JP2000057846A - 複合型ポリマー電解質膜及びその製造法 - Google Patents
複合型ポリマー電解質膜及びその製造法Info
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Abstract
気二重層コンデンサー等の電気化学素子に適用可能な高
強度で耐熱性のあるフッ素多孔膜を利用したゲル状のポ
リマー電解質膜とその製造方法を提供する。 【解決手段】 フィブリル状の耐熱性樹脂(B)と該フィ
ブリルの間隙を充填する状態のフッ素樹脂(A)とがA:B=
3:7〜7:3の重量比で一体化された複合体薄膜と、それに
含浸された50重量%以上の非水電解液とからなる複合型
ポリマー電解質膜。
Description
チウムイオン二次電池や電気二重層コンデンサー等の電
気化学素子に適用可能な高強度で耐熱性のあるフッ素多
孔膜を利用したゲル状のポリマー電解質膜とその製造方
法を提供するものである。
・軽量、かつエネルギー密度が高く繰り返しの充電回数
が多い二次電池の開発が望まれている。この種の電池と
して水溶液電解液でなく非水電解液を使用するリチウム
およびリチウムイオン二次電池が注目されている。
用いる溶液型のリチウム二次電池の場合、充放電繰り返
しに伴い負極上に糸状のリチウム結晶体(デンドライト)
が生じ短絡等を起こすことから、それを抑制し、しかも
セパレータとしての特性を有する固体状のポリマー電解
質の開発が望まれている。
問題を解消し商品化されたリチウムイオン二次電池にお
いては、電極の短絡防止に用いているセパレータ自身の
電解液の保持力は十分でなく電解液の液漏れを起こし易
いことから、外装として金属缶の使用が不可欠となって
いる。これにより、電池の製造コストが高くなるだけで
なく、電池の軽量化も十分に出来ない状況にある。この
ような背景から、リチウムイオン二次電池においても電
解液の液漏れをなくし、電池の軽量化を目指す観点か
ら、セパレータとしての機能も有する安全性の高いポリ
マー電解質の開発が望まれている。
全性を両立させたポリマー電解質系の検討が精力的に行
われている。具体的には、真性ポリマー電解質に液体成
分(溶媒もしくは可塑剤)を添加したいわゆるゲル電解質
と称されるものが精力的に検討されている。この系の場
合、ゲル電解質膜のイオン伝導度は含有する液体成分の
量に依存しており、かなりの量の液体成分を含有させる
ことにより、実用的に十分と考えられる10-3S/cm以上の
イオン伝導度を示す系がいくつか報告されるようになっ
ている。しかし、これらの系のほとんどは、液体成分の
添加に伴い膜の力学的特性が急激に損なわれ、固体電解
質が本来持つべきセパレータとしての安全機能が消失し
たものとなっていた。
318号明細書および5,418,091号明細書には、ゲル電解質
膜の強度とイオン伝導度が両立するとされる系が記載さ
れている。これは、弗化ビニリデンとヘキサフロロプロ
ピレン共重合体をポリマーとして用いたゲル電解質膜を
セパレータとして利用するものであり、ゲル電解質とし
ては特質すべき力学特性を示す系として注目されてい
る。しかし、この系ですら、二次電池用のセパレータ機
能の一つの指標である突刺し強度は、通常のセパレータ
より一桁低いため、このフィルムをロールで取り扱う際
に張力をかけると、容易に変形・破損したり、電極と積
層した場合にわずかな圧力で押しつぶされ短絡するな
ど、電池の製造プロセスを考慮した場合、十分な機械的
特性を有しているとは言い難かった。また、そのゲル電
解質膜の力学的耐熱温度(メルトフロー温度)は、100℃
強と通常のポリオレフィン系セパレータよりも50℃ほど
低いものであり、耐熱性の面でも必ずしもリチウムイオ
ン二次電池の安全性を保障できるものとはなっていなか
った。この耐熱性を改善する方法として、米国特許第5,
429,891号明細書には、架橋性モノマーを前記の弗化ビ
ニリデン系ポリマー中に添加し、そのモノマーの重合に
より架橋構造を導入する方法も提案されているが、残存
モノマーによる電気化学反応への悪影響が懸念されると
ともに、必ずしも十分なレベルまで耐熱性は改善されて
いなかった。
マーの耐熱性(メルトフロー特性)を改善する目的で、特
開平9-302134号公報には、弗化ビニリデン系ポリマーに
電子線を照射し、ポリマー薄膜に架橋構造を導入する技
術が記載されている。しかし、この手法を用いた場合、
電子線照射により生成する弗化水素(HF)等の副生成物を
真空プロセスにより除去する必要があり、膜製造プロセ
スとしてみた場合は、必ずしも好ましいものではなかっ
た。
いイオン伝導度と、機械特性と、高い力学的耐熱性とを
兼ね備えた、安全性の高いリチウムイオン二次電池等の
電気化学素子に適用可能なゲル状のポリマー電解質膜と
その製造法を提供するものである。
リデン系ポリマー電解質膜に、機械的強度と力学的耐熱
性を付与する目的で鋭意検討した結果、耐熱性を有する
ポリマーと弗化ビニリデン系のポリマーとを複合一体化
することにより、本目的を達成できることを見出し、本
発明を完成するに至った。すなわち本発明は、フィブリ
ル状の耐熱性樹脂(B)と該フィブリルの間隙を充填する
状態のフッ素樹脂(A)とがA:B=3:7〜7:3の重量比で一体
化された複合体薄膜と、それに含浸された50重量%以上
の非水電解液とからなる複合型ポリマー電解質膜とその
製造方法である。
する。本発明の複合型ポリマー電解質膜は、フィブリル
状の耐熱性樹脂(B)と該フィブリルの間隙を充填する状
態のフッ素樹脂(A)とがA:B=3:7〜7:3の重量比で一体化
された複合体薄膜に50重量%以上の非水電解液を含浸さ
せたものである。
ン(VdF)を主成分とするポリ弗化ビニリデン(PVdF)共重
合体が採用される。特に好ましいPVdF共重合体として
は、VdFに対してパーフロロアルキルビニルエーテル、
ヘキサフロロプロピレン、三弗化塩化エチレン、エチレ
ンから選ばれた1種以上のモノマーを3〜9モル%共重合
したものが挙げられる。共重合成分のモル比が3モル%未
満の場合、ポリマーの結晶性が高くなり、各種製膜溶媒
への溶解性が低下し好ましくなくなるとともに、得られ
た膜の電解液保持性が低下し好ましくなくなる。また、
その共重合モル比が9モル%より高くなると、塗工溶媒へ
の溶解性は十分となるが、逆に結晶性が低下しすぎ得ら
れた膜の機械強度が十分でなくなり好ましくない。より
好適には、4〜7モル%の共重合範囲が採用される。
電解質膜に耐熱性を付与する目的で、前記フッ素樹脂に
フィブリル状の耐熱性樹脂(B)が複合一体化される。該
耐熱性樹脂(B)としては、熱変形温度が200℃以上で、用
いる非水電解液に対して相互作用がなく安定で耐熱性が
あるものが好適に採用される。例えば、ポリエーテルス
ルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リフェニレンオキシド、ポリエーテル・エーテルケト
ン、ポリイミド、ポリアミドイミド、全芳香族ポリアミ
ド、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル、ポリベン
ズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリテトラフロロ
エチレン等主成分とするポリマーを挙げることができ
る。特に好適な耐熱性樹脂としては、ガラス転移温度が
150℃以上の樹脂を挙げることができる。
合は、フッ素樹脂と複合一体化した際に十分な力学的耐
熱性(メルトフロー温度)が実現されず、安全性の観点か
ら好ましくなくなる。
ッ素樹脂(A)と耐熱性樹脂(B)とが、重量比でA:B=3:7〜
7:3の範囲で一体化されていることが特徴である。フッ
素樹脂(A)の配合割合が3割以下になると、複合膜の非水
電解液含浸量およびその保持性が低下し好ましくなくな
る。また、その配合割合が7割より多くなると、耐熱性
樹脂(B)添加による耐熱性の向上が顕著でなくなり好ま
しくなくなる。
は、該耐熱性樹脂(B)がフィブリル状に網目構造を形成
し、その間隙に多孔質状のフッ素樹脂(A)が充填されて
いることが特徴である。
で、繊維長は5μm以上である。また、繊維径が1μm以
下の場合は、フッ素樹脂との複合化により、必ずしもフ
ッ素樹脂と明瞭な区別が出来ない場合もある。また、そ
の網目構造は一義的に定義されるものではなく、該フィ
ブリルが3次元的に連続構造となった構造を意味してい
る。この網目構造は、製膜条件等でも変化する。結果的
に、耐熱樹脂(B)のフィブリルが網目状に形成されない
と、得られた複合型電解質膜に十分な力学的耐熱性を付
与することができなくなり好ましくない。
合薄膜をフッ素樹脂(A)の良溶媒に浸漬することにより
確認できる。具体的には、その良溶媒に浸漬した際に、
複合膜が形態を保持し不溶化していれば十分な網目構造
が形成されていると判断できる。
しては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等
の環状エーテル類や、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、酢酸エチル等のエステル類を挙げることが
出来る。
持量を向上させる目的から、フッ素樹脂(A)を多孔質に
することが必要である。フッ素樹脂の多孔度が低いと、
結果的に複合膜自体の電解液保持量を上げることが困難
となり、高いイオン伝導度の電解質膜を得ることが出来
なくなる。具体的には、本発明の複合型ポリマー電解質
膜は、前記の複合体薄膜にwet基準で50重量%以上の
非水電解液が含浸・保持され形成されることが必要であ
る。この電解液の保持量は、電解液を含浸・保持させた
膜の重量と、その膜をアルコールで洗浄し電解液を抽出
後乾燥させた膜の重量とから重量法により算出すること
が可能である。その電解液保持量が50重量%未満の場合
は、得られた複合型ポリマー電解質膜のイオン伝導度が
十分でなく実用的に好ましくなくなる。また、用いる電
解液は、特に限定されるものではないが、例えば、リチ
ウムおよびリチウムイオン二次電池への応用の場合は、
非水溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解液を用いるこ
とができる。具体的なリチウム塩としては、ホウ四弗化
リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六弗化
リン酸リチウム(LiPF6)、六弗化砒素リチウム(LiAs
F6)、トリフロロスルフォン酸リチウム(CF3SO3Li)、リ
チウムパーフロロメチルスルフォニルイミド[LiN(CF3S
O2)2]およびリチウムパーフロロエチルスルフォニルイ
ミド[LiN(C2F5SO2)2]等を用いることが出来る。ま
た、そのリチウム塩の濃度としては、0.2から2M(モル/
l)の範囲が好適に用いられる。また、これらリチウム
塩を溶解する非水溶媒としては、プロピレンカーボネー
ト(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネ
ート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカー
ボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、1,2-
ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、
γーブチロラクトン(γーBL)、スルフォラン、アセトニト
リル等の単独溶媒や、これらを2種類以上を混合した混
合溶媒も採用できる。特に、PC、EC、γ-BL、DMC,DEC,M
ECおよびDMEから選ばれる少なくとも1種以上の溶媒が
好適に用いられる。また、電気二重層コンデンサー等へ
の応用の場合は、前記のリチウム塩の代わりにアンモニ
ウム塩を溶解した非水電解液が好適に用いられる。
造方法について説明する。本発明の複合型ポリマー電解
質膜の製造においては、耐熱性樹脂(B)フィブリルを網
目状に形成させることと、非水電解液の含浸量を高くす
る目的から、その耐熱性樹脂の間隙に充填されたフッ素
樹脂(A)を多孔構造とすることが重要である。このよう
な条件を満たす製膜法として、例えば下記に示す方法等
が挙げられる。
可塑剤(開孔剤)とを所定の割合で配合し、加熱溶融した
ドープをTダイ等のスリット状のノズルから吐出させ冷
却することで可塑剤入りの複合膜を製膜後、可塑剤を水
等の溶媒で抽出除去し、膜を乾燥させ複合多孔膜とし、
非水電解液を含浸させる方法。
水溶性の溶媒と相分離剤(開孔剤)とを所定の割合で配合
溶解し、得られたドープをTダイ等のスリット状のノズ
ルから吐出後、凝固浴へ投入し膜の凝固を行ない、水洗
・乾燥することで複合多孔膜を製膜し、非水電解液を含
浸させる方法。
れる。フッ素系樹脂の湿式製膜法に関しては、フィルタ
ーや分離膜用途への応用の観点から種々の手法が既に提
案されているが、本発明の複合膜へ適用する湿式製膜法
としては、以下に示す方法が好適に採用される。
樹脂および耐熱性樹脂の両者を溶解し、しかも水溶性の
ものが好適に採用される。そのような溶媒としては、水
溶性の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。具
体的にはジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルム
アミド(DEF),ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2
-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジエ
チルアセトアミド(DEAc)、ヘキサメチルホスホルアミド
等を挙げることが出来るがこれに限定されるものではな
い。
を保持させる細孔を形成させる目的で、相分離剤(開孔
剤)が添加される。この相分離剤(開孔剤)を添加し製膜
することで、フッ素樹脂マトリックス中だけでなく、フ
ィブリル状に形成された耐熱性樹脂マトリックス中にも
細孔を形成することが可能となる。この相分離剤(開孔
剤)としては、膜の凝固後の水洗工程での抽出が容易な
ことから、水溶性の相分離剤(開孔剤)が好適に用いられ
る。具体的には、分子量が200〜1000のポリエチレング
リコール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、分子量200〜1000のポリ
エチレングリコールジメチルエーテル、分子量200〜100
0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリ
セリン、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、プ
ロピレングリコール、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、ter-
アミルアルコール、ジアセトンアルコール、ε-カプロ
ラクトン、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、トリエチルホスフェート
等を挙げることが出来るがこれに限定されるものではな
い。これらの相分離剤は単独で用いても2種以上を混合
して用いても構わない。また、必要に応じフッ素樹脂と
耐熱性樹脂の相溶性を調節する目的で、界面活性剤等を
混合しても構わない。
溶液にフッ素系樹脂(A)と耐熱性樹脂(B)とを配合溶解し
製膜用のドープを調製する。その際の配合割合はA:B=3:
7〜7:3の重量比が好ましい。フッ素樹脂(A)の割合が3割
未満になると、複合型電解質膜の電解液含浸量が低下し
好ましくなくなる。また、フッ素樹脂(A)の割合が7割よ
り高くなると、複合膜中に耐熱性樹脂(B)のフィブリル
が網目状に形成させなくなり、膜の力学的耐熱性が十分
でなくなり好ましくなくなる。また、水溶性溶媒と水溶
性相分離剤との混合割合としては、溶媒/相分離剤=9/
1〜5/5(重量比)の範囲が好適に用いられる。相分離剤量
が10重量%未満では湿式製膜時に均一な細孔が形成され
なくなり好ましくない。この際細孔は、フッ素樹脂マト
リックス中だけでなく、フィブリル状に形成された耐熱
樹脂マトリックス中にも形成される。また、相分離剤量
が50重量%よりも多くなると、製膜用ドープのゲル化が
顕著となり製膜が困難となるとともに、得られた多孔膜
の力学特性が低下し好ましくなくなる。
重量%が好適に採用される。樹脂濃度が10重量%未満で
は、電解液含浸量の高い多孔度の高い複合膜を得ること
は容易となるが、複合膜の力学特性が低下し好ましくな
くなる。また、それが30重量%より高くなると、複合膜
の力学特性は向上し好ましいが、多孔度の高い膜を得る
ことが困難となり好ましくなくなる。
した基板上に塗工された後、凝固浴へ投入され凝固され
るか、あるいは、スリット状の平板口金(Tダイなど)か
ら平膜状に吐出後、エアギャップ工程を経て凝固浴に投
入され凝固される。この際用いる凝固浴としては、水系
の凝固浴が好適に用いられる。具体的には、ドープに用
いた溶媒/相分離剤と同組成の溶液を水に添加した凝固
液が好適に用いられる。この際の凝固液の有機溶媒濃度
としては、5〜70重量%の範囲が好適に用いられる。凝固
浴濃度が5重量%未満の場合、凝固面に緻密な表面層(ス
キン層)が形成され、イオン伝導の阻害となり好ましく
なくなる。また、凝固浴濃度が70重量%よりも高くなる
と、凝固面にスキン層は形成され難くなるが、凝固時間
が長くなり生産性の面で好ましくなくなる。また、凝固
浴温度としては、10℃〜60℃の範囲が好適に利用され
る。
し、ドライ状態の複合膜とする。この際、膜の力学特
性、特に突刺し強度の改善と多孔度の向上を目的とし、
複合膜の延伸処理とヒートセット処理が実施される。延
伸処理は、水洗工程後あるいは乾燥工程後の多孔膜に対
して実施される。延伸処理を凝固工程で実施した場合、
延伸の際に細孔のつぶれが併発し、高い多孔度の膜を得
ることが困難となる。しかし、水洗工程後あるいは乾燥
工程後の複合膜を延伸した場合は、多孔膜構造が出来上
がった工程以降の延伸となるため、延伸にともない細孔
の偏平化と多孔度の向上が観察される。この際、採用さ
れる延伸倍率としては、1.5〜4倍の範囲が好適に用いら
れる。本発明では、前記のドープ濃度とこの延伸条件の
組み合わせで、複合膜の多孔度(空隙率)を制御すること
も可能である。
明する。
ニリデン(PVdF)に対しパーフロロメチルビニルエーテル
(FMVE)を5.3モル%共重合した樹脂を、耐熱性樹脂として
全芳香族ポリアミドであるコーネックス(帝人登録商標)
用いた。水溶性溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)
を用い、これに水溶性相分離剤として分子量500のポリ
エチレングリコールジメチルエーテルを20重量%添加
し、混合溶媒を作製した。得られた混合溶媒にフッ素樹
脂(FMVE5.3モル)とコーネックスとを5/5(重量比)の割
合で添加し、全樹脂濃度16重量%のドープを調製した。
得られたト゛ーフ゜を0.2mmクリアランスのト゛クターナイフを用い、離型処
理を施したPETフィルム上に塗工した。次いで、得られ
た塗膜を有機溶媒濃度50重量%の水系凝固浴に投入し膜
の凝固を行なった。得られた多孔膜を水洗後定長で80℃
/30分の乾燥し、ドライ状態の複合膜を製膜した。得ら
れた膜を1MのLiBF4を溶解したプロピレンカーボネート/
エチレンカーボネート(1/1重量比)からなる非水電解液
に浸漬し、電解液を含浸させポリマー電解質膜とした。
得られた複合型ポリマー電解質膜について以下の測定を
実施した。ヒートセット処理を実施した。
解液含浸後の膜重量の差から、電解液含浸量を求めた。
を含浸させた複合膜について、テンシロンを用い膜の引
張り弾性率を測定した。
合膜を5mm×25mmの短冊とし1gの荷重をかけ、10℃/分の
条件で昇温を行ない熱機械的特性分析(TMA)を実施し、
膜が破断するか、もしくは膜が10%伸びる温度を力学的
な耐熱温度とした。
をフッ素樹脂の良溶媒であるテトラヒドロフランに浸漬
し、複合膜の形態的安定性を評価した。
膜を20mmφに切り出し、2枚のSUS電極に挟み、10K Hz
での交流インピーダンスから伝導度を算出した。
脂(FMVE5.3モル)とコーネックスとの配合割合を8/2(重
量比)とした以外は、実施例1と同様に製膜を行ない、
膜の評価を実施した。
熱性樹脂)の代わりに、ポリスルホン(アムコ社製)を用
いた以外は、実施例1と同様に製膜を行ない、膜の評価
を実施した。
脂(FMVE5.3モル)とポリスルホンとの配合割合を8/2(重
量比)とした以外は、実施例2と同様に製膜を行ない、
膜の評価を実施した。
りに、PVdFに対しヘキサフロロプロピレンを5.0モル%共
重合した樹脂(HFP5.0モル)を用いた以外は、実施例1と
同様に製膜を行ない、膜の評価を実施した。
脂(HFP5.0モル)とコーネックスとの配合割合を8/2(重量
比)とした以外は、実施例3と同様に製膜を行ない、膜
の評価を実施した。実施例および比較例の結果を表1に
まとめた。
樹脂と耐熱性樹脂とを配合したドープを用い、湿式法に
より複合多孔膜を製膜することにより、耐熱性と機械特
性が良好な複合型ポリマー電解質膜を提供することが可
能となった。また、フッ素樹脂と耐熱性樹脂とを配合さ
せた場合でも、例えば耐熱性樹脂の配合量が不十分な場
合は、比較例1〜3のように、耐熱性樹脂のフィブリル
状の網目構造が十分に形成されないため、耐熱性および
機械特性とも十分な改善効果は認められなかった。この
場合、複合膜はフッ素樹脂の良溶媒への浸漬テストにお
いて、膜の溶解(フッ素樹脂が溶解し膜がバラバラにな
る)が併発した。
とを複合一体化多孔膜を用いることにより、フッ素樹脂
単独膜での欠点であった耐熱性と機械強度を改善した、
安全性の高い複合型ポリマー電解質膜を提供できること
が見出された。
ば、優れた耐熱性と機械特性を有する二次電池やコンデ
ンサー用途に適用可能な安全性の高い複合型ポリマー電
解質膜を提供することが可能となった。
Claims (7)
- 【請求項1】 フィブリル状の耐熱性樹脂(B)と該フィ
ブリルの間隙を充填する状態のフッ素樹脂(A)とがA:B=
3:7〜7:3の重量比で一体化された複合体薄膜と、それに
含浸された50重量%以上の非水電解液とからなる複合型
ポリマー電解質膜。 - 【請求項2】 該フッ素樹脂(A)が、弗化ビニリデン(Vd
F)を主成分とするポリ弗化ビニリデン(PVdF)共重合体で
あることを特徴とする請求項1記載の複合型ポリマー電
解質膜。 - 【請求項3】 該PVdF共重合体が、VdFに対しパーフロ
ロアルキルビニルエーテル、ヘキサフロロプロピレン、
三弗化塩化エチレン、テトラフロロエチレン、エチレン
から選ばれた1種以上のモノマーを3〜9モル%共重合し
た共重合体であることを特徴とする請求項2記載の複合
型ポリマー電解質膜。 - 【請求項4】 該耐熱性樹脂(B)がガラス転移温度が150
℃以上の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の複
合型ポリマー電解質膜。 - 【請求項5】 該複合体薄膜が、フィブリルが網目状に
形成された耐熱樹脂(B)の間隙に多孔質のフッ素樹脂(A)
層が充填された複合体薄膜であることを特徴とする請求
項1〜4記載の複合型ポリマー電解質膜。 - 【請求項6】 該複合体薄膜が、フッ素樹脂(A)の良溶
媒に浸漬した場合に、不溶であり、形態を維持しうるこ
とを特徴とする請求項1〜4記載の複合型ポリマー電解
質膜。 - 【請求項7】 フッ素樹脂(A)と耐熱性樹脂(B)とをA:B=
3:7〜7:3の重量比で配合したドープを用い、湿式法によ
り複合膜を製膜し、それを乾燥した後に非水電解液を含
浸させることを特徴とする複合型ポリマー電解質膜の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21896798A JP3942277B2 (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | 複合型ポリマー電解質膜及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21896798A JP3942277B2 (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | 複合型ポリマー電解質膜及びその製造法 |
Publications (2)
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