JP2018054590A - 伸縮性コンデンサおよび変形センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】伸張度と、静電容量が1:1の対応を示し、かつ高感度で、ヒステリシスの無い伸縮性コンデンサを提供する。【解決手段】少なくとも、伸縮性導体層1、伸縮性誘電体層2、伸縮性導体層1の順で積層された層構成を有するコンデンサであって、伸縮性導体層1が金属粒子を含有する組成物であって、非伸張時の比抵抗が3×10-3Ωcm以下で有り、100%伸張時の比抵抗が非伸張時の100倍以内であることを特徴とする伸縮性導体層1と、無機分が少なく、好ましくはポアソン比が0.28以上の伸縮性誘電体層2を用いて伸縮性コンデンサを得る。【選択図】図1

Description

本発明は、伸縮特性を有するコンデンサに関し、伸縮により静電容量が変化するコンデンサであり、伸縮変形を静電容量の変化で読み取ることができるコンデンサに関し、さらに伸縮性コンデンサを利用した変形センサに関する。
静電容量型センサとして、一対の電極層間の静電容量変化から測定対象物の凸凹形状等を検出する面圧分布センサや歪みゲージ等に用いられる物が知られている。
従来、面圧分布センサとして使用する静電容量型センサシートとして、例えば、エラストマー製の誘電層を二枚の導電層からなる電極で挟んだ積層構造を有し、面に垂直方向に加わる荷重により変化する誘電層の厚さを静電容量変化として捉える面圧分布センサが知られている。
特許文献1には、全方向に弾性変形可能な2枚のシート状誘電体が1枚の導電布を間に挟んで互いに重ね合わされると共に、両シート状誘電体の両面に2枚の導電布が配備され、前記2枚の導電布はグランド層であり、互いに電気的に接続され、前記2枚のシート状誘電体にはそれぞれ複数の貫通孔が形成され、一方のシート状誘電体に開設された貫通孔と他方のシート状誘電体に開設された貫通孔とは、互いに位置が食い違っている静電容量型圧力センサが開示されている。
また、特許文献2には、伸縮性を有する布からなる誘電層と、エラストマーまたは樹脂からなり該誘電層の表側に積層され該誘電層と一体的に伸縮可能な表側被覆層と、該表側被覆層と該誘電層との間に介装され該表側被覆層と該誘電層とを接着し両層と一体的に伸縮可能な表側接着層と、エラストマーまたは樹脂からなり該誘電層の裏側に積層され該誘電層と一体的に伸縮可能な裏側被覆層と、該裏側被覆層と該誘電層との間に介装され該裏側被覆層と該誘電層とを接着し両層と一体的に伸縮可能な裏側接着層と、を有する誘電部材と、該誘電部材の該表側被覆層の表面に形成され該誘電部材と一体的に伸縮可能な表側電極と、該誘電部材の該裏側被覆層の裏面に形成され該誘電部材と一体的に伸縮可能な裏側電極と、表裏方向に対向する該表側電極と該裏側電極との間に形成されている検出部と、を備え、該検出部の静電容量変化に基づいて、加えられた荷重を検出することを特徴とする静電容量型センサが開示されている。
さらに特許文献3には、エラストマー製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている一対の電極と、を備えてなり、弾性的に曲げ変形可能であり、該一対の電極は、エラストマーと、該エラストマー中に配合され炭素材料からなる導電性フィラーと、を有し、該誘電膜の変形に応じて伸縮可能であり、該一対の電極は、該エラストマーと該導電性フィラーとを含むエラストマー組成物からなり、該エラストマー組成物の、該導電性フィラーの配合量と電気抵抗との関係を表すパーコレーションカーブにおいて、電気抵抗が低下して絶縁体−導電体転移が起こる第一変極点の該導電性フィラーの配合量(臨界体積分率:φc)が25vol%以下であり、該一対の電極の少なくとも一方の表面には、該表面の弾性変形を拘束する拘束部材が配置されており、該一対の電極間の静電容量変化に基づいて変形を検出することを特徴とする静電容量型センサ、が開示されている。
これら、特許文献1〜3に開示される静電容量型センサは、いずれも、面状の積層体構成を有し、面に垂直方向の変化、すなわち主として誘電層の厚さ変化を静電容量の変化として捉えるタイプのセンサである。これらのセンサは圧力ないし比較的小さな変位を検知するものであり、大変形を検知する目的では使用できない。
一方、特許文献4には、エラストマー組成物からなる誘電層と、前記誘電層の表面に積層された表側電極層と、前記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、前記表側電極層と前記裏側電極層とは前記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向しており、前記表側電極層と前記裏側電極層とが前記誘電層を挟んで対向している部分を検出部とする静電容量型センサシートであって、前記表側電極層及び前記裏側電極層は、カーボンナノチューブを含有する導電性組成物からなり、前記エラストマー組成物は、ポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを含有することを特徴とする静電容量型センサシート、が開示されており、該静電容量型センサシートは一軸引張りに耐えられる伸長率が100%以上であることが示されている。
すなわち、特許文献4に開示されている発明は、厚さ方向の変化では無く、面方向の変形を静電容量変化を用いて測定するタイプのセンサである。かかるセンサすなわち変形可能なコンデンサは、従来の厚さ方向変化を読むタイプのセンサの変形度合いが、事実上数%程度であったのに比較して、格段に大きな変形に対応することが可能であり、静電容量型センサとして、大変形、大変位を検知することが出来る点で、従来の静電容量型センサとは一線を画するものであると云える。
特許第4141426号公報 特許第5486258号公報 特許第5496446号公報 特開2015−200592号公報
かかる大変形の検知を行う静電容量センサは、誘電体だけで無く、誘電体を挟む電極部分、さらには構造によっては配線部分にも十分な変形余地が必要となる。誘電体としてエラスチックな高分子材料を用いれば、100%程度の変形にも十分対応可能であるが、同程度の変形を与えた場合でも導電性を維持できる電極ないし配線材料は希である。
特許文献4に記載の静電容量型センサシートでは、このような問題に対応するためにカーボンナノチューブを含有する導電性組成物を用い、電極が大変形した場合でも導電性を維持しようとの思想である。しかしながら、カーボンナノチューブ分散により得られる導電性は、カーボンフィラーを用いた導電性組成物と同程度で有り、一般的な金属電極と比較した場合、比抵抗で数千〜数万倍の値でとなる。すなわち、カーボンナノチューブを含有する導電性組成物にて形成された電極は、電極面内に電気抵抗成分を有するため、コンデンサ自体を分布定数的に取り扱う必要が生じる。また、静電容量を含むインピーダンスを測定する際に抵抗成分を無視することが出来ないため、センサ出力の直線性が低い。さらにはカーボンナノチューブを含有する電極層と、一般的な金属配線との接続面にショットキー障壁が生じるため、特にセンサを低電圧駆動する場合に非線形応答となってしまい、センサとしての用途に制限が出るなど課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大変形にも耐える高い伸長率を有し、繰り返し変形させた際の信頼性にも優れ、変形量の測定においてヒステリシスが無く、広いレンジを有し、応答性の良い出力を得ることが出来る伸縮性コンデンサを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の導電性組成物を電極層に用いることにより上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の構成である。
[1] 伸縮性導体層、伸縮性誘電体層、伸縮性導体層の順で積層された層構成を少なくとも有するコンデンサであって、前記伸縮性導体層は金属粒子を含有する組成物であって、非伸張時の比抵抗が3×10-3Ωcm以下であり、かつ100%伸張時の比抵抗が非伸張時の100倍以内であることを特徴とする伸縮性コンデンサ。
[2] 前記伸縮性誘電体層は、無負荷時の比誘電率が2.5以上であり、かつ比誘電率が5以上の無機フィラーを10質量%以下の割合で含有していることを特徴とする[1]記載の伸縮性コンデンサ。
[3] 前記伸縮性導体層は、金属粒子および、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂を少なくとも含有する伸縮性導体組成物からなり、柔軟性樹脂の配合量が、金属粒子と柔軟性樹脂の合計に対して7〜35質量%であることを特徴とする[1]または[2]に記載の伸縮性コンデンサ。
[4] 前記伸縮性誘電体層が、ホットメルト接着性を有することを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の伸縮性コンデンサ。
[5] 前記伸縮性誘電体層が、少なくとも片面にホットメルト接着性のある層を有する多層構造であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の伸縮性コンデンサ。
[6] 面方向に100%伸張させた場合の伸張回復率が98%以上であることを特徴とする[1]から[5]のいずれかに記載の伸縮性コンデンサ。
[7] 前記[1]から[6]のいずれかに記載の伸縮性コンデンサの伸縮性誘電体層の面方向を、測定対象の変形方向に向けて配置し、測定対象の伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化を検知することによって、測定対象の変形を検知する変形センサ。
[8] 前記測定対象の伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化が、主として伸縮性誘電体層の面方向への伸縮に伴う、伸縮性誘電体層の厚さ方向への伸縮による静電容量の変化であることを特徴とする請求項7に記載の変形センサ。
さらに本発明では、以下の構成を有する事が好ましい。
[9] 前記伸縮性誘電体層のポアソン比が2.8以上である事を特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の伸縮性コンデンサ。
[10] 前記[9]に記載された伸縮性コンデンサの伸縮性誘電体層の面方向を、測定対象の変形方向に向けて配置し、測定対象の伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化を検知することによって、測定対象の変形を検知する変形センサ。
[11] 前記測定対象が衣服の部分的伸縮であることを特長とする前記[7]、[8]、[10]のいずれかに記載の変形センサ。
本発明において、伸縮性コンデンサの面方向への伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化は、主として伸縮性誘電体層の面方向への伸縮に伴う、伸縮性誘電体層の厚さ方向への変化による静電容量の変化である。かかる特性を発現させるためには伸縮性誘電体層に用いる材料のポアソン比が高い方が好ましい。本発明における伸縮性誘電体層のポアソン比は0.28以上である事が好ましく、0.38以上である事がなお好ましく、0.48以上である事がさらに好ましい。ポアソン比を高めるには伸縮性誘電体層に配合される無機成分が少ない方が良い。
本発明の伸縮性コンデンサは、平面方向に高い伸長率を有するため、従来知られていた静電容量型のセンサのように、コンデンサの厚さ方向の変形のみならず、平面方向への変形歪み量の測定に好適に使用することができる。 また、本発明の伸縮性コンデンサは、伸張回復率の良い誘電層を採用することにより、大きく変形させた後の永久ひずみが小さく、かつ繰り返し変形(伸縮)させても残留ひずみが発生しにくい構成となる。その結果、変形量と出力値(静電容量)との間のヒステリシスが小さく、応答性、対応性に優れ、繰り返し使用した際の信頼性(長期信頼性)に優れるものとなる。
本発明の伸縮性コンデンサは低抵抗の伸縮性導体を電極に用いるために素子の耐久性が高く、また、素子が大型になった場合でも、素子内のインピーダンスが均一となるため、大面積素子においても均一な感度のセンサアレイを構成できる。
本発明の伸縮性コンデンサは、厚さを薄くすることが出来るため、結果として極軽量のセンサを構成することがあできる。さらに本発明の伸縮性コンデンサは伸張時の応力を低く抑えることが可能であるため、高感度で、なおかつ、測定対象に与える影響を小さくすることができる。具体的にはウェアラブルスマートデバイス、スマートアパレル、センシングウェアなどとして体表面の変形などを検知する目的で使用する場合にも、被験者に違和感を与えずに測定が可能となる。本発明を用いれば、従来はテレビカメラを含む大がかりな装置を必要としたモーションキャプチャのような被検体(人間、動物、ロボットなど)の動きのデータ化を、極めて小規模な装置で実現可能となる。
図1は、本発明の伸縮性コンデンサの基本構成を示す概略図である。 図2は、本発明の伸縮性コンデンサを作製する場合に用いるホットメルト層付きの伸縮性シートの構成図である。 図3は、基材に伸縮性シートを重ね貼りすることにより伸縮性コンデンサを構成した一例を示す概略図である。 図4は、本発明の伸縮性コンデンサの構成を示す概略図である。 図5は、本発明の伸縮性コンデンサを印刷法を用いて作製する場合の工程概略図である。 図6は、本発明における伸張回復率を説明する模式図である 図7は、本発明の伸縮性コンデンサを変位センサーとして用い、呼吸による胸囲変化を測定した結果の一例である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように本発明の伸縮性コンデンサは、基本構成として1.伸縮性導体層(表面電極)、2.伸縮性誘電体層、3.伸縮性導体層(背面電極)の3層を有する。実際の構成においては、各層を接着するための接着層が各基本構成層に挿入される場合がある。さらに最外層になる伸縮性導体層の外側に絶縁性の被覆層が設けられる場合がある。本発明の目的から自明であるように、接着層、被覆層についても十分な伸縮特性が要求される。
本発明における伸縮性導体層の非伸張時の比抵抗は3×10-3Ωcm以下で有ることが好ましく、1×10-3Ωcm以下であることが好ましく、3×10-4Ωcm以下であることが好ましく、1×10-4Ωcm以下であることが、なお好ましい。比抵抗がこの範囲を上回ると、導電層内の抵抗分布が顕著になり、素子の時定数が大きくなり応答性に問題が生じ、高周波特性や、パルス応答性が低下する場合がある。比抵抗の下限は原理的に用いられる導電材料に依存する。
本発明における伸縮性導体層は100%伸張時の比抵抗が非伸張時の100倍以内であることが好ましく、さらに50倍以内である事が好ましく、さらに30倍以内である事が好ましく、15倍以内である事がさらに好ましい。100%伸張時の比抵抗がこの範囲を上回ると、導電層内の抵抗分布が顕著になり、素子の時定数が大きくなり応答性に問題が生じ、高周波特性や、パルス応答性が低下する場合がある。比抵抗の下限は原理的に用いられる導電材料に依存する。なお、伸縮性導体を変形させた場合には、変形に伴う幾何学的な変化、すなわち、電流方向についての長さ、断面積の変化による抵抗値の変化は除外する。本発明における初期の比抵抗、並びに伸張時の比抵抗の範囲であれば、幾何学的変形による抵抗値の変化を加えても、十分に導電層内の抵抗分布を実効的に小さく保つことができる。
本発明における伸縮性導体層は、少なくとも金属粒子、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂、から構成される。また柔軟性樹脂の配合量は、導電粒子と柔軟性樹脂の合計に対して7〜35質量%である。
本発明における伸縮性導体層は、金属粒子と柔軟性樹脂を混練混合し、フィルム状ないしシート状に成型することにより得ることができる。本発明の伸縮性導体層は、好ましくは金属粒子と柔軟性樹脂に溶剤などを加えて伸縮性導体形成用ペースト化、ないしスラリー化した状態を経て、塗布、乾燥によりシート状ないしフィルム状に加工することが出来る。また、ペースト化した後、印刷することにより所定の形状を与えることもできる。
本発明における金属粒子は導電性粒子として機能する。なお本発明においては導電性粒子は該金属粒子を含み、比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質からなり、粒子径が100μm以下の粒子である。比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質としては、金属、合金、カーボン、ドーピングされた半導体、導電性高分子などを例示することができる。本発明で好ましく用いられる導電性粒子は銀、金、白金、パラジウム、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫などの金属、黄銅、青銅、白銅、半田などの合金粒子、銀被覆銅のようなハイブリッド粒、さらには金属メッキした高分子粒子、金属メッキしたガラス粒子、金属被覆したセラミック粒子などを用いることができる。
本発明では金属粒子として、フレーク状銀粒子ないし不定形凝集銀粉を主体に用いることが好ましい。なお、ここに主体に用いるとは導電性粒子の90質量%以上用いることである。不定形凝集粉とは球状もしくは不定形状の1次粒子が3次元的に凝集したものである。不定形凝集粉およびフレーク状粉は球状粉などよりも比表面積が大きいことから低充填量でも導電性ネートワークを形成できるので好ましい。不定形凝集粉は単分散の形態ではないので、粒子同士が物理的に接触していることから導電性ネートワークを形成しやすいので、さらに好ましい。
フレーク状粉の粒子径は特に限定されないが、動的光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が0.5〜20μmであるものが好ましい。より好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が15μmを超えると微細配線の形成が困難になり、スクリーン印刷などの場合は目詰まりが生じる。平均粒子径が0.5μm未満の場合、低充填では粒子間で接触できなくなり、導電性が悪化する場合がある。
不定形凝集粉の粒子径は特に限定されないが、光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が1〜20μmであるものが好ましい。より好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が20μmを超えると分散性が低下してペースト化が困難になる。平均粒子径が1μm未満の場合、凝集粉としての効果が失われ、低充填では良導電性を維持できなくなる場合がある。
本発明では必要に応じて伸縮性導体層に非導電性粒子を配合しても良い。本発明における非導電性粒子とは、有機ないし無機の絶縁性物質からなる粒子である。本発明における非導電性粒子は印刷特性の改善、伸縮特性の改善、塗膜表面性の改善を目的に添加され、シリカ、酸化チタン、タルク、アルミナ、硫酸バリウム等の無機粒子、樹脂材料からなるマイクロゲル等を利用できる。
本発明における柔軟性樹脂とは、弾性率が、1〜1000MPaの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられる。膜の伸縮性を発現させるためには、ウレタン樹脂ないしゴムが好ましい。ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。この中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。本発明で好ましい弾性率の範囲は2〜480MPaであり、さらに好ましく3〜240MPa、なお好ましくは4〜120MPaの範囲である。
ニトリル基を含有するゴムは、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ニトリルゴムと水素化ニトリルゴムが好ましい。ニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、結合アクリロニトリル量が多いと金属との親和性が増加するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。従って、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量は18〜50質量%が好ましく、40〜50質量%が特に好ましい。
本発明における柔軟性樹脂の配合量は、金属粒子と柔軟性樹脂の合計に対して7〜35質量%であり、好ましくは9〜28質量%、さらに好ましくは12〜20質量%である。
また、本発明における伸縮性導体形成用ペーストにはエポキシ樹脂を配合できる。本発明で好ましいエポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂ないしはフェノールノボラック型エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂を配合する場合、エポキシ樹脂の硬化剤を配合できる。硬化剤としては公知のアミン化合物、ポリアミン化合物などを用いればよい。硬化剤はエポキシ樹脂に対して5〜50質量%配合することが好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。またエポキシ樹脂と硬化剤の配合量は、柔軟性樹脂を含めた全樹脂成分に対して3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは8〜24質量%である。
本発明における伸縮性導体形成用ペーストは、溶剤を含有する。本発明における溶剤は、水または有機溶剤である。溶剤の含有量は、ペーストに求められる粘性によって適宜調査されるべきであるため、特に限定はされないが、概ね導電性粒子と柔軟性樹脂の合計質量を100した場合に30〜80質量比が好ましい
本発明に使用される有機溶剤は、沸点が100℃以上、300℃未満であることが好ましく、より好ましくは沸点が130℃以上、280℃未満である。有機溶剤の沸点が低すぎると、ペースト製造工程やペースト使用に際に溶剤が揮発し、導電性ペーストを構成する成分比が変化しやすい懸念がある。一方で、有機溶剤の沸点が高すぎると、乾燥硬化塗膜中の残溶剤量が多くなり、塗膜の信頼性低下を引き起こす懸念がある。
本発明における有機溶剤としては、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、エクソン化学製のソルベッソ100,150,200、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ターピオネール、ブチルグリコールアセテート、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン、n−ドデカノール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。また、石油系炭化水素類としては、新日本石油社製のAFソルベント4号(沸点:240〜265℃)、5号(沸点:275〜306℃)、6号(沸点:296〜317℃)、7号(沸点:259〜282℃)、および0号ソルベントH(沸点:245〜265℃)なども挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上が含まれてもよい。このような有機溶剤は、伸縮性導体形成用ペーストが印刷などに適した粘度となるように適宜含有される。
本発明における伸縮性導体形成用ペーストは、材料である導電性粒子、硫酸バリウム粒子、伸縮性樹脂、溶剤をディゾルバー、三本ロールミル、自公転型混合機、アトライター、ボールミル、サンドミルなどの分散機により混合分散することにより得ることができる。
本発明における伸縮性導体形成用ペーストには、発明の内容を損なわない範囲で、印刷適性の付与、色調の調整、レベリング、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の有機、無機の添加剤を配合することができる。
本発明における 伸縮性誘電体層は、伸縮性を有する樹脂材料すなわち高分子材料からなる。柔軟性を有する高分子材料としては、弾性率が、1〜1000MPaの、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられる。膜の伸縮性を発現させるためには、ウレタン樹脂ないしゴムが好ましい。ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。この中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。本発明で好ましい弾性率の範囲は1.2〜420MPaであり、さらに好ましく1.4〜210MPa、なお好ましくは1.5〜150MPaの範囲である。
本発明において好ましく用いられる柔軟性を有する高分子材料として、ポリエーテルポリオール、またはポリエステルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを例示することができる。
本発明におけるウレタンゴムは、高い伸長率を有し、かつ、引張永久ひずみ及び残留ひずみが小さいため繰り返し変形させた際の信頼性に優れる伸縮性誘電体層となる。
本発明におけるポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらを合成するための環状エーテル等のモノマー材料を共重合させて得た共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変性体、さらにはこれらの混合物等が挙げられる。これらのなかでは、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。その理由は、機械的特性が優れるためである。
上記ポリエーテルポリオールとしては、市販品を使用することもできる。市販品の具体例としては、例えば、PTG−2000SN(保土谷化学工業社製)、ポリプロピレングリコール、プレミノールS3003(旭硝子社製)、パンデックスGCB−41(DIC社製)等が挙げられる。
本発明におけるポリエステルポリオールとしては芳香族計ポリエステルポリオール、芳香族/脂肪族共重合ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、脂環族ポリエステルポリオールを用いることができる。本発明におけるポリエステルポリオールとしては、飽和型、不飽和型、いずれを用いてもかまわない。
本発明におけるHDI系ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はその変性体であり、分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物である。
本発明におけるウレタンゴムは、上記ポリオール成分及び上記イソシアネート成分以外に、更に必要に応じて、鎖延長剤、架橋剤、触媒、加硫促進剤等を含有する混合物を反応させて得られたものでも良い。本発明では硫黄不含型の架橋剤の使用が好ましい。また、本発明における柔軟性を有する高分子材料には可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤、誘電フィラー等を含有してもよい。
本発明における誘電体層の平均厚さは、静電容量Cを大きくして検出感度の向上を図る観点、及び、測定対象物への追従性の向上を図る観点から、0.3〜1000μmであることが好ましく、感度の点からは0.3〜20μmの範囲が好ましく、さらに0.3〜8μmが好ましく、さらに0.5〜6μmの範囲が好ましい。
本発明における伸縮性誘電体層の、無負荷時の比誘電率は2.5以上であり、2.8以上が好ましく、3.3以上がさらに好ましく、3.6以上がなお好ましい。比誘電率の上限は7。0程度で有り、好ましくは5.6以下、さらに好ましくは4.8以下である。本発明の目的からして、伸縮性誘電体層の比誘電率は高い方が好ましいが、一般に伸縮性を有する高分子材料は、柔軟鎖成分にアルキル基を有する事が多く、比較的低い比誘電率を有している。本発明では分子鎖に極性基を導入することにより比誘電率を高めることが好ましい、ニトリル基、ケトン基、エステル基、ハロゲン置換基、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基などは、高分子の比誘電率を高めるために有効な官能基である。
高い比誘電率を有するフィラー、好ましくはチタン酸塩などの無機フィラーを添加することにより誘電体層の比誘電率を高めることが可能である。しかしながら、本発明では、当該伸縮性誘電体層における、比誘電率が5以上の無機フィラーの含有量は10%質量以下であることが好ましい。無機フィラーの含有率は3%以下が好ましく1%以下がなお好ましく0.3%以下がなお好ましい。無機フィラーの含有量が多いと、伸縮性誘電体層が伸張、ないし圧縮された際に、伸縮性高分子部分への応力集中度合いが高くなり、フィラーと樹脂界面に剥離が生じてボイドが形成される等、耐久性に問題が生じる場合がある。
また、伸縮性誘電体層に含まれる無機フィラーが多いと、伸縮性誘電体層のポアソン比が低くなり、伸張時の静電容量変化が小さくなり、センサーとして応用した場合の感度が低下する。
本発明では、伸縮性誘電体層がホットメルト性を有することが好ましい。伸縮性誘電体層がホットメルト性を有する場合には、伸縮性導体層と伸縮性誘電体層をホットプレス、ロールラミネートなどの手法で簡単に積層することができる。
本発明では伸縮性導体層、伸縮性誘電体層を積層する際にホットメルト接着材を用いても良い。本発明に於けるホットメルト系接着材とは、軟化温度が30℃〜150℃程度の高分子材料を使用する事ができ、好ましくは、誘電体層と同程度の伸縮性を有する柔軟性を備える高分子材料を使用することができる。このようなホットメルト接着剤としては、エチレン系共重合体、スチレン系ブロック共重合体およびオレフィン系(共)重合体など、さらにそれらをベースポリマーとして粘着性を付与するために結晶性極性基含有化合物等を含有する高分子材料、アモルファスポリα−オレフィン、粘着付与樹脂、ポリプロピレン系ワックス等の配合物、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合ゴムあるいはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、さらにこれらに粘着付与樹脂成分、およびまたはプロセスオイルなどの液状可塑剤を添加した高分子材料、変性ポリオレフィンおよびその配合物、スチレン系ブロック共重合体およびその配合物、酸変性ポリプロピレン、酸変性スチレン系ブロック共重合体、それらの配合物、スチレン系ブロック共重合体、エチレン系重合体等の配合物、ポリエステルウレタン共重合体およびその配合物などを用いることができる。
ホットメルト接着剤を用いて伸縮性導体層と伸縮性誘電体層を積層する場合には、少なくとも伸縮性誘電体層の片面にホットメルト層を、好ましくは伸縮性誘電体層の両面にホットメルト層を配することが好ましい。ホットメルト層は独立層として、あるいは、あらかじめ伸縮性導体層、または伸縮性誘電体層の片面または両面にラミネートして用いる事ができる。
本発明では軟化温度が40℃〜120℃のポリエステルウレタン樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂などをシート状に加工したホットメルトシートを好ましく用いることができる。
以下、本発明の伸縮性コンデンサを図によって説明する。図1は本発明の伸縮性コンデンサの基本構成である。すなわち本発明において伸縮性コンデンサは伸縮性誘電体層を上下の伸縮性導電層により挟んだ構造を有する。
本発明において、かかる伸縮性コンデンサを実現する手段として、二枚のシートを重ね貼りする方法を例示できる。すなわち、まず図2に示すように、伸縮性導体層、伸縮性誘電体層、接着材層が積層された積層シートを調整する。伸縮性導体層と伸縮性誘電体層は、それぞれを溶融押出成型して積層するか、ないしはペースト化した材料をコーティングして重ねることができる。伸縮性導体層のシートと、伸縮性誘電体層のシートを別々に準備し、接着材層にて貼り合わせることもできる。この場合、接着材層として絶縁性の接着材を用いた場合には接着材層は誘電体層の一部となる。また導電性を有する接着材層を用いた場合には接着材層が導電層の一部となる。接着材層は、伸縮性導体層、伸縮性誘電体層と同程度の伸縮性、柔軟性を有することが好ましい。
接着材層としては絶縁性のホットメルト型の高分子材料を用いることが好ましい。本発明では、離型シート上にまず伸縮性導電性を形成し、次いで伸縮性誘電体層を形成し、さらにホットメルト接着材シートを重ね、離型シートで挟んで、加熱加圧することにより、かかる積層シートを得ることができる。
続いて、図3に示すように、高い伸度を有する伸縮性の布帛に、図2の積層シートを、ホットメルト層を用いてラミネートし、さらにその上に、同じ積層シートを電極として用いる部分が、露出するようにずらす、ないし所定のパターンにくりぬいて、重ねて貼り合わせることにより、導体層に挟まれたホットメルト接着材層と、伸縮性誘電体層が誘電体として作用する伸縮性コンデンサを得ることができる。最表面の導体層の上にさらに伸縮性の絶縁カバー層を設ける事もできる。絶縁カバー層としては、誘電体層に用いた高分子材料と同様の絶縁性樹脂等を用いることができる。かかる絶縁性樹脂シートをホットメルト接着層を介してラミネートすることもできる。
図4.は本発明の伸縮性コンデンサの別の態様を例示した概略図である。伸縮性コンデンサの電極はスルーホールを介して、基材の裏面の端子に接続されている。スルーホールは一般的なプリント配線板にて用いられるメッキスルーホール、ないしは導電ペースト等により接続されたスルーホールを用いることができる。また金属リベットなどにより表裏を電気的に接続してをカシメ等により固定する古典的な手法を適用することができる。本発明の伸縮性コンデンサを衣服に適用する場合には、金属リベットと同様に金属製のスナップホックなどをスルーホール代わりに用いても良い。
本発明の、別の態様として印刷法を用いた伸縮性コンデンサを例示することができる。すなわち、図5に示されるA〜Fの順に、順次各層を印刷積層してゆくことにより、伸縮性コンデンサを得ることができる。図5では基材に順次、直接印刷する工程を例示したが、離型フィルムなどに、順序を逆にして印刷し、最後に布帛に転写する方法を用いることもできる。
本発明における伸張回復率とは、図6に示す如く伸縮性コンデンサを懸垂し、荷重を加えて伸張させ、荷重を除去して収縮させる作用を加えた際に、初期長さをL0、20%ないし所定%伸張させた際の長さをL1、伸張荷重を除去した際の長さをL2とした場合に、
[数1]
伸張回復率=((L1-L2)/(L1-L0))×100 [%]
[数2]
残留歪み率=((L2-L0)/L0)×100 [%]
L0 初期長さ
L3 伸び=L1−L0
L4 回復長さ=L1−L2
L5 残留歪み=L2−L0
と、定義する。類似の測定法がJIS L 1096 織物および編物の生地試験法に定めてられているが、一定荷重負荷による伸張後の回復率では無くでは、一定長さまで伸張させた場合の回復率である点が異なる。実使用において伸縮性導体層に加わる負荷は、荷重とは無関係に、所定の長さまで繰り返し伸張される場合が多いため、一定荷重負荷法による伸張回復率では実用性能を表現することができない。本発明の伸縮性コンデンサの伸張回復率は、コンデンサ素子として機能する部分の評価であって、電極部分は省かれる。断らない限り伸張回復率は25℃±3℃の環境下にて評価される。
本発明では、以上、説明した伸縮性コンデンサの伸縮性誘電体層の面方向を、測定対象の変形方向に向けて配置し、測定対象の伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化を検知することによって、測定対象の変形を検知する変形センサとして用いることができる。
本発明において、伸縮性コンデンサの面方向への伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化は、主として伸縮性誘電体層の面方向への伸縮に伴う、伸縮性誘電体層の厚さ方向への変化による静電容量の変化である。かかる特性を発言させるためには伸縮性誘電体層に用いる材料のポアソン比が高い方が好ましい。本発明の伸縮性誘電体層のポアソン比は0.28以上である事が好ましく、0.38以上である事がなお好ましく、0.48以上である事がさらに好ましい。ポアソン比を高めるには伸縮性誘電体層に配合される無機成分が少ない方が良い。
なお、ここに面方向とは厚さ方向に対して概略垂直の方向を指す。直交座標系においては、一般にX−Y軸方向を面方向とし、Z軸方向を厚さ方向とする。本発明の伸縮性コンデンサはフレキシビリティを有するため、湾曲した状態で用いる事も出来る。この場合、面方向とは湾曲した面に概略沿った方向を示し、硬直的に固定された直交座標系のX−Y−Z方向を示すものでは無い。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ニトリル量40質量%、ムーニー粘度46のニトリルブタジエンゴム10質量部、
ニトリル量32質量%、ムーニー粘度38のニトリルブタジエンゴム 2質量部、
イソホロン30質量部、
平均粒子径6μmの微細フレーク状銀粉[福田金属箔粉工業社製 商品名Ag−XF301]58.0質量部、
を均一に混合し、三本ロールミルにて分散することにより伸縮性導電層形成用ペーストAG1を得た。
得られた伸縮性導電層形成用ペーストAG1を離型PETフィルム状にスリットコーターを用いて、塗布乾燥し、厚さ35μmの伸縮性導体シートを得た。
得られた伸縮性導体シートを10mm幅、200mm長にカットし、長さ方向の抵抗値と厚さから比抵抗を求めた。結果、比抵抗は1.2×10-4Ωcmであった。
ついで、伸縮性導体シートの長さ方向の両端を引っ張り試験器のクリップに挟み、有効長を160mmとして320mmまで引っ張り、両端間の抵抗値と、試験片の最狭部の幅、および、厚さを用いて100%伸張時の比抵抗を算出した。結果、100%伸張時の比抵抗は58×10-4Ωcmであった。
ニトリル量40質量%、ムーニー粘度46のニトリルブタジエンゴム30質量部を、
イソホロン40質量部、に溶解させ、伸縮性誘電体層形成用ペーストCC1を得た。得られた伸縮性誘電体層形成用ペーストを、先に得られた伸縮性導体シートの上に乾燥厚さが30μmとなるように塗布乾燥し、伸縮性誘電体/伸縮性導体シートを得た。さらに伸縮性誘電体層に、厚さ50μmのホットメルト型ウレタンシートを積層し、ホットメルト接着層/伸縮性誘電体/伸縮性導体からなる3層シートを得た。
伸縮性誘電体層形成用ペーストを、離型PETフィルム上に厚さが50μmとなるように塗布乾燥し、得られた乾燥シートをダンベル型にくりぬき、試験片として
ISO527−1:2012準拠の方法にて、伸縮性誘電体のポアソン比を求めた。結果ポアソン比は0.47であった。同様に厚さ50μmのホットメルト型ウレタンシートについてもポアソン比を測定した。結果、ポアソン比は0.45であった。
伸縮性のウレタンシート、モビロン[日清紡株式会社製]を基材とし、図3の構成となるように、幅10mm、長さ120mmにスリットした3層シートを、長さ方向に100mmが重なり合うように配置して、加熱加圧して貼り合わせ、伸縮性コンデンサを得た。
得られた伸縮性コンデンサの、3層シートが重なり合っている部分に荷重が加わるようにクリップで挟み、伸縮性コンデンサの25℃における100%伸張時の伸張回復率を測定した。結果、伸張回復率は100%であった。
得られた伸縮性コンデンサの両端の電極部にクリップで導線を取り付け、日置電機社製LCRハイテスターを用いて、伸縮性コンデンサの長さ方向の伸びと1MHzにおける静電容量との関係を測定した。結果両者は良い対応を示した。伸張度0%〜50%の間で、1サイクル/秒の繰り返し周期にて伸張度と静電容量の関係を測定した。結果、ヒステリシスは観察されず、良い対応を示した。
[実施例2]
実施例1において、伸縮性誘電体層形成用ペーストを用いずに、伸縮性導体層とホットメルト接着材層のみで伸縮性コンデンサを構成した。すなわち、本例においてはホットメルト接着材層がコンデンサの誘電体層として機能する。
以下、実施例1と同様に評価した。結果、100%伸張時の伸張回復率は100%、であり伸張度と静電容量の関係は1:1の良い対応を示し、ヒステリシスも認められなかった。
[実施例3]
伸縮性のスポーツウェア用生地を基材として、実施例1にて得られた伸縮性導体層形成用ペーストAG1、伸縮性誘電体層形成用ペーストCC1を、スクリーン印刷法を用いて、図5の構成に印刷乾燥を繰り返して積層し、伸縮性コンデンサを得た。なお伸縮性の下地層、誘電体層、絶縁カバー層はいずれも、ペーストCC1によって構成した。各層の、断面観察によって得られた厚さは以下の通りである。
伸縮性基材 約800μm
伸縮性下地層 約70μm
第1の伸縮性導体層 18μm
伸縮性誘電体層 24μm
第2の伸縮性導体層 16μm
伸縮性絶縁カバー層 23μm
以下、実施例1と同様に評価した。結果、100%伸張時の伸張回復率は100%、であり伸張度と静電容量の関係は1:1の良い対応を示し、ヒステリシスも認められなかった。
[応用実施例]
本発明の実施例1の手法で、幅1cm、有効長さ5cmの伸縮性コンデンサを作製し、コンプレッションタイプのスポーツシャツの胸部分に縫い付けた。次いで25才の健康な男性に伸縮性コンデンサを取り付けたスポーツシャツを着用させ、呼吸と、静電容量変化の関係を求めた。結果を図7に示す。
図7において、
0〜 30秒 普通に呼吸
30〜 60秒 息を吸って止める
60〜 70秒 普通に呼吸
70〜 90秒 息を吐いて止める
100〜140秒 深呼吸
である。結果、本発明の伸縮性コンデンサを呼吸検知のためのセンサー素子として用いた場合、良好に呼吸状態をモニターできることが示された。
以上、示してきたように、本発明の伸縮性コンデンサは、長さ方向の伸度と静電容量が良い対応を示すため、様々な変位、変形を検知するセンサー素子として有用である。
1.伸縮性導体層(表面電極)
2.伸縮性誘電体層
3.伸縮性導体層(背面電極)
4.伸縮性導体
5.伸縮性誘電体
6.ホットメルト接着層
7.基材
11.伸縮性基材
12.伸縮性下地層
13.第1の伸縮性導体層
14.伸縮性誘電体層
15.第2の伸縮性導体層
16.伸縮性絶縁カバー層
17.裏面電極
18.スルーホール

Claims (8)

  1. 伸縮性導体層、伸縮性誘電体層、伸縮性導体層の順で積層された層構成を少なくとも有するコンデンサであって、前記伸縮性導体層は金属粒子を含有する組成物であって、非伸張時の比抵抗が3×10-3Ωcm以下であり、かつ100%伸張時の比抵抗が非伸張時の100倍以内であることを特徴とする伸縮性コンデンサ。
  2. 前記伸縮性誘電体層は、無負荷時の比誘電率が2.5以上であり、かつ比誘電率が5以上の無機フィラーを10質量%以下の割合で含有していることを特徴とする請求項1記載の伸縮性コンデンサ。
  3. 前記伸縮性導体層は、金属粒子および、引張弾性率が1MPa以上1000MPa以下の柔軟性樹脂を少なくとも含有する伸縮性導体組成物からなり、柔軟性樹脂の配合量が、金属粒子と柔軟性樹脂の合計に対して7〜35質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の伸縮性コンデンサ。
  4. 前記伸縮性誘電体層が、ホットメルト接着性を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の伸縮性コンデンサ。
  5. 前記伸縮性誘電体層が、少なくとも片面にホットメルト接着性のある層を有する多層構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の伸縮性コンデンサ。
  6. 面方向に100%伸張させた場合の伸張回復率が98%以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の伸縮性コンデンサ。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の伸縮性コンデンサの伸縮性誘電体層の面方向を、測定対象の変形方向に向けて配置し、測定対象の伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化を検知することによって、測定対象の変形を検知する変形センサ。
  8. 前記測定対象の伸縮変形に応じて変化する伸縮性コンデンサの静電容量変化が、主として伸縮性誘電体層の面方向への伸縮に伴う、伸縮性誘電体層の厚さ方向への伸縮による静電容量の変化であることを特徴とする請求項7に記載の変形センサ。
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