JP3922758B2 - シリカ分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリカ分散液の製造方法に関する。さらに詳しくは、各種のシリカを原料に、研磨剤やコート剤の原料として有用な、安定性の高い新規のシリカ分散液の製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコンに代表される半導体ウェハーを研磨するときやIC製造工程中で絶縁層などを研磨するために、研磨剤としてシリカ分散液が使われている。
【0003】
また、従来より、メガネレンズなどのプラスチック用ハードコート剤、インクジェット用の紙やOHP用コート剤、さらには、各種フィルムのアンチブロッキング剤、ガラス繊維等の接着助剤、エマルジョンやワックス等の安定剤としてもシリカ分散液が原料として使用されている。
【0004】
このようなシリカ分散液としては、珪酸ソーダを原料としたコロイダルシリカが代表的であった。即ち、コロイダルシリカは、液相中で合成し、乾燥させずにそのまま生産されるため、極めて高い安定性を示すシリカ分散液であり、上記用途において有用である。
【0005】
ところが、上記コロイダルシリカは、その製法上、生産性において改良の余地があり、より生産性良く得られ、且つ安定性の良いシリカ分散液の開発が望まれている。また、上記のコロイダルシリカは、Na等の不純物を多く含んでいるため、用途によってはより高純度のコロイダルシリカも求められている。
【0006】
上記のそれぞれの要望に対して、四塩化珪素を原料として酸水素炎中で燃焼させて作るヒュームドシリカ、珪酸ソーダを中和して作る沈澱法シリカやゲル法シリカといった、いわゆる湿式シリカ、あるいは、珪素のアルコキシドを原料としてアルカリ性もしくは酸性の含水有機溶媒中で加水分解して作るゾルーゲル法シリカが優れており、かかるシリカを使用したシリカ分散液が注目される。
【0007】
特に、ヒュームドシリカを使用した分散液はシリカの純度においてコロイダルシリカに対して有利であり、高純度であることが要求される半導体ウェハーの研磨剤やICの研磨剤に有用であると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ヒュームドシリカ、湿式シリカ、或いはゾル−ゲル法シリカは、凝集状態で得られるため、これを分散性良く溶媒に分散させることが困難で、通常の方法では平均粒子径が100nm未満のシリカ分散液を得た報告はない。
【0009】
そのため、これらのシリカを使用して製造されるシリカ分散液は、一概に安定性が悪く、数日でシリカの沈降が起こるため、実用的ではない。特に、湿式シリカは、シリカ生成反応時に、溶液中で析出したシリカ粒子同士が強固に結合するため、安定したシリカ分散液を得ることが困難である。
【0010】
上記ヒュームドシリカの水分散液に関しては、特公平5−338号に表面シラノール基密度が1nm2当り0.3個以上3個以下の乾式法で製造された無水ケイ酸を水系溶媒に分散させたことを特徴とする無水ケイ酸の水分散液組成物が開示されている。これには、表面シラノール基密度を上記範囲にしなければ、粒子が沈降したり、粘度が極端に高くなったり、ゲル化したりする問題が指摘されている。
【0011】
従って、上記水分散液組成物では、該条件を満足させるため、シリカを分散前に乾燥させたり、シランカップリング剤等で表面処理しなければならず、操作が煩雑になり、生産性が悪いという問題があった。
【0012】
従って、本発明の目的は、上記の背景の中で、湿式シリカ、更にはゾル−ゲル法シリカ等の合成シリカを用いて得られる保存安定性に優れたシリカ分散液の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、シリカと水よりなるシリカスラリーを、オリフィスよりなる絞り機構の入口側と出口側との差圧が400〜3500kgf/cm2となる条件で、該絞り機構(対向衝突させるものを除く)を通過せしめることによって、長期間の保存においてゲル化しない(保存安定性)、シリカ粒子の沈降が起こらない(沈降安定性)(以下、これらを単に安定性ともいう)に優れていることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、湿式シリカと極性溶媒よりなるシリカスラリー又はゾル−ゲル法により得たバルク状のシリカの粉砕物と極性溶媒よりなるシリカスラリーを、シリカスラリーが通過する管の内径より口径が小さい穴を設けた堰を2つ設けた、オリフィスよりなる絞り機構の入口側と出口側との差圧が400〜3500kgf/cm2となる条件で、該絞り機構(対向衝突させるものを除く)を通過せしめて粉砕することを特徴とするシリカ分散液の製造方法である。
【0015】
本発明において、シリカ分散液を構成するシリカとしては、公知の方法により得られる湿式シリカ及びゾル−ゲル法シリカ等が特に制限なく使用される。尚、ここで言う粉砕とは、強固な凝集粒子よりなるシリカ粒子を砕くという意味だけではなく、緩やかな凝集粒子よりなるシリカ粒子の凝集をほぐす意味での解砕や分散をも意味する。
【0016】
湿式シリカとしては、珪酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈澱法シリカが代表的である。一般的には、ホワイトカーボンとも称されている。また、同様に珪酸ソーダを酸で中和することによって作るゲル法シリカも湿式シリカの一種であり、本発明の原料として用いることができる。湿式シリカも製造条件を変えることにより各種のシリカが得られており、比表面積がおよそ50〜1000m2/gの範囲のものが得られている。湿式シリカは、その製造方法より、一次粒子径がおよそ3〜50nmの微細粒子が合成途中で凝集した凝集粒子であると考えられている。これらの湿式シリカは、通常、中和反応後に濾過や洗浄を行い、乾燥後、必要により粉砕して粉末として得られる。一般的に、入手可能な湿式シリカ粒子の平均粒子径は1〜数100μmである。
【0017】
また、ゾル−ゲル法シリカは、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなどの珪素のアルコキシドを酸性あるいはアルカリ性の含水有機溶媒中で加水分解することによって作るものである。珪素のアルコキシドは高価であるが、原料が蒸留によって高純度化できるため極めて高純度のシリカが得られるという特徴がある。加水分解を酸性もしくはアルカリ性の濃厚溶液中で行うと、バルク状のシリカが得られ、それを粉砕することによって、1〜数100μmの不定形のシリカ粒子が得られる。
【0018】
上記のゾル−ゲル法シリカとしては、シリカ−チタニア、シリカーアルミナ、シリカージルコニアなどのいわゆるシリカ系複合酸化物も本発明のシリカ分散液の原料シリカスラリーとして使用できる。これらは、珪素のアルコキシドとチタニウム、アルミニウム、ジルコニウムなどの金属アルコキシドを共加水分解することによって得られる。これらのシリカ系複合酸化物は、用いる珪素以外の金属酸化物の化学的及び物理的性質によって通常のシリカにはない有用な特性を発現できる。例えば、金属酸化物の含有量を変えることによってシリカ系複合酸化物の屈折率を調節することができる。
【0019】
なお、前述した湿式シリカにおいては、中和反応後に濾過や洗浄を行った後の乾燥工程を施さないケークを原料のシリカスラリーとして使用することもでき、より微細なシリカ分散液を得る方法として有効である。また、ゾルーゲル法シリカにおいても、乾燥工程を施さないバルク状のシリカを粗粉砕したものを原料のシリカスラリーとして使用することもでき、より微細なシリカ分散液を得る方法として有効である。
【0020】
本発明において、シリカスラリーは基本的にはシリカと極性溶媒より構成される。極性溶媒としては、水が代表的であるが、水以外にもメタノールやエタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類なども使用できる。また、水と他の極性溶媒との混合溶媒も採用できる。なお、シリカ粒子の安定性や分散性を向上させるために界面活性剤を少量添加しても良い。
【0021】
また、本発明において、シリカスラリーの濃度は、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下が好ましい。50重量%を超えると、スラリーの流動性が極端に悪くなるため処理が困難になる傾向がある。なお、粉砕後の平均粒子径が小さくなればなるほど、あるいはシリカスラリーの濃度が高くなればなるほどシリカスラリーの流動性が低下するため処理が困難になる。
【0022】
そのような場合には、まずスラリー濃度の低い原料スラリーを、後述する本発明の方法で処理し粘度を下げた後に、徐々にシリカを添加してスラリー濃度を上げて再び本発明の方法を適用するという方法が採用できる。
【0023】
上記シリカスラリーは、そのpHが8以上、さらに好ましくはpHが9以上のものを使用することが、さらに保存安定性の優れたシリカ分散液を得ることができ好ましい。
【0024】
即ち、従来の分散方法ではシリカスラリーのpHを8以上にして分散させても、必ずしも長期的に安定なシリカ分散液は得られなかった。それに対して、本発明の方法にかかるpHを有するシリカスラリーを適用した場合では、シリカスラリーのpHを8以上としたシリカ分散液は、長時間放置しても、あるいはさらにアルカリを添加しても再凝集する現象は見られなかった。
【0025】
上記pH調整に使用するアルカリの種類は公知のものが何等制限なく使用できる。例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどを挙げることができる。
【0026】
アルカリの添加量は用いるシリカの種類によって異なるため一概には定義できない。通常はpHメーターでpHを確認しながら少量ずつアルカリを添加すれば良い。但し、原料シリカの一次粒子径が35nm以下で、スラリー濃度が10重量%以上のシリカスラリーでは、アルカリを添加するとゲル化してpHを測定できない場合がある。そのような場合には、シリカスラリーを対向衝突させることによって該スラリーの粘度を下げた後にpHを測定すれば良い。
【0027】
ところで、従来の分散方法では、シリカスラリー及びシリカ分散液のpHが8未満の場合においては、シリカ分散液の長期安定性に問題があった。本発明では、塩を添加したシリカスラリーを使用することによってpH8未満のスラリーにおいてもより安定なシリカ分散液を製造できる。
【0028】
塩の種類としては特に限定されず、各種のカチオンと各種のアニオンの組み合わせの塩が採用できる。代表的なカチオンとしては、Na+、K+、NH4 +、Ca2+、Mg2+、Ba2+、N(CH3)4 +、N(C2H5)4 +等、アニオンとしては、Cl−、NO3 −、SO4 2−、CO3 2−、CH3COO−、Br−、I−、ClO4 −、IO3 −、HCO3 −、C2O4 2−等が挙げられる。通常の用途においては特に制限は受けないが、研磨剤等の、高純度を要求されるシリカ分散液においては、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩やアミン塩といったアルカリ金属や金属イオンを含まない塩が有効である。また、シリカ分散液を利用した二次製品、特にシリカガラス等を製造する際には、加熱後に上記塩が残留しないように炭酸アンモニウムを使用することが好ましい。
【0029】
本発明は、シリカと水よりなるシリカスラリーを、オリフィスよりなる絞り機構の入口側と出口側との差圧が400〜3500kgf/cm2となる条件で、該絞り機構(対向衝突させるものを除く)を通過せしめて粉砕するものである。
【0030】
上記絞り機構は、シリカスラリーが通過する管の少なくとも1カ所で口径が減少した部分を有するものが使用される。具体的な態様としては、図1に示すように、管1内に該管の内径より口径が小さい穴を設けた堰を2つ設けた態様(図1)が挙げられる。
【0031】
上記管と口径が減少した部分との口径比は、いずれの態様においても、絞り機構の入口側と出口側とで400〜3500kgf/cm2となる差圧が達成可能な比が特に制限無く採用される。
【0032】
一般に、上記口径比は、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上であることが望ましい。したがって、両者の断面積比は、上記口径比の二乗倍であるので、断面積比で好ましくは25倍以上、さらに好ましくは100倍以上となる。即ち、絞り機構によって流路が狭められるために該絞り機構を通過するときのスラリーの流速は格段に高められることが理解できる。
【0033】
また、上記絞り機構において、口径が減少した部分の径は、一般に、50μm〜5mm、好ましくは70μm〜1.5mmが適当である。
【0034】
このように絞り機構では、スラリーは流速が高められた状態で通過するためにシリカの粉砕や分散、解砕が起こると考えられる。口径が減少した部分を一般にオリフィス式と呼ぶが、該部分を2〜数個直列に配列した場合には粉砕や分散、解砕の効果が大きく、好ましい。
【0035】
上記の絞り機構を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるためにダイヤモンドが好適に採用される。ダイヤモンドにも燒結ダイヤモンドや単結晶ダイヤモンド、あるいは両者の組み合わせなどの各種のものが考案されているが、特に特定の材料に限定されるものではない。ただし、該絞り機構は、シリカスラリーが高圧でしかも高速で通過するので、材料の磨耗を勘案すると、耐久性に優れた単結晶ダイヤモンドが最も好適である。
【0036】
上記のような絞り機構を有した装置としては、一般に、高圧ホモジナイザーと呼ばれている市販の装置が好適に使用できる。
【0037】
高圧ホモジナイザーの基本的な構成は、シリカスラリーを加圧する高圧発生部と絞り機構よりなる。高圧発生部としては、一般にプランジャーポンプと呼ばれている高圧ポンプが好適に採用される。高圧ポンプには、一連式、二連式、三連式などの各種の形式があり、また動力としては、空圧、電動、油圧などの形式があるが、絞り機構の入口側と出口側との差圧が400〜3500kgf/cm2の範囲に維持できるものであれば特に制限なく採用できる。
【0038】
高圧ホモジナイザーを使用した粉砕条件は、機種によって各種の装置定数や効率が異なるため、あるいは用いるシリカスラリーの種類によって粉砕の効率が異なるため、一概にその処理条件を定めることはできない。
【0039】
一般には、粉砕効率は処理圧力に依存するため、処理圧力が高いほど粉砕効率も高くなる。したがって、絞り機構の入口側と出口側との差圧が400〜3500kgf/cm2となる条件で処理するのが好ましい。400kgf/cm2未満の場合には粉砕効率が低い場合があり、3500kgf/cm2を越えると高圧ポンプや途中の配管等の耐圧性や装置の耐久性等に問題が発生しやすい。また、絞り機構を通過する際のシリカスラリーの線速度は、用いる絞り機構の流路の最小径等にも依存するため一概には決められないが、25m/秒以上、好ましくは50m/秒以上であることが望ましい。
【0040】
なお、上記シリカスラリーを処理する回数は、1〜数十回の範囲から選ぶことができる。
【0041】
高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー(株)製の商品名;ナノマイザー、スギノマシン製のアルティマイザー及びミラクル製のナノメーカーなどを挙げることができる。上記で例示した装置はいずれも流通式であるため、出口側で取り出されたシリカ分散液は一様に粉砕、解砕または分散等の処理を受けたことになるため均一性が高い点で、超音波分散やホモジナイザー等のバッチ式とは異なり優れている。
【0042】
また、粉砕、解砕または分散処理が高効率で行われること、不純物の混入が極めて少ないこと、大量処理にも適応可能なことなど、工業的に利用するのには適している。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の製造方法を用いればシリカ粒子を高効率で粉砕、分散及び解砕を行うため、長期間放置してもゲル化やシリカ粒子の沈降が起こらず、保存安定性、沈降安定性に優れたシリカ分散液が製造できる。
【0044】
また、本発明の製造方法によれば、各種のシリカを原料にして安定なシリカ分散液を効率よく製造することができる。
【0045】
そのため、本発明によれば、各種の研磨剤やコート剤用等の原料として好適なシリカ分散液を経済的に且つ効率よく提供することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0047】
以下の方法によって、原料のシリカ及び処理したシリカ分散液を分析した。
【0048】
(比表面積)
BET式の比表面積計を用いて測定した。
【0049】
(平均粒子径)
平均粒子径は、遠心沈降式光透過法の粒度分布計(ブルックヘブン社製、BI−DCP)を用いて重量平均粒子径を測定した。また、高分解能の走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM−6400F)を用いて、処理したシリカ分散液中のシリカ粒子の形状と上記粒度分布計の値の妥当性を確認した。
【0050】
(保存安定性)
保存安定性は、シリカ分散液がゲル化する(ゆっくりと傾けたときに液が動かなくなる)までの日数を調べた。
【0051】
(pHの測定)
シリカ分散液のpHをpHメーター(堀場製作所製、M−13)を用いて25℃で測定した。
【0052】
(粘度の測定)
シリカ分散液の粘度はB型粘度計(トキメック製、BL型)を用いて、25℃で測定した。
【0053】
実施例1〜4
5リットルのポリ容器中で所定量のイオン交換水に、pHを調整するために塩酸またはアンモニアを適量加え、混合した。次に、表1に示す各種のシリカをシリカ濃度12重量%で一定になるようにして、上記水溶液に投入し、棒でかき混ぜることによって予備混合を行った。
【0054】
できたシリカスラリーを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー社製;ナノマイザー、PEN)を用いて、1000kgf/cm 2 の処理圧力にて、それぞれ3回処理してシリカ分散液を得た。
【0055】
このときに使用した絞り機構は、図1に示す1mm径の管1に径100μmの孔2を設けた堰(オリフィス)を4mm間隔で2箇所設けたものを用いた。
【0056】
できたシリカ分散液の物性値及び安定性を表1に示す。各種のシリカを用いて安定なシリカ分散液を得ることができた。
【0057】
なお、ここで用いた各種シリカの製造方法を以下に示す。
【0058】
(湿式シリカA)
市販の珪酸ソーダと純水を反応槽中にシリカ濃度が5%となるように投入した。反応槽の温度を、90℃に昇温した後、硫酸と珪酸ソーダとを反応槽中に一定の比率で添加していった。添加終了後、さらに反応槽中に硫酸を加えてpHを3にして反応を終了させた。生成したシリカに濾過と洗浄操作を繰り返し施し、得られた脱水ケークを静置乾燥後、粉砕した。このようにして得られたシリカ粉末は、平均粒子径が9.5μm、比表面積が200m2/gであった。
【0059】
(湿式シリカB)
市販の珪酸ソーダと純水を反応槽中にシリカ濃度が5%となるように投入した。反応槽の温度を40℃として、23wt%硫酸を用いて中和反応(中和率40%まで)を行った後、反応液の温度を95℃とした。この反応液に中和率が100%になるまで上記の硫酸を加えた。生成したシリカに濾過、洗浄操作を繰り返し、脱水ケーク(シリカ含有量15wt%)を得た。この脱水ケークを乾燥させたシリカの比表面積は280m2/gであった。
【0060】
(ゾルーゲルシリカA)
1リットルのテフロン製容器にSi(OMe)4(コルコート製;メチルシリケート28)304gとイオン交換水72gとメタノール64gの混合溶液を加え、攪拌した。2時間後上記混合溶液が透明になってから25重量%のアンモニア水0.068gを加え、素早く攪拌し、蓋をした。しばらくすると溶液はゲル化したので、そのまま室温で3日間放置した。イオン交換水200gを加え、1mmのピンホールの開いた蓋に変えて、80℃で24時間加熱して、ゾルーゲル法によるバルク体シリカを合成した。上記シリカをボールミルで粉砕し、平均粒子径12μmのシリカ粉体を得た。
【0061】
(ゾルーゲルシリカB)
1リットルのテフロン製容器にSi(OMe)4(コルコート製;メチルシリケート28)250gを計り取り、0.035重量%の塩酸水溶液17gとメタノール30gの溶液を加え室温で約10分間攪拌し、Si(OMe)4の一部を予備加水分解した。続いて、上記溶液にTi(O−i−Pr)4(日本曹達製、TPT(A−1))66.8gを加え攪拌したところ透明な均一溶液が得られた。次に、上記均一溶液を氷冷しながら、氷冷したイオン交換水120gと25重量%アンモニア水0.11gを加え素早く攪拌したところしばらく経つと溶液はゲル化したので、蓋をしてそのまま室温で3日間放置した。イオン交換水200gを加え、1mmのピンホールの開いた蓋に変えて、80℃で24時間加熱して、ゾルーゲル法によるバルク体シリカーチタニア複合酸化物を合成した。上記複合酸化物をボールミルで粉砕し、平均粒子径7μmの複合酸化物粉体を得た。
【0062】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に使用する装置の代表的な絞り機構を示す概略図
【図2】 本発明に使用する装置の代表的な絞り機構を示す概略図
【符号の説明】
1 管
2 孔
3 堰
4 細管
Claims (1)
- 湿式シリカと極性溶媒よりなるシリカスラリー又はゾル−ゲル法により得たバルク状のシリカの粉砕物と極性溶媒よりなるシリカスラリーを、シリカスラリーが通過する管の内径より口径が小さい穴を設けた堰を2つ設けた、オリフィスよりなる絞り機構の入口側と出口側との差圧が400〜3500kgf/cm2となる条件で、該絞り機構(対向衝突させるものを除く)を通過せしめて粉砕することを特徴とするシリカ分散液の製造方法。
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