JP3926875B2 - 運搬用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面形状が略方形状の運搬用容器(以下、単に、「容器」ともいう。)を上下に積み重ねた際に、上方の容器の略下半分が、下方の容器に嵌合される状態(以下、このような状態を、「ネスティング状態」或いは、単に、「ネスティング」という。)と、上方の容器の下部が、下方の容器の開口部に沿って形成されたフランジに載置される状態(以下、このような状態を、「スタッキング状態」或いは、単に、「スタッキング」という。)とに選択可能な運搬用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、容器の側壁の略上半分を、所定の幅に亘って外側に膨出させて、ポケットを形成するとともに、容器の側壁の少なくとも下半分に、側壁の外面から突出した支柱を形成し、ネスティングの際には、上方の容器の支柱が、下方の容器のポケットに挿入され、また、スタッキングの際には、上方の容器の支柱が、下方の容器のフランジに載置されるようにした運搬用容器が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
物品が収納され重くなった従来の容器を、上方の容器の支柱が下方の容器のフランジに載置されるように、スタッキング状態で多段に積み重ねた際に、支柱の幅が狭く、十分な強度を有していないと、支柱が変形したり、座屈したりして、損傷する等の問題があった。このような支柱の損傷は、容器が大きく、また、深くなり、支柱が長くなればなるほど、頻繁に起こり、大きな問題となる。
【0004】
上述した問題を解消するために、支柱の幅を大きくすると、ネスティングの際に、該支柱が挿入されるポケットの幅も大きくしなければならない。ポケットの幅を大きくすると、所謂、スライドスタッキング(上方の容器の一方の短辺側壁の上部を持ち上げて傾斜させるとともに、上方の容器に形成された支柱を、下方の容器の開口部に沿って形成されたフランジ上をスライドさせながら、上方の容器を、下方の容器にスタッキングさせることを、スライドスタッキングという。)させる際に、下方の容器の幅の広いポケットに、上方の容器の支柱が落ち込み、スライドスタッキングに支障を来すという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の運搬用容器が有する課題を解決するとともに、その取扱性の向上した運搬用容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、相対する側壁の一方の相対する端部付近に、幅狭ポケットと幅広支柱のペアが形成されているとともに、前記相対する側壁のもう一方の相対する端部付近に、幅狭支柱と幅広ポケットのペアが形成されており、下方の運搬用容器の幅広ポケットに、上方の運搬用容器の幅広支柱を挿入し、下方の運搬用容器の幅狭ポケットに、上方の運搬用容器の幅狭支柱を挿入することにより、上方の運搬用容器を下方の運搬用容器にネスティングすることが可能で、また、上方の運搬用容器の幅狭支柱と幅広支柱を、下方の運搬用容器のフランジに載置することによりスタッキングすることが可能な運搬用容器において、広幅ポケットの正面壁部に、運搬用容器の内部方向に向かうとともに側壁の内面を越えて運搬用容器の内部に突出することがないように膨出部を形成することにより、広幅ポケットには、膨出部により仕切られた垂直方向に延びる2つの凹部が形成されており、また、幅広支柱には、ネスティング時に、広幅ポケットの正面壁部に形成された膨出部が挿入可能な凹部が形成されており、更に、上方の運搬用容器の幅狭支柱を、下方の運搬用容器のフランジに載置するとともに、上方の運搬用容器の幅狭支柱を、下方の運搬用容器の広幅ポケット方向にスライドさせてスライドスタッキングを行う際には、上方の運搬用容器の幅狭支柱が、下方の運搬用容器の広幅ポケットに形成された、膨出部により仕切られた垂直方向に延びる2つの凹部に落ち込むことなく、膨出部に載置されながら、下方の運搬用容器の広幅ポケットを超えるように構成したものである。
【0007】
以下に、本発明の運搬用容器の斜視図である図1、本発明の運搬用容器の平面図である図2、本発明の運搬用容器が上下に配置された状態の部分斜視図である図3、本発明の運搬用容器が上下に配置された状態の正面図である図4及び本発明の運搬用容器のスライドスタッキング状態の部分斜視図である図5を用いて、本発明の運搬用容器の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0008】
【実施例】
容器Bは、相対する長辺側壁1、相対する短辺側壁2及び底部3とを有し、相対する長辺側壁1の一方の相対する端部付近には、長辺側壁1を、所定の幅に亘って、外側に膨出させることにより形成された、容器Bの略半分の深さを有する幅狭ポケットp1が形成されており、そして、該幅狭ポケットp1の容器中央寄りの長辺側壁1の外面には、幅広支柱c1が形成されている。該幅広支柱c1の構造については後述する。また、容器Bの相対する長辺側壁1のもう一方の相対する端部付近の外面には、幅狭支柱c2が形成されており、そして、該幅狭支柱c2の容器中央寄りには、長辺側壁1を、所定の幅に亘って、外側に膨出させることにより形成された、容器Bの略半分の深さを有する幅広ポケットp2が形成されている。該幅広ポケットp2の構造については後述する。上記の幅狭ポケットp1と幅広支柱c1のペア及び幅狭支柱c2と幅広ポケットp2のペアは、長辺側壁1に沿った容器Bの中心線に対して対称に配置されている。
【0009】
容器Bの相対する短辺側壁2の一方の短辺側壁2の両端部付近の外面には、所定の幅の支柱c3が形成されており、そして、該支柱c3の容器中央寄りには、短辺側壁2を、所定の幅に亘って、外側に膨出させることにより形成された、一対のポケットp3が形成されている。また、もう一方の短辺側壁2の両端部付近には、上記支柱c3と相対するように、上記ポケットp3と同様のポケットp4が形成されており、そして、該もう一方の短辺側壁2の両端部付近に形成されたポケットp4の容器中央寄りには、上記のポケットp3と相対するように、上記支柱c3と同様の支柱c4が形成されている。なお、短辺側壁2に形成された上記のようなポケットや支柱を省略することもできる。
【0010】
容器Bの開口部に沿って、長辺側壁1及び短辺側壁2の上端縁からは、外方に水平に延在するフランジ4が形成されている。5は、容器Bの略半分の高さに形成された水平に延在する水平リブであり、6は、フランジ4と水平リブ5の間に形成された、水平リブ5と同様の水平リブである。7は、フランジ4、両水平リブ5、6の間の適当な位置に形成された垂直リブである。このような水平リブ5、6や垂直リブ7は、適宜、省略することもできる。
【0011】
次に、主として、図1及び図3を用いて、上述した幅広ポケットp2及び幅広支柱c1の構造について説明する。
【0012】
広幅ポケットp2は、長辺側壁1と略平行な正面壁部p21と該正面壁部p21の両端から容器Bの内部方向に向かって形成された端壁部p22とを有しており、正面壁部p21には、容器Bの内部方向に向かって膨出した膨出部p23が形成されている。膨出部p23は、長辺側壁1の内面を越えて、容器Bの内部に突出することがないように構成されており、また、スライドスタッキング時に、スライドされる上方の容器に形成された支柱が、膨出部p23の上面に載置されるような突出量となるように構成されている。上記のように、広幅ポケットp2には、膨出部p23により仕切られた垂直方向に延びる2つの凹部p24、p25が形成されている。
【0013】
本実施例においては、幅広支柱c1は、水平リブ5の下面から下方に延在された2本の端部垂直リブ部c21、c22と、該端部垂直リブ部c21、c22間に配設された中間垂直リブ部c23と、端部垂直リブ部c21、c22と中間垂直リブ部c23の下端部を連結する水平な下端連結リブ部c24と、端部垂直リブ部c21、c22と中間垂直リブ部c23とを適当な位置で連結する水平な中間連結リブ部c25(本実施例においては、2本の中間連結リブ部c25が形成されている。)と、端部垂直リブ部c21、c22の下端に延設され、長辺側壁1の外面からの突出量が、端部垂直リブ部c21、c22の突出量より少なく、且つ、スタッキング時に、下方の容器の開口部に嵌合可能なスタックリブc26とから構成されている。また、下端連結リブ部c24と中間連結リブ部c25には、図3に示されているように、ネスティングの際に、下方の容器Bの広幅ポケットp2に形成された膨出部p23が、挿入可能な凹部c24’、c25’が形成されている。
【0014】
上方の容器Bを、下方の容器Bに、略半分ほど嵌合させる、即ち、ネスティングする場合には、上方の容器Bと下方の容器Bが、共に、図2に示されているように、広幅ポケットp2が右側に位置する状態から、上方の容器Bを、180度水平回転させるとともに、下降させる。すると、図3に示されているように、上方の容器Baに形成された幅広支柱c1の下端連結リブ部c24と中間連結リブ部c25の凹部c24’、c25’に、下方の容器Bbの広幅ポケットp2に形成された膨出部p23が挿入されながら、上方の容器Baの幅広支柱c1が、下方の容器Bbの広幅ポケットp2に挿入される。また、上方の容器Bの幅狭支柱c2が、下方の容器Bの幅狭ポケットp1に挿入され、更に、短辺側壁2に、上述したようなポケットや支柱が形成されている場合には、上方の容器Bの短辺側壁2に形成された支柱c3、c4が、下方の容器Bの短辺側壁2に形成されたポケットp3、p4に、それぞれ、挿入されて、ネスティングが完了する。
【0015】
上方の容器Bに形成された支柱c1、c2、c3、c4を、下方の容器Bのフランジ4に載置する、即ち、スタッキングする場合には、上方の容器Bと下方の容器Bが、共に、図2に示されているように、広幅ポケットp2が右側に位置する状態から下方の容器Bを下降させると、上記のように、上方の容器Bに形成された支柱c1、c2、c3、c4が、下方の容器Bのフランジ4に載置されてスタッキングが完了することになる。
【0016】
ところで、上方の容器Baを、下方の容器Bbにスタッキングする際には、上方の容器Baの長辺側壁1に形成された幅狭支柱c2を、下方の容器Bbのフランジ4に載置するとともに、上方の容器Baの一方の短辺側壁2側のフランジ4等を持ち上げて、上方の容器Baを傾斜させた状態で、図4に示されているように、上方の容器Baの幅狭支柱c2を、下方の容器Bbのフランジ4に沿って、図4において右方向にスライドさせて、上方の容器Baを、下方の容器Bbにスタッキングさせること、即ち、スライドスタッキングが行われている。
【0017】
上述したスライドスタッキングの過程において、スタッキングの完了直前において、上方の容器Baのスライド方向前方の幅狭支柱c2が、下方の容器Bbの広幅ポケットp2を通過することになるが、上述したように、広幅ポケットp2には、膨出部p23が形成されているので、図5に示されているように、下方の容器Bbのフランジ4に載置されてスライドしている上方の容器Baの幅狭支柱c2が、下方の容器Bbの広幅ポケットp2に形成された膨出部p23に載置されながら、広幅ポケットp2を越えるように構成されているので、上方の容器Baの幅狭支柱c2が、広幅ポケットp2に落ち込むようなことがなく、スムースなスライドスタッキングが可能となる。
【0018】
上述した実施例の説明において、使用した用語「幅広」や「幅狭」は、相対的なものであり、従って、上述したような、広幅ポケットp2に形成された膨出部p23や広幅支柱c1に形成された凹部c24’、c25’は、適宜、どのようなポケットや支柱にも形成することができる。
【0019】
また、上述した実施例においては、幅狭ポケットp1と幅広支柱c1のペア及び幅狭支柱c2と幅広ポケットp2のペアが、長辺側壁1に沿った容器Bの中心線に対して対称に配置された例が示されているが、幅狭ポケットp1と幅広支柱c1のペア及び幅狭支柱c2と幅広ポケットp2のペアを、底部3の中心点に対して、点対称の位置に配設することもできる。
【0020】
更に、上述した実施例の幅広支柱c1を構成する中間垂直リブ部c23や中間連結リブ部c25は、適宜、省略することができる。また、幅広ポケットp2に1個の膨出部p23を形成した例を説明したが、2個以上形成することもできる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載する効果を奏することができる。
【0022】
上方の容器の支柱が、下方の幅の広いポケットに落ち込むようなことがなく、スムースなスライドスタッキングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の運搬用容器の斜視図である。
【図2】図2は本発明の運搬用容器の平面図である。
【図3】図3は本発明の運搬用容器が上下に配置された状態の部分斜視図である。
【図4】図4は本発明の運搬用容器が上下に配置された状態の正面図である。
【図5】図5は本発明の運搬用容器のスライドスタッキング状態の部分斜視図である。
【符号の説明】
B・・・・・・・・運搬用容器
c1・・・・・・・幅広支柱
c2・・・・・・・幅狭支柱
p1・・・・・・・幅狭ポケット
p2・・・・・・・幅広ポケット
Claims (1)
- 相対する側壁の一方の相対する端部付近に、幅狭ポケットと幅広支柱のペアが形成されているとともに、前記相対する側壁のもう一方の相対する端部付近に、幅狭支柱と幅広ポケットのペアが形成されており、下方の運搬用容器の幅広ポケットに、上方の運搬用容器の幅広支柱を挿入し、下方の運搬用容器の幅狭ポケットに、上方の運搬用容器の幅狭支柱を挿入することにより、上方の運搬用容器を下方の運搬用容器にネスティングすることが可能で、また、上方の運搬用容器の幅狭支柱と幅広支柱を、下方の運搬用容器のフランジに載置することによりスタッキングすることが可能な運搬用容器において、広幅ポケットの正面壁部に、運搬用容器の内部方向に向かうとともに側壁の内面を越えて運搬用容器の内部に突出することがないように膨出部を形成することにより、広幅ポケットには、膨出部により仕切られた垂直方向に延びる2つの凹部が形成されており、また、幅広支柱には、ネスティング時に、広幅ポケットの正面壁部に形成された膨出部が挿入可能な凹部が形成されており、更に、上方の運搬用容器の幅狭支柱を、下方の運搬用容器のフランジに載置するとともに、上方の運搬用容器の幅狭支柱を、下方の運搬用容器の広幅ポケット方向にスライドさせてスライドスタッキングを行う際には、上方の運搬用容器の幅狭支柱が、下方の運搬用容器の広幅ポケットに形成された、膨出部により仕切られた垂直方向に延びる2つの凹部に落ち込むことなく、膨出部に載置されながら、下方の運搬用容器の広幅ポケットを超えるように構成されていることを特徴とする運搬用容器。
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- 1996-12-26 JP JP35708696A patent/JP3926875B2/ja not_active Expired - Fee Related
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