JP3925590B2 - バンパーサイドの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
自動車に装着するバンパーは、端部が曲げられ、一部側面を形成した形状のものが組み付けられている。合成樹脂により一体成形したバンパーのバンパーサイドには、アーチモールを装着する部分とフェンダーと面一に連結する部分とを形成したものがある。本発明は、このような構成のバンパーサイドの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のバンパーは端部が曲げられて車体側面に回り込んで装着されており、略々コ字状のバンパーを自動車正面に取付けるバンパー本体とフェンダーに取付けるサイドバンパーとを連結して設ける構成のものがある(実公昭58-39245号公報参照)。このサイドバンパーはバンパー本体にボルトで締結され、フェンダーに係合部材で係着されている。
また、バンパー本体とサイドバンパーとを一体成形した樹脂性バンパーのサイド部をスライド可能なブラケットを介して固定する構造のものがある(実公昭60-4834 号参照)。また、樹脂性バンパーのサイド部をボルトを併用して固定することも提案されている(実開昭62-177564 号公報参照)。
【0003】
近年、バンパー部とその周辺を合成樹脂により一体成形したバンパーを装着した自動車が製作されているが、前輪が車体前端に近く配置されたものやバンパーサイドが後方に長いものにおいて、アーチモールの一部を形成させたバンパーも使用されている。
図12に示す自動車の前部において、バンパー1のバンパーサイド2にはフェンダー3とアーチモール4とを連結させている。
【0004】
図13に示すように、バンパーサイド2とフェンダー3とが接合され、バンパーサイド2の下部とフェンダー3の下部とにわたってアーチモール4が結合され、その内側にタイヤ5が位置されている。バンパーサイド2は図14に示すようにバンパーサイド2の下部に段差が形成され内側に円弧状の垂直面6が形成され、垂直面6からさらに内側に折り曲げて内側端面7が形成されている。内側端面7はフェンダー3の下部の折り曲げた端部8と当接し、ねじ9、ナット10で締め付けられている。アーチモール4はねじ9と干渉しないように溝4aが設けられており、バンパーサイド2の段差に連続し内側端面7に当接されている。
【0005】
また、フェンダー3に接合するバンパーサイド2のデザイン面上にバンパー穴11が形成され、バンパー穴11位置からねじ12を挿通してフェンダー3から延長された取付代13を螺着し、ねじ12にバンパーサイド2のデザイン面に整合するキャップ14で栓をしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、バンパーを装着する場合、バンパーサイド2をねじ12で固定するだけでも良いが、図12に示す見切りラインMを長くすることにより、デザインを向上させようとするとき、ねじ12の位置がそのままではキャップの位置のバランスが悪い。
しかしながら、ねじ12の位置を変更しても、キャップで栓をすることには変わりなく、見映えを低下させ、また、突起が端部にあるように見え、外観上見苦しくなる。
また、見切りラインMを長くすることにより、ねじ12のほか、ねじ9により、バンパーサイド2をフェンダー3に固定するので安定した強度となるが、ねじ9の固定箇所がホイールハウス内であり、タイヤを先に組み付けてしまうと、締め付けが困難になり、専用工具を必要とするようになるので、組付手順、組付ラインに制約を受けることになる。
【0007】
本発明は、バンパーとその周辺を一体成形し、アーチモールの取付箇所の上方のバンパーサイドの端部の見切りラインを長くしたバンパーサイドの取付構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、請求項1の発明は、バンパーサイドのフェンダーと連結される端部に見切りラインを形成すると共に、前記バンパーサイドの下部にアーチモールの取付箇所を設け、前記バンパーサイドの端部と前記フェンダーの端部とを係合部材で連結し、前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所において、前記バンパーサイドの端部を前記フェンダーの下端に螺着し、前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所に、当該螺着した箇所を覆い隠すように、前記アーチモールを組み付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、バンパーサイドのフェンダーと連結される端部に見切りラインを形成すると共に、前記バンパーサイドの下部にアーチモールの取付箇所を設け、前記バンパーサイド裏面にクリップ部材の一方を一体に形成し、前記フェンダーの連結代に前記クリップ部材の他方を取付け、該双方のクリップ部材を嵌め込んで前記バンパーサイドと前記フェンダーとを連結し、前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所において、前記バンパーサイドの端部を前記フェンダーの下端に螺着し、前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所に、当該螺着した箇所を覆い隠すように、前記アーチモールを組み付けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所にスクリューの挿通孔を形成させ、該スクリューにより前記フェンダーの連結代に前記取付箇所を締結させた後、前記取付箇所に前記アーチモールを装着したことを特徴とする。
【0011】
以上の構成は、バンパーサイドとフェンダーの連結において、連結部材、すなわち、係合部材及びスクリューをデザイン面に露出させない構造にし、また、強度を保ち、組付作業の容易な構造にしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
車体の組付作業において、図3に示すように、合成樹脂で一体成形したバンパー1のバンパーサイド2をフェンダー3に取り付けるには、バンパーサイド2裏側にクリップ取付部(係合部材)15を設け、バンパーサイド2の下部に略垂直面を備えたアーチモール4の取付箇所2aを形成し、この略垂直面の取付箇所2aに孔16を形成する。なお、符号17はスクリューである。
【0013】
また、フェンダー3には連結代18を設け、連結代18の上部にクリップ(係合部材)19が装着され、連結代18の下部に樹脂ナット20が装着される。なお、符号21は長丸孔であり、符号22は角孔である。
【0014】
ここで、クリップ19及び樹脂ナット20を説明する。
クリップ19は図6(a),(b)及び図7に示すように、円形保持板23と円形押え板24が円形軸25を挟んで連設され、円形押え板24の下部に断面略長丸の軸26が設けられている。そして、断面略長丸の軸26に円形押え板24と間隔をあけて逆行防止片27が設けられ、また、円形押え板24の下面周縁に形成した一対の円弧状凸部28の間に、略小判形のパッキン29が装着され、パッキン29の中央はこの長丸孔30(図8参照)から長丸の軸26が突出するようになっている。
連結代18の長丸孔21にクリップ19を装着すると、円形押え板24がパッキン29を介して表面に固定され、逆行防止片27がフェンダー3を押えて軸26の抜けを防止するようになっている。
【0015】
樹脂ナット20は図9及び図10に示すように、ヘッド31、ネック32および挿入軸33にスクリュー17のねじ孔34が開けられ、ネック32および挿入軸33には縦割溝35が形成されている。また、図11に示すように、ネック32および挿入軸33は全体に断面略四角形とされ、縦割溝35は対角線上に形成される。これにより、連結代18の角孔22に挿入軸33を押し込んで樹脂ナット20を装着することになる。
【0016】
したがって、図4に示すように、バンパーサイド2は下部にアーチモール4の取付箇所2aが備えられ、バンパーサイド2の裏側には、クリップ取付部15が設けられている。そして、アーチモール4の取付箇所2aには孔16が形成され、スクリュー17が挿通される。クリップ取付部15は一部断面が略L状爪15a に形成され、略L状爪15a が半円上を延長され、図5(a)に示すように、略J状に延びた形状になっている。すなわち、クリップ取付部15は、図5(b)に示すクリップ19の円形保持板23を収容し円形軸25を挟み込むように、中央に円形軸25を挟み、一方が開口した略円形部15b を形成し、開口両側は略L状爪15a の突出長さを徐々に短くして円弧状のガイド15c を形成させている。
【0017】
次に、バンパーサイド2とフェンダー3の連結状態について説明する。
図1、図2に示すように、フェンダー3の連結代18に装着したクリップ19と樹脂ナット20は垂直方向に対してずれた位置関係にある。また、それぞれの長丸孔21、角孔22に取り付けたときは軸回転のできない構造であるので、余分な摩耗を防ぎ、また、ぐらつきを防止している。
組付手順は、バンパーサイド2のクリップ取付部15をフェンダー3に組付けられたクリップ19に合わせ、バンパーサイド2を押し込みながらクリップ取付部15をクリップ19に嵌め込む。次に、バンパーサイド2の孔16とフェンダー3側の樹脂ナット20とを合わせてスクリュー17を挿通し、締め込み固定する。また、図2に示すように、バンパーサイド2とフェンダー3の連結時に、連結代18はバンパーサイド2の裏側に挿通され、アーチモール4の取付箇所2aまで侵入される。
【0018】
そして、アーチモール4の取付箇所2aにアーチモール4を組み付けることで、スクリュー17が被冠され、デザイン面上にはどの組付部材も現れないことになる。また、バンパーサイド2を2点で固定するのでバンパーの取り付けが強固になり、見切りラインが長い場合に有利な組付構造となる。
【0019】
車体構造においては、連結代18に孔(21,22)を開けてクリップ19と樹脂ナット20を嵌めるだけなので加工が容易であり、クリップ取付部15とクリップ19の取付配置を逆の配置にすることもでき、リヤバンパーにも上記バンパーサイド2を組み付ける構成を利用することもできる。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から、請求項1の発明では、バンパーのバンパーサイドをフェンダーに2か所で固定したので、見切りラインMを伸ばしても撓みがなく、強度が安定すると共に、デザイン上、良好になるものである。また、バンパーサイドの端部とフェンダーの端部とを係合部材で連結したので組付作業が簡単になり、また、バンパーサイドの裏面で係合させ、螺着部をアーチモールで覆うのでデザイン面が維持される。
請求項2の発明では、バンパーサイド裏面にクリップ部材の一方を一体に形成し、フェンダーの連結代にクリップ部材の他方を取付けたので、連結代をバンパーサイドの裏側に挿入させて、双方のクリップ部材によりバンパーサイドとフェンダーとを連結するので、組付作業が簡単になり、外観性の向上、工具の不要、工数の削減を図ることができるようになる。また、バンパーサイドを2か所で固定するのでがたつきがなく見切りラインを長くすることができる。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、バンパーサイドの下部をスクリューによりフェンダーの連結代に締結させ、アーチモールでスクリューを覆うようにしたので、バンパーサイドの外観性の向上、イタズラ防止、盗難防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態のバンパーのバンパーサイドとフェンダーとの連結状態を示す、図2のA−A線の断面図である。
【図2】図1のバンパーサイドとフェンダーとの連結状態の側面図である。
【図3】図1のバンパーサイドとフェンダーとの係合構造を示す分解斜視図である。
【図4】図1のバンパーサイドとフェンダーとの係合構造を示す展開図である。
【図5】図1のクリップ部材を(a)クリップ取付部,(b)クリップで示す説明図である。
【図6】図1のクリップを(a),(b)の2方向から見た側面図である。
【図7】図6のクリップの平面図である。
【図8】図6のクリップに使用されるパッキンの平面図である。
【図9】図1の樹脂ナットの側面図である。
【図10】図9の樹脂ナットを45度回転して見た側面図である。
【図11】図9の樹脂ナットの平面図である。
【図12】従来の自動車の前部の斜視図である。
【図13】図12の前部側面のバンパーサイドの接合状態を示す側面図である。
【図14】図13のB−B線の断面図である。
【符号の説明】
2 バンパーサイド
2a 取付箇所
3 フェンダー
4 アーチモール
15 クリップ取付部
19 クリップ
16 挿通孔
17 スクリュー
18 連結代
20 樹脂ナット
M 見切りライン
Claims (3)
- バンパーサイドのフェンダーと連結される端部に見切りラインを形成すると共に、
前記バンパーサイドの下部にアーチモールの取付箇所を設け、
前記バンパーサイドの端部と前記フェンダーの端部とを係合部材で連結し、
前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所において、前記バンパーサイドの端部を前記フェンダーの下端に螺着し、
前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所に、当該螺着した箇所を覆い隠すように、前記アーチモールを組み付けたことを特徴とするバンパーサイドの取付構造。 - バンパーサイドのフェンダーと連結される端部に見切りラインを形成すると共に、
前記バンパーサイドの下部にアーチモールの取付箇所を設け、
前記バンパーサイド裏面にクリップ部材の一方を一体に形成し、
前記フェンダーの連結代に前記クリップ部材の他方を取付け、
該双方のクリップ部材を嵌め込んで前記バンパーサイドと前記フェンダーとを連結し、
前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所において、前記バンパーサイドの端部を前記フェンダーの下端に螺着し、
前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所に、当該螺着した箇所を覆い隠すように、前記アーチモールを組み付けたことを特徴とするバンパーサイドの取付構造。 - 前記バンパーサイドのアーチモールの取付箇所にスクリューの挿通孔を形成させ、該スクリューにより前記フェンダーの連結代に前記取付箇所を締結させた後、前記取付箇所に前記アーチモールを装着したことを特徴とする請求項2記載のバンパーサイドの取付構造。
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