付与するシリコーン化合物を含んだ撥水剤で予め
処理しておくと優れた風合いを呈する皮革様シート状物
を得ることができる。
【0032】また、繊維質基材として極細繊維からなる
不織布を使用る場合は、柔軟で、かつ充実感に優れた天
然皮革様の風合いを呈する皮革様シート状物を得ること
ができる。このような極細繊維不織布としては、従来よ
り皮革様シート状物の製造に使用されている各種の極細
繊維からなる不織布を使用することができる。ここでい
う極細繊維からなる不織布とは、2種以上の重合体成分
からなる海島型の複合紡糸繊維または混合紡糸繊維のう
ち、海成分の重合体成分を抽出除去することにより極細
化した繊維からなる不織布である。このような重合体成
分の例としては、ナイロン6、ナイロン612、ナイロ
ン66、変性ナイロンなどのポリアミド類;ポリエチレ
ンテレフタレートなどのポリエステル類および変性ポリ
エステル類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリ
オレフィン類;ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニル
アルコールなどが挙げられ、これらの重合体成分の中か
らトルエン、パークレンなどの有機溶剤に対する溶解性
の差により選んだ2種以上の重合体成分を使用すること
ができる。複合紡糸繊維または混合紡糸繊維中の重合体
成分の重量比は、得られる皮革様シート状物の用途によ
り適宜選択することができるが、一般に島成分/海成分
=15/85〜85/15の割合が好ましく、25/7
5〜75/25の割合がより好ましい。極細化処理は感
熱ゲル化性エマルジョンの含浸、凝固に先立って行って
もよく、後に行ってもよい。但し、該エマルジョンの含
浸、凝固後に極細化処理を行った方が、より柔軟な天然
皮革様の風合いを発現できる。本発明の皮革様シート状
物の製造方法では、これらの中でも特に、海成分をポリ
エチレン、島成分をナイロン6とした混合紡糸繊維から
なる不織布、または海成分をポリエチレン、島成分をポ
リエチレンテレフタレートとした複合紡糸繊維からなる
不織布に、上記した感熱ゲル化性ポリウレタン系エマル
ジョンを含浸、凝固させた後に、トルエンによりポリエ
チレンを溶解除去する方法が、極めて天然皮革様の風合
いを有する皮革様シート状物を得られることから好まし
い。
【0033】繊維質基材の厚みは得られるシート状物の
用途などによって任意に選択でき、特に制限されるもの
ではないが、その厚みは0.3〜3.0mm程度である
のが好ましく、0.6〜2.5mm程度であるのがより
好ましい。柔軟な風合いを有するシート状物を得るため
に、繊維質基材の見かけ密度は、通常繊維または海成分
除去後の極細繊維の場合に0.1〜0.5g/cm3
あるのが好ましく、0.15〜0.45g/cm3であ
るのがより好ましい。見かけ密度が0.5g/cm3
り大きくなると、得られるシート状物の腰がなくなった
り、ゴムの様な風合いとなる傾向がある。一方、見かけ
密度が0.1g/cm3より小さくなると、反発性およ
び腰感が劣り、天然皮革のような風合いが損なわれる傾
向がある。また、これらの繊維および繊維質基材にあら
かじめ既知の染料、顔料、撥水剤、柔軟剤、耐光安定剤
などを処理しても何ら差し支えはない。
【0034】本発明の皮革様シート状物の製造方法で
は、上記の要領で調製した感熱ゲル化性ポリウレタン系
エマルジョンを、不織布へ含浸させ、プレスロールなど
で絞るかまたはドクターナイフ等によって適量の含浸量
とした後に凝固させる。凝固方法としては、70℃以上
の熱水浴中で凝固させる方法、スチーム雰囲気下で凝固
させる方法、直接50〜150℃の熱風乾燥機中で凝固
させる方法などが挙げられ、凝固させた後に、乾燥機中
で乾燥させることにより皮革様シート状物を得ることが
できる。上記の凝固方法の中では、70℃以上の熱水浴
中で凝固させる方法またはスチーム雰囲気下で凝固させ
る方法が、伝熱速度が大きくエマルジョンを均一に瞬間
的に凝固させることができ、樹脂のマイグレーションを
より防止できる点から好ましい。含浸、凝固および乾燥
の工程で、感熱ゲル化性の感度の低いエマルジョンを使
用すると、含浸後に熱水中で凝固させる場合には凝固熱
水浴中にエマルジョンが流出し、熱風乾燥機中で凝固ま
たは乾燥させる場合にはマイグレーションの発生により
ポリウレタンを均一に付与できず、得られるシート状物
の強伸度や柔軟性等の物理的性質、風合いに著しく悪影
響を与える。
【0035】エマルジョンを含浸、凝固および乾燥させ
て得られるシート状物に付与される樹脂量は、繊維質基
材の重量に対して5〜150重量%であるのが好まし
く、10〜100重量%であるのがより好ましい。ポリ
ウレタンの付与量が5重量%未満では得られるシート状
物の充実感が不足し、皮革様の風合いが悪くなる傾向が
ある。一方150重量%を超えると、得られるシート状
物は硬くなり、皮革様の風合いが悪くなる傾向がある。
【0036】このようにして得られるシート状物は、適
度な柔軟性と充実感を有し、マットレス、鞄内張り材
料、衣料、靴用芯材、クッション地、自動車内装材、壁
材などに好適に使用することができる。さらに片面にポ
リウレタン層等を既知の方法により付与することによ
り、スポーツシューズ、紳士靴、鞄などに用いられる銀
付き人工皮革としても好適に使用することができる。ま
た繊維質基材として極細繊維からなる不織布を用いて製
造した場合は、皮革様シート状物の表面をバフィングす
ることにより家具、カーシート、衣料用途に適したスエ
ード調人工皮革として使用することができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限される
ものではない。なお、以下の実施例および比較例におい
て、ポリウレタン系エマルジョンの感熱ゲル化時間、保
存安定性、ポリウレタン系エマルジョンを50℃で乾燥
して得られるフィルムの90℃における弾性率、皮革様
シート状物の風合いおよびマイグレーションの有無の判
定は以下の方法により測定または評価した。
【0038】[感熱ゲル化時間]内径20mmの試験管
に感熱ゲル化性エマルジョンを25g秤取し、90℃の
熱風乾燥機中で静置し、1分おきに取り出してエマルジ
ョンが流動性を失いゲル状物となった時点での時間
(分)を感熱ゲル化時間とした。
【0039】[保存安定性]感熱ゲル化性エマルジョン
を25℃下に静置して、24時間放置し、エマルジョン
の流動性が損なわれていない(エマルジョンを入れた容
器を傾けて、繊維質基材へ含浸することが可能である程
度の流動性を有する)場合を「○」、ゲル化を生じてエ
マルジョンの流動性が損なわれている場合を「×」と判
定した。
【0040】[90℃における弾性率]ポリウレタン系
エマルジョンを50℃で乾燥して得られる、厚さ100
μmのフィルムを使用し、粘弾性測定装置(レオロジ社
製FTレオスペクトラーDVE−V4)を用いて周波数
11Hzで測定を行い、90℃における弾性率を求め
た。
【0041】[風合い]シート状物が天然皮革様の風合
いを有するものである場合を「○」と判定し、柔軟性不
足、または充実感不足のためシート状物が天然皮革様の
風合いを呈さない場合を「×」と判定した。
【0042】[マイグレーションの有無]シート状物の
断面を電子顕微鏡(日本電子社製JSM−T100:加
速電圧25KV)で観察し、表面部分と中央部分のポリ
ウレタン樹脂の付着状態を調べ、マイグレーションを発
生していないものを「○」マイグレーションを発生して
いるものを「×」と判定した。
【0043】以下に本実施例および比較例中で用いられ
る化合物の略号を示す。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― PMSA1850 : 数平均分子量1850のポリエステルジオール (3−メチル−1,5ペンタンジオール、および アジピン酸とセバシン酸(モル比1/3)を反応 させて製造) PHC2000 : 数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカー ボネート PTG2000 : 数平均分子量2000のポリテトラメチレングリ コール PBA1000 : 数平均分子量1000のポリブチレンアジペート TDI : 2,4−トルイレンジイソシアネート MDI : 4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート DMPA : 2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 MEK : 2−ブタノン TEA : トリエチルアミン DETA : ジエチレントリアミン IPDA : イソホロンジアミン ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0044】<繊維質基材の製造> [参考例1]高流動性のポリエチレンを40重量部とナ
イロン6を60重量部の割合で混合紡糸し、延伸して得
た繊度4デニール、長さ51mmの多成分繊維(6−ナ
イロンが極細繊維成分)を用い、カード、クロスラッパ
ー、ニードルパンチの各工程を通し、見掛密度0.16
0g/cm3の繊維絡合不織布を作成した。該不織布を
加温して、海成分のポリエチレンを溶融熱固定して、見
掛密度0.285g/cm3の両面平滑化した繊維絡合
不織布とした。以下、この不織布を不織布と称する。
【0045】[参考例2]ポリエチレンテレフタレート
70重量部と低密度ポリエチレン30重量部からなり、
島本数が15本(ポリエチレンテレフタレートが島成
分)、繊度が4デニールの海島繊維よりなる3次元絡合
不織布を、温水中で面積収縮率30%となるように収縮
させ、海成分のポリエチレンを溶融熱固定して、見掛密
度0.35g/cm3の両面平滑化した繊維絡合不織布
とした不織布を得た。以下、この不織布を不織布と称
する。
【0046】[参考例3]70℃の温水中での収縮率が
25%のポリエチレンテレフタレート繊維(単糸繊度2
デニール、長さ51mm)からカードとクロスラッパー
を用いて240g/m2のウェブを作成した。このウェ
ブをニードルロッカールームに通しニードルパンチを行
い、その後70℃の温水中に2分間浸積して元の面積の
56%に収縮させた。これをシリンダーベルト加圧機を
用い155℃で処理し、重さが360g/m2、厚さ
1.2mm、見かけ密度0.30g/cm3の不織布を
得た。この不織布にゲラネックスSH(松本油脂製薬社
製シリコーン系柔軟撥水剤)の5%水溶液を含浸し、ロ
ールで絞った後に130℃で30分間乾燥した。以下、
この不織布を不織布と称する。
【0047】[実施例1] <ポリウレタン系エマルジョンの製造>三ツ口フラスコ
に、PMSA1850を600.0g、TDIを11
4.7g、DMPAを7.95gを秤取し、乾燥窒素雰
囲気下、90℃で2時間撹拌して系中の水酸基を定量的
に反応させ、イソシアネート基末端のプレポリマーを得
た。これにMEK228.0gを加えて均一に撹拌した
後、フラスコ内温度を40℃に下げ、TEAを6.0g
を加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤として
ノニオン性界面活性剤(I)(花王製エマルゲン91
1;HLB=13.7)22.8g(ポリウレタン10
0重量部当たり3重量部)を蒸留水681.3gに溶解
した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1
分間撹拌して乳化した後、直ちにDETAを13.2
g、IPDAを10.9gを蒸留水230.0gに溶解
した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌し、鎖伸
長反応を行った。その後、MEKをロータリーエバポレ
ーターにより除去してから、蒸留水を加えて固形分40
重量%のポリウレタン系エマルジョンを得た。このポリ
ウレタン系エマルジョン80重量部に対して、蒸留水2
0重量部、感熱ゲル化剤[水: ノニオン性界面活性剤
(II)(花王製エマルゲン910;HLB=12.
2):塩化カルシウムを重量比5:4:1で混合した溶
液]4重量部(ポリウレタン100重量部当たりノニオ
ン性界面活性剤(II)5重量部に相当)を配合し、感熱
ゲル化性を有するポリウレタン系エマルジョン(以下、
PUエマルジョンと称する)を得た。PUエマルジョ
ンの感熱ゲル化時間は5分であり、24時間静置後も
流動性を有していた。このエマルジョンを乾燥して得ら
れたフィルムの90℃における弾性率は3.0×107
dyn/cm2であった。
【0048】<皮革様シート状物の作成>PUエマルジ
ョンを、不織布に浸し、プレスロールにて絞った
後、90℃の熱水浴にて1分間凝固し、さらに130℃
の熱風乾燥機中で30分間乾燥することによりシート状
物を得た。このシート状物を熱トルエン中で処理し、2
kg/cm2のプレスロールで5回絞り海成分のポリエ
チレンを除去して、ナイロン6極細繊維束繊維絡合不織
布にポリウレタン樹脂を含有した皮革様シート状物を得
た。樹脂の付着重量は、不織布繊維重量に対して54重
量%であった。このシート状物は柔軟性と充実感を有す
る天然皮革様のシート状物であった。この皮革様シート
状物にはマイグレーションが発生していないことを電子
顕微鏡観察によって確認した。
【0049】[比較例1]乳化剤としてノニオン性界面
活性剤(I)(花王製エマルゲン935;HLB=1
7.5)を用いた以外は実施例1と同様に調製したエマ
ルジョンを得た。(以下、PUエマルジョンと称す
る)このPUエマルジョンの感熱ゲル化時間は30分で
あり、24時間静置後も流動性を有していた。このエマ
ルジョンを乾燥して得られたフィルムの90℃における
弾性率は3.0×107dyn/cm2であった。このP
Uエマルジョンを用いる以外は実施例1と同様にして
シート状物を作成した。エマルジョンを含浸した不織布
を熱水浴につけたところ、エマルジョンの白濁液が浴槽
内に流出し、浴槽を汚染した。以下のトルエン抽出作業
も同じ手順で実施し、シート状物を得た。樹脂の付着重
量は不織布重量に対して48重量%であった。このシー
ト状物にはマイグレーションが発生しており、へたりを
生じた全体的にペーパーライクな充実感のないシート状
物となった。
【0050】[実施例2]三ツ口フラスコに、PHC2
000を300.0g、PTG2000を300.0
g、TDIを114.8g、DMPAを7.24gを秤
取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で2時間撹拌して系中
の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート基末端の
プレポリマーを得た。これにトルエン228.7gを加
えて均一に撹拌した後、フラスコ内温度を40℃に下
げ、TEAを5.46gを加えて10分間撹拌を行っ
た。次いで、乳化剤としてノニオン性界面活性剤(I)
(花王製エマルゲン147;HLB=16.3)30.
6g(ポリウレタン100重量部当たり4重量部)を蒸
留水684.4gに溶解した水溶液を前記プレポリマー
に加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ち
にDETAを15.0g、IPDAを12.4gを蒸留
水230.4gに溶解した水溶液を加えてホモミキサー
で1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った。その後、トルエ
ンをロータリーエバポレーターにより除去してから、蒸
留水を加えて固形分40重量%のポリウレタン系エマル
ジョンを得た。このポリウレタン系エマルジョン80重
量部に対して、感熱ゲル化剤[水: ノニオン性界面活
性剤(II)(花王製エマルゲン106;HLB=10.
5):塩化カルシウムを重量比5:4:1で混合した溶
液]6重量部(ポリウレタン100重量部当たりノニオ
ン性界面活性剤(II)6.5重量部に相当)を配合し、
感熱ゲル化性を有するポリウレタン系エマルジョン(以
下、PUエマルジョンと称する)を得た。PUエマル
ジョンの感熱ゲル化時間は7分であり、24時間静置
後も流動性を有していた。このエマルジョンを乾燥して
得られたフィルムの90℃における弾性率は4.2×1
7dyn/cm2であった。PUエマルジョンを、不
織布に浸し、プレスロールにて絞った後、90℃の熱
水浴にて1分間凝固し、さらに130℃の熱風乾燥機中
で30分間乾燥することによりシート状物を得た。この
シート状物を熱トルエン中で処理し、2kg/cm2
プレスロールで5回の絞りをはさみ海成分のポリエチレ
ンを除去して、ポリエチレンテレフタレート極細繊維束
繊維絡合不織布にポリウレタン樹脂を含有したシート状
物を得た。樹脂の付着重量は不織布繊維重量に対して4
0重量%であった。このシート状物は柔軟性と充実感を
有する天然皮革様のシート状物であった。
【0051】[比較例2]感熱ゲル化剤として、水:ノ
ニオン系界面活性剤(II)(花王製エマルゲン120;
HLB=15.3):塩化カルシウムを重量比5:4:
1で混合した溶液を4重量部(ポリウレタン100重量
部当たりノニオン性界面活性剤(II)5重量部に相当)
を配合した以外は実施例2と同様にして感熱ゲル化性エ
マルジョンを得た。(以下、PUエマルジョンと称す
る)このPUエマルジョンの感熱ゲル化時間は20分
であり、24時間静置後も流動性を有していた。このエ
マルジョンを乾燥して得られたフィルムの90℃におけ
る弾性率は4.2×107dyn/cm2であった。この
PUエマルジョンを用いる以外は実施例2と同様にし
てシート状物を作成した。エマルジョンを含浸した不織
布を熱水浴につけたところ、エマルジョンの白濁液が浴
槽内に流出し、浴槽を汚染した。以下のトルエン抽出作
業も同じ手順で実施し、シート状物を得た。樹脂の付着
重量は不織布重量に対して38重量%であった。得られ
たシート状物にはマイグレーションが発生しており、柔
軟性に劣るシート状物であった。
【0052】[比較例3]乳化剤としてノニオン性界面
活性剤(I)(花王製エマルゲン147;HLB=1
6.3)を6.12g(ポリウレタン100重量部当た
り0.8重量部)に減らして使用した以外は実施例1と
同様に調製したエマルジョンを得た。(以下、PUエマ
ルジョンと称する)このPUエマルジョンの感熱ゲ
ル化時間は3分であり、24時間静置後には流動性が失
われ、ゲル状物となっており、以後の皮革様シート状物
作製はできなかった。このエマルジョンを乾燥して得ら
れたフィルムの90℃における弾性率は4.0×107
dyn/cm2であった。
【0053】[比較例4]乳化剤としてノニオン性界面
活性剤(I)(花王製エマルゲン147;HLB=1
6.3)を68.9g(ポリウレタン100重量部当た
り9重量部)に増やして使用した以外は実施例1と同様
に調製したエマルジョンを得た。(以下、PUエマルジ
ョンと称する)PUエマルジョンの感熱ゲル化時間
は25分であり、24時間静置後も流動性を有してい
た。このエマルジョンを乾燥して得られたフィルムの9
0℃における弾性率は4.2×107dyn/cm2であ
った。このPUエマルジョンを用いる以外は実施例2
と同様にしてシート状物を作成した。エマルジョンを含
浸した不織布を熱水浴につけたところ、エマルジョンの
白濁液が少量ながら浴槽内に流出し、浴槽を汚染した。
樹脂の付着重量は不織布重量に対して38重量%であっ
た。このシート状物は柔軟性は良好だが、折れシワが不
良で、充実感に劣るシート状物であった。電子顕微鏡で
観察すると明らかにマイグレーションを引き起こしてい
た。
【0054】[実施例3]三ツ口フラスコに、PBA1
000を500.0g、TDIを142.3g、DMP
Aを6.93gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で
2時間撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソ
シアネート基末端のプレポリマーを得た。これにMEK
206.2gを加えて均一に撹拌した後、フラスコ内温
度を40℃に下げ、TEAを5.23gを加えて10分
間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてノニオン性界面
活性剤(I)(花王製エマルゲン930;HLB=1
5.1)20.6g(ポリウレタン100重量部当たり
3重量部)を蒸留水617.1gに溶解した水溶液を前
記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳
化した後、直ちにDETAを13.4g、IPDAを1
1.1gを蒸留水207.5gに溶解した水溶液を加え
てホモミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った。
その後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去
してから、蒸留水を加えて固形分40重量%のポリウレ
タン系エマルジョンを得た。このポリウレタン系エマル
ジョン80重量部に対して、感熱ゲル化剤[水:ノニオ
ン性界面活性剤(II)(花王製エマルゲン910;HL
B=12.2):塩化カルシウムを重量比5:4:1で
混合した溶液]5重量部(ポリウレタン100重量部当
たりノニオン性界面活性剤(II)6.3重量部に相当)
を配合し、感熱ゲル化性を有するポリウレタン系エマル
ジョン(以下、PUエマルジョンと称する)を得た。
PUエマルジョンの感熱ゲル化時間は6分であり、2
4時間静置後も流動性を有していた。このエマルジョン
を乾燥して得られたフィルムの90℃における弾性率は
2.5×107dyn/cm2であった。PUエマルジョ
ンを、不織布に浸し、プレスロールにて絞った後、
0.5kg/cm2の圧力のスチーム雰囲気下で1分間
凝固処理を行った後、130℃の熱風乾燥機中で30分
間乾燥することによりシート状物を得た。ポリウレタン
樹脂の付着重量は不織布重量に対して43重量%であっ
た。このシート状物にマイグレーションは発生しておら
ず、柔軟性と充実感を有する天然皮革様のシート状物で
あった。
【0055】[比較例5]乳化剤としてノニオン性界面
活性剤(I)(花王製エマルゲン909;HLB=1
2.4)を20.6g(ポリウレタン100重量部当た
り3重量部)を使用した以外は実施例3と同様に調製し
たエマルジョンを得た。(以下、PUエマルジョンと
称する)このPUエマルジョンの感熱ゲル化時間は2分
であり、24時間静置後には流動性が失われ、ゲル状物
となっており、以後の皮革様シート状物の作製はできな
かった。このエマルジョンを乾燥して得られたフィルム
の90℃における弾性率は2.5×107dyn/cm2
であった。
【0056】[比較例6]感熱ゲル化剤として、水:
ノニオン系界面活性剤(II)(花王製エマルゲン90
5;HLB=9.2):塩化カルシウムを重量比5:
4:1で混合した溶液を10重量部(ポリウレタン10
0重量部当たり界面活性剤(II)12.6重量部に相
当)を配合した以外は実施例3と同様にして感熱ゲル化
性エマルジョンを得た。(以下、PUエマルジョンと
称する)このPUエマルジョンの感熱ゲル化時間は1分
であり、24時間静置後には流動性が失われ、ゲル状物
となっており、以後の皮革様シート状物作製はできなか
った。このエマルジョンを乾燥して得られたフィルムの
90℃における弾性率は2.5×107dyn/cm2
あった。
【0057】[実施例4]三ツ口フラスコに、PHC2
000を238.5g、PMSA1850を238.5
g、MDIを200.0g、DMPAを8.05gを秤
取し、乾燥窒素雰囲気下、70℃で2時間撹拌して系中
の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート基末端の
プレポリマーを得た。これにトルエン224.1gを加
えて均一に撹拌した後、フラスコ内温度を40℃に下
げ、TEAを6.07gを加えて10分間撹拌を行っ
た。次いで、乳化剤としてノニオン性界面活性剤(I)
(花王製エマルゲン123P;HLB=16.9)3
0.0g(ポリウレタン100重量部当たり4.3重量
部)を蒸留水675gに溶解した水溶液を前記プレポリ
マーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、
直ちにDETAを14.41g、IPDAを43.60
gを蒸留水221.4gに溶解した水溶液を加えてホモ
ミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った。その
後、トルエンと水をロータリーエバポレーターにより除
去した後、蒸留水を加えて固形分40重量%のポリウレ
タン系エマルジョンを得た。このポリウレタン系エマル
ジョン80重量部に対して、蒸留水20重量部、感熱ゲ
ル化剤[水:ノニオン系界面活性剤(II)(花王製エマ
ルゲン105;HLB=9.7)を重量比5:5で混合
した溶液]6重量部(ポリウレタン100重量部当たり
ノニオン性界面活性剤(II)9.4重量部に相当)を配
合し感熱ゲル化性を有するポリウレタン系エマルジョン
を得た。(以下、PUエマルジョン−10と称する)こ
のPUエマルジョンの感熱ゲル化時間は10分であり、
24時間静置後も流動性を有していた。このエマルジョ
ンを乾燥して得られたフィルムの90℃における弾性率
は3.0×108dyn/cm2であった。繊度2.5デ
ニールの通常ポリエステル繊維と繊度1.5デニールの
ナイロン繊維の比率が35/65(重量比)である、厚
み1.4mm、密度0.25である絡合不織布をこのP
Uエマルジョンに浸し、プレスロールにて絞った後、1
30℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥することによりシ
ート状物を得た。ポリウレタン樹脂の付着重量は不織布
重量に対して30重量%であった。このシート状物はマ
イグレーションを発生しておらず、柔軟性と充実感を有
する天然皮革様のシート状物であった。
【0058】[比較例7]感熱ゲル化剤として、水:ノ
ニオン系界面活性剤(II)(花王製エマルゲン105;
HLB=9.7)を重量比5:5で混合した溶液を10
重量部(ポリウレタン100重量部当たりノニオン性界
面活性剤15重量部に相当)を配合した以外は実施例4
と同様にして感熱ゲル化性エマルジョンを得た。(以
下、PUエマルジョン−11と称する)このPUエマル
ジョンの感熱ゲル化時間は3分であり、24時間静置後
には流動性が失われ、ゲル状物となっており、以後の皮
革様シート状物の作製はできなかった。このエマルジョ
ンを乾燥して得られたフィルムの90℃における弾性率
は3.2×108dyn/cm2であった。
【0059】[比較例8]感熱ゲル化剤として、水:ノ
ニオン系界面活性剤(II)(花王製エマルゲン105;
HLB=9.7)を重量比5:5で混合した溶液を0.
47重量部(ポリウレタン100重量部当たりノニオン
性界面活性剤(II)0.7重量部に相当)を配合した以
外は実施例4と同様にして感熱ゲル化性エマルジョンを
得た。(以下、PUエマルジョン−12と称する)この
PUエマルジョンの感熱ゲル化時間は28分であり、2
4時間静置後も流動性を有していた。このエマルジョン
を乾燥して得られたフィルムの90℃における弾性率は
3.0×108dyn/cm2であった。このPUエマル
ジョンを用いる以外は実施例4と同様にしてシート状物
を作成した。樹脂の付着重量は不織布重量に対して29
重量%であった。このシート状物は折れシワが不良で、
充実感に劣るシート状物であった。電子顕微鏡で観察す
ると明らかにマイグレーションを引き起こしていた。
【0060】
【表1】
【0061】表1の実施例1〜4からわかるように、本
発明の感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンは、当
該測定方法におけるゲル化時間が適切な範囲内にあって
優れた感熱ゲル化性を有している上に、保存安定性にも
優れている。また、このエマルジョンを用いて製造され
た皮革様シート状物は、ポリウレタン樹脂のマイグレー
ションが発生しておらず、優れた風合いを有している。
これに対して、ノニオン性界面活性剤(I)のHLBが
高い比較例1および含有量の多い比較例4のエマルジョ
ン、並びにノニオン性界面活性剤(II)のHLBが高い
比較例2および含有量の少ない比較例8のエマルジョン
は、ゲル化時間が長く感熱ゲル化性に劣り、得られるシ
ート状物にはマイグレーションが発生し風合いが劣って
いる。さらに、ノニオン性界面活性剤(I)のHLBが
低い比較例5および含有量の少ない比較例3のエマルジ
ョン、並びにノニオン性界面活性剤(II)の含有量の多
い比較例6および7のエマルジョンは、当該測定方法に
おけるゲル化時間が短すぎて保存安定性に劣り、シート
状物を製造できなかった。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、従来にない優れた感熱
ゲル化性と保存安定性を有するポリウレタン系エマルジ
ョンが提供され、このエマルジョンを用いて、マイグレ
ーションの発生のない優れた風合いの皮革様シート状物
を製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン100重量部、HLBが1
    3.0〜17.0の範囲内であるノニオン性界面活性剤
    (I)1〜5重量部、HLBが8.0〜15.0の範囲
    内でありかつノニオン性界面活性剤(I)よりもHLB
    が低いノニオン性界面活性剤(II)1〜10重量部およ
    び水性媒体からなる感熱ゲル化性ポリウレタン系エマル
    ジョン。
  2. 【請求項2】 50℃で乾燥して得られる厚さ100μ
    mのフィルムの90℃における弾性率が、2.0×10
    7〜5.0×108dyn/cm2であることを特徴とす
    る請求項1に記載の感熱ゲル化性ポリウレタン系エマル
    ジョン。
  3. 【請求項3】 高分子ポリオール、ジイソシアネートお
    よび鎖伸長剤から構成されるポリウレタンを水性媒体中
    に分散させた感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョン
    を製造するに際し、 (1)高分子ポリオール、ジイソシアネートおよび必要
    に応じて鎖伸長剤を反応させてイソシアネート基を有す
    るポリウレタンプレポリマーを製造し; (2)ポリウレタンプレポリマーを、HLBが13.0
    〜17.0の範囲内であるノニオン性界面活性剤(I)
    を高分子ポリオール、ジイソシアネートおよび鎖伸長剤
    の合計100重量部に対し1〜5重量部の割合で用いて
    水性媒体中に乳化させ; (3)得られたエマルジョン中のポリウレタンプレポリ
    マーと鎖伸長剤を反応させた後; (4)HLBが8.0〜15.0の範囲内でありかつノ
    ニオン性界面活性剤(I)よりもHLBが低いノニオン
    性界面活性剤(II)を、高分子ポリオール、ジイソシア
    ネートおよび鎖伸長剤の合計100重量部に対し1〜1
    0重量部の割合で配合する;ことを特徴とする感熱ゲル
    化性ポリウレタン系エマルジョンの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の感熱ゲル化性
    ポリウレタン系エマルジョンを繊維質基材に含浸し、凝
    固させることを特徴とする皮革様シート状物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョ
    ンを、70℃以上の熱水中で凝固させるかまたはスチー
    ム雰囲気下で凝固させることを特徴とする請求項4に記
    載の皮革様シート状物の製造方法。
JP10267650A 1998-09-22 1998-09-22 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンおよびその製造方法 Pending JP2000096457A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10267650A JP2000096457A (ja) 1998-09-22 1998-09-22 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10267650A JP2000096457A (ja) 1998-09-22 1998-09-22 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000096457A true JP2000096457A (ja) 2000-04-04

Family

ID=17447637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10267650A Pending JP2000096457A (ja) 1998-09-22 1998-09-22 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000096457A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001354847A (ja) * 2000-06-14 2001-12-25 Asahi Denka Kogyo Kk ノニオン性水分散型ポリウレタン組成物
JP2006511727A (ja) * 2002-12-20 2006-04-06 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 合成皮革を製造するための方法及びそれから製造した合成皮革
WO2010095665A1 (ja) * 2009-02-18 2010-08-26 東ソー株式会社 水性ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたフィルム成型体
JP2010189556A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Tosoh Corp 水性ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたフィルム成型体
WO2015033732A1 (ja) * 2013-09-06 2015-03-12 Dic株式会社 ウレタン樹脂組成物、皮革様シート及び皮革様シートの製造方法
CN108468228A (zh) * 2018-04-20 2018-08-31 齐鲁工业大学 一种牛毛粉末填料改性油性聚氨酯湿法贝斯的制备方法
US10519596B2 (en) 2015-03-03 2019-12-31 Dic Corporation Method for producing leather-like sheet
CN112695516A (zh) * 2021-01-12 2021-04-23 禾欣可乐丽超纤(海盐)有限公司 一种仿生性水性超纤基布的制备方法
JPWO2022097332A1 (ja) * 2020-11-05 2022-05-12

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001354847A (ja) * 2000-06-14 2001-12-25 Asahi Denka Kogyo Kk ノニオン性水分散型ポリウレタン組成物
JP2006511727A (ja) * 2002-12-20 2006-04-06 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 合成皮革を製造するための方法及びそれから製造した合成皮革
WO2010095665A1 (ja) * 2009-02-18 2010-08-26 東ソー株式会社 水性ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたフィルム成型体
JP2010189556A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Tosoh Corp 水性ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたフィルム成型体
CN105518075A (zh) * 2013-09-06 2016-04-20 Dic株式会社 氨基甲酸酯树脂组合物、皮革样片材及皮革样片材的制造方法
JP5858314B2 (ja) * 2013-09-06 2016-02-10 Dic株式会社 皮革様シート
WO2015033732A1 (ja) * 2013-09-06 2015-03-12 Dic株式会社 ウレタン樹脂組成物、皮革様シート及び皮革様シートの製造方法
US10385505B2 (en) 2013-09-06 2019-08-20 Dic Corporation Urethane resin composition, leather-like sheet, and method for producing the leather-like sheet
US10519596B2 (en) 2015-03-03 2019-12-31 Dic Corporation Method for producing leather-like sheet
CN108468228A (zh) * 2018-04-20 2018-08-31 齐鲁工业大学 一种牛毛粉末填料改性油性聚氨酯湿法贝斯的制备方法
JPWO2022097332A1 (ja) * 2020-11-05 2022-05-12
JP7205666B2 (ja) 2020-11-05 2023-01-17 Dic株式会社 積層体、及び、合成皮革
CN112695516A (zh) * 2021-01-12 2021-04-23 禾欣可乐丽超纤(海盐)有限公司 一种仿生性水性超纤基布的制备方法
CN112695516B (zh) * 2021-01-12 2023-06-02 禾欣可乐丽超纤(海盐)有限公司 一种仿生性水性超纤基布的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6551227B2 (ja) シート状物およびその製造方法
DE69925334T2 (de) Verfahren zur Herstellung von lederartigem Bahnenmaterial
WO2015115290A1 (ja) シート状物およびその製造方法
JP7226435B2 (ja) シート状物およびその製造方法
JP4204711B2 (ja) 皮革様シートの製造方法
JP2014065980A (ja) 皮革様シートおよび皮革様シートの製造方法
JP2000096457A (ja) 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョンおよびその製造方法
JP2000345026A (ja) 感熱ゲル化性ポリウレタン系エマルジョン
JP2931382B2 (ja) ポリウレタンおよびそれを用いた皮革様複合シート状物
JP2004143641A (ja) 皮革様シート材料
JP4146035B2 (ja) 皮革様シート状物の製造方法
JP3940013B2 (ja) 皮革様シート材料
JP4025425B2 (ja) 皮革様シート状物の製造方法
JP4346766B2 (ja) 皮革様シートおよびその製造方法
JP3967629B2 (ja) 皮革様シート材料
JP4145434B2 (ja) 皮革様シートおよびその製造方法
JP2000265052A (ja) ポリウレタンエマルジョンおよびそれを用いて製造される皮革様シート状物
JP3147324B2 (ja) 半銀付調の外観を有するシート状物およびその製造方法
JP4074377B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP2012017541A (ja) 銀付調人工皮革
JP2001081678A (ja) 皮革様シート基体の製造方法
JP3967486B2 (ja) ランドセル用に適した人工皮革
JP4190651B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP2014065979A (ja) 皮革様シートおよび皮革様シートの製造方法
WO2022097579A1 (ja) 立毛人工皮革