JP7041464B2 - 防水層のピンホール検査が可能な防水構造 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は接着工法で、施工現場で容易に形成することができる、高電圧探傷器でピンホール検査ができる防水構造の提供を目的とする。
本件第二発明は、高電圧式探傷器によるピンホール検査が可能な防水構造であって、前記防水構造は防水層および導電性プライマー層を含み、導電性プライマー層が前記導電性プライマーの硬化物からなることを特徴とする。
[1]バインダー樹脂と導電フィラーとを含む防水施工用導電性プライマーであって、該導電性プライマーのJIS K6911に従って測定した表面電気抵抗が1×101~1×108Ωである、導電性プライマー。
[2]バインダー樹脂がウレタン系、アスファルト系、クロロプレン系、エポキシ系、ニトリル系およびアクリル系からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[3]バインダー樹脂が二液硬化型ウレタン系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[4]二液硬化型ウレタン系樹脂が、ポリイソシアナート化合物を含む主剤と、アクリルポリオール樹脂組成物を含む硬化剤とからなることを特徴とする[3]に記載の導電性プライマー。
[5]バインダー樹脂が一液硬化型ウレタン系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[6]一液硬化型ウレタン樹脂が、トリレンジイソシアナート骨格を含むウレタンプレポリマーからなることを特徴とする[5]に記載の導電性プライマー。
[7]バインダー樹脂がアスファルト系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[8]バインダー樹脂がクロロプレンゴム系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[9]バインダー樹脂が二液硬化型エポキシ系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[10]二液硬化型エポキシ系樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む主剤と、変性脂肪族ポリアミンを含む硬化剤とからなることを特徴とする[9]に記載の導電性プライマー。
[11]バインダー樹脂がニトリル系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[12]ニトリル系樹脂が中高ニトリルゴムからなることを特徴とする[11]に記載の導電性プライマー。
[13]導電フィラーが金属酸化物、金属、導電性高分子およびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[12]のいずれかに記載の導電性プライマー。
[14]導電フィラーがカーボンブラックであることを特徴とする[13]に記載の導電性プライマー。
[15]導電フィラーの含有量がバインダー樹脂100質量部に対し0.5~5.0質量部であることを特徴とする[1]~[14]のいずれかに記載の導電性プライマー。
[16]高電圧式探傷器によるピンホール検査が可能な防水構造であって、前記防水構造は防水層および導電性プライマー層を含み、導電性プライマー層が[1]~[15]のいずれかに記載の導電性プライマーの硬化物からなることを特徴とする防水構造。
[17]防水層と導電性プライマー層の間に接着剤層を含む[16]に記載の防水構造。
[18]防水層が防水シートまたは塗膜防水層であることを特徴とする[16]または[17]に記載の防水構造。
[19]防水シートがポリ塩化ビニルシート、ポリオレフィンシート、ゴムシートおよびアスファルトシートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[18]に記載の防水構造。
[20]塗膜防水層がウレタン系塗膜防水層、アスファルト系塗膜防水層、エポキシ系塗膜防水層およびポリエステル系塗膜防水層からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[18]に記載の防水構造。
バインダー樹脂としては、有機溶剤系、水系のいずれのバインダー樹脂も使用することができ、有機溶剤系のバインダー樹脂としては、ウレタン系、アスファルト系、クロロプレン系、エポキシ系、ニトリル系、アクリル系、スチレンブタジエン系などを挙げることができ、ウレタン系およびエポキシ系のバインダー樹脂は一液型、二液型のいずれをも使用することができる。水系のバインダー樹脂としては、エマルション型のウレタン系、アスファルト系、クロロプレン系、エポキシ系、ニトリル系、アクリル系、スチレンブタジエン系などが挙げられる。好ましい二液硬化型ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアナート化合物を含む主剤とアクリルポリオール樹脂組成物を含む硬化剤とからなる二液硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。好ましい一液硬化型ウレタン系樹脂としては、トリレンジイソシアナート骨格を含むウレタンプレポリマーからなる一液硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。ここで、トリレンジイソシアナート骨格とは、トリレンジイソシアナートの2個のイソシアナート基(-NCO)を-NHCO-に変更した化学構造をいう。好ましいクロロプレン系樹脂としては、クロロプレンゴム系樹脂が挙げられる。好ましい二液硬化型エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む主剤と変性脂肪族ポリアミンを含む硬化剤とからなる二液硬化型エポキシ系樹脂が挙げられる。好ましいニトリル系樹脂としては、中高ニトリルゴムからなるニトリル系樹脂が挙げられる。なかでも好ましいバインダー樹脂は、二液硬化型ウレタン系樹脂である。その市販品としては、田島ルーフィング株式会社製アクリルウレタン系二液硬化型プライマー「VTプライマー」などが挙げられる。
導電フィラーとしては、電気伝導性を示し、かつバインダー樹脂に分散するものであれば使用でき、たとえば、金属酸化物、金属、導電性高分子、カーボンブラックを挙げることができる。金属酸化物としては、導電性の酸化亜鉛、酸化インジウム錫などを挙げることができる。金属としては、金、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレスなどの金属のパウダー、フレークまたは繊維を挙げることができる。導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロールなどを挙げることができる。なかでも、分散性、コスト、電気抵抗性からカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの例としては、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のケッチェンブラックEC300J、EC600JD等が挙げられる。
上記の中でも、導電性、分散性、化学的安定性などの点から、BET比表面積800~1300m2/gのケッチェンブラックが好ましい。
導電性プライマー層3の厚さは、導電性が得られ、かつプライマーとしての機能を発揮できる限り限定されないが、好ましくは10~1000μmであり、より好ましくは20~500μmであり、さらに好ましくは30~150μmである。導電性プライマー層3の厚さが薄すぎると、非導電性の領域が形成される可能性があり好ましくなく、導電性プライマー層3の厚さが厚すぎると、好ましい硬化が得られない場合があり、あるいはコストが上がってしまい不適である。
防水層4の厚さは、素材によっても最適な厚さは異なり、防水機能が発揮できる限り限定されないが、好ましくは0.2~10.0mmであり、より好ましくは1.0~7.5.0mmであり、さらに好ましくは1.5~5.0mmである。
導電性プライマーの塗布量は、前述の導電性プライマー層3の厚さが得られる量である限り限定されないが、好ましくは10~1000g/m2であり、より好ましくは50~600g/m2であり、さらに好ましくは100~200g/m2である。
アクリルポリオール樹脂化合物を含む硬化剤(田島ルーフィング株式会社製,品名:VTプライマー硬化剤)100質量部に、ケッチェンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製ケッチェンブラックEC300J)を1.5質量部添加して攪拌し、カーボン入り硬化剤を調製した。
次いで、調製したカーボン入り硬化剤101.5質量部と、ポリイソシアナート化合物を含む主剤(田島ルーフィング株式会社製,品名:VTプライマー主剤)50質量部とを混合して攪拌し、導電性プライマーを調製した。
調製した導電性プライマーの電気抵抗をJIS K6911に従って測定した。測定結果を表1に示す。
調製した導電性プライマーをスレート板にローラー刷毛を使って150g/m2塗布し、乾燥させ、導電性プライマー層を得た。該導電性プライマー層の上にポリ塩化ビニル製防水シート(田島ルーフィング株式会社製ビュートップ)を張り付け、カッターナイフで人為的に1~10mmの傷を付け、高電圧式探傷機(株式会社サンコウ電子研究所製探傷試験器TO-250D)を用いて試験を5回行い、傷を検知できるか否かを調べた。結果を表1に示す。表1中、探傷試験の欄の○は5回の試験中5回とも傷を検知できたことを示し、△は5回の試験中1回以上4回以下で傷を検知できたことを示し、×は傷を検知できなかったことを示す。
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を0.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を0.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
ケッチェンブラックEC300Jをライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製ケッチェンブラックEC600JDに変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
ケッチェンブラックEC300JをITO粉末(三菱マテリアル電子化成株式会社製透明導電性粉末E-ITO)に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例4の導電フィラーの添加量を0.6質量部に変更した以外は、実施例4と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
ケッチェンブラック1.5質量部をアルミニウム粉末(東洋アルミニウム株式会社製TFM-A05P)6.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
アルミニウム粉末の添加量を3.0質量部に変更した以外は、実施例6と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
ケッチェンブラックを添加しなかった以外は、実施例1と同様に、プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を0.06質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を10.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・アスファルト系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:アスファルトプライマー)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表2に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表2に示す。
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・ウレタン系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:OTプライマーA)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表3に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表3に示す。
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・クロロプレン系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:プラストプライマー)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表4に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表4に示す。
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・エポキシ系バインダー樹脂(コニシ株式会社製,品名:ボンドE206)を用い、ボンドE206硬化剤50質量部に、表5に示す添加量の各種導電フィラーを添加して、導電フィラー入り硬化剤を調製し、次いで、ボンドE206主剤100質量部とを混合して攪拌し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表5に示す。
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、水系・アスファルト系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:水性プライマーAS)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表6に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表6に示す。
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、水系・エポキシ系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:OTプライマーAS水系18)を用い、OTプライマーAS水系18硬化剤50質量部に、表7に示す添加量の各種導電フィラーを添加して、導電フィラー入り硬化剤を調製し、次いで、OTプライマーAS水系18主剤100質量部とを混合して攪拌し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表7に示す。
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に変えて、溶剤系・ニトリル系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:シールドボンド)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表8に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表8に示す。
建築工事標準仕様書・同解説JASS8防水工事「ずれ・垂れ試験」に準拠し実施した。結果を表1~表8に示す。表1~表8中、接着性・密着性の欄の○はずれや垂れが生じ無かったことを示し、×はずれや垂れが生じたことを示す。
2 下地
3 導電性プライマー層
4 防水層
5 接着剤層
11 高電圧式探傷器
12 ブラシ電極
13 火花
Claims (3)
- 高電圧式探傷器のブラシ電極を防水層の上方に配置し、防水層の絶縁破壊電圧以下かつ空気の絶縁破壊電圧以上の電圧を、ブラシ電極と導電性プライマー層の間にかけ、防水層のピンホールのある箇所で火花を発生させることによる防水層のピンホール検査が可能な防水構造であって、前記防水構造は防水層、導電性プライマー層、および防水層と導電性プライマー層の間に設けられた接着剤層を含み、導電性プライマー層が導電性プライマーの硬化物からなり、導電性プライマーがバインダー樹脂と導電フィラーとを含み、導電性プライマーのJIS K6911に従って測定した表面電気抵抗が1×10 2 ~1×10 6 Ωであり、導電性プライマーの粘度が10~4000mPa・sであり、バインダー樹脂がポリイソシアナート化合物を含む主剤とアクリルポリオール樹脂組成物を含む硬化剤とからなる二液硬化型ウレタン系樹脂であり、導電フィラーがBET比表面積800~1300m 2 /gのケッチェンブラックであり、導電フィラーの含有量がバインダー樹脂100質量部に対し0.5~5.0質量部であり、導電性プライマー層の厚みが20~500μmであることを特徴とする防水構造。
- 防水層が防水シートであることを特徴とする請求項1に記載の防水構造。
- 防水シートがポリ塩化ビニルシート、ポリオレフィンシート、ゴムシートおよびアスファルトシートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の防水構造。
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