JP3923528B2 - α―ヒドロキシ酸のアンモニウム塩から遊離酸の製造方法 - Google Patents
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Description
技術分野:
本発明は、種々の医薬・農薬等の合成原料、食品添加物や飼料添加剤として有用であるα−ヒドロキシ酸の製造方法に関する。
背景技術、
従来の最も一般的なα−ヒドロキシ酸の化学的合成法は、α−ヒドロキシニトリルを硫酸等の鉱酸を用いて加水分解する方法である。しかし、この場合同当量以上の重硫安等の鉱酸塩が生成し、この鉱酸塩は処理されなければならず、大量の廃棄物処理の問題を生じる。
また、糖を含有する混合物を微生物発酵する等の生物学的方法やα−ヒドロキシニトリルを微生物の生産する加水分解酵素により加水分解する方法により得られるα−ヒドロキシ酸の金属塩やアンモニウム塩から、硫酸等の鉱酸を反応させたりイオン交換樹脂を用いることにより遊離のα−ヒドロキシ酸を得る方法も知られているが、いずれの方法においても大量の鉱酸塩が生成し、同様な問題が生じる。
一方、廃棄物となる鉱酸塩を生成させない方法として、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩にアルコールを添加してエステル化する方法(特開平7−194387)を利用して、一旦エステルを得たのち酸触媒を用いて加水分解する方法が知られている。しかし、この方法では、新たな添加物として、アルコールおよび酸触媒を使用する必要があり、これら添加物は回収しなければならず、工業的に有利な製造方法とは言いがたい。
また,もう一つの化学的合成法として、α−ヒドロキシニトリルを水酸化ナトリウム等の無機塩基を用いて加水分解する方法がある。この場合は、α−ヒドロキシ酸を得るためには、鉱酸等で中和しなければならないが、この際、同等量の鉱酸塩が生成し、同様な廃棄物処理の問題が生じる。
さらに、カルボン酸アンモニウム塩から遊離酸を製造する方法として、不飽和脂肪酸のアンモニウム塩に少量の水を添加し有機溶媒中で80℃以上の温度で全還流させながらアンモニアを遊離除去し不飽和脂肪酸を得る方法(英国特許公開967352)、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩の10〜50%水溶液に水と共沸する有機溶媒を加え60〜100℃に加熱し水を共沸留去すると同時にアンモニアを留去し(メタ)アクリル酸を得る方法(特開昭54−115317)、酸性アミノ酸アンモニウム塩の10〜80%水溶液に水を供給しつつ加熱してアンモニアと水を留去させ酸性アミノ酸を得る方法(特開平7−330696)等が知られている。
しかしながら、これらの方法では、原理的にカルボン酸の酸解離定数が高い値を示すものでは容易に脱アンモニアするが、α−ヒドロキシ酸のようにpKaが4以下の強酸では、カルボン酸アンモニウム塩からのアンモニウムイオンの解離度が小さく、脱アンモニアが困難であり、大部分のアンモニアを除去するのに、長時間の反応を要したり、大量の有機溶媒あるいは大量の水の添加を必要とする。本発明者がこれら3つの方法をα−ヒドロキシ酸の製造に適用したところ、いずれの方法においてもα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩が50%以上残存し、工業的製造方法としては不適当であった。
発明の開示:
本発明の課題は、廃棄物処理の問題が生じない方法で、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩からα−ヒドロキシ酸の遊離酸を高収率で製造する方法を提供するものである。
本発明は、下記一般式〔I〕で示されるα−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩を無溶媒または有機溶媒中で加熱し、生成するアンモニアと水を除外する第一工程、続いて、水を添加し加熱する第二工程からなるα−ヒドロキシ酸の製造方法である。
(式中、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよい飽和複素環基又は置換基を有していてもよい不飽和複素環基を表す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の対象となるα−ヒドロキシ酸は、式〔I〕で表される化合物である。
式〔I〕中、Rは、水素原子、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アルキル基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アルケニル基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)置換基を有してもよいシクロアルキル基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アルコキシ基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アリール基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アリールオキシ基、又は(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)飽和若しくは不飽和複素環基を表す。
好ましくは、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル基等のC1〜C6アルキル基、(フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ基等のアルキルチオ基で)置換されてもよいC1〜C6アルキル基、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル基などのC2〜C6アルケニル基、フェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−フリル基および3−フリル基等の異種原子として窒素、酸素、硫黄を少なくとも一種含む3〜7員複素環基が挙げられる。
α−ヒドロキシ酸として、具体的には、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシイソ吉草酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシ−3−ブテノン酸、α−ヒドロキシ−3−クロロプロピオン酸、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸、α−ヒドロキシ−2−ピリジル酢酸、α−ヒドロキシ−2−チエニル酢酸、α−ヒドロキシ−2−ピロリル酢酸、α−ヒドロキシ−2−フリル酢酸などを挙げることができる。
α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩は、α−ヒドロキシニトリルを微生物の生産する加水分解酵素により加水分解する方法により、製造することができる。
また、無機塩基によるα−ヒドロキシニトリルの加水分解反応または微生物反応等により、α−ヒドロキシ酸が金属塩として得られる場合には、例えば、特開平7−194387に示されたと同じ方法でアンモニウム塩に変換できる。すなわち、α−ヒドロキシ酸の金属塩の水溶液にNH3およびCO2を添加することにより、α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩に変換することができ、本発明の方法に供することができる。
本発明は、以下の二つの工程からなる製造法である。
イ)第一工程
α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩を、無溶媒または有機溶媒中、加熱することにより、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類とさせつつ、水とアンモニアを除去する工程。
ロ)第二工程
大部分のアンモニアが除去した後(第一工程反応終了後)、水を添加して加熱することにより、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類が加水分解され、遊離のα−ヒドロキシ酸を得る工程。
第一工程は、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩を加熱することにより、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類とさせつつ水とアンモニアを除外するものである。この際、反応系は減圧状態にしても良い。
第一工程では種々の蒸留装置が利用でき、蒸発面積を増加させるために、撹拌装置付きのもの、液膜を形成させるものが特に有利である。反応温度は通常40〜200℃、特に60〜170℃の範囲が好ましい。反応系の圧力は0.1〜760mmHgの範囲で実施される。反応の終点は水およびアンモニアの留出がおさまった時点となるが、残存するアンモニアは反応後α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩として回収リサイクルすることもできるので、所望により反応途中で止めることもできる。α−ヒドロキシ酸の種類により酸化を受けやすいα−ヒドロキシ酸の場合では、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの置換により、得られるα−ヒドロキシ酸の純度が向上する。また、大気圧下で反応する際、不活性ガスを反応液中に導入すると、アンモニアの除外効率が向上する。
第一工程で使用することのできる有機溶媒としては、α−ヒドロキシ酸及びアンモニアと反応しない、沸点40℃以上の有機溶媒が使用でき、水と共沸するものが好ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、アニソール、デカンが挙げられる。
なお、第一工程の反応において、α−ヒドロキシ酸アミドが副成する場合があるが、これは低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸に溶存アンモニアが反応して生成するものである。この場合、有機溶媒の選択、減圧度の調整または蒸発面積を増加させることによって、副成率を2%以下に抑えることができる。また、このα−ヒドロキシ酸アミドは第二工程で加水分解され、α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩になるので、副成率がさらに減少する。
なお、第一工程おいて留出するアンモニアはアンモニアガスとして回収することができ、利用価値が高い。
第二工程は、第一工程の反応後、水を添加して加熱するものである。水の添加量は、第一工程反応終了後の釜残重量の0.1〜10倍重量部が通常使われ、好ましくは0.2〜3倍重量部が良い。反応温度は大気圧下で反応した場合、50〜100℃であるが、加圧で反応しても良い。耐圧反応装置を用いれば、100〜300℃好ましくは120〜170℃で反応することができ、反応時間を短縮することができる。
第二工程の反応により、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類は加水分解され、α−ヒドロキシ酸となり、第一工程で副成したα−ヒドロキシ酸アミドも一部加水分解されてα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩となる。
第二工程反応終了後、α−ヒドロキシ酸は大部分遊離の酸として得ることが出来るが、一部は第一工程で残存したアンモニアと副成α−ヒドロキシ酸アミドの加水分解により生成したアンモニアと反応して、α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩として残存する場合がある。しかし、系内で生成したα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩は第一工程の出発原料としてリサイクルできるので特に問題はない。
第二工程反応終了後、得られたα−ヒドロキシ酸の水溶液から水を留去することによって、純度80%以上の遊離のα−ヒドロキシ酸を得ることができる。さらに純度の良いα−ヒドロキシ酸を得るには、適当な有機溶媒で抽出し、有機溶媒を留去するのが好ましい。抽出に用いられる有機溶媒としては、水に不溶で、α−ヒドロキシ酸の遊離酸を溶解する有機溶媒ならば特に制限なく使用できる。例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、n−ブタノール、ジイソプロピルエーテル、ジクロロエタンを挙げることができる。有機溶媒抽出に際しては、向流分配による連続抽出も採用することができ、この操作により、α−ヒドロキシ酸の遊離酸の回収率を向上させることができる。α−ヒドロキシ酸が結晶性のものについては、有機溶媒による抽出に代えて、第二工程反応後水溶液中に遊離のα−ヒドロキシ酸を析出させ、ろ過、単離することもできる。
上記方法で遊離のα−ヒドロキシ酸を得た後の水溶液、すなわち有機溶媒抽出後の水層あるいは結晶を分離したろ過ろ液は、濃縮後第一工程の出発原料としてリサイクルが可能である。
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、α−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシ酸アミド、ポリ−α−ヒドロキシ酸の分析は、高速液体クロマトグラフィーにより、またアンモニアの分析は、NADH〜グルタミン酸脱水素酵素を用いる紫外部吸光度測定法(Methods of Enzymatic Analysis,Bergmeyer H. U. ed., 3rd ed., vol.8, pp.454-461)により定量した。
[実施例1]
撹拌機、温度計を備えた100mlフラスコに精留管を取り付け、精留管の塔頂には温度計、還流冷却器を備えた分留頭を取り付けた。分留頭では留出してくる有機溶媒と水を分液し、有機溶媒のみを精留管に戻し還流させるようにした。この100mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩53.40ミリモルを含む水溶液14.20gとキシレン40mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応当初はキシレンと水の共沸混合物が塔頂まで上昇し、塔頂温は92〜93℃を示した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してキシレンの沸点約140℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。4時間加熱還流した後、キシレンを減圧留去して7.68gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して、9.56gのオイルを得た。分析結果を第1表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.4%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ0.9%、90.4%であった。
[比較例1]
英国特許第967352号公報記載の方法に準じて実施した。撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩19.50ミリモルを含む水溶液3.80gと水1.0mlを入れ、均一溶液とした。これにさらにトルエン23.0mlを加え、120℃の油浴に付け撹拌しながら加熱還流した。反応液の温度は100〜103℃を示し、還流冷却器塔頂からはアンモニアガスが発生した。4時間加熱還流した後、トルエンと水を減圧留去して、3.82gのオイルを得た。分析結果を第2表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は70.3%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率は、ダイマー体を考慮して22.1%であった。
[比較例2]
特開昭54−115317号公報記載の方法に準じて実施した。撹拌機、温度計、単蒸留塔(内径10mm,高さ10cm)、冷却器を備えた200mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩25.88ミリモルを含む50重量%水溶液およびトルエン115mlを入れ、乾燥空気を気相部に少量導入しつつ加熱撹拌した。トルエンと水の共沸混合物が留出すると同時にアンモニアガスが発生した。留出開始後約40分で共沸留出は止まり、殆どトルエンのみの留出となってから約10分で反応を終了した。留出液の総量は64.5g、反応後液の総量は58.8gであった。この反応後液を減圧濃縮し、5.6gのオイルを得た。分析結果を第3表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は56.6%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率は、ダイマー体を考慮して32.8%であった。
[比較例3]
特開平7−330696号公報記載の方法に準じて実施した。撹拌機、温度計、滴下ロート、単蒸留塔(内径10mm,高さ10cm)、冷却器を備えた50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩51.81ミリモルを含む水溶液10.35gと水12mlを入れ、大気圧下、キャピラリーから微量窒素を流しながら、70℃に予熱した水を20ml/hrで連続的に供給し、ボトムフラスコを150℃油浴中で加熱して、トップ留出温度99〜100℃、留出速度20ml/hrで、滞留液量を略一定に保ちながらアンモニア水を留出させ、約4時間かけて合計約80mlのアンモニア水を得た。反応後液の総量は21.9mlであった。分析結果を第4表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は70.8%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率は、ダイマー体を考慮して21.9%であった。
[実施例2]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中に乳酸アンモニウム塩45.61ミリモルを含む水溶液5.84gとキシレン40mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応当初はキシレンと水の共沸混合物が塔頂まで上昇し塔頂温は92〜93℃を示した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してキシレンの沸点約140℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。以上合計4時間、加熱還流撹拌した後、キシレンを減圧留去して4.08gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して4.52gのオイルを得た。分析結果を第5表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は7.6%であり、乳酸アミドの副成率は1.2%であった。乳酸の遊離酸の収率は89.9%であった。
[実施例3]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中にマンデル酸アンモニウム塩58.78ミリモルを含む水溶液10.46gとキシレン40mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応当初はキシレンと水の共沸混合物が塔頂まで上昇し塔頂温は92〜93℃を示した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してキシレンの沸点約140℃に達した。反応の間、アンモニアはガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。以上合計4時間、加熱還流撹拌した後、キシレンを減圧留去して7.38gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して9.63gのオイルを得た。分析結果を第6表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は2.8%であり、マンデル酸アミドの副成率は1.8%であった。マンデル酸の遊離酸の収率は93.5%であった。
[実施例4]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中に、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩43.24ミリモルを含む水溶液10.01gとアニソール50mlを入れ、約170℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してアニソールの沸点約156℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。4時間加熱還流した後、アニソールを減圧留去して6.78gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中、内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して7.61gのオイルを得た。分析結果を第7表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.7%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.0%、90.1%であった。
[実施例5]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中に、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩43.72ミリモルを含む水溶液10.12gとエチレングリコールジエチルエーテル50mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してエチレングリコールジエチルエーテルの沸点約121℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。4時間加熱還流した後、エチレングリコールジエチルエーテルを減圧留去して6.94gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して7.58gのオイルを得た。分析結果を第8表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.8%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.1%、90.9%であった。
[実施例6]
撹拌機、温度計、ガス導入管を備えた50mlフラスコに直管を取り付け、直管の塔頂には温度計、還流冷却器を備えた分留頭を取り付けた。この50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩20.61ミリモルを含む水溶液5.09gとジエチレングリコールジメチルエーテル20mlを入れ、約145℃の油浴に付け加熱撹拌した。この際、窒素ガスを反応液中に100ml/minの速度で導入し、原料中にあらかじめ存在する水及び反応中生成する水を、ジエチレングリコールジメチルエーテルとの共沸物として、反応系外に留出させた。また、反応中生成するアンモニアは、留出液に溶解する分以外の大部分をガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。反応液の温度は、反応当初は水が多く存在するため、115℃程度であるが、反応が進行するとともに徐々に上昇して、ほぼ130℃で一定であった。2時間反応後、ジエチレングリコールジメチルエーテルを減圧留去して3.65gのオイルを得た。このオイルを50mlナスフラスコに移し、水20mlを加え、100℃で4時間加熱還流撹拌した。室温まで冷却した後、反応液の分析を行った。分析結果を第9表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は4.3%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.1%、92.7%であった。
[実施例7]
撹拌機、温度計を備えた50mlフラスコに直管を取り付け、直管の塔頂には温度計、還流冷却器を備えた分留頭を取り付けた。還流冷却器の塔頂を水流ポンプに連結し、反応系内が減圧状態になるようにした。この50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩20.25ミリモルを含む水溶液5.00gとジエチレングリコールジメチルエーテル25mlを入れ、約110℃の油浴に付け加熱撹拌した。この際、水流ポンプで反応系内が600〜650mmHgになるように調整し、原料中にあらかじめ存在する水及び反応中生成する水を、ジエチレングリコールジメチルエーテルとの共沸物として、反応系外に留出させた。また、反応中生成するアンモニアは、留出液に溶解する分以外の大部分をガスとして水流ポンプに吸収させた。反応液の温度は、反応当初90〜93℃であるが、反応が進行するとともに徐々に上昇して、ほぼ100℃で一定であった。4時間反応後、ジエチレングリコールジメチルエーテルを減圧留去して4.08gのオイルを得た。このオイルを50mlナスフラスコに移し、水20mlを加え、100℃で4時間加熱還流撹拌した。室温まで冷却した後、反応液の分析を行った。分析結果を第10表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は1.1%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.9%、93.4%であった。
[実施例8]
α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩45.95ミリモルを含む水溶液9.18gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、0.8〜1.5mmHg,120〜125℃の条件下で4時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は7.29gであり、これにはα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩が3.06ミリモル、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドが0.87ミリモル含まれており、その他はポリ−α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸類であった。ここに得られた反応後残液に水22mlを加え、大気圧下で加熱還流を20時間行った。室温まで冷却した後、メチルイソブチルケトン25mlで3回抽出した。有機層を集め濃縮したところ、7.08gのオイルが得られた。抽出後の水層も同様濃縮したところ、0.81gのオイルが得られた。分析結果を第11表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は7.0%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.0%、81.9%であった。
[実施例9]
α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩46.31ミリモルを含む水溶液9.25gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、0.8〜1.5mmHg,135〜140℃の条件下で4時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は7.20gであり、これにはα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩が2.54ミリモル、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドが0.57ミリモル含まれており、その他はポリ−α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸類であった。ここに得られた反応後残液を内容積約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、170〜175℃の油浴に付け4時間加熱した。加熱中内圧は3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して7.45gのオイルを得た。分析結果を第12表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は6.2%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ0.4%、83.2%であった。
[実施例10]
乳酸アンモニウム塩79.58ミリモルを含む水溶液9.04gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、11〜14mmHg,118〜120℃の条件下で6時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は6.62gであり、これには乳酸アンモニウム塩が6.31ミリモル、乳酸アミドが1.04ミリモル含まれており、その他はポリ乳酸類であった。ここに得られた反応後残液を内容積約60mlのオートクレーブに移し、水30mlを加え、150〜155℃の油浴に付け3時間加熱した。加熱中内圧は3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、約80%水溶液になるまで減圧濃縮して9.11gのオイルを得た。分析結果を第13表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は8.9%であり、乳酸の仕込みアンモニウム塩に対する遊離酸の収率は90.1%であった。
[実施例11]
マンデル酸アンモニウム塩45.84ミリモルを含む水溶液9.06gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、0.5〜1.0mmHg,118〜120℃の条件下で4時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は6.09gであり、これにはマンデル酸アンモニウム塩が1.38ミリモル、マンデル酸アミドが0.49ミリモル含まれており、その他はポリマンデル酸類であった。ここに得られた反応後残液を内容積約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、170〜175℃の油浴に付け4時間加熱した。加熱中内圧は3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して6.92gの結晶を得た。分析結果を第14表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.6%であり、マンデル酸の仕込みアンモニウム塩に対する遊離酸の収率は92.9%であった。
(発明の効果)
本発明方法は、以下の種々の理由により、工業的観点から好適でありかつ有利である。
すなわち、
イ)α−ヒドロキシ酸アンモニウムから遊離のα−ヒドロキシ酸を製造するに際して、アンモニアをアンモニアガスとして除外するため、アンモニウム塩廃棄物が生じない。
ロ)触媒や中和のための添加物等の新たな物質を添加しなくても良いため、製造コスト上有利である。
ハ)残存アンモニアおよび副成α−ヒドロキシ酸アミドは、加水分解反応後α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩として、遊離のα−ヒドロキシ酸と分離でき、回収リサイクルできる。
産業上の利用の可能性:
以上説明したように、本発明は、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩から遊離酸を、工業的に有利に効率よく製造する方法であり、その産業的意義は大きい。
本発明は、種々の医薬・農薬等の合成原料、食品添加物や飼料添加剤として有用であるα−ヒドロキシ酸の製造方法に関する。
背景技術、
従来の最も一般的なα−ヒドロキシ酸の化学的合成法は、α−ヒドロキシニトリルを硫酸等の鉱酸を用いて加水分解する方法である。しかし、この場合同当量以上の重硫安等の鉱酸塩が生成し、この鉱酸塩は処理されなければならず、大量の廃棄物処理の問題を生じる。
また、糖を含有する混合物を微生物発酵する等の生物学的方法やα−ヒドロキシニトリルを微生物の生産する加水分解酵素により加水分解する方法により得られるα−ヒドロキシ酸の金属塩やアンモニウム塩から、硫酸等の鉱酸を反応させたりイオン交換樹脂を用いることにより遊離のα−ヒドロキシ酸を得る方法も知られているが、いずれの方法においても大量の鉱酸塩が生成し、同様な問題が生じる。
一方、廃棄物となる鉱酸塩を生成させない方法として、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩にアルコールを添加してエステル化する方法(特開平7−194387)を利用して、一旦エステルを得たのち酸触媒を用いて加水分解する方法が知られている。しかし、この方法では、新たな添加物として、アルコールおよび酸触媒を使用する必要があり、これら添加物は回収しなければならず、工業的に有利な製造方法とは言いがたい。
また,もう一つの化学的合成法として、α−ヒドロキシニトリルを水酸化ナトリウム等の無機塩基を用いて加水分解する方法がある。この場合は、α−ヒドロキシ酸を得るためには、鉱酸等で中和しなければならないが、この際、同等量の鉱酸塩が生成し、同様な廃棄物処理の問題が生じる。
さらに、カルボン酸アンモニウム塩から遊離酸を製造する方法として、不飽和脂肪酸のアンモニウム塩に少量の水を添加し有機溶媒中で80℃以上の温度で全還流させながらアンモニアを遊離除去し不飽和脂肪酸を得る方法(英国特許公開967352)、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩の10〜50%水溶液に水と共沸する有機溶媒を加え60〜100℃に加熱し水を共沸留去すると同時にアンモニアを留去し(メタ)アクリル酸を得る方法(特開昭54−115317)、酸性アミノ酸アンモニウム塩の10〜80%水溶液に水を供給しつつ加熱してアンモニアと水を留去させ酸性アミノ酸を得る方法(特開平7−330696)等が知られている。
しかしながら、これらの方法では、原理的にカルボン酸の酸解離定数が高い値を示すものでは容易に脱アンモニアするが、α−ヒドロキシ酸のようにpKaが4以下の強酸では、カルボン酸アンモニウム塩からのアンモニウムイオンの解離度が小さく、脱アンモニアが困難であり、大部分のアンモニアを除去するのに、長時間の反応を要したり、大量の有機溶媒あるいは大量の水の添加を必要とする。本発明者がこれら3つの方法をα−ヒドロキシ酸の製造に適用したところ、いずれの方法においてもα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩が50%以上残存し、工業的製造方法としては不適当であった。
発明の開示:
本発明の課題は、廃棄物処理の問題が生じない方法で、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩からα−ヒドロキシ酸の遊離酸を高収率で製造する方法を提供するものである。
本発明は、下記一般式〔I〕で示されるα−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩を無溶媒または有機溶媒中で加熱し、生成するアンモニアと水を除外する第一工程、続いて、水を添加し加熱する第二工程からなるα−ヒドロキシ酸の製造方法である。
(式中、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよい飽和複素環基又は置換基を有していてもよい不飽和複素環基を表す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の対象となるα−ヒドロキシ酸は、式〔I〕で表される化合物である。
式〔I〕中、Rは、水素原子、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アルキル基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アルケニル基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)置換基を有してもよいシクロアルキル基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アルコキシ基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アリール基、(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)アリールオキシ基、又は(ハロゲン原子、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシル基等の置換基を有してもよい)飽和若しくは不飽和複素環基を表す。
好ましくは、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル基等のC1〜C6アルキル基、(フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ基等のアルキルチオ基で)置換されてもよいC1〜C6アルキル基、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル基などのC2〜C6アルケニル基、フェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−フリル基および3−フリル基等の異種原子として窒素、酸素、硫黄を少なくとも一種含む3〜7員複素環基が挙げられる。
α−ヒドロキシ酸として、具体的には、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシイソ吉草酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシ−3−ブテノン酸、α−ヒドロキシ−3−クロロプロピオン酸、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸、α−ヒドロキシ−2−ピリジル酢酸、α−ヒドロキシ−2−チエニル酢酸、α−ヒドロキシ−2−ピロリル酢酸、α−ヒドロキシ−2−フリル酢酸などを挙げることができる。
α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩は、α−ヒドロキシニトリルを微生物の生産する加水分解酵素により加水分解する方法により、製造することができる。
また、無機塩基によるα−ヒドロキシニトリルの加水分解反応または微生物反応等により、α−ヒドロキシ酸が金属塩として得られる場合には、例えば、特開平7−194387に示されたと同じ方法でアンモニウム塩に変換できる。すなわち、α−ヒドロキシ酸の金属塩の水溶液にNH3およびCO2を添加することにより、α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩に変換することができ、本発明の方法に供することができる。
本発明は、以下の二つの工程からなる製造法である。
イ)第一工程
α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩を、無溶媒または有機溶媒中、加熱することにより、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類とさせつつ、水とアンモニアを除去する工程。
ロ)第二工程
大部分のアンモニアが除去した後(第一工程反応終了後)、水を添加して加熱することにより、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類が加水分解され、遊離のα−ヒドロキシ酸を得る工程。
第一工程は、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩を加熱することにより、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類とさせつつ水とアンモニアを除外するものである。この際、反応系は減圧状態にしても良い。
第一工程では種々の蒸留装置が利用でき、蒸発面積を増加させるために、撹拌装置付きのもの、液膜を形成させるものが特に有利である。反応温度は通常40〜200℃、特に60〜170℃の範囲が好ましい。反応系の圧力は0.1〜760mmHgの範囲で実施される。反応の終点は水およびアンモニアの留出がおさまった時点となるが、残存するアンモニアは反応後α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩として回収リサイクルすることもできるので、所望により反応途中で止めることもできる。α−ヒドロキシ酸の種類により酸化を受けやすいα−ヒドロキシ酸の場合では、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの置換により、得られるα−ヒドロキシ酸の純度が向上する。また、大気圧下で反応する際、不活性ガスを反応液中に導入すると、アンモニアの除外効率が向上する。
第一工程で使用することのできる有機溶媒としては、α−ヒドロキシ酸及びアンモニアと反応しない、沸点40℃以上の有機溶媒が使用でき、水と共沸するものが好ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、アニソール、デカンが挙げられる。
なお、第一工程の反応において、α−ヒドロキシ酸アミドが副成する場合があるが、これは低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸に溶存アンモニアが反応して生成するものである。この場合、有機溶媒の選択、減圧度の調整または蒸発面積を増加させることによって、副成率を2%以下に抑えることができる。また、このα−ヒドロキシ酸アミドは第二工程で加水分解され、α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩になるので、副成率がさらに減少する。
なお、第一工程おいて留出するアンモニアはアンモニアガスとして回収することができ、利用価値が高い。
第二工程は、第一工程の反応後、水を添加して加熱するものである。水の添加量は、第一工程反応終了後の釜残重量の0.1〜10倍重量部が通常使われ、好ましくは0.2〜3倍重量部が良い。反応温度は大気圧下で反応した場合、50〜100℃であるが、加圧で反応しても良い。耐圧反応装置を用いれば、100〜300℃好ましくは120〜170℃で反応することができ、反応時間を短縮することができる。
第二工程の反応により、低分子量ポリ−α−ヒドロキシ酸類は加水分解され、α−ヒドロキシ酸となり、第一工程で副成したα−ヒドロキシ酸アミドも一部加水分解されてα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩となる。
第二工程反応終了後、α−ヒドロキシ酸は大部分遊離の酸として得ることが出来るが、一部は第一工程で残存したアンモニアと副成α−ヒドロキシ酸アミドの加水分解により生成したアンモニアと反応して、α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩として残存する場合がある。しかし、系内で生成したα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩は第一工程の出発原料としてリサイクルできるので特に問題はない。
第二工程反応終了後、得られたα−ヒドロキシ酸の水溶液から水を留去することによって、純度80%以上の遊離のα−ヒドロキシ酸を得ることができる。さらに純度の良いα−ヒドロキシ酸を得るには、適当な有機溶媒で抽出し、有機溶媒を留去するのが好ましい。抽出に用いられる有機溶媒としては、水に不溶で、α−ヒドロキシ酸の遊離酸を溶解する有機溶媒ならば特に制限なく使用できる。例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、n−ブタノール、ジイソプロピルエーテル、ジクロロエタンを挙げることができる。有機溶媒抽出に際しては、向流分配による連続抽出も採用することができ、この操作により、α−ヒドロキシ酸の遊離酸の回収率を向上させることができる。α−ヒドロキシ酸が結晶性のものについては、有機溶媒による抽出に代えて、第二工程反応後水溶液中に遊離のα−ヒドロキシ酸を析出させ、ろ過、単離することもできる。
上記方法で遊離のα−ヒドロキシ酸を得た後の水溶液、すなわち有機溶媒抽出後の水層あるいは結晶を分離したろ過ろ液は、濃縮後第一工程の出発原料としてリサイクルが可能である。
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、α−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシ酸アミド、ポリ−α−ヒドロキシ酸の分析は、高速液体クロマトグラフィーにより、またアンモニアの分析は、NADH〜グルタミン酸脱水素酵素を用いる紫外部吸光度測定法(Methods of Enzymatic Analysis,Bergmeyer H. U. ed., 3rd ed., vol.8, pp.454-461)により定量した。
[実施例1]
撹拌機、温度計を備えた100mlフラスコに精留管を取り付け、精留管の塔頂には温度計、還流冷却器を備えた分留頭を取り付けた。分留頭では留出してくる有機溶媒と水を分液し、有機溶媒のみを精留管に戻し還流させるようにした。この100mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩53.40ミリモルを含む水溶液14.20gとキシレン40mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応当初はキシレンと水の共沸混合物が塔頂まで上昇し、塔頂温は92〜93℃を示した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してキシレンの沸点約140℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。4時間加熱還流した後、キシレンを減圧留去して7.68gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して、9.56gのオイルを得た。分析結果を第1表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.4%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ0.9%、90.4%であった。
[比較例1]
英国特許第967352号公報記載の方法に準じて実施した。撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩19.50ミリモルを含む水溶液3.80gと水1.0mlを入れ、均一溶液とした。これにさらにトルエン23.0mlを加え、120℃の油浴に付け撹拌しながら加熱還流した。反応液の温度は100〜103℃を示し、還流冷却器塔頂からはアンモニアガスが発生した。4時間加熱還流した後、トルエンと水を減圧留去して、3.82gのオイルを得た。分析結果を第2表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は70.3%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率は、ダイマー体を考慮して22.1%であった。
[比較例2]
特開昭54−115317号公報記載の方法に準じて実施した。撹拌機、温度計、単蒸留塔(内径10mm,高さ10cm)、冷却器を備えた200mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩25.88ミリモルを含む50重量%水溶液およびトルエン115mlを入れ、乾燥空気を気相部に少量導入しつつ加熱撹拌した。トルエンと水の共沸混合物が留出すると同時にアンモニアガスが発生した。留出開始後約40分で共沸留出は止まり、殆どトルエンのみの留出となってから約10分で反応を終了した。留出液の総量は64.5g、反応後液の総量は58.8gであった。この反応後液を減圧濃縮し、5.6gのオイルを得た。分析結果を第3表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は56.6%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率は、ダイマー体を考慮して32.8%であった。
[比較例3]
特開平7−330696号公報記載の方法に準じて実施した。撹拌機、温度計、滴下ロート、単蒸留塔(内径10mm,高さ10cm)、冷却器を備えた50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩51.81ミリモルを含む水溶液10.35gと水12mlを入れ、大気圧下、キャピラリーから微量窒素を流しながら、70℃に予熱した水を20ml/hrで連続的に供給し、ボトムフラスコを150℃油浴中で加熱して、トップ留出温度99〜100℃、留出速度20ml/hrで、滞留液量を略一定に保ちながらアンモニア水を留出させ、約4時間かけて合計約80mlのアンモニア水を得た。反応後液の総量は21.9mlであった。分析結果を第4表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は70.8%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率は、ダイマー体を考慮して21.9%であった。
[実施例2]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中に乳酸アンモニウム塩45.61ミリモルを含む水溶液5.84gとキシレン40mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応当初はキシレンと水の共沸混合物が塔頂まで上昇し塔頂温は92〜93℃を示した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してキシレンの沸点約140℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。以上合計4時間、加熱還流撹拌した後、キシレンを減圧留去して4.08gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して4.52gのオイルを得た。分析結果を第5表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は7.6%であり、乳酸アミドの副成率は1.2%であった。乳酸の遊離酸の収率は89.9%であった。
[実施例3]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中にマンデル酸アンモニウム塩58.78ミリモルを含む水溶液10.46gとキシレン40mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応当初はキシレンと水の共沸混合物が塔頂まで上昇し塔頂温は92〜93℃を示した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してキシレンの沸点約140℃に達した。反応の間、アンモニアはガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。以上合計4時間、加熱還流撹拌した後、キシレンを減圧留去して7.38gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して9.63gのオイルを得た。分析結果を第6表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は2.8%であり、マンデル酸アミドの副成率は1.8%であった。マンデル酸の遊離酸の収率は93.5%であった。
[実施例4]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中に、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩43.24ミリモルを含む水溶液10.01gとアニソール50mlを入れ、約170℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してアニソールの沸点約156℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。4時間加熱還流した後、アニソールを減圧留去して6.78gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中、内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して7.61gのオイルを得た。分析結果を第7表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.7%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.0%、90.1%であった。
[実施例5]
実施例1と同様の装置を組み、この100mlフラスコ中に、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩43.72ミリモルを含む水溶液10.12gとエチレングリコールジエチルエーテル50mlを入れ、約150℃の油浴に付け加熱撹拌した。反応が進行するとともに水が留出分離され、塔頂温は徐々に上昇してエチレングリコールジエチルエーテルの沸点約121℃に達した。反応の間、アンモニアは留出水に溶解する分以外の大部分はガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。4時間加熱還流した後、エチレングリコールジエチルエーテルを減圧留去して6.94gのオイルを得た。このオイルを内容積が約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、約150℃で4時間加熱撹拌した。加熱中内圧は約3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して7.58gのオイルを得た。分析結果を第8表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.8%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.1%、90.9%であった。
[実施例6]
撹拌機、温度計、ガス導入管を備えた50mlフラスコに直管を取り付け、直管の塔頂には温度計、還流冷却器を備えた分留頭を取り付けた。この50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩20.61ミリモルを含む水溶液5.09gとジエチレングリコールジメチルエーテル20mlを入れ、約145℃の油浴に付け加熱撹拌した。この際、窒素ガスを反応液中に100ml/minの速度で導入し、原料中にあらかじめ存在する水及び反応中生成する水を、ジエチレングリコールジメチルエーテルとの共沸物として、反応系外に留出させた。また、反応中生成するアンモニアは、留出液に溶解する分以外の大部分をガスとして還流冷却器の塔頂から排出した。反応液の温度は、反応当初は水が多く存在するため、115℃程度であるが、反応が進行するとともに徐々に上昇して、ほぼ130℃で一定であった。2時間反応後、ジエチレングリコールジメチルエーテルを減圧留去して3.65gのオイルを得た。このオイルを50mlナスフラスコに移し、水20mlを加え、100℃で4時間加熱還流撹拌した。室温まで冷却した後、反応液の分析を行った。分析結果を第9表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は4.3%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.1%、92.7%であった。
[実施例7]
撹拌機、温度計を備えた50mlフラスコに直管を取り付け、直管の塔頂には温度計、還流冷却器を備えた分留頭を取り付けた。還流冷却器の塔頂を水流ポンプに連結し、反応系内が減圧状態になるようにした。この50mlフラスコに、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩20.25ミリモルを含む水溶液5.00gとジエチレングリコールジメチルエーテル25mlを入れ、約110℃の油浴に付け加熱撹拌した。この際、水流ポンプで反応系内が600〜650mmHgになるように調整し、原料中にあらかじめ存在する水及び反応中生成する水を、ジエチレングリコールジメチルエーテルとの共沸物として、反応系外に留出させた。また、反応中生成するアンモニアは、留出液に溶解する分以外の大部分をガスとして水流ポンプに吸収させた。反応液の温度は、反応当初90〜93℃であるが、反応が進行するとともに徐々に上昇して、ほぼ100℃で一定であった。4時間反応後、ジエチレングリコールジメチルエーテルを減圧留去して4.08gのオイルを得た。このオイルを50mlナスフラスコに移し、水20mlを加え、100℃で4時間加熱還流撹拌した。室温まで冷却した後、反応液の分析を行った。分析結果を第10表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は1.1%であった。α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.9%、93.4%であった。
[実施例8]
α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩45.95ミリモルを含む水溶液9.18gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、0.8〜1.5mmHg,120〜125℃の条件下で4時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は7.29gであり、これにはα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩が3.06ミリモル、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドが0.87ミリモル含まれており、その他はポリ−α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸類であった。ここに得られた反応後残液に水22mlを加え、大気圧下で加熱還流を20時間行った。室温まで冷却した後、メチルイソブチルケトン25mlで3回抽出した。有機層を集め濃縮したところ、7.08gのオイルが得られた。抽出後の水層も同様濃縮したところ、0.81gのオイルが得られた。分析結果を第11表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は7.0%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ1.0%、81.9%であった。
[実施例9]
α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩46.31ミリモルを含む水溶液9.25gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、0.8〜1.5mmHg,135〜140℃の条件下で4時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は7.20gであり、これにはα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アンモニウム塩が2.54ミリモル、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドが0.57ミリモル含まれており、その他はポリ−α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸類であった。ここに得られた反応後残液を内容積約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、170〜175℃の油浴に付け4時間加熱した。加熱中内圧は3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して7.45gのオイルを得た。分析結果を第12表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は6.2%であり、α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸アミドの副成率及びα−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の遊離酸の収率を、ダイマー体を考慮して計算すると、それぞれ0.4%、83.2%であった。
[実施例10]
乳酸アンモニウム塩79.58ミリモルを含む水溶液9.04gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、11〜14mmHg,118〜120℃の条件下で6時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は6.62gであり、これには乳酸アンモニウム塩が6.31ミリモル、乳酸アミドが1.04ミリモル含まれており、その他はポリ乳酸類であった。ここに得られた反応後残液を内容積約60mlのオートクレーブに移し、水30mlを加え、150〜155℃の油浴に付け3時間加熱した。加熱中内圧は3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、約80%水溶液になるまで減圧濃縮して9.11gのオイルを得た。分析結果を第13表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は8.9%であり、乳酸の仕込みアンモニウム塩に対する遊離酸の収率は90.1%であった。
[実施例11]
マンデル酸アンモニウム塩45.84ミリモルを含む水溶液9.06gを50mlナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、0.5〜1.0mmHg,118〜120℃の条件下で4時間加熱し、発生するアンモニア及び水を除外した。残存した反応液の総量は6.09gであり、これにはマンデル酸アンモニウム塩が1.38ミリモル、マンデル酸アミドが0.49ミリモル含まれており、その他はポリマンデル酸類であった。ここに得られた反応後残液を内容積約60mlのオートクレーブに移し、水20mlを加え、170〜175℃の油浴に付け4時間加熱した。加熱中内圧は3kgf/cm2を示した。室温まで冷却した後、反応後液を50mlナスフラスコに移し、水を減圧留去して6.92gの結晶を得た。分析結果を第14表に示す。分析結果よりアンモニアの残存率は3.6%であり、マンデル酸の仕込みアンモニウム塩に対する遊離酸の収率は92.9%であった。
(発明の効果)
本発明方法は、以下の種々の理由により、工業的観点から好適でありかつ有利である。
すなわち、
イ)α−ヒドロキシ酸アンモニウムから遊離のα−ヒドロキシ酸を製造するに際して、アンモニアをアンモニアガスとして除外するため、アンモニウム塩廃棄物が生じない。
ロ)触媒や中和のための添加物等の新たな物質を添加しなくても良いため、製造コスト上有利である。
ハ)残存アンモニアおよび副成α−ヒドロキシ酸アミドは、加水分解反応後α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩として、遊離のα−ヒドロキシ酸と分離でき、回収リサイクルできる。
産業上の利用の可能性:
以上説明したように、本発明は、α−ヒドロキシ酸のアンモニウム塩から遊離酸を、工業的に有利に効率よく製造する方法であり、その産業的意義は大きい。
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