JP4645986B2 - (4e)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルおよびその光学活性体の製造方法 - Google Patents

(4e)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルおよびその光学活性体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、農薬または医薬の中間体として有用な(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの製造方法に関する。また、本発明は、農薬または医薬の中間体として特に有用な光学活性体である(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの製造方法に関する。
農薬または医薬の中間体として有用である(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステル、およびその類縁体の合成方法としては、以下の方法が報告されている。
(1)イソペンタン酸メチルをリチウムジイソプロピルアミド(LDA)の存在下、極低温(−78℃)で1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させて5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを合成する方法(米国特許第4492799号明細書参照。)。
(2)(1)の方法において、−15℃で反応を行い、さらにヨウ化ナトリウム(NaI)を用いることにより反応性を高める方法(国際公開第02/08172号パンフレット実施例、および国際公開第01/09079号パンフレット参照。)。
(3)イソプロピルマロン酸ジエチルを用いて、エタノール溶媒中ナトリウムエトキシド(NaOC25)の存在下、1,3−ジクロロ−1−プロペンにより4級アルキル化を行った後、2つのエステル結合を加水分解してジカルボン酸とし、さらに一方のカルボン酸を脱炭酸することで5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸を合成する方法(”Akad.Nauk Armyan,S.S.R.Khim.Nauki”、1960年、13巻、4号、p.259−262、(ロシア)参照。)。
(4)マロン酸ジエチル誘導体を用いて、トルエン溶媒中、水素化ナトリウム(NaH)の存在下、クロロプロペン誘導体により4級アルキル化を行った後、エステルの一方を脱アルコキシカルボニル化して、種々の4−ペンテン酸エステル誘導体を合成する方法(米国特許第4492799号明細書参照。)。
また、光学活性体である(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステル、およびその類縁体の合成法としては、下記の方法が報告されている。
(5)(2)の方法によって得たラセミ体の(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エチルエステルにブタ肝臓由来のエステラーゼ(Roche Diagnostics社製 Technical Grade)を一括添加することにより作用させて、(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エチルエステルを得る方法(国際公開第01/09079号パンフレット参照。)。
(6)(2)の方法によって得たラセミ体の(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテンエチルエステルを加水分解することによって得られたラセミ体の(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸に光学活性なシンコニジンを作用させてジアステレオマー塩を得た後に再結晶することにより(S)体のジアステレオマー塩を分離する。次いで酸処理することにより、(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸を得る方法(国際公開第01/09079号パンフレット参照。)。
しかし、上記の(1)、(3)および(4)の方法では、5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの二重結合のE/Z比率については述べられていない。また、(2)には、5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルのE体を、収率84%、および76%で得た記載があるが、本発明者らが該記載のとおりに実験を繰り返してもこのような収率でE体を得ることができず、その収率はせいぜい4.2%程度であった。このように、5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルのE体を、Z体への異性化無しに選択的かつ高収率で得ることは困難であった。
また、(1)に示されたリチウムジイソプロピルアミド(LDA)を用いる方法は、反応温度を−78℃の極低温に制御する必要がある。また、LDAを調製するために高価なn−ブチルリチウム(n−BuLi)を用いるため、経済的な理由および操作上の困難性から工業的な大量生産には不向きであり、かつ46%という低収率であった。(2)の方法は、原料であるイソペンタン酸メチルの自己縮合等の副反応が進行するため収率が低く、精製が困難である問題があった。(3)の方法は、5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸を得るまでの収率が23%であり、5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを得るためにさらにエステル化が必要であることを考慮すると、その収率が非常に低くなる問題があった。(4)の方法は、NaHを用いており、経済的および操作的に工業的大量生産には不向きであった。
光学活性体の製造方法である(5)の方法には、反応に必要な条件が充分に記載されておらず、目的化合物を得る方法は全くの不明であった。また、前記(5)および(6)の方法では、光学分割の原料であるラセミ体を(2)の方法により得ていることから、総合収率が非常に低くなると考えられ、工業的大量生産には不適当であった。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、安価な原料および試薬を使用した(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの製造方法を提供する。本発明の方法は、簡易な反応により実施でき、工業的大量生産に適用できる方法であり、かつ高収率でE体を選択的に製造できる。また、該方法によって得た式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを光学分割することにより、式(5)で表される(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを高収率かつ高ee(高enantio excess)で製造する方法を提供する。
すなわち、本発明は以下の発明を提供する。
<1>下式(2)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(II)の存在下で、塩基(II)と反応させ、つぎに(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させることによって、下式(3)で表される化合物を得て、つぎに該下式(3)で表される化合物のエステルの一方を脱アルコキシカルボニル化することを特徴とする、下式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの製造方法(ただし、Rは低級アルキル基またはアルアルキル基を示す。)。
Figure 0004645986
<2>塩基(II)が、式M2OR2で表される金属アルコキシドである<1>に記載の製造方法(ただし、M2はNaまたはKを示し、R2は低級アルキル基を示す。)。
<3>式(2)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(II)の存在下で、式M2OR2で表される金属アルコキシドからなる塩基(II)と反応させ、つぎに副生した式R2OHで表されるアルコールを除去した後に、(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させる<2>に記載の製造方法(ただし、M2およびR2は、前記の意味と同じ意味を示す。)。
<4>非プロトン性溶媒(II)が、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテルおよびスルホランから選ばれる1種類以上の溶媒からなる<1>〜<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5>式(2)で表される化合物が、下式(1)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(I)中、塩基(I)と反応させ、つぎにハロゲン化イソプロピルと反応させることにより得た化合物である<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法(ただし、Rは前記と同じ意味を示す。)。
Figure 0004645986
<6>塩基(I)が、式M1OR1で表される金属アルコキシドである<5>に記載の製造方法(ただし、M1はNaまたはKを示し、R1は、低級アルキル基を示す。)。
<7>式(1)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(I)の存在下に、式M1OR1で表される金属アルコキシドと反応させ、つぎに副生した式R1OHで表されるアルコールを除去した後に、ハロゲン化イソプロピルと反応させる<6>に記載の製造方法(ただし、M1およびR1は、前記と同じ意味を示す。)。
<8>ハロゲン化イソプロピルを、式(1)で表される化合物に対して1倍モル以上を用いて反応を行い、反応終了後に、得られた式(2)で表される化合物に対するハロゲン化イソプロピル量が5モル%以下になるまで、ハロゲン化イソプロピルを除去する<5>〜<7>のいずれかに記載の製造方法。
<9>非プロトン性溶媒(I)が、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテルおよびスルホランから選ばれる1種類以上の溶媒からなる<5>〜<8>のいずれかに記載の製造方法。
<10>脱アルコキシカルボニル化が、極性溶媒中、水と無機塩の存在下で行う反応である<1>〜<9>のいずれかに記載の製造方法。
<11>式(2)で表される化合物を得た後、同一反応容器内で引き続いて、式(3)で表される化合物を得る反応を行う<5>〜<10>のいずれかに記載の製造方法。
<12><1>〜<11>のいずれかに記載の製造方法によって式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを得たのち、式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを光学分割することを特徴とする下式(5)で表される(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの製造方法(ただし、Rは前記と同じ意味を示す。)。
Figure 0004645986
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)とも記す。他の化合物についても同様である。
本発明の製造方法の概要は下式で示すことができる。ただし、本発明は下式に限定されない。
Figure 0004645986
すなわち化合物(1)においては、非プロトン性溶媒(I)中、塩基(I)と反応させ、つぎにハロゲン化イソプロピルと反応させることによって化合物(2)を得る工程(以下、(a)工程という。)を行う。化合物(2)においては、非プロトン性溶媒(II)の存在下で塩基(II)と反応させ、つぎに(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させることによって、化合物(3)を得る工程(以下、(b)工程という。)を行う。化合物(3)においては、エステルの一方を脱アルコキシカルボニル化することにより、化合物(4)を得る工程(以下、(c)工程という。)を行う。化合物(4)においては、光学分割を行い、(S)体である化合物(5)を得る工程(以下、(d)工程という。)を行う。
本明細書において、Rは低級アルキル基、またアルアルキル基を示す。低級アルキル基とは炭素数1〜4のアルキル基を示し、該基としてはたとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、及びtert−ブチル基等が挙げられる。
また、アルアルキル基とは、アリール基によって置換された低級アルキル基を示し、1または2個のアリール基で置換された低級アルキル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、または2−ナフチル基等が挙げられる。さらに、該アリール基は、その環上に1個または2個以上の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、低級アルキル基が好ましい。アルアルキル基としては、たとえば、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。Rとしては、低級アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
塩基(I)、および塩基(II)としては、金属水素化物、金属アルコキシド、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド、ピリジン、トリエチルアミン、無機塩基等を用いることができる。特に反応性、および操作性が良好であること、経済性に優れていることから、塩基(I)としては式M1OR1で表される金属アルコキシドを用いるのが好ましく、塩基(II)としては式M2OR2で表される金属アルコキシドを用いるのが好ましい(ただし、M1およびM2はNaまたはKを示し、R1およびR2は、低級アルキル基を示す。)。
式M1OR1および式M2OR2で表される金属アルコキシドとしては、それぞれナトリウムメトキシド(NaOCH3)、ナトリウムエトキシド(NaOC25)、ナトリウム−tert−ブトキシド(t−BuONa)、およびカリウム−tert−ブトキシド(t−BuOK)等が挙げられ、安価に市販されているNaOCH3、NaOC25が好ましく、これらは粉体または溶液であるのが好ましい。これらの金属アルコキシドが溶液である場合、式M1OR1で表される金属アルコキシドは、式R1OHで表されるアルコールの溶液であるのが好ましく、式M2OR2で表される金属アルコキシドは、式R2OHで表されるアルコールの溶液であるのが好ましい(ただし、M1、M2、R1およびR2は前記と同じ意味を示す。)。溶液で使用する場合の濃度は、5〜35質量%が好ましく、15〜35質量%が特に好ましい。また、これらの金属アルコキシドは、用時にアルカリ金属と低級アルコールから調製したものを用いてもよい。これらの金属アルコキシドは、従来の方法で採用されていたLDAやNaHのような塩基と比較して、操作性に優れ、コストも低いことから使用しやすい利点がある。
非プロトン性溶媒(I)、および非プロトン性溶媒(II)としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリジノン(NMP)などのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド系溶媒;スルホランなどのスルホン系溶媒;ジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)、ジグライム、テトラヒドロフラン(THF)、t−ブチルメチルエーテル(TBME)などのエーテル系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても、または2種類以上の混合溶媒として使用してもよい。本発明における非プロトン性溶媒(I)および(II)としては、不純物の生成が抑制できる点、操作性が良好である点、溶媒を回収再利用できる点から、トルエンとアミド系溶媒またはスルホランとの混合溶媒が好ましい。(アミド系溶媒またはスルホラン)とトルエンとの混合比率は、(アミド系溶媒またはスルホラン)/トルエン(体積比)で、1/2〜1/50が好ましく、特に1/3〜1/10が好ましい。
以下、(a)工程〜(d)工程を順に説明する。(a)工程における化合物(1)としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、およびマロン酸ジイソプロピル等を用いることができ、マロン酸ジメチルを用いるのが好ましい。ハロゲン化イソプロピルとしては、イソプロピルブロミド、イソプロピルクロリド、およびイソプロピルヨージド等を用いることができる。マロン酸ジエステル、ハロゲン化イソプロピル、および(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンは公知の化合物であり、工業的に安価に入手可能な化合物である。また、これらの化合物は、通常は市販品を用いるのが好ましい。市販品は必要に応じて精製してもよいが、通常の場合には精製せずに用いることができる。
(a)工程は、化合物(1)を非プロトン性溶媒(I)中、塩基(I)と反応させ、つぎにハロゲン化イソプロピルを反応させて化合物(2)を得る3級アルキル化工程である。
(a)工程において、ハロゲン化イソプロピルの量は、反応の転化率および収率の観点から化合物(1)に対して1倍モル以上が好ましく、1.0〜50.0倍モルがより好ましく、操作性、容積効率、コストの面から1.0〜3.0倍モルが特に好ましい。ハロゲン化イソプロピルとしては、反応性と価格との観点からイソプロピルブロミドが好ましい。
塩基(I)の量は、化合物(1)に対して0.9〜5倍モルが好ましく、特に1.0〜3.0倍モルが好ましい。非プロトン性溶媒(I)の量は、化合物(1)の1gに対して0.5〜20mlが好ましい。
(a)工程においては、さらに反応性を高めるためにヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)等の金属ヨウ化物、または臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)等の金属臭化物を添加してもよい。これらの金属ヨウ化物または金属臭化物を添加する場合、その量は、ハロゲン化イソプロピルに対して1モル%〜100モル%であることが好ましく、特に1モル%〜10モル%であることが好ましい。
(a)工程における反応温度は、+30℃〜+180℃が好ましく、特に+70℃〜+140℃が好ましい。反応時間は、1〜30時間が好ましい。また、反応圧力は、大気圧または加圧が好ましく、特に大気圧が好ましい。
(a)工程においては、化合物(1)、塩基(I)、およびハロゲン化イソプロピルをこの順に添加する方法(a−1)、または塩基(I)、化合物(1)、およびハロゲン化イソプロピルをこの順に添加する方法(a−2)によって反応を行うのが好ましい。
(a)工程における塩基(I)としては、前記の式M1OR1(M1およびR1は、前記の意味と同じ意味を示す。)で表される塩基を用いるのが好ましい。該式M1OR1で表わされる塩基を使用する場合にも、方法(a−1)または方法(a−2)にしたがって、化合物(1)を非プロトン性溶媒(I)の存在下に該塩基と反応させ、つぎにハロゲン化イソプロピルと反応させるのが好ましい。式M1OR1で表わされる塩基を用いた反応においては、式R1OHで表わされるアルコールが副生する。たとえば、塩基としてNaOCH3を用いたときにはメタノールが副生し、NaOC25を用いたときにはエタノールが副生する。該アルコールが副生したときには、ハロゲン化イソプロピルと反応させる前に、このアルコールを反応系から除くのが好ましい。アルコールを除く方法としては、留去による方法が好ましく、通常はハロゲン化イソプロピルの添加前に加熱することによって留去するのが好ましい。この副生するアルコールのようなプロトン性溶媒は、反応系中に残留していても反応は進行するが、転化率、反応時間などの観点から除去することが好ましい。
また、(a)工程におけるハロゲン化イソプロピルは、化合物(1)に対して1倍モル以上を用いるのが好ましい。この場合には、反応終了後に、ハロゲン化イソプロピルを反応系から除去するのが好ましい。ハロゲン化イソプロピルは大量に残存すると、次の(b)工程において、ハロゲン化イソプロピルが化合物(2)を4級アルキル化する副反応、およびハロゲン化イソプロピルとNaOCH3等の式M2OR2で表される塩基(ただし、M2およびR2は前記と同じ意味を示す。)との反応が起こり、(b)工程の目的物である化合物(3)の収率が低下するため好ましくない。ハロゲン化イソプロピルを除去する場合には、化合物(2)に対するハロゲン化イソプロピル量を5モル%以下にすることが好ましく、特に1モル%以下にすることが好ましい。また、除去したハロゲン化イソプロピルは、再び(a)工程の反応に再利用できる。
(b)工程は、化合物(2)を、非プロトン性溶媒(II)の存在下で、塩基(II)と反応させ、つぎに(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させ化合物(3)を得る、4級アルキル化工程である。
(b)工程において、(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンの量は、化合物(2)に対して0.9〜50.0倍モルが好ましく、操作性、容積効率、コストの面から1.0〜3.0倍モルがさらに好ましい。(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンを過剰に使用したときには、回収して(b)工程に再使用してもよい。
塩基(II)の量は、化合物(2)に対して0.9〜5倍モルであることが好ましく、特に0.9〜3.0倍モルであることが好ましい。塩基(II)の量が多すぎると、未反応の塩基(II)が、(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと即座に反応する副反応が進行するおそれがある。
非プロトン性溶媒(II)は、化合物(2)の1gに対して0.5〜20mlを使用するのが好ましい。
(b)工程においては、さらに反応性を高めるためにNaI、KIなどの金属ヨウ化物、またはNaBr、KBr等の金属臭化物を添加してもよい。これらの金属ヨウ化物または金属臭化物を添加する場合、その量は、(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンに対して1モル%〜100モル%であることが好ましく、特に1モル%〜10モル%であることが好ましい。
(b)工程の反応温度は、+30℃〜+180℃が好ましく、特に+70℃〜+140℃が好ましい。また、反応時間は、1〜30時間が好ましい。また、反応圧力は、大気圧または加圧が好ましく、大気圧が特に好ましい。
(b)工程においては、化合物(2)、塩基(II)、および(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンをこの順に添加する方法(b−1)、または塩基(II)、化合物(2)、および(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンをこの順に添加する方法(b−2)により反応を行うのが好ましい。
(b)工程における塩基(II)としては、前記の式M2OR2(ただし、M2およびR2は前記と同じ意味を示す。)で表される塩基を用いるのが好ましい。そして、該式M2OR2で表わされる塩基を使用する場合にも、方法(b−1)または方法(b−2)にしたがって、化合物(2)を非プロトン性溶媒(II)の存在下に該塩基と反応させ、つぎに(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させるのが好ましい。式M2OR2で表わされる塩基を用いた反応においては、式R2OHで表わされるアルコールが副生する。たとえば、塩基としてNaOCH3を用いたときにはメタノールが副生し、NaOC25を用いたときにはエタノールが副生する。該アルコールが副生したときには、(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させる前に、このアルコールを反応系から除くのが好ましい。アルコールを除く方法としては、留去による方法が好ましく、通常は(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンの添加前に加熱することによって留去するのが好ましい。この副生するアルコールのようなプロトン性溶媒は、残留していても反応は進行するが、転化率、反応時間などの観点より(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンを添加する前に留去することが好ましい。
本発明の製造方法において(a)工程の直後に(b)工程を実施する場合は、(a)工程で生成する化合物(2)の単離精製を行うことなく、同一の反応器で連続して行うことが好ましい。すなわち、(a)工程によって化合物(2)を得た後、同一反応容器内で引き続いて、化合物(3)を得る(b)工程の反応を行うことが好ましい。
(a)工程と(b)工程とを、連続して同一反応容器内で行った場合には、反応時間を短縮することができ、操作も容易であるため、工業的生産において有利である。ただし(a)工程と(b)工程とを連続的に行う場合は、(a)工程の反応で残ったハロゲン化イソプロピルが、(b)工程においてイソプロピルマロン酸ジエステル(式2)と反応する等の理由で(b)工程の収率が低下するおそれがある。このため、(a)工程終了後の反応系内からハロゲン化イソプロピルを除去するのが好ましい。該除去によって収率低下を顕著に防ぐことができる。
本発明においては、(b)工程のつぎに(c)工程を行う。
(c)工程は、化合物(3)のエステルの一方を脱アルコキシカルボニル化することにより式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを得る、脱アルコキシカルボニル化工程である。本明細書における「脱アルコキシカルボニル化」とは、化合物中のエステル部分(−COOR部分)を取り去って、水素原子に置き換える反応をいう。
本発明の製造方法において、脱アルコキシカルボニル化工程は、極性溶媒中、水および無機塩の存在下に加熱する方法により行うことが好ましい。
(c)工程において、使用されうる無機塩としては、アルカリ金属のハロゲン化物が好ましく、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化リチウム(LiCl)、臭化ナトリウム(NaBr)等が挙げられ、NaClまたはLiClが好ましい。
該無機塩の量は、化合物(3)に対し0.5〜50倍モルが好ましく、0.5〜10倍モルが特に好ましい。また、(c)工程において用いられる水の量は、化合物(3)に対し0.1〜50倍モルが好ましく、0.1〜3倍モルが特に好ましい。
極性溶媒としては、DMF、DMA、NMPなどのアミド系溶媒、DMSOなどのスルホキシド系溶媒、スルホランなどのスルホン系溶媒、DMEおよびTHFなどのエーテル系溶媒等が挙げられる。極性溶媒は単独で使用しても2種類以上の混合溶媒として使用してもよい。該極性溶媒としては、反応性が良好である点、極性溶媒自身の反応中の分解を抑制できる点、および操作に適した沸点を有する点からスルホランが好ましい。極性溶媒の量は、化合物(3)に対し2〜30倍質量が好ましく、5〜15倍質量がさらに好ましい。
本発明の製造方法において、(a)工程で生成する化合物(2)、(b)工程で生成する化合物(3)、(c)工程で生成する化合物(4)については、それぞれ目的に応じた後処理および/または精製処理を行うのが好ましい。たとえば、(処理方法1)反応粗液に水または食塩水等を添加し、つぎにジクロロメタン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、またはジエチルエーテル等の非水溶性有機溶媒を加えて分液し、有機層を濃縮し、さらに蒸留して目的化合物を単離する方法、(処理方法2)処理方法1における有機層を水および/または食塩水で洗浄した後に、該有機層を濃縮し、蒸留して目的化合物を単離する方法、(処理方法3)反応粗液を冷却した後、減圧蒸留する方法、等が挙げられる。さらにこれらの処理方法1〜3の各工程の前後においては、必要に応じて、ろ過を行ってもよく、また、活性炭等の吸着剤を添加してもよい。特に(c)工程の生成物において、吸着剤を添加した場合には、反応生成物中に含まれうるタール状物質などを良好に除去できることから好ましい。
本発明の製造方法により得られる(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステル(式4)は農薬または医薬の中間体として有用な公知の化合物である。化合物(4)は、特に殺虫剤や高血圧症治療剤の中間体として有用な化合物である(WO01/9079号公報)。前記方法により得られる化合物(4)は、通常はラセミ体であり、必要に応じて光学分割((d)工程)を行うことができる。(d)工程は、式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを光学分割することによって、光学活性な(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステル(式5)を得る工程である。
光学分割の方法としては、たとえば以下に示す方法が採用できる。
方法(d−1)化合物(4)をラセミ体のまま加水分解してカルボン酸としたのち、光学活性な塩基を作用させてジアステレオマー塩を形成し、次に再結晶することにより必要なジアステレオマー塩を分離する。次に分離したジアステレオマー塩に酸を作用させ、カルボン酸を遊離させて、さらに得られたカルボン酸をエステル化することによって得る方法。
方法(d−2)化合物(4)を光学異性体分離用カラムによって分離し、必要な光学活性体を得る方法。
方法(d−3)化合物(4)にリパーゼまたはエステラーゼを作用させて光学異性体の片方を選択的に加水分解し、必要な光学活性なエステルを得る方法。
方法(d−1)における光学活性な塩基としては、シンコニジン、フェネチルアミン等を用いることができる。
方法(d−2)においては、光学異性体分離用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより分取する方法等が採用でき、この中でもSMB法(Simulated Moving Bed法)により分取する方法が好ましい。
方法(d−3)におけるリパーゼまたはエステラーゼ(以下、両者を総称して「酵素」とも記す。)は、試薬、医薬品、および工業用等の用途において使用される酵素を使用できる。方法(d−3)における酵素として、化合物(4)の(R)体に作用する酵素を採用した場合には、該酵素は化合物(4)の(R)体に作用してこれを加水分解することにより、光学活性な化合物(6)を生成させる。また、化合物(4)の(S)体である化合物(5)には作用しないため加水分解はおこらない。結果として酵素反応後の反応液中には、光学活性体である化合物(5)と光学活性体である化合物(6)が生成する。化合物(5)と化合物(6)は、化合物(5)中の−COOR基と化合物(6)中の−COOH基との性質の差を利用した分離方法により分離でき、目的とする化合物(5)を回収することができ、結果として光学分割ができる。
Figure 0004645986
(d)工程は、特別な装置を必要とせず、操作が簡便であり、工業的大量生産に適していること、高収率かつ高eeで目的とする化合物(5)を得られることより、方法(d−3)によるのが好ましい。以下、光学分割の好ましい態様である方法(d−3)において、(R)体に作用する酵素を用いた例を使って詳細に説明する。
方法(d−3)で用いうる酵素の起源は、特に限定されない。たとえば、リパーゼであれば、酵母(Candida antarctica)由来の酵素などが、エステラーゼであればブタ肝臓由来(Porcine liver)の酵素などが挙げられる。ブタ肝臓由来エステラーゼとしては、たとえばジョンストン(Johnston DBR)らによってジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1978年、第100巻、313〜315頁の光学分割法に用いられている酵素を使用できる。また、これらのリパーゼまたはエステラーゼから単離した酵素遺伝子を、各種ベクターに組込み、発現した蛋白質を方法(d−3)における酵素として使用してもよい。
リパーゼまたはエステラーゼは、操作性の観点から、不活性担体に固定化されていてもよい。該不活性担体としては、セライト、多孔性グラスビーズ、セルロースおよびその誘導体、キチンおよびその誘導体、アルギン酸カルシウム、κ−カラギーナン、ポリスチレンおよびその誘導体、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、またはポリブタジエン誘導体が好ましく、特に、多孔性グラスビーズ、キチンおよびその誘導体、またはアルギン酸カルシウムが好ましい。
リパーゼまたはエステラーゼの使用量は、光学分割の原料である化合物(4)に対する加水分解活性により決定されうる。通常、反応速度の観点から、化合物(4)の添加総量に対して、1×10-5〜1×10質量%が好ましく、特に、1×10-5〜5質量%が好ましい。
方法(d−3)によって光学分割を行う場合は、必要に応じて溶媒を用いてもよく、操作性が良好であることから溶媒を用いるのが好ましい。該溶媒としては、水系溶媒、有機溶媒およびそれらの混合溶媒を用いることができ、高収率かつ高eeで化合物(5)が得られることから、水系溶媒を用いるのが好ましい。該溶媒は、それぞれを単独で使用しても、または2種以上の混合溶媒として使用してもよい。2種以上の混合溶媒である場合としては、水系溶媒と有機溶媒との混合溶媒であるのが好ましい。
溶媒量は、化合物(4)に対して0.1〜50質量%が好ましく、特には1〜30質量%が好ましい。
水系溶媒としては、水または緩衝液が挙げられる。緩衝液としては、一般的に使用される緩衝液から選択されうる。たとえば、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、HEPES緩衝液、TRIS緩衝液、酢酸緩衝液、またはMES緩衝液等が挙げられる。
有機溶媒としては、一般的な有機溶媒から適宜選択されうる。たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ−ル、ブタノール、イソブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;およびその他溶媒として、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド等を適宜使用できる。ただし、エステル系溶媒を使用する場合には、それ自体に酵素が作用する可能性があるため、酵素が作用しないエステル系溶媒を選択して使用するのが好ましい。また、該エステル系溶媒と原料との間でエステル交換反応が起こる可能性があるため、エステル交換反応が起きないエステル系溶媒を選択して使用するのが好ましい。これらの有機溶媒は単独で使用しても、または2種以上の混合溶媒として使用してもよい。
光学分割を方法(d−3)によって行う場合、通常は酵素を溶媒に添加した液に対して、化合物(4)を添加することによって行うのが好ましい。化合物(4)を添加する際は、反応系に一括添加しても、連続的に添加してもよく、本発明の製造方法においては、連続的に添加するのが好ましい。前記のように、方法(d−3)においては、光学活性なカルボン酸である化合物(6)が生成する。該カルボン酸は、酵素に対する変性効果が強く、反応系中の該カルボン酸の濃度が上昇し、かつ該カルボン酸と酵素との接触時間が増大すると、酵素活性が低下する傾向がある。よって、化合物(4)に酵素を作用させる際には、化合物(4)を反応系中に連続的に添加するのが好ましい。これにより、反応系中に生成する化合物(6)の急激な濃度上昇を防止でき、かつ酵素の変性および酵素活性の低下が抑制できる。
ここで、「連続的に添加する」とは、反応初期に化合物(4)の全量を一括で添加する「一括添加」に対する概念であり、化合物(4)の反応を開始させた後に、化合物(4)を反応系中に添加する操作を1度以上行うことをいう。連続添加は、反応開始後に任意の量の化合物(4)を反応系中に2度以上導入する操作、または酵素を添加して反応を開始させた後に一定時間にわたって化合物(4)を導入しつづける操作等により行われるのが好ましい。前記操作は、反応中、1度行っても2度以上行ってもよい。
化合物(4)を反応系中に添加する方法としては、たとえば、溶媒に酵素を添加した液に対して、好ましくは撹拌を行いながら、化合物(4)をそのまま、または化合物(4)を溶媒に溶解させた溶液を添加する方法が挙げられる。
化合物(4)またはその溶液を添加する手段としては、特に制限されず、空気圧、ポンプ、または自然送液等を例示できる。
化合物(4)の平均添加速度は、特に制限されず、反応系中に存在する酵素1mg量あたり、好ましくは0.005〜0.1モル/1時間、さらに好ましくは0.01〜0.05モル/1時間である。なお、添加速度は一定であっても変化させてもよい。化合物(4)の添加に要する時間は、工業的に許容できる時間内であれば特に制限されない。好ましくは4〜30時間、さらに好ましくは5〜20時間である。
化合物(4)の総添加量は特に制限されず、化合物(4)の総添加濃度(溶媒総量と化合物(4)の総添加量の和に対する化合物(4)の総添加量)が0.1〜60質量%となる量が好ましく、工業的なスケールでの製造を考慮すると1〜50質量%となる量がさらに好ましい。
(d)工程における酵素反応は、通常は反応温度、および反応液のpH等の反応条件を制御しながら行う。この反応条件は、酵素反応、反応生成物のラセミ化、副生成物の生成等の状況を考慮し、適宜決定されうる。溶媒を使用する場合の反応温度は、通常は−20〜+90℃が好ましく、さらに0〜+60℃が好ましく、とりわけ+25〜+45℃が、反応速度の観点から好ましい。また、反応液のpHは、反応速度、および得られる化合物(5)の純度の観点から、1〜10が好ましく、特に3〜9が好ましく、とりわけ7.5〜8.5が好ましい。また、光学分割の反応が進行するに伴い、前記のように反応系中に化合物(6)が生成するため、反応液のpHが好ましい範囲から外れることがある。このような場合には、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、もしくは炭酸ナトリウム、または炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩の水溶液、またはアンモニア水溶液等の無機塩基を反応液に添加することにより、反応液のpHを調整するのが好ましい。
反応時間は、酵素の活性が維持され、反応が進行する時間であれば、特に制限されない。通常、工業的な製造を考慮すると、反応時間は連続添加の操作を終了した後に1時間〜10日間が好ましく、さらに1〜96時間が好ましい。
(d)工程で生成する化合物(5)は、目的に応じて後処理および/または精製処理を行うのが好ましい。
たとえば、上記反応によって得た反応粗液に、非水溶性有機溶媒(たとえば、ヘキサン、酢酸エチル、t−ブチルメチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、ジエチルエーテル等)を添加して、激しく混ぜて分液し、非水溶性有機溶媒を分離する抽出操作を行う方法が挙げられる。非水溶性有機溶媒による分離抽出操作は、2回以上繰返してもよい。前記の抽出操作により化合物(5)は非水溶性有機溶媒に抽出され、化合物(6)(前記のpH調整操作を行った場合は、化合物(6)および/また化合物(7))は水系溶媒層に残留する(ただし、Mはアルカリ金属原子、またはNH4を示す。)。
Figure 0004645986
非水溶性有機溶媒層は、アルカリ金属炭酸塩の水溶液(好ましくは、5%炭酸ナトリウム溶液。)で洗浄するのが好ましく、該洗浄操作により、非水溶性有機溶媒層中に含まれる化合物(6)を除去できる。つぎに非水溶性有機溶媒層を減圧濃縮または蒸留することによって、化合物(5)を単離できる。単離した化合物(5)は必要に応じて、さらに蒸留等の方法によって精製できる。
抽出操作を行った後の水系溶媒層には化合物(6)および/または化合物(7)が含まれる。化合物(6)および/または化合物(7)を含む水系溶媒層は、塩酸等を用いて酸性(pH4以下であるのが好ましい。)にした後に、該水系溶媒層を非水溶性有機溶媒(たとえば、ヘキサン、酢酸エチル、t−ブチルメチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、ジエチルエーテル等)を用いて抽出し、次に非水溶性有機溶媒層を分離し、分離した非水溶性有機溶媒層を濃縮することにより化合物(6)を回収できる。回収した化合物(6)は、硫酸の存在下、式ROHで表されるアルコール化合物と反応させてエステル化し、さらにラセミ化することによって(d)工程に回収再利用できる(ただし、Rは前記と同じ意味を示す。)。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、下記化合物(5a)を製造する方法が挙げられる。すなわち、化合物(1a)をイソプロピル化して化合物(2a)を得て、次に(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンを反応させて化合物(3a)を得て、さらに化合物(3a)のエステルの一方を脱アルコキシカルボニル化することによって、高収率かつ異性体へ変換することなく、化合物(4a)を得る。得られた化合物(4a)はリパーゼを用いて光学分割を行うことによって、高収率かつ高eeで化合物(5a)を得る。
Figure 0004645986
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。なお、以下において、ガスクロマトグラフィーはGCと記し、使用した酵素の量は「Units」で示す。1Unitとは、pH8.0、+25℃において、1μmolの酪酸エチルから1μmolの酪酸を1分間に生成する酵素活性と定義する。また、得られた化合物の構造は、公知のデータと比較することにより決定した。光学純度と光学過剰率は、カラムとしてLipodex E 50m×0.25mm(Macherey−Nagel社製)を用い、GCにより測定した。
[例1](4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの合成例(その1)
(a)工程:
撹拌機、内温計、コンデンサ、蒸留装置を備えた5Lのフラスコに、NaOCH3の28%メタノール溶液(373.8g)、トルエン(1250ml)、ジメチルホルムアミド(375ml)を加えた。そこにマロン酸ジメチル(250g)のトルエン(375ml)溶液を滴下した。徐々に加熱し、副生したメタノールおよびNaOCH3の28%メタノール溶液に含まれていたメタノールを除去した。加熱により得られる留去液をGCで分析し、留液中のメタノール量が1%以下になったところで加熱を終了した。系内を80℃〜90℃まで冷却し、イソプロピルブロミド(264.8g)のトルエン溶液(375ml)を加えた。そのまま20時間加熱撹拌し、GCで原料がほぼ消失したことを確認した後、メタノール(200ml)を加え、徐々に加熱することで残存しているイソプロピルブロミドを除去した。80℃まで冷却しNaOCH3の28%メタノール溶液(318.4g)を滴下した後、トルエン(600ml)を加え先と同様に徐々に加熱してメタノールを除去した。加熱により得られる留去液をGCで分析し、留液中のメタノール量が0.5%以下になったところで、加熱を終了した。
(b)工程:
(a)工程終了後の系内を90℃まで冷却し、(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペン(192.3g)のトルエン(250ml)溶液を加えた。そのまま2時間加熱撹拌した後、系内を50℃まで冷却して水を加えて反応を停止した。水層をジイソプロピルエーテル(IPE)で抽出した後、有機層を合わせて、水、および5%NaCl水溶液で順に洗浄した。溶媒を減圧留去し、2−[(2E)−3−クロロ−2−プロペニル]−2−イソプロピルマロン酸ジメチルエステル(409.7g)を得た。生成物中の2−[(2E)−3−クロロ−2−プロペニル]−2−イソプロピルマロン酸ジメチルエステルの含有量は87%(GC純度)であり、イソピロピルブロミドの含有量は0.5%(GC測定値)以下であった。また、生成物中にはZ体は含まれていなかった。
1HNMR(400MHz、CDCl3):0.98(d,6H,J=6.76),2.31(m,1H),2.62(dd,2H,J=1.16,7.64),3.73(s,6H),5.89(dt,1H,J=7.60,13.19),6.01(dt,1H,J=1.16,13.19).
13CNMR(400MHz、CDCl3):18.33,32.41,35.14,51.94,62.06,119.83,128.87,170.66.
(c)工程:
(b)工程で得た2−[(2E)−3−クロロ−2−プロペニル]−2−イソプロピルマロン酸ジメチルエステル(408.0g)に対しDMSO(2774g)、H2O(59g)、NaCl(96g)を加え、180℃まで加熱した。そのまま7時間撹拌し、GCで反応がほぼ終結したことを確認した後、系内を冷却した。固体をろ別した後、ろ砕をIPEで洗浄した。有機層に水を加えた後、IPEで抽出し、得られた有機層を水、5%NaCl水溶液で洗浄した。有機層を減圧留去した後、減圧蒸留を行い、(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステル(254.2g)を得た。出発原料のマロン酸ジメチルからの収率は75%であった。また、(c)工程の生成物中にZ体は含まれていなかった。
1HNMR(400MHz、CDCl3):0.91(d,1H,J=6.96),0.95(d,1H,J=6.60),1.88(m,1H)2.19−2.38(m,3H),3.67(s,3H),5.82(dt,1H,J=7.26,13.19),5.99(dd,1H,J=5.99,13.19).
13CNMR(400MHz、CDCl3):19.95,20.03,30.14,30.75,118.60,130.88,174.74.
[例2](4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの合成例(その2)
(c)工程:
例1の(b)工程で得た2−[(2E)−3−クロロ−2−プロペニル]−2−イソプロピルマロン酸ジメチルエステル(10g)に対しスルホラン(102ml)、H2O(1g)、NaCl(3.5g)を加え、225℃まで加熱した。そのまま13時間撹拌した後にGCの分析で反応が終結したことを確認した。系内を冷却した後、系内を減圧留去して、(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの粗生成物(12.1g)を得た。この粗生成物をIPEで希釈後、混入したスルホランを水洗で除去し(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステル(10g)を得た。生成物は、NMRにより分析し、例1に記載のデータと一致していることを確認した。また、(c)工程の生成物中にZ体は含まれていなかった。
[例3]酵素を用いた(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの光学分割の例(その1)
リン酸緩衝液(pH7.0、5mmol/l、230mL)に、ブタ肝臓由来エステラーゼ(Roche Diagnostics社製 Technical Grade)614Unitsを添加し、温度を35〜40℃に調整した。この液に、例2と同様の方法で得た(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルのラセミ体(20g)を、チュービングポンプを用いて0.065g/分で添加した。このとき、反応系内を原料が充分に分散する程度に撹拌翼を用いて撹拌した。原料添加は、5時間10分かけて連続的に行って終了し、その後、21時間同様の条件で反応を継続した。原料の総添加濃度は8質量%とした。
反応生成物をt−ブチルメチルエーテルで抽出後、さらに有機溶媒層を5%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、(R)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸を水層に移した。有機溶媒層に回収された(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルをGC分析した結果、光学純度は98%ee以上であり、収率は96%であった。
[例4]酵素を用いた(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの光学分割の例(その2)
(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルのラセミ体(20g)の添加速度を0.017g/分に、添加時間を19時間40分に、添加終了後の反応継続時間を6時間に変更する以外は、例3と同様に反応および後処理を行った。有機溶媒層に回収された(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルをGC分析した結果、光学純度は98%ee以上であり、収率は96%であった。
[例5]酵素を用いた(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの光学分割の例(その3)
(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルのラセミ体(20g)を添加する際、0.5mol/lのNaOH水溶液を反応液中に添加し、反応液のpHを8.0に調整する以外は例3と同様に光学分割を行った。pHの調整はpHコントローラを用いて行い、反応終了まで反応液のpHを8.0に保った。反応終了後、例3と同様に後処理を行い、有機溶媒層に回収された(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルをGC分析した結果、光学純度は98%ee以上であり、収率は96%であった。
[例6]酵素を用いた(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの光学分割の例(その4)
(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルのラセミ体(20g)全量を、反応開始時に反応系内に添加して26時間反応を行った以外は例3と同様の反応および後処理を行った。有機溶媒層中に回収された(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸メチルエステルの光学純度は90%ee以下であった。
本発明の製造方法は、短い工程で、異性体への変換反応が起こることなく、農薬または医薬の中間体として有用な(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを選択的かつ高収率で製造する方法を提供する。また、前記の方法で得た(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを光学分割することによって、農薬または医薬の中間体としてより有用な(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを高収率および高eeで得る方法を提供する。本発明の製造方法は、従来の方法より安価で使用しやすい試薬を用いて実施できることから、経済性に優れた方法である。また、本発明の製造方法は、特別な反応装置を用いることなしに実施でき、反応の収率も非常に高いことから、工業的な製造方法として有用な方法である。

Claims (12)

  1. 下式(2)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(II)の存在下で、塩基(II)と反応させ、つぎに(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させることによって、下式(3)で表される化合物を得て、つぎに該下式(3)で表される化合物のエステルの一方を脱アルコキシカルボニル化することを特徴とする、下式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの製造方法(ただし、Rは低級アルキル基またはアルアルキル基を示す。)。
    Figure 0004645986
  2. 塩基(II)が、式M2OR2で表される金属アルコキシドである請求項1に記載の製造方法(ただし、M2はNaまたはKを示し、R2は低級アルキル基を示す。)。
  3. 式(2)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(II)の存在下で、式M2OR2で表される金属アルコキシドからなる塩基(II)と反応させ、つぎに副生した式R2OHで表されるアルコールを除去した後に、(1E)−1,3−ジクロロ−1−プロペンと反応させる請求項2に記載の製造方法(ただし、M2およびR2は、前記の意味と同じ意味を示す。)。
  4. 非プロトン性溶媒(II)が、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテルおよびスルホランから選ばれる1種類以上の溶媒からなる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 式(2)で表される化合物が、下式(1)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(I)中、塩基(I)と反応させ、つぎにハロゲン化イソプロピルと反応させることにより得た化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法(ただし、Rは前記と同じ意味を示す。)。
    Figure 0004645986
  6. 塩基(I)が、式M1OR1で表される金属アルコキシドである請求項5に記載の製造方法(ただし、M1はNaまたはKを示し、R1は、低級アルキル基を示す。)。
  7. 式(1)で表される化合物を、非プロトン性溶媒(I)の存在下に、式M1OR1で表される金属アルコキシドと反応させ、つぎに副生した式R1OHで表されるアルコールを除去した後に、ハロゲン化イソプロピルと反応させる請求項6に記載の製造方法(ただし、M1およびR1は、前記と同じ意味を示す。)。
  8. ハロゲン化イソプロピルを、式(1)で表される化合物に対して1倍モル以上を用いて反応を行い、反応終了後に、得られた式(2)で表される化合物に対するハロゲン化イソプロピル量が5モル%以下になるまで、ハロゲン化イソプロピルを除去する請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 非プロトン性溶媒(I)が、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテルおよびスルホランから選ばれる1種類以上の溶媒からなる請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 脱アルコキシカルボニル化が、極性溶媒中、水と無機塩の存在下で行う反応である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 式(2)で表される化合物を得た後、同一反応容器内で引き続いて、式(3)で表される化合物を得る反応を行う請求項5〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法によって式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを得たのち、式(4)で表される(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルを光学分割することを特徴とする下式(5)で表される(S)−(4E)−5−クロロ−2−イソプロピル−4−ペンテン酸エステルの製造方法(ただし、Rは前記と同じ意味を示す。)。
    Figure 0004645986
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