JP4282875B2 - 運搬用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運搬用容器に関し、詳しくは、内容物を収容した状態では、背を高くして多段に重ねるとともに、空となった状態では背を低くして重ねることができる運搬用容器に関し、特には、上部にフランジ部が設けられたプリン、ヨーグルト等の食品を収容運搬するのに好適な運搬用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品を始めとし、商品の保管あるいは運搬用容器として広く利用されている合成樹脂製のコンテナの中には、内部に物を収容して多段にする場合に、背を高くして重ねる(以下スタッキングという)とともに、収容物が空となったときには、背を低くして重ねる(以下ネステイングという)ようにしたコンテナがある。
【0003】
このようなSNコンテナでは、例えば図10に示したように、例えば、下位に配置されるコンテナ1’の上方に上位のコンテナ1を載せれば、2つのコンテナ1、1’をスタッキング状態に嵌合させることができ、これにより、背を高くして互いに移動不可能に位置決めすることができる。また、図10の状態から2つのコンテナ1,1’のうち、いずれか一方のコンテナを180°回転させて配置することにより、背を低くするネスティング状態に位置決めすることができる。
【0004】
ところで、このような運搬用容器で運搬されたり、市場に提供されたりする物品として、例えば、プリンやヨーグルトなどの食品がある。これらの食品は、カップ状のプラスチック容器に充填されているが、このプラスチック容器は、開口縁にフランジ部を有し、開口縁の上部が、容器の底部に比べて幅が広くなっているという特徴がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、プリンやヨーグルトなどを装填するプラスチック容器のように、上部の幅が下部に較べて広い円筒状の物品を、SNコンテナで多数個まとめて運搬しようとすると、1つのコンテナで運搬できる物品の個数は、運搬しようとする物品の上部の幅で決められてしまう。すなわち、上部のフランジ部分が邪魔になってコンテナ全体を有効利用して詰め込むことができない。
【0006】
しかも、プリンなどは、これまでの標準的な大きさのものから、一回り大きくなったものが好まれるようになり、その容器も様々なものが市場に提供されている。したがって、最近の増量されたプリンなどを従来の規格で形成されたコンテナに無駄無く積載しようとすると、製品の上部、すなわちフランジ部分が重なりあってしまい、製品に傷がつく虞があった。一方、プリンのような食品を予定数より少なく積め込めば、運搬途中に製品が倒れたりする虞がある。これに対処するには、これまで容器の内寸、および容器の外寸を大きくしなければならない。しかしながら、内寸および外寸が大きくなった運搬用容器を、従来の運搬用容器と一緒に用いると、大きさが不揃いになってしまうため好ましくない。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑み、例えばプリンのように、上部の形状が下部の形状に比べて幅の広い円筒状の物品を運搬する運搬用容器であっても、容器本体の内寸および外寸を変えずに物品を無理なく積み込むことが可能で、収容空間を有効利用することができる運搬用容器を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、開口縁の外側に突出するフランジ部を、その開口縁全周に渡って矩形枠状に連続して有する容器本体の側壁部の外面下部に支脚部を、内面上部の前記支脚部と点対称位置にポケット部をそれぞれ設けて、前記容器本体を一方の向きで重ね合わせた時に上位の容器本体の支脚部が下位の容器本体のフランジ部上に位置し、他方の向きで重ね合わせた時に上位の容器本体の支脚部が下位の容器本体のポケット部内に没入するようにした運搬用容器において、
前記容器本体の高さ方向の略中間位置の空間を外方に広げるように、該中間位置を外側に広げるとともに、この広がった略中間位置より上方の前記側壁部の傾斜角度を、下方の前記側壁部の傾斜角度より小さく設定し、かつ前記容器本体の下半部の側壁部内面の延長上に、上半部の頂部内面が位置することを特徴としている。
【0009】
係る構成による運搬用容器によれば、プリンのように、上部の幅が下部の幅より広い物品を収容、運搬する場合であっても、幅の広い部分を中間位置の広がり部に無理なく収めることができるので、内寸および外寸を変化させなくても物品を整然と、積み込むことができる。また、中間位置を広げていない従来の運搬用容器に較べても、内寸および外寸が変わらないので、これらを混合して用いても大きさが不揃いになることはなく、作業性が低下することはない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら具体的に説明する
図1は本発明の一実施例に係る運搬用容器としてのSNコンテナの斜視図である。図2は図1に示したSNコンテナの平面図、図3は正面図、図4は左側面図、図5は右側面図である。
【0011】
本実施例において、運搬用容器(SNコンテナ)の容器本体21は、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂からなり、格子状に形成された底板部2と、この底板部2の周縁部から立設される四側壁部3,4,5,6とから上方に向け除々に広がって開口する箱形に形成され、各側壁部3,4,5,6の上端開口縁に矩形枠状に連続したフランジ部7が一体に連接されている。
【0012】
長手側の一方の側壁部4の外面下部には、支脚部8,9が突出して形成され、これらの支脚部8,9は異なる形状に、すなわち、支脚部9の方が支脚部8より幅広に形成されている。また、この側壁部4と相対する側壁部3の内面上部には、底板部の中央の点Oを中心として前記支脚部8,9と点対称の位置に、それぞれ支脚部8,9を嵌入することのできるポケット部10,11が各々形成されている。
【0013】
長手側の他方の側壁部3の外面には、前記側壁部4の場合と同様に支脚部8,9が形成され、側壁部4の内面上部には、前記側壁部3と同様にポケット部10,11が形成されている。
一方、短手側の側壁部5の外面下部には、支脚部12,12が突出して形成されている。また、この側壁部5と相対する他方の側壁部6の内面上部には、底板部2の中央の点Oを中心として支脚部12,12と点対称の位置に、それぞれ支脚部12,12を嵌入することのできるポケット部13,13が各々形成されている。
【0014】
更に、短手側の他方の側壁部6の外面下部には、前記側壁部5の場合と同様に、支脚部14、14が形成され、この側壁部6と相対する前記側壁部5の内面上部には、底板部2の中央の点Oを中心として支脚部14,14と点対称の位置に、それぞれ支脚部14,14を嵌入することのできるポケット部15、15が各々形成されている。
【0015】
なお、側壁部5における支脚部12,12間の間隔の方が、側壁部6における支脚部14,14間の間隔より広くなるように設定されている。
さらに、本実施例の容器本体21では、図6および図7に示したように、容器本体21内の内部空間が略中間位置で拡開するように、各側壁3,4,5,6の略中間位置が広がって形成されている。すなわち、側壁3を例にすれば、側壁3の上半部3aと側壁3の下半部3bとの間に、傾斜した段部31が形成されている。このような段部31は、各側壁部が隣接するコーナーを除いて全ての側壁4,5,6,7に形成されている。一方、側壁3の上半部3aの傾斜角度をα、下半部3bの傾斜角度をα’としたとき、α<α’の関係にある。また、下半部3bの長さをS1、上半部3aの長さをS2としたとき、S1≧S2の関係にある。このような値にそれぞれを設定することにより、容器本体21は、内寸および外寸を今までの容器すなわち段部31が形成されていない容器の寸法と変化させずに、略中間位置を広げることが可能になっている。すなわち、本実施例の容器本体21では、下半部3bの延長上に、上半部3aの頂部内面が位置している。
【0016】
本実施例による容器本体21は、上記のようなポケット部と支脚部を有することにより、スタッキングおよびネスティングが可能になっている。
例えば、図8に示したように、2つの容器本体21を同一向きで上下方向に重ね合わせると、上方に位置する容器本体21の各側壁部3,4,5,6の外面下部に形成した支脚部8,9,12,14は、下方に位置する容器本体21の上端のフランジ部7の上に位置して、スタッキング状態となる。
【0017】
一方、図9に示したように、2つの容器本体21を互いに異なる向きに、すなわち、一方の容器本体21を他方の容器本体21に対して180°回転させた状態で上下方向に重ね合わせると、上方に位置する容器本体21の各側壁部3,4,5,6の外面下部に形成した各支脚部8,9,12,14は、下方に位置する容器本体21の各側壁部3,4,5,6の内面上部に形成した各ポケット部10,11,13,15の中に、すなわち支脚部8はポケット部10内に、支脚部9はポケット部11内に、支脚部12はポケット部13内に、支脚部14はポケット部15内にそれぞれ没入して、ネスティング状態となる。
【0018】
さらに、本実施例では、上記したように、各側壁3,4,5,6の略中間部に段部31を設けるとともに、傾斜角度α、α’が上下で異なっているため、以下のような作用効果を有している。
すなわち、プリン、ヨーグルト、ゼリーなどのように、上部の幅が下部の幅に比べて広いカップ状の物品29を、図2および図7に示したように、多数個並べて収容する場合には、その広くなったフランジ部分29aが、容器本体21の中間部の広くなった部分に収容されるので、これまでのように、フランジ部分29aが重なることはない。すなわち、本実施例によれば、容器本体21の全体の大きさを変えなくても、フランジ部分29aをゆとりを持って収容することが可能になった。また、図6に示したように、各コーナー部Rに段部31が形成されていないが、このコーナー部Rにフランジ部分29aが接することはない。
【0019】
このように、本実施例によれば、容器本体21の内寸と外寸はこれまでのものと同じ大きさであっても、増量された最近のプリンのように、上部の幅がこれまでのものより大きい物品を収容する場合に、無理なく収容することが可能で、SNコンテナの収容面積を有効利用することができる。また、フランジ部29aを有する物品が容器内で重なることがないので、傷が付く虞がない。また、このような製品が図2に示すように、縦横に並べられれば、この状態で運搬することができるので、転倒することもない。
【0020】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の技術的思想に基づき種々の変形が可能である。
例えば、以上の実施例では、多段に重ねるSNコンテナとして使用した例を示しているが、本実施例の容器は1つの運搬容器としても、勿論使用することができる。また、プリンなどが単品であろうが、パック詰めされていようが、両方に兼用することができる。さらに、上記の実施例では、底板部2は格子状に形成されているが、この底板部2は平板状に形成されていてもよい。
【0021】
また、以上の実施例では、いわゆる同形状同方向でスタッキング嵌合するコンテナについて本発明を説明したが、本発明は異形状異方向でスタッキング嵌合するコンテナについても、適用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る運搬用容器によれば、容器本体の内外寸法を変えずに、必要な有効内寸を拡大することができ、容器と製品とのクリアランスを確保することができる。
したがって、物品のフランジ部がぶつかり合うことを防止し、無理なく運搬することができる。さらに、搬送途中に物品が倒れたりすることを防止することもできる。
【0023】
また、これまでの容器が混在して使用されても、内寸および外寸の大きさが略同一であるので、作業に不都合が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例による運搬用容器の斜視図である。
【図2】図2は同実施例による運搬用容器の平面図である。
【図3】図3は同実施例による運搬用容器の正面図である。
【図4】図4は同実施例による運搬用容器の左側面図である。
【図5】図5は同実施例による運搬用容器の右側面図である。
【図6】図6は同実施例による運搬用容器のコーナ部の拡大斜視図である。
【図7】図7は同実施例による運搬用容器の一部拡大断面図である。
【図8】図8は同実施例による運搬用容器をスタッキングしたときの断面図である。
【図9】図9は同実施例による運搬用容器をネスティングしたときの断面図である。
【図10】図10は従来のSNコンテナをスタッキングしたときの斜視図である。
【符号の説明】
3,4,5,6 側壁
7 フランジ部
8,9,12,14 支脚部
10,11,13,15 ポケット部
21 容器本体
α、α’ 傾斜角度
Claims (1)
- 開口縁の外側に突出するフランジ部を、その開口縁全周に渡って矩形枠状に連続して有する容器本体の側壁部の外面下部に支脚部を、内面上部の前記支脚部と点対称位置にポケット部をそれぞれ設けて、前記容器本体を一方の向きで重ね合わせた時に上位の容器本体の支脚部が下位の容器本体のフランジ部上に位置し、他方の向きで重ね合わせた時に上位の容器本体の支脚部が下位の容器本体のポケット部内に没入するようにした運搬用容器において、
前記容器本体の高さ方向の略中間位置の空間を外方に広げるように、該中間位置を外側に広げるとともに、この広がった略中間位置より上方の前記側壁部の傾斜角度を、下方の前記側壁部の傾斜角度より小さく設定し、かつ前記容器本体の下半部の側壁部内面の延長上に、上半部の頂部内面が位置することを特徴とする運搬用容器。
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