JP2017031699A - 帯電防止床とそれを備える建物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】帯電防止床は、絶縁性の繊維に導電性の金属をめっきして導電性を付与した導電性繊維からなる網状の導電体を埋設した、常温硬化型樹脂からなる導電層を備える。建物は、かかる帯電防止床を備える。
【選択図】なし
Description
しかし合成樹脂系の塗り床は一般に電気抵抗の高い絶縁体であり、作業者がその上を歩行するだけで帯電しやすい上、帯電によって塗り床それ自体や作業者に蓄積される静電気を漏洩しにくいという問題がある。
絶縁体である合成樹脂をベースとした塗り床に帯電防止機能を付与するには、そのもとになる塗料に各種の導電材料を混入すればよいことが既に報告されている。
このうち下塗り層には、特に面方向の導電性を確保するために高い導電性を有することが求められ、かかる下塗り層は導電性付与剤としてカーボンブラックや黒鉛を配合した有機溶剤系の塗料によって形成されるのが一般的である。
水系導電性プライマには、当然ながら高い導電性が求められるだけでなく、下地への良好な接着力と塗膜強度とを兼ね備えた下塗り層を形成できることも求められる。
例えば100V以下の静電気で破壊される電子部品を扱う工場では、帯電防止床はその上を歩いたり作業をしたりした際の帯電によって作業者に蓄積される静電気の電位、すなわち人体帯電電位を、マージンを見て50V以下に抑えることができる高い帯電防止機能を有していることが好ましい。
ところが人造黒鉛の量を増やすと相対的にエポキシ樹脂の量が少なくなるため塗膜強度、特に落球試験などで評価される耐衝撃性が低下するという問題がある。
エポキシ樹脂に自己乳化型硬化剤を配合した時点でエポキシ樹脂の硬化反応が開始されるため、水系導電性プライマはあらかじめ工場等で調整しておくことができず、その都度施工現場で調製しなければならない。
本発明の目的は、人造黒鉛等を使用せずに形成でき、しかも高い導電性と良好な帯電防止機能を備えた帯電防止床と、それを備える建物を提供することにある。
また本発明は、かかる本発明の帯電防止床を備える建物である。
本発明は常温硬化型樹脂からなる導電層を備え、前記導電層には、絶縁性の繊維に導電性の金属をめっきして導電性を付与した導電性繊維からなる網状の導電体が埋設されている帯電防止床である。
本発明によれば、絶縁性の繊維に導電性の金属をめっきして導電性を付与した導電性繊維からなる網状の導電体を埋設することによって、飛散等による様々な問題を生じるおそれのある人造黒鉛等を使用せずに高い導電性を有する導電層を備え、良好な帯電防止機能を有する帯電防止床を形成できる。
そのため当該導電体を埋設することによって、上記のように人造黒鉛等を使用せずに高い導電性を有する導電層を形成でき、当該導電層を含む帯電防止床に良好な帯電防止機能を付与できる。
網状の導電体を形成する導電性繊維としては、絶縁性の繊維に導電性の金属をめっきして導電性を付与したものが用いられる。
具体的には、例えば綿等の天然繊維やナイロン、ポリエステル等の化学繊維からなる群より選ばれた少なくとも1種の絶縁性の繊維に、銅や銀等の導電性の金属を湿式めっきや真空蒸着法等のドライプロセスなどによってめっきすることで導電性を付与した導電性繊維が好適に使用される。
また金属線の線径を例えばステンレス鋼であれば0.03mm以下にすると網状体の柔軟性は向上するものの金属線が切れやすくなるため、依然として取り扱いが難しいという問題は解消されない。
また本発明では、かかる導電性繊維を織布や不織布等に比べて開口率の大きい網状に織成した導電体を使用することにより、例えば下地上に当該導電体を敷設した上に常温硬化型樹脂を塗布して導電層を形成する際に、常温硬化型樹脂を導電体の開口を通して下地まで十分に浸透させることができ、当該下地に対する接着力に優れた導電層を形成できる。
(エポキシ樹脂)
導電体とともに導電層を形成する常温硬化型樹脂としてはエポキシ樹脂が好ましい。
またエポキシ樹脂としては、帯電防止床の施工環境温度(特に室温)で液状を呈するため水等の溶剤が不要で、なおかつ乾燥および硬化時の収縮が小さいため下地の修正に適した種々の液状のエポキシ樹脂、特に液状でなおかつ硬化剤との反応によって硬化するいわゆる2液室温硬化タイプのエポキシ樹脂が好ましい。
2液室温硬化タイプのエポキシ樹脂と組み合わせる硬化剤としては、帯電防止床の施工環境温度(特に室温)でエポキシ樹脂を硬化させることができる種々の硬化剤が使用可能である。
かかる硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類またはその変成品、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン類またはその変成品、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物等の酸無水物類、ポリサルファイド、酸アミド、チオコール等の1種または2種以上が挙げられる。
エポキシ樹脂には導電性物質や着色剤を含有させてもよい。導電性物質や着色剤は、あらかじめエポキシ樹脂中に分散させた状態で供給できるため、従来の人造黒鉛等のような施工現場での飛散の問題等を生じるおそれがない。
導電性物質は、導電体を補助して導電層の導電性をさらに向上するために機能する。特に導電層の厚み方向の導電性を向上したり、導電体の開口部分での導電性の低下を抑制して導電層の全体での面方向の導電性を均一化したりするために寄与する。
これら導電性金属酸化物は、通常は白色ないしは淡色を呈するため着色剤の色味を損なうことがなく、導電層の外観や美装性を向上できる。
導電性物質の配合割合は、導電層の塗膜強度や耐久性の低下を防止しながら導電性をさらに向上することを考慮すると、エポキシ樹脂100質量部あたり10質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、100質量部以下、特に80質量部以下であるのが好ましい。
また着色剤としては、導電層の色味に応じた1色または2色以上の各色の顔料等が使用可能である。着色剤の配合割合は、導電層の色味等に応じて適宜設定できる。
〈導電層〉
導電層は、先に説明したように下地上に導電体を敷設した上に常温硬化型樹脂を塗布して形成するのが好ましい。
これにより、導電体の周囲や下地との間等に空隙等を生じることなしに当該導電体を導電層中に埋設させることができ、空隙等によって導電層の塗膜強度が低下するのを防止できる。
すなわちエポキシ樹脂等の常温硬化型樹脂の硬化物からなる導電層の塗膜強度(凝集力)は、例えば下地としてのコンクリートの強度よりも大きいため、例えば建研式接着強度試験を実施した際にはコンクリートの下地が破壊される結果となる。また落球試験では、特許文献1に記載の従来の水系導電性プライマからなる下塗り層が1〜3回程度で破壊されるのに対し、上記の導電層は20回を超える高い耐衝撃性を有する。
また導電層は、埋設した導電体によって良好な導電性が確保され、常温硬化型樹脂には濃色の人造黒鉛等を配合する必要がないため白色ないしは淡色を維持できる。そのため導電層は、例えば着色剤の色味を損なうことなしに、その外観や美装性を向上できる。
したがって本発明によれば、上記下塗り層や着色層を塗布して硬化させる工程を省略できるため、これまでは2日間ないし3日間かかっていた工期を僅か1日間に短縮できる。
例えば操業中の工場の床に帯電防止床を施工するために、その操業を2〜3日間にも亘って停止するのは、工場で生産される製品の生産性の観点から好ましくなく、工期の短縮は工費の削減と相まって極めて有効である。
《建物》
本発明は、本発明の帯電防止床を備えることを特徴とする建物である。
かかる本発明の建物は、良好な帯電防止機能を有する本発明の帯電防止床を備えるため、特に100V以下の静電気で破壊される電子部品を扱う工場等として好適である。
〈導電体〉
導電体としては、絶縁性の繊維としてのポリエステルモノフィラメント(繊維径:24μm)を銅めっきして導電性を付与した導電性繊維からなる網状の導電体〔セーレン(株)製のSu−4G−13227、厚み:57μm、開口率:72%〕を用いた。かかる導電体の点間抵抗値は101〜102Ωオーダーであった。
(主剤)
主剤としては、エポキシ樹脂、当該エポキシ樹脂100質量部あたり25質量部の導電性亜鉛華、0.5質量部の炭素繊維、および1.4質量部の金属繊維を含む主剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートC503〕を用意した。
硬化剤としては、変性脂肪族ポリアミン系硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH506S〕を用意した。
〈帯電防止床の施工〉
上記主剤と硬化剤を質量比4:1で配合し、汎用かく拌機〔リョービ(株)製のパワーミキサPM−850、羽根径:φ150mm〕を使用して2分間以上かく拌して常温硬化型樹脂を調製した。
《実施例2》
導電体として、ナイロンメッシュに銀メッキをした網状の導電体〔三ツ冨士繊維工業(株)製のAG60、厚み:0.5mm〕を使用したこと以外は実施例1と同様にして帯電防止床を施工した。
《比較例1》
導電体として、カーボン含有ナイロン繊維〔(株)クラレ製のクラカーボ(登録商標)KC−792R BT22T4〕を平織したもの〔8メッシュ、目開き:2mm、点間抵抗値:105〜106Ωオーダー〕を用いたこと以外は実施例1と同様にして帯電防止床を施工した。
〈水系導電性プライマの調製〉
エポキシ樹脂〔三菱化学(株)製のjER(登録商標)828、ビスフェノールA型〕20質量部、自己乳化型硬化剤〔大都産業(株)製のダイトクラールX、固形分:70%〕15質量部、硬化剤〔大都産業(株)製のダイトクラールXX、3級アミン系〕3.5質量部、および人造黒鉛〔(株)小林商事製のAGP−特S、平均粒径3μm分級品、固定炭素:97.0%〕25質量部を汎用かく拌機〔リョービ(株)製のパワーミキサPM−850、羽根径:φ150mm〕を使用してかく拌し、さらに水36.5質量部を追加して分散、乳化させて水系導電性プライマを調製した。
〈帯電防止床の形成〉
下地上に無溶剤型エポキシ樹脂プライマ〔アイカ工業(株)製のジョリエース(登録商標)JE−71〕0.2kg/m2を塗布し硬化させて下地層を形成し、次いで上記水系導電性プライマを0.15kg/m2塗布し硬化させて導電性下塗り層を形成したのち、さらに薄塗り導電上塗り材〔アイカ工業(株)製の導電トップコートJE2561〕を0.1kg/m2ずつ2回塗布して温度20℃、相対湿度50%で1週間養生硬化させて上塗り層を形成して、3層構造の帯電防止床を施工した。
《人体−床間の抵抗値測定》
実施例、比較例で施工した帯電防止床における、人体−床間の抵抗値を、前出のJIS C61340−4−5:2007「静電気−特定応用のための標準的試験方法−人体と組み合わせた履物及び床システムの静電気防止性能の評価方法」記載の6.3「電気抵抗の測定」所載の測定方法に則って測定した。
また測定器のチャージ側のケーブル先端にはワニ口クリップを接続し、φ8mmの鉄製シャフトを挟んだ。
そして測定値が1.5×107Ωを超えたものを抵抗値不良(×)、1.0×106Ωを超え1.5×107Ω以下であったものを抵抗値通常レベル(△)、1.0×106Ω以下であったものを抵抗値良好(○)と評価した。
汎用のエポキシ樹脂系プライマの主剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートC355と、硬化剤〔住友ゴム工業(株)製のグリップコートH355〕とを所定の割合で配合してかく拌したものを、300mm四方でかつ厚み60mmのコンクリート平板上に0.2kg/m2塗布し、硬化させて下地を調整した。
施工した帯電防止床に対して、日本塗り床工業会試験方法NNK−002 2000「塗り床材の衝撃強さ試験方法」所載の落球試験を実施して、下記の基準で耐衝撃性を評価した。
△:6回以上9回以下の落球で塗膜の割れや浮きが生じた。耐衝撃性通常レベル。
○:10回以上落球させても塗膜に割れや浮きは生じなかった。耐衝撃性良好。
《総合評価》
以上2つの評価のうち1つでも「×」であったものは「×」、「△」2つ、または「○」1つと「△」1つであったものは「△」、「○」2つであったものは「○」と評価した。
また実施例1、2、比較例1の結果より、かかる耐衝撃性に優れた帯電防止床に良好な導電性を付与するためには、網状の導電体として、絶縁性の繊維に導電性の金属をめっきして導電性を付与した導電性繊維からなるものを用いる必要があることが判った。
Claims (4)
- 常温硬化型樹脂からなる導電層を備え、前記導電層には、絶縁性の繊維に導電性の金属をめっきして導電性を付与した導電性繊維からなる網状の導電体が埋設されている帯電防止床。
- 前記絶縁性の繊維は天然繊維、および化学繊維からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の帯電防止床。
- 前記導電体は、点間抵抗値が104Ω以下である請求項1または2に記載の帯電防止床。
- 前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の帯電防止床を備える建物。
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JP2015153707A JP2017031699A (ja) | 2015-08-03 | 2015-08-03 | 帯電防止床とそれを備える建物 |
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CN109779200A (zh) * | 2019-03-06 | 2019-05-21 | 孙夏星 | 一种安装方便防静电地板 |
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2015
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