JP2004176315A - コンクリートパネル保護構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリートの表面に粘着層で保護シートを貼り付けることによって、コンクリートが振動や衝撃を受けて割れが発生しても割れた破片が落ちる剥落を防止し、また、経年劣化で脆くなった状態であっても粘着層によって表面が固められているので破片はもちろんのこと粒状、粉末状の欠片の落下を防止する。
【解決手段】建築物の壁面や天井などを形成するコンクリートパネルを保護する構造であって、プライマー2を塗布したコンクリートパネル1に粘着層4と基材3を積層した保護シート5を貼り付ける。
【選択図】 図1
【解決手段】建築物の壁面や天井などを形成するコンクリートパネルを保護する構造であって、プライマー2を塗布したコンクリートパネル1に粘着層4と基材3を積層した保護シート5を貼り付ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物の屋根や外壁、内壁などを構成する際に用いられるALC(Autoclaved Lightweight Concrete)やPC(Precast Concrete)からなるコンクリートパネルを保護する構造に係り、詳しくはコンクリートパネルの剥落を防止することができる保護構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の壁面や屋根を構成する部材としてALCパネルやPCパネルなどからなるコンクリートパネルが使用されている。例えば図1に示すようにH鋼などを用いて組み上げた骨組みの屋根にコンクリートパネルを並べてボルトなどで固定し、屋根材として構成するといった使われ方がある。
【0003】
コンクリートパネル同士の突合せ部にはモルタル等を流し込んでシールし、屋根材として隙間ができることのないようになされている。
【0004】
また工場や倉庫といった建築物に用いられるような場合は前記コンクリートパネルがそのまま天井を構成するということも往々にしてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、コンクリートパネルが経時劣化によって表面が脆くなり、部分的に剥離して落下するといったことがある。特に、隣り合うコンクリートパネル同士の突合せ面は、建物を構成する骨組みが振動などで揺れ動いた場合に、コンクリートパネルも同様に揺れ動くことによって、擦れ合ったりぶつかり合ったりして剥落を起こす可能性が非常に高いといえる。
【0006】
天井面がコンクリートパネルでそのまま構成されているような工場や倉庫などであると、剥落したコンクリートの破片が人に当たって事故を起こしたり、工場内の物品を破損したりするといった問題につながることもある。
【0007】
また、コンクリートパネルは露出して空気中の湿気にさらされている状態が長く続くことによって酸化して表面が劣化することがあり、そうなると強い衝撃を受けなくても自然に剥落が起きるといった問題もある。
【0008】
特許文献1にはコンクリートの表面にポリエチレン樹脂を機械的に固定してライニングし、コンクリートの防食を行う技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−41612号公報
【0010】
本発明はコンクリートパネルが剥離しても落下することがない、更には経時劣化を少なく押さえて剥離自体が生じにくいようなコンクリートパネル保護構造の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的の達成のために本発明の請求項1は、建築物の壁面や天井を形成するコンクリートパネルの保護構造において、プライマーを塗布したコンクリートパネルに粘着層と基材を積層した保護シートを貼り付けてなることを特徴とする。
【0012】
コンクリートの表面に粘着層で保護シートを貼り付けることによって、コンクリートが振動や衝撃を受けて割れが発生しても割れた破片が落ちることがなく、経年劣化で脆くなった状態であっても粘着層によって表面が固められているので破片はもちろんのこと粒状、粉末状の欠片が落ちることもない。
【0013】
請求項2では、基材の透湿度が0.3g/m2・24hrs以下であるコンクリートパネル保護構造としている。透湿度が低いのでコンクリート表面の劣化を防止することもでき、粘着層と基材とで表面を覆っていることと相まって、コンクリートの破片や欠片の剥落を防止することができるものである。
【0014】
請求項3では基材がアルミニウムであるコンクリートパネル保護構造としている。基材としてアルミニウム素材を用いることで透湿性を遮断する効果が高くよりコンクリートの劣化を防止することができるとともに、比較的一般的な素材で入手しやすいといった点で有利である。
【0015】
請求項4では、粘着層がブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材からなるコンクリートパネル保護構造としている。粘着層をブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材とすることで粘着力・接着力が高く、側壁や天井などに設置する場合でも十分に長期に渡って保護シートを接着することができる。
【0016】
請求項5では、コンクリートパネルの表面にプライマーを塗布したコンクリートパネル保護構造としており、コンクリートパネルは特に古くなると表面状態が汚れや粉吹きといったことになっており、プライマーを塗布することによってより粘着層による接着性を高めることができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のコンクリートパネル保護構造を示した断面図であり、図2は本発明の保護構造が用いられている例を示す斜視図である。図2の例ではALCなどからなるコンクリートパネルを、H鋼を組んだ骨組み7の上に固定して屋根に用いた建物で、天井もコンクリートパネルがむき出しなっているところである。このような建物の場合、振動によって隣り合うALCなどのコンクリートパネル同士がこすれあい割れや欠けが発生して剥落するといったことや、経年劣化によって割れなどが発生して剥落するといったことが問題となることがある。
【0018】
そこで本発明では、コンクリートパネル1の表面にプライマー2を塗布して、その上から基材3に粘着層4を積層した保護シート5を粘着層4がプライマー2側になるように貼り付けた構造としている。
【0019】
コンクリートパネル1は建物の揺れなどで隣り合うコンクリートパネルの突合せ面6などにおいて特にひび割れや破損が発生しやすく、それが原因で剥落が発生するが、このようにコンクリートパネル1の表面に保護シート5を積層配置することによってひび割れにくくなるいことはもちろんのこと、ひび割れが発生しても剥落するのを防止することができるものである。
【0020】
コンクリートパネル1を多数配置したような天井や壁面などにおいて、後からプライマー2を塗布して保護シート5を貼り付けることによって形成したものでも、図3に示すように予めコンクリートパネル1の一枚にプライマー2を塗布して、パネル1の1枚分の広さの保護シート5を貼り付けたものや、このような予め保護シート5を貼り付けたコンクリートパネル1を用いて天井や壁面を形成したようなものでも本発明の範囲に含まれるものである。
【0021】
コンクリートパネル1としては、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)パネル、PC(Precast Concrete)パネルを挙げることができるが、特にALCパネルの場合は、劣化や衝撃による剥落が発生しやすく、本発明の構造を採ることによる効果が顕著に得られるものである。
【0022】
プライマー2としては、クロロプレンゴム系、ブチルゴム系、アクリル系、ウレタン系などのプライマーを挙げることができる。本発明の構造を適用する箇所が天井などの建物内である場合には水を溶媒として用いるプライマーを用いることが好ましく、クロロプレン、アクリル、ブチルゴムを用いたものなどを挙げることができる。プライマー2は必ずしも使用しなくてもよいが、ほとんどの場合はコンクリートパネル2が汚れていたり粉吹きが生じていたりするので、保護シート5の粘着層4の接着力を高めるために、ほとんどの場合使用することになる。
【0023】
基材3として用いられるものとしてはアルミニウム箔、ガラス織物、ゴムシート、樹脂シートなどを挙げることができ、さらにアルミニウム箔としてはアルミニウム箔とポリエチレンなどの樹脂フィルムとの複合体も使用可能である。厚みとしては30〜60μm程度のものが好ましい。
【0024】
また、基材3としてJIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」による透湿度が0.3g/m2・24hrs以下の透湿性の低いアルミニウムなど金属製のフィルムやフッ素樹脂、塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンといった樹脂からなるフィルム、ゴムシートなどからなる基材3を用いることによってコンクリートパネルを空気中の湿気から遮断することができるので、湿気にさらされることによる表面の酸化劣化を防止することができ、保護シート5によって被覆するといった物理的な保護効果に加えて劣化を防止して剥落を少なくするといった相乗的な効果を得ることができる。
【0025】
また、副次的な効果としては、基材3としてアルミニウム箔やガラス繊維からなる基材3を用いることによって保護シート5に難燃性を付与することができるので好ましい。特にアルミニウムの場合は難燃性に加えて防湿効果も高く、一般的に入手しやすい材料であることから好ましい材料であるということができる。また、アルミニウムはそのまま単体のフィルムで用いると強度が不足する場合があるので、ポリエチレンやポリエステルなどの樹脂フィルムを片面に積層したり、両面に積層して挟み込んだようなものを用いたりすることができる。
【0026】
ガラス織物としては平織などの織物で、厚みが0.10〜0.40mm、密度が75〜350g/m2程度のものが挙げられる。ゴムシートを用いる場合はEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー、IIR(ブチルゴム)、CR(クロロプレンゴム)などの単体もしくはブレンド物を用いることができ、厚みは0.5〜1.2mm程度のものが用いられる。樹脂フィルムを用いる場合は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレンビニルアルコール)、TPO(サーモプラスチックオレフィン)といったオレフィン系の樹脂を用いることができ、厚みは0.15〜0.25mm程度のものを挙げることができる。
【0027】
粘着層としては接着力として0.5〜3.5kg/25mm程度のものが必要となり、素材としてはIIR(ブチルゴム)、ゴムアスファルトなどからなる粘着材で、厚みは0.1〜0.5mmの範囲のものを用いることができる。接着力が0.5kg/25mm未満であると、コンクリートパネルでひび割れなどが生じたときに剥がれて剥落してしまうことがあり、3.5kg/25mmを超えるとタックが強くなって施工性が悪くなるので好ましくない。
【0028】
【実施例】
次に本発明の効果を確認するために、本発明の実施例となるコンクリートパネル保護構造を適用したパネルを作成して、ハンマーによる打撃で衝撃を加えてひび割れ生じさせ、剥落の状況を確認した。
【0029】
作成したパネルは幅600×長さ2000のALCパネルを用いてその一面にブチルゴム系のプライマーを塗布した。その上にブチルゴムからなる0.3mm厚みの粘着層を両面にポリエチレンを積層したアルミニウムフィルムからなる45μm厚みの基材に積層一体化した保護シートを貼り付けたものである。
【0030】
衝撃を与えてひび割れを生じた箇所からもコンクリートの剥落が起きることはなかった。
【0031】
以上の結果より本発明のコンクリートパネル保護構造を採ることよって、コンクリートに割れなどが発生したとしても剥落を防止することができ、安全面に貢献することができるとともに物品の破損といった問題も防止することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1は、建築物の壁面や天井を形成するコンクリートパネルの保護構造において、プライマーを塗布したコンクリートパネルに粘着層と基材を積層した保護シートを貼り付けてなることを特徴とする。
【0033】
コンクリートの表面に粘着層で保護シートを貼り付けることによって、コンクリートが振動や衝撃を受けて割れが発生しても割れた破片が落ちることがなく、経年劣化で脆くなった状態であっても粘着層によって表面が固められているので破片はもちろんのこと粒状、粉末状の欠片が落ちることもない。
【0034】
請求項2では、基材の透湿度が0.3g/m2・24hrs以下であるコンクリートパネル保護構造としている。透湿度が低いのでコンクリート表面の劣化を防止することもでき、粘着層と基材とで表面を覆っていることと相まって、コンクリートの破片や欠片の剥落を防止することができるものである。
【0035】
請求項3では基材がアルミニウムであるコンクリートパネル保護構造としている。基材としてアルミニウム素材を用いることで透湿性を遮断する効果が高くよりコンクリートの劣化を防止することができるとともに、比較的一般的な素材で入手しやすいといった点で有利である。
【0036】
請求項4では、粘着層がブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材からなるコンクリートパネル保護構造としている。粘着層をブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材とすることで粘着力・接着力が高く、側壁や天井などに設置する場合でも十分に長期に渡って保護シートを接着することができる。
【0037】
請求項5では、コンクリートパネルの表面にプライマーを塗布したコンクリートパネル保護構造としており、コンクリートパネルは特に古くなると表面状態が汚れや粉吹きといったことになっており、プライマーを塗布することによってより粘着層による接着性を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリートパネル保護構造を示す断面図である。
【図2】本発明を適用したコンクリートパネルの使用例を示す概要斜視図である。
【図3】コンクリートパネルの一面に予め保護構造を適用したものの斜視図である。
【符号の説明】
1 コンクリートパネル
2 プライマー
3 基材
4 粘着層
5 保護シート
6 H鋼
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物の屋根や外壁、内壁などを構成する際に用いられるALC(Autoclaved Lightweight Concrete)やPC(Precast Concrete)からなるコンクリートパネルを保護する構造に係り、詳しくはコンクリートパネルの剥落を防止することができる保護構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の壁面や屋根を構成する部材としてALCパネルやPCパネルなどからなるコンクリートパネルが使用されている。例えば図1に示すようにH鋼などを用いて組み上げた骨組みの屋根にコンクリートパネルを並べてボルトなどで固定し、屋根材として構成するといった使われ方がある。
【0003】
コンクリートパネル同士の突合せ部にはモルタル等を流し込んでシールし、屋根材として隙間ができることのないようになされている。
【0004】
また工場や倉庫といった建築物に用いられるような場合は前記コンクリートパネルがそのまま天井を構成するということも往々にしてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、コンクリートパネルが経時劣化によって表面が脆くなり、部分的に剥離して落下するといったことがある。特に、隣り合うコンクリートパネル同士の突合せ面は、建物を構成する骨組みが振動などで揺れ動いた場合に、コンクリートパネルも同様に揺れ動くことによって、擦れ合ったりぶつかり合ったりして剥落を起こす可能性が非常に高いといえる。
【0006】
天井面がコンクリートパネルでそのまま構成されているような工場や倉庫などであると、剥落したコンクリートの破片が人に当たって事故を起こしたり、工場内の物品を破損したりするといった問題につながることもある。
【0007】
また、コンクリートパネルは露出して空気中の湿気にさらされている状態が長く続くことによって酸化して表面が劣化することがあり、そうなると強い衝撃を受けなくても自然に剥落が起きるといった問題もある。
【0008】
特許文献1にはコンクリートの表面にポリエチレン樹脂を機械的に固定してライニングし、コンクリートの防食を行う技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−41612号公報
【0010】
本発明はコンクリートパネルが剥離しても落下することがない、更には経時劣化を少なく押さえて剥離自体が生じにくいようなコンクリートパネル保護構造の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的の達成のために本発明の請求項1は、建築物の壁面や天井を形成するコンクリートパネルの保護構造において、プライマーを塗布したコンクリートパネルに粘着層と基材を積層した保護シートを貼り付けてなることを特徴とする。
【0012】
コンクリートの表面に粘着層で保護シートを貼り付けることによって、コンクリートが振動や衝撃を受けて割れが発生しても割れた破片が落ちることがなく、経年劣化で脆くなった状態であっても粘着層によって表面が固められているので破片はもちろんのこと粒状、粉末状の欠片が落ちることもない。
【0013】
請求項2では、基材の透湿度が0.3g/m2・24hrs以下であるコンクリートパネル保護構造としている。透湿度が低いのでコンクリート表面の劣化を防止することもでき、粘着層と基材とで表面を覆っていることと相まって、コンクリートの破片や欠片の剥落を防止することができるものである。
【0014】
請求項3では基材がアルミニウムであるコンクリートパネル保護構造としている。基材としてアルミニウム素材を用いることで透湿性を遮断する効果が高くよりコンクリートの劣化を防止することができるとともに、比較的一般的な素材で入手しやすいといった点で有利である。
【0015】
請求項4では、粘着層がブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材からなるコンクリートパネル保護構造としている。粘着層をブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材とすることで粘着力・接着力が高く、側壁や天井などに設置する場合でも十分に長期に渡って保護シートを接着することができる。
【0016】
請求項5では、コンクリートパネルの表面にプライマーを塗布したコンクリートパネル保護構造としており、コンクリートパネルは特に古くなると表面状態が汚れや粉吹きといったことになっており、プライマーを塗布することによってより粘着層による接着性を高めることができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のコンクリートパネル保護構造を示した断面図であり、図2は本発明の保護構造が用いられている例を示す斜視図である。図2の例ではALCなどからなるコンクリートパネルを、H鋼を組んだ骨組み7の上に固定して屋根に用いた建物で、天井もコンクリートパネルがむき出しなっているところである。このような建物の場合、振動によって隣り合うALCなどのコンクリートパネル同士がこすれあい割れや欠けが発生して剥落するといったことや、経年劣化によって割れなどが発生して剥落するといったことが問題となることがある。
【0018】
そこで本発明では、コンクリートパネル1の表面にプライマー2を塗布して、その上から基材3に粘着層4を積層した保護シート5を粘着層4がプライマー2側になるように貼り付けた構造としている。
【0019】
コンクリートパネル1は建物の揺れなどで隣り合うコンクリートパネルの突合せ面6などにおいて特にひび割れや破損が発生しやすく、それが原因で剥落が発生するが、このようにコンクリートパネル1の表面に保護シート5を積層配置することによってひび割れにくくなるいことはもちろんのこと、ひび割れが発生しても剥落するのを防止することができるものである。
【0020】
コンクリートパネル1を多数配置したような天井や壁面などにおいて、後からプライマー2を塗布して保護シート5を貼り付けることによって形成したものでも、図3に示すように予めコンクリートパネル1の一枚にプライマー2を塗布して、パネル1の1枚分の広さの保護シート5を貼り付けたものや、このような予め保護シート5を貼り付けたコンクリートパネル1を用いて天井や壁面を形成したようなものでも本発明の範囲に含まれるものである。
【0021】
コンクリートパネル1としては、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)パネル、PC(Precast Concrete)パネルを挙げることができるが、特にALCパネルの場合は、劣化や衝撃による剥落が発生しやすく、本発明の構造を採ることによる効果が顕著に得られるものである。
【0022】
プライマー2としては、クロロプレンゴム系、ブチルゴム系、アクリル系、ウレタン系などのプライマーを挙げることができる。本発明の構造を適用する箇所が天井などの建物内である場合には水を溶媒として用いるプライマーを用いることが好ましく、クロロプレン、アクリル、ブチルゴムを用いたものなどを挙げることができる。プライマー2は必ずしも使用しなくてもよいが、ほとんどの場合はコンクリートパネル2が汚れていたり粉吹きが生じていたりするので、保護シート5の粘着層4の接着力を高めるために、ほとんどの場合使用することになる。
【0023】
基材3として用いられるものとしてはアルミニウム箔、ガラス織物、ゴムシート、樹脂シートなどを挙げることができ、さらにアルミニウム箔としてはアルミニウム箔とポリエチレンなどの樹脂フィルムとの複合体も使用可能である。厚みとしては30〜60μm程度のものが好ましい。
【0024】
また、基材3としてJIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」による透湿度が0.3g/m2・24hrs以下の透湿性の低いアルミニウムなど金属製のフィルムやフッ素樹脂、塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンといった樹脂からなるフィルム、ゴムシートなどからなる基材3を用いることによってコンクリートパネルを空気中の湿気から遮断することができるので、湿気にさらされることによる表面の酸化劣化を防止することができ、保護シート5によって被覆するといった物理的な保護効果に加えて劣化を防止して剥落を少なくするといった相乗的な効果を得ることができる。
【0025】
また、副次的な効果としては、基材3としてアルミニウム箔やガラス繊維からなる基材3を用いることによって保護シート5に難燃性を付与することができるので好ましい。特にアルミニウムの場合は難燃性に加えて防湿効果も高く、一般的に入手しやすい材料であることから好ましい材料であるということができる。また、アルミニウムはそのまま単体のフィルムで用いると強度が不足する場合があるので、ポリエチレンやポリエステルなどの樹脂フィルムを片面に積層したり、両面に積層して挟み込んだようなものを用いたりすることができる。
【0026】
ガラス織物としては平織などの織物で、厚みが0.10〜0.40mm、密度が75〜350g/m2程度のものが挙げられる。ゴムシートを用いる場合はEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー、IIR(ブチルゴム)、CR(クロロプレンゴム)などの単体もしくはブレンド物を用いることができ、厚みは0.5〜1.2mm程度のものが用いられる。樹脂フィルムを用いる場合は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレンビニルアルコール)、TPO(サーモプラスチックオレフィン)といったオレフィン系の樹脂を用いることができ、厚みは0.15〜0.25mm程度のものを挙げることができる。
【0027】
粘着層としては接着力として0.5〜3.5kg/25mm程度のものが必要となり、素材としてはIIR(ブチルゴム)、ゴムアスファルトなどからなる粘着材で、厚みは0.1〜0.5mmの範囲のものを用いることができる。接着力が0.5kg/25mm未満であると、コンクリートパネルでひび割れなどが生じたときに剥がれて剥落してしまうことがあり、3.5kg/25mmを超えるとタックが強くなって施工性が悪くなるので好ましくない。
【0028】
【実施例】
次に本発明の効果を確認するために、本発明の実施例となるコンクリートパネル保護構造を適用したパネルを作成して、ハンマーによる打撃で衝撃を加えてひび割れ生じさせ、剥落の状況を確認した。
【0029】
作成したパネルは幅600×長さ2000のALCパネルを用いてその一面にブチルゴム系のプライマーを塗布した。その上にブチルゴムからなる0.3mm厚みの粘着層を両面にポリエチレンを積層したアルミニウムフィルムからなる45μm厚みの基材に積層一体化した保護シートを貼り付けたものである。
【0030】
衝撃を与えてひび割れを生じた箇所からもコンクリートの剥落が起きることはなかった。
【0031】
以上の結果より本発明のコンクリートパネル保護構造を採ることよって、コンクリートに割れなどが発生したとしても剥落を防止することができ、安全面に貢献することができるとともに物品の破損といった問題も防止することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1は、建築物の壁面や天井を形成するコンクリートパネルの保護構造において、プライマーを塗布したコンクリートパネルに粘着層と基材を積層した保護シートを貼り付けてなることを特徴とする。
【0033】
コンクリートの表面に粘着層で保護シートを貼り付けることによって、コンクリートが振動や衝撃を受けて割れが発生しても割れた破片が落ちることがなく、経年劣化で脆くなった状態であっても粘着層によって表面が固められているので破片はもちろんのこと粒状、粉末状の欠片が落ちることもない。
【0034】
請求項2では、基材の透湿度が0.3g/m2・24hrs以下であるコンクリートパネル保護構造としている。透湿度が低いのでコンクリート表面の劣化を防止することもでき、粘着層と基材とで表面を覆っていることと相まって、コンクリートの破片や欠片の剥落を防止することができるものである。
【0035】
請求項3では基材がアルミニウムであるコンクリートパネル保護構造としている。基材としてアルミニウム素材を用いることで透湿性を遮断する効果が高くよりコンクリートの劣化を防止することができるとともに、比較的一般的な素材で入手しやすいといった点で有利である。
【0036】
請求項4では、粘着層がブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材からなるコンクリートパネル保護構造としている。粘着層をブチルゴムもしくはゴムアスファルト素材とすることで粘着力・接着力が高く、側壁や天井などに設置する場合でも十分に長期に渡って保護シートを接着することができる。
【0037】
請求項5では、コンクリートパネルの表面にプライマーを塗布したコンクリートパネル保護構造としており、コンクリートパネルは特に古くなると表面状態が汚れや粉吹きといったことになっており、プライマーを塗布することによってより粘着層による接着性を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリートパネル保護構造を示す断面図である。
【図2】本発明を適用したコンクリートパネルの使用例を示す概要斜視図である。
【図3】コンクリートパネルの一面に予め保護構造を適用したものの斜視図である。
【符号の説明】
1 コンクリートパネル
2 プライマー
3 基材
4 粘着層
5 保護シート
6 H鋼
Claims (5)
- 建築物の壁面や天井を形成するコンクリートパネルの保護構造において、コンクリートパネルに粘着層と基材を積層した保護シートを貼り付けてなることを特徴とするコンクリートパネル保護構造。
- 基材の透湿度が0.3g/m2・24hrs以下である請求項1記載のコンクリートパネル保護構造。
- 基材がアルミニウムである請求項1〜2記載のコンクリートパネル保護構造。
- 粘着層がブチルゴムもしくはゴムアスファルトからなる請求項1〜3記載のコンクリートパネル保護構造。
- コンクリートパネルの表面にプライマーを塗布した請求項1〜4記載のコンクリートパネル保護構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002341396A JP2004176315A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | コンクリートパネル保護構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002341396A JP2004176315A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | コンクリートパネル保護構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004176315A true JP2004176315A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32703769
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002341396A Pending JP2004176315A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | コンクリートパネル保護構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004176315A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009030344A (ja) * | 2007-07-27 | 2009-02-12 | Dow Kakoh Kk | 複合断熱材及びそれを用いた外張り断熱構造 |
JP2017066650A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 三ツ星ベルト株式会社 | コンクリート下地への防水工法及び防水構造 |
JP2018115530A (ja) * | 2017-01-20 | 2018-07-26 | 田島ルーフィング株式会社 | 導電性プライマーおよびこれを用いた防水構造 |
KR102153952B1 (ko) * | 2020-02-21 | 2020-09-10 | 주식회사 강산이앤씨 | 압출 성형 콘크리트 패널과 알루미늄 패널 일체형 조립식 패널과 그 제조방법 |
-
2002
- 2002-11-25 JP JP2002341396A patent/JP2004176315A/ja active Pending
Cited By (7)
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