JP2016050256A - 導電性塗り床塗料、導電性塗り床、および建物 - Google Patents
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Abstract
【課題】工期短縮のために下塗り層と中塗り層の機能を兼ねる導電性塗り床の層を形成しうる導電性塗り床塗料、かかる導電性塗り床塗料からなる層を備えた導電性塗り床、および当該導電性塗り床を備えた工場等の建物を提供する。【解決手段】導電性塗り床塗料は、無溶剤系のエポキシ樹脂に、当該エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、25質量部以下の柱状の膨張黒鉛、および1質量部以上、2質量部以下のステンレス繊維を配合した。導電性塗り床は、前記導電性塗り床塗料からなる層を備える。導電性塗床は、当該層をプライマ層とし、その上にエポキシ樹脂、導電性物質、分散剤、および沈降防止剤を含む塗り床塗料からなる表面層を形成するのが好ましい。建物は、前記導電性塗り床を備える。【選択図】なし
Description
本発明は導電性塗り床塗料、かかる導電性塗り床塗料を塗布して形成された層を含む導電性塗り床、および当該導電性塗り床を備えた建物に関するものである。
工場をはじめとする各種生産設備等の床として、例えばエポキシ樹脂等の合成樹脂系の塗り床が広く採用されている。
かかる合成樹脂系の塗り床は一般に電気抵抗の高い絶縁体であって作業者がその上を歩行するだけで帯電しやすい上、帯電によって塗り床それ自体や作業者に蓄積される静電気を漏洩しにくいという問題がある。
かかる合成樹脂系の塗り床は一般に電気抵抗の高い絶縁体であって作業者がその上を歩行するだけで帯電しやすい上、帯電によって塗り床それ自体や作業者に蓄積される静電気を漏洩しにくいという問題がある。
そのため、例えば半導体素子等の電子部品の製造工程に使用するクリーンルーム等の高度の防塵性能が要求される床や、あるいは有機溶剤やガス等を取り扱うため静電気スパークの発生を高度に防止することが求められる床などに適用する塗り床には導電性を付与して、帯電自体を防止したり帯電によって蓄積された静電気を速やかに漏洩させたりする特性、すなわち帯電防止性能を向上することが求められる。
絶縁体である合成樹脂をベースとした塗り床に導電性を付与していわゆる導電性塗り床とするためには、合成樹脂に各種の導電材料を混入すればよいことが報告されている(例えば特許文献1、2等)。
また導電性塗り床の導電性を安定させるために、当該導電性塗り床を、コンクリート等の下地上にそれぞれ合成樹脂からなる下塗り層(プライマ層)、導電材料を混入して導電性を付与した中塗り層(導電性プライマ層)、および着色された上塗り層(表面層)を順に積層した3層構造とするのが一般的である。
また導電性塗り床の導電性を安定させるために、当該導電性塗り床を、コンクリート等の下地上にそれぞれ合成樹脂からなる下塗り層(プライマ層)、導電材料を混入して導電性を付与した中塗り層(導電性プライマ層)、および着色された上塗り層(表面層)を順に積層した3層構造とするのが一般的である。
これら各層の塗布および合成樹脂の硬化にはそれぞれおよそ1日を要するため、3層構造の導電性塗り床の施工には計3日間の工期を要する。
しかし、例えば操業中の工場の床に3層構造の導電性塗り床を施工するためにその操業を3日間にも亘って停止するのは、工場で生産される製品の生産性の観点から好ましくなく、工期の短縮が求められるようになってきている。
しかし、例えば操業中の工場の床に3層構造の導電性塗り床を施工するためにその操業を3日間にも亘って停止するのは、工場で生産される製品の生産性の観点から好ましくなく、工期の短縮が求められるようになってきている。
下塗り層は、導電性塗り床に接着強度を付加するとともに下地の不陸や凹み、傷を埋めて下地を修正するための層で、これらの目的を達成するために硬化時の収縮が小さい無溶剤系のエポキシ樹脂によって形成されることが多い。
また中塗り層は、例えば水等の溶剤系のエポキシ樹脂に導電材料を配合したものを下塗り層上に塗布したのち、乾燥させて水等を除去するとともにエポキシ樹脂を硬化させて形成されるのが一般的である。
また中塗り層は、例えば水等の溶剤系のエポキシ樹脂に導電材料を配合したものを下塗り層上に塗布したのち、乾燥させて水等を除去するとともにエポキシ樹脂を硬化させて形成されるのが一般的である。
中塗り層においては、配合した導電材料間の物理的距離が乾燥および硬化時の体積減少によって縮められることで層全体での導電性が発現される。そのため導電材料の割合を中塗り層用の塗料の流動を妨げない範囲に制限しても、形成された中塗り層には、上記体積減少による導電材料間の物理的距離の短縮によって良好な導電性を付与できる。
上記下塗り層と中塗り層の2層を1層にまとめて工期を短縮することが考えられる。
上記下塗り層と中塗り層の2層を1層にまとめて工期を短縮することが考えられる。
ところが、上記のように中塗り層用の塗料は主に導電性付与の観点から乾燥および硬化時の体積の減少率が大きく設定されているため、当該従来の中塗り層に下地を修正するという下塗り層の機能を兼ねさせることはできない。
一方の下塗り層は、先に説明したように下地を修正する機能を付与するために無溶剤系で硬化時に殆ど体積減少しないエポキシ樹脂からなるため、当該下塗り層用の塗料に中塗り層と同程度の割合で導電材料を配合しても硬化時に導電材料間の物理的距離は縮まらず、中塗り層と同等程度の良好な導電性を発現させることはできない。
一方の下塗り層は、先に説明したように下地を修正する機能を付与するために無溶剤系で硬化時に殆ど体積減少しないエポキシ樹脂からなるため、当該下塗り層用の塗料に中塗り層と同程度の割合で導電材料を配合しても硬化時に導電材料間の物理的距離は縮まらず、中塗り層と同等程度の良好な導電性を発現させることはできない。
適度な物理的距離を確保するために導電材料の割合を多くすることが考えられるが、その場合には粘度が高くなりすぎて下塗り層用の塗料を混合したりかく拌したりするのが困難になって、導電材料が均一に分散された均一な下塗り層用の塗料を調製できなくなってしまう。
そのため従来の下塗り層に中塗り層の機能を兼ねさせることもできない。
そのため従来の下塗り層に中塗り層の機能を兼ねさせることもできない。
本発明の目的は、工期短縮のために下塗り層と中塗り層の機能を兼ねる導電性塗り床の層を形成しうる導電性塗り床塗料、かかる導電性塗り床塗料からなる層を備えた導電性塗り床、および当該導電性塗り床を備えた工場等の建物を提供することにある。
本発明は、無溶剤系のエポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、25質量部以下の柱状の膨張性黒鉛、および1質量部以上、2質量部以下のステンレス繊維を含む導電性塗り床塗料である。
また本発明は、前記本発明の導電性塗り床塗料を下地上に塗布し、前記エポキシ樹脂を硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とする導電性塗り床である。
また本発明は、前記本発明の導電性塗り床塗料を下地上に塗布し、前記エポキシ樹脂を硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とする導電性塗り床である。
さらに本発明は、前記本発明の導電性塗り床を備えることを特徴とする建物である。
本発明によれば、工期短縮のために下塗り層と中塗り層の機能を兼ねる導電性塗り床の層を形成しうる導電性塗り床塗料、かかる導電性塗り床塗料からなる層を備えた導電性塗り床、および当該導電性塗り床を備えた工場等の建物を提供できる。
〈導電性塗り床塗料〉
本発明は無溶剤系のエポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、25質量部以下の柱状の膨張性黒鉛、および1質量部以上、2質量部以下のステンレス繊維を含む導電性塗り床塗料である。
従来、中塗り層用の導電材料としては例えば球状の人造黒鉛等を使用していた。
本発明は無溶剤系のエポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、25質量部以下の柱状の膨張性黒鉛、および1質量部以上、2質量部以下のステンレス繊維を含む導電性塗り床塗料である。
従来、中塗り層用の導電材料としては例えば球状の人造黒鉛等を使用していた。
しかしかかる球状の人造黒鉛等を、先述したように無溶剤系で硬化時に殆ど体積減少しないエポキシ樹脂からなる下塗り層用の塗料中に、中塗り層の場合と同程度の割合で配合しても、層に良好な導電性を付与することはできなかった。
これに対し柱状の膨張性黒鉛は、その名のとおり黒鉛を柱状に膨張させてなり柱の長さ方向の寸法がその他の方向の寸法に比べて大きいことから、従来の球状のもの等とは違い、無溶剤系で硬化時に殆ど体積減少しないエポキシ樹脂中にその流動を妨げないために上記所定の割合で配合しても、上記形状的特徴に基づいて隣り合う膨張黒鉛間で適度な物理的距離を確保したり互いに接触したりして良好な導電性を有する層を形成できる。
これに対し柱状の膨張性黒鉛は、その名のとおり黒鉛を柱状に膨張させてなり柱の長さ方向の寸法がその他の方向の寸法に比べて大きいことから、従来の球状のもの等とは違い、無溶剤系で硬化時に殆ど体積減少しないエポキシ樹脂中にその流動を妨げないために上記所定の割合で配合しても、上記形状的特徴に基づいて隣り合う膨張黒鉛間で適度な物理的距離を確保したり互いに接触したりして良好な導電性を有する層を形成できる。
そのためかかる層を、例えば従来の下塗り層と中塗り層の機能を兼ねる単層のプライマ層として導電性塗り床の全体の層数を減らし、工期を短縮することが可能となる。
ただし柱状の膨張性黒鉛のみを配合したのでは上記層の、あるいはその上に表面層を積層して形成した導電性塗り床の抵抗値が面方向でばらつきやすく、ばらつきを生じると良好な帯電防止性能が得られないおそれがある。
ただし柱状の膨張性黒鉛のみを配合したのでは上記層の、あるいはその上に表面層を積層して形成した導電性塗り床の抵抗値が面方向でばらつきやすく、ばらつきを生じると良好な帯電防止性能が得られないおそれがある。
これに対し柱状の膨張性黒鉛とともにステンレス繊維を上記所定の割合で併用すると、かかるステンレス繊維が膨張性黒鉛よりも非常に高い導電性を有するため、当該層の、ひいては導電性塗り床の面方向の抵抗値のばらつきを極力小さくして、より一層帯電防止性能に優れた導電性塗り床を形成することが可能となる。
ただしステンレス繊維は、後述するように柱状の膨張性黒鉛よりもかなり大きいため、例えば膨張性黒鉛に代えてステンレス繊維のみを上記所定の割合を超えて多量に配合しても加工性が低下してしまい、導電性に優れた層を形成するのは困難である。すなわち、かかる多量のステンレス繊維を導電性塗り床塗料中に均一に分散させるのは難しい上、かかる導電性塗り床塗料を下地上に均一に塗布するのも困難である。
ただしステンレス繊維は、後述するように柱状の膨張性黒鉛よりもかなり大きいため、例えば膨張性黒鉛に代えてステンレス繊維のみを上記所定の割合を超えて多量に配合しても加工性が低下してしまい、導電性に優れた層を形成するのは困難である。すなわち、かかる多量のステンレス繊維を導電性塗り床塗料中に均一に分散させるのは難しい上、かかる導電性塗り床塗料を下地上に均一に塗布するのも困難である。
そのため本発明では、柱状の膨張性黒鉛とともに上記範囲の少量のステンレス繊維を併用して加工性の低下を防止しながら、形成される層に良好な導電性を付与している。
なおステンレス繊維を併用することによる、面方向の抵抗値のばらつきを極力小さくして帯電防止性能を向上する効果は、上記層単層で導電性塗り床を形成する場合にも同様に奏することができる。
なおステンレス繊維を併用することによる、面方向の抵抗値のばらつきを極力小さくして帯電防止性能を向上する効果は、上記層単層で導電性塗り床を形成する場合にも同様に奏することができる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)で液状を呈するため水等の溶剤が不要で、なおかつ乾燥および硬化時の収縮が小さいため下地の修正に適した種々の液状のエポキシ樹脂、特に液状で、なおかつ硬化剤との反応によって硬化するいわゆる2液硬化タイプのエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)で液状を呈するため水等の溶剤が不要で、なおかつ乾燥および硬化時の収縮が小さいため下地の修正に適した種々の液状のエポキシ樹脂、特に液状で、なおかつ硬化剤との反応によって硬化するいわゆる2液硬化タイプのエポキシ樹脂が好ましい。
かかるエポキシ樹脂としては、例えば住友ゴム工業(株)製のグリップコート(登録商標)C301、C312、C355等が挙げられる。
(硬化剤)
2液硬化タイプのエポキシ樹脂の硬化剤としては、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)でエポキシ樹脂を硬化させることができる種々の硬化剤が使用可能である。
(硬化剤)
2液硬化タイプのエポキシ樹脂の硬化剤としては、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)でエポキシ樹脂を硬化させることができる種々の硬化剤が使用可能である。
硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類またはその変成品、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン類またはその変成品、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物等の酸無水物類、ポリサルファイド、酸アミド、チオコール等の1種または2種以上が挙げられる。
硬化剤の具体例としては、例えば住友ゴム工業(株)製のグリップコートH312F(変性アミン系)、H326、H355等が挙げられる。
(柱状の膨張黒鉛)
柱状の膨張黒鉛としては、黒鉛を層間処理後に熱膨張させる等して得られる、種々の柱状の膨張黒鉛がいずれも使用可能である。
(柱状の膨張黒鉛)
柱状の膨張黒鉛としては、黒鉛を層間処理後に熱膨張させる等して得られる、種々の柱状の膨張黒鉛がいずれも使用可能である。
かかる膨張黒鉛は、柱の長さが20μm以上、特に80μm以上であるのが好ましく、200μm以下、特に120μm以下であるのが好ましい。
長さがこの範囲未満では、その形状的特徴に基づいて層に良好な導電性を付与する効果が十分に得られないおそれがある。
一方、膨張黒鉛を構成する黒鉛の層間の結合力はあまり強くなく、途中で折れたりしやすいことから、上記の範囲を超える長い膨張黒鉛を製造するのは容易でない。
長さがこの範囲未満では、その形状的特徴に基づいて層に良好な導電性を付与する効果が十分に得られないおそれがある。
一方、膨張黒鉛を構成する黒鉛の層間の結合力はあまり強くなく、途中で折れたりしやすいことから、上記の範囲を超える長い膨張黒鉛を製造するのは容易でない。
柱状の膨張黒鉛としては、新越化成(株)製のBSP−100A(長さ:100μm)等が挙げられる。
膨張黒鉛の配合割合は、先に説明したように無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、25質量部以下に限定される。
柱状の膨張黒鉛の配合割合がこの範囲未満では、その形状的特徴によって層に良好な導電性を付与する効果が得られない。
膨張黒鉛の配合割合は、先に説明したように無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、25質量部以下に限定される。
柱状の膨張黒鉛の配合割合がこの範囲未満では、その形状的特徴によって層に良好な導電性を付与する効果が得られない。
一方、柱状の膨張黒鉛の配合割合が上記の範囲を超える場合には粘度が高くなりすぎて混合したりかく拌したりするのが困難になり、当該膨張黒鉛やステンレス繊維が均一に分散された均一な導電性塗り床塗料を調製できない。
これに対し柱状の膨張黒鉛の配合割合を上記の範囲とすることで、当該膨張黒鉛やステンレス繊維をエポキシ樹脂中に容易かつ均一に分散させて導電性塗り床塗料を調製できる上、当該導電性塗り床塗料からなる層に良好な導電性をも付与できる。
これに対し柱状の膨張黒鉛の配合割合を上記の範囲とすることで、当該膨張黒鉛やステンレス繊維をエポキシ樹脂中に容易かつ均一に分散させて導電性塗り床塗料を調製できる上、当該導電性塗り床塗料からなる層に良好な導電性をも付与できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると柱状の膨張黒鉛の配合割合は、上記の範囲でも無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部あたり15質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下であるのが好ましい。
ちなみに配合割合の基準となるエポキシ樹脂の質量部は、2液硬化タイプのエポキシ樹脂を使用する場合、硬化剤を含まないエポキシ樹脂のみの質量部とする。以下の各成分についても同様である。
ちなみに配合割合の基準となるエポキシ樹脂の質量部は、2液硬化タイプのエポキシ樹脂を使用する場合、硬化剤を含まないエポキシ樹脂のみの質量部とする。以下の各成分についても同様である。
(ステンレス繊維)
ステンレス繊維としては、例えばSUS316L、SUS304等のステンレス鋼からなるステンレス繊維を所定の長さに切断したものや、当該ステンレス繊維の集合体であるトウに撚りを加えた撚糸、縫い糸等を所定の長さに切断したもの、あるいは上記トウを例えばPVA、PET、EVA等のサイジング材で収束させ、所定の長さに切断してペレット状にしたもの(チョップ)等が挙げられる。
ステンレス繊維としては、例えばSUS316L、SUS304等のステンレス鋼からなるステンレス繊維を所定の長さに切断したものや、当該ステンレス繊維の集合体であるトウに撚りを加えた撚糸、縫い糸等を所定の長さに切断したもの、あるいは上記トウを例えばPVA、PET、EVA等のサイジング材で収束させ、所定の長さに切断してペレット状にしたもの(チョップ)等が挙げられる。
かかるステンレス繊維としては、例えば日本精線(株)製のナスロン(登録商標)シリーズのステンレス繊維や撚糸、縫い糸等を所定の長さに切断したものや、上記ナスロンシリーズの各種サイズのチョップ等の1種または2種以上が挙げられる。
ステンレス繊維の長さは0.3mm以上、特に0.7mm以上であるのが好ましく、2mm以下、特に1.3mm以下であるのが好ましい。
ステンレス繊維の長さは0.3mm以上、特に0.7mm以上であるのが好ましく、2mm以下、特に1.3mm以下であるのが好ましい。
長さがこの範囲未満では、ステンレス繊維の高い導電性によって層の面方向の抵抗値のばらつきを小さくする効果が十分に得られないおそれがある。
一方、長さが上記の範囲を超える場合には混合したりかく拌したりするのが困難になり、ステンレス繊維や柱状の膨張黒鉛が均一に分散された均一な導電性塗り床塗料を調製できないおそれがある。また調製した導電性塗り床塗料を下地上に均一に塗布したりできないおそれもある。また層の厚みにもよるが、層の表面からステンレス繊維が突出する等して単層のまたは複層の導電性塗り床の表面の平滑性が低下するおそれもある。
一方、長さが上記の範囲を超える場合には混合したりかく拌したりするのが困難になり、ステンレス繊維や柱状の膨張黒鉛が均一に分散された均一な導電性塗り床塗料を調製できないおそれがある。また調製した導電性塗り床塗料を下地上に均一に塗布したりできないおそれもある。また層の厚みにもよるが、層の表面からステンレス繊維が突出する等して単層のまたは複層の導電性塗り床の表面の平滑性が低下するおそれもある。
またステンレス繊維の径は、もとになるステンレス繊維の径や、撚糸、縫い糸、チョップではステンレス繊維の本数等に応じて任意に設定できる。ただし層の面方向の抵抗値のばらつきをできるだけ小さくすることを考慮すると、長さの1/10以下、特に1/100以下であるのが好ましい。
ステンレス繊維の配合割合は、先に説明したように無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部あたり1質量部以上、2質量部以下に限定される。
ステンレス繊維の配合割合は、先に説明したように無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部あたり1質量部以上、2質量部以下に限定される。
ステンレス繊維の配合割合がこの範囲未満では、当該ステンレス繊維を配合することによる、層の面方向の抵抗値のばらつきを極力小さくして、当該層を少なくとも含む単層または複層の導電性塗り床に良好な帯電防止性能を付与する効果が得られない。
一方、ステンレス繊維の配合割合が上記の範囲を超える場合には先述したように加工性が低下して混合したりかく拌したりするのが困難になり、当該ステンレス繊維や柱状の膨張黒鉛が均一に分散された均一な導電性塗り床塗料を調製できない。また調製した導電性塗り床を下地上に均一に塗布するのも困難である。
一方、ステンレス繊維の配合割合が上記の範囲を超える場合には先述したように加工性が低下して混合したりかく拌したりするのが困難になり、当該ステンレス繊維や柱状の膨張黒鉛が均一に分散された均一な導電性塗り床塗料を調製できない。また調製した導電性塗り床を下地上に均一に塗布するのも困難である。
これに対しステンレス繊維の配合割合を上記の範囲とすることで、当該ステンレス繊維や柱状の膨張黒鉛をエポキシ樹脂中に容易かつ均一に分散させて導電性塗り床塗料を調製するとともに下地上に均一に塗布できる上、かかる導電性塗り床塗料からなる層を含む導電性塗り床の面方向の抵抗値のばらつきを極力小さくして良好な帯電防止性能を付与できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮するとステンレス繊維の配合割合は、上記の範囲でも無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部あたり1.5質量部以下であるのが好ましく、1.2質量部以下であるのが好ましい。
(その他)
本発明の導電性塗り床塗料には、さらに粘度や流動性を調整するための反応性希釈剤、エポキシ樹脂の硬化反応を促進するための触媒等を適宜の割合で配合してもよい。また導電性塗り床が単層である場合は、当該層を着色するために顔料等の着色剤を配合してもよい。
(その他)
本発明の導電性塗り床塗料には、さらに粘度や流動性を調整するための反応性希釈剤、エポキシ樹脂の硬化反応を促進するための触媒等を適宜の割合で配合してもよい。また導電性塗り床が単層である場合は、当該層を着色するために顔料等の着色剤を配合してもよい。
(導電性塗り床塗料)
エポキシ樹脂が硬化剤との反応によって硬化する2液硬化タイプのエポキシ樹脂である場合、導電性塗り床塗料は、エポキシ樹脂に膨張黒鉛とステンレス繊維を分散させた主剤と硬化剤の2液タイプとして構成し、当該主剤と硬化剤とを施工現場において所定の割合で配合して下地上に塗布するのが好ましい。
エポキシ樹脂が硬化剤との反応によって硬化する2液硬化タイプのエポキシ樹脂である場合、導電性塗り床塗料は、エポキシ樹脂に膨張黒鉛とステンレス繊維を分散させた主剤と硬化剤の2液タイプとして構成し、当該主剤と硬化剤とを施工現場において所定の割合で配合して下地上に塗布するのが好ましい。
また上記主剤を調製する場合は、まずエポキシ樹脂にステンレス繊維を所定の割合で配合して混錬後に膨張黒鉛を配合するのが、両者をともに導電性塗り床塗料中に均一に分散させる上で好ましい。
〈導電性塗り床〉
本発明の導電性塗り床は、上記本発明の導電性塗り床塗料を下地上に塗布し、エポキシ樹脂を硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とするものである。
〈導電性塗り床〉
本発明の導電性塗り床は、上記本発明の導電性塗り床塗料を下地上に塗布し、エポキシ樹脂を硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とするものである。
かかる本発明の導電性塗り床は、上記本発明の導電性塗り床塗料からなる、従来の下塗り層と中塗り層の機能を兼ね備えた層を備えることから全体の層数が少なくて済み、その施工工期を短縮できる。また面方向の導電性のばらつきを極力小さくして良好な帯電防止性能を付与できる。
本発明の構成は単層の、または多層構造を有する種々の導電性塗り床に適用可能である。
本発明の構成は単層の、または多層構造を有する種々の導電性塗り床に適用可能である。
すなわち本発明の導電性塗り床塗料を塗布し、硬化させて形成した層単層で導電性塗り床を形成してもよいし、かかる層を含む多層構造の導電性塗り床を形成してもよい。
ただし本発明の導電性塗り床は、上記層を従来の下塗り層および中塗り層を兼ねる単層のプライマ層として、その上にさらに表面層(上塗り層)を積層した2層構造とするのが好ましい。
ただし本発明の導電性塗り床は、上記層を従来の下塗り層および中塗り層を兼ねる単層のプライマ層として、その上にさらに表面層(上塗り層)を積層した2層構造とするのが好ましい。
かかる構成とすると、従来の3層構造の導電性塗り床に比べて施工工期を2/3に短縮できる。またプライマ層上に表面層を積層することで、導電性塗り床の全体としての導電性を安定させることもできる。
(表面層)
表面層は従来同様に形成できる。すなわちプライマ層に対する親和性、密着性に優れた合成樹脂、特にエポキシ樹脂中に導電性物質や顔料等の着色剤を配合した2液室温硬化型、1液湿気硬化型等の表面層用の塗り床塗料をプライマ層上に塗布し、エポキシ樹脂を硬化させて表面層を形成できる。
(表面層)
表面層は従来同様に形成できる。すなわちプライマ層に対する親和性、密着性に優れた合成樹脂、特にエポキシ樹脂中に導電性物質や顔料等の着色剤を配合した2液室温硬化型、1液湿気硬化型等の表面層用の塗り床塗料をプライマ層上に塗布し、エポキシ樹脂を硬化させて表面層を形成できる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、本発明の導電性塗り床塗料において使用しているのと同じく、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)で液状を呈するため水等の溶剤が不要で、なおかつ乾燥および硬化時の収縮が小さいため下地の修正に適した種々の液状のエポキシ樹脂、特に液状で、なおかつ硬化剤との反応によって硬化するいわゆる2液硬化タイプのエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、本発明の導電性塗り床塗料において使用しているのと同じく、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)で液状を呈するため水等の溶剤が不要で、なおかつ乾燥および硬化時の収縮が小さいため下地の修正に適した種々の液状のエポキシ樹脂、特に液状で、なおかつ硬化剤との反応によって硬化するいわゆる2液硬化タイプのエポキシ樹脂が好ましい。
(硬化剤)
2液硬化タイプのエポキシ樹脂の硬化剤としては、本発明の導電性塗り床塗料において使用しているのと同じく、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)でエポキシ樹脂を硬化させることができる種々の硬化剤が使用可能である。
硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類またはその変成品、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン類またはその変成品、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物等の酸無水物類、ポリサルファイド、酸アミド、チオコール等の1種または2種以上が挙げられる。
2液硬化タイプのエポキシ樹脂の硬化剤としては、本発明の導電性塗り床塗料において使用しているのと同じく、導電性塗り床の施工環境温度(特に室温)でエポキシ樹脂を硬化させることができる種々の硬化剤が使用可能である。
硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類またはその変成品、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン類またはその変成品、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物等の酸無水物類、ポリサルファイド、酸アミド、チオコール等の1種または2種以上が挙げられる。
(導電性物質)
導電性物質としては、例えば導電性亜鉛華(酸化亜鉛、ZnO)、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)などの導電性金属酸化物の1種または2種以上が挙げられる。
これら導電性金属酸化物は通常は白色ないしは淡色を呈するため、表面層の外観や美装性を向上できる。
導電性物質としては、例えば導電性亜鉛華(酸化亜鉛、ZnO)、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)などの導電性金属酸化物の1種または2種以上が挙げられる。
これら導電性金属酸化物は通常は白色ないしは淡色を呈するため、表面層の外観や美装性を向上できる。
また導電性物質としては、導電性金属酸化物とともに例えば炭素繊維、金属繊維等の1種または2種以上を併用してもよい。
導電性物質の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、100質量部以下、特に80質量部以下であるのが好ましい。
導電性物質の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、100質量部以下、特に80質量部以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、表面層の抵抗値を十分に低下させることができず、導電性塗り床に良好な帯電防止性能を付与できないおそれがある。
一方、範囲を超える場合には相対的にエポキシ樹脂の配合割合が少なくなるため表面層の、ひいては導電性塗り床の強度や耐久性が低下するおそれがある。
これに対し導電性物質の配合割合を先に説明した範囲に設定することにより、強度や耐久性の低下を防止しながら、なおかつ導電性塗り床にさらに良好な帯電防止性能を付与できる。
一方、範囲を超える場合には相対的にエポキシ樹脂の配合割合が少なくなるため表面層の、ひいては導電性塗り床の強度や耐久性が低下するおそれがある。
これに対し導電性物質の配合割合を先に説明した範囲に設定することにより、強度や耐久性の低下を防止しながら、なおかつ導電性塗り床にさらに良好な帯電防止性能を付与できる。
なお配合割合は、2種以上の導電性物質を併用する場合、その合計の配合割合が上記の範囲内となるように設定すればよい。
(その他)
表面層用の塗り床塗料には、さらに表面層を着色するための顔料等の着色剤や、塗り床塗料の粘度および流動性を調整するための反応性希釈剤、あるいはエポキシ樹脂の硬化反応を促進するための触媒等を適宜の割合で配合してもよい。
(その他)
表面層用の塗り床塗料には、さらに表面層を着色するための顔料等の着色剤や、塗り床塗料の粘度および流動性を調整するための反応性希釈剤、あるいはエポキシ樹脂の硬化反応を促進するための触媒等を適宜の割合で配合してもよい。
(塗り床塗料)
エポキシ樹脂が、硬化剤との反応によって硬化する2液硬化タイプのエポキシ樹脂である場合、表面層用の塗り床塗料は、エポキシ樹脂に導電性物質、分散剤、沈降防止剤、着色剤その他を配合した主剤と、硬化剤の2液タイプとして構成し、主剤と硬化剤とを施工現場において所定の割合で配合してプライマ層上に塗布するのが好ましい。
エポキシ樹脂が、硬化剤との反応によって硬化する2液硬化タイプのエポキシ樹脂である場合、表面層用の塗り床塗料は、エポキシ樹脂に導電性物質、分散剤、沈降防止剤、着色剤その他を配合した主剤と、硬化剤の2液タイプとして構成し、主剤と硬化剤とを施工現場において所定の割合で配合してプライマ層上に塗布するのが好ましい。
(抵抗値)
プライマ層と表面層の2層構造の導電性塗り床の表面の抵抗値は1.0×104Ω以上、特に7.5×105Ω以上であるのが好ましく、1.0×108Ω以下、特に3.5×107Ω以下であるのが好ましい。
抵抗値をこの範囲未満とするためには(1) プライマ層における膨張黒鉛の配合割合を多くしたり、(2) 表面層を薄くしたり、あるいは(3) 表面層における導電性物質の配合割合を多くしたりしなければならず、(1)の場合には導電性塗り床塗料の流動が妨げられて下地上に均一に塗布しにくくなったり、下地の修正が却って容易でなくなったりするおそれがある。また(2)(3)の場合には表面層の耐久性が低下し、さらに(2)の場合には、表面層を設けることによる、導電性塗り床の全体としての導電性を安定させる効果が十分に得られないおそれがある。
プライマ層と表面層の2層構造の導電性塗り床の表面の抵抗値は1.0×104Ω以上、特に7.5×105Ω以上であるのが好ましく、1.0×108Ω以下、特に3.5×107Ω以下であるのが好ましい。
抵抗値をこの範囲未満とするためには(1) プライマ層における膨張黒鉛の配合割合を多くしたり、(2) 表面層を薄くしたり、あるいは(3) 表面層における導電性物質の配合割合を多くしたりしなければならず、(1)の場合には導電性塗り床塗料の流動が妨げられて下地上に均一に塗布しにくくなったり、下地の修正が却って容易でなくなったりするおそれがある。また(2)(3)の場合には表面層の耐久性が低下し、さらに(2)の場合には、表面層を設けることによる、導電性塗り床の全体としての導電性を安定させる効果が十分に得られないおそれがある。
一方、抵抗値が範囲を超える場合には、導電性塗り床に適度な導電性とそれに伴う良好な帯電防止性能とを付与する効果が十分に得られないおそれがある。
両層の厚みは特に限定されないが、プライマ層の厚みは、そのもとになる導電性塗り床塗料の、単位面積あたりの塗布量で表して0.2kg/m2以上であるのが好ましく、0.5kg/m2以下であるのが好ましい。
両層の厚みは特に限定されないが、プライマ層の厚みは、そのもとになる導電性塗り床塗料の、単位面積あたりの塗布量で表して0.2kg/m2以上であるのが好ましく、0.5kg/m2以下であるのが好ましい。
塗布量がこの範囲未満ではプライマ層が薄すぎて、当該プライマ層を形成することによる、導電性塗り床に適度な導電性とそれに伴う良好な帯電防止性能とを付与する効果が十分に得られないおそれがある。またプライマ層を形成することによる、接着強度を付加するとともに下地の不陸や凹み、傷を埋めて下地を修正する効果が十分に得られないおそれもある。
また、塗布量が範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、多量の導電性塗り床塗料を消費するため導電性塗り床のコストアップにつながるおそれがある。
表面層の厚みは、そのもとになる塗料が無溶剤系である場合、単位面積あたりの塗布量で表して0.5kg/m2以上であるのが好ましく、3.7kg/m2以下であるのが好ましい。溶剤系の場合はこの範囲に溶剤の含量を加味すればよい。
表面層の厚みは、そのもとになる塗料が無溶剤系である場合、単位面積あたりの塗布量で表して0.5kg/m2以上であるのが好ましく、3.7kg/m2以下であるのが好ましい。溶剤系の場合はこの範囲に溶剤の含量を加味すればよい。
塗布量がこの範囲未満では表面層が薄すぎて当該表面層の耐久性が低下するとともに、表面層を設けることによる、導電性塗り床の全体としての導電性を安定させる効果が十分に得られないおそれがある。
一方、範囲を超える場合には、導電性塗り床の表面の抵抗値が先に説明した範囲を超えてしまい、導電性塗り床に適度な導電性とそれに伴う良好な帯電防止性能とを付与する効果が十分に得られないおそれがある。
一方、範囲を超える場合には、導電性塗り床の表面の抵抗値が先に説明した範囲を超えてしまい、導電性塗り床に適度な導電性とそれに伴う良好な帯電防止性能とを付与する効果が十分に得られないおそれがある。
〈建物〉
本発明の建物は、前記本発明の導電性塗り床を備えることを特徴とする。
かかる本発明の建物は本発明の導電性塗り床を備え、かかる導電性塗り床が無溶剤系で硬化時に殆ど体積減少しないエポキシ樹脂を含む本発明の導電性塗り床塗料からなる層を備え樹脂分が多いため、床のそして建物全体の強度が向上するという利点がある。
本発明の建物は、前記本発明の導電性塗り床を備えることを特徴とする。
かかる本発明の建物は本発明の導電性塗り床を備え、かかる導電性塗り床が無溶剤系で硬化時に殆ど体積減少しないエポキシ樹脂を含む本発明の導電性塗り床塗料からなる層を備え樹脂分が多いため、床のそして建物全体の強度が向上するという利点がある。
かかる本発明の建物としては、特に前述したように半導体素子等の電子部品の製造工程に使用するクリーンルーム等の工場などの、床に高度の防塵性能が要求される建物や、あるいは有機溶剤やガス等を取り扱う工場などの、床に静電気スパークの発生を高度に防止することが求められる建物等が挙げられる。
以下の各実施例、比較例における主剤および塗料の調製、塗布、硬化、養生ならびに評価はいずれも温度23℃、相対湿度50%の環境下で実施した。
《実施例1》
〈プライマ層用の導電性塗り床塗料〉
(主剤)
無溶剤系のエポキシ樹脂〔住友ゴム工業(株)製のグリップコート(登録商標)C312〕100質量部にまずステンレス繊維〔日本精線(株)製のナスロン(登録商標)、6μm×1mm〕1質量部を配合し、汎用かく拌機〔リョービ(株)製の商品名パワーミキサPM−850、羽根径:φ150mm〕を使用して3分間かく拌した後、さらに柱状の膨張黒鉛〔新越化成(株)製のBSP−100A、長さ:100μm〕20質量部を加えて2分間かく拌して2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
《実施例1》
〈プライマ層用の導電性塗り床塗料〉
(主剤)
無溶剤系のエポキシ樹脂〔住友ゴム工業(株)製のグリップコート(登録商標)C312〕100質量部にまずステンレス繊維〔日本精線(株)製のナスロン(登録商標)、6μm×1mm〕1質量部を配合し、汎用かく拌機〔リョービ(株)製の商品名パワーミキサPM−850、羽根径:φ150mm〕を使用して3分間かく拌した後、さらに柱状の膨張黒鉛〔新越化成(株)製のBSP−100A、長さ:100μm〕20質量部を加えて2分間かく拌して2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
(硬化剤)
硬化剤としては変性アミン系硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH312F〕を用意した。
〈プライマ層〉
上記主剤に、当該主剤100質量部あたり40質量部の硬化剤を配合し、かく拌してプライマ層のもとになる導電性塗り床塗料を調製した。
硬化剤としては変性アミン系硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH312F〕を用意した。
〈プライマ層〉
上記主剤に、当該主剤100質量部あたり40質量部の硬化剤を配合し、かく拌してプライマ層のもとになる導電性塗り床塗料を調製した。
そしてこの導電性塗り床塗料を下地の表面に単位面積当たりの塗布量が0.4kg/m2となるように塗布し、24時間静置して硬化させてプライマ層を形成した。
〈表面層用の塗り床塗料〉
(主剤)
主剤としてはエポキシ樹脂、当該エポキシ樹脂100質量部あたり25質量部の導電性酸化亜鉛、0.5質量部の炭素繊維、および1.4質量部の金属繊維を含む主剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートC503〕を用意した。
〈表面層用の塗り床塗料〉
(主剤)
主剤としてはエポキシ樹脂、当該エポキシ樹脂100質量部あたり25質量部の導電性酸化亜鉛、0.5質量部の炭素繊維、および1.4質量部の金属繊維を含む主剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートC503〕を用意した。
(硬化剤)
硬化剤としては変性脂肪族ポリアミン系硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH506S〕を用意した。
〈表面層〉
上記主剤に、当該主剤100質量部あたり25質量部の硬化剤を配合し、かく拌して表面層のもとになる塗り床塗料を調製した。
硬化剤としては変性脂肪族ポリアミン系硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH506S〕を用意した。
〈表面層〉
上記主剤に、当該主剤100質量部あたり25質量部の硬化剤を配合し、かく拌して表面層のもとになる塗り床塗料を調製した。
そしてこの塗り床塗料を先のプライマ層の上に単位面積当たりの塗布量が1.3kg/m2となるように塗布し、24時間静置して硬化させて表面層を形成した。
《実施例2》
無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部に対するステンレス繊維の配合割合を2質量部としたこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
《実施例2》
無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部に対するステンレス繊維の配合割合を2質量部としたこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
そしてこの主剤を使用したこと以外は実施例1と同様にしてプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製し、下地上に塗布してプライマ層を形成したのち、その上に実施例1で使用したのと同じ表面層用の塗り床塗料を塗布して表面層を形成した。
《比較例1》
ステンレス繊維を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
《比較例1》
ステンレス繊維を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
そしてこの主剤を使用したこと以外は実施例1と同様にしてプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製し、下地上に塗布してプライマ層を形成したのち、その上に実施例1で使用したのと同じ表面層用の塗り床塗料を塗布して表面層を形成した。
《実施例3〜5、比較例2》
無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部に対するステンレス繊維の配合割合を1質量部とするとともに、膨張黒鉛の配合割合を5質量部(比較例2)、10質量部(実施例3)、15質量部(実施例4)、および25質量部(実施例5)としたこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
《実施例3〜5、比較例2》
無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部に対するステンレス繊維の配合割合を1質量部とするとともに、膨張黒鉛の配合割合を5質量部(比較例2)、10質量部(実施例3)、15質量部(実施例4)、および25質量部(実施例5)としたこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
そしてこの主剤を使用したこと以外は実施例1と同様にしてプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製し、下地上に塗布してプライマ層を形成したのち、その上に実施例1で使用したのと同じ表面層用の塗り床塗料を塗布して表面層を形成した。
《比較例3》
無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部に対するステンレス繊維の配合割合を1質量部とするとともに、膨張黒鉛の配合割合を30質量部としたこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製しようとしたが、粘度が高すぎて均一にかく拌することができなかった。そのためその後の操作は行わず、後述する評価試験も実施しなかった。
《比較例3》
無溶剤系のエポキシ樹脂100質量部に対するステンレス繊維の配合割合を1質量部とするとともに、膨張黒鉛の配合割合を30質量部としたこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製しようとしたが、粘度が高すぎて均一にかく拌することができなかった。そのためその後の操作は行わず、後述する評価試験も実施しなかった。
《比較例4》
ステンレス繊維を配合せず、かつ膨張黒鉛に代えて球状の人造黒鉛(平均粒径:10μm未満)をエポキシ樹脂100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
そしてこの主剤を使用したこと以外は実施例1と同様にしてプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製し、下地上に塗布してプライマ層を形成したのち、その上に実施例1で使用したのと同じ表面層用の塗り床塗料を塗布して表面層を形成した。
ステンレス繊維を配合せず、かつ膨張黒鉛に代えて球状の人造黒鉛(平均粒径:10μm未満)をエポキシ樹脂100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして2液硬化タイプの導電性塗り床塗料の主剤を調製した。
そしてこの主剤を使用したこと以外は実施例1と同様にしてプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製し、下地上に塗布してプライマ層を形成したのち、その上に実施例1で使用したのと同じ表面層用の塗り床塗料を塗布して表面層を形成した。
《加工性評価》
温度23℃、相対湿度50%の環境下で主剤と硬化剤をかく拌してプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製した際の作業性を、下記の基準で評価した。
◎:実施例1の記述のとおりに主剤と硬化剤をかく拌してプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製できた。加工性極めて良好。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で主剤と硬化剤をかく拌してプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製した際の作業性を、下記の基準で評価した。
◎:実施例1の記述のとおりに主剤と硬化剤をかく拌してプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製できた。加工性極めて良好。
○:上記「◎」よりはかく拌に時間がかかったものの、主剤と硬化剤をかく拌してプライマ層用の導電性塗り床塗料を調製できた。加工性良好。
×:粘度が高すぎて主剤と硬化剤を均一にかく拌できなかった。加工性不良。
《抵抗値評価》
汎用のエポキシ樹脂系塗り床塗料の主剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートC450と、硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH506S〕とを所定の割合で配合してかく拌したものをベニヤ板の表面に単位面積あたりの塗布量が1.2kg/m2となるように塗布し、硬化させて下地とした。
×:粘度が高すぎて主剤と硬化剤を均一にかく拌できなかった。加工性不良。
《抵抗値評価》
汎用のエポキシ樹脂系塗り床塗料の主剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートC450と、硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH506S〕とを所定の割合で配合してかく拌したものをベニヤ板の表面に単位面積あたりの塗布量が1.2kg/m2となるように塗布し、硬化させて下地とした。
そしてこの下地上に実施例1〜5、比較例1、2、4で説明した手順でそれぞれのプライマ層および表面層を順に形成した。
(抵抗値の測定および評価)
形成した表面層の抵抗値をミドリ安全(株)製の抵抗計(テラオームメーター)を用いて測定した。測定は、抵抗計に付属の2つの電極を30cm離して表面層に接着させながら両電極間に10Vまたは100Vの電圧を印可して実施した。
(抵抗値の測定および評価)
形成した表面層の抵抗値をミドリ安全(株)製の抵抗計(テラオームメーター)を用いて測定した。測定は、抵抗計に付属の2つの電極を30cm離して表面層に接着させながら両電極間に10Vまたは100Vの電圧を印可して実施した。
そして下記の基準で抵抗値を評価した。
◎:抵抗値は7.5×105Ω以上、3.5×107Ω以下の範囲であった。極めて良好。
○:抵抗値は1.0×104Ω以上、1.0×108Ω以下で、かつ◎の範囲を除く範囲であった。良好。
◎:抵抗値は7.5×105Ω以上、3.5×107Ω以下の範囲であった。極めて良好。
○:抵抗値は1.0×104Ω以上、1.0×108Ω以下で、かつ◎の範囲を除く範囲であった。良好。
×:抵抗値は1.0×104Ω未満、または1.0×108Ωを超える範囲であった。不良。
(抵抗値のばらつき評価)
表面層の複数か所で、上記のようにして測定した抵抗値の対数の標準偏差σを算出し、下記の基準で抵抗値のばらつきを評価した。
(抵抗値のばらつき評価)
表面層の複数か所で、上記のようにして測定した抵抗値の対数の標準偏差σを算出し、下記の基準で抵抗値のばらつきを評価した。
○:標準偏差σは0.5以下であった。良好。
×:標準偏差σは0.5を超えていた。不良。
《接着力評価》
下地のモデルとして、300mm四方でかつ厚み60mmのコンクリート平板を用意した。
×:標準偏差σは0.5を超えていた。不良。
《接着力評価》
下地のモデルとして、300mm四方でかつ厚み60mmのコンクリート平板を用意した。
そしてこの下地上に実施例1〜5、比較例1、2、4で説明した手順でそれぞれのプライマ層、および表面層を順に形成してさらに1週間静置して養生させて2層構造の導電性塗り床のサンプルを完成させた。
(接着力の評価)
形成した導電性塗り床のサンプルに対して建研接着力試験(日本塗り床工業会試験方法NNK−005)を実施して、下記の基準で接着力を評価した。
(接着力の評価)
形成した導電性塗り床のサンプルに対して建研接着力試験(日本塗り床工業会試験方法NNK−005)を実施して、下記の基準で接着力を評価した。
○:下地破壊であった。接着力良好。
×:下地とプライマ層の界面剥離、プライマ層の凝集破壊、またはプライマ層と表面層の界面剥離であった。接着力不良。
《耐衝撃性評価》
上の接着力評価と同じ導電性塗り床のサンプルに対して、日本塗り床工業会試験方法NNK−002 2000「塗り床材の衝撃強さ試験方法」所載の落球試験を実施して、下記の基準で耐衝撃性を評価した。
×:下地とプライマ層の界面剥離、プライマ層の凝集破壊、またはプライマ層と表面層の界面剥離であった。接着力不良。
《耐衝撃性評価》
上の接着力評価と同じ導電性塗り床のサンプルに対して、日本塗り床工業会試験方法NNK−002 2000「塗り床材の衝撃強さ試験方法」所載の落球試験を実施して、下記の基準で耐衝撃性を評価した。
○:塗膜の割れや剥がれが生じるまでに2回以上、落球させる必要があった。耐衝撃性良好。
×:1回の落球で塗膜の割れや剥がれが生じた。耐衝撃性不良。
《総合評価》
以上の各評価のうち1つでも「×」であったものは「×」、「×」はなく全て「○」または「◎」1つと「○」であったものは「○」、「×」はなく「◎」2つと「○」であったものは「◎」と評価した。
×:1回の落球で塗膜の割れや剥がれが生じた。耐衝撃性不良。
《総合評価》
以上の各評価のうち1つでも「×」であったものは「×」、「×」はなく全て「○」または「◎」1つと「○」であったものは「○」、「×」はなく「◎」2つと「○」であったものは「◎」と評価した。
以上の結果を表1、表2に示す。
ただし実施例1〜5、比較例1、2の結果より、かかる効果を得るとともに、上記プライマ層を含む導電性塗り床の面方向の抵抗値のばらつきを極力小さくすることを考慮すると、膨張黒鉛の配合割合を、エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上とし、なおかつ1質量部以上、2質量部以下のステンレス繊維を併用する必要があることが判った。
また実施例1〜5、比較例3の結果より、膨張黒鉛とステンレス繊維をエポキシ樹脂中に容易かつ均一に分散させて導電性塗り床塗料を調製し、プライマ層を形成するためには膨張黒鉛の配合割合を、上記の範囲でもエポキシ樹脂100質量部あたり25質量部以下とする必要があることが判った。
また実施例1〜5、比較例3の結果より、膨張黒鉛とステンレス繊維をエポキシ樹脂中に容易かつ均一に分散させて導電性塗り床塗料を調製し、プライマ層を形成するためには膨張黒鉛の配合割合を、上記の範囲でもエポキシ樹脂100質量部あたり25質量部以下とする必要があることが判った。
さらに実施例1〜5の結果より、膨張黒鉛とステンレス繊維を配合することによる上記の効果をより一層向上するためには、エポキシ樹脂100質量部あたりの配合割合を、上記の範囲でも膨張黒鉛は15質量部以上、20質量部以下とするのが好ましいこと、ステンレス繊維は1.5質量部以下、特に1.2質量部以下とするのが好ましいことが判った。
Claims (5)
- 無溶剤系のエポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、25質量部以下の柱状の膨張性黒鉛、および1質量部以上、2質量部以下のステンレス繊維を含む導電性塗り床塗料。
- 前記膨張性黒鉛を、前記エポキシ樹脂100質量部あたり15質量部以上、20質量部以下の割合で含む請求項1に記載の導電性塗り床塗料。
- 前記請求項1または2に記載の導電性塗り床塗料を下地上に塗布し、前記エポキシ樹脂を硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とする導電性塗り床。
- 前記層を単層のプライマ層として、当該プライマ層上にさらに表面層を積層した2層構造を有する請求項3に記載の導電性塗り床。
- 前記請求項3または4に記載の導電性塗り床を備えることを特徴とする建物。
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CN108912788A (zh) * | 2018-06-15 | 2018-11-30 | 河北晨阳工贸集团有限公司 | 一种水性环氧防静电地坪漆涂料及其制备方法 |
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