JP3951685B2 - 中性子遮蔽材及び使用済み燃料収納容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中性子遮蔽材に係り、特に、原子炉容器,原子燃料再処理施設,使用済燃料貯蔵施設及び加速器施設等の放射性物質取扱施設,放射性物質の輸送容器、及び放射性物質の貯蔵容器等の放射線遮蔽部に適用するのに好適な中性子遮蔽材に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉から取出された使用済燃料集合体は、原子力発電所内の冷却プールで一定期間水却して、放射線量や発熱量を減衰させた後、燃料再処理工場等の処理施設に輸送される。また、近年、海外では使用済燃料燃料集合体を集中貯蔵施設
(乾式貯蔵施設)に輸送して、貯蔵することが行われている。使用済燃料集合体を原子力発電所からこれらの施設まで輸送し、さらに貯蔵するために用いられる放射性物質貯蔵容器として、金属キャスクがある。
【0003】
金属キャスクは、容器を構成する外筒内に内筒を設け、内筒の外面に熱伝導性が高い銅やアルミニウム等の金属板で構成される伝熱フィンが周方向に間隔を置いて取付けられ、内筒の内側に金属製バスケットが設けられる。外筒と内筒との間には、中性子遮蔽体である硬化されたレジンが存在する。内筒は、上方が開口した炭素鋼製の筒であり、γ線遮蔽体である。金属性バスケットは、複数のセルを備え、それぞれのセル内に使用済燃料集合体が充填されている。金属性バスケットは、合計30体ないし70体の使用済燃料集合体を収納する。内筒の開口部には放射性物質の漏洩を防止する一次蓋が取り付けられ、さらにその外側に二次蓋が取り付けられる。
【0004】
中性子遮蔽体であるレジンは、水素原子を多数含む、すなわち水素数密度が高い物質であり、一般に高分子化合物が使用される。種々の高分子化合物のうち、金属キャスクでは、耐熱性と水素数密度のバランスがよいという特徴をいかして、エポキシ樹脂が多用される。この場合には、液状のエポキシ樹脂主剤とアミン系硬化剤、これに難燃性を付与する水酸化アルミニウム、及び中性子吸収体である炭化ホウ素を均一になるように混合し、上記の内筒,外筒及び伝熱フィンに囲まれる空間に注入して常温において硬化させて使用する。
【0005】
次に、金属キャスク以外に適用される、エポキシ樹脂をはじめとする熱硬化性樹脂を用いた中性子遮蔽材について説明する。特開平6−148388号公報は、多官能型エポキシ樹脂をポリアミン混合物とイミダゾール化合物とにより常温で硬化させて得られる中性子遮蔽材について記載し、特開平6−180388号公報はフェノール樹脂をバインダーとして加圧・加熱条件下で硬化させて得られる中性子遮蔽材について記載している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
冷却プール内での使用済燃料集合体の保管に余裕を持たせるために、原子力発電所内または原子力発電所外における乾式貯蔵が検討されている。将来的には、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体の乾式貯蔵、更には高燃焼度
(45GWd/トン)の燃料集合体の使用済燃料集合体の乾式貯蔵が行われる可能性もある。冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体、及びその高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体は、核分裂生成核種及び超ウラン元素の崩壊にともなう発熱量が大きい。このような使用済燃料集合体を金属キャスクで貯蔵する場合、金属キャスク1基当りに収納する体数を増加すると、金属に比べて熱伝導度が低い中性子遮蔽材にかかる熱負荷が大きくなる。
【0007】
本発明の目的は、より高温度での使用に耐えられる中性子遮蔽材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、分子内にエポキシ基を二つ以上含む化合物を少なくとも一つの成分として含む主剤に、前記エポキシ基を開環重合させる硬化剤を添加して、室温よりも高い温度にして得られる硬化物によって、中性子遮蔽材を構成したことにある。
【0009】
本発明の中性子吸収材は、150℃〜200℃の高温度で加熱された場合でも、水素数密度の減少度合いが著しく小さいので、中性子遮蔽性能が低下しない。本発明の中性子吸収材を適用した使用済燃料集合体貯蔵容器は、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体の装荷体数を増加できる。
【0010】
本発明の他の特徴は、分子内にエポキシ基を二つ以上含む化合物を少なくとも一つの成分として含む主剤に、前記エポキシ基を開環重合させる硬化剤を添加して硬化するとき、室温よりも高い温度にして得られる硬化物によって、中性子吸収材を構成したことにある。
【0011】
発明者らは、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体、及びその高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体を金属キャスクに装荷した場合の問題点を明確にするとともに、その問題を解消でき対策案を種々検討した。この検討結果を詳細に説明する。
【0012】
冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体、及びその高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体は、核分裂生成核種及び超ウラン元素の崩壊にともなう発熱量が大きく、それらの使用済燃料集合体の、金属キャスク1基当りに収納する体数を増加した場合には、中性子遮蔽材の温度は150℃ないし200℃になることが分かった。
【0013】
高分子化合物を主成分とした中性子遮蔽材は、温度が高くなると、熱と酸素による熱酸化劣化、あるいはγ線や中性子による放射線劣化によって徐々に分解して、水素原子を消耗していく。これに伴って、中性子の遮蔽性能は少しずつ低下する。劣化によって水素原子を損失する速度は、温度が高いほうが大きくなる。冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体、及びその高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体(高発熱の使用済燃料集合体という)を金属キャスク内に高密度で貯蔵するには、所定の期間にわたって上記のような高い温度で使用しても、水素原子の損失が遅くて遮蔽性能が低下しない中性子遮蔽材の開発が望まれる。中性子遮蔽材の上記温度における水素原子の損失速度が、使用済燃料集合体内の中性子放出核種の減衰速度を下回れば、金属キャスク表面の放射線量は低く抑えることができる。これらの観点から、高発熱の使用済燃料集合体を高密度貯蔵するための課題の一つは、水素数密度が高い高分子化合物で、なおかつ高温条件で使用する場合に水素原子の損失が起こりにくい高分子化合物を用いて中性子遮蔽材を製造することである。
【0014】
発明者らは、150℃ないし200℃の温度範囲でも水素原子の損失が起こりにくい中性子遮蔽材の実現のために種々の検討を行った。中性子遮蔽材として、耐熱性,遮蔽性能、及び成型体の寸法安定性等の観点からエポキシ系樹脂を適用するとの方針で開発を行った。ここでいうエポキシ系樹脂は、主として、いわゆる二液硬化型を考えている。二液硬化型エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2個以上含むエポキシ樹脂主剤に硬化剤を添加して硬化させる。エポキシ樹脂は硬化させる際の条件によって、常温硬化型,中温硬化型及び高温硬化型に類別される。中温硬化型及び高温硬化型エポキシ樹脂は、合わせて加熱硬化型エポキシ樹脂と称されることもある。このような分類は、一つにはエポキシ樹脂と硬化剤の組合せによるもので、大まかに一例をあげると、ビスフェノールA系のエポキシ樹脂を硬化させる場合、脂肪族アミン系硬化剤は通常常温硬化用に用いられ、脂環式ポリアミン系硬化剤及びポリアミドアミン系硬化剤は常温硬化型及び中温硬化型エポキシ樹脂に用いられる。また芳香族ポリアミン系硬化剤及び酸無水物は、高温硬化型エポキシ樹脂に用いられる。尚、上記の中温硬化型エポキシ樹脂とは大まかには一次硬化温度が40ないし80℃であるエポキシ樹脂であり、高温硬化型エポキシ樹脂とは80℃以上であるエポキシ樹脂である。
【0015】
一般には、硬化時の温度が高いほど、すなわち、常温硬化よりも中温硬化、またそれよりも高温硬化のほうが、耐熱性が高い硬化物が得られることが知られている。ここでいう耐熱性とは、ガラス転移温度や熱歪温度を指標とし、機械強度的な観点で使用可能な温度上限を決めるものである。一方、中性子遮蔽材に特有な耐熱性の指標は、このような機械強度的なものではなく、水素数密度の減少速度、近似的には加熱重量減少速度である。発明者ら自ら、エポキシ樹脂主剤を種々の条件で硬化させて、中性子遮蔽材に適用する観点での加熱重量減少速度(耐熱性)を評価した。その結果、より高い温度で硬化したものほど、加熱したときの加熱重量減少速度が遅いという新たな知見を見出した。
【0016】
図1に示すように、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を、硬化剤である脂肪族アミンまたはポリアミドアミンを用いて常温硬化させて生成された硬化物よりも、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を、硬化剤である芳香族アミンまたは酸無水物を用いて加熱硬化させて生成された硬化物は、200℃で加熱した場合における加熱重量減少速度がはるかに少ない。また、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を、硬化剤である脂環式アミンを用いて加熱硬化させて生成された硬化物は、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を、脂環式アミンを用いて常温硬化させて生成された硬化物よりも、加熱重量減少速度が明らかに少ない。また、ビスフェノールA型以外のエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールF型,フェノールノボラック型、及びグリシジルアミン型の各エポキシ樹脂)を、硬化剤として酸無水物を用いて加熱硬化させて生成された各硬化物も、図2に示すように加熱重量減少速度が非常に小さくできることを発明者らは確認した。発明者らは、これらの試験結果をもとに、高温環境で使用する中性子遮蔽材として、中温硬化及び高温硬化等の加熱硬化型のエポキシ樹脂を適用すればよいとの結論を見出した。
【0017】
一方で、上記のエポキシ樹脂硬化物の元素組成分析をした結果、酸無水物または芳香族アミンを用いて加熱硬化して生成された硬化物は、概して常温硬化で得られる硬化物に比べて、水素数密度が低いことが分かった。その場合でも、それらの硬化物で構成される中性子遮蔽材の厚みを増加することによって、所定の中性子遮蔽性能が得られる。しかしながら、以下のいずれかの対策によって、硬化物の水素数密度を高めることができ、中性子遮蔽材の厚みを増加しなくて(またはその増加量を抑えて)もよいことが分かった。すなわち、第1の対策は、ビスフェノールA型のエポキシ主剤を、より水素を多く含有している脂環式のジグリシジルエーテル等に置き換え、加熱硬化することで、高い耐熱性を維持しつつ、水素数密度を高めることである。第2の対策は、硬化剤として酸無水物または芳香族アミンを用いる場合には、水素化チタン等の金属水素化物を添加することによって、生成された硬化物の水素数密度を高めることである。なお、硬化剤として脂環式アミンを用いる場合には、金属水素化物を添加することによって硬化物の水素数密度を更に高めることができる。第3の対策は、硬化剤として酸無水物を用いる場合には、酸無水物の一部を、主剤に対する所要量が少なくてよいアミン系硬化剤に置換することである。これにより、水素含有率の高い主剤の樹脂に占めるアミン系硬化剤の割合を高めて水素数密度を増加させることができる。本発明は、上記した水素数密度の増大対策のいずれかを含むものである。加熱硬化型のエポキシ樹脂は、耐熱性が高くて水素原子の損失が遅いので、長期間に渡って中性子遮蔽性能がほとんど劣化しない。特に、第1,第2または第3の対策によって、水素数密度が低くて中性子遮蔽材の厚みが大きくなることを抑制できる。
【0018】
生成された硬化物の水素数密度を高くするために、脂環式のグリシジルエーテルを主剤として使用する方策は、耐熱性に優れる加熱硬化型のほうが水素数密度は低いとの経験則をふまえると、耐熱性を低下させることにつながると予想された。ところが、発明者らが行った試験の結果、脂環式のジグリシジルエーテルを通常のビスフェノールA型のエポキシ主剤に混合した場合、あるいは主剤全量を脂環式のジグリシジルエーテルとした場合でも、酸無水物を用いて加熱硬化すれば、200℃に加熱されても重量減少率が非常に小さいことが分かった。この試験結果を受けて、発明者らは脂環式のジグリシジルエーテルを使用して、中性子遮蔽性能に優れる高耐熱性の中性子遮蔽材を生成できるとの着想に至った。また、金属水素化物を中性子遮蔽材用の常温硬化型エポキシ樹脂に添加することは、水素数密度を高める方策としては、よく知られている。ところが、常温硬化型エポキシ樹脂とは異なる加熱硬化型のエポキシ樹脂の中性子遮蔽材への適用に際して添加する場合には、特有な問題として、酸無水物等の硬化剤と水素化金属との加熱硬化条件下での反応速度が非常に大きくなり、水素を散逸する可能性があることが懸念される。この問題については、発明者らが行った加熱硬化型エポキシ樹脂を硬化剤で硬化させる際に水素化金属を添加して硬化物を得る試験評価の結果、水素化金属は硬化剤や主剤と反応しないことが判明した。この試験結果を受けて、発明者らは加熱硬化型のエポキシ樹脂に水素化金属を添加することによって、水素数密度を高めることができるとの着想に至った。
【0019】
エポキシ樹脂を中性子遮蔽体として使用する際には、難燃性を付与するために、金属酸化物の水和物等を難燃剤として添加することがある。例えば、金属キャスクに用いられる中性子遮蔽材は、難燃剤を添加した中性子遮蔽材の一例である。通常は、三水和アルミナを常温硬化型エポキシに添加して使用している。加熱硬化型のエポキシ樹脂を中性子遮蔽材に適用する場合に特有なこととして、加熱硬化しているときにおける難燃剤からの脱水を検討する必要がある。難燃剤の脱水も、中性子遮蔽材全体では水素密度の低下、すなわち遮蔽性能の低下につながる。本発明の中性子遮蔽材は、主として150℃ないし200℃の温度条件で使用することを想定していることから、エポキシ樹脂の硬化の過程では最高約200℃まで加熱することがある。すなわち、加熱硬化型に使用する難燃剤としては、200℃以下の温度で脱水を始める化合物は場合によっては適用できないことになり、難燃剤を選定するときの基準を明確にする必要がある。
【0020】
三水和アルミナは、一般に脱水開始温度は約200℃とされている。これは、示差熱・熱重量分析法により、毎分数℃の割合で比較的速やかに昇温した分析での評価値である。これに対して、発明者らがより慎重かつ精密な示差熱・熱重量分析を行った結果、約170℃において既に有意な速度で脱水を始めることが判明した。そのため、加熱硬化型のエポキシ樹脂には適用できない場合がある。一方、水酸化マグネシウムは、一般に310℃程度から脱水を始めるとされているが、発明者らが注意深く分析した結果、これよりも若干低く290℃程度で有意な速度で脱水を始めることが分かった。この温度は実際に加熱硬化に供される温度条件、すなわち最高約200℃よりも十分高く、実際の加熱硬化過程では水酸化マグネシウムはほとんど脱水しないはずである。これを確認するために、水酸化マグネシウムを200℃に200時間保持して重量減少率を求めた結果、重量減少率は0.1 %以下であった。以上の実験結果から、加熱硬化型のエポキシ樹脂を中性子遮蔽材として適用する場合、脂環式ポリアミン及びポリアミドアミン等を硬化剤として用いて中温硬化するときの難燃剤は、三水和アルミナ及び水酸化マグネシウムのいずれを使用してもよく、芳香族アミン及び酸無水物等を硬化剤として使って最高約200℃の高温で使用するときの難燃剤は、水酸化マグネシウムが好適である、という難燃剤選定基準が明確になった。水酸化マグネシウムが盛んに脱水する温度域は350℃付近である。常温硬化型のエポキシ樹脂にはより低温側で熱分解するものがあり、その場合には、300℃程度で加熱されることを想定すると水酸化マグネシウムは難燃化材としての役割を果たせないことがある。これに対して、ほとんどの加熱硬化型エポキシ樹脂が熱分解する温度は、350℃近辺である。従って、水酸化マグネシウムは加熱硬化型に好適な難燃剤である。尚、加熱硬化の過程で若干の脱水が起きても良い場合、例えば、脱水する分をはじめから考慮して遮蔽厚さを設定するような場合には、高温で加熱硬化する系に三水和アルミナを添加してもよい。また、一般産業分野で難燃剤として使用されているリン化合物及びハロゲン化物系難燃剤を、加熱硬化型エポキシ樹脂に添加して中性子遮蔽材として使用することも、水酸化マグネシウムと同様の検討により可能であることを確認した。以上、難燃剤に関して発明者らが行った評価の結果、加熱硬化型エポキシ樹脂を用いた中性子遮蔽材に添加する難燃剤の選定基準を明確にできた。
【0021】
耐熱性高分子材でできた中性子遮蔽材は、中性子遮蔽性能を補うために、中性子吸収断面積の大きなホウ素の化合物等を、中性子吸収材として添加することがある。例えば、金属キャスクで使用する遮蔽材はその一例であり、通常、炭化ホウ素を常温硬化型エポキシ樹脂に添加して使用する。一方、加熱硬化型のエポキシ樹脂を中性子遮蔽材に使用する場合に特有なこととして、加熱硬化の際に、各成分、すなわちエポキシ樹脂,酸無水物等の硬化剤、あるいは水酸化マグネシウム等と、中性子吸収材成分(炭化ホウ素及び窒化ホウ素等)とが高温条件で反応することが懸念される。発明者らの実験の結果、炭化ホウ素及び窒化ホウ素は、加熱硬化の際に、加熱硬化型のエポキシ樹脂,酸無水物等の硬化剤、及び水酸化マグネシウム等と反応しないことが確認できた。以上の検討の結果、加熱硬化型のエポキシ樹脂を用いた中性子遮蔽材に、中性子吸収材として炭化ホウ素及び窒化ホウ素等のホウ素化合物を添加すれば、硬化物の特性を損なうことなく中性子遮蔽性能を改善できるとの着想に至った。同様の検討を踏まえると、ホウ素化合物以外に酸化ガドリニウム及び酸化サマリウム等の中性子吸収材も適用できる。
【0022】
以上、本発明は、いずれも発明者ら自らの試験及び評価によって、加熱硬化型エポキシ樹脂を中性子遮蔽材に適用できることを明らかにしたことに基づいている。
【0023】
なお、主剤は、ビスフェノールA型エポキシ化合物,ノボラック型エポキシ樹脂,脂環式のグリシジルエーテル型エポキシ化合物,各種のグリシジルエステル型エポキシ化合物,グリシジルアミン型エポキシ化合物、及びビフェニル型エポキシ化合物を単独であるいは混合して用いることが望ましい。
【0024】
硬化剤は、芳香族アミン,脂環式アミン及びポリアミドアミン等のアミン系硬化剤,酸無水物系硬化剤及びイミダゾール系硬化促進剤を単独であるいは混合して用いることが望ましい。ここで、硬化剤の添加量について以下に述べる。主材中のエポキシ当量と硬化剤中の活性水素当量の比が0.7−1.3の範囲を外れると、余剰の主材あるいは硬化剤が多量に存在することになる。主材,硬化剤ともに蒸気圧をもっているので、余剰の主材または硬化剤が存在する硬化物を加熱すると、これらが揮発して水素の減損をもたらすことになる。そのため、主材のエポキシ基当量と硬化剤の活性水素当量の比は、0.7ないし1.3で望ましくは1に近いようにすることで、加熱重量減少速度の遅い硬化物が得られる。
【0025】
難燃剤としては、水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウム等の金属水酸化物、その金属酸化物の水和物,ポリリン酸アンモニウム等の無機リン酸化合物,リン酸エステル等の有機リン化合物,ヘキサブロモベンゼン、及びテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化合物のいずれかを単独であるいは幾つかを混合して用いるとよい。尚、難燃剤の割合を高めることにより、難燃性は強化されるが、それとトレードオフになるように水素数密度が減少し、また粘度が高くなる。そのため難燃剤の割合を30ないし60重量%の範囲にすることにより、遮蔽性能と耐火性、あるいは作業性のバランスが取れた遮蔽材を得ることができる。
【0026】
中性子吸収材としては、熱中性子吸収断面積が大きな同位体を用いることが望ましく、好ましくは、炭化ホウ素及び窒化ホウ素等のホウ素化合物,酸化カドミウム等のカドミウム化合物,酸化ガドリニウム等のガドリニウム化合物、及び酸化サマリウム等のサマリウム化合物である。尚、これらは一般に高価であるために、中性子吸収性能から最小割合を決めるとともに、遮蔽材コストの観点から最高割合を設定することもできる。発明者らの遮蔽計算及びコスト評価の結果に基づくと、中性子吸収材の割合を0.1 ないし10重量%の範囲にすることにより、経済性と遮蔽性能のバランスが取れた遮蔽材が得られる。
【0027】
なお、金属水素化合物としては水素化チタン,水素吸蔵合金としてはマグネシウム・ニッケル合金を用いることが望ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の主剤と種々の硬化剤との組合せでは、酸無水物及び芳香族アミン等を用いて加熱硬化させて生成された硬化物は、加熱重量減少速度が小さくて耐熱性が優れる一方で、水素数密度が小さいことは、図1を用いて前述した通りである。耐熱性を維持したまま水素数密度を高めるためには、主剤として脂環式ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を使用する。ビスフェノールA型エポキシ樹脂と脂環式ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とを種々の割合で混合した主剤を、酸無水物または芳香族アミンを用いて加熱硬化した硬化物について、200℃における加熱重量減少速度を評価した実験結果を図3に示す。この実験では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が180〜190g/eqで、室温での粘度が約100dPa・sのビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した。また、脂環式ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、市販されている、エポキシ当量が約240g/eqで、室温における粘度が約35dPa・sの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した。酸無水物系の硬化剤としては、メチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加物を極少量のイミダゾール化合物と混合して使用した。芳香族アミン系の硬化剤としては、メチレンジアニリン系のものを使用した。
【0029】
芳香族アミンで硬化させた場合、主剤中の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の割合が高くなるにつれて加熱重量減少速度が大きくなる。一方、酸無水物を用いて硬化させた場合、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の割合が100%の場合でも、加熱重量減少速度は小さい。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の割合が高くなるにつれて硬化物中の水素数密度は高くなり、中性子遮蔽性能は高くなる。このような知見を踏まえ、本実施例では、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を酸無水物で硬化して生成された硬化物を用いた中性子遮蔽材について説明する。本実施例の中性子遮蔽材は、主剤,硬化剤,硬化促進剤として上記した物質を使用して製造される。本実施例の中性子吸収材は、以下のようにして製造されたものである。
【0030】
主剤として、エポキシ当量が約240g/eqの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用する。主剤100重量部に対して、硬化剤として酸無水物、例えばメチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加物を約65重量部と、硬化促進剤である2−エチル4−メチルイミダゾールを0.1 ないし2重量部を加える。また、難燃剤として、一次粒子の平均粒径がおおよそ1μmないし2μmの水酸化マグネシウムを、主剤100重量部に対して130ないし200重量部を加える。さらに、平均粒径が100μm以下の炭化ホウ素粉末を、主剤100重量部に対して、約3重量部を加える。以上の各成分を、70℃ないし100℃の範囲の温度で一定に保ちながら十分混練して均一化した後、予め加温しておいた金型に注入する。これを、始めは約80℃ないし130℃で2時間ないし4時間程度加熱して一次硬化させる。次に、約140℃ないし170℃で4時間ないし
12時間程度保って二次硬化させ、その後必要に応じて約200℃まで昇温し、比較的短時間の最終硬化を行った後、徐冷する。このようにして製造された硬化物を、中性子遮蔽材として使用する。
【0031】
以上のように製造された本実施例の中性子遮蔽材は、長期にわたって150℃〜200℃の高温度で加熱された場合でも、中性子遮蔽性能が低下しない。
【0032】
本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスクを、図4を用いて説明する。金属キャスク1は、容器を構成する外筒(外側容器)3内に内筒2を設け、内筒(内側容器)2の外面にアルミニウムで構成される伝熱フィン4を周方向に間隔を置いて取付けており、内筒2の内側に格子状に形成された金属製バスケット6が設けられる。上記のように製造された本実施例の中性子吸収材5が、外筒3と内筒2との間で伝熱フィン4によって形成された各空間内に配置される。内筒2は、上方が開口した炭素鋼製の筒であり、γ線遮蔽体である。金属性バスケット6は、複数のセルを備え、それぞれのセル内に使用済燃料集合体が充填される。内筒2の開口部には放射性物質の漏洩を防止する一次蓋7が取り付けられ、さらにその外側に二次蓋8が取り付けられる。中性子吸収材5が一次蓋7内にも配置される。冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体が、金属キャスク1の金属性バスケット6内に70体装荷された場合には、中性子吸収材5の温度がその使用済燃料集合体から放出される熱によって150℃〜200℃に上昇する。しかしながら、中性子吸収材5は長期にわたって150℃〜200℃の高温度で加熱された場合にも中性子遮蔽性能が低下しないため、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体が70体装荷された場合でも金属キャスク1の中性子遮蔽性能は低下しない。このように、金属キャスク1は、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体の装荷体数を約60体以上に増加できる。本実施例の中性子吸収材は、原子炉容器,原子燃料再処理施設,使用済燃料貯蔵施設及び加速器施設等の放射性物質取扱施設の、150℃〜200℃の高温部の遮蔽材としても適用可能である。これらの施設への適用は、後述の実施例2〜5でも可能である。
【0033】
エポキシ樹脂主剤は、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂単独でなく、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合であっても良い。また、混合するエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂だけでなく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であってもよく、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂であってもよい。また、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂以外でも、グリシジルエステル型エポキシ樹脂,グリシジルアミン型エポキシ樹脂,ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂のいずれかであってもよい。一方、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂については、それ以外のエポキシ系化合物で分子内に含まれる水素数が多い脂環式等の各種エポキシ系化合物に変更してもよい。加熱硬化に適した主剤と硬化剤の組合せであれば、硬化物中の水素数密度が5×1022個/cm3 以上になるように、主剤と硬化剤の組合せを決定してもよい。
【0034】
本実施例では硬化剤としてメチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加物を使用する例を説明したが、それ以外の硬化剤として、無水フタル酸,無水マレイン酸,無水メチルナジック酸,無水コハク酸,無水ピロメリット酸,無水クロレンディック酸等、及びこれらの変性物等の公知酸無水物を用いることもできる。また、各種の公知の酸無水物を混合して使用することもできる。また、硬化に十分な時間をかけられるのであれば、上記したイミダゾール系をはじめとする硬化促進材は添加する必要はない。
【0035】
また、本実施例では難燃剤として水酸化マグネシウムを使用しているが、難燃性を付与する必要がない用途に用いる中性子遮蔽材であれば、難燃剤を添加する必要はない。難燃剤を添加する場合には、加熱硬化に伴う水素数密度の低下を考慮した中性子遮蔽材を製造する場合には、水酸化マグネシウムの替りに水酸化アルミニウムを用いてもよい。また、難燃剤としては、水酸化カルシウム及びハイドロガーネット等も使用可能である。また、水酸化マグネシウムの添加量については、上記では約80℃程度で混練することを前提とした場合の粘性と可使時間、加えて難燃性付与の観点から添加量を決めたものであるが、逆に粘性が最大でも200g/eq・sを超えないのであれば、その範囲で混練温度とあわせて添加量を変更してもよい。同様に、粘度が200g/eq・s以下である時間が少なくとも1時間以上継続するような観点から添加量を決定しても良いし、硬化物の酸素指数が20を超えるような観点から難燃剤の添加量を決定しても良い。
【0036】
また中性子吸収材は、炭化ホウ素以外に、窒化ホウ素等のホウ素化合物を添加してもよい。用途によっては中性子吸収材を添加しなくてもよい。ホウ素化合物を、酸化カドミウム,酸化ガドリニウムあるいは酸化サマリウムで代替してもよい。
(実施例2)
本実施例では、脂環式ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を主剤として用い、硬化剤としては酸無水物とアミン系の硬化剤とを混合して用いて得られる加熱硬化型エポキシ樹脂を中性子遮蔽材として使用する例を説明する。
【0037】
主材である脂環式ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、実施例1と同様の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用する。硬化剤のうち酸無水物については、実施例1と同様のメチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加物を用いる。本実施例における硬化剤は、メチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加物と脂環式ポリアミンとを混合して用いる。更に、イミダゾール化合物を硬化促進剤として使用する。難燃剤及び中性子吸収材は、実施例1と同様に、それぞれ水酸化マグネシウムと炭化ホウ素を使用する。
【0038】
酸無水物を単独で使用する場合、主剤に対する酸無水物の添加量は、主剤のエポキシ当量と酸無水物当量との化学量論的な関係で決まる。酸無水物の水素含有率は、比較的少なく、単独硬化系では主剤中に多く含まれる水素を、酸無水物を添加することにより希釈しているような状況となっている。そこで本実施例では、酸無水物の添加量を減らし、硬化剤として不足する分をアミン系の硬化剤を加えることにより補う。所定量の主剤を硬化するのに必要な硬化剤の量は、酸無水物に比べるとアミン系の硬化剤は、一般に半分ないし3分の1である。従って、酸無水物の一部をアミン系硬化剤で置き換えることにより、樹脂中の主剤の割合を相対的に高めることができ、その分、水素数密度を高めることが可能となる。本実施例では、主剤中の全エポキシ基の約30%をアミン系の硬化剤と反応させ、残りを酸無水物と反応させるような配合比を一例として記載する。主剤である水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を100重量部、硬化剤のうち酸無水物は45重量部、また脂環式ポリアミンは約8重量部、難燃剤である水酸化マグネシウムは約150重量部、及び中性子吸収材である炭化ホウ素の添加量は約3重量部とする。これらを約80℃で混練して均一化し、得られた混練物を金型に注入して実施例1と同様に加熱硬化する。加熱硬化によって得られた硬化物を中性子遮蔽材として使用する。
【0039】
以上のように製造された本実施例の中性子遮蔽材は、長期にわたって150℃〜200℃の高温度で加熱された場合でも、中性子遮蔽性能が低下しない。本実施例の中性子遮蔽材は、実施例1よりも更に水素数密度を高くできる。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスクは、本実施例の中性子遮蔽材を中性子吸収材5(図4参照)として用いている。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスク1は、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体の装荷体数を約60体以上に増加できる。
【0040】
主剤,無水物,難燃剤及び中性子遮蔽材については、実施例1と同じように他の物質に変更することができる。また、硬化剤のうち脂環式ポリアミンについては、加熱硬化が可能なものであればいずれの公知化合物を使用しても問題はない。
(実施例3)
本実施例では、酸無水物等を用いた加熱硬化系に、水素化チタンを添加して得られる樹脂を中性子遮蔽材とする例について説明する。
【0041】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主剤とし、酸無水物を硬化剤として使用する。硬化反応を1日程度で終了させるような場合には、イミダゾール化合物等の硬化促進剤を使用する。これらに、難燃剤として水酸化マグネシウム,中性子吸収材として炭化ホウ素、更に水素化チタンを添加する。これらの混合物中で、水酸化マグネシウムの割合は約30%、炭化ホウ素の配合比は約3%以下、水素化チタンの割合は20%ないし30%とし、残りをビスフェノールA型エポキシ樹脂とする。これらを、約80℃で混練して均一化した後に金型に注入し、実施例1に記載したような硬化条件において製造された硬化物を中性子遮蔽材として使用する。
【0042】
主剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂以外に、その変性物や各種ノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂,グリシジルエステル型エポキシ樹脂,グリシジルアミン型エポキシ樹脂,ビフェニル型エポキシ樹脂等であってもよい。また、実施例1と同様に、脂環式ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を混合したものでもよい。また硬化剤は、酸無水物以外では、加熱硬化用の各種の公知アミン系硬化剤に変更してもよい。
【0043】
難燃剤や中性子吸収材は、実施例1と同様に変更することができる。水素化チタンは、マグネシウム・ニッケル合金等の水素吸蔵合金等に変更してもよい。
【0044】
以上のように製造された本実施例の中性子遮蔽材は、長期にわたって150℃〜200℃の高温度で加熱された場合でも、中性子遮蔽性能が低下しない。以上、本実施例によれば、長期に渡り加熱を受けた場合でも、遮蔽性能が低下しない中性子遮蔽材を得ることができる。金属水素化物を使用して遮蔽材の水素数密度を高くしているので、耐熱性と遮蔽性能が優れた中性子遮蔽材を得ることができる。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスクは、本実施例の中性子遮蔽材を中性子吸収材5(図4参照)として用いている。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスク1は、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体を約60体以上に増加できる。
(実施例4)
図3に示した結果から、芳香族アミン系の硬化剤を使う場合、主剤(ビスフェノールA型エポキシ樹脂と水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合物)中の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の割合が高くなると、水素数密度が高くなる反面、加熱重量減少速度が大きくなる。しかしながら、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が50重量%程度の割合までであれば、150℃以上という高温条件においても十分使用可能である。本実施例では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合した主剤を芳香族アミンによって加熱硬化して得られる硬化物を中性子遮蔽材として使用する例について説明する。
【0045】
本実施例で使用する素材は、図3の結果が得られた実験に用いた素材と同じ物を使用する。すなわち、主材としてエポキシ当量が180ないし190g/eq程度のビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びエポキシ当量が240g/eq程度の水添ビスフェノールAエポキシ樹脂を用い、芳香族アミンとしてはメチレンジアニリン系のものを使用する。
【0046】
主剤はビスフェノールA型エポキシ樹脂を50重量部と水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を50重量部とを混合して用いる。これに、芳香族アミンを約
30重量部添加する。これに難燃剤として、水酸化マグネシウムを100ないし160重量部を添加し、さらに炭化ホウ素を約3重量部添加する。これらを70℃ないし100℃の温度において一定として十分に混練し、均一化する。それらの混練物であるその液状樹脂を金型に注入する。その後、金型に注入した混練物を、はじめに80℃ないし120℃において約2時間程度加熱して一次硬化させる。次に、その混練物を更に120℃ないし180℃において4時間ないし12時間加熱して二次硬化させ、その後、必要に応じて約200℃まで昇温して比較的短時間の最終硬化を行った後、徐冷する。このようにして製造された硬化物を、中性子遮蔽材として使用する。
【0047】
以上のように製造された本実施例の中性子遮蔽材は、長期にわたって150℃〜200℃の高温度で加熱された場合でも、中性子遮蔽性能が低下しない。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスクは、本実施例の中性子遮蔽材を中性子吸収材5(図4参照)として用いている。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスク1は、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体の装荷体数を約60体以上に増加できる。
【0048】
主剤として、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂と組み合わせるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂以外に、実施例1において列挙したようなノボラック型エポキシ樹脂を始めとする等の各種エポキシ樹脂を使用できる。また、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、分子内に多数の水素原子を含む脂環式エポキシ等の各種エポキシ化合物に変更してもよい。硬化物の水素数密度が5×1022個/cm3 とする観点で、主剤や硬化剤を決定することもできる。
【0049】
硬化剤は、加熱硬化用であれば、いずれの公知芳香族アミン系硬化剤でも問題なく使用できる。難燃剤及び中性子吸収材についても、実施例1と同じように他の物質に変更することが可能である。
(実施例5)
次に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を脂環式ポリアミン系硬化剤単独で硬化させて得られる中性子遮蔽材について説明する。主材である汎用のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、脂環式ポリアミンを約30重量部添加し、さらに三水和アルミナを150ないし200重量部を加える。また、炭化ホウ素粉末を例えば3重量部添加し、常温において十分混合し、均一化する。この混合物である液状樹脂を金型に注入して、室温において1日以上、好ましくは7日程度かけて硬化させる。その後、約120℃ないし150℃で二次硬化させる。更に、180℃ないし200℃まで昇温して比較的短時間の最終硬化を行い、徐冷する。硬化条件は、一次硬化温度を約40℃から徐々に昇温して約90℃にし、その後上記の条件で二次硬化させるようにしてもよい。
【0050】
このようにして得られた硬化物を、金属キャスクの内筒の外側に取り付ける。
【0051】
以上のように製造された本実施例の中性子遮蔽材は、長期にわたって150℃〜200℃の高温度で加熱された場合でも、中性子遮蔽性能が低下しない。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスクは、本実施例の中性子遮蔽材を中性子吸収材5(図4参照)として用いている。本実施例の中性子遮蔽材を適用した金属キャスク1は、冷却プールでの冷却期間が短い使用済燃料集合体または高燃焼度燃料集合体の使用済燃料集合体の装荷体数を増加できる。なお、以上、本実施例によれば、長期に渡る加熱を受けた場合でも、遮蔽性能が低下しない中性子遮蔽材を得ることができる。室温で一次硬化を行うことにより、施工時の熱負荷を小さくできる。また、伝熱試験を行う際に、二次硬化を行うことも可能となる。
【0052】
主剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂以外の、各種のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂,グリシジルエステル型エポキシ樹脂,グリシジルアミン型エポキシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂のいずれかに変更してもよい。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、架橋度を小さくするか、希釈剤等を用いて粘性を下げて使用してもよいし、粘性を下げるように変性されたタイプのものを用いてもよい。また、脂環式ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等の水素含有率が高いエポキシ化合物を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を始めとする各種エポキシ樹脂と混合するか、あるいは単独で主剤とする等により、水素数密度の高い硬化物が得られる。いずれのエポキシ樹脂を用いる場合にも、加熱して後硬化をすることにより、長期間にわたって遮蔽性能が劣化しない遮蔽材を得ることができる。
【0053】
難燃剤や中性子吸収材は、実施例1と同じように変更することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明の中性子遮蔽材は、150℃〜200℃の高温度で加熱された場合でも、中性子遮蔽性能が低下しにくく、その温度範囲における中性子遮蔽能力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の硬化剤によってビスフェノールA型エポキシ樹脂を硬化して生成される各硬化物の加熱重量減少速度の実験結果を比較した説明図である。
【図2】種々のエポキシ樹脂を加熱硬化して得られた硬化物の加熱重量減少速度の実験結果を示す説明図である。
【図3】ビスフェノールA型エポキシ樹脂と水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合したエポキシ樹脂主剤を加熱硬化して得た硬化物の加熱重量減少速度の実験結果を示す説明図である。
【図4】実施例1の中性子吸収材を適用した金属キャスクの構成図である。
【符号の説明】
1…金属キャスク、2…内筒、3…外筒、4…伝熱フィン、5…中性子吸収材、6…金属製バスケット。
Claims (17)
- エポキシ樹脂を主成分の一つとする中性子遮蔽材において、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を少なくとも一つの成分として含む主剤に、前記水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基を開環重合させる酸無水物系硬化剤及びイミダゾール系硬化促進剤を添加して、140℃〜200℃に加熱して得られる硬化物で構成されることを特徴とする中性子遮蔽材。
- 前記加熱温度は140℃〜170℃であることを特徴とする請求項1に記載の中性子遮蔽材。
- 前記酸無水物系硬化剤はマレイン酸系の酸無水物であることを特徴とする請求項1または2に記載の中性子遮蔽材。
- 前記主剤に添加された難燃剤が前記硬化物に含まれている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の中性子遮蔽材。
- 前記難燃剤は、水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,水酸化カルシウム等の金属水酸化物,前記金属酸化物の水和物,ポリリン酸アンモニウム等の無機リン酸化合物,リン酸エステル等の有機リン化合物,ヘキサブロモベンゼン、及びテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化合物のいずれかを含んでいる請求項4記載の中性子遮蔽材。
- 前記主剤に添加された中性子吸収材が前記硬化物に含まれている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の中性子遮蔽材。
- 前記中性子吸収材はホウ素化合物,カドミウム化合物,ガドリニウム化合物及びサマリウム化合物のいずれかを含んでいる請求項6記載の中性子遮蔽材。
- 前記主剤に添加された金属水素化物または水素吸蔵合金が前記硬化物に含まれている請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の中性子遮蔽材。
- 前記難燃剤として金属水酸化物またはその金属酸化物の水和物を使用する場合、その割合が30ないし60重量%となるように前記主剤に添加する請求項5に記載の中性子遮蔽材。
- 前記中性子吸収材として炭化ホウ素あるいは窒化ホウ素を用いる場合、その割合が 0.1 ないし10重量%となるように前記主剤に添加する請求項7に記載の中性子遮蔽材。
- 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の中性子遮蔽材において、各成分の配合比は、30℃ないし100℃における、前記主剤及び前記添加物の液状混合物の粘度が、少なくとも添加直後において200dPa・sを超えないような配合比である中性子遮蔽材。
- 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の中性子遮蔽材において、各成分の配合比は、30℃ないし100℃における、前記主剤及び前記添加物の混合物の粘度が、200dPa・sを超えない時間が少なくとも1時間以上継続するような配合比である中性子遮蔽材。
- 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の中性子遮蔽材において、各成分の配合比は、前記主剤と前記添加物との硬化物における水素数密度が5×10 5 水素原子/ cm 3 以 上になるような配合比である中性子遮蔽材。
- 前記難燃剤の配合比は、加熱後の前記硬化物の酸素指数が20を超えるような配合比である請求項4または5に記載の中性子遮蔽材。
- 前記難燃材として水酸化マグネシウムを用いる場合には、水酸化マグネシウムの平均粒径が0 . 5 ないし5μmである請求項4または5に記載の中性子遮蔽材。
- 請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の中性子遮蔽材において、前記酸無水物系硬化剤及びイミダゾール系硬化促進剤が添加された前記水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を140℃〜200℃に加熱する前に、80℃ないし130℃で一次硬化させて得られた前記硬化物により構成された中性子遮蔽材。
- 外側容器と、前記外側容器内に設置された内側容器と、前記内側容器内に設置され、使用済燃料集合体を収納するバスケットと、前記外側容器と前記内側容器との間に配置された請求項1ないし請求項16のいずれかに記載の中性子吸収材とを備えたことを特徴とする使用済燃料集合体貯蔵容器。
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