JP3929754B2 - 内装材の施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物における内装材の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高周波の電磁誘導方式の加熱装置を用い、接着剤を溶融接着して内装材を取付ける施工方法が開示されている(特開2000-291226)。この施工方法は、金属製の下地材30の表面に熱可塑性のホットメルト接着剤32を付着しておき、上記下地材30を建物躯体に取り付けた状態で、この下地材30に石膏ボード等の内装材34を押し付け、この押圧した状態で内装材34の表面から加熱装置5を操作する。
【0003】
そして、加熱装置5のコイルに高周波電流を供給して金属製の下地材30に誘導電流を起して発熱させ、この下地材30の熱をホットメルト接着剤32に伝達してこれを溶融状態とする。ホットメルト接着剤32が溶融すると、作業者は、加熱装置5の作動操作を停止し、内装材34を手で押圧したままホットメルト接着剤32の冷却を待つ。やがて、ホットメルト接着剤32が冷却し内装材34を下地材30に固着した後に、作業者は内装材34の押圧から解放される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上記施工方法によれば、溶融したホットメルト接着剤32が冷却固化する時間、つまり内装材34が下地材30に固着するまでの間、人手によって内装材34を押圧した状態を維持する必要がある。通常、上記溶融箇所は所定の範囲にわたって行われるため、複数の作業者が必要となり、また押圧作業により作業者の疲れが増大して多くの施工面積をこなすのが困難であるという問題がある。また、押圧作業は作業者の力加減に委ねられ、このため押圧力が不足する箇所では、下地材と内装材が密着固定できなく固着が不十分となる。
【0005】
さらに、押圧作業では、下地材の強度如何により押圧力による下地材の反力が異なることから、強度の小さい軽量の下地材などが用いられている場合には押圧不足が懸念されるという問題があった。また、下地材30として木材などの非金属製の材料を用いた場合、或いは石膏ボード等の内装材同士を重ねて敷設し、遮音及び耐火性を求める場合(二重貼)には、そのままでは誘導加熱による施工を行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、下地の材質に係わらず誘導加熱による接着施工が行え、併せて簡便に施工が行える内装材の施工方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的課題を解決するため、本発明は、図1に示すように、建物躯体に設けられた下地材4に、非金属製の板状の裏部内装材2が取り付けられ、この裏部内装材2の表面に板状の表部内装材3を取り付ける内装材の施工方法であって、上記裏部内装材2と上記表部内装材3との間に、両面又は片面にホットメルト接着剤8が塗布された磁性金属材料からなるプレート6を介在させ、上記表部内装材3の表面に磁石体10を吸着させて表部内装材3を押圧固定し、上記表部内装材3の表面を高周波の電磁誘導による加熱装置5で操作し、上記プレート6を発熱させて上記ホットメルト接着剤8を溶融し、このホットメルト接着剤8が冷却固化される間、磁石体10にて上記表部内装材3を押圧固定してこの表部内装材3を接着する施工方法である。
【0008】
また、本発明は、図4に示すように、建物躯体に設けられた非磁性材料からなる下地材7に、板状の内装材9を取り付ける内装材の施工方法であって、上記下地材7と上記内装材9との間に、両面又は片面にホットメルト接着剤8が塗布された磁性金属材料からなるプレート6を介在させ、上記内装材9の表面に磁石体10を吸着させて内装材9を押圧固定し、上記内装材9の表面を高周波の電磁誘導による加熱装置5で操作し、上記プレート6を発熱させて上記ホットメルト接着剤8を溶融し、このホットメルト接着剤8が冷却固化される間、磁石体10にて上記内装材9を押圧固定してこの内装材9を接着する施工方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内装材の施工方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、建物の躯体12に表裏二枚の内装材2,3を施工する状態を示したものである。下地構造としては、建物の床面14と天井面16に、それぞれ断面コの字形の軽量鋼製のランナー材18,19を建物の壁面20に沿って水平状に取付け、これらランナー材18,19間に上下に、下地材としての間柱4を取付ける。この間柱4は、木製、或いは鋼等の金属材料からなる。
【0010】
上記間柱4は左右に所定間隔をおいて互いに平行に立設され、各端部はそれぞれビス等を用いてランナー材18,19に止着され、これにより間柱4が壁面20前に固定され下地の骨組みが形成される。上記内装材2,3としては、ぞれぞれ石膏ボードが用いられ、このように石膏ボードを二枚重ね貼りすることにより、シンプルな構成でありながら良好な遮音・耐火壁が実現できる。他に、内装材2,3としては非金属製の材料が用いられる。
【0011】
図2(a)に示すように、裏部内装材2は、セルフドリリング可能なタッピング螺子22等の止着具を用いて直接間柱4に固定する。さらに、この実施の形態では、上記裏部内装材2の表面に帯状のプレート6を介在させる。このプレート6は鉄等の磁性金属材料からなり、プレート6には表裏両面に熱可塑性のホットメルト接着剤8が塗布されている。上記プレート6は厚さが0.4mmの薄い板材であり、これにホットメルト接着剤8が150μm(片面)の厚さに平塗りされている。
【0012】
このプレート6は、図2(b)に示すように、ビス、もしくはステープル等の止着具24を用いて間柱4に沿って取り付ける。他に、接着剤を用いてプレート6を裏部内装材2に貼り付けてもよく、この場合プレート6の貼り付け位置は、必ずしも間柱4の前面に限られるものではなく、間柱4間に貼り付けることとしてもよい。上記止着具24或いは接着剤による取り付けでプレート6の固定が十分な場合には、片面(表面)のみにホットメルト接着剤を塗布したプレート6を用いることも可能である。また、プレート6を、予め、下記表部内装材3に接着等により取付けておいてもよく、これにより現場でのプレート6の取り付け作業の手間が省ける。この場合にも、片面(裏面)のみにホットメルト接着剤8を塗布したプレート6を用いることが可能である。
【0013】
次に裏部内装材2の表面に、表部内装材3を配置して取り付け位置を決める。通常、表部内装材3は、裏部内装材2と同じ位置に重ねるのではなく、遮音性及び耐火性を考慮して内装材の目地部が重なることなく配置する。
【0014】
さて、この表部内装材3は床面14に対して垂直な状態であり、これを裏部内装材2に固着する際には、表部内装材3を裏部内装材2に向けて押圧保持する必要がある。この保持手段として、この実施の形態においては磁石体10を用いる。
【0015】
この磁石体10は、中空部を有する容器に把手部が設けられ、この中空部には板状の軟鉄材と永久磁石が挿入され、これをシート材で覆ったものである。上記永久磁石は、ネオジム系の永久磁石を用いている。
【0016】
図1に示すように、上記磁石体10を表部内装材3の表面に当てると、磁石体10内の永久磁石体により磁性金属製のプレート6との間に磁力が働き、プレート6を介して磁石体10が裏部内装材2に吸引吸着される。この吸引力により、表部内装材3は裏部内装材2に密着保持され、表部内装材3を押圧固定するための人手は不要となる。
【0017】
上記磁石体10を用いて表部内装材3を吸着保持するが、表部内装材3の厚みによって磁石体10の吸着力は変化する。クーロンの法則によれば、2つの磁極の間に働く力は距離の2乗に反比例する。一般に、内装の仕上材としての表部内装材3の厚みは9〜15mmの寸法のものが用いられる。社内試験によれば、上記厚みが9〜15mmの表部内装材3の表面では良好な吸着力が得られている。
【0018】
上記磁石体10を何箇所かに吸着させて表部内装材3を保持し、プレート6の表面に塗布されたホットメルト接着剤8を溶融するために、表部内装材3の上から高周波の電磁誘導方式による加熱装置5を操作して5〜15秒間誘導加熱する。
【0019】
図2(c)は、加熱装置5によって加熱する箇所(P)を示したものである。加熱を開始すると、加熱装置5からの交番磁界によりプレート6に渦電流が発生して発熱し、プレート6表面の発熱温度が約200℃になるとホットメルト接着剤8は溶融する。ホットメルト接着剤8が溶融すれば、この近辺に配置した磁石体10により表部内装材3を押圧する。
【0020】
このとき、裏部内装材2と表部内装材3との間は、プレート6を介して十分密着されていないと接着が良好に行われない。この場合、上記磁力吸着による磁石体10を用いると、裏部内装材2と表部内装材3間に一定の押圧力を加えることができる。したがって、図3(a)に示すように、例えば反りにより裏部内装材2と表部内装材3との間に隙間(D)があっても、磁石体10を用いることにより、同図(b)に示すように双方から力(F)が作用し、確実かつ安定して両者を密着させることができ接着が良好に行われる。併せて、磁石体10を用いることにより、作業者は人手による押圧作業から開放される。なお、従来の人手(H)による押圧作業では、図3(c)に示すように、下地を構成する間柱4の強度が弱いと、人手(H)による押圧力がそのまま下地材を押圧(F)することとなり、結局、下地材の反力が得られなくて押圧力が不足することになる。
【0021】
上記溶融されたホットメルト接着剤8は、交番磁界の供給が停止されると、直ちに冷却固化され、プレート6を介して表部内装材3が裏部内装材2に接着する。このホットメルト接着剤8は、溶融状態から固化するまでの時間は約10秒前後であり、この間上記配置し或いは別途配置した磁石体10の吸引力により表部内装材3を押圧保持する。ホットメルト接着剤8が固化した後、磁石体10を取り除けば、表部内装材3の施工は完了する。
【0022】
なお、上記磁石体10にはネオジム系の永久磁石体を用いたが、これは永久磁石体に限定されるものではなく、電磁石体を用いることによっても同様の作用効果が得られる。さらに、電磁石体を用いた場合には、電力の供給を停止することで磁力が消失するので、電磁石体の脱着が容易に行えるという利点がある。
【0023】
従って、上記実施の形態に係る施工方法によれば、ホットメルト接着剤を塗布した磁性金属材料からなるプレートを内装材同士の間に介在させることとしたから、裏部内装材の材質に係わりなく誘導加熱を利用した施工を行うことができ、内装材の貼り付けが容易かつ迅速に行える。
【0024】
さらに、磁力による吸引吸着作用を利用した保持方法を採用したので、作業者の人手による押圧作業を不要にして作業者の自由度が高められ、施工性が大きく改善された。人手による押圧時間は作業効率の点から制限されるが、磁石体を用いることにより、接着剤を冷却硬化する過程では内装材の密着保持時間を十分に確保することができ、この点でも正確かつ良好な接着が行える。このように、上記実施の形態においては、接着工程の一つである押圧作業の改善が図られ、施工時間の短縮と作業者一人あたりの作業範囲が拡大して施工性が改善され、加えて接着部の密着性が良くなり、接着強度が向上して接着が確実に行われる。
【0025】
図4は、他の形態に係る施工法を示したものである。なお、上記形態に係る材料と同じものは、符号を同一としてここでの説明を省略する。この形態では、図4(a)に示すように、建物の壁面に沿って取付けたランナー材18,19間に上下に、下地材としての間柱7を取付け、これら間柱7に石膏ボードからなる内装材9を貼り付ける。この間柱7は、木製等の非磁性材料からなる。したがって木製の間柱7に対しては、そのままでは誘導加熱を用いた工法は利用できない。このため上記実施の形態と同様に、表裏両面にホットメルト接着剤8が塗布された鉄等の磁性金属材料からなるプレート6を用いる。上記内装材9としては、他に非金属製の材料が用いられる。
【0026】
そして、図4(b)に示すように、プレート6を接着剤或いはビス等の止着具を用いて間柱7に固定する。上記止着具或いは接着剤による取付けでプレート6の固定が十分な場合には、表面のみにホットメルト接着剤を塗布したプレート6を用いることも可能である。また、予め、プレート6を内装材9の所定位置(間柱7と対応する位置)に接着等により取付けておくこととしてもよく、この場合には現場におけるプレート6の取付け作業の手間が省ける。
【0027】
次に、図4(c)に示すように、内装材9を間柱7に固着する。このとき、上記実施の形態と同様に、上記磁石体10を用い、内装材9を間柱7に向けて押圧保持する。上記磁石体10を内装材9の表面に当てることで磁石体10の永久磁石により、磁性金属製のプレート6との間に磁力が働き、プレート6を介して磁石体10が間柱7に吸引吸着される。この吸引力により、内装材9は間柱7に密着保持され、内装材9を押圧保持するための人手は不要となる。
【0028】
上記磁石体10を用いて内装材9を保持した後、表部内装材3の上から上記加熱装置5を操作し、誘導加熱によりホットメルト接着剤8を溶融する。加熱装置5により、図4(c)に示す加熱箇所(P)が加熱溶融される。
【0029】
上記溶融されたホットメルト接着剤8は、交番磁界の供給が停止されると直ちに冷却固化され、プレート6を介して内装材9が間柱7に接着される。ホットメルト接着剤8は、溶融状態から固化するまでの間、磁石体10を配置してその吸引力により押圧保持され、ホットメルト接着剤8が固化した後、磁石体10を取り除けば、内装材9の取付け施工は完了する。
【0030】
従って、上記他の形態に係る施工方法によれば、ホットメルト接着剤を塗布した磁性金属からなるプレートを、間柱と内装材との間に介在させることとしたから、間柱が木製からなる材料であっても誘導加熱の施工を行うことができ、内装材の貼り付けが容易かつ迅速に行える。
【0031】
さらに、磁力による吸引吸着作用を利用した保持方法を採用したので、作業者の人手による押圧作業を不要にして作業者の自由度が高められ、施工性が大きく改善された。この実施の形態においては、接着工程の一つである押圧作業の改善が図られ、施工時間の短縮と作業者一人あたりの作業範囲が拡大して施工性が改善され、加えて接着部の密着性が良くなり、接着強度が向上し接着が確実に行われるという効果がある。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る内装材の施工方法は、裏部内装材と表部内装材との間に磁性金属材料からなるプレートを介在させ、表部内装材に磁石体を吸着させて押圧固定し、表部内装材を加熱装置で操作してホットメルト接着剤を溶融し、冷却固化される間、磁石体にて表部内装材を押圧固定して接着する施工方法を採用したから、裏部内装材が非金属製の材料であっても誘導加熱を利用した施工を行うことができ、内装材の貼り付けが容易かつ迅速に行え、さらに、磁力による吸引吸着作用を利用した保持方法を採用したので、作業者の人手による押圧作業が不要となって作業者の自由度が高められ、このため施工性が大きく改善され、加えて接着部の密着性が良くなり接着が確実に行われるという効果を奏する。
【0033】
また、本発明に係る内装材の施工方法は、非磁性材料からなる下地材と内装材との間に磁性金属材料からなるプレートを介在させ、内装材に磁石体を吸着させて押圧固定し、内装材を加熱装置で操作ホットメルト接着剤を溶融し、冷却固化される間、磁石体にて内装材を押圧固定して接着する施工方法を採用したから、間柱が木製の材料であっても誘導加熱の施工を行うことができ、内装材の貼り付けが容易かつ迅速に行え、さらに、磁力による吸引吸着作用を利用した保持方法を採用したので、作業者の人手による押圧作業が不要となって作業者の自由度が高められ、このため施工性が大きく改善され、加えて接着部の密着性が良くなり接着が確実に行われるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る内装材の施工方法を説明する分解斜視図である。
【図2】実施の形態に係る施工方法につき、(a)は裏部内装材の設置、(b)はプレートの配置、(c)は表部内装材の接着の手順を示す図である。
【図3】実施の形態に係る説明図であり、(a)は加熱装置の操作を、(b)は磁石体による押圧作用を、(c)は手作業による押圧作用を示す図である。
【図4】他の形態に係る施工方法につき、(a)は間柱の設置、(b)はプレートの配置、(c)は内装材の接着の手順を示す図である。
【図5】従来例に係る内装材の施工方法を示す図である。
【符号の説明】
2 裏部内装材
3 表部内装材
4,7 下地材(間柱)
5 加熱装置
6 プレート
8 ホットメルト接着剤
9 内装材
10 磁石体
Claims (2)
- 建物躯体に設けられた下地材に、非金属製の板状の裏部内装材が取り付けられ、この裏部内装材の表面に板状の表部内装材を取り付ける内装材の施工方法であって、
上記裏部内装材と上記表部内装材との間に、両面又は片面にホットメルト接着剤が塗布された磁性金属材料からなるプレートを介在させ、
上記プレートとの間に磁力を働かせる磁石体を、上記表部内装材の表面に吸着させ、その吸引力により表部内装材を裏部内装材に密着させて保持し、
上記表部内装材の表面を高周波の電磁誘導による加熱装置で操作し、上記プレートを発熱させて上記ホットメルト接着剤を溶融し、
このホットメルト接着剤が冷却固化される間、磁石体にて上記表部内装材を押圧固定してこの表部内装材を接着することを特徴とする内装材の施工方法。 - 建物躯体に設けられた非磁性材料からなる下地材に、板状の内装材を取り付ける内装材の施工方法であって、
上記下地材と上記内装材との間に、両面又は片面にホットメルト接着剤が塗布された磁性金属材料からなるプレートを介在させ、
上記プレートとの間に磁力を働かせる磁石体を、上記内装材の表面に吸着させ、その吸引力により内装材を下地材に密着させて保持し、
上記内装材の表面を高周波の電磁誘導による加熱装置で操作し、上記プレートを発熱させて上記ホットメルト接着剤を溶融し、
このホットメルト接着剤が冷却固化される間、磁石体にて上記内装材を押圧固定してこの内装材を接着することを特徴とする内装材の施工方法。
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