JP2004324012A - 皮革様シート状物の製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004324012A
JP2004324012A JP2003121348A JP2003121348A JP2004324012A JP 2004324012 A JP2004324012 A JP 2004324012A JP 2003121348 A JP2003121348 A JP 2003121348A JP 2003121348 A JP2003121348 A JP 2003121348A JP 2004324012 A JP2004324012 A JP 2004324012A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicone
sheet
leather
fiber
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003121348A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4242693B2 (ja
Inventor
Hitoshi Ono
均 小野
Masayoshi Kikuchi
正芳 菊池
Satoshi Maeda
諭志 前田
Nobuo Okawa
信夫 大川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Techno Products Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Techno Products Ltd filed Critical Teijin Techno Products Ltd
Priority to JP2003121348A priority Critical patent/JP4242693B2/ja
Publication of JP2004324012A publication Critical patent/JP2004324012A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4242693B2 publication Critical patent/JP4242693B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】柔軟性と腰の強さに優れ、低反発性でありながら腰が有り、重厚感と柔軟性に優れた加脂効果が得られる天然皮革ライクな皮革様シート状物の製造法を提供することにある。
【解決手段】極細繊維からなる繊維質基材に、ジメチルポリシロキサン:アミノ変性シリコーンの比率が1:9〜9:1であるシリコーンオイルと、シリコーンレジンとの比率が1:3〜3:1であるシリコーン含有処理液を付与し、次いで高分子弾性体エマルジョンを含浸、凝固させることを特徴とする製造方法。さらには該極細繊維が、剥離分割型複合繊維を分割して得られる繊度0.5dtex以下のものであることや、該繊維質基材重量に対し、該シリコーン含有処理液中の有効成分の付着量が5〜30重量%であり、かつ該高分子弾性体の付着量が5〜50重量%であることが好ましい。
【効果】柔軟性と腰の強さの特性を同時に有する、低反発性でありながら腰が有り、重厚感と柔軟性に優れた皮革様シート状物の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮革様シート状物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは低反発性でありながら腰が有り、重厚感、柔軟性に優れた皮革様シート状物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、天然皮革代替物としての皮革様シート状物は、軽さ、イージーケアー、低価格などの特徴が消費者に認められ、衣料、一般資材およびスポーツ分野などに幅広く利用されるようになっている。そして一般的な製造方法としては、繊維質基材に高分子弾性体の有機溶剤溶液を含浸し湿式凝固させるプロセスであり、このときの高分子弾性体としては、DMFなどの良溶剤で溶解された有機溶剤系のポリウレタンが多く用いられている。
【0003】
一方、最近では環境問題を考慮した製法として有機溶剤系では無く水系の高分子弾性体による皮革様シート状物が注目を浴びている。しかし、従来の水系高分子弾性体によって得られた皮革様シート状物は、ドレープ性、低反発性といった特性において十分な水準には至っておらず、人工皮革としては不十分なものであった。特に腰の強さを出すために高分子弾性体の含浸量を増加させた場合、座屈性や折れ皺が大きいという問題があった。
【0004】
その問題を解決するために、例えば乾燥時の熱によって凝固させる感熱凝固法の検討がなされてきており、特許文献1では不織布の収縮と高分子弾性体エマルジョンの感熱凝固を同時に行わせることにより柔軟性と腰の強さの有る皮革様シート状物の製造方法が開示されている。しかしこの皮革様シート状物は、天然皮革に比べると重厚感が無く、高級感にも劣るという問題があった。
【0005】
そこで、天然皮革で用いられている加脂剤を人工の皮革様シート状物に適用することが考えられるが、繊維のみからなる天然皮革と異なり、繊維に高分子弾性体を含浸している皮革様シート状物に対しては、加脂効果が得られるようにするには大量に加脂剤を付着させなければならず、一時的な風合いこそ重厚感が出るものの、使用するに従って加脂剤が染み出て風合いが低下し、さらには手が汚れるなどの問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−279579号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の有する問題点を鑑みなされたもので、その目的は、柔軟性と腰の強さの特性に優れ、低反発性でありながら腰が有り、重厚感と柔軟性に優れた加脂効果が得られる天然皮革ライクな皮革様シート状物の製造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の皮革様シート状物の製造方法は、極細繊維からなる繊維質基材に、ジメチルポリシロキサン:アミノ変性シリコーンの比率が1:9〜9:1であるシリコーンオイルと、シリコーンレジンとの比率が1:3〜3:1であるシリコーン含有処理液を付与し、次いで高分子弾性体エマルジョンを含浸、凝固させることを特徴とする。さらには該極細繊維が、剥離分割型複合繊維を分割して得られる繊度0.5dtex以下のものであることや、該繊維質基材重量に対し、該シリコーン含有処理液中の有効成分の付着量が5〜30重量%であり、かつ該高分子弾性体の付着量が5〜50重量%であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる極細繊維としては0.5dtex以下であることが好ましく、さらには0.001〜0.3dtexであることが好ましい。また本発明の繊維質基材を作成するための繊維としては、繊維質基材となったときに最終的に上記のような極細繊維となる繊維であれば特に制限は無く、そのような極細化前の繊維としては海島型の混合紡糸繊維、複合紡糸繊維などいずれもが適用できるが、特に好ましくは剥離分割型複合繊維であることである。
【0010】
本発明で用いられるこのような繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリオレフィンなどの従来公知の繊維形成可能な合成樹脂の一種、あるいは二種以上の樹脂からなる合成繊維が使用出来る。この中でも、ポリエステル、ポリアミドまたはポリエステル/ポリアミドからなるものを用いることが特に好ましい。繊維となるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどがあげられ、ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12などがあげられる。中でもポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6などが、工程安定性やコスト面から好ましい。
【0011】
また、本発明では、極細化前の繊維でシートを作成し、極細化処理を経て繊維質基材とすることが好ましい。さらにこのときシートを構成する極細化前の繊維には熱収縮性繊維が含まれていることが好ましい。シート形状とした後で熱により繊維を収縮させることにより、高分子弾性体の含浸前に繊維の密度を高くでき、風合いが向上する。このような熱収縮性繊維としては、特に好ましくは収縮応力が大きい高収縮ポリエステル系繊維である。例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする繊維形成性ポリマーを紡糸した後、温水中で低倍率延伸して得られる熱収縮性繊維などである。さらに、該熱収縮性繊維は延伸条件などの制御により50℃以上100℃以下で収縮特性を発現するものが好ましい。50℃より低い温度で特性を発現するものは品質のバラツキの要因になり、100℃より高い温度で特性を発現するものは、多くの熱量を必要し生産性が悪くなる。シートとした後、繊維質基材となるまでの収縮率は5〜50%、特には20〜40%であることが好ましい。
【0012】
また、最も好ましくはシートを構成する繊維が、熱収縮性繊維から構成され、さらに2種以上の単繊維に分割可能な複合繊維であることである。このように該複合繊維を分割して発生するそれぞれの単繊維の熱収縮性が互いに異なる場合は、収縮処理時に複合繊維の分割がさらにすすみ、より緻密でかつ均質な構造を得ることが出来る。例えば、熱収縮性の高いポリエステル系繊維と熱収縮性の低いポリアミド系繊維とに、最終的に分割、極細繊維化される剥離分割型複合繊維などが好ましい。
【0013】
これらの繊維からなるシートとしては不織布であることがもっとも好ましい。このような不織布を形成する方法は、短繊維からのカーディング、交絡処理による方法、あるいは長繊維のダイレクトシート化、交絡処理による方法などの従来から公知の方法が採用できる。さらに緻密でかつ均質な繊維質基材を得るためには、極細繊維化される剥離分割型複合繊維を用い、高圧水流により絡合させる方法が好ましい。
【0014】
本発明においては、該繊維質基材をシリコーンオイルとシリコーンレジンの比率が1:3〜3:1、好ましくは2:3〜3:2であるシリコーン含有処理液で処理する必要がある。このように、シリコーンレジンを処理液中に含有させることにより、最終的に得られる皮革様シート状物に、染み出しの少ない加脂効果を得ることができる。
【0015】
なお、上記処理液中のシリコーンオイルは、ジメチルポリシロキサンとアミノ変性シリコーンとを含有し、その重量比率が1:9〜9:1、好ましくは4:6〜8:2であることが必要である。さらには、本発明の製造方法では、上記の処理液を付着した後に乾燥処理することが好ましい。本発明ではこれらシリコーン成分を含むことにより、後述する高分子弾性体の含浸前に極細繊維間に働くことにより、わずかな添加量で加脂効果を得ることができ、さらには特にアミノ変性シリコーンオイルを含むために脱着が防止されるので、長期にわたって高品質が継続し、また加脂剤の外部付着による汚れも発生しない。また、ジメチルポリシロキサンとしてはジメチルシリコーンやジメチルハイドロジエンシリコーンなどが好ましい。このようなジメチルポリシロキサンで処理することにより、繊維に対する高分子弾性体の接着が防止され、より柔軟な構造とすることができる。
【0016】
本発明の製造方法における、好ましいシリコーン含有処理液中の有効成分の付着量としては、該繊維質基材重量に対し5〜30重量%、さらに好ましくは7〜15重量%であることである。ここでシリコーン含有処理液中の有効成分とは、乾燥後にオイル状、固体となっている成分の合計量をいう。
【0017】
処理方法としては、濃度2〜10重量%に水で希釈し調製したシリコーン含有処理液を繊維質基材に含浸し、ニップロールで絞り付着量をコントロールし、次いで乾燥させることによって得ることができる。乾燥方法は熱風乾燥でも良いが、加熱ロールに接触させて乾燥させることがより好ましい。加熱ロールを用いることにより、乾燥効率が向上するばかりか表面の平滑性をも同時に得ることができる。さらに熱ロールに接触した繊維密度の高い部分により多くのシリコーン成分が付着するために、風合い的にも有効である。また本発明では樹脂の含浸前にシリコーン含有処理液を処理するので、加脂としては少ない付着量であるにも係わらず高い効果が得られ、かつ最終的に得られる皮革様シート状物からの脱落が非常に少ない。
【0018】
本発明の製造方法では、このように処理された繊維質基材に高分子弾性体エマルジョンを含浸、凝固させる。
本発明で用いる高分子弾性体エマルジョンとしては、水の除去後にエラストマー性を示すものであればいずれでも良く、例えばポリウレタンエマルジョン、NBRエマルジョン、SBRエマルジョン、アクリルエマルジョン等の高分子弾性体エマルジョンがあげられる。中でもポリウレタンエマルジョンが柔軟性、強度、耐候性などの点から好ましい。これらの高分子弾性体エマルジョンは単独で使用しても、複数を併用して使用してもよい。エマルジョン系の高分子弾性体は粒子状に凝固し表面積が大きくなる傾向にあるため、本発明のジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、シリコーンレジンを含有するシリコーン処理剤の効果がより発揮され強い加脂効果が得られる。
【0019】
本発明においては、該高分子弾性体エマルジョンが感熱凝固特性を有していることが好ましい。その場合高分子弾性体エマルジョンの凝固特性が発現する温度は30℃以上90℃以下が好ましく、さらには50℃以上80℃以下で凝固特性を発現するものが好ましい。高分子弾性体エマルジョンの凝固特性が発現する温度とは、種々の添加剤を配合したエマルジョンを攪拌しながら昇温した時に、エマルジョンが流動性を失い凝固する温度である。感熱凝固を起こすことにより乾燥時のマイグレーションを防止し、シート状物がダンボール構造となることを防止することができる。
【0020】
また上記エマルジョンの耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の各種耐久性を改善する目的で酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等の安定剤や、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、ポリカルボジイミド化合物等の架橋剤を配合して使用することもできる。さらに、着色を目的として水溶性あるいは水分散性の各種無機、有機顔料を配合することができる。
【0021】
本発明の高分子弾性体エマルジョンの不織布への含浸方法は、通常行われる方法であればいずれでも良く、例えばマングルによる含浸法、コーティング法、スプレー法等が挙げられる。高分子弾性体の付着量(固形分)は、目的に応じて任意の値が採用されるが、好ましくは、不織布100重量部に対し5〜50重量%である。さらには25重量%以下であることが好ましい。高分子弾性体付着量(固形分)が5重量%未満では得られるシートの充実感が低下する傾向がある。一方50重量%を越えると、シリコーンの効果が減少し、得られるシートの重厚感や皮革様の風合いが低下する傾向がある。
【0022】
本発明での凝固処理としては、高温多湿雰囲気下での感熱凝固であることが好ましい。その場合の処理温度は、高分子弾性体エマルジョンの感熱凝固温度以上であることが好ましく、50℃以上180℃以下が好ましいが、より安定的に生産を行うためには感熱ゲル化温度の10℃以上とするのがさらに好ましい。また相対湿度は80%以上であることが好ましく、さらには100%に近づく程表面からの乾燥が抑えられ好ましい。処理時間は、通常数秒〜数分間である。
【0023】
本発明で得られるシート状物は、見掛け密度の高い皮革様シート状物であることが好ましく見掛け密度は0.20g/cm以上0.50g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.25g/cm以上0.45g/cm以下である。
【0024】
更に収縮・凝固後の処理として上記方法で得られた繊維複合シートを熱水により洗浄抽出することが好ましい。
【0025】
本発明の方法により得られた皮革様シート状物は、最後に乾燥させる。その方法としては、例えば熱風加熱、赤外線加熱、シリンダー加熱等任意の乾燥方法が可能であるが、一般的にはコスト面から熱風加熱が行われる。乾燥温度は好ましくは80℃以上180℃以下で行う。
【0026】
このようにして本発明の製造方法で得られた皮革様シート状物は、曲げ圧縮応力を曲げ硬さで除して得られる皮革ライク指数が50〜100であることが好ましい。皮革ライク指数は、この数値が大きいほどソフト性に富み、腰の強さが大きいことを意味しており、皮革ライク指数が大きいことは天然皮革の性格により近いことを示すものである。この値は、各高分子弾性体のモジュラスや、基材中の繊維と高分子弾性体との割合や接合状態を調整することにより達成される。
【0027】
本発明により得られる皮革様シート状物は柔軟性と腰の強さを同時に有し、重厚感、柔軟性に優れた加脂効果が得られ、人工皮革用基材として好適に使用することができる。例えばこのようにして得られた皮革様シート状物の表面をバッフィングすることによりスエード調の人工皮革が得られ、また上記シートの片面に既知の方法によりポリウレタンなどの弾性ポリマー樹脂層を形成することにより銀面調の人工皮革が得られる。必要により、柔軟化のためのもみ処理や着色処理を行ってもよい。このようにして得られた人工皮革は靴、ボール、衣料、家具などのさまざまな用途に用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中の各測定値は次の方法により測定した。
【0029】
(1)厚さ
スプリング式ダイアルゲージ(荷重1.18N/cm)にて測定した。
【0030】
(2)重量
10cm×10cmに切断した試験片を、精密天秤にて測定した。
【0031】
(3)20%伸長応力/切断応力/切断伸度
皮革様シート状物から採取したテストピースを、恒速伸長試験器で伸長試験し20%伸長時と破断時の荷重の値で示す。また、破断時の伸びも測定する。テストピースはJIS−K−6550 5−2−1に準拠した。
【0032】
(4)剥離強力
幅2.5cm×長さ15cmのテストピースに、同じサイズの平織り布をはりあわせたPVCシートをウレタン系接着剤で接着する。このテストピースに2cm間隔で5区間の印をつけ、恒速引張試験器で50mm/minの速度で剥離試験を行う。この時の剥離強力を記録計に記し2cm間隔の5区間のそれぞれの部分の最小値を読み、その5点の平均値を幅1cmあたりに換算して表示した。
【0033】
(5)皮革ライク性(P5/RB)
天然皮革の特徴として、その構造の緻密性と均一性によってもたらされる柔らかくて腰が強い点があげられ、この指標として(曲げ圧縮応力)/(曲げ硬さ)を皮革ライク性として表す。曲げ圧縮応力、曲げ硬さは下記(2)(3)のようにして測定した。
【0034】
(6)曲げ硬さ(RB)
25mm×90mmの試験片を、一方の端部から20mmの位置で固定具に把持する。試験片他端より20mmの位置で、曲率半径20mmで90度折り曲げ、折り曲げてから5分後の反発力を測定し、幅1cm当たりに換算して曲げ硬さ(柔軟度)として単位はmN/cmとした。
【0035】
(7)曲げ圧縮応力(P5)
2.5cm×9.0cmの試験片を一方の端より30mmの位置で折り曲げて、20mmの間隔にセットされた平板とUゲージの測定板との間に固定する。次いでUゲージの測定板を10mm/分の速度で平板と水平に下方へ移動させて試験片を圧縮し、平板とUゲージとの間隔が5mmとなった時の応力を記録計より読み取り、幅1cm当たりの応力に換算して曲げ圧縮応力(腰の強さ)とした。単位はmN/cmとした。
【0036】
[実施例1]
第1成分として収縮特性を有するポリエチレンテレフタレート、第2成分をナイロン−6とする16分割歯車型の断面を有する親糸繊度4.4dtexの剥離分割型複合繊維を、ニードルパンチと高圧水流交絡処理により、繊維の絡合と分割処理を行い厚さ1.05mm、目付け220g/mの不織布とし、次いでこの分割処理後の不織布を75℃の温水槽中に30秒間浸漬し、第1成分のポリエチレンテレフタレート繊維を収縮させ、全体の面積を21%収縮させて乾燥した繊維集合体である収縮不織布を得た。厚さは1.02mm、目付は280g/mであった。
【0037】
次いで該収縮不織布にシリコーンオイルと、シリコーンレジンとの比率が1:1であり、該シリコーンオイル中のジメチルシリコーンと、アミノ変性シリコーンとが1:1である、水で希釈し濃度5%としたシリコーン含有処理液を含浸させ、ニップロールにより含水率200%に絞り温度120℃の加熱ロールにてドラム乾燥させた。
【0038】
この処理済の収縮不織布に、感熱凝固型水系ポリウレタン分散液(固形分濃度8%、感熱凝固温度75℃)を含浸させ、表面の余分な分散液を掻き落として、温度97℃、飽和水蒸気雰囲気下で1分間かけてポリウレタンの凝固を行い、さらに30℃の水バス中で1分間洗浄後、130℃の熱風乾燥機で乾燥させた。得られた皮革様シート状物の厚さ1.00mm、見掛け密度0.36g/cmであり、繊維:ジメチルシリコーン:アミノ変性シリコーン:シリコーンレジン:高分子重合体の比率は重量で100:2.5:2.5:5:20であった。このものの風合いは低反発性でありながら腰が有り、重厚感、柔軟性に優れたものであった。また、オイルの染み出しも無く長期の安定性にも優れていた。このものの物性を表1に示す。
【0039】
[比較例1]
実施例1のシリコーンオイルとシリコーンレジンとの濃度5%のシリコーン含有処理液の代わりに、シリコーンレジン成分を含まない、ジメチルシリコーンとアミノ変性シリコーンのみからなる濃度2.5%の処理液を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0040】
得られた皮革様シート状物の繊維:ジメチルシリコーン:アミノ変性シリコーンオイル:高分子重合体の比率は重量で100:2.5:2.5:20であった。このものの物性を表1に併せて示す。
【0041】
[比較例2]
比較例1の乾熱凝固型水系ポリウレタンの付着量を増加させた以外は比較例1と同様に行った。
【0042】
得られた皮革様シート状物の繊維:ジメチルシリコーン:アミノ変性シリコーンオイル:高分子重合体の比率は重量で100:2.5:2.5:27であった。曲げ圧縮応力が増加したものの、曲げ硬さも増加したために、皮革ライク指数は40と低いものであった。このものの物性を表1に併せて示す。
【0043】
【表1】
Figure 2004324012
【0044】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、柔軟性と腰の強さの特性に優れ、低反発性でありながら腰が有り、重厚感と柔軟性に優れた加脂効果が得られる天然皮革ライクな皮革様シート状物の製造方法である。そしてこの製造方法によって得られた皮革様シート状物は天然皮革代替物として好適なものである。

Claims (3)

  1. 極細繊維からなる繊維質基材に、ジメチルポリシロキサン:アミノ変性シリコーンの比率が1:9〜9:1であるシリコーンオイルと、シリコーンレジンとの比率が1:3〜3:1であるシリコーン含有処理液を付与し、次いで高分子弾性体エマルジョンを含浸、凝固させることを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  2. 該極細繊維が、剥離分割型複合繊維を分割して得られる繊度0.5dtex以下のものである請求項1記載の皮革様シート状物の製造方法。
  3. 繊維質基材重量に対し、該シリコーン含有処理液中の有効成分の付着量が5〜30重量%であり、かつ該高分子弾性体の付着量が5〜50重量%である請求項1または2に記載の皮革様シート状物の製造方法。
JP2003121348A 2003-04-25 2003-04-25 皮革様シート状物の製造方法 Expired - Lifetime JP4242693B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003121348A JP4242693B2 (ja) 2003-04-25 2003-04-25 皮革様シート状物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003121348A JP4242693B2 (ja) 2003-04-25 2003-04-25 皮革様シート状物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004324012A true JP2004324012A (ja) 2004-11-18
JP4242693B2 JP4242693B2 (ja) 2009-03-25

Family

ID=33499951

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003121348A Expired - Lifetime JP4242693B2 (ja) 2003-04-25 2003-04-25 皮革様シート状物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4242693B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008069481A (ja) * 2006-09-14 2008-03-27 Teijin Cordley Ltd 人工皮革用基材の製造方法
WO2014132630A1 (ja) * 2013-02-27 2014-09-04 株式会社クラレ 人工皮革基材、銀付調人工皮革、人工皮革基材の製造方法、及び人工皮革基材用改質剤
JP2017226946A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 日華化学株式会社 撥水剤組成物、及び撥水性繊維製品の製造方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008069481A (ja) * 2006-09-14 2008-03-27 Teijin Cordley Ltd 人工皮革用基材の製造方法
WO2014132630A1 (ja) * 2013-02-27 2014-09-04 株式会社クラレ 人工皮革基材、銀付調人工皮革、人工皮革基材の製造方法、及び人工皮革基材用改質剤
KR20150121105A (ko) * 2013-02-27 2015-10-28 가부시키가이샤 구라레 인공 피혁 기재, 은부조 인공 피혁, 인공 피혁 기재의 제조 방법, 및 인공 피혁 기재용 개질제
CN105026640A (zh) * 2013-02-27 2015-11-04 可乐丽股份有限公司 人造革基材、粒面人造革、人造革基材的制造方法、以及人造革基材用改性剂
JPWO2014132630A1 (ja) * 2013-02-27 2017-02-02 株式会社クラレ 人工皮革基材、銀付調人工皮革、人工皮革基材の製造方法、及び人工皮革基材用改質剤
KR102128640B1 (ko) 2013-02-27 2020-06-30 주식회사 쿠라레 인공 피혁 기재, 은부조 인공 피혁, 인공 피혁 기재의 제조 방법, 및 인공 피혁 기재용 개질제
JP2017226946A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 日華化学株式会社 撥水剤組成物、及び撥水性繊維製品の製造方法
WO2017221533A1 (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 日華化学株式会社 撥水剤組成物、及び撥水性繊維製品の製造方法
CN109790679A (zh) * 2016-06-24 2019-05-21 日华化学株式会社 疏水剂组合物以及疏水性纤维制品的制造方法
US10941315B2 (en) * 2016-06-24 2021-03-09 Nicca Chemical Co., Ltd. Water repellent agent composition and method for producing water repellent fiber product
CN109790679B (zh) * 2016-06-24 2022-06-17 日华化学株式会社 疏水剂组合物以及疏水性纤维制品的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4242693B2 (ja) 2009-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3187357B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP3927769B2 (ja) 不織布およびそれを用いたシート状物の製造方法
KR20010014587A (ko) 피혁형 시트의 기체 및 그의 제조방법
JP2000273769A (ja) 長繊維不織布およびそれを含む人工皮革
KR100601767B1 (ko) 인공 피혁 및 그 제조 방법
JP4242693B2 (ja) 皮革様シート状物の製造方法
JP4012332B2 (ja) 耐摩耗性の良好な皮革様シート
JP4116215B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP4902300B2 (ja) 人工皮革用基材の製造方法
JPS61152859A (ja) ワイパ−類に適した不織布の製造方法
JP2002180380A (ja) スエード調人工皮革及びその製造方法
JP3373403B2 (ja) スェード調人工皮革の製造方法
JP6688593B2 (ja) 人工皮革基材、人工皮革及び人工皮革基材の製造方法
JP4065649B2 (ja) 皮革様シートおよびその製造方法
JP4048160B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP2016044362A (ja) 柔軟な風合いをもつ人工皮革およびその製造方法
JP2005042250A (ja) 皮革様シートおよびその製造方法
JP2902307B2 (ja) 人工皮革およびその製造方法
JP4381904B2 (ja) 人工皮革用繊維質基材の製造方法
JP4266630B2 (ja) 皮革様シート状物の製造方法
JP3361967B2 (ja) 不織布およびそれからなる人工皮革
JP3961296B2 (ja) 皮革様シートおよびその製造方法
JP2001279579A (ja) 繊維複合シートの製造方法
JP2001226881A (ja) 人工皮革用繊維質基体
JPS61186570A (ja) 人工皮革用不織布およびその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080814

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080826

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081202

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081225

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4242693

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140109

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term