JP4632775B2 - 焼鈍分離剤用のMgOの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、変圧器や発電機の鉄心に利用される方向性電磁鋼板のフォルステライト系絶縁被膜形成のために用いられる焼鈍分離剤用のMgOの製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、2次再結晶現象を利用して、鋼板を構成する結晶の方向を磁化させるのに有利な(110)〔001〕方位に揃えた鋼板である。2次再結晶の方法は、微細に分散析出させたAlN、MnSおよびMnSeなどのインヒビターが1次再結晶粒の成長を抑制する作用を利用し、結晶方位の優れた核のみを異常粒成長させることによって、方位の優れた粒からなる結晶組織の製品を得るものである。
かかる方向性電磁鋼板は、一般的に、次に述べる方法によって鋼板表面に絶縁被膜が形成されている。
すなわち、所望の板厚に冷間圧延した電磁鋼板を、湿水素中にて 700〜900 ℃の温度で脱炭焼鈍し、その後MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してからコイルに巻取り、2次再結晶と鋼板の純化を目的とする最終仕上げ焼鈍を施す。この時、脱炭焼鈍で鋼板表面に生成したSiO2を含むサブスケールと塗布されたMgOとが反応することで絶縁被膜が形成される。
かかる絶縁被膜は、少量のスピネル(MgAl2O4) や窒化チタン(TiN)を含有することはあっても、主成分がフォルステライト(Mg2SiO4) からなるので、フォルステライト被膜、フォルステライト質あるいはフォルステライト系被膜と呼称されており、製品の外観や電気絶縁性の良否を決定するもので、不均一な被膜の場合は製品の製造歩留りを低下させる。
また、フォルステライト系被膜の生成過程は、鋼板表層のインヒビター分解挙動にも影響を与え、2次再結晶ともかかわってくるので、かような被膜の良否が製品の磁気特性の良否にも少なからぬ影響を及ぼす。従って、かかる被膜の特性を向上させることは、方向性電磁鋼板の製造技術において極めて重要な位置を占めている。
フォルステライト系被膜形成反応の一方の原料である焼鈍分離剤の主要構成物であるMgOは、かかる被膜形成反応に多大な影響を及ぼすことが知られており、これに関しては、これまでにも数多くの研究がなされてきた。
例えば、特許文献1には、焼鈍分離剤として用いるMgOの1次粒子粒度に着目し、1次粒子の粒径が 170〜280 Å( 0.017〜0.028 μm ) の範囲に入るような水和反応が容易に進行する種類のMgOをスラリーとして塗布し、鋼板を実質的に純粋の水酸化マグネシウムで被覆する方法が提案されている。また、特許文献2には、不純物の含有量が 0.2%以下の水酸化マグネシウムを低温と高温の2段階で焼成して得られた3μm 以下の大きさの粒子を少なくとも70%以上含むMgOを用いることが提案されている。さらに、特許文献3には、44μm 以上の粒子を1〜20%含有する不活性MgOの利用が提案されている。
その他、特許文献4には、所定の純度と比表面積、1次粒子径を有する低活性のMgOで、クエン酸との反応における活性度において活性度分布の狭いMgOが提案されている。また、特許文献5には、MgO中のCaOと水和量の合計値を所定範囲以下に制御する技術が開示されている。さらに、特許文献6には、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、高純度酸化マグネシウムを原料として焼成するMgO中のCaOとBの含有量の積の値およびクエン酸活性度の値を所定範囲に制御したMgOが提案されている。またさらに、特許文献7には、Clを含有したMg(OH)2 にホウ素化合物を所定量添加し、高水蒸気分圧下で焼成したMgOが提案されている。
特公昭41−3726号公報 特公昭45-14162号公報 特公昭54-14566号公報 特公昭57-45472号公報 特公昭56-15787号公報 特開平1−177376号公報 特公平7−45322 号公報
上記の技術によって、被膜の点状欠陥(ベアスポット)、密着性不良、被膜形成不良(テンパーカラー)、被膜模様および白膜等の問題は解決されてきたが、近年次に述べるような新たな問題が発生してきた。
すなわち、方向性電磁鋼板の製造コスト低減のためコイルの大型化が進行したこと、およびMgOの製造コスト低減のためその焼成法として従来のマッフル炉を用いる方法からロータリキルンを用いる方法に変更されてきたことに伴い、鋼板板幅方向中央部において被膜の変色や密着性の劣化および磁気特性の劣化が頻繁に生じるようになってきたのである。
前述したように、フォルステライト被膜は、脱炭焼鈍後の鋼板表面に生成したSiO2を含むサブスケールとMgOとの反応により最終仕上げ焼鈍時に形成されるが、この反応の時期が被膜特性や磁気特性を制御する上で重要である。例えば、低温度から被膜形成反応が進行する場合、被膜にはテンパーカラーや黒色模様、点状欠陥等が発生し、また磁気特性は方位の劣る2次再結晶粒が成長するために劣化する。逆に、高温度になって被膜形成反応が進行する場合には、被膜は白膜や密着性不良となり、磁気特性は2次再結晶不良のためやはり劣化する。
従って、被膜形成反応の活性を調節することが重要であり、このため反応の一翼を担うMgOの活性度を制御することが従来から行われてきた。
しかしながら、この反応の活性は、当然のことながらMgOの活性度のみに依存しているわけではなく、脱炭焼鈍板表面に生成したSiO2を含むサブスケールの活性度およびコイルサイズなどによって変化する最終仕上げ焼鈍時のコイル層間の雰囲気とも相関がある。
さて、脱炭焼鈍時の酸化によって鋼板表面に生成したサブスケールの活性度は、脱炭焼鈍温度や雰囲気酸化性が低くなるに従って低下する。また、鋼中にSbやAlが含有されることによってもサブスケールの活性度は低下する。
一方、最終仕上げ焼鈍時のコイル層間の雰囲気は、焼鈍分離剤中のMgOの水和水から発生する H2Oの分圧や通入雰囲気のH2分圧によって変化し、雰囲気の酸化性が高くなると反応が抑制される。特に、コイルが大型になるとコイル中心部のコイル層間の雰囲気の酸化性が過剰に高くなり、被膜欠陥や磁気特性の劣化が生じる傾向が強くなる。
従来、マッフル炉で焼成されたMgOの活性度分布は極めて広く、また方向性電磁鋼板のコイルも小型であったため、鋼板成分の差異や脱炭焼鈍温度、雰囲気酸化性の変更によるサブスケールの活性度の変化に対しても十分に対応することができ、従って上述したような問題は生じなかった。
しかしながら、ロータリキルンで焼成されたMgOは、前掲特許文献4に示されるように本来的に活性度分布が極めて狭く、コイルの大型化や脱炭焼鈍板表面サブスケールの活性度の変化に対して十分に対応することができないため、上述したような鋼板板幅方向の中央部における被膜欠陥や磁気特性の劣化が発生し、大きな問題となってきたのである。
また、ロータリキルンで焼成したMgOは、焼成ロット内における均一性は極めて優れているが、焼成時間が短いためロット間でのバラツキが大きいことから、製造チャンスによって製品の良、不良の大きな波が発生するという問題も起きている。
上記の問題に対して、前述した先行技術では満足いく対処ができず、有効な効果をあげることができなかったため、その解決が望まれていた。
この発明は、上記の要請に有利に応えるもので、大型の電磁鋼板コイルに対して、ロータリキルン焼成のMgOを焼鈍分離剤の主成分として用いた場合でも、優れた被膜特性と磁気特性を有する方向性電磁鋼板を製造することができる、焼鈍分離剤用のMgOの有利な製造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の問題に対しては、前掲特許文献2に開示されているような幅広い粒度分布を有するMgOの利用が適切ではないかと考え、ロータリキルンで焼成した各種MgOを混合することを試みた。
すなわち、ロータリキルンで焼成した粒度分布の狭い各種のMgOを混合して、粒度分布を拡大させたMgOを使用する試みである。しかしながら、ロータリキルンで焼成した狭い粒度分布を有するMgOを混合し、粒度分布を従来のマッフル炉焼成並みに拡大したMgOを使用してみたが、必ずしも所望の効果を挙げることはできなかった。
この理由は、上記のようにして混合されたMgOは必然的に広い活性度分布を有する、つまり鋼板表面サブスケールとの反応活性度が一致しない極端に低活性のMgOや逆に高活性のMgOを多量に含有しているため、鋼板が本来有している被膜特性と磁気特性を最高のレベルで引き出すことができないことによるものと考えられる。
すなわち、この発明で対象としている大型コイルの焼鈍分離剤用のMgOとしては、厳密にその粒度分布が目標値に向けて制御されたもので、しかも活性度や、その他の特性が最適であることが必要とされるのである。
しかしながら、上記の実験において、ロータリキルン焼成のMgOを混合したものでも、僅かとはいえ極めて良好な被膜特性と磁気特性を有する製品が得られる場合があった。
すなわち、2種以上の焼成MgOを混合することにより、ロータリキルン焼成MgOの欠点である1次粒子の凝集を効果的に抑制し、焼鈍分離剤塗布の均一性を高め、被膜特性や磁気特性の鋼板内における均一性を高め得る可能性が見い出されたのである。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、この発明は、ロータリキルン焼成によるMgO諸特性の均一性という長所を有効に活かす一方、欠点である焼成チャンスによる変動を効果的に低減することおよび混合することにより得られる塗布の均一性という利点を活用することにより、完成されたものである。
なお、先行技術である前掲特許文献4には、このような工夫がなされていなかったために、電磁鋼板コイルの大型化に十分対応できなかったものでと考えられる。
この発明の要旨構成は次のとおりである。
1.水酸化マグネシウムを、ロータリキルンにより焼成して得られる焼成MgO粉末を用いて方向性電磁鋼板の焼鈍分離剤用のMgOを製造するに際し、
(1) 該焼成MgO粉末を2種類以上用い
(2) 各焼成MgO粉末について、下記に示すA種目標値からの±偏差量あるいは下記に示すA種目標値とB種目標値群とF種許容量上限値から選ばれる1種以上の目標値または/および許容量上限値に加えて、下記に示すC種目標値とD種目標値群とE種許容量上限値群から選ばれる1種以上の目標値または/および許容量上限値からの±偏差量を測定し、
(3) この±偏差量に応じて各焼成MgO粉末の配合割合を決定して混合することにより、MgOの粉体特性を、
A種目標値を選んだ場合には、その目標値の±20%以内の値に、
B種目標値群から選んだ場合には、その目標値の±30%以内の値に、
C種目標値を選んだ場合には、その目標値の±50%以内の値に、
D種目標値群から選んだ場合には、その目標値の±90%以内に、
E種許容量上限値群およびF種許容量上限値から選んだ場合には、その許容上限値以下に調整すること、
を特徴とする焼鈍分離剤用のMgOの製造方法。

・A種目標値
活性度または活性度分布としての酸との所定割合の反応における反応時間目標値
・B種目標値群
比表面積の目標値
平均1次粒子径の目標値
Ig.loss の目標値
・C種目標値
CaO含有量目標値
・D種目標値群
CO2 含有量目標値
SO3 含有量目標値
・E種許容量上限値群
K,Naの合計含有量許容量上限値
Bの含有量許容量上限値
・F種許容量上限値
F,Clの合計含有量許容量上限値
2.上記1において、MgO混合のための各種目標値または各種許容量上限値を、1次再結晶焼鈍後の方向性電磁鋼板表面のサブスケールの活性度に応じて変更することを特徴とする、焼鈍分離剤用のMgOの製造方法。
3.上記1または2において、鋼中にAlを 0.010〜0.040 mass%含有する方向性電磁鋼板の焼鈍分離剤用のMgOについて、選ばれた目標値または許容量上限値からの±偏差量に応じて2種以上の焼成MgOを混合するに際し、各種目標値および許容量上限値を下記の各種目標値範囲および各種許容量上限値範囲から選び設定することを特徴とする、焼鈍分離剤用のMgOの製造方法。

・各種目標値範囲
活性度分布のとして40%CAA の目標値範囲として72〜108 秒間、80%CAA の目標値範囲として 250〜420 秒間
CaOの目標値範囲として0.20〜0.60mass%、CO2の目標値範囲として0.05〜0.3mass%、SO3 の目標値範囲として0.10〜0.40mass%
比表面積の目標値範囲として12〜20 m2/g
レーザー回折式粒度分布測定による50%累積重量平均粒子径の目標値範囲として 0.5〜3μm
Ig.loss の目標値範囲として 0.8〜1.3 mass%
・各種許容量上限値範囲
KとNaの合計含有量の許容量上限値範囲として 0.001〜0.007 mass%
B含有量の許容量上限値範囲として0.05〜0.35mass%
FとClの合計含有量の許容量上限値範囲として0.02〜0.07mass%
この発明に従うMgOを使用すれば、極めて優れた磁気特性ならびに被膜特性を有する方向性電磁鋼板を安定して製造することが可能になる。
以下、この発明を由来するに至った実験について述べる。
Si:3.36mass%を含有し、かつインヒビター成分として、Al:0.024 mass%、N:0.0085mass%、Mn:0.07mass%およびSe:0.018 mass%を含有する組成になり、板厚:0.22mmで板幅:1000mm、総重量:15トンの脱炭焼鈍後の鋼板を、11コイル用意し、鋼板表面に11種類の焼鈍分離剤を塗布してから、再び巻取ったのち、最後仕上げ焼鈍を施した。
この時、焼鈍分離剤としては、いずれもMgO:100 重量部に対し、TiO2:8重量部とSnO2:2重量部を配合したものを用いたが、MgOについては下記(A)から(K)の11種類のものを使用した。
すなわち、イオン苦汁を出発原料として、これと石灰乳とを反応させることによって水酸化マグネシウムを作り、この水酸化マグネシウムを焼成してMgOを製造したが、その焼成法および混合法を下記に示すように変化させた。なお、MgO(B)とMgO(C)の配合量は、MgO(A)に合わせて活性度分布が広くなるように設定したものである。
MgO種類 焼成方法および混合方法
・MgO(A) マッフル炉で焼成
(従来法) 昇温4時間、最高温度 950℃、30分間維持
・MgO(B) ロータリキルンを用い
(比較例) 下記の条件で焼成した第1回目のMgOを下記の配合割合で混合
850 ℃、15分間焼成したもの:3割
900 ℃、15分間焼成したもの:6割
950 ℃、15分間焼成したもの:1割
・MgO(C) ロータリキルンを用い
(比較例) 下記の条件で焼成した第2回目のMgOを下記の配合割合で混合
850 ℃、15分間焼成したもの:3割
900 ℃、15分間焼成したもの:6割
950 ℃、15分間焼成したもの:1割
・MgO(D) ロータリキルンで
(比較例) 910 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第1番の焼成品
・MgO(E) ロータリキルンで
(比較例) 910 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第2番の焼成品
・MgO(F) ロータリキルンで
(比較例) 910 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第3番の焼成品
・MgO(G) ロータリキルンで
(比較例) 910 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第4番の焼成品
・MgO(H) 下記MgOの混合品
(適合例) MgO(D):2割
MgO(E):5割
MgO(F):3割
・MgO(I) 下記MgOの混合品
(比較例) MgO(D)、MgO(E)およびMgO(F)を均等量混合
・MgO(J) 下記MgOの混合品
(適合例) MgO(E):4割
MgO(F):2割
MgO(G):4割
・MgO(K) 下記MgOの混合品
(比較例) MgO(E)、MgO(F)およびMgO(G)を均等量混合
最終仕上げ焼鈍としては、800 ℃まではN2雰囲気で、 800℃から1050℃までは25%のN2と75%のH2の混合雰囲気で、1050℃から1200℃までおよび1200℃で5時間の均熱はH2雰囲気で行ない、降温は 800℃までH2中で強制冷却し、800 ℃以下をN2中で冷却する熱サイクルと雰囲気を採用した。
最終仕上げ焼鈍後は、未反応焼鈍分離剤を除去したのち、50%のコロイダルシリカとりん酸マグネシウムからなる張力コートを塗布、焼付けて製品とした。
各製品から、圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を板幅方向全体にわたって切り出し、 800℃で3時間の歪取焼鈍を施したのち、1.7 Tの磁束密度における鉄損値(W17/50)および磁束密度(B8)を測定した。さらに最も劣化し易い製品板幅方向中央部における被膜外観と被膜密着性も調査した。
なお、被膜密着性については、円筒に製品の鋼板を巻き付け被膜が剥離しない円筒の最小の径でもってこれを表した。
得られた結果を表1に示す。
Figure 0004632775
表1に示したとおり、従来の焼成方法であるマッフルで焼成したMgO(A)や、それに合わせ広い粒度分布となるようにロータリキルン焼成品を一定配合割合で混合したMgO(B)およびその第2回目の試行品であるMgO(C)では、比較的、磁気特性や被膜特性は安定しているものの、最高の特性は得られていない。また、ロータリキルンで同一条件で焼成したMgO(D) 、MgO(E)、MgO(F)やMgO(G)については、同一の焼成条件で焼成したにも拘わらずMgOの特性は各ロット間で異なり、しかも方向性電磁鋼板の製品の磁気特性や被膜特性において大きなバラツキが発生し、これによっても最高の製品が得られていない。
これに対し、ロータリキルン焼成品を混合したMgO(H)、MgO(I)、MgO(J)およびMgO(K)においては、磁気特性や被膜特性の大きな変動は認められなかった。なかでも、単味(混合なしの1種類)で使用したMgO(D)からMgO(G)のなかで特性の比較的良好であったMgO(E)やMgO(G)の配合量を増加させて混合したMgO(H)およびMgO(J)の場合には、一定の混合割合としたMgO(I)やMgO(K)に比較して、格段に優れた磁気特性および被膜特性の製品を得ることができた。このような高特性は、単味で使用した場合には得られなかったものであり、多種のMgOを混合した効果に他ならない。
上記のような良好な結果が得られた理由について、発明者らは鋭意研究を進めた結果、MgO(H)やMgO(J)の特性は、用いた方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍板の表面サブスケールの活性度に最も適した特性に調合されており、これは、各ロットのMgOの特性に応じて混合割合を変えたことに起因するものであることが究明された。
従って、ロータリキルン焼成品の混合においては、最も好適なMgOの特性からの偏差量に応じて配合量を調整し、かかる特性を所定の範囲に収めることが重要なわけである。
さらに、ロータリキルン焼成のMgOについては、MgO(D)、MgO(E)、MgO(F)およびMgO(G)のように単味で使用した場合には、MgOの1次粒子の凝集が起こり易く、そのため焼鈍分離剤の塗布性が劣り鋼板表面塗布状態が不均一となり、これが被膜の不均一性を助長する作用があることも判明した。
この点、混合すれば、ロータリキルン焼成のMgOが有するかような欠点を有利に改善することができるのである。
さて、一定範囲に調整すべきMgOの特性としては、CAA 活性度や活性度分布、比表面積だけでなく、MgOの平均1次粒子径、Ig.loss や製造時に混入する各種不純物等があること、そしてこれらの範囲についてもそれぞれ適正値が存在することが判明した。
このうち、不純物については、多くのものが原料の水酸化マグネシウムの段階でバラツキを低減しておくことが必要であることはいうまでもないが、この発明の方法によって適宜MgOを混合することによって一定の目標範囲に収めることが可能となる。また、水酸化マグネシウムは、苦汁もしくは海水中に石灰乳を投入して生成した水酸化マグネシウムを沈降分離して得たり、MgOを水和させて得るが、その結晶粒子径は焼成後のMgOの特性に大きな影響を及ぼすことから、この発明の効果をさらに高めるためには、その結晶粒子径を一定に揃えることが好適であり、特にa軸方向の粒子径を 0.2〜20μm とすることが良好であることの知見を得た。
以上の実験と調査に基づいて、この発明は完成されたものである。
次に、この発明の焼鈍分離剤用MgOの限定理由について述べる。
この発明のMgOは、水酸化マグネシウムをロータリキルンで焼成して得られるMgO粉末である。原料となる水酸化マグネシウムは、食塩などの製造過程で発生する苦汁や海水中に石灰乳などを投入して生成する水酸化マグネシウムまたはMgOを水和して得られる水酸化マグネシウムを用いる。この時、不純物のバラツキをできるだけ抑えることおよび水酸化マグネシウムの結晶粒子径をできるだけ揃えることがこの発明の効果を一層高める上で役立つ。特に、水酸化マグネシウムの結晶粒子径、とりわけa軸方向の結晶粒子径は焼成MgO粒の粉体物性に及ぼす影響が大きいので 0.2〜20μm の範囲とすることが望ましい。というのは、a軸方向の結晶粒子径が 0.2μm 未満の場合には、焼成MgOについて所定の1次粒子径を得るために高温度での焼成が必要となり、その結果MgOの活性度が低下する傾向となって所望のMgOが得られ難くなり、逆に20μm を超える場合はろ過時の目詰まり傾向が強くなり水酸化マグネシウムの沈降分離に時間を要するようになるからである。
ロータリキルンは、回転する円筒炉の中に水酸化マグネシウムを通入、移動させながら短時間で焼成する方法で、温度分布がマッフル炉に比較して均一であるので粒度分布や活性度分布の狭い均一なMgOを得ることができる反面、焼鈍時間が短いので焼成チャンスが異なる場合品質が大きく変化する傾向がある。このようなロータリキルンで焼成したMgO粉について2種以上を配合して混合することがこの発明の特徴で、特にこの配合方法に工夫を加え、所定目標値からの±偏差量に応じて配合割合を調整して混合する点に、この発明の第1の特徴がある。
すなわち、ロータリキルンで焼成したMgOを単味(1種類)で用いた場合には、1次粒子の凝集が起こり易く、そのため焼鈍分離剤の塗布性が劣り鋼板表面塗布状態が不均一となり、これが被膜の不均一性を助長する作用がある。また、ロータリキルンでの焼成は、焼成ロット内の均一性は極めて良好ではあるが、焼成時間が短いため同一焼成条件で焼成してもロット間で大きなバラツキが生じ、方向性電磁鋼板コイルの大型化に伴って大量の不良品を発生するおそれがある。
このような欠点に対し、ロータリキルンで焼成したMgOを2種以上混合することにより、上記不良品の発生を格段に低減することが可能になると共に、MgOの特性が所定目標値により接近するため、被膜特性や磁気特性に関し極めて優れた方向性電磁鋼板が得られる利点がある。
各焼成MgOの配合割合を決定する方法としては、所定目標値や許容上限値からの±偏差量を基にして、偏差量を差し引いた値の比率を割り当てる方法、偏差量の逆数の比率を割り当てる方法および偏差量の少ない順に比率を徐々に低減していく方法など、広い自由度があり、いずれの方法であっても良い。要は、偏差量に応じて、配合割合を調整し混合後のMgOの特性に反映させることが肝要である。
また、配合割合を決定する手順としては、各種の所定目標値や許容上限値に対して独立の解を求め全てを満たす最適解を求める手順でもよいし、多変数線形結合の式を解くことによって最適解を求めるような手法、また各特性での評点の平均値を用いるような手法を採用しても良い。上述したように、要は混合後のMgOについて、各特性や成分が所定の範囲を満たすように配合すれば問題なく、この発明の方法により製造したMgOを焼鈍分離剤用に使用すれば、如何なる場合であっても常に安定して良好な磁気特性と被膜特性を有する方向性電磁鋼板を製造することが保証されるのである。
これに対し、実験例のMgO(B)やMgO(C)の例に代表されるように、一定割合で配合した場合は焼成したMgOのロット間のバラツキの影響を直接受けて、方向性電磁鋼板の特性は不安定なものとなるし、焼鈍分離剤のなかに不適合となるMgO構成成分を多量に含有することになる。
次に、配合量を決定する指標となる各種目標値や許容上限値の選定について述べる。
ロータリキルンで焼成したMgOは、活性度分布が極めて狭く、方向性電磁鋼板の被膜形成反応活性との不適合が発生し易くなるので、活性度または活性度分布を所定目標範囲に合致させるべく調合することが必須の要件となる。
MgOの特性としては、水酸化マグネシウムに強く依存するもの(CaO、CO2、SO3およびBの含有量)と焼成条件に強く依存するもの(1次粒子径、比表面積、Ig.loss、ClやFの含有量)に大きく類別されるが、活性度や活性度分布にはこれらの影響も反映されるので、操作の繁雑性を考慮すれば、活性度や活性度分布を所定目標範囲とすべく調合する方法を採用しても良い。しかしながら、活性度に加えて水酸化マグネシウムに強く依存する項目および焼成条件に強く依存する項目からそれぞれ1種以上選び調合する方法の方が、この発明の目的により有利に適合することは明らかである。
混合前の単味(1種類)のMgOについては、これを特に限定する必要はない。ロータリキルン焼成品は各ロット間でのバラツキが大きく、また原料となる水酸化マグネシウムのバラツキやその原料の変更に伴うバラツキを考慮するならば、ロータリキルンの焼成条件を一定とすることの意味はさほど大きくなく、これらを混合することおよび混合する際の配合割合の決定方法に重要な意味がある。従って、上記MgOとしては同一条件下でロータリキルンを用いて焼成した各ロットを対象としてもよいし、焼成条件を変更したMgOや原料を異にするMgOを対象としてもよい。しかしながら、本来望ましいMgOの諸特性の目標値に近いものとなるように各製造工程条件を選定して製造したMgOが好ましいことはいうまでもない。
管理すべきMgOの特性としては次のものがある。
すなわち、酸との反応による活性度および活性度分布、比表面積、1次平均粒子径、Ig.loss 、CaOの含有量、CO2 の含有量、SO3 の含有量、また許容上限値としてK,Naの合計量、F,Clの合計含有量、Bの含有量である。
さらに、これらMgOの諸特性の目標値の好適範囲や許容量上限値は、方向性電磁鋼板の1次再結晶焼鈍板(通常は脱炭をも必要とするので、多くの場合脱炭焼鈍板であるが)表面のサブスケールの活性度によって微妙に異なるので、混合の際のMgOの諸特性の目標値や許容量上限値をサブスケールの活性度に適合させておく方が良い。適合させるための方法としては、事前に各種MgOを何度か使用し適合するMgOの特性を把んでおく方法でもよいし、特開平7-103938号公報に示されるような鋼板表面の電解挙動を測定するような電気化学的な方法で求めたものでもよいし、最も一般的に行われる方法である鋼板表面サブスケールの酸素目付量に適合させるものであっても良い。
ここで、以下に各特性についてその作用と管理すべき理由を説明する。
活性度
活性度は、一般に一定量のMgOと一定濃度の酸との反応時間を測定すること、すなわちMgOの化学的反応性を測定することで得られる。さらに活性度分布については、特公昭57-45472号公報に開示されているように、活性度の測定においてMgOと酸との最終反応率を変化させることにより得られる。活性度分布は、分布が広い場合、最終反応率の増加と共に急激に反応時間が増大し、逆に分布が狭い場合、最終反応率の増加に対してさほど反応時間は増加しない傾向を有することにより測定される。さらに、酸の種類としてはクエン酸を用いることが一般的で、CAA(Citric Acid Activity) と呼称されている。
活性度は、MgOと方向性電磁鋼板表面のサブスケールとの反応活性を近似的に表すもので、活性度が低すぎる(反応時間が長すぎる)場合、被膜形成が高温度から開始されるため白膜や密着性不良の被膜が形成されたり、2次再結晶不良に起因する磁気特性の劣化が生じる。逆に活性度が高すぎる(反応時間が短すぎる)場合、被膜形成が低温度から開始されることに加え、必然的に水和量も多くなるのでテンパーカラーや点状被膜欠陥が発生し、方位の劣る2次再結晶の生成による磁気特性の劣化も発生する。水酸化マグネシウム中の不純物が多い場合や高温でMgOが焼成された場合にも活性度は低下する。
活性度分布については、上述したように、分布が広いと方向性電磁鋼板の1次再結晶焼鈍板の多様な変化(成分の変化、焼鈍条件のバラツキ、コイル重量の増大)に対応可能で比較的安定して方向性電磁鋼板が製造できる反面、1次再結晶焼鈍板の活性度に対応できないMgOも多く含むため、最高の品質の方向性電磁鋼板を得ることはできない。一方、活性度分布が狭い場合には、上記と逆の理由で1次再結晶焼鈍板とMgOの活性度が一致している場合最高の品質の方向性電磁鋼板が得られるが、MgOの活性度のわずかなずれによって大きく製品の品質が劣化するため、製造の安定性に欠ける傾向がある。
これら活性度および活性度分布の値は、方向性電磁鋼板の品質に最も大きな影響を及ぼすため、各目標値から±20%の範囲に収めることが必要である。
活性度については、一般に30℃におけるクエン酸と40%の最終反応率である40%CAA の値が用いられるが、この方法に限定されるものではない。また、酸の種類についても、クエン酸、塩酸、酢酸、蟻酸など任意に選択できる。
活性度分布としては、例えば40%CAA と80%CAA の2点を比較する方法や前掲特許文献4に開示されるように20%、40%、60%、70%といった4点で表される場合など最終反応率の測定点や個数など任意に設定でき、これにより活性度分布の測定は可能となる。
さらに、これら活性度や活性度分布の目標値の好適範囲は、方向性電磁鋼板の1次再結晶焼鈍板の表面のサブスケールの活性度によって微妙に異なるので、混合の際のMgOの目標値をサブスケールの活性度に適合させておく方が良い。ちなみにAlをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量 0.010〜0.040 mass%)には、この発明のMgOの活性度分布として40%CAA の目標値として72〜108 秒間の範囲に、80%CAA での目標値として 250〜420 秒間の範囲に設定することが好適である。
比表面積
比表面積は、粉体特性を表す一般的な指標の一つであって、単位重量当たりの粉体の表面積であるため、焼成温度が高くかつ焼鈍時間が長くなり、粉体粒子の径が大きくなった場合には小さな値となる。しかしながら、粒子径だけに依存しているのではなく、例えば粉体粒子表面の微妙な凹凸の存在により比表面積は増加し、これはMgOの反応性を高めることになるので、比較的重要とされる目標値であり、目標管理項目として採用された場合にはその好適範囲として目標値の±30%以内に収めることが必要となる。
すなわち、この値が低すぎる場合、サブスケールとの反応性が劣化し、白膜や密着性不良の被膜が形成されたり、2次再結晶不良に起因した磁気特性の劣化が生じる。逆に、この値が高すぎる場合、被膜形成においてテンパーカラーや被膜模様が発生し、さらに方位の劣る2次再結晶粒が成長することに起因して磁気特性の劣化を招く。
これらの目標値やその設定範囲も、方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍板の表面のサブスケールの活性度によって微妙に異なり、Alをインヒビター成分として含有する場合 (Al含有量 0.010〜0.040 mass%)には、この発明におけるMgOの比表面積の目標値としては、12〜20 m2/g 程度に設定することが好ましい。
1次粒子径
1次粒子径は、焼鈍温度や時間により変化するが、これが変化すると当然MgOの活性度が変化し、上述のように方向性電磁鋼板の製品の品質を左右する。
すなわち、1次粒子径が大きい場合、サブスケールとの反応性が劣化し、白膜や密着性不良の被膜が形成されたり、2次再結晶不良に起因した磁気特性の劣化が生じる。逆に、この値が小さすぎる場合、被膜形成においてテンパーカラーや被膜模様が発生し、さらに方位の劣る2次再結晶粒が成長することに起因して磁気特性の劣化を招く。
しかしながら、この値は、活性度ほど厳格に制御する必要はなく、目標管理項目として選ばれた場合には目標値に対して±30%の範囲に収めれば十分である。
一般に、1次粒子径の測定法には種々の方法があり、測定方法によって値が変わるが、これらの値には強い相関関係があるのでいずれの方法によって測定した値でも目標値として採用できる。平均1次粒子径の測定は、光透過式粒度分布計や沈降式粒度分布計など多くの方法があり、いずれの方法であっても有効であるが、通常、レーザー回折式粒度分布測定法で測定した50%累積重量平均値がよく使用される。これらの目標値の範囲も、当然,方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍板の表面のサブスケールの活性度によって微妙に異なり、Alをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量 0.010〜0.040 mass%)には、この発明のMgOにおけるレーザー回折式粒度分布測定による50%累積重量平均粒子径として、目標値は 0.5〜3μm の範囲に設定される。
Ig.loss
Ig.loss は、MgOを1000℃まで加熱した時の加熱減量率で示され、1000℃までの加熱においてMgOから散逸するH2O、CO2などの成分の総含有量を示す。この値は、焼鈍条件によって影響を受け、焼鈍温度が高くまた焼鈍時間が長くなるにしたがってIg.loss の値は小さくなる。MgOが有するH2Oは、最終仕上げ焼鈍中に鋼板表面を酸化させて、FeOやFe3O4, Fe2O3を鋼板表面に生成し、被膜形成の際、鋼板表面に生成するオリヴィン((MgXFe1-X)2SiO4) を維持、保護するのに有効で、被膜の均一性、密着性を向上させるが、過剰に含有する場合には点状欠陥を増大させる。従って、Ig.loss が大きい場合、サブスケールとの反応性が劣化し、白膜や密着性不良の被膜が形成されたり、2次再結晶不良に起因した磁気特性の劣化が生じる。逆に、この値が小さすぎる場合、被膜形成においてテンパーカラーや被膜模様が発生し、さらに方位の劣る2次結晶粒が成長することに起因して磁気特性劣化が発生する。
しかしながら、この値も、活性度ほど厳格に制御する必要はなく、目標管理項目として選ばれた場合には目標値に対して±30%の範囲に収めれば十分である。この目標値の範囲も、当然、方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍の表面のサブスケールの活性度によって微妙に異なり、Alをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量 0.010〜0.040 mass%)には、この発明のMgOにおけるIg.loss の目標値として 0.8〜1.3 mass%の範囲とすることが好ましい。
含有成分(有効不純物)
MgOは、水酸化マグネシウム生成工程や水洗工程、焼成工程において不純物が混入したり、除去されたりする。このうち、方向性電磁鋼板の製造に有用な不純物もいくつかあり、これらについてはその含有量を以下に述べる範囲に制御することが好ましい。
Caは、苦汁や海水に石灰乳を投入して水酸化マグネシウム結晶を析出させる工程で石灰乳から不純物として混入する。Caは、被膜の平滑性を増し、鋼板の純化も促進させる有用元素であるが、過剰に含有されると被膜の密着性が阻害されるので一定の含有量の範囲内に収めることが必要である。このCaは、CaOとして含有量を算定される。CaOが目標管理項目として選ばれた場合には、含有量の有効範囲は目標値の±50%であることが要求される。Alをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量 0.010〜0.040 mass%) には、この発明のMgOにおけるCaO含有量の目標値として、0.20〜0.60mass%の範囲に収めることが好ましい。
Cは、海水中の炭酸成分や石灰乳中の炭酸成分から混入する他、空気中の二酸化炭素を吸収して増加する。MgO焼成では、相当の量が気相中に散逸するが、一部は逆に吸収されるものもあり、焼成条件によって一定化はしない。Cは、含有量が少量であればMgOの塗布性を増し、鋼板表面塗布後の焼鈍分離剤の均一性が向上するので被膜特性を向上させる効果があるが、逆に多量である場合は鋼板内に侵入して磁気特性を劣化させる。従って、一定の含有量の範囲内に収めることが必要である。このCは、CO2 として含有量を算定される。Cは、極く少量で塗布性を向上させることができるし、磁気特性の劣化をもたらすには相当量の含有量を必要とするので、CO2 の適正範囲は広い。従って、CO2 が目標管理項目として選ばれた発明には、含有量の有効範囲は目標値の±90%で十分である。Alをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量 0.010〜0.040 mass%)には、この発明のMgOにおける CO2の目標値として、0.05〜0.3 mass%の範囲内に収めることが好ましい。
Sは、海水中の硫酸成分や石灰乳中の硫酸塩成分からの混入により増加し、水酸化マグネシウムの洗浄により減少する。MgOの焼成時には極く一部は散逸されるが大部分はMgO中に残存する。Sは、含有量が少量であれば鋼板内に侵入し表層部のインヒビター抑制力の強化に有効で磁気特性の向上に効果があるが、逆に多量である場合は抑制力が過剰となり方位の劣る2次再結晶粒が発現して磁気特性を劣化させ、また被膜に点状欠陥が発生するようになる。従って、一定の含有量の範囲内に収めることが必要である。このSはSO3 として含有量を算定される。Sの磁気特性向上効果は極く少量で発現するし、磁気特性の劣化をもたらすには相当量の含有量を必要とするので、SO3 の適正範囲は広い。従って、SO3 が目標管理項目として選ばれた場合には、含有量の有効範囲は目標値の±90%で十分である。Alをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量 0.010〜0.040 mass%)には、この発明のMgOにおけるSO3 の目標値は、0.10〜0.40%の範囲とされる。
上記した有効成分の含有量は、あくまでもMgO中の不純物の含有量であって、特定の効果を狙って焼鈍分離剤中に添加する場合においては、焼鈍分離剤中の含有量が上記した有効範囲以上になり得ることは明らかである。
また、この他にも特に管理する必要はないが、存在した方が好ましい不純物として MnOやFe2O3, SiO2 等があり、少量であればMgOへの含有は許容される。
含有成分(要排除不純物)
MgO中には、被膜形成、磁気特性上、有害な成分が存在するので、これら成分の許容上限値を厳守することが好ましい。
アルカリ金属は、被膜形成を抑制し、被膜の密着性を低下させるので、総量を規制することが好ましい。MgO中に含有されるアルカリ金属は、海水成分から混入するNaとKであり、目標管理項目として選ばれる場合には、両者の合計総量の許容上限値を厳守することが必要である。ここでAlをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量0.010〜0.040mass%)には、この発明のMgOにおけるKとNaの合計含有量の許容上限値は0.001〜0.007mass%の範囲に設定する必要があり、これを超えた場合には被膜に有害な影響がでる。
ハロゲン元素も、被膜形成を局部的に阻害し有害であるので、総量を規制することが好ましい。MgO中に含有されるハロゲンも海水成分から混入するもので、FとClが主要成分である。これらは、焼成時に大部分が気相中に散逸し焼成温度の上昇や焼成時間の増加に伴って含有量が低減する。これらは被膜形成に極めて有害であるので目標管理項目として選ばれる場合には、両者の合計総量の許容上限値を厳守することが必要である。ここでAlをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量 0.010〜0.040 mass%)には、この発明のMgOにおけるFとClの合計含有量の許容上限値は0.02〜0.07mass%の範囲で設定する必要があり、これを超えた場合には被膜に有害な影響がでる。
Bは、海水中に存在し、水酸化マグネシウムの結晶析出の際に混入し含有される。MgO焼成時には若干が気相中に散逸されるが大部分はMgO中に残存する。Bが大量にMgO中に存在すると、被膜の密着性を低下させたり、被膜と地鉄との境界にFeBの合金を形成し、ベンド特性や磁気特性を劣化させる。しかしながら、かかる悪影響が発現するのは高含有量になってからである。Bは低減しても他の条件が同一であれば、さして悪影響は現われないが、Bを低減するためには余分なコストを必要とし、また水酸化マグネシウムの結晶サイズを大きく成長させることが困難になるなど原料生産上の問題が発生する場合がある。Bが目標管理項目に選ばれる場合には、許容量の上限値を厳守することが必要であるが、その上限値は大きな値が許される。ここでAlをインヒビター成分として含有する場合(Al含有量0.010 〜0.040 mass%)には、この発明のMgO中に含有するBの含有量の許容上限値は、0.05〜0.35mass%の範囲で設定する必要がある。
かかるMgOは必要な添加剤を混合して焼鈍分離剤として方向性電磁鋼板の1次再結晶焼鈍板の表面に塗布される。
この時、添加剤としては TiO2, SnO2, SrSO4, Sr(OH)2, MgSO4, TiN, MnN,(MgO)nB2O3等従来公知の添加剤いずれもが適合する。1次再結晶焼鈍板は 多くの場合に脱炭焼鈍を兼ねているが、C含有量が低く脱炭が必要でない場合は表面にサブスケールが形成される程度に酸化されていればよい。この発明に従い、このサブスケールの活性度に合わせて最も有利なMgOを製造し、方向性電磁鋼板の被膜特性および磁気特性の最高値を得ることが可能となる。
1次再結晶板への塗布の方法としては、スラリー状にした後、塗布乾燥する方法や静電塗装など従来公知の方法が利用できる。塗布後の鋼板は、コイル状に巻かれて、最終仕上げ焼鈍に供される。最終仕上げ焼鈍では2次再結晶と被膜形成および鋼中不純物成分の純化が行われ、基本的な製品の特性がここで得られる。その後は、未反応の焼鈍分離剤を除去したのち、必要に応じて平坦化焼鈍を兼ねた絶縁コーティングを塗布焼き付けで製品とする。
なお、1次再結晶焼鈍板には、磁区細分化のために、コイル長手方向を横切る方向に多数の溝を鋼板表面に設けても良く、また最終仕上げ焼鈍後の鋼板表面にレーザーやプラズマジェットを照射し歪付与による磁区細分化処理や突起ロールでの溝付与による磁区細分化処理を施しても良いのはいうまでもない。
実施例1
C:0.001 mass%、Si:3.35mass%、Mn:0.07mass%、Cu:0.10mass%、Se:0.019 mass%、Al:0.022 mass%、Sb:0.02mass%およびN:0.008 mass%を含み、残部は不可避的不純物とFeの組成になり、板厚:0.22mm、板幅:1000mm、総重量:10トンの脱炭焼鈍後の鋼板で、鋼板の幅方向に磁区細分化処理として幅:100 μm 、深さ:20μm の溝を多数形成した鋼板を、10コイル用意し、鋼板表面に11種類の焼鈍分離剤を塗布し、再び巻取った後、最終仕上げ焼鈍を施した。
この時、焼鈍分離剤はいずれも、MgO:100 重量部に対し、TiO2:8重量部とSnO2:2重量部を配合したものを用いたが、MgOについては下記(L)から(U)までの10種類のものを使用した。
すなわち、イオン苦汁を出発原料として、これと石灰乳とを反応させることにより水酸化マグネシウムを作り、この水酸化マグネシウムを焼成してMgOを製造したが、その焼成法および混合法を下記に示すように変化させた。なお、MgO(M)とMgO(N)の配合量はMgO( L)に合わせて活性度分布が広くなるように設定したものである。
MgO種類 焼成方法および混合方法
・MgO(L) マッフル炉で焼成
(従来法) 昇温4時間、最高温度950 ℃、30分間維持
・MgO(M) ロータリキルンを用い
(比較例) 下記の条件で焼成した第1回目のMgOを下記の配合割合で混合
850 ℃、15分間焼成したもの:2割
900 ℃、15分間焼成したもの:6割
950 ℃、15分間焼成したもの:2割
・MgO(N) ロータリキルンを用い
(比較例) 下記の条件で焼成した第2回目のMgOを下記の配合割合で混合
850 ℃、15分間焼成したもの:2割
900 ℃、15分間焼成したもの:6割
950 ℃、15分間焼成したもの:2割
・MgO(O) ロータリキルンで
(比較例) 900 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第1番の焼成品
・MgO(P) ロータリキルンで
(比較例) 900 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第2番の焼成品
・MgO(Q) ロータリキルンで
(比較例) 900 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第3番の焼成品
・MgO(R) ロータリキルンで
(比較例) 900 ℃、15分間焼成したMgO
ロット第4番の焼成品
・MgO(S) 下記MgOの混合品
(適合例) MgO(O), MgO(P), MgO(Q)の80%CAA値を測定し、目標値を325 秒間とし、目標値からのずれの逆数の比率で配合量を分配し下記の割合で 混合した。
MgO(O):8.6 %
MgO(P):78.6%
MgO(Q):12.8%
・MgO(T) 下記MgOの混合品
(比較例) MgO(O), MgO(P)およびMgO(Q)を均等量混合
・MgO (U) 下記MgOの混合品
(適合例) MgO(P), MgO(Q), MgO(R)の80%CAA値を測定し、目標値を325 秒間とし、目標値からのずれの逆数の比率で配合量を分配し下記の割合で 混合した。
MgO(P):79.0%
MgO(Q):12.9%
MgO(R): 8.1%
最終仕上げ焼鈍としては、800 ℃まではN2 雰囲気で、 800℃から1050℃までは25%のN2 と75%のH2 の混合雰囲気で、1050℃から1200℃までおよび1200℃で5時間の均熱はH2 雰囲気で行い、降温は 800℃までH2 中で強制冷却し、800 ℃以下をN2 中で冷却する熱サイクルと雰囲気を採用した。最終仕上げ焼鈍後は未反応焼鈍分離剤を除去した後、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる張力コートを塗布焼き付けて製品とした。
各製品より圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を板幅方向の全体から切り出し 800℃, 3時間の歪取焼鈍を施した後、1.7 Tの磁束密度における鉄損の値W17/50 および磁束密度B8 を測定した。また、被膜特性が最も不良となる製品板幅中央部の被膜外観と被膜密着性も調査した。なお、被膜密着性については円筒に製品の鋼板を巻き付け被膜が剥離しない円筒の最小の径でもってこれを表わした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0004632775
表2に示したとおり、この発明に従い得られたMgO(S)やMgO(U)を焼鈍分離剤用のMgOとして使用した場合には、被膜特性に優れ、かつ磁気特性にも優れた方向性電磁鋼板を安定して製造することができた。
実施例2
C:0.04wt、Si:3.30〜3.38mass%、Mn:0.07mass%、Sb:0.02mass%、Se:0.016〜0.020 mass%およびMo:0.012mass%を含有し、残部は不可避的不純物とFeの組成になり、板厚:0.30mm、板幅:1000mm、総重量:20トンの冷間圧延鋼板を、820℃でP(H2O)/P(H2)=0.55の酸化性雰囲気中で均熱2分間の連続脱炭焼 鈍を行ったのち、2分割し、各鋼板の表面にそれぞれ2種類の焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃で8時間の焼鈍を行い、その後平坦化焼鈍を兼ねる張力コーティングの塗布と焼き付けを行い製品とした。
ここで、焼鈍分離剤としては、下記の2種類のMgOを用意し、いずれもMgO:100 重量部に対しTiO2:2重量部と SrSO4:3重量部を添加配合して用いた。
(1) イオン苦汁から製造した結晶粒子径:5μm の水酸化マグネシウムの各ロットを2分割し、一方をマッフル炉に入れ 950℃で4時間焼成し粉砕後用いる(従来例)。
(2) 残りの水酸化マグネシウムを、ロータリキルンで 940℃、10分間焼成し、MgOの目標特性として、40%CAA : 90 s、比表面積:18 m2/g を用いて各焼成ロットにつき偏差量を測定し、偏差量の逆数に比例する割合としてのCAA からの配合割合と比表面積からの配合割合を求め、各CAA と比表面積の配合割合の平均をとって実際の配合割合とし、焼成ロット4ロットを単位として混合した。この混合後のMgOにつき40%CAA の値および比表面積を再び測定し、前者については目標値の±20%以内に後者については目標値の±30%以内にそれぞれあることを確認して焼鈍分離剤用のMgOとし使用した。この再測定の値が上記範囲からはずれた場合には、第5番目のロットと混合後のMgOとで目標値からの偏差量に応じて再び配合割合を決定し、混合、再測定を行い良否を判断した(発明例)。
かかるMgOを用いて方向性電磁鋼板の製造の長期間にわたり、各40コイルを試験した。
この結果を図1に示す。
図1における磁気特性は鋼板板幅方向全体の試料についてのものであり、被膜特性は最も不良発生率が高い製品板幅中央部について行った。
図1から明らかなように、従来例に比較して、発明例は磁気特性も被膜特性においても安定して良好な値が得られている。
実施例3
C:0.05mass%、Si:3.05mass%、Mn:0.08mass%、Al:0.014mass%およびN:0.008mass%を含み、残部は不可避的不純物とFeの組成になり、板厚:0.35mm、板幅:1000mm、総重量:15トンの冷間圧延板コイルを、830 ℃でP(H2O)/P(H2)=0.50の酸化性雰囲気中で均熱2分間の連続脱炭焼鈍を行った後、各鋼板の表面に下記の各種MgOにそれぞれ、MgO:100 重量部に対しTiO2:4重量部とSnO2:3重量部と SrSO4:2重量部を添加した焼鈍分離剤をそれぞれ4コイルずつ、塗布チャンスを変え、塗布チャンスの度に新たにMgOを焼成し、必要に応じ混合して、鋼板表面に塗布しコイル状に巻取った後、1200℃で5時間の最終仕上げ焼鈍を施し、さらに平坦化焼鈍を兼ねて張力コーティングを塗布焼き付けて製品とした。
得られた製品の磁気特性と被膜特性について調査した結果を表3に示す。
MgOの種類 混合方法を含む製造方法
・MgO(V) 海水法によりa軸径:3μm の水酸化マグネシウムを製造し、マッフル炉 (比較例) で 930℃、6時間焼成したもの
・MgO(W) 海水法によりa軸径:4μm の水酸化マグネシウムを製造し、ロータリキ (比較例) ルンで 800℃、 850℃および 900℃で20分間焼成し、これらを等量ずつ混 合したもの
・MgO(X) 海水法によりa軸径:4μm の水酸化マグネシウムを製造し、ロータリキ (発明例) ルンで800℃、820℃、840℃および860℃で20分間の焼成を行いこれらを混 合してMgOとした。各MgOの混合割合は、この方向性電磁鋼板に使用して 良好な結果が得られることを予め確認しておいた目標値である、Ig.Loss として 1.1mass%、平均1次粒子径として 1.5μm 、CaOの含有量目標値 :0.30mass%からの各MgOの測定値の偏差量を求め、偏差量の少ない順か ら4,3,2,1の評点値を与えて各MgOの評点値の平均を求め、この平 均評点値の比率を各MgOの配合比率として混合した。混合後のMgOについ ても、Ig.loss 、平均1次粒子径およびCaOの含有量を測Ig.loss につい ては目標値の±20%以内、平均1次粒径については目標値の±30%以内、 CaO含有量については目標値の±50%以内にあることを確認して、焼鈍分 離剤用のMgOとして使用した。これらのいずれかの条件を満たさない場合 は、最も目標値に近い特性であったMgOの条件で再度ロータリキルンで焼 成し、このMgOと混合MgOとの間で上記混合の操作手順を用いて配合比率 を決定し混合した
・MgO(Y) 海水法によりa軸径:0.1 μm の水酸化マグネシウムを製造し、ロータリ (発明例) キルンで 800℃、 820℃、 840℃および 860℃で20分間の焼成を行い、こ れらを混合してMgOとした。混合の方法はMgO(X)と同一の方法を採用 した。
Figure 0004632775
表3から明らかなように、この発明に従い得られたMgO(X)やMgO(Y)を用いた場合には、被膜特性についても磁気特性についても極めて安定して良好な製品を得ることができた。
この発明に従い得られる焼鈍分離剤用MgOと従来の焼鈍分離剤用MgOを長期間にわたって使用した場合の被膜特性および磁気特性の変動を比較して示したグラフである。

Claims (3)

  1. 水酸化マグネシウムを、ロータリキルンにより焼成して得られる焼成MgO粉末を用いて方向性電磁鋼板の焼鈍分離剤用のMgOを製造するに際し、
    (1) 該焼成MgO粉末を2種類以上用い
    (2) 各焼成MgO粉末について、下記に示すA種目標値からの±偏差量あるいは下記に示すA種目標値とB種目標値群とF種許容量上限値から選ばれる1種以上の目標値または/および許容量上限値に加えて、下記に示すC種目標値とD種目標値群とE種許容量上限値群から選ばれる1種以上の目標値または/および許容量上限値からの±偏差量を測定し、
    (3) この±偏差量に応じて各焼成MgO粉末の配合割合を決定して混合することにより、MgOの粉体特性を、
    A種目標値を選んだ場合には、その目標値の±20%以内の値に、
    B種目標値群から選んだ場合には、その目標値の±30%以内の値に、
    C種目標値を選んだ場合には、その目標値の±50%以内の値に、
    D種目標値群から選んだ場合には、その目標値の±90%以内に、
    E種許容量上限値群およびF種許容量上限値から選んだ場合には、その許容上限値以下に調整すること、
    を特徴とする焼鈍分離剤用のMgOの製造方法。

    ・A種目標値
    活性度または活性度分布としての酸との所定割合の反応における反応時間目標値
    ・B種目標値群
    比表面積の目標値
    平均1次粒子径の目標値
    Ig.loss の目標値
    ・C種目標値
    CaO含有量目標値
    ・D種目標値群
    CO2 含有量目標値
    SO3 含有量目標値
    ・E種許容量上限値群
    K,Naの合計含有量許容量上限値
    Bの含有量許容量上限値
    ・F種許容量上限値
    F,Clの合計含有量許容量上限値
  2. 請求項1において、MgO混合のための各種目標値または各種許容量上限値を、1次再結晶焼鈍後の方向性電磁鋼板表面のサブスケールの活性度に応じて変更することを特徴とする、焼鈍分離剤用のMgOの製造方法。
  3. 請求項1または2において、鋼中にAlを 0.010〜0.040 mass%含有する方向性電磁鋼板の焼鈍分離剤用のMgOについて、選ばれた目標値または許容量上限値からの±偏差量に応じて2種以上の焼成MgOを混合するに際し、各種目標値および許容量上限値を下記の各種目標値範囲および各種許容量上限値範囲から選び設定することを特徴とする、焼鈍分離剤用のMgOの製造方法。

    ・各種目標値範囲
    活性度分布のとして40%CAA の目標値範囲として72〜108 秒間、80%CAA の目標値範囲として 250〜420 秒間
    CaOの目標値範囲として0.20〜0.60mass%、CO2の目標値範囲として0.05〜0.3mass%、SO3の目標値範囲として0.10〜0.40mass%
    比表面積の目標値範囲として12〜20 m2/g
    レーザー回折式粒度分布測定による50%累積重量平均粒子径の目標値範囲として 0.5〜3μm
    Ig.loss の目標値範囲として 0.8〜1.3 mass%
    ・各種許容量上限値範囲
    KとNaの合計含有量の許容量上限値範囲として 0.001〜0.007 mass%
    B含有量の許容量上限値範囲として0.05〜0.35mass%
    FとClの合計含有量の許容量上限値範囲として0.02〜0.07mass%
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