JPH09256068A - 優れたグラス被膜を得るための方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

優れたグラス被膜を得るための方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH09256068A
JPH09256068A JP8068008A JP6800896A JPH09256068A JP H09256068 A JPH09256068 A JP H09256068A JP 8068008 A JP8068008 A JP 8068008A JP 6800896 A JP6800896 A JP 6800896A JP H09256068 A JPH09256068 A JP H09256068A
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mgo
steel sheet
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grain
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JP8068008A
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Hiroyasu Fujii
浩康 藤井
Koji Yamazaki
幸司 山崎
Norihiro Yamamoto
紀宏 山本
Osamu Tanaka
収 田中
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Plant Designing Corp
Original Assignee
Nittetsu Plant Designing Corp
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一で優れた被膜性能をもつグラス被膜を形
成すると共に優れた磁気特性を得る。 【解決手段】 BET比表面積15〜100m2 /g、
CAA値45〜300秒のMgOであって且つ、Fe化
合物として酸化物、水酸化物、炭酸塩の1種又は2種以
上をFeとして0.15〜5.0%を脱炭焼鈍後の鋼板
に塗布し、仕上げ焼鈍することにより優れたグラス被膜
と磁気特性が得られる。この際、同時にフッ素化合物、
塩素化合物の1種又は2種以上をF及び/又はClとし
て0.010〜0.15%含有させることにより更にグ
ラス被膜と磁気特性の向上が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は方向性電磁鋼板の製
造に際し、最終仕上げ焼鈍工程において、均一で優れた
被膜性能をもつグラス被膜を形成すると共に、優れた磁
気特性を得るための方向性電磁鋼板製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、方向性電磁鋼板はSi:2.5〜
4.0%を含有する素材スラブを熱延し、焼鈍と1回叉
は中間焼鈍を挟む2回以上の冷延により最終板厚とされ
る。次いで、連続焼鈍炉においてH2 或いはN2 +H2
雰囲気中でPH2 O/PH2 を制御して脱炭焼鈍を行
い、脱炭、一次再結晶及びSiO2 を主成分とする酸化
層形成処理を行う。その後、MgOを主成分とする焼鈍
分離剤をスラリー状としてコーティングロール等により
鋼板に塗布し、乾燥後、コイルに巻取り最終仕上げ焼鈍
を行い、通常は絶縁被膜剤処理とヒートフラットニング
を行って最終製品とされる。
【0003】この方向性電磁鋼板は<001>軸をもつ
(110)<001>結晶が高温の二次再結晶で優先的
に成長し、鋼中にインヒビターとして分散しているAl
N,MnS等によって、その成長を抑えられている他の
結晶を侵食するために(110)<001>結晶が優先
的に成長するものと考えられている。従って、優れた方
向性電磁鋼板を製造するためには、鋼中インヒビターA
lN,MnS等の分散状態とこれらの分解までの制御が
重要である。特に、最終仕上げ焼鈍においてインヒビタ
ーは脱炭焼鈍で形成した鋼板表面の酸化膜、焼鈍分離剤
及び最終仕上げ焼鈍での熱サイクルや雰囲気ガス条件に
より影響を受ける。
【0004】これらの中でとりわけ焼鈍分離剤に用いる
グラス被膜形成剤のMgOの反応性は、グラス被膜形成
を介してのインヒビターの挙動に影響が大きい。これ
は、MgOの粒子の純度、活性度、粒度等の物性値が最
終焼鈍での昇温過程における脱炭酸化膜の変化やグラス
被膜の形成反応開始温度、成長速度、コイル板間の雰囲
気酸化度等に多大な影響をもたらして、グラス被膜の形
成状態等によって鋼中インヒビターの安定性に影響を与
えるからである。
【0005】仕上げ焼鈍におけるグラス被膜形成反応
は、焼鈍分離剤のMgOと脱炭焼鈍で形成されたSiO
2 主体の酸化膜と反応して通常グラス被膜と呼ぶフォル
ステライト被膜を形成する(2MgO+SiO2 →Mg
2 SiO4)。叉、この際、鋼中インヒビターとしてAl
Nを用いる場合にはフォルステライト被膜直下付近にA
2 3 とMgOによるスピネル構造の化合物を形成す
る。
【0006】このグラス被膜形成においては、MgOと
SiO2 の反応は純粋系においては1600℃近い高温
でなければ反応が生じず、酸化膜の性状(成分、形成状
態)、仕上げ焼鈍条件の制御(ヒートサイクル、雰囲気
ガス)と共に焼鈍分離剤の性状として不純物の調整、粒
径、粒子形状、表面状態、活性度等を制御して仕上げ焼
鈍工程においていかに低温から均一なグラス被膜形成を
行わせるかが優れたグラス被膜と良好な磁気特性を得る
ための重要なカギとなる。
【0007】このように方向性電磁鋼板の商品価値を決
定する上で重要なグラス被膜と磁気特性に対して焼鈍分
離剤MgOの影響が大きいことから、MgO品質の改善
は方向性電磁鋼板製造技術上重要な課題となってきてい
る。焼鈍分離剤に使用するMgOは、一般的には苦汁
(MgCl2)或いは海水等を原料として、先ず、Ca
(OH)2との反応によりMg(OH)2結晶を調整し、純
度等の調整の目的で圧縮洗浄等によって1回叉は洗浄と
結晶調整を挟む2回以上の焼成によってMgOとされ、
必要に応じて粉砕、分級等による粒度調整を行って製品
とされる。
【0008】MgOの性状の中でグラス被膜形成とこれ
に関連してインヒビターの安定性ひいては磁気特性に影
響する因子としては、MgOの純度、粒度、活性度、鋼
板への密着性等が主なものであるが、鋼板に塗布される
際には、水和の進行度合い、粒子の水スラリー中の分散
状態、塗布量等がある。このため、優れたグラス被膜と
磁気特性を有する方向性電磁鋼板を得るためには、これ
らの条件を最適にすることが重要である。
【0009】前述のように通常、MgOは必要に応じて
反応促進剤として配合する少量の添加剤と共に水に懸濁
させてスラリー状として鋼板に塗布される。この際、M
gOの製造条件によっては、例えば、高活性の場合、水
との混合攪拌条件によってはMgO→MgO(OH)2
なる水和反応が生じ、コイル内(板間)に水分を持ち込
む結果、板間露点を高め且つコイル長手方向及び幅方向
において雰囲気状態を不均一にする問題がある。このた
め、仕上げ焼鈍昇温過程で不均一で、過剰な追加酸化を
生じさせ、スケール、ガスマーク、ピンホール、変色等
の重度の被膜欠陥を引き起こす。ところが、この高水和
による問題点を解決するための手段としては、一般的に
は、高温焼成による方法が採用される。この方法とし
て、一般的には特開昭55−73823号公報に開示さ
れた高温焼成による方法が採用される。しかし、このよ
うに焼成温度を上げることで得られた低活性MgOで
は、水和性の低下は得られるが活性(反応性)や付着性
が低下する欠点がある。叉、特開昭62−156226
号公報にはMgO粒子の最表面層を活性化処理する方法
が提案されている。この方法では、高温焼成したMgO
の最表面層のみを気相中で処理して水和層を形成するも
のである。これによりグラス被膜と磁気特性のかなりの
向上が見られている。
【0010】更に、焼鈍分離剤中への添加剤によるグラ
ス被膜及び磁性の改善技術として、特公平2−5820
号公報にはSb,Sr,Ti,Zrの塩化物の一種叉は
二種以上をMgO:100重量部に対して0.02〜
1.5重量部添加する方法が提案されている。これによ
り、添加剤化合物が鋼板表面の酸化層成分のSiO2
ッチ化と緻密化をもたらし、仕上げ焼鈍において追加酸
化の抑制と反応促進効果をもたらして優れた鉄損特性と
グラス被膜が得られるものである。
【0011】叉、特開平3−120376には前記のよ
うな塩化物の添加技術の改善技術としてMg,Na,K
及びCaから選択された金属塩化物をMgOへ添加すれ
ば硫酸アンチモン、メタほう酸ナトリュウムの併用なし
に磁気特性の改善効果が得られることが示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、MgO性
状や反応促進剤としての添加物を改善することでグラス
被膜形成反応が改善され、効果が得られている。しか
し、鋼成分、脱炭焼鈍条件や最終仕上げ焼鈍条件によっ
ては被膜特性や磁気特性が不安定になる場合があり、未
だ十分な技術とはいえず、更なる技術改善が望まれてい
るところである。
【0013】本発明者等は低水和で且つ高反応性の焼鈍
分離剤の実現に到達すべく、低水和MgOの反応性向上
策について膨大な研究と実験を行って検討した。その結
果、比表面積が大きく且つ低活性のMgOにMgOの製
造段階或いはスラリー調整段階でFe化合物をFeとし
て一定量含有するもの、又、このFe含有MgOにフッ
素及び/叉は塩素を複合含有させた焼鈍分離剤を用いる
ことにより、従来のMgOや塩素化合物添加技術による
改善技術によるグラス被膜や磁気特性の向上効果を更に
上回る改善効果が得られることを見いだした。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、微粒子且
つ低活性のMgO粒子の反応性向上策として、特にMg
O中に存在させる不純物としてFe化合物に着目しFe
の酸化物、水酸化物、炭酸化合物を一定量含有させると
反応性が顕著に改善され、又、F及び/またはCl化合
物を共存させた場合に極めて安定したグラス被膜形成反
応が得られることを発見した。
【0015】これにより、従来技術では実現できなかっ
たMgO表面水和層による反応性向上や、本発明者等に
よる塩化物添加技術を凌ぐ技術の開発に成功した。即
ち、広範囲の仕上げ焼鈍条件下においてグラス被膜が均
一で、磁気特性がコイル全面、全長に渡って良好な方向
性電磁鋼板を得ることに成功した。本発明の要旨は以下
のとおりである。 (1)所定の厚みに冷延した珪素鋼帯を脱炭焼鈍し、M
gOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍す
ることからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、B
ET比表面積15〜100m2 /g、CAA値45〜3
00秒のMgOであって、且つFe化合物として酸化
物、水酸化物、炭酸塩の1種叉は2種以上をFeとして
0.15〜5.0%含有する焼鈍分離剤を前記脱炭焼鈍
後の鋼板に塗布し、仕上げ焼鈍を施して優れたグラス被
膜を得るための方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】(但し、CAA値:液温度30℃における
測定値、BET:気層吸着法(N吸着量)により求めた
表面積) (2)所定の厚みに冷延した珪素鋼帯を脱炭焼鈍し、M
gOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍す
ることからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、B
ET比表面積15〜100m2 /g、CAA値45〜3
00秒のMgOであって、且つFe化合物として酸化
物、水酸化物、炭酸塩の1種叉は2種以上をFeとして
0.15〜5.0%と、同時にフッ素化合物、塩素化合
物の1種叉は2種以上をF及び/叉はClとして0.0
10〜0.150%含有する焼鈍分離剤を前記脱炭焼鈍
後の鋼板に塗布し、仕上げ焼鈍を施して優れたグラス被
膜を得るための方向性電磁鋼板の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の適用にあたっては、出発
材としてはSi:2.5〜4.0%含む珪素鋼スラブを
公知の方法で熱延し、1回叉は焼鈍を挟む2回以上の冷
延を行い、最終板厚とし、次いで脱炭焼鈍を行って表面
にSiO2 を主成分とする酸化膜を形成したいわゆる脱
炭焼鈍板が用いられる。この鋼板にMgOの製造段階か
使用時のスラリー調整段階で前記Fe化合物として酸化
物、水酸化物、炭酸塩の1種叉は2種以上と必要に応じ
てフッ素化合物及び/叉は塩素化合物を同様にして一定
量含有するように調整した焼鈍分離剤をスラリーとして
均一に微細分散した後、連続ラインにおいてコーティン
グロール等で塗布し、150〜400℃(板温度)程度
の温度で乾燥し、コイルに巻き取られる。この際、焼鈍
分離剤MgOにはグラス被膜形成の反応促進補助剤、板
間露点調整剤、インヒビター強化補助剤として、他の酸
化物、ほう素化合物、硫黄化合物、窒素化合物等が鋼成
分や処理条件に応じて添加配合される。
【0018】このように処理されたコイルは、最終仕上
げ焼鈍としてバッチ式、或いは連続式炉内において12
00℃で20Hrのような高温、長時間処理がなされ、グ
ラス被膜形成と二次再結晶及び純化が同時に行われる。
方向性電磁鋼板においては、この際のグラス被膜の形成
時期、形成量、形成状態等がインヒビターAlN,Mn
S等の分解速度に影響を与えたり、グラス被膜の質、張
力或いは純化反応等に影響を及ぼす結果、製品のグラス
被膜特性と磁気特性を左右するものである。
【0019】このようにして処理されたグラス被膜形成
後のコイルは、連続ラインにおいて余剰の焼鈍分離剤を
水洗により除去し、軽酸洗の後、絶縁被膜剤を塗布し、
その焼き付けと形状矯正、歪取り焼鈍をかねてヒートフ
ラットニングが行われ、最終製品とされる。この際、方
向性電磁鋼板は、とりわけ高磁束密度材においては被膜
張力による鉄損、磁歪等の改善効果が大きいことから、
仕上げ焼鈍で形成したグラス被膜の張力効果を更に向上
するために絶縁被膜成分としては張力付与型のものが適
用される。
【0020】この張力被膜剤としては、例えば固形分で
コロイダルシリカ100重量部に対し、Al,Mg,C
a等の燐酸塩の1種叉は2種以上を130〜200重量
部とクロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩の1種叉は2
種以上をCrO3 として12〜40重量部配合したもの
を用いるのが経済的に高張力被膜を得るのに好適であ
る。
【0021】この後、更に鉄損を改善しようとする場合
には、レーザー、歯形ロール、エッチング、局部メッキ
等により圧延方向とほぼ直角方向に線状、点状に間隔と
深さをコントロールして、歪、疵、メッキ層等を処理し
て磁区細分化処理が行われる。次に本発明の限定理由を
述べる。先ず、本発明に適用されるMgOの性状として
は比表面積が15〜100m2 である。MgOの比表面
積は大きいほど反応性の向上に有利である。しかし、製
造上の問題と水和性の問題から制約がある。15m2
g未満では本発明のFe化合物含有によっても反応性が
十分でない。一方、100m2 /g超ではスラリー調整
時の水和水分の制御が困難になるため制限される。次
に、MgOのCAA値は45〜300sec である。CA
A値はMgOの反応性を示す代表的な値の一つである。
本発明のように焼鈍分離剤中にFe化合物或いはFe化
合物とF及び/叉はClを複合含有する場合には、グラ
ス被膜形成反応が飛躍的に向上する。また、グラス被膜
が仕上げ焼鈍のより低温から形成され、高温域での追加
酸化抑制効果が強くなり、コイル内での均一化効果をも
たらす。このため、本発明においては、CAA値の広範
囲のMgOにおいてグラス被膜形成の良好域が見られ
る。しかし、CAA値45秒未満の場合、現場作業にお
いては、スラリー調整時に水和水分の安定した制御が困
難になり高水和をもたらす場合がある。このため、仕上
げ焼鈍における過酸化の問題から被膜欠陥や磁性不良を
引き起こす場合があるため制限される。また、CAA値
300秒超では、MgO粒子が不活性過ぎてFe化合物
やFe化合物とF及び/叉はCl化合物による反応促進
効果を以てしても反応性不良の問題が生じ易くなるため
制限される。
【0022】また、Fe化合物は酸化物、水酸化物、炭
酸塩或いはこれらの複合物で含有するように調整され
る。Fe化合物の含有量はFeとして0.15〜0.5
0%の範囲である。0.15%未満ではFe化合物によ
る反応促進効果が極度に弱くなる。一方、5%超の場
合、低融点と反応促進作用が過剰となり、ピンホール状
欠陥やスケール状欠陥が生じ易くなるため制限される。
本発明におけるこのようなFe化合物の焼鈍分離剤への
配合状態は、MgOの製造過程の焼成以前に配合し一部
固溶状態になったもの叉は混合状態になったもの、或い
は通常のMgOに添加するもの等何れの状態でも良い。
また、本発明におけるFe化合物の中で、酸化物が最も
安定して良好であるが水酸化物、炭酸塩の場合にも仕上
げ焼鈍の昇温過程で分解し、酸化物に変化し、ほぼ同様
の効果をもたらす。
【0023】複合的に添加されるF化合物及びCl化合
物の量はF及び/叉はClとして0.010〜0.15
0重量部である。Fe化合物を含有するMgOにこれら
のハロゲン元素化合物を複合した場合、それらの単独で
含有する場合に比し更に大きい効果が生じ、グラス被膜
と磁気特性の大幅な改善が得られる。F及び/叉はCl
量として0.01%未満では、このグラス被膜形成反応
促進及び安定化効果が十分に発揮できない。0.01〜
0.15%の範囲では、Fe添加効果を補って、仕上げ
焼鈍の条件の広範囲に渡って良好なグラス被膜形成と磁
気特性の改善が顕著に得られる。0.15%超では、被
膜界面における融点低下が過度に生じて酸化過度特有の
ピンホール状金属光沢斑点やスケール等の欠陥を生じ
る。また、余剰のフッ素化合物や塩素化合物による高温
でのグラス被膜と地鉄界面のエッチング反応が生じ、グ
ラス被膜が不均一になったり、薄くなる、いわゆるグラ
スレス化による欠陥が生じるため制限される。
【0024】MgO製造時にこれらフッ素或いは塩素元
素のソースとして添加される化合物としては、H,L
i,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Ti,Zr,
V,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,
Cu,Zn,Ag,Cd,Al,Sn,Pb,Sb,B
i,Bの中から選ばれる元素よりなるフッ素化合物叉は
フッ素化合物及び塩素化物の1種叉は2種以上を最終製
品のMgO中で少なくともF及び/叉はClとして0.
01〜0.15%含有するように添加量を調整したり、
MgOの製造途中工程における洗浄工程、焼成条件をコ
ントロールすることで目的量に制御する。
【0025】また、本発明においては前記のようにMg
Oの製造段階でフッ素或いは塩素化合物を用いてフッ素
量と塩素量を調整することの他にMgOの使用段階でフ
ッ素或いは塩素元素のソースとして、酸或いは金属化合
物等で添加調整することもできる。この場合には、H,
Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Ti,Z
r,V,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,N
i,Cu,Zn,Ag,Cd,Al,Sn,Pb,S
b,Bi,Bの中からなるフッ素化合物叉はフッ素化合
物及び塩素化物の1種叉は2種以上をMgOスラリー中
でF及び/叉はClとして、0.01〜0.15%含有
するようにMgOスラリー調整時に添加する。これらの
添加剤によっても製造時のフッ素、塩素の調整と同様に
効果がもたらされる。
【0026】添加量がF及び/叉はClとして0.01
〜0.15%になる範囲であれば、製造時の調整と同様
な効果が得られる。0.010%未満の場合と0.15
重量部超の場合、MgO製造時におけるF及び/叉はC
lの限定理由と同じ理由によって制限される。なお、本
発明を適用する珪素鋼帯の組成は、重量%でSi≦4.
0%、好ましくはSi:2.5〜4.0%を含有し、そ
れ以外の組成については通常の方向性電磁鋼板に含有さ
れる組成と含有量で十分である。
【0027】
【実施例】
<実施例1>重量%でC:0.079、Si:3.2
8、Mn:0.065、S:0.025、Al:0.0
27、N:0.0078、Cu:0.06、Sn:0.0
12、残部を鉄と不可避の不純物からなる高磁束密度方
向性電磁鋼板素材を公知の方法で熱延、焼鈍、冷延を行
い、最終板厚0.23mmとした。その後、N2 25%+
2 75%、露点68℃の雰囲気中で850℃で120
秒間の脱炭焼鈍を行った。次いで、表1に示す組成の比
表面積45m2 /g、CAA値60秒のMgO100重
量部に対し、TiO2 :5重量部、Na2 4 7
0.3重量部配合した焼鈍分離剤を鋼板に塗布し、乾燥
後コイルとして捲取り、1200℃で20Hrの最終仕上
げ焼鈍を行った。この後、絶縁被膜剤として30%コロ
イダルシリカ:70ml、50%りん酸アルミニュウム:
50mlからなるコーティング剤を乾燥、焼き付け後の重
量で5g/m2 になるように塗布し、連続炉中で850
℃、30秒間のヒートフラットニング処理を行い最終製
品とした。
【0028】この試験におけるグラス被膜形成状況、絶
縁被膜特性、磁気特性の結果を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】この結果、本発明のようにFe化合物を一
定量含有する焼鈍分離剤を使用した場合には、光沢の良
いグラス被膜が均一に、厚く形成され、被膜張力、密着
性及び磁気特性の優れた結果が得られた。一方、比較例
のFe化合物を含有しない場合には、グラス被膜が十分
に形成されず、被膜張力、密着性が悪いばかりでなく、
磁気特性もかなり劣る結果となっていた。 <実施例2>重量%でC:0.054、Si:3.3
5、Mn:0.11、Al:0.030、S:0.00
75、N:0.0078、Sn:0.04、残部をFe
と不可避の不純物からなる方向性電磁鋼板スラブを公知
の方法で1150℃の低温で加熱後、熱延し、焼鈍と冷
延により最終板厚0.23mmとした。このコイルを連続
焼鈍ラインにおいてN2 25%+H2 75%、露点66
℃の雰囲気中で835℃で110秒間脱炭焼鈍し、引き
続き鋼中N量が200ppm となるようにN2 25%+H
2 75%+NH3 のドライ雰囲気中で750℃で30秒
間の窒化処理を行って出発材とした。
【0032】この鋼板に表3に示すようにMgOの製造
段階でFe化合物、F化合物、Cl化合物を最終焼成前
のMg(OH)2の結晶調整段階で添加し、焼成後にFe
2 3 をFeとして0.5%及び1.5%と、且つ、
F,Clを一定量含有し、それぞれ比表面積が35m2
/g、CAA値100秒となるように製造したMgOを
100重量部に対し、TiO2 を5重量部からなる焼鈍
分離剤スラリーを塗布し、乾燥後コイルに巻き取った。
次いで、実施例1と同様に最終焼鈍と絶縁被膜材処理を
施して最終製品とした。この試験におけるグラス被膜と
磁気特性の結果を表4に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】この試験の結果、本発明のFe化合物、フ
ッ素化合物、塩素化合物をMgO焼成前に添加してF
e,F及び/またはCl量を調整したMgOを適用した
コイルは、いずれもグラス被膜形成反応が優れ、良好な
グラス被膜特性と磁気特性が得られた。一方、比較例の
Fe化合物、F及びClをMgO中に含有しない場合に
は、グラス被膜の形成状況が極度に悪く、磁気特性も著
しく悪い結果となった。
【0036】図1に本発明2,8、比較例1の焼鈍分離
剤を用いた場合の仕上げ焼鈍昇温過程の被膜形成状況を
示す。本発明の焼鈍分離剤のものは、より低温から被膜
形成が行われ、特に、Fe化合物とF,Clのハロゲン
元素化合物を複合含有する場合が反応性が優れているこ
とが判る。図中のMgO量(g/m2)は鋼板表面のグラ
ス被膜を定電位電解法で剥離し、Mgを定量した後、M
gOに換算した値である。
【0037】
【発明の効果】本発明はMgOの製造過程或いはスラリ
ー調整段階でFe化合物として酸化物、水酸化物、炭酸
塩を含む比表面積が大きく、低水和のMgOを提供す
る。さらに、この結果、Fe化合物によるグラス被膜形
成の促進効果が得られ、特に、Feと共にF,Clを複
合含有させた焼鈍分離剤では、極めて安定して良好なグ
ラス被膜と磁気特性の方向性電磁鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の焼鈍分離剤を用いて最終仕上げ焼鈍
の昇温過程のグラス被膜の形成状況を調査した結果であ
る。図中のMgO量(g/m2)は、鋼板表面の被膜を定
電位電解法により剥離し、Mgを定量したあとMgOと
して換算した値である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 紀宏 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 田中 収 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の59 日鐵プラント設計株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の厚みに冷延した珪素鋼帯を脱炭焼
    鈍し、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上
    げ焼鈍することからなる方向性電磁鋼板の製造方法にお
    いて、BET比表面積15〜100m2 /g、CAA値
    45〜300秒のMgOであって、且つFe化合物とし
    て酸化物、水酸化物、炭酸塩の1種叉は2種以上をFe
    として0.15〜5.0%含有する焼鈍分離剤を前記脱
    炭焼鈍後の鋼板に塗布し、仕上げ焼鈍することを特徴と
    する優れたグラス被膜を得るための方向性電磁鋼板の製
    造方法。(但し、CAA値:液温度30℃における測定
    値、BET:気層吸着法(N吸着量)により求めた表面
    積)
  2. 【請求項2】 所定の厚みに冷延した珪素鋼帯を脱炭焼
    鈍し、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上
    げ焼鈍することからなる方向性電磁鋼板の製造方法にお
    いて、BET比表面積15〜100m2 /g、CAA値
    45〜300秒のMgOであって、且つFe化合物とし
    て酸化物、水酸化物、炭酸塩の1種叉は2種以上をFe
    として0.15〜5.0%と、同時にフッ素化合物、塩
    素化合物の1種叉は2種以上をF及び/叉はClとして
    0.010〜0.150%含有する焼鈍分離剤を前記脱
    炭焼鈍後の鋼板に塗布し、仕上げ焼鈍することを特徴と
    する優れたグラス被膜を得るための方向性電磁鋼板の製
    造方法。
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