JP7121177B2 - 防水層のピンホール検査が可能な防水構造 - Google Patents

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本発明は、防水材の施工時に使用される導電性プライマーおよびこれを用いた建築物の防水構造に関し、さらに詳しくは電気放電現象による防水層のピンホール検査を可能にする導電性プライマーおよび該導電性プライマーを用いた防水構造に関する。
従来、ビルの屋上等の建築物の防水施工ではアスファルト系の防水シートや、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンあるいはゴム等の高分子系の防水シート、またはウレタン等の塗膜防水が利用されている。これらの防水層にピンホールがあると建物の雨漏りの原因となるため、通常は防水層施工後に水張り試験を行い、ピンホール検査を実施する。しかし、近年、実際に水を使用する水張り試験に代わり、電気放電現象を利用したピンホールの検査が行われるようになってきている。当該検査では、高電圧を発生させる探傷器と防水シートの下に導電層を設けることが必要である。該導電層に関しては、防水シートの表面に一定間隔の線状導電部を配置する方法(特許文献1)やPETフィルムに金属蒸着膜を設ける方法(特許文献2および特許文献3)が知られている。
特開昭58-201042号公報 特開2003-253822号公報 特開2005-146775号公報
しかしながら、防水シートに線状導電部を設けることや、金属蒸着のPETフィルムを使うことは、多くの手間とコストがかかるため、容易でかつ施工現場で導電層を設ける方法が求められている。また、従来の探傷試験は機械式固定方法に限定されているという問題があった。
そこで、本発明は接着工法で、施工現場で容易に形成することができる、高電圧探傷器でピンホール検査ができる防水構造の提供を目的とする。
上記課題に鑑み鋭意検討した結果、バインダー樹脂と導電フィラーとを含有したプライマーを用いて下地上に該プライマー層を設け、その上に防水層を設けた防水構造において、該プライマー層に導電性を持たせることで、電気放電現象を利用した探傷試験器によりピンホール検査できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本件第一発明は、バインダー樹脂と導電フィラーとを含む防水施工用導電性プライマーであって、該導電性プライマーのJIS K6911に従って測定した表面電気抵抗が1×101~1×108Ωであることを特徴とする。
本件第二発明は、高電圧式探傷器によるピンホール検査が可能な防水構造であって、前記防水構造は防水層および導電性プライマー層を含み、導電性プライマー層が前記導電性プライマーの硬化物からなることを特徴とする。
本発明は次の実施態様を含む。
[1]バインダー樹脂と導電フィラーとを含む防水施工用導電性プライマーであって、該導電性プライマーのJIS K6911に従って測定した表面電気抵抗が1×101~1×108Ωである、導電性プライマー。
[2]バインダー樹脂がウレタン系、アスファルト系、クロロプレン系、エポキシ系、ニトリル系およびアクリル系からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[3]バインダー樹脂が二液硬化型ウレタン系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[4]二液硬化型ウレタン系樹脂が、ポリイソシアナート化合物を含む主剤と、アクリルポリオール樹脂組成物を含む硬化剤とからなることを特徴とする[3]に記載の導電性プライマー。
[5]バインダー樹脂が一液硬化型ウレタン系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[6]一液硬化型ウレタン樹脂が、トリレンジイソシアナート骨格を含むウレタンプレポリマーからなることを特徴とする[5]に記載の導電性プライマー。
[7]バインダー樹脂がアスファルト系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[8]バインダー樹脂がクロロプレンゴム系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[9]バインダー樹脂が二液硬化型エポキシ系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[10]二液硬化型エポキシ系樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む主剤と、変性脂肪族ポリアミンを含む硬化剤とからなることを特徴とする[9]に記載の導電性プライマー。
[11]バインダー樹脂がニトリル系樹脂であることを特徴とする[1]に記載の導電性プライマー。
[12]ニトリル系樹脂が中高ニトリルゴムからなることを特徴とする[11]に記載の導電性プライマー。
[13]導電フィラーが金属酸化物、金属、導電性高分子およびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[12]のいずれかに記載の導電性プライマー。
[14]導電フィラーがカーボンブラックであることを特徴とする[13]に記載の導電性プライマー。
[15]導電フィラーの含有量がバインダー樹脂100質量部に対し0.5~5.0質量部であることを特徴とする[1]~[14]のいずれかに記載の導電性プライマー。
[16]高電圧式探傷器によるピンホール検査が可能な防水構造であって、前記防水構造は防水層および導電性プライマー層を含み、導電性プライマー層が[1]~[15]のいずれかに記載の導電性プライマーの硬化物からなることを特徴とする防水構造。
[17]防水層と導電性プライマー層の間に接着剤層を含む[16]に記載の防水構造。
[18]防水層が防水シートまたは塗膜防水層であることを特徴とする[16]または[17]に記載の防水構造。
[19]防水シートがポリ塩化ビニルシート、ポリオレフィンシート、ゴムシートおよびアスファルトシートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[18]に記載の防水構造。
[20]塗膜防水層がウレタン系塗膜防水層、アスファルト系塗膜防水層、エポキシ系塗膜防水層およびポリエステル系塗膜防水層からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[18]に記載の防水構造。
本発明によれば、施工が容易で、電気的、強度的に安定な導電性プライマー層を設けることができ、導電性プライマー層を利用することで高電圧式探傷器によるピンホール検査が可能な防水構造を提供できる。
図1は、本発明の防水構造の一例の模式断面図である。 図2は、本発明の防水構造の別の例の模式断面図である。 図3は、高電圧式探傷器によるピンホール検査の概略図である。
本件第一発明は、バインダー樹脂と導電フィラーとを含む防水施工用導電性プライマーであって、該導電性プライマーのJIS K6911に従って測定した表面電気抵抗が1×101~1×108Ωであることを特徴とする。
本発明の導電性プライマーは、防水施工に用いられるものである。防水施工とは、建築物の屋根などに防水構造を設ける工事をいう。防水構造は、下地上にプライマー層を設け、その上に防水層を設けた構造などをいう。
本発明の導電性プライマーは、バインダー樹脂を含む。
バインダー樹脂としては、有機溶剤系、水系のいずれのバインダー樹脂も使用することができ、有機溶剤系のバインダー樹脂としては、ウレタン系、アスファルト系、クロロプレン系、エポキシ系、ニトリル系、アクリル系、スチレンブタジエン系などを挙げることができ、ウレタン系およびエポキシ系のバインダー樹脂は一液型、二液型のいずれをも使用することができる。水系のバインダー樹脂としては、エマルション型のウレタン系、アスファルト系、クロロプレン系、エポキシ系、ニトリル系、アクリル系、スチレンブタジエン系などが挙げられる。好ましい二液硬化型ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアナート化合物を含む主剤とアクリルポリオール樹脂組成物を含む硬化剤とからなる二液硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。好ましい一液硬化型ウレタン系樹脂としては、トリレンジイソシアナート骨格を含むウレタンプレポリマーからなる一液硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。ここで、トリレンジイソシアナート骨格とは、トリレンジイソシアナートの2個のイソシアナート基(-NCO)を-NHCO-に変更した化学構造をいう。好ましいクロロプレン系樹脂としては、クロロプレンゴム系樹脂が挙げられる。好ましい二液硬化型エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む主剤と変性脂肪族ポリアミンを含む硬化剤とからなる二液硬化型エポキシ系樹脂が挙げられる。好ましいニトリル系樹脂としては、中高ニトリルゴムからなるニトリル系樹脂が挙げられる。なかでも好ましいバインダー樹脂は、二液硬化型ウレタン系樹脂である。その市販品としては、田島ルーフィング株式会社製アクリルウレタン系二液硬化型プライマー「VTプライマー」などが挙げられる。
本発明の導電性プライマーは、導電フィラーを含む。
導電フィラーとしては、電気伝導性を示し、かつバインダー樹脂に分散するものであれば使用でき、たとえば、金属酸化物、金属、導電性高分子、カーボンブラックを挙げることができる。金属酸化物としては、導電性の酸化亜鉛、酸化インジウム錫などを挙げることができる。金属としては、金、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレスなどの金属のパウダー、フレークまたは繊維を挙げることができる。導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロールなどを挙げることができる。なかでも、分散性、コスト、電気抵抗性からカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの例としては、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のケッチェンブラックEC300J、EC600JD等が挙げられる。
上記の中でも、導電性、分散性、化学的安定性などの点から、BET比表面積800~1300m2/gのケッチェンブラックが好ましい。
本発明の導電性プライマーは、JIS K6911に従って測定した表面電気抵抗が1×101~1×108Ωであり、好ましくは1×101~1×107Ωであり、より好ましくは1×102~1×106Ωであり、さらに好ましくは1×103~1×105Ωである。表面電気抵抗が大きすぎると、十分な電流が流れず、探傷試験ができなくなる。逆に、表面電気抵抗が小さすぎると、すなわち導電フィラーが多すぎると、塗布性、接着性が悪くなる。表面電気抵抗は、導電フィラーの種類および含有量を適宜選択することによって調整することができる。
導電フィラーの含有量は、所望の表面電気抵抗が得られる限り限定されないが、バインダー樹脂100質量部に対し、好ましくは0.5~5.0質量部であり、より好ましくは1.0~4.0質量部であり、さらに好ましくは1.5~3.0質量部である。導電フィラーの含有量が少なすぎると、十分な導電性を確保できなくなり、導電フィラーの含有量が多すぎると、塗布性、密着性が確保できなくなる。
導電性プライマーの粘度は、下地の表面に塗布することができる限り限定されないが、好ましくは10~5000mPa・sであり、より好ましくは10~4000mPa・sであり、さらに好ましくは10~3000mPa・sである。粘度が小さすぎたり、大きすぎたりすると、塗布性、作業性が悪くなる。
図1に、本発明の防水構造の一例の模式断面図を示す。防水構造1は、下地2の上に導電性プライマー層3が設けられ、導電性プライマー層3の上に防水層4が設けられている。下地2としては、コンクリート、金属屋根下地、木造屋根下地、断熱材下地などを挙げることができる。導電性プライマー層3は、導電性プライマーの硬化物からなる。防水層4としては、防水シートおよび塗膜防水層を挙げることができる。防水シートとしては、ポリ塩化ビニルシート、ポリオレフィンシート、ゴムシート、アスファルトシートなどを挙げることができる。防水シートの具体例としては、田島ルーフィング株式会社製ポリ塩化ビニルシート「ビュートップ」などが挙げられる。塗膜防水層としては、ウレタン系塗膜防水層、アスファルト系塗膜防水層、エポキシ系塗膜防水層、ポリエステル系塗膜防水層、変性シリコーン系塗膜防水層などを挙げることができる。
導電性プライマー層3の厚さは、導電性が得られ、かつプライマーとしての機能を発揮できる限り限定されないが、好ましくは10~1000μmであり、より好ましくは20~500μmであり、さらに好ましくは30~150μmである。導電性プライマー層3の厚さが薄すぎると、非導電性の領域が形成される可能性があり好ましくなく、導電性プライマー層3の厚さが厚すぎると、好ましい硬化が得られない場合があり、あるいはコストが上がってしまい不適である。
防水層4の厚さは、素材によっても最適な厚さは異なり、防水機能が発揮できる限り限定されないが、好ましくは0.2~10.0mmであり、より好ましくは1.0~7.5.0mmであり、さらに好ましくは1.5~5.0mmである。
図2に、本発明の防水構造の別の例の模式断面図を示す。図2の防水構造1は、下地2の上に導電性プライマー層3が設けられ、導電性プライマー層3の上に接着剤層5が設けられ、接着剤層5の上に防水層4が設けられている。防水層4としてウレタン防水層やアスファルト防水層を用いる場合など、接着剤層5を設けなくても導電性プライマー層3と防水層4の接着が十分確保できる場合は、必ずしも接着剤層5を設ける必要はないが、接着剤層5を設けることにより導電性プライマー層3と防水層4の接着をより強固にすることができる。防水層4として防水シートを用いる場合には、接着剤層5を設けることが好ましい。接着剤層5に用いる接着剤としては、充分な接着力が得られる限り限定されないが、エポキシ系、ウレタン系、アスファルト系、クロロプレン系、ニトリル系、シリコーン系、変性シリコーン系などが挙げられる。接着剤層5の厚さは、充分な接着力が得られる限り限定されないが、好ましくは0.1mm~5.0mmであり、より好ましくは0.1~3.5mmであり、さらに好ましくは0.1~2.0mmである。
防水構造1は、たとえば、コンクリートなどの下地2の表面に、導電性プライマーを塗布し、硬化させた後、必要に応じて接着剤を塗布し、防水シートなどの防水層4を設けることにより、施工することができる。
導電性プライマーの塗布量は、前述の導電性プライマー層3の厚さが得られる量である限り限定されないが、好ましくは10~1000g/m2であり、より好ましくは50~600g/m2であり、さらに好ましくは100~200g/m2である。
図3に高電圧式探傷器によるピンホール試験の概要を示す。高電圧式探傷器11は交流100Vを直流0~25kVに変圧し、防水層4の絶縁破壊電圧以下かつ空気の絶縁破壊電圧以上の電圧をブラシ電極12と導電性プライマー層3の間にかけると、ピンホールがある箇所で火花13が飛ぶので、シートのピンホールを検出することができる。なお、高電圧式探傷器11のマイナス極をアースしておけば、必ずしも高電圧式探傷器11のマイナス極を導電性プライマー層3に接続しておく必要はない。
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
アクリルポリオール樹脂化合物を含む硬化剤(田島ルーフィング株式会社製,品名:VTプライマー硬化剤)100質量部に、ケッチェンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製ケッチェンブラックEC300J)を1.5質量部添加して攪拌し、カーボン入り硬化剤を調製した。
次いで、調製したカーボン入り硬化剤101.5質量部と、ポリイソシアナート化合物を含む主剤(田島ルーフィング株式会社製,品名:VTプライマー主剤)50質量部とを混合して攪拌し、導電性プライマーを調製した。
調製した導電性プライマーの電気抵抗をJIS K6911に従って測定した。測定結果を表1に示す。
調製した導電性プライマーをスレート板にローラー刷毛を使って150g/m2塗布し、乾燥させ、導電性プライマー層を得た。該導電性プライマー層の上にポリ塩化ビニル製防水シート(田島ルーフィング株式会社製ビュートップ)を張り付け、カッターナイフで人為的に1~10mmの傷を付け、高電圧式探傷機(株式会社サンコウ電子研究所製探傷試験器TO-250D)を用いて試験を5回行い、傷を検知できるか否かを調べた。結果を表1に示す。表1中、探傷試験の欄の○は5回の試験中5回とも傷を検知できたことを示し、△は5回の試験中1回以上4回以下で傷を検知できたことを示し、×は傷を検知できなかったことを示す。
実施例2
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を0.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例1
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を0.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例3
ケッチェンブラックEC300Jをライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製ケッチェンブラックEC600JDに変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例4
ケッチェンブラックEC300JをITO粉末(三菱マテリアル電子化成株式会社製透明導電性粉末E-ITO)に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例5
実施例4の導電フィラーの添加量を0.6質量部に変更した以外は、実施例4と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例6
ケッチェンブラック1.5質量部をアルミニウム粉末(東洋アルミニウム株式会社製TFM-A05P)6.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例2
アルミニウム粉末の添加量を3.0質量部に変更した以外は、実施例6と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例3
ケッチェンブラックを添加しなかった以外は、実施例1と同様に、プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
比較例4
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を0.06質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例7
ケッチェンブラックEC300Jの添加量を10.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、導電性プライマーを調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例21~27および比較例21~24
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・アスファルト系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:アスファルトプライマー)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表2に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例31~37および比較例31~34
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・ウレタン系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:OTプライマーA)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表3に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表3に示す。
実施例41~47および比較例41~44
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・クロロプレン系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:プラストプライマー)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表4に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表4に示す。
実施例51~57および比較例51~54
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、溶剤系・エポキシ系バインダー樹脂(コニシ株式会社製,品名:ボンドE206)を用い、ボンドE206硬化剤50質量部に、表5に示す添加量の各種導電フィラーを添加して、導電フィラー入り硬化剤を調製し、次いで、ボンドE206主剤100質量部とを混合して攪拌し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表5に示す。
実施例61~67および比較例61~64
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、水系・アスファルト系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:水性プライマーAS)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表6に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表6に示す。
実施例71~77および比較例71~74
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に代えて、水系・エポキシ系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:OTプライマーAS水系18)を用い、OTプライマーAS水系18硬化剤50質量部に、表7に示す添加量の各種導電フィラーを添加して、導電フィラー入り硬化剤を調製し、次いで、OTプライマーAS水系18主剤100質量部とを混合して攪拌し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表7に示す。
実施例81~87および比較例81~84
VTプライマー主剤およびVTプライマー硬化剤に変えて、溶剤系・ニトリル系バインダー樹脂(田島ルーフィング株式会社製,品名:シールドボンド)を用い、バインダー樹脂100質量部に、表8に示す添加量の各種導電フィラーを添加し、導電性プライマーを調製した以外は、実施例1~7および比較例1~4と同様に実施した。結果を表8に示す。
Figure 0007121177000001
Figure 0007121177000002
Figure 0007121177000003
Figure 0007121177000004
Figure 0007121177000005
Figure 0007121177000006
Figure 0007121177000007
Figure 0007121177000008
表1~表8に記載した接着性・密着性は、次のようにして評価した。
[接着性・密着性の評価方法]
建築工事標準仕様書・同解説JASS8防水工事「ずれ・垂れ試験」に準拠し実施した。結果を表1~表8に示す。表1~表8中、接着性・密着性の欄の○はずれや垂れが生じ無かったことを示し、×はずれや垂れが生じたことを示す。
本発明の導電性プライマーは、高電圧式探傷器でピンホール検査ができる防水構造を施工するのに好適に利用することができる。
1 防水構造
2 下地
3 導電性プライマー層
4 防水層
5 接着剤層
11 高電圧式探傷器
12 ブラシ電極
13 火花

Claims (3)

  1. 高電圧式探傷器のブラシ電極を防水層の上方に配置し、防水層の絶縁破壊電圧以下かつ空気の絶縁破壊電圧以上の電圧を、ブラシ電極と導電性プライマー層の間にかけ、防水層のピンホールのある箇所で火花を発生させることによる防水層のピンホール検査が可能な防水構造であって、前記防水構造は防水層および導電性プライマー層を含み、導電性プライマー層が導電性プライマーの硬化物からなり、導電性プライマーがバインダー樹脂と導電フィラーとを含み、導電性プライマーのJIS K6911に従って測定した表面電気抵抗が1×10~1×10Ωであり、導電性プライマーの粘度が10~4000mPa・sであり、バインダー樹脂がアスファルト系バインダー樹脂であり、導電フィラーがBET比表面積800~1300m/gのケッチェンブラックであり、導電フィラーの含有量がバインダー樹脂100質量部に対し0.5~5.0質量部であり、導電性プライマー層の厚みが20~500μmであることを特徴とする防水構造。
  2. 防水層が塗膜防水層であることを特徴とする請求項1に記載の防水構造。
  3. 塗膜防水層がウレタン系塗膜防水層、アスファルト系塗膜防水層、エポキシ系塗膜防水層およびポリエステル系塗膜防水層からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の防水構造。
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