JP3942277B2 - 複合型ポリマー電解質膜及びその製造法 - Google Patents

複合型ポリマー電解質膜及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムおよびリチウムイオン二次電池や電気二重層コンデンサー等の電気化学素子に適用可能な高強度で耐熱性のあるフッ素多孔膜を利用したゲル状のポリマー電解質膜とその製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の発達にともない、小型・軽量、かつエネルギー密度が高く繰り返しの充電回数が多い二次電池の開発が望まれている。この種の電池として水溶液電解液でなく非水電解液を使用するリチウムおよびリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
リチウムおよびリチウム合金を負極として用いる溶液型のリチウム二次電池の場合、充放電繰り返しに伴い負極上に糸状のリチウム結晶体(デンドライト)が生じ短絡等を起こすことから、それを抑制し、しかもセパレータとしての特性を有する固体状のポリマー電解質の開発が望まれている。
【0004】
また、リチウム二次電池のデンドライトの問題を解消し商品化されたリチウムイオン二次電池においては、電極の短絡防止に用いているセパレータ自身の電解液の保持力は十分でなく電解液の液漏れを起こし易いことから、外装として金属缶の使用が不可欠となっている。これにより、電池の製造コストが高くなるだけでなく、電池の軽量化も十分に出来ない状況にある。このような背景から、リチウムイオン二次電池においても電解液の液漏れをなくし、電池の軽量化を目指す観点から、セパレータとしての機能も有する安全性の高いポリマー電解質の開発が望まれている。
【0005】
この様な背景から、高いイオン伝導度と安全性を両立させたポリマー電解質系の検討が精力的に行われている。具体的には、真性ポリマー電解質に液体成分(溶媒もしくは可塑剤)を添加したいわゆるゲル電解質と称されるものが精力的に検討されている。この系の場合、ゲル電解質膜のイオン伝導度は含有する液体成分の量に依存しており、かなりの量の液体成分を含有させることにより、実用的に十分と考えられる10-3S/cm以上のイオン伝導度を示す系がいくつか報告されるようになっている。しかし、これらの系のほとんどは、液体成分の添加に伴い膜の力学的特性が急激に損なわれ、固体電解質が本来持つべきセパレータとしての安全機能が消失したものとなっていた。
【0006】
このような状況のもと、米国特許第5,296,318号明細書および5,418,091号明細書には、ゲル電解質膜の強度とイオン伝導度が両立するとされる系が記載されている。これは、弗化ビニリデンとヘキサフロロプロピレン共重合体をポリマーとして用いたゲル電解質膜をセパレータとして利用するものであり、ゲル電解質としては特質すべき力学特性を示す系として注目されている。しかし、この系ですら、二次電池用のセパレータ機能の一つの指標である突刺し強度は、通常のセパレータより一桁低いため、このフィルムをロールで取り扱う際に張力をかけると、容易に変形・破損したり、電極と積層した場合にわずかな圧力で押しつぶされ短絡するなど、電池の製造プロセスを考慮した場合、十分な機械的特性を有しているとは言い難かった。また、そのゲル電解質膜の力学的耐熱温度(メルトフロー温度)は、100℃強と通常のポリオレフィン系セパレータよりも50℃ほど低いものであり、耐熱性の面でも必ずしもリチウムイオン二次電池の安全性を保障できるものとはなっていなかった。この耐熱性を改善する方法として、米国特許第5,429,891号明細書には、架橋性モノマーを前記の弗化ビニリデン系ポリマー中に添加し、そのモノマーの重合により架橋構造を導入する方法も提案されているが、残存モノマーによる電気化学反応への悪影響が懸念されるとともに、必ずしも十分なレベルまで耐熱性は改善されていなかった。
【0007】
一方、上記のような弗化ビニリデン系ポリマーの耐熱性(メルトフロー特性)を改善する目的で、特開平9-302134号公報には、弗化ビニリデン系ポリマーに電子線を照射し、ポリマー薄膜に架橋構造を導入する技術が記載されている。しかし、この手法を用いた場合、電子線照射により生成する弗化水素(HF)等の副生成物を真空プロセスにより除去する必要があり、膜製造プロセスとしてみた場合は、必ずしも好ましいものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実用的な高いイオン伝導度と、機械特性と、高い力学的耐熱性とを兼ね備えた、安全性の高いリチウムイオン二次電池等の電気化学素子に適用可能なゲル状のポリマー電解質膜とその製造法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、弗化ビニリデン系ポリマー電解質膜に、機械的強度と力学的耐熱性を付与する目的で鋭意検討した結果、耐熱性を有するポリマーと弗化ビニリデン系のポリマーとを複合一体化することにより、本目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、フィブリル状の耐熱性樹脂(B)と該フィブリルの間隙を充填する状態のフッ素樹脂(A)とがA:B=3:7〜7:3の重量比で一体化された複合体薄膜と、それに含浸された50重量%以上の非水電解液とからなる複合型ポリマー電解質膜とその製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容に関して説明する。
本発明の複合型ポリマー電解質膜は、フィブリル状の耐熱性樹脂(B)と該フィブリルの間隙を充填する状態のフッ素樹脂(A)とがA:B=3:7〜7:3の重量比で一体化された複合体薄膜に50重量%以上の非水電解液を含浸させたものである。
【0011】
該フッ素樹脂(A)としては、弗化ビニリデン(VdF)を主成分とするポリ弗化ビニリデン(PVdF)共重合体が採用される。特に好ましいPVdF共重合体としては、VdFに対してパーフロロアルキルビニルエーテル、ヘキサフロロプロピレン、三弗化塩化エチレン、エチレンから選ばれた1種以上のモノマーを3〜9モル%共重合したものが挙げられる。共重合成分のモル比が3モル%未満の場合、ポリマーの結晶性が高くなり、各種製膜溶媒への溶解性が低下し好ましくなくなるとともに、得られた膜の電解液保持性が低下し好ましくなくなる。また、その共重合モル比が9モル%より高くなると、塗工溶媒への溶解性は十分となるが、逆に結晶性が低下しすぎ得られた膜の機械強度が十分でなくなり好ましくない。より好適には、4〜7モル%の共重合範囲が採用される。
【0012】
本発明では、フッ素樹脂からなるゲル状の電解質膜に耐熱性を付与する目的で、前記フッ素樹脂にフィブリル状の耐熱性樹脂(B)が複合一体化される。該耐熱性樹脂(B)としては、熱変形温度が200℃以上で、用いる非水電解液に対して相互作用がなく安定で耐熱性があるものが好適に採用される。例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、全芳香族ポリアミド、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリテトラフロロエチレン等主成分とするポリマーを挙げることができる。特に好適な耐熱性樹脂としては、ガラス転移温度が150℃以上の樹脂を挙げることができる。
【0013】
熱変形温度が200℃未満の樹脂を用いた場合は、フッ素樹脂と複合一体化した際に十分な力学的耐熱性(メルトフロー温度)が実現されず、安全性の観点から好ましくなくなる。
【0014】
本発明の複合型ポリマー電解質膜では、フッ素樹脂(A)と耐熱性樹脂(B)とが、重量比でA:B=3:7〜7:3の範囲で一体化されていることが特徴である。フッ素樹脂(A)の配合割合が3割以下になると、複合膜の非水電解液含浸量およびその保持性が低下し好ましくなくなる。また、その配合割合が7割より多くなると、耐熱性樹脂(B)添加による耐熱性の向上が顕著でなくなり好ましくなくなる。
【0015】
また、本発明の複合型ポリマー電解質膜では、該耐熱性樹脂(B)がフィブリル状に網目構造を形成し、その間隙に多孔質状のフッ素樹脂(A)が充填されていることが特徴である。
【0016】
典型的なフィブリル繊維径は1〜10μmで、繊維長は5μm以上である。また、繊維径が1μm以下の場合は、フッ素樹脂との複合化により、必ずしもフッ素樹脂と明瞭な区別が出来ない場合もある。また、その網目構造は一義的に定義されるものではなく、該フィブリルが3次元的に連続構造となった構造を意味している。この網目構造は、製膜条件等でも変化する。結果的に、耐熱樹脂(B)のフィブリルが網目状に形成されないと、得られた複合型電解質膜に十分な力学的耐熱性を付与することができなくなり好ましくない。
【0017】
また、この網目構造の形成は、得られた複合薄膜をフッ素樹脂(A)の良溶媒に浸漬することにより確認できる。具体的には、その良溶媒に浸漬した際に、複合膜が形態を保持し不溶化していれば十分な網目構造が形成されていると判断できる。
【0018】
この際に使用されるフッ素樹脂の良溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類を挙げることが出来る。
【0019】
本発明においては、複合膜自体の電解液保持量を向上させる目的から、フッ素樹脂(A)を多孔質にすることが必要である。フッ素樹脂の多孔度が低いと、結果的に複合膜自体の電解液保持量を上げることが困難となり、高いイオン伝導度の電解質膜を得ることが出来なくなる。具体的には、本発明の複合型ポリマー電解質膜は、前記の複合体薄膜にwet基準で50重量%以上の非水電解液が含浸・保持され形成されることが必要である。この電解液の保持量は、電解液を含浸・保持させた膜の重量と、その膜をアルコールで洗浄し電解液を抽出後乾燥させた膜の重量とから重量法により算出することが可能である。その電解液保持量が50重量%未満の場合は、得られた複合型ポリマー電解質膜のイオン伝導度が十分でなく実用的に好ましくなくなる。また、用いる電解液は、特に限定されるものではないが、例えば、リチウムおよびリチウムイオン二次電池への応用の場合は、非水溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解液を用いることができる。具体的なリチウム塩としては、ホウ四弗化リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六弗化リン酸リチウム(LiPF6)、六弗化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフロロスルフォン酸リチウム(CF3SO3Li)、リチウムパーフロロメチルスルフォニルイミド[LiN(CF3SO2)2]およびリチウムパーフロロエチルスルフォニルイミド[LiN(C2F5SO2)2]等を用いることが出来る。また、そのリチウム塩の濃度としては、0.2から2M(モル/l)の範囲が好適に用いられる。また、これらリチウム塩を溶解する非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、γーブチロラクトン(γーBL)、スルフォラン、アセトニトリル等の単独溶媒や、これらを2種類以上を混合した混合溶媒も採用できる。特に、PC、EC、γ-BL、DMC,DEC,MECおよびDMEから選ばれる少なくとも1種以上の溶媒が好適に用いられる。また、電気二重層コンデンサー等への応用の場合は、前記のリチウム塩の代わりにアンモニウム塩を溶解した非水電解液が好適に用いられる。
【0020】
次に本発明の複合型ポリマー電解質膜の製造方法について説明する。本発明の複合型ポリマー電解質膜の製造においては、耐熱性樹脂(B)フィブリルを網目状に形成させることと、非水電解液の含浸量を高くする目的から、その耐熱性樹脂の間隙に充填されたフッ素樹脂(A)を多孔構造とすることが重要である。このような条件を満たす製膜法として、例えば下記に示す方法等が挙げられる。
【0021】
▲1▼溶融製膜法:フッ素樹脂と耐熱性樹脂と可塑剤(開孔剤)とを所定の割合で配合し、加熱溶融したドープをTダイ等のスリット状のノズルから吐出させ冷却することで可塑剤入りの複合膜を製膜後、可塑剤を水等の溶媒で抽出除去し、膜を乾燥させ複合多孔膜とし、非水電解液を含浸させる方法。
【0022】
▲2▼湿式製膜法:フッ素樹脂と耐熱性樹脂と水溶性の溶媒と相分離剤(開孔剤)とを所定の割合で配合溶解し、得られたドープをTダイ等のスリット状のノズルから吐出後、凝固浴へ投入し膜の凝固を行ない、水洗・乾燥することで複合多孔膜を製膜し、非水電解液を含浸させる方法。
【0023】
より好適な製膜法としては湿式法が挙げられる。フッ素系樹脂の湿式製膜法に関しては、フィルターや分離膜用途への応用の観点から種々の手法が既に提案されているが、本発明の複合膜へ適用する湿式製膜法としては、以下に示す方法が好適に採用される。
【0024】
湿式製膜に用いる溶媒としては、フッ素系樹脂および耐熱性樹脂の両者を溶解し、しかも水溶性のものが好適に採用される。そのような溶媒としては、水溶性の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。具体的にはジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF),ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジエチルアセトアミド(DEAc)、ヘキサメチルホスホルアミド等を挙げることが出来るがこれに限定されるものではない。
【0025】
また、湿式製膜時には、複合膜中に電解液を保持させる細孔を形成させる目的で、相分離剤(開孔剤)が添加される。この相分離剤(開孔剤)を添加し製膜することで、フッ素樹脂マトリックス中だけでなく、フィブリル状に形成された耐熱性樹脂マトリックス中にも細孔を形成することが可能となる。この相分離剤(開孔剤)としては、膜の凝固後の水洗工程での抽出が容易なことから、水溶性の相分離剤(開孔剤)が好適に用いられる。具体的には、分子量が200〜1000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量200〜1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル、分子量200〜1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、ter-アミルアルコール、ジアセトンアルコール、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリエチルホスフェート等を挙げることが出来るがこれに限定されるものではない。これらの相分離剤は単独で用いても2種以上を混合して用いても構わない。また、必要に応じフッ素樹脂と耐熱性樹脂の相溶性を調節する目的で、界面活性剤等を混合しても構わない。
【0026】
上記の水溶性溶媒と水溶性相分離剤の混合溶液にフッ素系樹脂(A)と耐熱性樹脂(B)とを配合溶解し製膜用のドープを調製する。その際の配合割合はA:B=3:7〜7:3の重量比が好ましい。フッ素樹脂(A)の割合が3割未満になると、複合型電解質膜の電解液含浸量が低下し好ましくなくなる。また、フッ素樹脂(A)の割合が7割より高くなると、複合膜中に耐熱性樹脂(B)のフィブリルが網目状に形成させなくなり、膜の力学的耐熱性が十分でなくなり好ましくなくなる。また、水溶性溶媒と水溶性相分離剤との混合割合としては、溶媒/相分離剤=9/1〜5/5(重量比)の範囲が好適に用いられる。相分離剤量が10重量%未満では湿式製膜時に均一な細孔が形成されなくなり好ましくない。この際細孔は、フッ素樹脂マトリックス中だけでなく、フィブリル状に形成された耐熱樹脂マトリックス中にも形成される。また、相分離剤量が50重量%よりも多くなると、製膜用ドープのゲル化が顕著となり製膜が困難となるとともに、得られた多孔膜の力学特性が低下し好ましくなくなる。
【0027】
製膜用ドープの全樹脂濃度としては10〜30重量%が好適に採用される。樹脂濃度が10重量%未満では、電解液含浸量の高い多孔度の高い複合膜を得ることは容易となるが、複合膜の力学特性が低下し好ましくなくなる。また、それが30重量%より高くなると、複合膜の力学特性は向上し好ましいが、多孔度の高い膜を得ることが困難となり好ましくなくなる。
【0028】
得られた製膜用ドープは、離型処理を実施した基板上に塗工された後、凝固浴へ投入され凝固されるか、あるいは、スリット状の平板口金(Tダイなど)から平膜状に吐出後、エアギャップ工程を経て凝固浴に投入され凝固される。この際用いる凝固浴としては、水系の凝固浴が好適に用いられる。具体的には、ドープに用いた溶媒/相分離剤と同組成の溶液を水に添加した凝固液が好適に用いられる。この際の凝固液の有機溶媒濃度としては、5〜70重量%の範囲が好適に用いられる。凝固浴濃度が5重量%未満の場合、凝固面に緻密な表面層(スキン層)が形成され、イオン伝導の阻害となり好ましくなくなる。また、凝固浴濃度が70重量%よりも高くなると、凝固面にスキン層は形成され難くなるが、凝固時間が長くなり生産性の面で好ましくなくなる。また、凝固浴温度としては、10℃〜60℃の範囲が好適に利用される。
【0029】
得られた凝固膜は水洗後乾燥処理を実施し、ドライ状態の複合膜とする。この際、膜の力学特性、特に突刺し強度の改善と多孔度の向上を目的とし、複合膜の延伸処理とヒートセット処理が実施される。延伸処理は、水洗工程後あるいは乾燥工程後の多孔膜に対して実施される。延伸処理を凝固工程で実施した場合、延伸の際に細孔のつぶれが併発し、高い多孔度の膜を得ることが困難となる。しかし、水洗工程後あるいは乾燥工程後の複合膜を延伸した場合は、多孔膜構造が出来上がった工程以降の延伸となるため、延伸にともない細孔の偏平化と多孔度の向上が観察される。この際、採用される延伸倍率としては、1.5〜4倍の範囲が好適に用いられる。本発明では、前記のドープ濃度とこの延伸条件の組み合わせで、複合膜の多孔度(空隙率)を制御することも可能である。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例を用い詳細に説明する。
【0031】
[実施例1]
フッ素樹脂としてポリ弗化ビニリデン(PVdF)に対しパーフロロメチルビニルエーテル(FMVE)を5.3モル%共重合した樹脂を、耐熱性樹脂として全芳香族ポリアミドであるコーネックス(帝人登録商標)用いた。水溶性溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)を用い、これに水溶性相分離剤として分子量500のポリエチレングリコールジメチルエーテルを20重量%添加し、混合溶媒を作製した。得られた混合溶媒にフッ素樹脂(FMVE5.3モル)とコーネックスとを5/5(重量比)の割合で添加し、全樹脂濃度16重量%のドープを調製した。得られたドープを0.2mmクリアランスのドクターナイフを用い、離型処理を施したPETフィルム上に塗工した。次いで、得られた塗膜を有機溶媒濃度50重量%の水系凝固浴に投入し膜の凝固を行なった。得られた多孔膜を水洗後定長で80℃/30分の乾燥し、ドライ状態の複合膜を製膜した。得られた膜を1MのLiBF4を溶解したプロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)からなる非水電解液に浸漬し、電解液を含浸させポリマー電解質膜とした。得られた複合型ポリマー電解質膜について以下の測定を実施した。ヒートセット処理を実施した。
【0032】
<電解液含浸量>
ドライ状態の膜重量と電解液含浸後の膜重量の差から、電解液含浸量を求めた。
【0033】
<複合型ポリマー電解質膜弾性率>
電解液を含浸させた複合膜について、テンシロンを用い膜の引張り弾性率を測定した。
【0034】
<力学的耐熱温度>
電解液を含浸させた複合膜を5mm×25mmの短冊とし1gの荷重をかけ、10℃/分の条件で昇温を行ない熱機械的特性分析(TMA)を実施し、膜が破断するか、もしくは膜が10%伸びる温度を力学的な耐熱温度とした。
【0035】
<耐溶媒性>
得られたドライ状態の複合膜をフッ素樹脂の良溶媒であるテトラヒドロフランに浸漬し、複合膜の形態的安定性を評価した。
【0036】
<イオン伝導度>
電解液を含浸させた複合膜を20mmφに切り出し、2枚のSUS電極に挟み、10K Hzでの交流インピーダンスから伝導度を算出した。
【0037】
[比較例1]
実施例1において、フッ素樹脂(FMVE5.3モル)とコーネックスとの配合割合を8/2(重量比)とした以外は、実施例1と同様に製膜を行ない、膜の評価を実施した。
【0038】
[実施例2]
実施例1のコーネックス(耐熱性樹脂)の代わりに、ポリスルホン(アムコ社製)を用いた以外は、実施例1と同様に製膜を行ない、膜の評価を実施した。
【0039】
[比較例2]
実施例2において、フッ素樹脂(FMVE5.3モル)とポリスルホンとの配合割合を8/2(重量比)とした以外は、実施例2と同様に製膜を行ない、膜の評価を実施した。
【0040】
[実施例3]
実施例1のフッ素樹脂の代わりに、PVdFに対しヘキサフロロプロピレンを5.0モル%共重合した樹脂(HFP5.0モル)を用いた以外は、実施例1と同様に製膜を行ない、膜の評価を実施した。
【0041】
[比較例3]
実施例3において、フッ素樹脂(HFP5.0モル)とコーネックスとの配合割合を8/2(重量比)とした以外は、実施例3と同様に製膜を行ない、膜の評価を実施した。
実施例および比較例の結果を表1にまとめた。
【0042】
【表1】
Figure 0003942277
【0043】
実施例1〜3から明らかなように、フッ素樹脂と耐熱性樹脂とを配合したドープを用い、湿式法により複合多孔膜を製膜することにより、耐熱性と機械特性が良好な複合型ポリマー電解質膜を提供することが可能となった。また、フッ素樹脂と耐熱性樹脂とを配合させた場合でも、例えば耐熱性樹脂の配合量が不十分な場合は、比較例1〜3のように、耐熱性樹脂のフィブリル状の網目構造が十分に形成されないため、耐熱性および機械特性とも十分な改善効果は認められなかった。この場合、複合膜はフッ素樹脂の良溶媒への浸漬テストにおいて、膜の溶解(フッ素樹脂が溶解し膜がバラバラになる)が併発した。
【0044】
以上の結果から、フッ素樹脂と耐熱性樹脂とを複合一体化多孔膜を用いることにより、フッ素樹脂単独膜での欠点であった耐熱性と機械強度を改善した、安全性の高い複合型ポリマー電解質膜を提供できることが見出された。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述してきたように本発明によれば、優れた耐熱性と機械特性を有する二次電池やコンデンサー用途に適用可能な安全性の高い複合型ポリマー電解質膜を提供することが可能となった。

Claims (6)

  1. フッ素樹脂 (A) と耐熱性樹脂 (B) とを A:B=3:7 7:3 の重量比で配合したドープを用い、湿式法により複合膜を製膜し、それを乾燥した後に非水電解液を含浸させることを特徴とする、フィブリル状の耐熱性樹脂(B)と該フィブリルの間隙を充填する状態のフッ素樹脂(A)とがA:B=3:7〜7:3の重量比で一体化された複合体薄膜と、それに含浸された非水電解液と複合体薄膜の重量の合計に対して50重量%以上の非水電解液とからなる複合型ポリマー電解質膜の製造方法。
  2. 該フッ素樹脂(A)が、弗化ビニリデン(VdF)を主成分とするポリ弗化ビニリデン(PVdF)共重合体であることを特徴とする請求項1記載の複合型ポリマー電解質膜の製造方法
  3. 該PVdF共重合体が、VdFに対しパーフロロアルキルビニルエーテル、ヘキサフロロプロピレン、三弗化塩化エチレン、テトラフロロエチレン、エチレンから選ばれた1種以上のモノマーを3〜9モル%共重合した共重合体であることを特徴とする請求項2記載の複合型ポリマー電解質膜の製造方法
  4. 該耐熱性樹脂(B)がガラス転移温度が150℃以上の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の複合型ポリマー電解質膜の製造方法
  5. 該複合体薄膜が、フィブリルが網目状に形成された耐熱樹脂(B)の間隙に多孔質のフッ素樹脂(A)層が充填された複合体薄膜であることを特徴とする請求項1〜4記載の複合型ポリマー電解質膜の製造方法
  6. 該複合体薄膜が、フッ素樹脂(A)の良溶媒に浸漬した場合に、不溶であり、形態を維持しうることを特徴とする請求項1〜4記載の複合型ポリマー電解質膜の製造方法
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