JPWO2012032868A1 - 表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂 - Google Patents

表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2012032868A1
JPWO2012032868A1 JP2012532904A JP2012532904A JPWO2012032868A1 JP WO2012032868 A1 JPWO2012032868 A1 JP WO2012032868A1 JP 2012532904 A JP2012532904 A JP 2012532904A JP 2012532904 A JP2012532904 A JP 2012532904A JP WO2012032868 A1 JPWO2012032868 A1 JP WO2012032868A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titania particles
modified
modified titania
titania
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012532904A
Other languages
English (en)
Inventor
秀造 徳光
秀造 徳光
雅子 川上
雅子 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Publication of JPWO2012032868A1 publication Critical patent/JPWO2012032868A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K9/00Use of pretreated ingredients
    • C08K9/04Ingredients treated with organic substances
    • C08K9/06Ingredients treated with organic substances with silicon-containing compounds
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G23/00Compounds of titanium
    • C01G23/04Oxides; Hydroxides
    • C01G23/047Titanium dioxide
    • C01G23/053Producing by wet processes, e.g. hydrolysing titanium salts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09CTREATMENT OF INORGANIC MATERIALS, OTHER THAN FIBROUS FILLERS, TO ENHANCE THEIR PIGMENTING OR FILLING PROPERTIES ; PREPARATION OF CARBON BLACK  ; PREPARATION OF INORGANIC MATERIALS WHICH ARE NO SINGLE CHEMICAL COMPOUNDS AND WHICH ARE MAINLY USED AS PIGMENTS OR FILLERS
    • C09C1/00Treatment of specific inorganic materials other than fibrous fillers; Preparation of carbon black
    • C09C1/36Compounds of titanium
    • C09C1/3607Titanium dioxide
    • C09C1/3684Treatment with organo-silicon compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/60Particles characterised by their size
    • C01P2004/64Nanometer sized, i.e. from 1-100 nanometer

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

表面修飾チタニア粒子の製造方法は、二酸化チタンの結晶粒子と該結晶粒子の表面を被覆する表面修飾子とを有する表面修飾チタニア粒子を製造する方法であって、[1]チタンアルコキシド化合物と、アルコキシシラン類と、アルコールと、酸と、水と、を含む原料溶液を調製する第1の工程と、[2]前記原料溶液に加熱処理を施す第2の工程と、を有する。また、[3]第2の工程の後に設けられ、原料溶液の周囲を減圧することにより、原料溶液中の液相成分を蒸発させて除去する第3の工程を有するのが好ましい。

Description

本発明は、表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂に関するものである。さらに詳しくは、マトリックス樹脂中に均一に分散し、例えばマトリックス樹脂の光学特性を向上させ得るチタニア粒子の製造方法、およびかかるチタニア粒子を含む分散液および樹脂に関するものである。
従来、透明材料としては、優れた光学特性、熱安定性、機械的強度等の観点から、ガラス材料が多く用いられている。
一方、最近では、成形加工性、耐衝撃性、軽量性等に優れることから、プラスチック材料が利用されるようになり、車両部品、看板、ディスプレイ、照明、光学部品、弱電部品等の用途に幅広く適用されている。
また、プラスチック材料の用途の拡大に伴い、より高性能・高機能な材料が求められている。例えば、プラスチック材料をLED封止剤に用いた場合、LEDの発光効率を高めるため、プラスチック材料の高屈折率化が必要とされる。また、プラスチック材料を眼鏡レンズに用いた場合も、審美性、軽量性等の観点から、プラスチック材料の高屈折率化が必要とされる。
このようなプラスチック材料の高性能化を図るべく、プラスチック材料にナノサイズの無機微粒子を添加した複合材料が知られている。ナノサイズの無機微粒子を添加することで、プラスチック材料の光学性能を高めるとともに、熱安定性および機械的強度の向上も期待される。
ところが、ナノサイズの無機微粒子をプラスチック材料中へ分散させる場合、無機微粒子が凝集し易く、均一な分散ができない。その結果、光の反射や散乱等が発生して、複合材料の透明性が低下する。
そこで、非特許文献1には、ベンジルアルコールにドーパミン塩酸塩または4−tert−ブチルカテコールをあらかじめ溶解しておき、そこに四塩化チタンを滴下し、その後加熱することにより、チタニアナノ粒子をカテコール基を有する有機官能基で修飾してなる表面修飾チタニア粒子を調製する方法が開示されている。このうち、4−tert−ブチルカテコールを用いた場合、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に溶解することが開示されている。
一方、非特許文献2には、ジオクチルエーテルにトリオクチルホスフィンとラウリン酸を加え、さらに四塩化チタンを加えて、その後加熱することにより、チタニアナノ粒子をトリオクチルホスフィンで修飾してなる表面修飾チタニア粒子を調製する方法が開示されている。
これらの例では、いずれもチタニアナノ粒子の表面を表面修飾子で修飾することにより、チタニアナノ粒子とプラスチック材料との親和性を高めることを試みている。
しかしながら、非特許文献1の手法で生成されたチタニアナノ粒子は、表面修飾子からチタニアナノ粒子のTi3d軌道への電子供与に伴って、チタニアナノ粒子の着色が生じるため、光学用途には不適である。
また、非特許文献2の手法では、チタニアナノ粒子の着色は抑制されるが、300℃と高温の反応条件を用いるため、官能基が分解するおそれがあり、適用可能な表面修飾子が制限される。表面修飾子として用いられるホスフィンオキシド類は、市販品が少なく、合成も困難であることから樹脂に応じて官能基を選択することが難しい。
さらに、上記のナノ粒子を樹脂と均一に混合できたとしても、チタニアナノ粒子の光触媒活性によって、混合物が光劣化を起こしてしまうと考えられる。
Niederberger, M. et al., Chem. Mater. 2004, 16, 1202-1208 Jun, Y. et al., J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 15981-15985
本発明の目的は、溶媒や樹脂材料等のマトリックスに対して高い分散性を有する表面修飾チタニア粒子を効率よく製造可能な表面修飾チタニア粒子の製造方法、およびチタニア粒子を高濃度で均一に分散してなるチタニア粒子分散液および安定なチタニア粒子分散樹脂を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(21)の本発明により達成される。
(1) 二酸化チタンの結晶粒子と該結晶粒子の表面を被覆する表面修飾子とを有する表面修飾チタニア粒子を製造する方法であって、
チタンアルコキシド化合物と、アルコキシシラン類と、アルコールと、酸と、水と、を含む原料溶液を調製する第1の工程と、
前記原料溶液に加熱処理を施す第2の工程と、を有することを特徴とする表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(2) 前記第1の工程において、アルコキシシラン類と、アルコールと、酸と、水と、を含む予備溶液を調製した後、該予備溶液にチタンアルコキシド化合物を添加することにより前記原料溶液を調製する上記(1)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(3) 前記予備溶液の調製と前記第2の工程との間に、前記予備溶液または前記原料溶液を室温〜100℃の温度で、4〜48時間放置する上記(2)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(4) 前記アルコキシシラン類は、シランカップリング剤またはテトラアルコキシシランである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(5) 前記シランカップリング剤は、炭素数4以上の脂肪族炭化水素、または、芳香族炭化水素を、含むものである上記(4)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(6) 前記シランカップリング剤は、ポリエチレングリコールを結合させたものである上記(4)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(7) 前記シランカップリング剤は、フルオロカーボンを含むものである上記(4)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(8) 前記シランカップリング剤は、重合性官能基を含むものである上記(4)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(9) 前記アルコールは、炭素数6個以下の低級アルコールである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(10) 前記酸は、無機酸である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(11) 前記無機酸は、構造式がHX(X=ClまたはBr)で表わされるハロゲン化水素酸である上記(10)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(12) 前記第2の工程の後に設けられ、前記原料溶液の周囲を減圧することにより、前記原料溶液中の液相成分を蒸発させる第3の工程を有する上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(13) 前記酸は、揮発して除去可能なものである上記(12)に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(14) 前記第1の工程の前記原料溶液調製前において、前記酸の量は、前記水に溶解させたときの濃度が1〜10Nとなる量である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(15) 前記原料溶液において、チタンアルコキシド化合物およびアルコキシシラン類に対する水の量が1〜5等量である上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(16) 前記加熱処理の温度は、100〜240℃である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(17) 前記加熱は、マイクロ波加熱により行われる上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
(18) 上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法により製造された表面修飾チタニア粒子を液相分散媒に分散してなるチタニア粒子分散液であって、
前記表面修飾チタニア粒子の含有量が50質量%であるとき、光路長1cmにおける波長400〜700nmの光線の透過率が90%以上であることを特徴とするチタニア粒子分散液。
(19) 上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法により製造された表面修飾チタニア粒子をマトリックス樹脂に分散してなるチタニア粒子分散樹脂であって、
前記表面修飾チタニア粒子を50質量%の割合で含む当該チタニア粒子分散樹脂を、厚さ2mmの層状に成形したとき、厚さ方向における波長400〜700nmの光線の透過率が70%以上であることを特徴とするチタニア粒子分散樹脂。
(20) 前記マトリックス樹脂は、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂およびオレフィン系樹脂のいずれかである上記(19)に記載のチタニア粒子分散樹脂。
(21) 前記表面修飾チタニア粒子に含まれる前記結晶粒子は、平均粒径2〜15nmのチタンアナターゼ結晶構造の二酸化チタン粒子である上記(19)または(20)に記載のチタニア粒子分散樹脂。
本発明によれば、簡単な操作で、表面修飾子を高密度に導入することができるので、溶媒や樹脂材料に対して高い分散性を有する表面修飾チタニア粒子を効率よく製造することができる。
また、チタニア粒子を高濃度で均一に分散してなるチタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂が得られる。このうち、本発明のチタニア粒子分散樹脂によれば、その光学特性、熱安定性、機械的強度等の各種特性を大幅に高めた樹脂材料が得られる。
図1は、本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法を示す工程図である。 図2は、本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法を説明するための模式図である。 図3は、実施例5で得られたチタニア粒子分散液の観察像である。
以下、本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法により得られる表面修飾チタニア粒子は、二酸化チタンの粒子と、この粒子の表面を修飾する表面修飾子とを有するものである。すなわち、表面修飾チタニア粒子は、二酸化チタンで構成されるコアと、このコアを被覆する表面修飾子で構成されるシェルとを有するコア/シェル粒子である。
このような表面修飾チタニア粒子は、溶媒や樹脂材料等のマトリックスに対して、二次凝集を生じることなく、均一分散が可能なものである。このため、表面修飾チタニア粒子を用いることにより、例えば、光学特性、熱安定性、機械的強度等の各種特性に優れた複合材料(コンポジット材料)を実現することができる。
以下、表面修飾チタニア粒子の構成について、順次説明する。
(チタニア粒子)
本発明で得られる表面修飾チタニア粒子において、コアに相当するチタニア粒子は、二酸化チタンの結晶粒子である。二酸化チタンは、屈折率が高く、かつ微小粒子の製造が容易であるため、マトリックス中に分散させる金属酸化物として好適である。
このようなチタニア粒子の平均粒径は、2〜15nm程度であるのが好ましく、3〜12nm程度であるのがより好ましい。チタニア粒子の平均粒径が前記範囲内であれば、複合材料における屈折率を高める作用が十分に発揮されるなど、光学的な特性が十分に発現するチタニア粒子が得られる。
なお、チタニア粒子の平均粒径が前記下限値を下回ると、粒子に対する表面修飾子の体積割合が大きいため、チタニア粒子と樹脂を混合しても、樹脂の光学特性向上の効果が得られにくいと考えられる。一方、チタニア粒子の平均粒径が前記上限値を上回ると、チタニア粒子の溶媒への分散性が低下し、白濁してしまう。そのため、樹脂に均一に混合することが困難となる。
また、チタニア粒子の平均粒径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)等でチタニア粒子を観察し、その観察像から求めることができる。
また、チタニア粒子の屈折率は、2.4〜2.7程度(波長550nm)であることから、一般的な樹脂材料よりも高く、高屈折率の複合材料を製造するにあたって有用である。
(表面修飾子)
本発明で得られる表面修飾チタニア粒子においてシェルに相当する表面修飾子は、上述したチタニア粒子の表面を被覆するよう配置されている。
この表面修飾子は、シリコン原子を含む有機ケイ素化合物で構成されている。このため、無機的性質の強い酸化ケイ素(シリカ)部位が、チタニア粒子の光触媒活性から有機官能基を保護する。その結果、有機官能基の劣化や分解が抑制され、表面修飾チタニア粒子の耐久性が向上する。
また、従来の表面修飾チタニア粒子では、コアに相当するチタニア粒子に、有機官能基が直接結合していたため、有機官能基の種類によっては、有機官能基からチタニア粒子の電子軌道に電子供与が生じ、その結果、チタニア粒子の光学特性が意図せず変化してしまうことがあった。
これに対し、本発明で得られる表面修飾チタニア粒子では、チタニア粒子と表面修飾子との間が無機的性質の強い酸化ケイ素部位で隔てられているため、前記電子供与が抑制される。その結果、チタニア粒子の光学特性が変化せず、目的とする光学特性(例えば透明性、高屈折率等)を有する複合材料が得られる。
また、上述したような理由から、有機官能基の光触媒活性による劣化し易さや電子供与性等を特に考慮することなく、任意の有機官能基を選択することができる。したがって、例えば表面修飾チタニア粒子を分散させる分散媒やマトリックス樹脂の組成に応じて最適な有機官能基を自由に選択することが可能になり、表面修飾チタニア粒子のマトリックスに対する分散性および親和性を優先したシェル組成の最適化が図られる。
表面修飾子は、上述したチタニア粒子の表面に、アルコキシシラン類の加水分解体であるシラノール基が結合することにより、アルコキシシラン類由来の構造として生成される。アルコキシシラン類は、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物である。後に詳述するが、アルコキシシラン類は、アルコキシ基が加水分解したシラノール基がチタニア粒子の表面に結合することにより、チタニア粒子の表面に高密度の表面修飾子の層を形成することができる。また、アルコキシシラン類は、主にシラノール基がチタニア粒子の表面に対して各種の化学的相互作用、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合、分子間力等に基づいて結合することで、強固な結合を可能にする。さらに、シラノール基がチタニア粒子側に向かって結合する結果、アルコキシ基以外の官能基は必然的にチタニア粒子と反対側に向かって配向し、表面修飾チタニア粒子の表面の性質に支配的影響を及ぼす。
このようなアルコキシシラン類としては、例えば、各種シランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤は、有機材料と反応し結合する有機反応性の官能基(有機官能基)と、無機材料と反応し結合する加水分解性の官能基(加水分解性基)とを有する有機ケイ素化合物であり、いかなる構造のものであってもよい。シランカップリング剤を用いることにより、効率よく表面修飾子を導入することができる。
しかしながら、各官能基の種類により、シランカップリング剤が示す性質も大きく異なることから、作製される表面修飾チタニア粒子の用途に応じて適宜選択される。
例えば、無極性溶媒または極性の小さい溶媒に対する分散性を付与することを目的とする場合、炭素数4以上の脂肪族炭化水素、または、芳香族炭化水素を、含むシランカップリング剤を用いるのが好ましい。このようなシランカップリング剤は、前記脂肪族炭化水素または前記芳香族炭化水素が無極性溶媒または極性の小さい溶媒に対して高い親和性を示すため、これらの溶媒に対する表面修飾チタニア粒子の分散性を高めることができる。また、このような表面修飾チタニア粒子は、無極性溶媒または極性の小さい溶媒の他に、各種樹脂材料(プラスチック材料)、特に脂肪族炭化水素系ポリマー、芳香族炭化水素系ポリマー、脂環族炭化水素系ポリマー等の各種炭化水素系ポリマーに対しても優れた分散性を示すものとなる。
炭素数4以上の脂肪族炭化水素としては、例えば、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
なお、炭素数4以上の脂肪族炭化水素について、その炭素数は6以上であるのがより好ましい。一方、炭素数が4未満のシランカップリング剤の場合、単独で用いると、溶媒への分散性が確保できないおそれがあるが、炭素数が4以上である脂肪族炭化水素、または芳香族炭化水素を、含むシランカップリング剤と混合すれば、分散性を確保することができる。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
一方、芳香族炭化水素については、ベンゼン環に水素原子が結合していてもよく、その他の有機官能基が結合していてもよい。ベンゼン環に結合する有機官能基としては、炭化水素鎖が好ましく、その炭素数は特に限定されない。
芳香族炭化水素としては、例えば、フェニル基、ナフチル基のようなアリール基、ベンジル基、フェチネル基のようなアラルキル基等が挙げられる。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリフェニルシラノール等が挙げられる。
また、極性溶媒に対する分散性を付与することを目的とする場合、ポリエチレングリコールを結合させたシランカップリング剤を用いるのが好ましい。このようなシランカップリング剤は、極性溶媒(極性の大きい溶媒)に対して高い親和性を示すため、この溶媒に対する表面修飾チタニア粒子の分散性を高めることができる。
なお、ポリエチレングリコールを結合させることにより、シランカップリング剤には、繰り返し単位が−(CH−CH−O)−で表わされるエチレングリコール鎖が形成される。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、
(MeO)Si−(CH−(EG) ・・・(1)
[式(1)中、mは1〜10程度の整数、nは1〜3000程度の整数であるのが好ましい。また、MeOはメトキシ基を表し、EGはエチレングリコール鎖を表す。]
等が挙げられる。
また、フッ素系溶媒に対する分散性を付与することを目的とする場合、フルオロカーボンを含むシランカップリング剤を用いるのが好ましい。このようなシランカップリング剤は、フッ素系溶媒に対して高い親和性を示すため、この溶媒に対する表面修飾チタニア粒子の分散性を高めることができる。また、このような表面修飾チタニア粒子は、フッ素系溶媒の他に、各種樹脂材料、特にフッ素系ポリマーに対して優れた分散性を示すものとなる。
なお、フルオロカーボンとしては、C−F結合を有する有機化合物であれば特に限定されないものの、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン等が挙げられる。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上述したようなものの他、グラフト重合可能な官能基を含むシランカップリング剤も好ましく用いられる。このようなシランカップリング剤は、各種樹脂材料に対して特に優れた分散性を示すものとなる。
グラフト重合可能な官能基としては、例えば、下記式(2)で表わされるビニル基、下記式(3)で表わされる(メタ)アクリル基、下記式(4)で表わされるエポキシ基、下記式(5)で表わされるチオール基(メルカプト基)等が挙げられる。ただし、下記式(2)においてn≧0、下記式(3)においてn≧1、下記式(4)においてn≧0、下記式(5)においてn≧1である。また、下記式(3)において、Rは炭化水素基である。
Figure 2012032868
このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジアリルジメチルシランのようなビニル基を含むシランカップリング剤、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランのような(メタ)アクリル基を含むシランカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランのようなエポキシ基を含むシランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンのようなチオール基を含むシランカップリング剤の他、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むシランカップリング剤等が挙げられる。
また、アルコキシシラン類は、有機官能基を含まず、加水分解性を有する珪素化合物(本明細書では、「加水分解性材料」という。)であってもよい。このような加水分解性材料としては、Si−X(XはOR(Rは水素原子または炭化水素基)、4つのXは同種でも異種でもよい。)で表わすことのできる材料が挙げられ、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランのようなテトラアルコキシシランが挙げられる。
このような加水分解性材料は、一般にシランカップリング剤には属さないものの、本発明においてはシェルを構成するアルコキシシラン類として働く。
また、加水分解性材料を添加することにより、シランオリゴマーにおけるシロキサン結合の重合度を高める効果も期待できる。これにより、最終的に得られる表面修飾チタニア粒子の分散性をより高めることができる。
以上、シランカップリング剤および加水分解性材料について説明したが、本発明に用いられるシランカップリング剤および加水分解性材料としては、上記のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(表面修飾チタニア粒子)
本発明の表面修飾チタニア粒子は、前述したように、チタニア粒子と、その表面を覆う表面修飾子とを有するものである。
ここで、チタニア粒子中に含まれるTiのモル数を[Ti]とし、表面修飾子に含まれるSiのモル数を[Si]としたとき、[Ti]/[Si]の比が8以下となるよう各モル数を設定するのが好ましく、6以下となるようにするのがより好ましく、4以下となるようにするのがさらに好ましい。これにより、チタニア粒子の表面を必要かつ十分に被覆し得るよう、表面修飾子の量が最適化される。なお、[Ti]/[Si]の比が前記上限値を上回ると、表面修飾子の量が相対的に少なくなり過ぎて、チタニア粒子の表面を十分に被覆することができず、表面修飾チタニア粒子の溶媒に対する分散性が低下するおそれがある。一方、下限値は特に設定されないが、好ましくは1程度とされる。[Ti]/[Si]の比がこの下限値を下回ると、表面修飾チタニア粒子の光学特性における表面修飾子の影響が顕在化し、例えば表面修飾チタニア粒子を含む複合材料において、光学特性(屈折率等)の向上が困難になるおそれがある。すなわち、複合材料の屈折率をできるだけ高める場合には、[Ti]/[Si]の比は、表面修飾チタニア粒子の分散性を損なわない範囲で、できるだけ大きいことが好ましい。
なお、コアの体積分率は、表面修飾チタニア粒子に対する元素分析の結果から見積もることができる。コアにおけるチタニアのモル数をMcとし、シェルにおけるケイ素のモル数をMsとしたとき、コアの体積Vcとシェルの体積Vsは、それぞれVc=Mc×Wc/Dc、Vs=Ms×Ws/Dsで表わされる。ここで、Wc、Wsはコアおよびシェルの分子量、Dc、Dsはコアおよびシェルの構成物質の密度である。上記の数式に基づけば、コアの体積分率は、Vc/(Vc+Vs)で表わされる。また、コアの体積分率と屈折率との関係は、Maxwell−Garnettモデル(下記式(a)、(b))で表すことができる。
Figure 2012032868
[表面修飾チタニア粒子の製造方法]
次いで、上述したような表面修飾チタニア粒子の製造方法(本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法)について説明する。
図1は、本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法を示す工程図、図2は、本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法を説明するための模式図である。
かかる製造方法は、[1]チタンアルコキシド化合物と、アルコキシシラン類と、アルコールと、酸と、水と、を含む原料溶液を調製する第1の工程と、[2]原料溶液に加熱処理を施す第2の工程と、[3]加熱処理を施した原料溶液中の液相成分を揮発・除去する第3の工程と、を有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]原料溶液の調製(第1の工程)
[1−1]まず、原料溶液の調製に先立って、アルコキシシラン類と、アルコールと、酸と、水と、を含む予備溶液を調製する。
予備溶液中では、アルコキシシラン類のアルコキシ基が水との反応によりシラノール基に変化する。さらに、複数のシラノール基が互いに脱水縮合をしてシランオリゴマーを形成する。シランオリゴマーでは、シラノール基が解離してプロトンを放出したり、あるいは、その逆の反応が生じる。シラノール基の解離が優勢にあるとき、シランオリゴマーは負の電荷を帯びることとなる。
ここで、脱水縮合の速度はpHによって変化するため、予備溶液または予備溶液から得られる原料溶液が安定的に存在するためには、予備溶液のpHを酸性に保持することが好ましい。具体的には、pH=3.5〜5程度に保持することがより好ましい。pHを酸性に保持していると、脱水縮合の速度が低く抑えられるため、シランオリゴマーの肥大化、それに伴う凝集を抑えることができる。
ところで、シリカの等電位点はpH=1〜2である。したがって、ほとんどの場合の水存在下でシラノール基は解離し易く、シランオリゴマーは負の電荷を帯びた状態で安定化していると考えられる。
なお、予備溶液中に酸を含むため、予備溶液のpHは酸性に保たれることとなる。このため、予備溶液中のアルコキシシラン類は、シラノール基が解離した状態、すなわち著しい脱水縮合を生じることなく、シランオリゴマーが負の電荷を帯びた状態で安定的に保持され得るものとなる。
予備溶液に用いる水としては、例えば、蒸留水、純水、超純水、イオン交換水、RO水等が挙げられる。水は、前述したように、アルコキシ基を加水分解し、シラノール基に変化させる。
一方、予備溶液に用いる酸としては、例えば、揮発性を有する無機酸、有機酸等が挙げられるが、好ましくは無機酸が用いられる。無機酸であれば、アルコキシシラン類や、後述する原料溶液中に添加されるチタンアルコキシド化合物との相互作用が弱いため、本発明に用いられる酸として好適である。また、無機酸は、表面修飾チタニア粒子の特性に悪影響を及ぼすのを防止しつつ、表面修飾チタニア粒子の製造工程の途中で容易かつ効率的に除去することが可能である。すなわち、予備溶液に用いる酸としては、揮発性のものが好ましい。
なお、無機酸としては、硝酸の他、特に構造式がHX(X=ClまたはBr)で表わされるハロゲン化水素酸が好ましい。このようなハロゲン化水素酸は、アルコキシシラン類やチタンアルコキシド化合物との相互作用が特に弱く、かつ、揮発性が比較的高いことから、本発明に用いられる酸として特に有用である。
また、反応系が均一であるために、予備溶液の溶媒にはアルコールを選択する。すなわち、アルコキシシラン類は、水への溶解性が低いが、アルコールには可溶なため、予備溶液中の溶媒としてアルコールを用いることにより、反応系を均一にすることができる。
なお、予備溶液に用いるアルコールとしては、水溶性、および後述するアルコールとチタニアゾルとの相互作用等の観点から低級アルコールが好ましく、炭素数6以下の低級アルコールがより好ましく、炭素数4以下の低級アルコールがさらに好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いられる。
上記のアルコールの中でも、特にエタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の直鎖状の分子構造を有するアルコール類が好ましく用いられる。これらのアルコール類を用いることにより、反応系を均一にすることができる。
また、予備溶液には、これらの成分以外に、任意の添加物(例えば、加水分解、脱水縮合の反応を抑制する抑制剤等)を添加するようにしてもよい。その場合、添加物も揮発性を有するものが用いられる。
なお、予備溶液において、用いられる酸の量は、水に溶解させたときの濃度が1〜10Nとなる量であるのが好ましく、2〜8Nとなる量であるのがより好ましい。酸の量を前記範囲内とすることにより、予備溶液におけるpHを最適化し、均一かつ安定な予備溶液を得ることができる。また、前記のような条件を作るためであれば、酸の代わりにトリクロロシラン等のハロゲン化珪素を用いても良い。ハロゲン化珪素は予備溶液中で速やかに加水分解し、相当するハロゲン化水素を生成する。また、加水分解体はアルコキシシラン類と同様に脱水縮合反応して、シランオリゴマーの一部にも成りうる。従って上記濃度に相当する量のハロゲン化珪素試薬を用いても同様の効果が得られる。
また、予備溶液において用いられるアルコールの量は、水1に対して体積比で1〜1000程度であるのが好ましく、5〜500程度であるのがより好ましい。アルコールと水との比率を前記範囲内とすることにより、予備溶液におけるアルコキシ基の加水分解と、予備溶液におけるアルコキシシラン類の均一な分散と、を高度に両立し、その後の工程において均一かつ微小な粒子状のチタニアゾルの製造に大きく寄与する。
このような予備溶液に対しては、撹拌等による混合を行うとともに、所定の温度で所定の時間放置する。
具体的には、予備溶液を室温〜100℃の温度で4〜48時間程度放置するのが好ましく、40〜90℃の温度で10〜30時間程度放置するのがより好ましい。これにより、アルコキシ基に対して十分な加水分解を促すことができる。そして、後述するチタンアルコキシド化合物に対してアルコキシシラン類の加水分解体をムラなく確実に反応させることができる。なお、前記温度範囲内であっても比較的低温の場合、放置時間を長くすればよく、比較的高温の場合には、放置時間を短くすることができる。
以上のようにして予備溶液を調製することにより、チタンアルコキシド化合物に比べて相対的に反応速度の遅いアルコキシシラン類を、あらかじめ効率よく反応させることができ、後述するチタンアルコキシド化合物との反応をムラなく確実に行うことができる。したがって、反応性の高いアルコキシシラン類を用いる場合には、必ずしも予備溶液を調製しなくてもよい。
[1−2]次いで、調製した予備溶液と、チタンアルコキシド化合物とを混合し、原料溶液を調製する。
予備溶液とチタンアルコキシド化合物とを混合すると、チタンアルコキシド化合物に加水分解が生じ、三次元架橋を伴って粒子状に凝集する。粒子状の凝集物の表面には、酸によって生じた電気二重層により凝集微粒子間に反発力が働き、そのため溶液中で均一に分散する。このため、凝集物の成長が阻害され、微小な粒子状のチタニアゾルが得られる。
この際、アルコールの極性が電気二重層の状態に影響を及ぼしていると考えられる。具体的には、アルコールは極性溶媒であり、この極性溶媒が、凝集物のゼータ電位が所定の大きさになるよう作用することで、凝集物の著しい成長を抑制しているものと考えられる。
したがって、アルコールの種類を変えることにより、アルコールの極性も変化し、それにより得られるチタニアゾルの粒径を制御することも可能になる。例えば、アルコールの極性を小さくする、すなわち相対的に比誘電率の小さいアルコールを用いることにより、チタニアゾルの粒径を大きくし、後述する工程を経ることで最終的には粒径の大きなチタニア粒子を得ることができる。一方、アルコールの極性を大きくする、すなわち相対的に比誘電率の大きいアルコールを用いることにより、チタニアゾルの粒径を小さくし、最終的には、粒径の小さなチタニア粒子を得ることができる。
なお、このようなチタニアゾルの粒径の制御には、上述したアルコールの極性の他に、原料溶液のpH、アルコールの沸点、アルコールと水との共沸の有無あるいは共沸温度、アルコールの分子量、密度、分子構造、アルコールの水への溶解性、溶質のアルコールへの溶解性等の各種因子が複合的に関わっていると考えられる。
以上のような作用に基づいて、原料溶液中に得られる粒子状のチタニアゾルは、粒径がnmオーダーの微小なものとなる。すなわち、酸およびアルコールが相乗的に作用することで、均一かつ微小なチタニアゾルを効率よく製造することができる。得られたチタニアゾルは、主にアモルファス(非晶質)の二酸化チタンで構成されている。
ここで、アルコール水溶液中でチタンアルコキシド化合物から生じた粒子状の凝集物の表面は、プロトン性溶媒であるアルコールの影響により、正のゼータ電位(正の電荷)を有していると考えられる。
一方、前述したアルコキシシラン類は、加水分解および脱水縮合によりシランオリゴマーを生成するが、このシランオリゴマーは水酸基の電離によって負の電荷を有している。このため、原料溶液中では、正の電荷を有するチタニアゾルと、負の電荷を有するシランオリゴマーとの間に静電的相互作用に基づく引力が生じる。その結果、その表面を覆うようにシランオリゴマーが結合し、均一かつ微小なチタニアゾルのコアで生成され、そのコアを覆うシランオリゴマーのシェルが形成される。以上のようにしてコア/シェル粒子が得られる。
このようにして得られたコア/シェル粒子は、チタニアゾルとシランオリゴマーとの間の自発的な引力を駆動力として形成されたものであるため、コアの周囲にはシランオリゴマーが隙間なく高密度に分布した構造になっている。このため、後述する工程を行って得られる目的の表面修飾チタニア粒子は、マトリックスに対する分散性が極めて高い粒子となる。
また、このようなコア/シェル粒子を形成する駆動力は、チタニアゾルに含まれるチタニア成分と、シランオリゴマーに含まれるシリカ成分との間で、等電位点に適度な差があることに起因するものである。すなわち、両者の等電位点における適度の差が、アルコールおよび酸の水溶液下において、上述したような反対極性の電荷を発生させ、前述したコア/シェル粒子形成の駆動力を発生させる一因になっていると考えられる。
本発明者は、アルコキシシラン類とチタンアルコキシド化合物とを、同一の水溶性の液相中で反応させることによって、上記の駆動力に伴う自発的な粒子成長とともに、自発的な粒径制御が可能であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。この発明は、後に詳述するが、煩雑な操作を伴わず、製造プロセスが極めて簡単であるという点で有用である。
なお、得られたコア/シェル粒子は、表面にアルコキシシラン類由来の有機官能基が導入された粒子になっているため、その後の第2の工程以降において、それ以上凝集することが防止される。
原料溶液の調製に用いるチタンアルコキシド化合物は、加水分解、脱水縮合により、チタン酸化物を生成する化合物である。例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、およびチタンテトラ−tert−ブトキシド等が好ましく挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、反応性の観点等から、チタンテトライソプロポキシドが好ましく用いられる。
チタンアルコキシド化合物の添加量は、チタンアルコキシド化合物とアルコキシシラン類との合計量に対する水の量が1〜5等量になる量であるのが好ましく、2〜4等量になる量であるのがより好ましい。これにより、原料溶液におけるチタンアルコキシド化合物の存在量が最適化され、均一かつ微小な粒子状のチタニアゾルをより確実に製造することができる。
なお、原料溶液中には、不可避的に混入する不純物等を含んでいてもよい。
[2]加熱処理(第2の工程)
次いで、得られた粒子状のチタニアゾルの分散液に対して加熱処理を施す。これにより、粒子状のチタニアゾルが結晶化し、結晶性のチタニア粒子が得られる。
結晶性のチタニア粒子は、引き続き、正の電荷を有していると考えられる。また、シランオリゴマーは負の電荷を有していることから、結晶性のチタニア粒子のコアと、その表面を覆うシランオリゴマーのシェルとからなるコア/シェル粒子、すなわち本発明の表面修飾チタニア粒子が得られる。
また、加熱処理により、未反応だったアルコキシシラン類およびチタンアルコキシド化合物の反応が完了する。その結果、チタンアルコキシド化合物は、ほぼ全てがチタニア粒子の製造に消費され、アルコキシシラン類は、ほぼ全てが表面修飾子の製造に消費される。
また、シランオリゴマー同士が連結してネットワーク状のより大きなシランオリゴマーが生成される。その結果、ネットワーク状のシランオリゴマーは、チタニア粒子を包み込むように広がるため、コアに対するシェルの固定がより確実になされる。
チタニアゾルの分散液に対する加熱処理の温度は、100〜240℃程度であるのが好ましく、120〜200℃程度であるのがより好ましい。これにより、粒径を肥大化させることなく、アモルファスのチタニアゾルを確実に結晶化することができる。
また、加熱処理の時間は、特に限定されないものの、温度が前記範囲内である場合、10〜360分程度であるのが好ましく、20〜200℃程度であるのがより好ましい。
なお、水を含む分散液を100℃以上に加熱する必要があるため、加熱処理は高圧下で行われる。その圧力は、加熱処理の温度に応じて適宜設定されるものの、例えば、200kPa〜10MPa程度とされる。
また、加熱処理は、滅菌処理に用いられる一般的なオートクレーブの他、マイクロ波高温高圧加熱装置、油浴加熱装置、各種オーブン等が用いられる。
このうち、マイクロ波加熱を用いることにより、ムラなく均一な加熱が比較的短時間で可能になる。
以上のようにして、表面修飾チタニア粒子の分散液が得られる。
[3]揮発処理(第3の工程)
次いで、得られた表面修飾チタニア粒子の分散液に対して、液相成分を揮発・除去する。これにより、分散質である表面修飾チタニア粒子を回収することができる。
このように本発明によれば、第2の工程後に得られる表面修飾チタニア粒子の分散液において、分散質である表面修飾チタニア粒子以外の液相成分には、全て揮発性のあるものを用いることが可能である。このため、表面修飾チタニア粒子の分散液を得た後、単に放置したり、あるいは、揮発・除去を促す処理を行うことにより、目的物である表面修飾チタニア粒子を効率的に回収することができる。
また、本発明によれば、単一の液相系を用いてコア/シェル粒子を製造可能であるという点で、製造プロセスを大幅に簡素化することができる。
すなわち、従来のコア/シェル粒子の製造方法では、親水性の液体と疎水性の液体とを用いた逆ミセル法によりコア/シェル粒子を製造する方法が知られているが、このような逆ミセル法では、不揮発性の液体(例えば不揮発性の酸)や大量の界面活性剤、触媒等を用いることが避けられない。このため、コア/シェル粒子の製造後、例えば遠心分離等の各種分離法によりコア/シェル粒子を分離・回収したり、不揮発性の液体や界面活性剤等を洗浄・除去したりする必要があり、製造プロセスが極めて煩雑になる。
これに対して、本発明によれば、このような分離処理や洗浄処理といった煩雑な操作が一切不要であるため、効率よく簡単にコア/シェル粒子を製造することができる。
液相成分の揮発処理は、液相成分を揮発させられる処理であれば特に限定されず、単に放置する方法でもよいが、例えば、加熱処理、乾燥ガスの吹き付け、乾燥剤による乾燥、減圧による乾燥等の方法が好ましく用いられる。このうち、効率や分散質に対する影響の観点から、減圧による乾燥が好ましく用いられる。
減圧による乾燥は、減圧乾燥、真空乾燥などと呼ばれる乾燥法であり、圧力を大気圧未満(好ましくは3kPa以下)に減圧し、温度は特に限定されないものの、100℃未満にして行われる。また、この乾燥には、各種エバポレーターが好ましく用いられる。
以上のようにして表面修飾チタニア粒子を回収することができるが、必要に応じて、回収した表面チタニア粒子を、アルコキシシラン類に含まれる有機官能基の種類に応じて親和性の高い分散媒中に再分散させるようにしてもよい。これにより、表面修飾チタニア粒子を、それが有する有機官能基の劣化を抑制しつつ、長期にわたって安定的に保存することができる。
[チタニア粒子分散液]
本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法により製造された表面修飾チタニア粒子は、前述したように、マトリックスに対する分散性が極めて高いため、高濃度のチタニア粒子分散液(本発明のチタニア粒子分散液)を得ることができる。
表面修飾チタニア粒子を分散させる分散媒としては、アルコキシシラン類に含まれる有機官能基の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、デカン、ドデカン、テトラデカンのような無極性溶媒または極性の小さい溶媒、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアリールエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアリールエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアリールエーテル、各種ジオール類、各種ジオール類のモノアルキルエーテル、各種ジオール類のモノアリールエーテル、グリセリン、グリセリン誘導体、ポリオール、プロピルアミン、エチレンジアミン、各種カルボン酸、各種ポリカルボン酸のような極性溶媒等が挙げられる。
本発明のチタニア粒子分散液は、分散質である表面修飾チタニア粒子が高濃度であっても、光透過率が高いという特徴を有する。
具体的には、表面修飾チタニア粒子の含有量を50質量%としたとき、チタニア粒子分散液の光路長1cmにおける波長400〜700nmの光線の透過率(全光線透過率)が90%以上であるという特徴を有する。
従来の分散液では、チタニア粒子が50質量%も含まれていると、分散し切れずに凝集し、白濁や沈殿を生じるという問題を有していた。このため、チタニア粒子分散樹脂の製造に用いられる原材料としても、均質な樹脂を得るという観点から不適であった。
これに対し、本発明のチタニア粒子分散液は、高濃度の表面修飾チタニア粒子を含んでいても、透過率が前記範囲内にあり、例えば、均質で高機能のチタニア粒子分散樹脂の製造に用いられる原材料として有用なものとなる。
なお、透過率の測定は、例えばJIS K 7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準じて行われる。測定に供する試料としては、光路長1cmの石英セルにチタニア粒子分散液を充填したものが用いられる。
[チタニア粒子分散樹脂]
本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法により製造された表面修飾チタニア粒子は、前述したように、マトリックスに対する分散性が極めて高いため、樹脂材料中に高濃度のチタニア粒子を含んでなるチタニア粒子分散樹脂(本発明のチタニア粒子分散樹脂)を得ることができる。
チタニア粒子分散樹脂に用いられる樹脂材料(マトリックス樹脂)は、特に限定されないが、表面修飾チタニア粒子の表面を覆う有機官能基の種類や、チタニア粒子分散樹脂の用途等に応じて適宜選択される。例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリジスルフィド系樹脂、ポリチオウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、透明性や機械的特性等の観点から、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂およびオレフィン系樹脂のいずれかが好ましく用いられる。
ところで、本発明のチタニア粒子分散樹脂は、表面修飾チタニア粒子を高濃度で含んでいるが、具体的には、表面修飾チタニア粒子の含有量を50質量%とし、当該樹脂を厚さ2mmの層状に成形したとき、その厚さ方向における波長400〜700nmの光線の透過率が70%以上であるという特徴を有するものである。
従来の複合材料(コンポジット樹脂)では、チタニア粒子が50質量%も含まれていると、粒子同士の分散性が確保できず、二次凝集を生じることが不可避であった。このため、光学特性(高屈折率)を犠牲にしつつ、チタニア粒子の含有率を下げざるを得なかった。また、二次凝集が生じた結果、凝集物による散乱や反射が生じるため、複合材料として透過率の低いものしか実現できていなかった。
これに対し、本発明のチタニア粒子分散樹脂は、高濃度の表面修飾チタニア粒子を含んでいても、透過率が前記範囲内にあり、例えば、上述したような用途に適したものとなる。特に、LED封止材として用いた場合、相対的に低屈折率の樹脂材料に対して、相対的に高屈折率の表面修飾チタニア粒子が高濃度で添加されているため、高屈折率の封止材が実現できる。その結果、LED素子からの光の取り出し効率が向上し、LEDデバイス全体の発光効率を高めることができる。
また、表面修飾チタニア粒子では、チタニア粒子の表面に無機的性質の強いシランオリゴマーが高密度に分布しているため、チタニア粒子が有する光触媒活性から、有機官能基や樹脂材料(マトリックス樹脂)が確実に保護される。このため、チタニア粒子分散樹脂をLED封止材のような光が継続的に照射されるような用途に用いた場合でも、マトリックス樹脂の変質・劣化を防止し、これによる発光効率の低下を防止することができる。
また、表面修飾チタニア粒子の表面に存在する有機官能基は、マトリックス樹脂と化学結合しているのが好ましい。これにより、表面修飾チタニア粒子の分散性がより向上するとともに、チタニア粒子分散樹脂の機械的特性、化学的特性等が向上する。なお、化学結合とは、共有結合、イオン結合、水素結合等の結合である。
具体例としては、マトリックス樹脂と有機官能基との間で、一方がSi−H結合を有し、他方がC=C結合を有している場合、両結合の間に新たな結合が生じると考えられる。
なお、LED封止材には、マトリックス樹脂としてシリコーン樹脂を用いるものが多用されているが、シリコーン樹脂の硬化には、Si−HとSi−CH=CHとを白金錯体触媒下で縮合する硬化方法が用いられる。この硬化方法では、Si−CH−CH−Si結合が新たに生成(ヒドロシリレーション反応)し、Si−Hを有する分子(重合度4〜10のシリコーン縮合体)とSi−CH=CHを有する分子を架橋することで、分子量の増大が生じて硬化するものと考えられる。
したがって、表面修飾チタニア粒子にSi−H結合かC=C結合(好ましくはアリル基)が存在していれば、上記硬化プロセスに乗じてマトリックス樹脂と表面修飾チタニア粒子との間をより確実に化学結合することができる。
なお、チタニア粒子分散樹脂において、表面修飾チタニア粒子の含有量は、マトリックス樹脂100質量部に対して、10〜300質量部程度であるのが好ましく、50〜200質量部程度であるのがより好ましい。
また、チタニア粒子分散樹脂としては、その屈折率が1.5〜2.5程度であるものが得られる。チタニア粒子分散樹脂では、表面修飾チタニア粒子を適宜添加することによって、マトリックス樹脂単独の場合に比べ、添加量に応じた割合で屈折率を引き上げることができる。
このようなチタニア粒子分散樹脂の用途としては、例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、照明用レンズ、偏光板、導光板、プリズム板、透過型スクリーンのような各種光学部品、LED、フォトダイオード、光導波路、太陽電池、有機EL、光学MEMSのような各種光学デバイスを封止する封止材等が挙げられる。
このうち、LED封止材用の樹脂材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等が好ましく用いられる。また、眼鏡レンズ用の樹脂材料としては、例えば、ポリジスルフィド系樹脂、ポリチオウレタン系樹脂等が好ましく用いられる。
以上、本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法は、前記実施形態に任意の工程を追加したものであってもよい。
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
1.表面修飾チタニア粒子およびその分散液の製造
(実施例1) 溶媒:エタノール
オクチルトリエトキシシラン(OTS:東京化成製)157μl(0.5mmol)をエタノール(和光純薬製)25mlに溶解し、これに2規定塩酸(和光純薬製)194μl加えた。この溶液を20時間室温で攪拌し、予備溶液を調製した。この溶液に、チタンテトライソプロポキシド(TTIP:東京化成製)568mg(2mmol)を加え、撹拌して原料溶液を調製した。なお、[Ti]/[Si]の比は4である。
原料溶液を加圧容器に充填し、マイクロ波加熱装置(マイルストーンゼネラル社製)で140℃2時間加熱を行った。室温に冷却後反応溶液をロータリーエバポレータによって揮発性物質を除去したところ、オクチル基で表面修飾されたチタニアナノ結晶が無色の固体として得られた。
生成物にトルエン(関東化学製)5mlを加えると均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径2〜3nmの微結晶であることがわかった。
(実施例2) 溶媒:n−プロパノール
エタノール25mlの代わりにn−プロパノール(和光純薬製)25mlを用いた以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例3) 溶媒:2−プロパノール
エタノール25mlの代わりに2−プロパノール(和光純薬製)25mlを用いた以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、白色不透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径15〜30nmの不定形微結晶であることがわかった。
(実施例4) 溶媒:n−ブタノール
エタノール25mlの代わりにn−ブタノール(関東化学製)25mlを用いた以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例5) 溶媒:i−ブタノール
エタノール25mlの代わりにi−ブタノール(関東化学製)25mlを用いた以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、やや白濁した溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は約20nm×10nmの錘状微結晶であることがわかった。
(実施例6) 6規定塩酸
2規定塩酸194μlの代わりに6規定塩酸(和光純薬製)194μlを用いた以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径2〜3nmの微結晶であることがわかった。
(実施例7) 1規定塩酸
2規定塩酸194μlの代わりに2規定塩酸97μlと純水(和光純薬製)97μlを混合して用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)と透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果から、生成物は不定形の非晶質微粒子であることがわかった。
(実施例8) 2規定臭化水素酸
2規定塩酸194μlの代わりに、2規定臭化水素酸200μlを用いた以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径2〜3nmの微結晶であることがわかった。
(実施例9) 加熱温度200℃
加熱温度を200℃とした以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例10) 加熱温度100℃
加熱温度を100℃とした以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径2〜2.5nmの微結晶であることがわかった。
(実施例11) [Ti]/[Si]の比が1
OTSを628μl、2規定塩酸を776μl用いた以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。[Ti]/[Si]の比が1であった。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例12) 加圧装置:オーブン
マイクロ波加熱装置の代わりにオーブンを用いて加熱を行った以外は実施例1と同様の方法にてオクチル基修飾チタニアナノ結晶を合成した。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径2〜3nmの微結晶であることがわかった。
(実施例13) シランカップリング剤: ポリエチレングリコール修飾
n−オクチルトリエトキシシランに代えて、(ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル)トリエトキシシラン(Gelest社製)を用いるようにした以外は、実施例2と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。生成物に水・メタノール混合液(水:メタノール=1:1(体積比))5mlを加えると均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径2〜3nmの微結晶であることがわかった。
(実施例14) シランカップリング剤: パーフルオロカーボン修飾
n−オクチルトリエトキシシランに代えて、(ヘプタフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン(Gelest社製)を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。生成物にクロロホルム5mlを加えると均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径2〜3nmの微結晶であることがわかった。
(実施例15、16)
n−オクチルトリエトキシシランに代えて、メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを用いるようにした以外は、実施例2と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。生成物は5mlの酢酸エチルに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例17)
n−オクチルトリエトキシシランに代えて、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いるようにした以外は、実施例2と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。生成物は5mlのテトラヒドロフランに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例18)
n−オクチルトリエトキシシランに代えて、アリルトリエトキシシランを用いるようにした以外は、実施例2と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。生成物は5mlのトルエンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例19)
n−オクチルトリエトキシシランに代えて、ビニルトリエトキシシランを用いるようにした以外は、実施例2と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。生成物は5mlのジクロロメタンに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(実施例20)
n−オクチルトリエトキシシランに代えて、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(Gelest社製)を用いるようにした以外は、実施例2と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。生成物は5mlのクロロホルムに均一に分散し、無色透明の溶液が得られた。粉末エックス線回折(XRD)の結果から生成物はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、この生成物は粒子直径5〜8nmの微結晶であることがわかった。
(比較例1)
まず、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム8.90g、蒸留水3.60ml、およびパラトルエンスルホン酸一水和物0.77gを、キシレン100mlに加え、均一溶液となるまで室温で撹拌し、逆ミセル溶液を調製した。
次いで、この溶液にメルカプトプロピルトリメトキシシラン3.78mlを加え、室温で20時間撹拌した。
次いで、この溶液にチタンテトライソプロポキシドをn−ヘキシルアルコールに溶解したものを滴下した。そして、得られた溶液に対してマイクロ波加熱装置(マイルストーンゼネラル社製「START−S」)で140℃×2時間の加熱処理を行った。
次いで、得られた溶液を徐冷した後、メタノール600mlを加え、遠心分離処理を施し、さらにクロロホルム25mlを加えた。その後、メタノール添加、遠心分離処理、およびクロロホルムの添加をそれぞれ5回繰り返すことにより、無色透明の溶液を得た。
(比較例2)
ベンジルアルコールにドーパミン塩酸塩を溶解させ、そこに四塩化チタンを添加して溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を75℃で3日間加熱することにより、粒子5nmの表面修飾チタニア粒子を得た。
次いで、液相成分を除去するため、遠心分離処理および洗浄処理を繰り返し施した。そして、分離回収した表面修飾チタニア粒子を水に再分散したところ、赤褐色を呈する透明分散液が得られた。
(比較例3)
ドーパミン塩酸塩に代えて、4−tert―ブチルカテコールを用いるようにした以外は、比較例2と同様にして表面修飾チタニア粒子を得た。
そして、得られた表面修飾チタニア粒子をテトラヒドロフランに再分散させたところ、赤褐色を呈する透明分散液が得られた。
(比較例4)
ジオクチルエーテルにトリオクチルホスフィンとラウリン酸を加え、得られた溶液を300℃で加熱した。
次いで、この溶液に四塩化チタンを加えた。さらに、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)を加え、300℃で15分間加熱した。これにより、長径10nm、短径3nmのロッド状の表面修飾チタニア粒子を得た。
次いで、液相成分を除去するため、遠心分離処理および洗浄処理を繰り返し施した。
そして、得られた表面修飾チタニア粒子をトルエンに再分散させたところ、無色透明の分散液が得られた。
(比較例5)
n−ブタノールにアセチルアセトンを溶解し、これにチタンテトラブトキシド(TTB)を滴下した。次いで、得られた溶液にパラトルエンスルホン酸(PTSA)水溶液を加え、60℃で一晩加熱することで粒径2nmの表面修飾チタニア粒子を得た。
そして、得られた表面修飾チタニア粒子を水に再分散させたところ、黄色を呈する透明分散液が得られた。
(比較例6)
オレイン酸にチタンテトライソプロポキシドを溶解し、得られた溶液に110℃に加熱した。
次いで、この溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液を加え、80分間加熱した。これにより、チタンテトライソプロポキシドの加水分解および脱水縮合を促した。これにより、表面がオレイン酸で被覆された表面修飾チタニア粒子を得た。
次いで、液相成分を除去するため、遠心分離処理および洗浄処理を繰り返し施した。そして、分離回収した表面修飾チタニア粒子をトルエンに再分散させたところ、わずかに着色した透明分散液が得られた。
(比較例7) シランカップリング剤を後から加える
エタノール25mlに2規定塩酸194μl加え、この溶液を20時間室温で攪拌し、TTIP568mg(2mmol)を加えた。この溶液を加圧容器に充填し、マイクロ波加熱装置で140℃2時間加熱を行った。この溶液にOTS157μl(0.5mmol)加えて室温で20時間攪拌した。反応溶液をロータリーエバポレータによって揮発性物質を除去すると、無色の固体と油状物質が分離した状態で得られた。生成物にトルエン5mlを加えると油状物質は溶解したが、無色固体は均一分散しなかった。粉末エックス線回折(XRD)の結果から無色固体はアナターゼ型二酸化チタンであり、透過電子顕微鏡(TEM)観察の結果、粒子直径2〜3nmの微結晶であることがわかった。
(比較例8) 純水のみ
2規定塩酸194μlの代わりに純水194μlを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。チタンテトライソプロポキシドを加えた時点で溶液中に多量の白色沈殿を生じ、加熱後生成物はいかなる溶媒にも均一分散しなかった。XRDの結果から生成物は非晶質であることがわかった。
2.チタニア粒子分散液の評価
2.1 外観の評価
各実施例で得られたチタニア粒子分散液について、その外観を作製(再分散)直後、作製から1日後、および作製から1週間後において観察した。そして、観察結果を以下の評価基準にしたがって評価した。
<外観の評価基準>
◎:無色透明である
○:わずかに着色している、あるいは、わずかに濁っている
△:やや強く着色している、あるいは、やや強く濁っている
×:強く着色している、あるいは、強く濁っている
2.2 透過率の評価
各実施例で得られたチタニア粒子分散液について、JIS K 7361に準じて全光線透過率を測定した。
まず、チタニア粒子分散液の濃度を50質量%に調整した。
次いで、チタニア粒子分散液を光路長1cmの石英セルに充填し、石英セルに波長400〜700nmの光を照射して透過率を測定した。
3.チタニア粒子分散樹脂の評価
実施例15〜20で得られた表面修飾チタニア粒子を、マトリックス樹脂に分散させ、チタニア粒子分散樹脂を得た。
なお、マトリックス樹脂としては、表2に示す組成のものを用いた。また、表面修飾チタニア粒子の濃度を50質量%に調整した。
次いで、チタニア粒子分散樹脂を厚さ2mmの層状に成形し、試験片を得た。
そして、この試験片について、JIS K 7361に準じて全光線透過率を測定した。なお、測定に用いた光は、波長が400〜700nmのものである。
以上、実施例1〜14の評価結果を表1、実施例15〜20の評価結果を表2に示す。
Figure 2012032868

Figure 2012032868
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた表面修飾チタニア粒子では、チタニア粒子分散液の分散性が比較的良好で、分散液の透過率も良好であった。実施例4で得られたチタニア粒子分散液の観察像を図3に示す。図3からは、表面修飾チタニア粒子が互いに分離しており、かつ各粒子がほぼ球形であることが認められる。特に、アルコールとして、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等を用いた場合、その傾向が顕著であった。また、これら3種のアルコールを用いた場合について、作製される表面修飾チタニア粒子の粒径を比較したところ、分子量が大きくなるにつれて、あるいは、比誘電率が小さくなるにつれて、粒径が大きくなっていることが認められた。
一方、表面修飾チタニア粒子の製造時に酸の添加を省略した場合(比較例8)、チタニア粒子分散液が白濁するとともに、コンポジット樹脂の透過率も低かった。
また、異なる性質の液相を用いる逆ミセル法を用いた場合(比較例1)、あるいは、揮発のみで液相成分を除去できない場合(比較例2〜6)、分離処理および洗浄処理が必要になるため、製造プロセスが煩雑であった。
さらに、チタニア粒子作製後にシランカップリング剤を導入する方法(比較例7)では、チタニア粒子が溶媒に均一分散しなかった。これは、シランカップリング剤を導入する前にチタニア粒子が凝集してしまい、シランカップリング剤が粒子表面と結合しなかったためと考えられる。
また、表2から明らかなように、シランカップリング剤の種類を適宜選択することで、チタニア粒子を含む樹脂(コンポジット樹脂)についても、無色透明で透過率が高いものが得られた。
以上の結果から、本発明の方法で表面修飾チタニア粒子を製造することにより、微小な二酸化チタンの結晶粒子を、分離・洗浄等伴うことなく、極めて効率よく製造可能であることが認められた。また、得られた表面修飾チタニア粒子は、溶媒や樹脂等のマトリックスに対して優れた分散性を示すものであることも認められた。
本発明の表面修飾チタニア粒子の製造方法によれば、簡単な操作で、表面修飾子を高密度に導入することができるので、溶媒や樹脂材料に対して高い分散性を有する表面修飾チタニア粒子を効率よく製造することができる。また、本発明のチタニア粒子分散液によれば、チタニア粒子を高濃度で均一に分散してなるものが得られる。また、本発明のチタニア粒子分散樹脂によれば、チタニア粒子を高濃度で均一に分散してなるものが得られるため、その光学特性、熱安定性、機械的強度等の各種特性を大幅に高めた樹脂材料が得られる。したがって、本発明は産業上の利用可能性を有する。
[1] 第1の工程
[2] 第2の工程
[3] 第3の工程

Claims (21)

  1. 二酸化チタンの結晶粒子と該結晶粒子の表面を被覆する表面修飾子とを有する表面修飾チタニア粒子を製造する方法であって、
    チタンアルコキシド化合物と、アルコキシシラン類と、アルコールと、酸と、水と、を含む原料溶液を調製する第1の工程と、
    前記原料溶液に加熱処理を施す第2の工程と、を有することを特徴とする表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  2. 前記第1の工程において、アルコキシシラン類と、アルコールと、酸と、水と、を含む予備溶液を調製した後、該予備溶液にチタンアルコキシド化合物を添加することにより前記原料溶液を調製する請求項1に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  3. 前記予備溶液の調製と前記第2の工程との間に、前記予備溶液または前記原料溶液を室温〜100℃の温度で、4〜48時間放置する請求項2に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  4. 前記アルコキシシラン類は、シランカップリング剤またはテトラアルコキシシランである請求項1ないし3のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  5. 前記シランカップリング剤は、炭素数4以上の脂肪族炭化水素、または、芳香族炭化水素を、含むものである請求項4に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  6. 前記シランカップリング剤は、ポリエチレングリコールを結合させたものである請求項4に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  7. 前記シランカップリング剤は、フルオロカーボンを含むものである請求項4に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  8. 前記シランカップリング剤は、重合性官能基を含むものである請求項4に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  9. 前記アルコールは、炭素数6個以下の低級アルコールである請求項1ないし8のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  10. 前記酸は、無機酸である請求項1ないし5のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  11. 前記無機酸は、構造式がHX(X=ClまたはBr)で表わされるハロゲン化水素酸である請求項10に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  12. 前記第2の工程の後に設けられ、前記原料溶液の周囲を減圧することにより、前記原料溶液中の液相成分を蒸発させる第3の工程を有する請求項1ないし11のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  13. 前記酸は、揮発して除去可能なものである請求項12に記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  14. 前記第1の工程の前記原料溶液調製前において、前記酸の量は、前記水に溶解させたときの濃度が1〜10Nとなる量である請求項1ないし13のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  15. 前記原料溶液において、チタンアルコキシド化合物およびアルコキシシラン類に対する水の量が1〜5等量である請求項1ないし14のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  16. 前記加熱処理の温度は、100〜240℃である請求項1ないし15のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  17. 前記加熱は、マイクロ波加熱により行われる請求項1ないし16のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法。
  18. 請求項1ないし17のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法により製造された表面修飾チタニア粒子を液相分散媒に分散してなるチタニア粒子分散液であって、
    前記表面修飾チタニア粒子の含有量が50質量%であるとき、光路長1cmにおける波長400〜700nmの光線の透過率が90%以上であることを特徴とするチタニア粒子分散液。
  19. 請求項1ないし17のいずれかに記載の表面修飾チタニア粒子の製造方法により製造された表面修飾チタニア粒子をマトリックス樹脂に分散してなるチタニア粒子分散樹脂であって、
    前記表面修飾チタニア粒子を50質量%の割合で含む当該チタニア粒子分散樹脂を、厚さ2mmの層状に成形したとき、厚さ方向における波長400〜700nmの光線の透過率が70%以上であることを特徴とするチタニア粒子分散樹脂。
  20. 前記マトリックス樹脂は、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂およびオレフィン系樹脂のいずれかである請求項19に記載のチタニア粒子分散樹脂。
  21. 前記表面修飾チタニア粒子に含まれる前記結晶粒子は、平均粒径2〜15nmのチタンアナターゼ結晶構造の二酸化チタン粒子である請求項19または20に記載のチタニア粒子分散樹脂。
JP2012532904A 2010-09-09 2011-07-22 表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂 Pending JPWO2012032868A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010202119 2010-09-09
JP2010202119 2010-09-09
PCT/JP2011/066711 WO2012032868A1 (ja) 2010-09-09 2011-07-22 表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2012032868A1 true JPWO2012032868A1 (ja) 2014-01-20

Family

ID=45810472

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012532904A Pending JPWO2012032868A1 (ja) 2010-09-09 2011-07-22 表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20130164444A1 (ja)
JP (1) JPWO2012032868A1 (ja)
WO (1) WO2012032868A1 (ja)

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6045875B2 (ja) * 2012-10-11 2016-12-14 旭化成株式会社 表面修飾された複合金属酸化物微粒子の製造方法
WO2014118372A1 (en) * 2013-02-02 2014-08-07 Joma International A/S An aqueous dispersion comprising tio2 particles
EP2950924A1 (en) 2013-02-03 2015-12-09 Joma International AS A catalytic substrate surface containing particles
US10793677B2 (en) 2015-10-27 2020-10-06 Nissan Chemical Industries, Ltd. Polymer and resin composition containing the same
JP7094107B2 (ja) * 2015-12-25 2022-07-01 Agc株式会社 表面修飾金属酸化物粒子、製造方法、分散液、硬化性組成物および硬化物
US10669426B2 (en) * 2016-03-31 2020-06-02 Nissan Chemical Industries, Ltd. Inorganic oxide microparticles having amphiphilic organic silane compound bonded thereto, organic solvent dispersion thereof, and composition for film formation
JP6961931B2 (ja) * 2016-12-12 2021-11-05 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 メタチタン酸粒子及びその製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、並びに、構造体
JP6872114B2 (ja) * 2016-12-12 2021-05-19 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 酸化チタン粒子及びその製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、並びに、構造体
JP6876908B2 (ja) * 2016-12-12 2021-05-26 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 酸化チタン粒子及びその製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、並びに、構造体
JP6961932B2 (ja) * 2016-12-12 2021-11-05 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 光触媒、及び、光触媒形成用組成物
JP6939056B2 (ja) * 2017-04-26 2021-09-22 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 酸化チタン粒子及びその製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、並びに構造体
JP6939055B2 (ja) * 2017-04-26 2021-09-22 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 メタチタン酸粒子及びその製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、並びに構造体
JP7000753B2 (ja) 2017-09-08 2022-01-19 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 酸化チタンエアロゲル粒子、酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、及び構造体
US10538434B2 (en) 2017-09-08 2020-01-21 Fuji Xerox Co., Ltd. Titanium oxide aerogel particle, photocatalyst forming composition, and photocatalyst
CN109884736A (zh) * 2017-12-06 2019-06-14 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 眼镜镜片
JP7167445B2 (ja) * 2018-01-25 2022-11-09 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 酸化チタン膜の製造方法
TW202132527A (zh) * 2019-12-12 2021-09-01 日商Jsr股份有限公司 化學機械研磨用組成物及研磨方法
CN111874946B (zh) * 2020-07-28 2023-08-25 安米卡(无锡)新材料科技有限公司 一种自分散反应性双相二氧化钛的制备方法及其应用
JP2022090521A (ja) * 2020-12-07 2022-06-17 株式会社ダイセル チタン含有複合材料
CN115785454B (zh) * 2022-12-13 2023-11-17 万华化学集团股份有限公司 一种耐污聚合物、包含其的耐脏污tpu复合材料及其制备方法和应用

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH054839A (ja) * 1991-06-20 1993-01-14 Sumitomo Electric Ind Ltd ゾルゲル法による薄膜の作製方法
JPH10310416A (ja) * 1997-05-02 1998-11-24 Tokuyama Corp シリカ分散液の製造方法
WO2000046154A1 (fr) * 1999-02-04 2000-08-10 Japan Science And Technology Corporation Procede d'obtention de titane d'anatase ou d'oxyde composite contenant du titane d'anatase
JP2003253157A (ja) * 2002-02-28 2003-09-10 Furukawa Co Ltd 貯蔵安定性に優れたチタニア及びチタニア系複合酸化物塗布溶液
JP2004043285A (ja) * 2002-05-20 2004-02-12 Nippon Shokubai Co Ltd 有機基複合金属酸化物微粒子の製造方法
JP2004249266A (ja) * 2003-02-21 2004-09-09 Japan Science & Technology Agency チタニアナノ微結晶膜とこのパターンを備えた物品並びにその製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2846458A (en) * 1956-05-23 1958-08-05 Dow Corning Organosiloxane ethers
US4151154A (en) * 1976-09-29 1979-04-24 Union Carbide Corporation Silicon treated surfaces
US4061503A (en) * 1976-09-29 1977-12-06 Union Carbide Corporation Silane treatment of titanium dioxide pigment
US20050239921A1 (en) * 2004-04-27 2005-10-27 Birmingham John N Preparation of organic additive-treated, pyrogenic silica-encapsulated titanium dioxide particles
WO2008075784A1 (ja) * 2006-12-20 2008-06-26 Hoya Corporation 金属酸化物系ナノ粒子、その製造方法、ナノ粒子分散樹脂およびその製造方法
US8153834B2 (en) * 2007-12-05 2012-04-10 E.I. Dupont De Nemours And Company Surface modified inorganic particles

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH054839A (ja) * 1991-06-20 1993-01-14 Sumitomo Electric Ind Ltd ゾルゲル法による薄膜の作製方法
JPH10310416A (ja) * 1997-05-02 1998-11-24 Tokuyama Corp シリカ分散液の製造方法
WO2000046154A1 (fr) * 1999-02-04 2000-08-10 Japan Science And Technology Corporation Procede d'obtention de titane d'anatase ou d'oxyde composite contenant du titane d'anatase
JP2003253157A (ja) * 2002-02-28 2003-09-10 Furukawa Co Ltd 貯蔵安定性に優れたチタニア及びチタニア系複合酸化物塗布溶液
JP2004043285A (ja) * 2002-05-20 2004-02-12 Nippon Shokubai Co Ltd 有機基複合金属酸化物微粒子の製造方法
JP2004249266A (ja) * 2003-02-21 2004-09-09 Japan Science & Technology Agency チタニアナノ微結晶膜とこのパターンを備えた物品並びにその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20130164444A1 (en) 2013-06-27
WO2012032868A1 (ja) 2012-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012032868A1 (ja) 表面修飾チタニア粒子の製造方法、チタニア粒子分散液およびチタニア粒子分散樹脂
KR101894056B1 (ko) 나노결정의 합성, 캐핑 및 분산
US7972691B2 (en) Composites of polymers and metal/metalloid oxide nanoparticles and methods for forming these composites
JP5651477B2 (ja) ハイブリッドビヒクル系
JP5555167B2 (ja) シリコーン樹脂組成物、酸化金属粒子及びその製造方法
JP4749201B2 (ja) 半導体発光素子封止用組成物
US20140206801A1 (en) Inorganic oxide transparent dispersion, resin composition used to form transparent composite, transparent composite, and optical member
JPWO2014188924A1 (ja) 金属酸化物多孔質粒子、その製造方法、及びその用途
WO2006001487A1 (ja) スズ修飾ルチル型酸化チタン微粒子
TW201816082A (zh) 光致發光粒子之製造方法
JP6652053B2 (ja) 半導体ナノ粒子集積体およびその製造方法
JP2010053385A (ja) シリカ被覆金ナノロッド及びその製造方法
JP2007270098A (ja) 高屈折率コーティング用組成物
JP2013075822A (ja) 表面処理シリカ系粒子の製造方法
JP6339889B2 (ja) 金属酸化物中空粒子の製造方法
JP2017105659A (ja) 表面処理無機酸化物粒子、該粒子を含む分散液、及びその製造方法
JP2004292282A (ja) 酸化亜鉛ナノ粒子及びその製造方法、並びに、その酸化亜鉛ナノ粒子含有組成物及びそれを用いた積層体
JPWO2019017305A1 (ja) 被覆無機微粒子及びその製造方法
JP2008290914A (ja) 表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法
JPWO2020105405A1 (ja) 反応性シリコーン組成物およびその硬化物
JP2009073699A (ja) 表面修飾金属酸化物微粒子の製造方法。
Soosaimanickam et al. Preparation and processing of nanocomposites of all-inorganic lead halide perovskite nanocrystals
DE102014107099B4 (de) Lichtstreuendes Schichtsystem, Verfahren zu seiner Herstellung und Verwendung des Schichtsystems
Tao Epoxy and Silicone Optical Nanocomposites Filled with Grafted Nanoparticles
JP6239763B2 (ja) 新規な末端分岐型ポリオレフィン系重合体およびその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150728

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20151201