JP4227209B2 - 非水系二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池等の非水系二次電池、更に詳しくは、イオン導電性ポリマー薄膜を隔膜に用いた非水系二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、携帯電話やパソコン等の小型化、軽量化のために高エネルギー密度の電池が要求され、これに対応する電池として非水系のリチウムイオン電池が開発されている。この電池の正極及び負極の電極間には電解液に膨潤することのない、ポリオレフィン製多孔質隔膜が配置されている。該ポリオレフィン製隔膜を用いた場合には、電解液の漏出が起こりやすいため、電池構造体全体を重厚な金属容器でパッケージして電解液の漏出を防止している。
【0003】
これに対して最近、電解液の漏液がなく、非金属製パッケージの採用が可能で電池の薄型化や軽量化の点で優れた、いわゆる『ポリマー電池』の開発が行われている。このような電池として、ポリオレフィン製隔膜の代わりにリチウムイオン導電性ポリマーを用いた電池が提案されている。(以下、本明細書において、ポリマー電池とは、『リチウムイオン導電性ポリマーを隔膜に用いた電池』を意味する。)
例えば、特開平8−195220号公報では、ポリアクリロニトリルに電解液を含有させた、多孔度が10%から80%の該多孔膜を隔膜部分に用いることによって、充放電効率が優れた電池ができることが開示されている。該多孔性リチウムイオン導電性ポリマー膜の製法として、予め多孔性ポリマー膜を作成し、リチウム塩を含有する非水電解液中に浸漬することによって、孔中に該電解液を保持させる方法が提案されている。また、特開平8−250127号公報では、フッ化ビニリデン系樹脂製多孔質膜に電解液を含浸させた膜を隔膜部分に用いることによって、電池を構成することができることが開示されている。
【0004】
更に、特開平9−259923号公報では、いわゆる『湿式製膜法』によって得られた多孔質膜を電解液で湿潤または膨潤させたイオン導電性有機高分子膜を隔膜部分に用いることによって、低温での充放電容量が室温での充放電容量と同程度である低温特性に優れた電池が得られることが開示されている。(以後、室温での容量に対する低温での容量の比を低温特性と記す。)該有機高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニルが特に好ましいとされている。
【0005】
しかしながら、フッ化ビニリデン系ホモポリマーを用いた膜の場合には、脆い膜しか得られないため、電池組立時に内部短絡を起こし易いという欠点を有していた。一方、膜の柔軟性を上げる目的でコポリマーを使用した場合には、フッ化ビニリデンモノマー単位の含有量をかなり低下させたコポリマーの場合に十分な機械的強度特性を示すが、この場合には高温(例えば60℃)に曝された後の低温での放電特性(以後、高温保存特性と記す)が低下する欠点を有していた。また、ポリアクリロニトリルやポリ塩化ビニルの場合は、膜自体の機械的強度特性が充分とはいえず、電池の組立歩留まりが低かったり、高温保存特性が低下する欠点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、短絡発生率が低く、かつ、高温に曝された場合にも優れた低温特性を有するポリマー電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、組成の異なる多孔質膜の膜物性とそれを用いた電池特性を検討したところ、フッ化ビニリデン系樹脂においては同一組成であっても、ホモポリマーとコポリマーとをブレンドした場合の方がコポリマー単体の場合よりも優れた膜が得られることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、正極、負極、隔膜および非水系電解液を有する二次電池において、該隔膜が、(A)フッ化ビニリデン系のホモポリマーとコポリマーとから成り、かつ、それら全体の90wt%〜98wt%がフッ化ビニリデンモノマー単位で構成されたフッ化ビニリデン系樹脂と、(B)リチウム塩含有有機溶媒とから成り、前記コポリマーは、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であって、そのフッ化ビニリデンモノマー単位の含有量が80wt%〜90wt%である非水系二次電池、に関する。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における隔膜を構成する(A)成分のポリマー種としては、フッ化ビニリデン系樹脂であり、ホモポリマーとコポリマーとの両者から構成されている必要がある。ホモポリマーのみの場合には、膜の引張破断伸度が低く脆い膜しか得られないため、電池組立て時での内部短絡発生率が高くなってしまう。また、コポリマーのみでは、実用上充分な膜強度を得るためにはフッ化ビニリデンモノマー単位の含有量が90wt%未満のコポリマーである必要があるが、この場合には膜の耐熱性や耐溶媒膨潤性が著しく低下してしまうため、高温保存特性が低くなってしまう。
【0010】
本発明でいうホモポリマーとは、フッ化ビニリデンモノマー単位の含有量が98.5wt%を超える量である樹脂をいう。本発明に用いられるコポリマーとしては、フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、具体的には、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を例示することができる。これらのポリマー種の中では、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が、膜の機械的強度と耐熱性や耐溶媒膨潤性とのバランスが良好であるので特に好ましい。さらに、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の場合では、フッ化ビニリデン含有量が80wt%〜90wt%であることが好ましい。80wt%未満では、膜の耐熱性や耐溶媒膨潤性が低下するため、高温保存特性の悪化傾向が見られるし、90wt%を越える範囲では、膜の機械的強度が低下する。
【0011】
本発明における隔膜を構成するポリマーは、構成するフッ化ビニリデン系樹脂全体の90wt%〜98wt%がフッ化ビニリデンモノマー単位である必要がある。90wt%未満では、膜の機械的強度特性は良好であるものの、耐熱性や耐溶媒膨潤性が著しく低下するため、高温保存特性の悪化傾向が見られる。また、98wt%を超える量では、引張破断伸度が著しく低く脆い膜になってしまう。ホモポリマーやコポリマーの組成にしたがって各々の配合量を設定することにより、上記範囲に調整することができる。
【0012】
また、その特性を損なうことのない範囲において、上記のフッ化ビニリデン系樹脂以外のポリマーをその構成成分として含有することもできる。その許容量の範囲は、ポリマー種にもより一概に言えないが、全構成ポリマー量の10wt%以下が好ましく、5wt%以下がより好ましい。
本発明における隔膜のポリマー組成は、NMR測定等によって容易に確認することができる。また、構成するポリマーがブレンド物であることは、FT−IRやXPS等によって、膜最表面と内部の組成を比較する方法や、溶解分別法によって分離したポリマーを分析・比較する方法等によって確認することができる。
【0013】
本発明における隔膜のポリマーは、構成するフッ化ビニリデン系樹脂を架橋することによって、その機械的強度特性と、耐熱性や耐溶媒膨潤性とのバランスを更に改善し、電池特性を向上させることができる。一般にフッ化ビニリデン系樹脂は、高温においてリチウム塩含有有機溶媒によって著しく膨潤したり、溶解してしまう傾向がある。架橋構造を有することで、高い高温安定性が得られる。この架橋構造は重合時、多孔質薄膜の形成前、形成後のどの段階でも導入することができる。架橋の方法としては重合時に多官能のモノマーを用いる方法、重合後に電子線、γ線、X線、紫外線等の輻射エネルギーを照射する方法、また、重合後にラジカル開始剤を含有させて熱や輻射エネルギー照射により反応させる方法等を用いることができる。重合後に架橋構造を導入する場合、新たに単官能または/および多官能のモノマー成分を共存させておくこともできる。これらの方法の中でも、夾雑物や未反応官能基が残存しにくいので、重合後に電子線、γ線、X線、紫外線等の輻射エネルギーを照射する方法が好ましい。なかでも、多孔膜の膜厚が100μm以下の場合には、電子線照射による架橋が経済的であり、特に好ましい。電子線照射により架橋を行う場合には、照射量は5〜100Mradの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは8〜50Mradの範囲である。5Mrad未満では架橋の効果が十分でなく、100Mradを超えるとポリマーの崩壊が顕著になる。
【0014】
この架橋構造形成の確認は、未架橋ポリマーが可溶の溶剤への溶解性により確認することができる。即ち、架橋構造を有する重合体は可溶性溶剤に溶解しない成分を有し、均一溶解しないことから架橋構造形成を判別することができる。この可溶性溶剤は、ポリマーの組成によって異なるため、特に限定されないが、通常、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが使用できる。溶解に際しては、加温して促進することもできる。
【0015】
本発明における隔膜は、(A)成分のポリマー膜に(B)成分のリチウム塩含有有機溶媒を含浸させることによって得ることができ、優れたリチウムイオン導電性を有する。この含浸を行う前の段階でのポリマー膜は、連通孔を有する多孔質膜であることが、含浸を速やかに実施するうえで好適である。多孔膜の製造にあたって、製膜条件を適宜調整することによって、膜の連通性を制御することができる。孔の連通性は、後記の透水量を測定することによって評価できるが、公知の製膜方法により、透水量が数十〜数万(リットル/m2 /hr/0.1MPa、25℃)の膜を得ることができる。また、製膜条件を適宜選択することによって孔径を制御することが可能であり、0.01〜10μmの任意の値の平均孔径を有する膜を得ることができる。透水量が100リットル/m2 /hr/0.1MPa、25℃以上の膜が、リチウム塩含有有機溶媒を含浸させる速度が速いので特に好ましい。また、平均孔径が0.1〜5μmの膜が特に好ましい。0.1μm未満では、含浸速度が遅い傾向が見られ、5μmを超えると内部短絡が起こり易い傾向がでてくる。
【0016】
本発明における隔膜を構成する(B)成分であるリチウム塩含有有機溶媒は、リチウム塩を非水系有機溶媒に溶解させたものである。
リチウム塩としては、電気化学的に安定なリチウム塩が好ましく、この例として、CF3 SO3 Li、C4 F9 SO3 Liなどのフルオロアルキルスルホン酸リチウム塩、(CF3 SO2 )2 NLi等のスルホニルイミドリチウム塩、LiBF4 、LiPF6 、LiClO4 、LiAsF6 等を挙げることができる。これらを単独で用いることもできるし、2種以上の混合物を用いることもできる。
【0017】
次に、これらのリチウム塩を溶解する非水系有機溶媒としては、化学的に安定でリチウム塩を溶解するものであればよく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート化合物、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、オリゴエチレンオキシド等のエーテル化合物、ブチロラクトン、プロピオラクトン等のラクトン化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物等を挙げることができる。これらを単独で用いることもできるし、2種以上の混合物を用いることもできる。これらの溶媒の中でも、上記Li塩を0.2モル/リットル以上の濃度で溶解し得るものが好ましく、更には、粘度の低い溶媒がポリマー膜への含浸性が高いので好ましい。
【0018】
本発明における隔膜の膜厚は、10〜300μmであり、20〜100μmの範囲が特に好ましい。300μmを越える膜厚では、実効電気抵抗が高くなりすぎるうえ、電池の体積当たりのエネルギー密度が低くなる。一方、10μm未満では膜強度が不足し、電池組立歩留まりが低下する傾向がある。
本発明における隔膜の構造は、特に限定されるものではなく、たとえば▲1▼正極側から負極側に連通する孔を有している構造、▲2▼膜内部に独立した孔を有している構造、▲3▼実質的に孔を有さない構造をとることができる。これらの構造の中でも、電池の低温特性が良好であるので▲1▼および▲2▼の構造が好ましく、▲1▼の構造が最も好ましい。上記の構造は、リチウム塩含有有機溶媒を含有させる前の段階でのポリマー膜の構造を反映するが、含有させた後に加熱等の手段によって、その構造を変化させることもできる。即ち、リチウム塩含有有機溶媒を含有させた後に、40〜100℃程度に短時間加熱することによって、ポリマーを膨潤させて表面孔径を小さくしたり、更には、実質的に無孔の状態にすることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、各測定は、下記の方法により行った。
(1)構成フッ化ビニリデン系樹脂中のVdF含量の測定
製造例の多孔膜サンプルをd化−ジメチルスルホキシドに溶解して10wt%溶液とし、19F−NMR測定(日本電子製NMR:JNM−LAMBDA400型を使用)を行った。
【0020】
ヘキサフルオロプロピレンのCF3 基に由来する−78ppm前後のシグナル強度と、ビニリデンフルオライドのCF2 基に由来する−95ppm前後と−110〜−125ppmの複数本のシグナル強度とから、常法によりCF2 基モル%を求め、重量%に換算した。
(2)断面構造の観察
多孔膜サンプルにエタノールを含浸した状態で液体窒素に浸漬して凍結させた後に割断し、その断面をSEM(日立製作所製SEM S−800型)を用いて観察した。
(3)空隙率の測定
多孔膜サンプルをエタノール(特級試薬)に浸漬して親水化処理を行った後、室温で2時間以上純水に浸漬して空隙内を完全に純水で置換した。次いで、膜表面の水を拭き取った後、空隙に純水を含む多孔膜の重量(A)を測定した。続いて、該多孔膜サンプルを真空中で60℃で4時間以上乾燥して、空隙内の水を除去し、ポリマー部のみの重量(B)を測定した。これらの重量と膜の構成ポリマー及び水の真比重(dp、dw)とから、次式によって計算で求めた。
【0021】
空隙率(%)=100×((A−B)/dw)/(B/dp+(A−B)/dw)
なお、構成ポリマー及び水の真比重は、各々1.77、1.0とした。
(4)透水量(連通性)の測定
多孔膜サンプルを直径25mmに打ち抜いた後、エタノール(特級試薬)中に浸漬して親水化した。次いで、超純水中に浸漬して純水に置換し、該多孔膜を有効面積3.5cm2 のメンブランフィルターホルダーに組み込んで超純水を充たした。5分間0.1MPaの静水圧をかけ、透過した水の重量を測定した。この時の超純水の温度を測定し、その温度での純水の真密度と粘度から、25℃における1時間当たり且つ1m2 当たりの透水量(リットル/m2 /hr/0.1MPa、25℃)を計算した。
(5)引張強度特性
多孔膜サンプルをJIS5号ダンベル状にカットして試験片を作成し、インストロン型万能試験機(島津製作所製)を用いて、引張破断強度と引張破断伸度を測定した。繰り返し数を5とし、その平均値を採った。
なお、チャック間距離を80mm、ヘッド速度を50mm/minの条件で測定した。
(6)耐溶媒膨潤性
50mm×50mmにカットした多孔膜サンプルを、23℃に調整したプロピレンカーボネート(特級試薬)に浸漬して1昼夜放置した。その後、取り出して速やかに膜の2辺の長さ(L1、L2)を測定した。その面積変化率を次式から求めた。
【0022】
面積変化率(%)=100×(L1×L2−2500)/2500
【0023】
【製造例1】
フッ化ビニリデン系ホモポリマー(エルフ アトケム製 Kynar761)13重量部、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(エルフ アトケム製 Kynar2801:フッ化ビニリデン88wt%含有品)4重量部、ポリビニルピロリドン(BASF製K−30)15重量部、および、N−メチル−2−ピロリドン(東京化成社製特級試薬)68重量部からなる溶液を調製し、50℃でガラス板上にキャストした。直ちに30℃の75wt%N−メチル−2−ピロリドン水溶液中に浸漬して凝固させ、水、エタノールで洗浄後加熱乾燥した。
【0024】
この多孔膜についてFT−IR測定を行ったところ、約2wt%ポリビニルピロリドンの存在が認められた。
次いで、この多孔膜に電子線照射(照射量10Mrad)して架橋した多孔膜を得た。この多孔膜の断面構造を観察したところ、5μm以下の空孔が三次元的に連続しており、スポンジ状の構造をしていた。この多孔膜の物性を表2に示す。なお、構成フッ化ビニリデン系樹脂中のVdF含量は、電子線照射前の膜について測定した。また、架橋処理した膜を約1gサンプリングし、N−メチル−2−ピロリドン(東京化成社製特級試薬)50g中に浸漬して24時間攪拌したところ、大部分が未溶解で残っており、架橋していることが確認できた。
【0025】
【製造例2〜7】
原液のポリマー種と配合量、凝固液組成及び電子線照射量を表1に記載のようにした他は、製造例1と同様にして多孔膜を得た。架橋処理した膜については、製造例1と同様にして架橋していることを確認した。この多孔膜の物性を表2に示す。
【0026】
【実施例1】
製造例1の多孔膜を用いて、下記のようにして二次電池を組立てた。
まず、平均粒径10μmのLiCoO2 粉末とカーボンブラックを、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業製、KF#1100)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(5重量%)に混合分散してスラリーを作製した。なお、スラリー中の固形分重量組成は、LiCoO2 (89%)、カーボンブラック(8%)、ポリマー(3%)とした。このスラリーをアルミ箔上にドクターブレード法で塗布、乾燥した後、プレスして膜厚110μmの正極シートを作製した。
【0027】
次に、平均粒径10μmのニードルコークス粉末をカルボキシメチルセルロース溶液とスチレンブタジエンラテックス(旭化成工業製、L1571)分散液混合体に分散してスラリーを作製した。なお、スラリー中の固形分重量組成は、ニードルコークス/カルボキシメチルセルロース/スチレンブタジエン=100/0.8/2とした。該スラリーを金属銅シートにドクターブレード法で塗布、乾燥した後、プレスして膜厚120μmの負極シートを作製した。
【0028】
上記の様にして準備した正極シート、多孔膜、負極シートを重ねて巻き、プレスして偏平にした後、幅34mm、高さ47mm、厚み8.6mmのSUS製容器に挿入した。次いで、リチウム塩含有有機溶媒(エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/γ−ブチロラクトンの1:1:2混合溶媒にLiBF4 を1.5mol/リットルの濃度で溶かした溶液)を注入して、角型電池を組み立てた。
【0029】
該電池について、1mA/cm2 の電流密度で充放電を行った。充電は定電流充電後4.2V定電位充電で行い、放電はカットオフ電圧2.7V定電流放電で行った。
下記の方法により、該電池の低温特性と高温保存特性を測定した。その結果を表3に示す。また、該電池20個について以下の操作を行ない、短絡発生率を調べたところ0%であった。
(a)低温特性
まず、20℃において20回充放電を繰り返した。引き続き、0℃において充放電を5回繰り返した。このときの20℃での20回目の放電容量に対する0℃での5回目の放電容量の百分率を求めた。
【0030】
低温特性(%)=(0℃の放電容量)/(20℃の放電容量)×100
(b)電高温保存特性
まず、20℃において20回充放電を繰り返した。次いで、60℃にて24時間保存した後に20℃に戻し、0℃での充放電を5回繰り返した。60℃保存前での20回目の放電量に対する60℃保存後の0℃での5回目の放電量の百分率を求めた。
【0031】
高温保存特性(%)=(保存後0℃での放電容量)/(保存前の20℃での放電容量)×100
(c)短絡発生率
まず、20℃において20回充放電を行なった後、60℃環境下で24時間放置した。次いで、20℃に戻して100回充放電を行った後、更に1回充電して20℃で48時間放置した。その48時間放置前後における電圧の低下が0.2V以上あったものを内部短絡品として見做し、その百分率を算出した。
【0032】
短絡発生率(%)=(内部短絡品の個数)/20×100
【0033】
【実施例2〜5】
使用した多孔膜とリチウム塩含有有機溶媒を表3に示すように変えた他は、実施例1と同様にして電池を組み立て、電池性能(低温特性と高温保存特性)を調べた。その結果を表3に示す。
次いで、実施例1と同様にして短絡発生率を調べたところ、いずれも0%であった。
【0034】
【比較例1、2】
それぞれ製造例5、製造例6の多孔膜を使用した他は、実施例1と同様にして電池を組み立てることを試みた。しかしながら、膜の強度特性が低く、組み立てが困難であった。
【0035】
【比較例3】
製造例7の多孔膜を使用した他は、実施例1と同様にして電池を組み立て、電池性能(低温特性と高温保存特性)を調べた。その結果を表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【本発明の効果】
以上に述べたように、本発明の非水系二次電池は、特定の組成の隔膜を用いることを特徴とする。これによって、電池組立時の内部短絡の発生が少なく、優れた低温特性と高温保存特性を有する電池を実現でき、従来の非水系二次電池よりも安全性に優れるポリマー電池を提供することができる。
Claims (1)
- 正極、負極、隔膜及び非水系電解液を有する二次電池において、該隔膜が、(A)フッ化ビニリデン系のホモポリマーとコポリマーとから成り、かつ、それら全体の90wt%〜98wt%がフッ化ビニリデンモノマー単位で構成されたフッ化ビニリデン系樹脂と、(B)リチウム塩含有有機溶媒とから成り、
前記コポリマーは、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であって、そのフッ化ビニリデンモノマー単位の含有量が80wt%〜90wt%であることを特徴とする非水系二次電池。
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