JP3924370B2 - バンドの連結構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、時計バンドの駒体を連結ピンにより連結するためのバンドの連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
バンドの連結構造としては、従来より色々な構造方法が試されているが、一般的にヘアーピンと称される半円断面形状をした線材をV字に屈曲して、円断面形状とした連結ピンをバンドの駒体と駒体の貫通穴に挿通して連結する構造が知られている。
【0003】
しかし、上記したバンドの連結構造では、連結ピンが小さく、特殊な工具を必要とし、バンド長さ調整等の作業中に紛失することがある。また、高精度の断面形状が要求され、繰り返しの使用に耐えられず、貫通穴に挿通する場合、嵌合のばらつきがあり、部品が抜きにくかったり、簡単に抜け落ちることがある。従って、バンドの長さ調整において、作業性が悪く、熟練した作業者を必要とした。
【0004】
上記の欠点を解決するため、実開昭57−45312号(出願人:(株)第二精工舎)公報に開示されたものがあるが、ケース先かん部の貫通穴の内部に固定部であるキー溝を一体に形成する構造であるが、キー溝の加工が非常に難しく、また、加工精度の維持ができずコスト面からも量産が難しかった。
【0005】
さらに、上記従来欠点を解消するものとして、実開平4−14240号(出願人:(株)ザノン)公報に開示されたものがある。本考案によれば、ストッパリングにキー溝を設け固定部材とした点が特徴である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のバンドの連結構造にあっては、固定部材のキー溝及び連結ピンの突起とも非常に小さく、連結ピンを挿入し、キー溝に突起を嵌め込む作業が視認できなかった。従って、キー溝と突起の位置合わせが難しく作業性が悪かった。また、固定部材に連結ピンを確実に係合させるため、連結ピンを工具により軸方向に押圧しながら周方向に回転させなければならず、作業性が非常に悪かった等の欠点があった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、駒体と駒体あるいは時計ケースとバンド(駒)との連結及び解除を容易にできるようなバンドの連結構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明に係るバンドの連結構造は、凹部を有する駒体と隣接する駒体の突部とが係合すると共に、前記凹部と前記突部とが係合する部分のバンド短手方向に連通する貫通穴が形成され、前記凹部の貫通穴に、軸方向にキー溝が略L字型に形成されたパイプ状の固定部材を固定し、該固定部材に、前記キー溝に係合する突起と、挿入方向に対して反発する弾性部材を有する連結ピンを挿入することにより前記駒体と前記隣接する駒体とを連結するバンドの連結構造において、
前記固定部材のキー溝に前記連結ピンの突起が導かれる案内部を前記固定部材の端面に設けたことを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、請求項2の発明に係るバンドの連結構造は、時計ケースの先カンとバンドの先端とが係合すると共に、前記先カンと前記バンドの先端とが係合する部分のバンド短手方向に連通する貫通穴が形成され、前記先カンの貫通穴に、軸方向にキー溝が略L字型に形成され、前記キー溝に係合する突起と、挿入方向に対して反発する弾性部材を有する連結ピンを挿入することにより前記時計ケースの先カンと前記バンドの先端とを連結するバンドの連結構造において、前記キー溝が形成されたパイプ状の固定部材を前記先カンの貫通穴に固定し、前記固定部材の前記キー溝に前記連結ピンの突起が導かれる案内部を前記固定部材の端面に設けたことを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、請求項3の発明に係るバンドの連結構造は、前記固定部材を前記駒体の突部の貫通穴に固定したことを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、請求項4の発明に係るバンドの連結構造は、前記固定部材を前記バンドの先端の貫通穴に固定したことを特徴とする。
【0012】
また、上記の目的を達成するために、請求項5の発明に係るバンドの連結構造は、前記固定部材の端面に設けられた案内部は、キー溝の一端から周方向の他端に向かってらせん状となっていることを特徴とする。
【0013】
また、上記の目的を達成するために、請求項6の発明に係るバンドの連結構造は、前記固定部材の端面に設けられた案内部は、キー溝の周方向の両端から外側斜め上方に向かって立上がっていることを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、請求項7の発明に係るバンドの連結構造は、前記固定部材の端面に設けられた案内部は、キー溝の周方向の両端部のどちらか一方が軸方向に突出していることを特徴とする。
【0015】
また、上記の目的を達成するために、請求項8の発明に係るバンドの連結構造は、前記固定部材に形成したキー溝は、端面から軸方向に向かって斜めに曲線を描き、該曲線の底部から上方に向かって切欠を有し、前記底部の上方の突出部の先端が前記底部より前記曲線側に位置していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(実施例1)
本発明に係るバンドの連結構造の実施例1を図1から図4に示す。
図1は本発明に係るバンドの連結構造の分解斜視図、図2は同バンドの連結構造の連結状態を示す要部斜視図、図3は同バンドの連結構造の連結ピンの断面図、図4(a)は同バンドの連結構造のストッパパイプの斜視図、図4(b)は同バンドの連結構造のストッパパイプの展開図である。
【0018】
バンド1は複数の駒体2を連結ピン3により相互に連結して構成されている。そして、図1に示すように、複数の駒体2を成す駒体2A及び駒体2Bは、平面視略Y字形状を成し、一端に一対の主駒20A、20Bと他端に一対の主駒20Aと主駒20B間で形成された凹部21に嵌合される突部22が一体に形成されている。また、一対の主駒20A、20Bの間の凹部21は、突部22のバンド短手方向の幅寸法より、僅かに寸大の幅寸法を持って形成されている。
【0019】
一対の主駒20A、20Bは、一方の主駒20Aに後述する固定部材であるストッパパイプ4を取付ける貫通穴である孔23が設けられ、他方の主駒20Bには、メクラ穴である穴24が設けられている。また、突部22には貫通穴25が設けられ、駒体2Aの凹部21に隣接する駒体2Bの突部22を嵌合させると、孔23、貫通穴25及び穴24は連通するようになっている。
【0020】
次に、連結ピン3は図3に示すように、挿入方向に反発する弾性部材であるバネ31を内包したパイプ30と一端に先端ピン32及び他端に後端ピン33を配設して構成されている。先端ピン32は、半径方向に突出する突起34と外側端に溝35が形成された頭部32A及びパイプ30内をスライドするスライド部32Bより成り、パイプ30内にスライド部32Bを挿入して一端部30Aをカシメることにより先端方向への移動を規制している。また、後端ピン33は段付ピンとなっており、スライド部33Aがパイプ30内に挿入され他端部30Bをカシメることにより後端方向への移動を規制している。
【0021】
次に、ストッパパイプ4は、図4(a)に示すように円筒状を成し、内部が挿入部40となり、先端面がらせん状をなす案内部41と該案内部41に連なるキー溝42が軸方向(他端方向)に向かってらせん状に形成され、底部43から上方(先端方向)に戻るように切欠である係止溝44を形成してある。また、キー溝42と係止溝44との他端側の底部43に連なる交差部45は、先端側の交差部である突出部46より周方向のイ側に位置するように形成してある。
【0022】
また、ストッパパイプ4は、図4(b)に示すような展開形状を有する板材をパイプ状に成形し、図4(a)に示す隙間ロをもって,その外径は前記一方の主駒20Aに設けた孔23の内径より径大で、図2に示すように挿入状態での外径は、孔23の内径より僅かに径小になるように設定してある。即ちストッパパイプ4は隙間ロにより弾性特性を有することになり、内側に撓めて一方の主駒20Aの孔23に嵌め込むと弾性特性により孔23の内壁に密着し、その後、レーザー溶接、スポット溶接、ロー付け、カシメ等の手段により孔23にストッパパイプ4を完全に固定する。尚、ストッパパイプ4の弾性特性を高めた場合は、孔23に圧入することで固定することも可能である。
【0023】
上記のように構成したバンドの連結構造の駒体2A、2Bを連結する場合は、図1及び図2に示すように駒体2Aの凹部21に駒体2Bの突部22を嵌合させ、ドライバ5を連結ピン3の先端ピン32に形成された溝35に合わせて、後端ピン33を駒体2Aの一方の主駒20Aの孔23に固定されたストッパパイプ4の挿入部40から挿入し、駒体2Bの突部22に設けた貫通穴25を通り、駒体2Aの他方の主駒20Bの穴24へと押し込む。そして、図2に示すように先端ピン32に設けた突起34がストッパパイプ4の案内部41に当接したところで軽く回転させると案内部41のらせん状の端面に沿って、回転するようにキー溝42に導かれ、そこで軸方向に押し込むと、突起34はキー溝42の形状に沿って、らせん状に回転しながら底部43に接する。そして、突起34が底部43に接した時点でドライバ5を先端ピン32の溝35より放すと、突起34は、前記したパイプ30に内包されたバネ31の弾性反力により先端ピン32及び後端ピン33のスライド部32B、33Aが外方に付勢され、同時に突起34は係止溝44の係止端面44Aまで押し戻され係止され移動を規制する。このようにして駒体2A、2Bが連結ピン3により連結され、同様に他の駒体も連結され複数の駒体2となりバンド1を構成することになる。
【0024】
上記において、連結ピン3を挿入し、突起34が底部43に接するまで、キー溝42に位置合わせをすることや係止溝44に係止させるためにドライバ5を意図的に回転させる必要はない。即ちキー溝44を通過し、底部43に至るまでの形状が、らせん状に形成されているので軸方向への挿入力は同時に回転力をも伴うことになるためである。
【0025】
また、バンド1の長さを調整するため複数の駒体2の駒体2A、2Bの連結を解除するときは、ドライバ5を先端ピン32の溝35に合わせて押し込み、突起34を係止溝44の係止端面44Aから放し、底部43に当接させからキー溝42方向へ僅かに回転して、キー溝42の位置に配置させた状態でドライバ5を溝35より放すと、連結ピン3はバネ31の弾性反力により、キー溝42に沿って押し出されるように通過し、案内部41より外れて引き抜くことにより、駒体2A、2Bの連結は解除され、バンド1の長さが調整できる。
【0026】
尚、上記実施例において、駒体2Aの他方の主駒20Bに設けた穴24をメクラ穴としたのは、連結ピン3の取り外しやすさの向上と駒体の見てくれを良くするためである。特に、連結ピン3の取り外しやすさについては、駒体2Aと駒体2Bとが連結された状態において連結ピン3の先端ピン32と後端ピン33はバネ31を圧縮した状態となっている。この連結ピン3をストッパパイプ4から係合を解除すると、バネ31の圧縮が解除され先端ピン32と後端ピン33とにより連結ピン3が孔23より飛び出す長さが大きくなり、簡単に指により引き抜くことができるためからである。また、穴24をメクラ穴から貫通穴としてもむろん良く、連結ピン3をストッパパイプ4から係合を解除した時、連結ピン3が孔23より飛び出す長さがメクラ穴の時より少し小さくなるだけである。
【0027】
(実施例2)
本発明に係るバンドの連結構造の実施例2を図5及び図7に示す。
図5は本発明に係るバンドの連結構造の一部省略した分解斜視図、図6は同バンドの連結構造の連結状態を示す要部斜視図、図7(a)は同バンドの連結構造のストッパパイプの斜視図、図7(b)は同バンドの連結構造のストッパパイプの展開図である。
【0028】
バンドの連結構造の実施例2が上記した実施例1と異なる点は、駒体と駒体の連結構造が駒体(バンド)と時計ケースの連結構造となっている点にある。従って、実施例2にあっては、上記した実施例1との重複を避け同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
図5に示すように、時計ケース10の先カン100は一対のツノ足110A、110Bより成り、実施例1と同様に駒体2Aの突部22のバンド短手方向の幅寸法より、僅かに寸大の幅寸法を持つ凹部111が形成されている。そして、一対のツノ足110A、110Bは、一方のツノ足110Aに、固定部材であるストッパパイプ4Aを取付ける貫通穴である孔113が設けられ、他方のツノ足110Bに貫通穴である穴114が設けられている。また、先カン100の凹部111に隣接する駒体2Aの突部22を嵌合させると、孔113、貫通穴25及び穴114は連通するようになっている。
【0030】
次に、ストッパパイプ4Aは、図7(a)に示すように円筒状を成し、案内部41Aを除き実施例1のストッパパイプ4と同様の構成となっている。即ち、案内部41Aは、キー溝42の周方向の両端から外側斜め上方に向かって立ち上がっている。つまり、案内部41Aは、図7(b)に示すような円弧状の展開形状を有する板材を実施例1と同様にパイプ状に成形している。その外径は前記一方のツノ足110Aに設けた孔113の内径より径大で、隙間ロがない状態での外径は、孔113の内径より僅かに径小になるように設定してある。即ちストッパパイプ4Aは隙間ロにより弾性特性を有し、内側に撓めてに嵌め込むと弾性特性により孔113の内壁に密着し、その後、実施例1と同様の手段(溶接、ロー付け等)により孔113にストッパパイプ4を完全に固定する。
【0031】
上記のように構成した先カン100と駒体2Aを連結する場合は、先カン100の凹部111に駒体2Aの突部22を嵌合させ、ドライバ5を連結ピン3の先端ピン32の溝35に合わせて、後端ピン33を先カン100の一方のツノ足110Aに固定されたストッパパイプ4Aの挿入部40から挿入し、駒体2Aの突部22に設けた貫通穴25を通り、先カン100の他方のツノ足110Bの穴114へと押し込む。そして、図6に示すように先端ピン32に設けた突起34がストッパパイプ4Aの案内部41Aに当接した状態で、左右いづれかの方向に軽く回転させると、左右いづれかの斜面にに沿って、回転するようにキー溝42に導かれ、以降、実施例1と同様の方法で先カン100と駒体2Aが連結ピン3により連結される。
【0032】
(実施例3)
本発明に係るバンドの連結構造の実施例3を図8及び図10に示す。
図8は本発明に係るバンドの連結構造の分解斜視図、図9は同バンドの連結構造の連結状態を示す要部斜視図、図10(a)は同バンドの連結構造のストッパパイプの斜視図、図10(b)は同バンドの連結構造のストッパパイプの展開図である。
【0033】
バンドの連結構造の実施例3が上記した実施例1と異なる点は、ストッパパイプを取付ける穴が、駒体の一方の主駒から突部へ変えた点にある。即ち、実施例1のバンドの連結構造の駒体はバンド短手方向に幅広であって、主駒にストッパパイプを設けるだけの幅寸法が確保されている一般的に紳士用と称される時計バンドに適用されるものである。しかしながら、一般的に婦人用と称される時計バンドに適用されるバンドの連結構造の駒体は、細めのデザインが好まれ、バンド短手方向に幅狭である。従って、主駒にストッパパイプを設けるだけの充分な幅寸法が確保されないためのバンドの連結構造の実施例である。尚、実施例3にあっては、上記した実施例1との重複を避け同一構成については同一符号を付しての説明を省略する。
【0034】
バンド1−1は複数の駒体2−1を相互に連結ピン3−1により連結して構成されている。そして、図8に示すように、複数の駒体2−1を成す駒体2A−1及び駒体2B−1は、平面視略Y字形状を成し、一端に一対の主駒50A、50Bと、他端に一対の主駒50A、50B間で形成された凹部51に嵌合される突部52が一体に形成されている。また、一対の主駒50A、50Bの間の凹部51は、突部52のバンド短手方向の幅寸法より、僅かに寸大の幅寸法を持って形成されている。
【0035】
一対の主駒50A、50Bには、それぞれ貫通穴である孔53、孔54が設けられている。尚、孔53は後述する連結ピン3−1の突起34が通過する径大の貫通穴となっている。また、突起34を逃がすキー溝を設けた鍵穴形状でも良い。また、突部52には段付穴55が設けられ、一端側に後述する固定部材であるストッパパイプ4Bを取付ける径大の取付け穴55Aがストッパパイプ4Bの長さより、僅かに深い寸法に設けられている。そして、駒体2A−1の凹部51に隣接する駒体2B−1の突部52を嵌合させると、孔53、段付穴55及び孔54は連通するようになっている。尚、段付穴55は、貫通穴としても良い。
【0036】
連結ピン3−1は、全体及び各部の長さ(軸方向)寸法の違い除き基本的に、実施例1の連結ピン3と同様の構成を有している。そして、先端ピン32の頭部32Aは、図8及び図9に示すように実施例1より長くなっており、突部52の段付穴55まで達している点が大きな差異となっている。
【0037】
次に、ストッパパイプ4Bは、図10(a)に示すように円筒状を成し、案内部41Bを除き実施例1のストッパパイプ4と同様の構成となっている。即ち、案内部41Bは、キー溝42の周方向の両端部の一方に突出片41Cを突設してある。つまり、案内部41Bは、図10(b)に示すような展開形状を有する板材を実施例1と同様にパイプ状に成形している。その外径は前記段付穴55の取付け穴55Aの内径より径大で、隙間ロがない状態での外径は、取付け穴55Aの内径より僅かに径小になるように設定してある。即ちストッパパイプ4Bは隙間ロにより弾性特性を有し、内側に撓めてに嵌め込むと弾性特性により取付け穴55Aの内壁に密着し、その後、実施例1と同様の手段(溶接、ロー付け等)により取付け穴55Aにストッパパイプ4Bを完全に固定する。
【0038】
上記のように構成したバンドの連結構造の駒体2A−1、2Bを連結する場合は、駒体2A−1の凹部51に駒体2B−1の突部52を嵌合させ、ドライバ5を連結ピン3−1の先端ピン32に形成された溝35に合わせて、後端ピン33を駒体2A−1の一方の主駒50Aの孔53に挿入し、駒体2B−1の突部52に設けた段付穴55の取付け穴55Aに固定されたストッパパイプ4Bの挿入部40から挿入し、さらに、段付穴55の貫通穴55Bを通り、駒体2A−1の他方の主駒50Bの孔54へと押し込む。そして、図9に示すように先端ピン32に設けた突起34がストッパパイプ4Bの案内部41Bに当接した時点で、ドライバ5により連結ピン3−1の先端ピン32を右方向に回し、これにより、突起34が突出片41Cにに当接し、先端ピン32に設けた突起34はキー溝42に導かれることになる。尚、突出片41Cがキー溝42の周方向の両端部の他方に設けられた場合は、連結ピン3−1の先端ピン32を左方向に回転させることになる。
【0039】
また、図8及び図9に示すように連結ピン3−1の先端ピン32を軸方向に押し込むと突起34はキー溝42の形状に沿って、らせん状に回転しながら底部43に当接する。そして、突起34が底部43に接した時点でドライバ5を先端ピン32の溝35より放すと、突起34はパイプ30に内包されたバネ31の弾性反力により先端ピン32及び後端ピン33のスライド部32B、33Aが外方に付勢され、同時に突起34は係止溝44の係止端面44Aまで押し戻され係止され移動を規制する。これは実施例1と同様である。このようにして駒体2A−1、2B−1が連結ピン3−1により連結され、同様に他の駒体も連結され複数の駒体2−1となりバンド1−1を構成することになる。
【0040】
また、バンド1−1の長さを調整するため複数の駒体2−1の駒体2A−1、2B−1の連結を解除するときは、実施例1と同様の方法(手順)で行なえば、駒体2A−1、2B−1の連結は解除され、バンド1−1の長さが調整できる。
【0041】
(実施例4)
本発明に係るバンドの連結構造の実施例4を図11に示す。
図11は本発明に係る時計バンドの構造の実施例4の分解斜視図である。バンドの連結構造の実施例4が上記した実施例1から3までと異なる点は、ストッパパイプの先端面の案内部に連なるキー溝が軸方向(他端方向)に沿って直線状に形成され、底部から周方向に少し進み、さらに上方(先端方向)に戻るように切欠である係止溝を形成した点である。
【0042】
そして、図11に示すように、実施例4にあってはストッパパイプ4Cを除き、バンド1を構成する複数の駒体2と、これらを成す駒体2A、駒体2B及び連結ピン3は、上記した実施例1と同一に構成されている。従って、バンド1及び連結ピン3の詳細な説明は、実施例1との重複を避け、同一符号を付して省略する。
【0043】
次に、ストッパパイプ4Cは、図11に示すように円筒状を成し、キー溝142を除き実施例1のストッパパイプ4と同一の構成となっている。即ち、ストッパパイプ4Cは、先端面がらせん状をなす案内部41と該案内部41に連なるキー溝142が軸方向(他端方向)に沿って直線状に形成され、さらに周方向に係止溝44まで略L字型に形成されている。
【0044】
また、実施例1と同様にストッパパイプ4Cの外径は、一方の主駒20Aに設けた孔23の内径より径大で、挿入状態での外径は、孔23の内径より僅かに径小になるように設定してある。また、ストッパパイプ4Cは、隙間ロにより弾性特性を有し、内側に撓めて孔23に嵌め込むと弾性特性により孔23の内壁に密着し、その後、実施例1と同様の手段(溶接、ロー付け等)により孔23にストッパパイプ4Cを完全に固定する。
【0045】
上記のように構成したバンド1の連結構造の駒体2A、2Bの連結方法は、実施例1と同様にドライバ5により連結ピン3をストッパパイプ4Cの挿入部40から挿入し、貫通穴25、穴24へと押し込む。そして、先端ピン32に設けた突起34がストッパパイプ4Cの案内部41に当接したところで軽く回転させると案内部41のらせん状の端面に沿って、回転するようにキー溝142に導かれ、そこで軸方向に押し込むと、突起34はキー溝142の形状に沿って直線状に挿通し、底部43に当接する。この時点でドライバ5を底部43に沿って周方向に係止溝44まで回転させて溝35より放すと突起34は、実施例1と同様に突起34は係止溝44の係止端面44Aまで押し戻され係止され移動を規制する。このようにして駒体2A、2Bが連結ピン3により連結され、同様に他の駒体も連結され複数の駒体2となりバンド1を構成することになる。
【0046】
また、バンド1の長さを調整するため複数の駒体2の駒体2A、2Bの連結を解除するときは、実施例1と同様の方法(手順)で行なえば、駒体2A、2Bの連結は解除され、バンド1の長さが調整できる。
【0047】
そして、図示しないが上記実施例において、使用するストッパパイプは、実施例1から4までのいづれの組み合わせでも良い。また、ストッパパイプに隙間を設けず、パイプ材に案内部、キー溝等を形成してストッパパイプとして使用しても良い。そして、実施例2において、時計ケース10の先カン100は、一対のツノ足110A、110Bに限定することなく一本のツノ足であっても良く、その場合、ツノ足と駒体の凹部が嵌合し、連結ピン3により連結、解除される。また、上記実施例において、駒体の形状が略Y字形状の物を使用したが、平面視略H字形状の駒体を使用し、このH字形状の駒体と駒体の間に中駒体を介して連結するバンドにも使用することが可能である。即ち、一般的に使用されているほとんどのバンドに本発明のバンド連結構造を使用することが可能である。また、本発明は、バンドの全ての駒体に使用可能であるが、バンドの長さ調整に使用される一般に調整駒と称される駒体に使用されることが好ましい。さらに、本発明がバンドと中留め装置との連結構造にも適用できることは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】
上記した本発明によれば、購入者が特殊な工具を使用することなく、固定部材であるストッパパイプのキー溝の係合溝に連結ピンの突起を容易に係合させることができ、駒体と駒体及び時計ケースと駒体との連結、解除の作業がきわめて容易にできると共に、安定した係合が得られる。また、ストッパパイプを使用することにより、連結ピンを周方向に回転させずに軸方向に押し込むだけで、固定部材であるストッパパイプの係合溝に連結ピンの突起を係合させることができ、駒体と駒体及び時計ケースと駒体との連結組立作業が熟練者でなくとも容易にできる等の効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバンドの連結構造の実施例1の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るバンドの連結構造の実施例1の連結構造の連結状態を示す要部斜視図である。
【図3】本発明に係るバンドの連結構造の実施例1の連結状態を示す連結ピンの断面図である。
【図4】(a)は本発明に係るバンドの連結構造の実施例1のストッパパイプの斜視図である。
(b)は本発明に係るバンドの連結構造の実施例1のストッパパイプの展開図である。
【図5】本発明に係るバンドの連結構造の実施例2の一部省略した分解斜視図である。
【図6】本発明に係るバンドの連結構造の実施例2の連結構造の連結状態を示す要部斜視図である。
【図7】(a)は本発明に係るバンドの連結構造の実施例2のストッパパイプの斜視図である。
(b)は本発明に係るバンドの連結構造の実施例2のストッパパイプの展開図である。
【図8】本発明に係るバンドの連結構造の実施例3の分解斜視図である。
【図9】本発明に係るバンドの連結構造の実施例3の連結状態を示す要部斜視図である。
【図10】(a)は本発明に係るバンドの連結構造の実施例3のストッパパイプの斜視図である。
(b)は本発明に係るバンドの連結構造の実施例3のストッパパイプの展開図である。
【図11】本発明に係るバンドの連結構造の実施例4の分解斜視図である。
【符号の説明】
1、1−1 バンド
2、2−1 複数の駒体
2A、2B、2A−1、2B−1 駒体
3、3−1 連結ピン
4、4A、4B、4C ストッパパイプ
5 ドライバ
20A、50A 一方の主駒
20B、50B 他方の主駒
21、51 凹部
22、52 突部
23、53、54 孔
24 穴
25 貫通穴
30 パイプ
30A 一端部
30B 他端部
31 バネ
32 先端ピン
32A 頭部
32B、33A スライド部
33 後端ピン
34 突起
35 溝
40 挿入部
41、41A、41B 案内部
42 キー溝
43 底部
44 係止溝
44A 係止端面
45 交差部
46 突出部
55 段付穴
55A 取付け穴
55B 貫通穴
ロ 隙間
Claims (8)
- 凹部を有する駒体と隣接する駒体の突部とが係合すると共に、前記凹部と前記突部とが係合する部分のバンド短手方向に連通する貫通穴が形成され、前記凹部の貫通穴に、軸方向にキー溝が略L字型に形成されたパイプ状の固定部材を固定し、該固定部材に、前記キー溝に係合する突起と、挿入方向に対して反発する弾性部材を有する連結ピンを挿入することにより前記駒体と前記隣接する駒体とを連結するバンドの連結構造において、
前記固定部材のキー溝に前記連結ピンの突起が導かれる案内部を前記固定部材の端面に設けたことを特徴とするバンドの連結構造。 - 時計ケースの先カンとバンドの先端とが係合すると共に、前記先カンと前記バンドの先端とが係合する部分のバンド短手方向に連通する貫通穴が形成され、前記先カンの貫通穴に、軸方向にキー溝が略L字型に形成され、前記キー溝に係合する突起と、挿入方向に対して反発する弾性部材を有する連結ピンを挿入することにより前記時計ケースの先カンと前記バンドの先端とを連結するバンドの連結構造において、前記キー溝が形成されたパイプ状の固定部材を前記先カンの貫通穴に固定し、前記固定部材の前記キー溝に前記連結ピンの突起が導かれる案内部を前記固定部材の端面に設けたことを特徴とするバンドの連結構造。
- 前記固定部材を前記駒体の突部の貫通穴に固定したことを特徴とする請求項1記載のバンドの連結構造。
- 前記固定部材を前記バンドの先端の貫通穴に固定したことを特徴とする請求項2記載のバンドの連結構造。
- 前記固定部材の端面に設けられた案内部は、キー溝の一端から周方向の他端に向かってらせん状となっていることを特徴とする請求項1及び請求項2記載のバンドの連結構造。
- 前記固定部材の端面に設けられた案内部は、キー溝の周方向の両端から外側斜め上方に向かって立上がっていることを特徴とする請求項1及び請求項2記載のバンドの連結構造。
- 前記固定部材の端面に設けられた案内部は、キー溝の周方向の両端部のどちらか一方が軸方向に突出していることを特徴とする請求項1及び請求項2記載のバンドの連結構造。
- 前記固定部材に形成したキー溝は、端面から軸方向に向かって斜めに曲線を描き、該曲線の底部から上方に向かって切欠を有し、前記底部の上方の突出部の先端が前記底部より前記曲線側に位置していることを特徴とする請求項1及び請求項2記載のバンドの連結構造。
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