JP4090539B2 - リチウムイオン導電性ポリマーの基材膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアクリロニトリル系樹脂からなるリチウムイオン導電性ポリマーに関する。さらに詳しくは、リチウム電池、電解コンデンサ、エレクトロクロミック等の電気化学素子に利用される、リチウムイオン導電性ポリマーの基材膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、携帯電話やパソコン等の電子機器装置の小型化及び軽量化のために、リチウム電池、電解コンデンサ、エレクトロクロミック等の電気化学素子も小型化及び軽量化が求められている。これらの電気化学素子には、イオン導電性材料として電解液が使用されており、通常、これらの電解液は液状である。このような液状の状態では、十分な封止処置を取らないと液漏れを起こすことがあり、電気化学素子の特性が劣化したり、安全性の点で問題がある。この液漏れを回避するために、例えば、リチウムイオン二次電池においては、電池構造体全体を重厚な金属容器でパッケージして電解液の漏出を防止しているため、薄型化及び軽量化に限界があった。
【0003】
これに対して、アクリロニトリル系樹脂等の極性樹脂中に電解液を含有させて固体状にした、いわゆるゲル系固体電解質を用いることにより、電解液の漏液がなく、非金属製パッケージの採用が可能で電気化学素子の薄型化や軽量化を達成することが提案されている。例えば、リチウムイオン二次電池においては、アクリロニトリル系樹脂を素材としたリチウムイオン導電性ポリマーを構成材料として用いた電池が、特開平8−195220号公報に提案されている。
【0004】
この特開平8−195220号公報では、アクリロニトリル系樹脂に電解液を含有させた、多孔度が10%から80%の該多孔膜を隔膜部分に用いることによって、充放電効率が優れた電池ができることが開示されている。この多孔性リチウムイオン導電性ポリマー膜の製法としては、あらかじめポリマー膜を作成し、リチウム塩を含有する非水電解液中で該ポリマー膜に多孔化処理を施すことによって該電解液を孔中に保持させる方法、および、あらかじめ多孔性ポリマー膜を作成し、リチウム塩を含有する非水電解液中に浸漬することによって孔中に該電解液を保持させる方法、の2つの方法が開示されている。
【0005】
前者の非水電解液中で多孔化処理を施す方法においては、電解液を含有したポリマー膜がゲル状を呈するために、多孔化処理を迅速に行い難いこと、および、多孔化処理設備を低湿度環境下に置く必要があるために、過大な設備投資を必要とする等の問題点があった。一方、後者の多孔性ポリマー膜に電解液を含浸させる方法は、前者のような問題点がなく経済的であって好ましいものの、この製法による多孔性リチウムイオン導電性ポリマー膜を用いた場合には、大きな電流密度では高い電池性能が得られない。また、電池が60℃以上の高温になった場合に、短絡が起こり易いという問題点も有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リチウムイオン導電性ポリマー膜の形成が経済的に行われ、かつ、大きな電流密度でも高い電池性能を示し、高温環境下に曝されても安定した性能を示すことが可能なリチウムイオン導電性ポリマー用材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するものである。すなわちこの発明は、
(1)アクリロニトリル系樹脂にて形成され、表裏を連通する多数の孔を有する、アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜からなり、
前記アクリロニトリル系樹脂は、アクリロニトリル単独重合体、又は共重合ビニル化合物の含量が10重量%未満のアクリロニトリル−ビニル化合物共重合体を用いて形成されると共に、架橋構造を備え、
前記アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜は、空隙率が10〜95%であり、膜厚が1〜500μmであり、少なくとも一方の表面層の平均孔径が0.05μm以上であり、23℃において1atmの静圧をかけた時のプロピレンカーボネートの透液量が50kg/hr/m2/atm以上である、
リチウムイオン導電性ポリマーの基材膜、
(2)前記アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜の片側表面の平均孔径と他の表面の平均孔径とが異なる(1)に記載の基材膜、
(3)前記片側表面の平均孔径、及び前記他の表面の平均孔径のうち、大きい方の平均孔径(ΦL)と小さい方の平均孔径(ΦS)の比(ΦL/ΦS)が2〜20である(2)に記載の基材膜、
(4)前記アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜が、以下の(a)〜(c)、
(a)少なくとも一方の表面に内部よりも緻密な層を有し、内部に巨大空孔及び三次元網目構造を有している膜、
(b)少なくとも一方の表面に内部よりも緻密な層を有し、内部が三次元網目構造である膜、
(c)表面及び内部とも三次元網目構造である膜、
のいずれかである(1)〜(3)の何れかに記載の基材膜。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオン導電性ポリマーの基材膜の製造方法であって、
アクリロニトリル単独重合体、又は共重合ビニル化合物の含量が10重量%未満のアクリロニトリルービニル化合物共重合体を、界面活性剤及び/又は添加剤と共に溶媒に溶解して溶液を調整する溶液調製工程、
前記溶液調整工程の後、前記溶液を薄膜状で非溶媒中に浸漬することで凝固させ、溶媒と、界面活性剤及び/又は添加剤とを洗浄除去する凝固・除去工程、
及び、いずれかの段階で前記アクリロニトリル単独重合体またはアクリロニトリルービニル化合物共重合体に架橋構造を導入する工程、
を有するリチウムイオン導電性ポリマーの基材膜の製造方法、
(6)前記凝固・除去工程が、ポリマー溶液を非溶媒中に直接平膜状に押し出して浸漬する工程、又は基板上に流延したものを基板ごと非溶媒中に浸漬する工程である(5)に記載の製造方法、に関する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
一般に電池では出力の電流密度を大きくすると、内部抵抗や濃度過電圧等が原因で容量が低下することがある。特に内部抵抗の大きな隔膜部を有する非水系電池においてはその傾向が著しい。
本発明のリチウムイオン導電性ポリマーの基材膜は、リチウム塩を含有する非水電解液に浸漬するだけで、その空孔中に該非水電解液が短時間で含浸してイオン伝導度の高いポリマー膜になる。さらに、この電解液含有膜を隔膜として非水系電池に用いたときには、大きな電流密度でも容量が低下しにくい電池が実現できる。例えば、充放電可能なリチウムイオン二次電池において、1mA/cm2 のような低い電流密度と、3mA/cm2 のような高い電流密度とで放電容量に大きな差がないことを意味する。
【0009】
本発明者らは、この特性を満足するためのリチウムイオン導電性ポリマー用基材膜の要件を検討した結果、単に膜の多孔度を特定の範囲に調整するだけでは得られず、表裏に連通した孔を有していて、特定溶媒の透液性が高い膜を用いることによってはじめて達成できることを見いだした。
すなわち、23℃で1atmの静圧をかけたときのプロピレンカーボネートの透液量が、50kg/hr/m2 /atm以上の膜が上記特性を満足することを見いだした。50kg/hr/m2 /atm未満では、高い電流密度での容量が低下する。該透液量は、好ましくは100kg/hr/m2 /atm以上、さらに好ましくは200kg/hr/m2 /atm以上である。高い電池性能を得る上では透液量に上限はないが、透液量が大きすぎると漏液性が大きくなったり、デンドライトと呼ばれる樹枝状の金属の電析物による短絡の恐れがあるので、10000kg/hr/m2 /atm以下が好ましく、5000kg/hr/m2 /atm以下がさらに好ましく、2000kg/hr/m2 /atm以下が特に好ましい。
【0010】
ここで透液量の測定は次のような方法で行われる。すなわち、室温においてあらかじめ多孔質膜をプロピレンカーボネート液中に浸して、該多孔質膜内部にプロピレンカーボネートを含浸させ、その状態で23℃±1℃の温度環境下で24時間保存する。次いで、該多孔質膜を直径25mmに打ち抜いて有効面積3.5cm2 のメンブランフィルターホルダーに組み込み、23±1℃に調整したプロピレンカーボネートを充たし、5分間1atmの静圧をかけたときのプロピレンカーボネートの透過量を測定する。この値から1時間当たり且つ1m2 当たりの透液量を計算する。測定環境や用いるプロピレンカーボネート及び器材の水分や純度は、測定値に影響を及ぼし、誤った評価を与えることがある。従って、以上の透液量の測定操作は、23±1℃に調整され、かつ、相対湿度5%以下の環境下で行うことが好ましい。また、用いるプロピレンカーボネートは、純度98wt%以上であり、好ましくは含水量が1000ppm以下であるものを用いる。
【0011】
一般にウルトラフィルターやミクロフィルターのような多孔質膜については、透水量によってその膜に存在する孔の連通性が評価される。しかしながら、アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜においては、後述の実施例1と参考例1との比較において明らかなように、必ずしも透水量が高いものがプロピレンカーボネートの透液量が高いとはいえない。これは、多孔質膜のポリマー種や構造によって変化するものであると推測される。従って、上記の透液量は透水量とは直接的に対応しないものであり、全く異なる概念である。
【0012】
本発明において、多孔質材料として、膜の表裏を連通する多数の孔を有するアクリロニトリル系樹脂製多孔質膜が用いられるが、このことによって、電解液を含浸したときのイオン伝導度が高いこと、電解液の含浸性が高いことの利点が発現する。該多孔質膜の空隙率は10〜95%の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは20〜90%、さらに好ましくは40〜85%である。10%未満では電解液を含浸したときのイオン伝導度が充分に高くなく、また95%を超えると充分な強度が得られにくい。
【0013】
該多孔質膜の膜厚は、一般的には1〜500μm程度のものが用いられ、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは20〜100μmがよい。1μm未満では強度が必ずしも十分とはいえず、電極間で短絡しやすくなり、500μmを越える膜厚では膜全体の実効電気抵抗が高くなりすぎるうえ、電池に用いたときの体積当たりのエネルギー密度が低くなる傾向がある。
【0014】
上述したように、アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜は、表裏に連通した孔を有していて、特定のプロピレンカーボネートの透液性を有することが必要であるが、その構造は特に限定されるものではない。例えば、(a)少なくとも一方の表面に内部よりも緻密な層を有し、内部に巨大空孔及び三次元網目構造を有している膜、(b)少なくとも一方の表面に内部よりも緻密な層を有し、内部が三次元網目構造である膜、(c)表面及び内部とも三次元網目構造である膜、(d)片側表面に緻密な層を有し、該表面層の下部に巨大空孔からなる層とから構成される2層構造である膜、(e)少なくとも両表面に緻密な層を有し、内部に巨大空孔からなる層から構成される3層若しくは5層構造の膜等が挙げられる。ここで巨大空孔とは、その最大長径が膜厚の10%以上長さである空孔をいう。これらの構造の中でも、(a)、(b)及び(c)の膜が、機械的強度が良好であるので特に好ましい。
【0015】
該多孔質膜の表面孔径は、使用する電池における電極の性状により適正な範囲が異なるので一概には限定できないが、電極を構成している活物質等の粒子径よりも十分小さいことが内部短絡を防止する上で望ましい。一方、電解液の含浸を容易にする為には孔径を大きくした方が有利である。従って、片側表面の平均孔径と他の表面の平均孔径とが異なり、大きい方の平均孔径(ΦL)と小さい方の平均孔径(ΦS)の比(ΦL/ΦS)が1以上であることが好ましく、特に、その比が2〜20の範囲であることが好ましい。この範囲外の場合には透液量が小さくなったり、ΦLが大きくなりすぎて内部短絡を起こしやすくなる。このような孔径比(ΦL/ΦS)が2〜20である膜の中でも、片側表面側から他の表面側に向かって開口孔径が次第に大きくなる傾斜構造をとる膜が、電解液の含浸が容易であると同時に内部短絡を起し難く、また、上記の透液量が大きいので、特に好ましい。
【0016】
本発明において、アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜を形成する重合体種としては、アクリロニトリル単独重合体、または、アクリロニトリルと共重合可能なビニル化合物1種または2種以上との共重合体があげられる。これらの中で、電気化学的に安定なものが好ましい。これらのアクリロニトリル系樹脂の分子量は、30℃、ジメチルホルムアミドで測定された極限粘度が、0.4以上であることが好ましい。この極限粘度が0.4未満では十分な強度の膜が得難くなる。
【0017】
アクリロニトリルと共重合可能なビニル化合物としては、具体的には、メタクリロニトリルや、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロオレフィン類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン等のビニルアミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルピリジン等のビニル芳香族化合物;アクリル酸、アクリル酸ソーダ、メタクリル酸、メタクリル酸ソーダ、pースチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ソーダ等のビニルカルボン酸及びその塩類が挙げられる。共重合するビニル化合物の量は30重量%以下が良く、好ましくは15重量%以下で、10重量%未満が特に好ましい。
【0018】
このようなアクリロニトリル系樹脂製多孔質膜の製造法は特に限定されるものでなく、公知の方法が適用できる。例えば、特開昭49ー53258号公報に記載の方法、特開昭53−41385号公報に記載の方法、および特開昭58−27728号公報に記載の方法等を利用することができる。
すなわち、重合体を界面活性剤や添加剤等と共に溶媒に溶解しておき、この溶液を薄膜状で非溶媒中に浸漬することで凝固させ、溶媒や界面活性剤及び添加剤等は洗浄除去し、次いで、必要により熱水処理や湿熱処理を行った後、乾燥処理を行うものである。凝固させる段階においては、ポリマー溶液を非溶媒中に直接平膜状に押し出して浸漬することにより、膜の両面に緻密な層を有する膜が製造でき、また、ガラスのような基板上に流延したものを基板ごと非溶媒中に浸漬することによって、片面に緻密な層を有するものが製造できる。さらに、原液組成や非溶媒液組成やそれらの温度などの条件を適宜選択することによって、緻密な層を全く有さないものを製造することもできる。また、熱水処理や湿熱処理の段階やその前後の段階で延伸処理を施すことも可能である。
【0019】
この発明では、アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜は架橋されていることが好ましい。一般にアクリロニトリル系樹脂は、リチウムイオン二次電池で用いられる有機電解液によって膨潤し易い性質を有し、特に高温においてその傾向が著しい。そのため、特に高温環境下に曝された場合には、電極間の短絡を生じる可能性がある。架橋構造を有することによって、高温においてもその形態を保持することができ、短絡を防止できる。
【0020】
この架橋構造は、重合時、多孔質薄膜の形成前、形成後のどの段階でも導入することができるが、多孔質薄膜の形成後に導入する方法が特に好ましい。
架橋の方法としては重合時に多官能のモノマーを用いる方法、重合後に電子線、γ線、X線、紫外線等の輻射エネルギーを照射する方法、また、重合後にラジカル開始剤を含有させて熱や輻射エネルギー照射により反応させる方法、ニトリル基を変換して得られた、或いは共重合体に含まれるアミド基やカルボキシル基等をホルマリンあるいは多価アルコールを用いて架橋する方法等を用いることができる。重合後に架橋構造を導入する場合、新たに単官能または/および多官能のモノマー成分を共存させておくこともできる。これらの方法の中でも、夾雑物や未反応官能基が残存しにくいので、重合後に電子線、γ線、X線、紫外線等の輻射エネルギーを照射する方法が好ましい。
【0021】
なかでも、膜厚が100μm以下の場合には、電子線照射による架橋が経済的であり、特に好ましい。電子線照射により架橋を行う場合には、照射量は5〜100Mradの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは10〜80Mradの範囲である。5Mrad未満では架橋の効果が十分でなく、100Mradを超えるとポリマーの崩壊が顕著になる傾向が生じる。
【0022】
この架橋構造形成の確認は、未架橋ポリマーが可溶な溶剤への溶解性により確認することができる。即ち、架橋構造を有する重合体は可溶性溶剤に溶解しない成分を有し、均一溶解しないことから架橋構造形成を判別することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、必要により以下の前処理を行ったサンプルを用いて、下記のように測定を行った。
《前処理》
膜サンプル約20cm2 を50mlのエタノール(特級試薬)中に浸漬して洗浄する操作を3回行った。その後、60℃で真空乾燥を4時間行った。
(1)溶解試験(架橋の確認)
膜サンプル約1gを50℃で真空乾燥した後、重量を測定して溶解前重量(Wx)を求めた。該サンプルを約1cm角の大きさにカットしてガラス製サンプル瓶に入れ、N−メチル−2−ピロリドン100mlを添加した。次いで、80℃に加温しながら24時間攪拌した後、粒子保持能0.7μmのガラス繊維濾紙を用いて濾過した。続いて20mlのN−メチル−2−ピロリドンで洗浄した後濾過する操作を2回行い、さらに20mlのエタノール2回洗浄した後、50℃で真空乾燥した。その重量を濾過器ごと測定し、予め測定した濾過器のみの重量から差し引いて、未溶解分重量(Wz)を求めた。Wz/Wxが0.05以上である場合を架橋されているとみなした。
(2)プロピレンカーボネート透液量(以下、”PC透液量”と記す)の測定
十分乾燥処理を施したガラス製サンプル瓶にプロピレンカーボネートを分取し、あらかじめ前処理を施した膜をその中に浸してプロピレンカーボネートを室温において含浸させ、該サンプル瓶を密栓した状態で23℃±1℃の温度環境下で24時間保存した。次いで、この膜を直径25mmに打ち抜いて有効面積3.5cm2 のメンブランフィルターホルダーに組み込み、23±1℃に調整したプロピレンカーボネートを充たし、5分間1atmの静圧をかけたときのプロピレンカーボネートの透過液重量を測定した。この値から1時間当たり且つ1m2 当たりの透液量(kg/m2 /hr/atm)を計算した。
【0024】
上記の測定に関わる操作は、相対湿度5%以下のドライエアー環境下で行った。また、プロピレンカーボネートは、特級試薬(東京化成社製)であり、開封直後のものを用いた。
(3)透水量の測定
膜サンプル約20cm2 を50mlのエタノール(特級試薬)中に浸漬して洗浄する操作を3回行った。次いで、該膜を直径25mmに打ち抜いた後、超純水中に浸漬して純水に置換した。続いて、該膜を有効面積3.5cm2 のメンブランフィルターホルダーに組み込んで超純水を充たし、5分間1atmの静水圧をかけたときの透過液重量を測定した。この時の超純水の温度を測定し、その温度での純水の真密度と粘度から、25℃における1時間当たり且つ1m2 当たりの透水量(リットル/m2 /hr/atm、25℃)を計算した。
(4)厚みの測定
膜サンプルを表面が平滑なガラス板(厚み1mm)2枚で挟み、その厚みをデジタルマイクロメーターで測定した。上記ガラス板2枚の厚みを別途測定し、前期測定値からガラス板分の値を差し引いて求めた。
(5)空隙率の測定
膜サンプルをエタノール(特級試薬)に浸漬して親水化処理を行ったのち、室温で2時間以上純水に浸漬して空隙内を完全に純水で置換した。次いで、膜表面の水を拭き取った後、空隙に純水を含む膜の重量(A)を測定した。続いて、該膜サンプルを真空中で60℃で4時間以上乾燥して、空隙内の水を除去し、ポリマー部のみの重量(B)を測定した。これらの重量と膜の構成ポリマー及び水の真比重(dp、dw)とから、次式によって計算で求めた。
【0025】
空隙率(%)=((A−B)/dw)/(B/dp+(A−B)/dw)×100
なお、水の真比重(dw)は1.0とした。
(6)断面構造及び表面平均孔径
断面構造は、膜サンプルを液体窒素を用いて凍結させた後に割断し、その断面をSEM(日立製作所製SEM S−800型)を用いて観察した。
【0026】
表面平均孔径は、上記と同様にSEMを用いて膜表面を観察し、孔が円形でない場合には、画像解析を行って面積相当直径を求め、その面積基準の平均値を平均孔径とした。
(7)イオン伝導度
膜サンプルを室温で電解液(エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/γ−ブチロラクトンの1:1:2混合溶媒にLiBF4 を1.5mol/リットルの濃度で溶かした溶液)中に浸漬して、電解液を含浸した。この電解液含浸膜をステンレス製電極で挟み込むことで電気化学セルを構成した。通常の交流インピーダンス法に基づいて、この電極間に交流を印可して抵抗成分を測定し、コールコールプロットの実数インピーダンス切片からイオン伝導度を計算した。
【0027】
なお、インピーダンスの測定は、EG&G社、389型インピーダンスメーターを用い、周波数100kHz〜10Hzで行った。電解液の含浸と測定操作は、露点−60℃以下のドライ環境下で行った。
(8)電解液含浸膜の高温安定性
上記(7)と同様にして電気化学セルを構成し、さらに熱電対を埋め込んだアルミナ板でそのセルの両面を押さえ、加熱可能な油圧プレス機で0.5kg/cm2 に加圧して保持した。交流インピーダンス測定を行いながらプレスダイを加熱し、室温から220℃まで昇温させたときのインピーダンス変化を測定した。
(9)急速充放電性能(電流密度依存性)
以下のような電極を用いた2次電池を構成し、その充放電特性から評価した。
【0028】
まず、平均粒径10μmのLiCoO2 粉末とカーボンブラックを、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業製、KF#1100)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(5重量%)に混合分散してスラリーを作製した。なお、スラリー中の固形分重量組成は、LiCoO2 (89%)、カーボンブラック(8%)、ポリマー(3%)とした。このスラリーをアルミ箔上にドクターブレード法で塗布、乾燥した後、プレスして膜厚110μmの正極シートを作製した。
【0029】
次に、平均粒径10μmのニードルコークス粉末をカルボキシメチルセルロース溶液とスチレンブタジエンラテックス(旭化成工業製、L1571)分散液混合体に分散してスラリーを作製した。なお、スラリー中の固形分重量組成は、ニードルコークス/カルボキシメチルセルロース/スチレンブタジエン=100/0.8/2とした。該スラリーを金属銅シートにドクターブレード法で塗布、乾燥した後、プレスして膜厚120μmの負極シートを作製した。
【0030】
イオン伝導度の測定の場合と同様にして、電解液を含浸した膜(電解液含浸膜)を調製した。
正極シート、負極シートはそれぞれ2cm角に切断し、電解液含浸膜は2.3cm角に切断した。2枚の電極シートが該電解液含浸膜を挟んで対向した状態に積層した。このとき、正負極シートの対向しない部分ができないようにした。さらに、該正極及び負極の外側からガラス板で挟んで密着させて電池を形成した。次いで、該電池の正極、負極にステンレス端子を取り付け、ガラス製容器内に封入した。上記の電池の組立操作は、露点−60℃以下のドライ環境下で行った。
【0031】
該電池について充放電機(北斗電工製 101SM6)を用い、充放電を繰り返し行った。充電は定電流充電後4.2V定電位充電で行い、放電はカットオフ電圧2.7V定電流放電で行った。まず、1mA/cm2 の電流密度で10回充放電を繰り返し、続いて3mA/cm2 の電流密度で充放電を10回繰り返した。このときの10回目(1mA/cm2 )の放電容量に対する20回目(3mA/cm2 )の放電容量の比を求めた。
【0032】
電池性能(%)=(20回目の放電容量)/(10回目の放電容量)×100
【0033】
【実施例1】
アクリロニトリル/メチルアクリレート/メタリルスルホン酸ソーダ3元系共重合体(それぞれ95/4.5/0.5重量%、極限粘度1.2)15重量部、プロピレンカーボネート(東京化成社製特級試薬)15重量部、N−メチル−2−ピロリドン(東京化成社製特級試薬)55重量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製K−17)15重量部からなる溶液を調製した。この原液を90℃でガラス板上に流延したのち、60℃の80重量%N−メチル−2−ピロリドン水溶液中に浸漬して凝固させた。次いで、大量の水で水洗し、緊張状態で90℃の熱水中に30分間浸漬したのち、50℃で乾燥して多孔質膜を得た。該多孔質膜に電子線照射(照射量60Mrad)し、架橋した多孔質膜を作成した。溶解試験を行った結果、未溶解分が5%以上であり、架橋していることを確認できた。
【0034】
上記の架橋した多孔質膜の断面を観察すると、片側表面に比較的緻密な三次元網目構造の層を有していて、内部は比較的孔径の大きな空孔が連結した三次元網目構造であった。両表面には円形状の孔が開口しており、その平均孔径は、それぞれ0.6μm、2.1μmであった。即ち、両表面の孔径比が3.5である。該多孔質膜は、膜厚50μm、空隙率74%であり、透水量が950(リットル/m2 /hr/atm、25℃)、PC透液量が420(kg/m2 /hr/atm)であった。
【0035】
該多孔質膜を電解液中に浸漬したところ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電解液含浸膜のイオン伝導度は1.4mS/cmであり、220℃までの昇温過程において抵抗値の大きな低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。これを隔膜として用いた電池の急速充放電性能は、95%と優れた性能を示した。
【0036】
【実施例2】
アクリロニトリルホモポリマー(極限粘度1.1)16重量部、プロピレンカーボネート(東京化成社製特級試薬)14重量部、ジメチルスルホキシド(東京化成社製特級試薬)58重量部、およびポリエチレングリコール#600(和光純薬社製特級試薬)12重量部からなる溶液を調製し、80℃でガラス板上に流延した。直ちに60℃に温調した70重量%ジメチルスルホキシド水溶液中に浸漬して凝固させた。次いで、大量の水で水洗し、緊張状態で90℃の熱水中に30分間浸漬したのち、50℃で乾燥して多孔質膜を得た。この多孔質膜に電子線照射(照射量30Mrad)し、架橋した多孔質膜を作成した。溶解試験を行った結果、未溶解分が5%以上であり、架橋していることを確認できた。
【0037】
上記の架橋した多孔質膜の断面を観察すると、片側表面に比較的緻密な三次元網目構造の層を有していて、内部は比較的孔径の大きな空孔が連結した三次元網目構造であった。両表面には円形状の孔が開口しており、その平均孔径は、それぞれ0.08μm、1.5μmであった。即ち、両表面の孔径比が19である。該多孔質膜は、膜厚65μm、空隙率77%であり、透水量が430(リットル/m2 /hr/atm、25℃)、PC透液量が280(kg/m2 /hr/atm)であった。
【0038】
該多孔質膜を電解液中に浸漬したところ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電解液含浸膜を100℃で10分間加熱したのち、室温に戻した。この膜のイオン伝導度は1.3mS/cmであり、220℃までの昇温過程において抵抗値の大きな低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。これを隔膜として用いた電池の急速充放電性能は、94%と優れた性能を示した。
【0039】
【実施例3】
アクリロニトリルホモポリマー(極限粘度1.1)17重量部、濃硝酸(東京化成社製特級試薬)83重量部からなる溶液を調製して5℃に保持し、ガラス板上に流延した。流延後、20℃に温調した30wt%硝酸水溶液中に浸漬して凝固させたのち、大量の水で洗浄した。次いで、緊張状態で90℃の熱水中に10分間保持したのち、2軸延伸機で1.3倍に延伸し、50℃で乾燥して多孔質膜を得た。該多孔質膜に電子線照射(照射量30Mrad)し、架橋した多孔質膜を作成した。溶解試験を行った結果、未溶解分が5%以上であり、架橋していることを確認できた。
【0040】
上記の架橋した多孔質膜の断面を観察すると、片側表面に比較的緻密な層を有していて、内部に約15μmの巨大空孔と三次元網目構造を有していた。両表面の平均孔径は、それぞれ0.06μm、0.2μmであり、その比が3.3であった。該多孔質膜は、膜厚50μm、空隙率70%であり、透水量が1200(リットル/m2 /hr/atm、25℃)、PC透液量が820(kg/m2 /hr/atm)であった。
【0041】
該多孔質膜を電解液中に浸漬したところ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電解液含浸膜を100℃で10分間加熱したのち、室温に戻した。この膜のイオン伝導度は1.4mS/cmであり、220℃までの昇温過程において抵抗値の大きな低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。これを隔膜として用いた電池の急速充放電性能は、96%と優れた性能を示した。
【0042】
【実施例4】
実施例2と同様にポリマー溶液を調製し、80℃でガラス板上に流延した。直ちに25℃に調整した60重量%ジメチルスルホキシド水溶液中に浸漬して凝固させた。次いで、大量の水で水洗し、緊張状態で90℃の熱水中に30分間浸漬したのち、50℃で乾燥して多孔質膜を得た。該多孔質膜に電子線照射(照射量20Mrad)し、架橋した多孔質膜を作成した。溶解試験を行った結果、未溶解分が5%以上であり、架橋していることを確認できた。
【0043】
上記の多孔質膜の表面と断面を観察したところ、片側表面に比較的緻密な層を有していて、内部は三次元網目構造であった。両表面の平均孔径はそれぞれ0.05μm、0.4μmであり、その比が8.0であった。この多孔質膜は、膜厚60μm、空隙率76%であり、透水量が300(リットル/m2 /hr/atm、25℃)、PC透液量が110(kg/m2 /hr/atm)であった。
【0044】
該多孔質膜を電解液中に浸漬したところ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電解液含浸膜を100℃で10分間加熱したのち、室温に戻した。この膜のイオン伝導度は1.3mS/cmであり、220℃までの昇温過程において抵抗値の大きな低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。これを隔膜として用いた電池の急速充放電性能は、90%と優れた性能を示した。
【0045】
【参考例1】
電子線の照射量を3Mradとした他は、実施例1と同様にして架橋処理した多孔質膜を作成した。溶解試験を行った結果、未溶解分が5%未満であり、ほとんど架橋していなかった。
上記の多孔質膜の断面構造、平均孔径、膜厚、及び透水量は、実施例1と同様であったが、PC透液量が5(kg/m2 /hr/atm)でしかなかった。
【0046】
この電解液含浸膜のイオン伝導度は1.5mS/cmであったが、120℃までの昇温途中において抵抗値の大きな低下が起こり、遂には短絡して測定不能になった。この電解液含浸膜を隔膜として用いた電池の急速充放電性能は、28%であった。
【0047】
【参考例2】
アクリロニトリル/メチルアクリレート/メタリルスルホン酸ソーダ3元系共重合体(それぞれ90/9.5/0.5重量%、極限粘度1.2)16重量部、プロピレンカーボネート(東京化成社製特級試薬)16重量部、N−メチル−2−ピロリドン(東京化成社製特級試薬)48重量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製K−17)20重量部からなる溶液を調製した。以後、実施例1と同様にして多孔質膜を製膜し、該多孔質膜に電子線照射(照射量60Mrad)して、架橋した多孔質膜を作成した。溶解試験を行った結果、未溶解分が5%以上であり、架橋していることを確認できた。
【0048】
上記の架橋した多孔質膜の断面を観察すると、片側表面に比較的緻密な層を有していて、内部は三次元網目構造であった。両表面の平均孔径は、それぞれ0.7μm、2.5μmであり、その比が3.6であった。この多孔質膜は、膜厚60μm、空隙率75%であり、透水量が1150(リットル/m2 /hr/atm、25℃)であったが、PC透液量は25(kg/m2 /hr/atm)であった。
【0049】
該多孔質膜を電解液中に浸漬したところ、数秒以内に含浸し、完全に透明になった。この電解液含浸膜のイオン伝導度は1.5mS/cmであり、220℃までの昇温過程において抵抗値の大きな低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。また、この電解液含浸膜を隔膜として用いた電池の急速充放電性能は、45%であった。
【0050】
【参考例3】
アクリロニトリル/メチルアクリレート/メタリルスルホン酸ソーダ3元系共重合体(それぞれ95/4.5/0.5重量%、極限粘度1.2)16重量部、N−メチル−2−ピロリドン(東京化成社製特級試薬)68重量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製K−17)15重量部からなる溶液を調製した。このポリマー溶液を、60℃でTダイのスリットから薄膜状にして押し出し、40℃の水中に浸漬して凝固させた。次いで、大量の水で水洗し、緊張状態で90℃の熱水中に30分間浸漬したのち、50℃で乾燥して多孔質膜を得た。該多孔質膜に電子線照射(照射量45Mrad)し、架橋した多孔質膜を作成した。溶解試験を行った結果、未溶解分が5%以上であり、架橋していることを確認できた。
【0051】
上記の架橋した多孔質膜の断面を観察すると、両側表面には、厚み約1μmの非常に緻密な層を有していて、内部には、膜厚方向の長さが約10μmである巨大空孔と、孔径がサブμm〜数μmの空孔が連結した三次元網目構造を有していた。この多孔質膜は、膜厚45μm、空隙率77%であり、透水量が120(リットル/m2 /hr/atm、25℃)であったが、両表面には1万倍に拡大しても明確に測定できる程度の孔が観察されなかった。このことから、表面層の平均孔径は0.01μm以下であり、両表面の孔径比は1と推定される。この多孔質膜のPC透液量は15(kg/m2 /hr/atm)であった。
【0052】
該多孔質膜を電解液中に浸漬したところ、完全に透明になるのに3分以上を要した。この電解液含浸膜のイオン伝導度は1.5mS/cmであり、220℃までの昇温過程において抵抗値の大きな低下が無く、短絡する現象は起こらなかった。しかしながら、この電解液含浸膜を隔膜として用いた電池の急速充放電性能は、35%であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明のリチウムイオン導電性ポリマー用の基材膜は、リチウムイオン含有非水電解液中に浸漬するだけで極めて短時間でその空孔中に該電解液を保持させることができ、イオン伝導度の高いリチウムイオン導電性ポリマー膜を形成することができる。該リチウムイオン導電性ポリマー膜を用いた電池は、大きな電流密度でも優れた電池性能を示し、かつ、高温環境下に曝されても安定した性能を発揮できる。したがって、本発明のリチウムイオン導電性ポリマー用の基材膜は、リチウム電池、電解コンデンサ、エレクトロクロミック等の電気化学素子に利用される構成材料として有用なものである。
Claims (6)
- アクリロニトリル系樹脂にて形成され、表裏を連通する多数の孔を有する、アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜からなり、
前記アクリロニトリル系樹脂は、アクリロニトリル単独重合体、又は共重合ビニル化合物の含量が10重量%未満のアクリロニトリル−ビニル化合物共重合体を用いて形成されると共に、架橋構造を備え、
前記アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜は、空隙率が10〜95%であり、膜厚が1〜500μmであり、少なくとも一方の表面層の平均孔径が0.05μm以上であり、23℃において1atmの静圧をかけた時のプロピレンカーボネートの透液量が50kg/hr/m2/atm以上である、
リチウムイオン導電性ポリマーの基材膜。 - 前記アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜の片側表面の平均孔径と他の表面の平均孔径とが異なる請求項1に記載の基材膜。
- 前記片側表面の平均孔径、及び前記他の表面の平均孔径のうち、大きい方の平均孔径(ΦL)と小さい方の平均孔径(ΦS)の比(ΦL/ΦS)が2〜20である請求項2に記載の基材膜。
- 前記アクリロニトリル系樹脂製多孔質膜が、以下の(a)〜(c)、
(a)少なくとも一方の表面に内部よりも緻密な層を有し、内部に巨大空孔及び三次元網目構造を有している膜、
(b)少なくとも一方の表面に内部よりも緻密な層を有し、内部が三次元網目構造である膜、
(c)表面及び内部とも三次元網目構造である膜、
のいずれかである請求項1〜3の何れか1項に記載の基材膜。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン導電性ポリマーの基材膜の製造方法であって、
アクリロニトリル単独重合体、又は共重合ビニル化合物の含量が10重量%未満のアクリロニトリルービニル化合物共重合体を、界面活性剤及び/又は添加剤と共に溶媒に溶解して溶液を調整する溶液調製工程、
前記溶液調整工程の後、前記溶液を薄膜状で非溶媒中に浸漬することで凝固させ、溶媒と、界面活性剤及び/又は添加剤とを洗浄除去する凝固・除去工程、
及び、いずれかの段階で前記アクリロニトリル単独重合体またはアクリロニトリルービニル化合物共重合体に架橋構造を導入する工程、
を有するリチウムイオン導電性ポリマーの基材膜の製造方法。 - 前記凝固・除去工程が、ポリマー溶液を非溶媒中に直接平膜状に押し出して浸漬する工程、又は基板上に流延したものを基板ごと非溶媒中に浸漬する工程である請求項5に記載の製造方法。
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