JP3921806B2 - 方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、変圧器その他の電気機器の鉄心等に用いられる方向性珪素鋼板、中でも小型発電器の鉄心やEIコアなど、高磁場特性よりも低磁場特性に優れることが必要とされる用途に供して好適な方向性電磁鋼板の有利な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性珪素鋼板の製造工程は、鋼スラブに熱間圧延、そして冷間圧延を施し、次いで一次再結晶焼鈍を施した後、二次再結晶のために最終仕上げ焼鈍を行うのが一般的である。そして、最終仕上げ焼鈍中に二次再結晶が起こり、圧延方向に磁化容易軸の揃った粗大な結晶粒が生成するのである。
【0003】
この仕上焼鈍は、高温で長時間行うことから、鋼板の焼付防止のために焼鈍分離剤を塗布するのが一般的である。焼鈍分離剤としては、通常MgO を主成分とするものが用いられている。このMgO は、焼鈍中に鋼板表層に生成している酸化層と反応する結果、フォルステライトを主成分とする被膜が生成する。さらに、この被膜上には、張力効果を高めて鉄損を改善したり絶縁性を確保するために、リン酸塩−シリカ系の無機コーティングを被成することも、通常に行われている。
【0004】
ところで、EIコアや小型の鉄心材料として方向性電磁鋼板を使用する場合は、低磁場での鉄損を低くする必要があり、二次再結晶粒の粒径を小さくすることが有効である。そこで、発明者らは、素材成分のAl量を低減してSbを添加し、熱延板焼鈍および脱炭焼鈍の条件を適正化する方法について、特願平8-286720号明細書にて提案した。この方法により、低磁場での磁気特性を著しく改善することができたのである。
【0005】
しかしながら、磁気特性は改善されるものの、一方で素材成分であるSやSe量が低いことに起因して、フォルステライト質被膜の劣化をまねくことが多く、打抜き時に被膜が点状に剥離して積層したときの絶縁が保てなかったり、鋼板を歪取焼鈍した後に被膜が剥落してしまうという問題が生じた。
【0006】
方向性珪素鋼の被膜を改善する方法としては、過去に多数の技術が開示されている。例えば、特公昭57-45472号公報に代表される、焼鈍分離剤の主剤のMgO を改善する方法、特開昭50-1453l5 号公報に代表される、分離剤に適当な添加剤を用いる方法、特開昭60-197883 号公報に代表される、仕上焼鈍あるいは脱炭焼鈍条件を適正化する方法、等が知られている。しかし、今回のように低磁場での磁気特性を改善した素材で、そのために成分組成や工程が特殊な条件で行われる場合には、上記の在来技術では二次再結晶粒が大きくなりすぎて低磁場での磁気特性が劣化したり、素材成分が異なるためにかえって被膜品質が劣化することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述の事情に鑑み成されたものであり、低磁場での磁気特性の劣化を起こすことなく良好な被膜を形成し得る、新規な方向性珪素鋼の製造方法について提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、EIコアや小型発電器用の方向性珪素鋼として低磁場での鉄損を低下させないまま被膜を改善する手法について種々の検討を行ったところ、特定の焼鈍分離剤を用いた上で一次再結晶粒径を規制することが、極めて有効であることを見出し、この発明を完成するに到った。
【0009】
この発明は、C:0.005 〜0.070 wt%、Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.50wt%、Al:0.005 〜0.017 wt%およびN:0.003 〜0.010 wt%を含有し、残部が Fe および不可避的不純物の組成になる鋼塊を、1300℃以下の温度に加熱後、熱間圧延し、次いで1回もしくは中間焼鈍を含む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍を施し、その後焼鈍分離剤を塗布、乾燥してから最終仕上焼鈍を行う一連の工程によって方向性珪素鋼板を製造するに当たり、一次再結晶焼鈍において一次再結晶粒径を12μm 以上50μm 以下に調整したのち、BET 法による比表面積が5m2/g以上50m2/g以下のMgO を主成分とし、さらにCa,SrおよびBaの化合物の1種または2種以上を合計で金属換算にて0.03wt%以上3wt%以下含有する組成の焼鈍分離剤を塗布することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
また、前記鋼塊は、さらに、
Sb 0.003 0.080 wt %、
B: 0.0001 0.0020wt %、
Ti 0.0005 0.0020wt %および
Nb 0.0010 0.010 wt %を含むとともに、
Cu Sn Cr Ge Mo およびVの1種または2種合計で 0.001 wt %以上 0.3 wt %以下を含有することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を導くに到った実験結果について説明する。
すなわち、表1に示す鋼Aの成分組成に成る鋼スラブを1250℃で30分加熱後、熱間圧延にて2.2mm の板厚にし、900 ℃で1分間の熱延板焼鈍を行ってから、タンデム圧延機で0.34mm厚に冷間圧延し、最終板厚に仕上げた。次いで、脱炭焼鈍を、温度:750 〜860 ℃および保持時間:0.5 〜5分の範囲にて、雰囲気の水蒸気分圧に対する水素分圧の比{以下、P(H2O) /P(H2)と示す}を0.35として施すことにより、一次再結晶粒径を8μm から60μm まで変更した。
【0011】
その後、鋼板表面に、スラリー状の焼鈍分離剤をロールコーターにより塗布、乾燥して最終仕上焼鈍を行った。ここで、焼鈍分離剤は、主剤としてBET 法による比表面積の異なるMgO (不純物のCa濃度:0.02wt%)を用いて、さらに種々の金属化合物をその金属換算で1.0 wt%添加したものを適用した。また、仕上焼鈍は、800 ℃までをAr雰囲気で行ったのち、800 ℃から1100℃までをH2雰囲気にて昇温速度30℃/hで昇温しつつ行った。引続き、純化焼鈍として、水素雰囲気にて1200℃,5時間の保定焼鈍を行った。純化焼鈍後のコイルは、40wt%のコロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする、絶縁コーティング処理に施し、800 ℃で焼付けて製品とした。
【0012】
かくして得られた鋼板を、エプスタインサイズの試験片に切り出し、800 ℃で3時間の歪取焼鈍を施した後、磁束密度B8(T)を測定するとともに、被膜密着性を曲げ剥離径を測定することにより評価した。さらに、各製品からEIコアを打ち抜き、歪取焼鈍後、積み加工、銅線の巻き加工などによってEIコアを作成し、その鉄損を測定した。これらの製品品質の評価結果を表2に示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003921806
【0014】
【表2】
Figure 0003921806
【0015】
表2から、Ca,Sr,Ba化合物を分離剤に添加し、かつ一次再結晶粒径を特定範囲に規制することにより、EIコアの鉄損、そして被膜密着性が顕著に改善されることがわかる。すなわち、一次再結晶粒径が大きすぎても小さすぎても、磁気特性が劣化すること、また焼鈍分離剤におけるMgO のBET 法による比表面積は5m2/g以上50m2/g以下で良好となることが、明らかである。このように製品品質が、一次再結晶粒径や焼鈍分離剤成分によって変化した理由については明らかでないが、発明者らは次のように考えている。
【0016】
通常のSやSeを含有する材料では、脱炭焼鈍時に内部酸化層のフロントにSやSeが濃化することにより、酸化が抑制される。これにより酸化層内部でSiO2が均一かつ緻密に生成するため、仕上焼鈍中に雰囲気の微量酸素が鋼中に浸入するのは防がれている。ところが、S,Seが鋼中に存在しない場合は、内部酸化層による仕上焼鈍雰囲気の鋼中浸入防止効果が少なくなる。そして、雰囲気元素が鋼中に浸入すると、インヒビター析出形態を変化させる結果、磁気特性が劣化するのである。また、仕上焼鈍中にも酸化が進行し続けると、被膜が不均一に厚くなりすぎて、これが局所的に剥落して被膜特性を劣化することになる。
【0017】
しかし、焼鈍分離剤中に、Ca,Sr,Baのようなアルカリ土類金属の化合物が存在すると、これらのアルカリ土類金属イオンが仕上焼鈍中にMg2+,O2-イオンの拡散を阻害し、過度の被膜形成を防ぐことができる。また、MgO のBET 法による比表面積は、仕上焼鈍中に持ち込まれる水分量に対応するとともに、コイルをタイトに巻いたときの雰囲気の通気性にも影響するため、この比表面積を適度に制御することにより、水分を鋼板表面から逃がし、また酸素の鋼中浸入を防ぐことができる。ここに、MgO はその表面に微細な孔が存在し、これが通気性を改善する要因の一つになっていることから、BET 法による比表面積でMgO を規定することが重要であり、レーザー回折径などの粒径では、正しい評価を行うことができない。
【0018】
さらに、MgO とアルカリ土類金属とを含有する焼鈍分離剤を用いるときには、一次再結晶粒径を特定の範囲に制御することが重要な意味を持つ。すなわち、上述の酸素浸入は、インヒビター強度を変化させることを通して、二次再結晶にも影響を及ぼすが、焼鈍分離剤において、MgO の比表面積を特定しかつアルカリ土類金属を含有させることにより、鋼中に浸入する酸素量は所定範囲に抑制されるため、インヒビター強度を制御することができる。ここで、インヒビター強度および一次再結晶粒径は、二次再結晶挙動を支配する主要な因子であり、この二つの因子が仕上焼鈍中に相互に影響を及ぼしあって粒成長挙動を支配するため、インヒビター強度を焼鈍分離剤成分で特定すると、それに応じて一次再結晶粒径も適正範囲に制御しなければならないのである。
【0019】
次に、この発明の各構成要件の限定理由について述べる。
まず、この発明の素材の成分組成の範囲は、次の通りである。
C:0.005 〜0.070 wt%
Cは、0.070 wt%をこえるとγ変態量が過剰となり、熱間圧延中のAlの分布が不均一となって熱延板焼鈍の昇温過程で析出するAlN の分布も不均一となり、磁性不良となる。一方、0.005 wt%未満では、組織の改善効果が得られずに二次再結晶が不安定となり、やはり磁気特性の劣化を招く。従って、0.005 〜0.070 wt%の範囲に限定する。
【0020】
Si:1.5 〜7.0 wt%
Siは、電気抵抗を増加して鉄損を低減するために必須の成分であり、そのためには1.5 wt%以上は含有させる必要があるが、7.0 wt%をこえると加工性が劣化し、製造や製品の加工が極めて困難になるため、1.5 〜7.0 wt%の範囲に限定する。
【0021】
Mn:0.03〜2.50wt%
Mnも、同じく電気抵抗を高め、また製造時の熱間加工性を向上させるのに必要な成分である。そのためには、0.03wt%以上の含有が必要であるが、2.50wt%をこえる含有は、γ変態を誘起して磁気特性を劣化することから、0.03〜2.50wt%の範囲に限定した。
【0022】
Al:0.005 〜0.017 wt%
鋼中には上記の元素の他に、2次再結晶を誘起するためのインヒビター成分の含有が不可欠であり、そのためインヒビター成分としてAlを 0.005〜0.017 wt%の範囲で含有させる。ここに、Alの含有量が 0.005wt%未満の場合、熱延板焼鈍の昇温過程において析出するAlNの量が不足し、逆に 0.017wt%を超える場合には、1200℃前後でのスラブの低温加熱においてのAlNの固溶が困難となり、またAlNの固溶温度が上昇するため熱間圧延においてAlNが析出し、熱延板焼鈍の昇温過程におけるAlNの微細析出が不可能となり、低磁場での良好な鉄損特性が得られない。
従って、Alは 0.005〜0.017 wt%の範囲で含有させるものとした。
なお、上記の不備を解消するために、1400℃前後の高温度でスラブ加熱を行うと、製品の結晶粒径が粗大化し、高磁場での鉄損が低減し、低磁場での鉄損が増大する結果となり実機の鉄損が劣化する。
【0023】
N:0.003 〜0.010 wt%
Nは、AlNを構成する成分であるので、0.0030wt%以上の含有が必要である。しかしながら、0.010 wt%を超えて含有すると鋼中でガス化し膨れなどの欠陥をもたらすので、0.0030〜0.010 wt%の範囲に限定した。
【0024】
また、インヒビター形成成分として、さらにSb,B,Ti,Nb,Cu,Sn,Cr,Ge,Mo,Vなどを添加することができる。その好適量としては、Sb:0.003 〜0.080 wt%、B:0.0001〜0.0020wt%、Ti:0.0005〜0.0020wt%、Nb:0.0010〜0.010 wt%、そしてCu,Sn,Cr,Ge,Mo,Vの1種または2種合計で0.001 wt%以上0.3 wt%以下である。これらの各インヒビターは単独使用、複数使用いずれも可能である。
【0025】
次に、製造条件の限定理由について述べる。
まず、スラブ加熱は1300℃以下の温度で行う。なぜなら、1300℃を超える温度でスラブ加熱を行った場合、製品結晶粒のうち1mm以下の微細粒が減少して粗大粒が増加するため、低磁場での鉄損が劣化する。ちなみに、近年、スラブ加熱を行わずに連続鋳造後、直接熱間圧延を行う方法が提案されているが、この方法はスラブ温度が上昇しないので、この発明方法に適した方法といえる。
【0026】
次いで、1回または中問焼鈍をはさむ複数回の冷間圧延を行って最終板厚にする。なお、必要に応じて熱延板を冷間圧延前に焼鈍することも可能である。このとき、冷間圧延は、タンデム圧延でもゼンジマー圧延でも良いが、生産性の観点からはタンデム圧延が望ましい。その後は、一次再結晶焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布した後、最終仕上焼鈍を行う。
【0027】
ここで、一次再結晶焼鈍において一次再結晶粒径を12μm 以上50μm 以下とすることが肝要である。一次再結晶粒径がこの範囲を外れると、磁性の劣化をまねくことになる。また、焼鈍分離剤は、主剤にBET 法による比表面積が5m2/g以上50m2/g以下のMgO を用いる。これは、鋼板表面の通気性と持ち込み水分量を調節するためである。さらに、添加剤には、Ca,Sr,Baの化合物の1種または2種以上を含有させる。その添加量は、金属換算で0.03wt%以上3wt%以下とする。なぜなら、0.03wt%未満では上記効果がなく、3wt%を越えると被膜形成不良をまねくからである。なお、焼鈍分離剤の添加剤として、Ca,Sr,Ba以外にも公知の添加剤を使用できるが、種類によってはかえって低磁場での磁気特性を劣化させるものがある。発明者らの検討によれば、Ti、Mg、Sb、鉄、Snの化合物は、いずれも低磁場での磁気特性、被膜密着性とも劣化させずに、若干の特性向上が見出されたため、使用可能である。その適正量としては、それぞれ0.5 wt%以上10wt%以下とすることが好ましい。
【0028】
その後、焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を行う。その雰囲気および温度パターンは、珪素鋼板の一般に従えばよい。次に、絶縁コートを施してフラットニング焼鈍をして製品に仕上げる。絶縁コーティングは公知の張力コートでも良いが、打ち抜き性を改善するために有機樹脂系のコーティングを施すことも可能である。かかる処理工程によって優れた磁気特性、被膜特性を有する方向性珪素鋼を得ることができる。
【0029】
【実施例】
実施例1
前掲の表1に示したA〜Mの成分組成になる溶鋼を、電磁攪枠しつつ連続鋳造によってスラブとし、1180℃に加熱後、粗5パスで45mm厚のシートバーとし、仕上げ出側温度: 950℃で7パスの仕上げ熱間圧延によって2.2mm 厚まで圧延した。次いで、得られた熱延コイルを、900 ℃、1分間の熱延板焼鈍後、タンデム圧延機にて0.34mmまで冷間圧延したのち、種々の条件で脱炭焼鈍を施して、それぞれのサンプルについて一次再結晶粒径を15μm 〜20μm の範囲内に抑えた。その後、BET 法による比表面積が25m2/gのMgO (不純物Ca濃度:0.02wt%)を主成分とし、かつSr(OH)2 をSr換算で0.5 wt%混入させた焼鈍分離剤を、鋼板表面に塗布してから、仕上焼鈍を施した。仕上焼鈍は、800 ℃から1200℃までを30℃/hで昇温し、引き続き1200℃、5時間の保定焼鈍を行った。雰囲気は、800 ℃までをAr、800 ℃〜1200℃までを50%N2+50%H2、そして1200℃,5時間の保定中はH2雰囲気、でそれぞれ行った。この仕上焼鈍後は、40wt%のコロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムコーティングを塗布、焼き付けしてヒートフラットニングを施して製品とした。
【0030】
かくして得られた鋼板からエプスタインサイズの試験片を切り出し、800 ℃で3時間の歪取焼鈍を施した後、曲げ剥離試験を行うとともに、磁束密度B8(T)を測定した。さらに、各製品からEIコアを打ち抜き、歪取焼鈍後、積み加工、銅線の巻き加工などによってEIコアを作成し、その鉄損を測定した。
その結果を表3に示すように、この発明法によって得られた方向性電磁鋼板は、鉄損が良好であり、かつ被膜密着性も優れている。
【0031】
【表3】
Figure 0003921806
【0032】
実施例2
前掲の表1に示したIの成分組成になる溶鋼を、電磁攪枠しつつ連続鋳造によってスラブとし、1180℃に加熱後、粗5パスで45mm厚のシートバーとし、仕上げ出側温度: 950℃で7パスの仕上げ熱間圧延によって2.2mm 厚まで圧延した。次いで、得られた熱延コイルを、900 ℃、1分間の熱延板焼鈍後、タンデム圧延機にて0.34mmまで冷間圧延したのち、種々の条件で脱炭焼鈍を施して、それぞれのサンプルについて一次再結晶粒径を15μm とした。その後、BET 法による比表面積が4〜60m2/gのMgO (不純物Ca濃度:0.02wt%)を主成分とし、かつSr(OH)2 をSr換算で0.5 wt%混入させた焼鈍分離剤を、鋼板表面に塗布してから、仕上焼鈍を施した。仕上焼鈍は、800 ℃から1200℃までを30℃/hで昇温し、引き続き1200℃、5時間の保定焼鈍を行った。雰囲気は、800 ℃までをAr、800 ℃〜1200℃までをH2雰囲気、でそれぞれ行った。この仕上焼鈍後は、40wt%のコロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムコーティングを塗布、焼き付けしてヒートフラットニングを施して製品とした。
【0033】
かくして得られた鋼板からエプスタインサイズの試験片を切り出し、800 ℃で3時間の歪取焼鈍を施した後、曲げ剥離試験を行うとともに、磁束密度B8(T)を測定した。さらに、各製品からEIコアを打ち抜き、歪取焼鈍後、積み加工、銅線の巻き加工などによってEIコアを作成し、その鉄損を測定した。
その結果を表4に示すように、この発明法によって得られた方向性電磁鋼板は、鉄損が良好であり、かつ被膜密着性も優れている。
【0034】
【表4】
Figure 0003921806
【0035】
実施例3
前掲の表1に示したLの成分組成になる溶鋼を、電磁攪枠しつつ連続鋳造によってスラブとし、1250℃に加熱後、粗5パスで45mm厚のシートバーとし、仕上げ出側温度: 950℃で7パスの仕上げ熱間圧延によって2.5mm 厚まで圧延した。次いで、得られた熱延コイルを、900 ℃、1分間の熱延板焼鈍後、タンデム圧延機にて0.34mmまで冷間圧延したのち、850 ℃、2min の脱炭焼鈍を施して、それぞれのサンプルについて一次再結晶粒径を17μm とした。その後、BET 法による比表面積が20m2/gのMgO (不純物Ca濃度:0.01wt%)を主成分とし、かつSr(OH)2 を種々の含有量で混入させた焼鈍分離剤を、鋼板表面に塗布してから、仕上焼鈍を施した。仕上焼鈍は、800 ℃から1200℃までを30℃/hで昇温し、引き続き1200℃、5時間の保定焼鈍を行った。雰囲気は、800 ℃までをAr、800 ℃〜1200℃までをH2雰囲気、でそれぞれ行った。この仕上焼鈍後は、40wt%のコロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムコーティングを塗布、焼き付けしてヒートフラットニングを施して製品とした。
【0036】
かくして得られた鋼板からエプスタインサイズの試験片を切り出し、800 ℃で3時間の歪取焼鈍を施した後、曲げ剥離試験を行うとともに、磁束密度B8(T)を測定した。さらに、各製品からEIコアを打ち抜き、歪取焼鈍後、積み加工、銅線の巻き加工などによってEIコアを作成し、その鉄損を測定した。
その結果を表5に示すように、この発明法によって得られた方向性電磁鋼板は、鉄損が良好であり、かつ被膜密着性も優れている。
【0037】
【表5】
Figure 0003921806
【0038】
実施例4
前掲の表1に示したKの成分組成になる溶鋼を、電磁攪枠しつつ連続鋳造によってスラブとし、1180℃に加熱後、粗5パスで45mm厚のシートバーとし、仕上げ出側温度: 950℃で7パスの仕上げ熱間圧延によって2.2mm 厚まで圧延した。次いで、得られた熱延コイルを、900 ℃、1分間の熱延板焼鈍後、タンデム圧延機にて0.34mmまで冷間圧延したのち、脱炭焼鈍を、温度:750 〜860 ℃、保持時間:0.5 〜5分の範囲にてP(H2O) /P(H2)を0.35で施して、一次再結晶粒径を種々調整した。その後、BET 法による比表面積が20m2/gのMgO (不純物Ca濃度:0.02wt%)を主成分とし、かつSr(OH)2 をSr換算で0.5 wt%で混入させた焼鈍分離剤を、鋼板表面に塗布してから、仕上焼鈍を施した。仕上焼鈍は、800 ℃から1200℃までを30℃/hで昇温し、引き続き1200℃、5時間の保定焼鈍を行った。雰囲気は、800 ℃までをAr、800 ℃〜1100℃までを25%の窒素を含むH2雰囲気、1100〜1200℃までをH2雰囲気、でそれぞれ行った。この仕上焼鈍後は、40wt%のコロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムコーティングを塗布、焼き付けしてヒートフラットニングを施して製品とした。
【0039】
かくして得られた鋼板からエプスタインサイズの試験片を切り出し、800 ℃で3時間の歪取焼鈍を施した後、曲げ剥離試験を行うとともに、磁束密度B8(T)を測定した。さらに、各製品からEIコアを打ち抜き、歪取焼鈍後、積み加工、銅線の巻き加工などによってEIコアを作成し、その鉄損を測定した。
その結果を表6に示すように、この発明法によって得られた方向性電磁鋼板は、鉄損が良好であり、かつ被膜密着性も優れている。
【0040】
【表6】
Figure 0003921806
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、低磁場での磁気特性、そして被膜特性の良好な方向性珪素鋼板を製造することが可能となり、電磁鋼板の品質向上に大きく寄与するものである。

Claims (2)

  1. C:0.005 〜0.070 wt%、Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.50wt%、Al:0.005 〜0.017 wt%およびN:0.003 〜0.010 wt%を含有し、残部が Fe および不可避的不純物の組成になる鋼塊を、1300℃以下の温度に加熱後、熱間圧延し、次いで1回もしくは中間焼鈍を含む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍を施し、その後焼鈍分離剤を塗布、乾燥してから最終仕上焼鈍を行う一連の工程によって方向性珪素鋼板を製造するに当たり、一次再結晶焼鈍において一次再結晶粒径を12μm 以上50μm 以下に調整したのち、BET 法による比表面積が5m2/g以上50m2/g以下のMgO を主成分とし、さらにCa,SrおよびBaの化合物の1種または2種以上を合計で金属換算にて0.03wt%以上3wt%以下含有する組成の焼鈍分離剤を塗布することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼塊は、さらに、
    Sb 0.003 0.080 wt %、
    B: 0.0001 0.0020wt %、
    Ti 0.0005 0.0020wt %および
    Nb 0.0010 0.010 wt %を含むとともに、
    Cu Sn Cr Ge Mo およびVの1種または2種合計で 0.001 wt %以上 0.3 wt %以下を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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