JP6613919B2 - 焼鈍分離剤用粉末、および方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

焼鈍分離剤用粉末、および方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の製造に供する焼鈍分離剤用粉末に関し、従来問題となっていた高温下での反応性の不足に起因する被膜外観不良や鋼中からの不純物の純化不良の問題を解決することができる、焼鈍分離剤用粉末、その製造方法、および方向性電磁鋼板に関するものである。
方向性電磁鋼板の製造は、所定の成分組成に調整した鋼スラブに、熱間圧延、焼鈍、冷間圧延を施し、次いで再結晶焼鈍後、仕上焼鈍を施す工程を経るのが一般的である。上記の工程のうち、仕上焼鈍工程では、1200℃以上の高温での焼鈍が必要であることから、コイルの焼きつき防止のために、酸化マグネシウムの粉末を主体とする焼鈍分離剤を塗布するのが通例である。
また、酸化マグネシウムには、上記の焼鈍分離剤としての役割のほかに、仕上焼鈍の前に行われる脱炭焼鈍時に、鋼板表面に生成するシリカを主体とする酸化層と反応させてフォルステライト被膜を形成させるという役割や、インヒビターと呼ばれる鉄の結晶粒の成長を制御する析出物(例えば、AlN、MnS、MnSe、Si3N4、TiN、TiCなどの一部)を仕上焼鈍後に鋼板中から除去して純化するという役割がある。
上記のフォルステライト被膜は、上塗りされるリン酸塩系の絶縁被膜と鋼板との密着性を向上させるバインダーとしての働きをはじめとして、鋼板に張力を付与することにより磁気特性を向上させるという働きがある。また、インヒビターの鋼中からの上記純化については、その働きにより、方向性電磁鋼板の磁気特性、特に鉄損の低減に重要な役割を果たしている。このように、方向性電磁鋼板に占める焼鈍分離剤としての酸化マグネシウムの役割は、被膜特性、磁気特性の両面で非常に大きい。
このため、従来、焼鈍分離剤の主成分である酸化マグネシウムについては、その品質改善のためのさまざまな工夫が施されている。例えば、特許文献1には、CaO、SO3、B等の不純物濃度や、比表面積、粒径、クエン酸活性度の分布を所定の範囲に収めることによって、良好なフォルステライトを得る技術が開示されている。
特許文献2には、リンがP2O3換算で0.03〜0.15重量%含まれ、かつモル比Ca/(Si+P+S)が0.7〜3.0である酸化マグネシウム粉末が提案されている。
特許文献3にはホウ素を0.04〜0.15重量%含み、そのホウ素の存在形態を3配位のものの割合が55%〜65%とすることでフォルステライト生成率を90%以上とする酸化マグネシウム粉末が提案されている。
特許文献4には焼鈍分離剤としてBを0.05〜0.20質量%含有するマグネシアを主体とし、リン酸塩をP換算で0.1〜1.0質量%配合する技術が提案されている。
特公昭57-45472号公報 特許第3761867号公報 特許第4122448号公報 特許第5633178号公報
しかしながら、上記の技術の酸化マグネシウム粉末については製造歩留まり、被膜の均一性、純化不十分といった問題を残していた。例えば、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、制御するべきパラメータが多岐にわたり、その製造に当たっては、原料である水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムなどを焼成する条件、その成分調整などの制御が非常に難しく、製造歩留まりが低く、ひいては製造コストが高いという問題を有している。
特許文献3に記載の技術では、フォルステライト生成率が90%以上で良好とされているが、実際に方向性電磁鋼板のフォルステライト被膜に求められる鋼板被覆率は99%以上、実質100%であるため、被膜生成率が不足しているという問題点がある。
特許文献4に記載の技術では、均一性に優れる被膜を形成することはできるが、インヒビター成分によってはN、S、Se、Cなどの鋼中からの純化による除去が不足し、磁気特性の低下が生じるという問題があった。
本発明は、上記の実情に鑑みて開発されたもので、複雑な制御因子を排除することで製造歩留まりを高くし、ひいては安価に製造でき、被膜の均一性が良好なことはもちろん、鋼中不純物の純化が良好で磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を得ることのできる焼鈍分離剤用粉末を得ることを目的とする。
上記の課題を解決すべく、本発明者らは、自らが発明した特許文献4の技術に基づき不純物の純化が劣る原因について鋭意調査研究を行った。
その結果、
1)不純物の純化には高温(1100℃以上)での被膜反応挙動が影響していること、
2)高温での被膜反応挙動には3配位の存在形態のホウ素が影響を及ぼしていること、
3)4配位の存在形態のホウ素は、不純物の純化に寄与しないばかりか、高温焼鈍時に鋼板へ侵入してFe2Bを形成し、繰り返し曲げ劣化の原因を作ること、
を見出した。
本発明は上記新規な知見に立脚するものである。
すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
(1)ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有し、酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末であって、
前記ホウ素中の3配位ホウ素の割合が70%以上95%以下であることを特徴とする、焼鈍分離剤用粉末。
(2)リンをP2O5換算で0.03質量%以上0.30質量%含有することを特徴とする、上記(1)に記載の焼鈍分離剤用粉末。
(3)325メッシュふるい残分が1.5質量%以下であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の焼鈍分離剤用粉末。
(4)前記酸化マグネシウムの含有率が95質量%以上であることを特徴とする、上記(1)ないし(3)に記載の焼鈍分離剤用粉末。
(5)水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムのいずれか一方または両方と、ホウ素とを含む原料を焼成し、その後、
焼成物の湿度調節により3配位ホウ素比率を調整することを特徴とする、焼鈍分離剤用粉末の製造方法。
(6)前記原料は、前記水酸化マグネシウムおよび前記炭酸マグネシウムのいずれか一方またはその両方を、合計で80質量%以上含むことを特徴とする、上記(5)に記載の焼鈍分離剤用粉末の製造方法。
(7)前記原料は、前記ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有し、該ホウ素中の3配位ホウ素の割合が70質量%以上95質量%以下であることを特徴とする、上記(5)または(6)に記載の焼鈍分離剤用粉末の製造方法。
(8)上記(1)ないし(4)に記載の焼鈍分離剤用粉末によるフォルステライトを主体とする被膜を鋼板表面上に有することを特徴とする方向性電磁鋼板。
(9)厚みが0.05mm以上0.23mm以下であることを特徴とする、上記(8)に記載の方向性電磁鋼板。
本発明によれば、優れた被膜反応性を有し、鋼板の不純物の純化も良好かつ、繰り返し曲げ特性が良好な方向性電磁鋼板を得ることができる、焼鈍分離剤用粉末を安価に得ることができる。
本発明の酸化マグネシウム粉末の核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
以下、本発明を導くに至った実験結果について説明する。
まず、試料を次のようにして製作した。
出発原料として宇部マテリアルズ株式会社製の気相法高純度超微粉マグネシア2000Aを用いた。その純度は99.98%と非常に高純度であった。
この出発原料を純水で水和し、水酸化マグネシウムスラリーを得た。この水酸化マグネシウムスラリーに、ホウ酸(H3BO3)を、後述する焼鈍のあとに所望のホウ素濃度となるように調整して添加し、水酸化マグネシウムスラリーをフィルタープレスにて圧搾し、水酸化マグネシウムケーキを得た。
この水酸化マグネシウムケーキ100gをアルミナ製坩堝に入れて電気炉(丸祥電気製 SPX1518T-17)において600℃〜1200℃の温度域に、電気炉が復熱してから30分間、空気中で焼成し、そのまま炉内で冷却を行なった後、粉砕を行なった。こうして造られた粉末のホウ素量と3配位ホウ素比率(3配位ホウ素/(3配位ホウ素+4配位ホウ素))を表1に記載する。
なお、ホウ素量は、酸化マグネシウムを酸溶解し、高周波誘導結合プラズマ(ICP)にて分析した。3配位ホウ素比率については、株式会社東レリサーチセンターにてJEOL社製ECA600にてDD/MAS法で行った。測定は、パルス幅1.0μsec(30°パルス)とし、繰り返し待ち時間3.0sとし、基準物質として飽和ホウ酸水溶液(外部基準19.49ppm)を用い、室温で、試料回転数15.0kHzとして行った。
3配位ホウ素と4配位ホウ素の存在比率の算出は、波形分離をすることで正確に行うことができるが、より簡易に算出する方法として、27ppm〜6ppmを3配位ホウ素由来のピーク、6ppm〜−6ppmを4配位ホウ素由来のピークとして、その面積を積分して比をとることで算出した。
なお、3配位ホウ素比率の測定については、ECA600を必ずしも用いる必要はなく、別の水素の共鳴周波数で600MHz相当の磁場強度を持つNMR測定装置であれば、測定により得られるNMRスペクトルから上記と同様に算出できる。図1に本発明の酸化マグネシウム粉末のNMRスペクトルを示す。
表1の結果から、焼成温度を高くするほど、3配位ホウ素比率は低下することがわかる。これは焼成前の水酸化マグネシウム中に取り込まれたH3BO3は、Materials Transactions, vol.54, No.9, (2013) P.1809のFig.7に示されるように、3配位で存在し、その後焼成に伴って徐々に4配位となっていくためであると考えられる。
Figure 0006613919
さらに、焼成後に、焼成物に対して乾燥処理または吸湿処理のような湿度調節を行うことにより、3配位ホウ素比率を制御する。すなわち、焼成物に対して乾燥処理または吸湿処理を行うことにより、所望の3配位ホウ素比率を得ることができる。湿度調節の好ましい条件としては、乾燥処理は100℃〜400℃(より好ましくは100℃〜300℃)で行い、吸湿処理は10℃〜50℃(より好ましくは20℃〜40℃)で行うこととし、処理時間は、所望の3配位ホウ素比率となるように、乾燥処理時間または吸湿処理時間を適宜選択する。
例えば、表1のNo.6の酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末を200℃で6時間から580時間乾燥処理を施したものを表2に記載する。また、表1のNo.1の酸化マグネシウムを22℃、湿度70%の室内に1日から14日放置して吸湿処理したものを表3に記載する。
表2の結果から、200℃での乾燥処理で3配位ホウ素比率を高くすることができることがわかった。具体的には、表1のNo.6の酸化マグネシウムを48時間乾燥処理することにより、3配位ホウ素比率を60%から82%まで高めることができた。
また、表3の結果から、湿度70%の室内に放置することで、3配位ホウ素比率を低くすることができることもわかった。具体的には、表1のNo.1の酸化マグネシウムを7日間吸湿処理することにより、3配位ホウ素比率を98%から69%まで低下させることができた。
Figure 0006613919
Figure 0006613919
次に、C:0.045質量%、Si:3.25質量%、Mn:0.070質量%、Al:80ppm、N:40ppm、S:20ppmを含有する電磁鋼板用スラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延し、2.0mm厚の熱延板コイルとし、この熱延板に1000℃の温度で30秒間の熱延板焼鈍を施し、鋼板表面のスケールを除去した。次にタンデム圧延機により冷間圧延し、最終冷延板厚0.23mmとした。その後、均熱温度850℃で90秒間保持する脱炭焼鈍を施して、表1ないし表3に記載の酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してコイル状に巻取り、1200℃まで25℃/hで昇熱、1200℃で20h保持する仕上焼鈍を施したのち、平滑化焼鈍を施した。
かくして得られた試料の、フォルステライト被膜被覆率、鋼板中のC、N、SおよびBの濃度、繰返し曲げ特性を調査した。フォルステライト被覆率は鋼板表面を光学顕微鏡で合計1mm2以上の領域を観察し、地鉄が露出している部分の面積を計測し、その値から被覆率を算出した。得られた鋼板の被膜を研削することにより、不純物成分を除去した。CおよびSを燃焼赤外線吸収法により測定し、Nを不活性ガス融解熱伝導度法により測定し、Bをほう酸メチル蒸留分離クルクミン吸光光度法により測定した。繰返し曲げ特性は、JISC2550(2000)の方法を用いて測定した。
表4に、実験に用いた焼鈍分離剤用粉末とその3配位ホウ素比率、マグネシア粉末中のホウ素量(質量%)、フォルステライト被膜被覆率、鋼板中に残留するC、N、SおよびBの分析値(質量ppm)及び繰返し曲げ回数を示す。
表4に示されるように、ホウ素量が少ない場合(No.1-3)には、被膜被覆率、および不純物の純化が劣り、多すぎる場合(No.1-4)には、繰り返し曲げ回数が劣る。また、3配位ホウ素比率が低い場合(No.1-5、No.1-6、No.3-4、No.3-5)には、被膜被覆率、不純物の純化、および繰り返し曲げ特性が劣り、3配位ホウ素比率が高い場合(No.1-1)には、被が膜過に形成されるため被膜被覆率が劣ってしまう。
なお、鋼中不純物量はC:20ppm以下、N:5ppm以下、S:5ppm以下の場合を良好と判断した。繰り返し曲げ回数は、10回以上を良好とした。Bの分析値(質量ppm)が、8質量ppm以下である場合に、繰り返し曲げ回数が良好であった。被膜被覆率は、95%以上を良好と判断した。
Figure 0006613919
次に、本発明の各構成要件の限定理由について述べる。
本発明で対象とする酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末には、ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下(好ましくは0.05質量%以上0.20質量%以下)含有させる。ホウ素量が0.04質量%よりも少ないと被膜被覆率、不純物の純化が劣り、0.30質量%よりも多いと、仕上焼鈍中に鋼板にBが浸入し、Fe2Bを形成して繰り返し曲げ回数が減少する。
さらに、ホウ素中の3配位ホウ素の比率は70%以上95%以下、好ましくは80%以上95%以下とする。すなわち、3配位ホウ素比率が70%よりも低いと、被膜被覆率、不純物の純化、および繰り返し曲げ回数が減少し、一方、3配位ホウ素の比率が95%よりも大きいと被膜形成が過剰に進行し、被膜に点状欠陥を生じて、ひいては被膜被覆率が低下する。
3配位ホウ素比率の調整方法としては種々の方法が挙げられるが、例えば、上記表1〜3に示したように、焼成温度などを調整する方法、焼成後に乾燥、吸湿等の操作により調整する方法があり、また、予め3配位比率がわかっている化合物(例えばMg2B2O5、MgB6O10、Mg3B2O6など)を混合する方法なども考えられる。
焼鈍分離剤用粉末中には、さらにリン(P)をP2O5換算で0.03質量%以上、0.30質量%以下含有させることができる。Bは、高温での被膜反応性を向上し、Pは低温での被膜反応性を向上させる働きがあるので、Bに加えてPを添加することで、よりいっそう被膜外観を向上させることができる。PがP2O5換算で0.03質量%よりも少ないと被膜外観改善効果が得られなくなり、添加量が多くなると、次第に被膜均一性の改善効果とコストアップがつりあわなくなるため、その添加量は0.30質量%以下とすることが好ましい。焼鈍分離剤用粉末中には、上記以外に、Igloss(強熱減量)として揮発する成分、主として水分、炭酸ガス、有機分など、CaO、SiO2、Al2O3などの原料鉱物由来の不純物も含まれ得る。
本発明の酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末は、原料を焼成することにより製造され、その主な原料としては水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。B、Pは原料の段階で予め添加や純化等により調整されていることが好ましい。焼成前には水分を多く含むケーキ状であることが一般的であるが、その水分量はケーキ重量の20%以下にすることが望ましい(つまり原料固形分として80%以上)。
焼成して作られた酸化マグネシウムは、粉砕を行うことにより、その粒度を整えることが好ましい。粒度としては325メッシュふるい残分が1.5質量%以下であることが好ましい。ふるい残分が1.5質量%よりも多くなると、鋼板表面に押し傷をつくる原因となったり、それを防ぐ為に電磁鋼板の製造プロセス中にふるいを設置するなどの手間がかかることがある。325メッシュ(目開き45μm)をふるいに用いたのは、焼鈍後の押し傷の防止の観点から、粗粒の大きさと焼鈍分離剤の塗布厚みとの関係がちょうどよいためである。
粉末中には、その製造プロセスによって、Ca、Si、Fe、Al、S、Naなどの様々な不純物が不可避的に混入する場合があるため、できるだけその特性のバラツキを小さくするためには、焼鈍分離剤用粉末における酸化マグネシウムの含有率が95質量%以上であることが好ましい。
また、方向性電磁鋼板用の焼鈍分離剤としては、酸化マグネシウムを主成分とする上記粉末に加えて、助剤として、例えば、酸化チタンといった公知の物質を混合することができる。
本発明で対象とする鋼板は、表面にフォルステライトを主体とする被膜を有する方向性電磁鋼板であれば特に鋼種を問わない。通常、このような方向性電磁鋼板は、含珪素鋼スラブを、公知の方法で熱間圧延し、1回もしくは中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延により最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍を施し、ついで焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を行うことによって製造される。
また、鋼板の厚みが薄くなると、鋼板性能に寄与する表面の割合が大きくなるため、酸化マグネシウム粉末に求められる特性も高くなる。そのため、本発明の酸化マグネシウムは、特に板厚の薄い鋼板に適用するにあたり、これまで公知の酸化マグネシウムに比べて好適である。
[実施例]
(実施例1)
ナカライテスク社製の塩基性炭酸マグネシウム(MgCO3)4Mg(OH)2・xH2Oを出発原料にし、これを純水でスラリー状にした上、硼砂(Na2B4O5(OH)4・8H2O)、メタリン酸マグネシウムを、焼成後の粉末として所望のB濃度およびP濃度となるよう混合した。このスラリーをフィルタープレスにて圧搾し、ケーキを得た。次に、アルミナ製坩堝にケーキを入れ、ボックス炉にて空気中で表5に記載の温度、時間で焼成した。焼成後、これを粉砕し粒度を調整し、焼鈍分離剤用粉末とした。このようにして得られた粉末の含有ホウ素中の3配位ホウ素比率、含有ホウ素量、P量を調査した結果を表5に示す。
次に、C:0.06質量%、Si:2.95質量%、Mn:0.07質量%、Se:0.015質量%、Sb:0.015質量%およびCr:0.03質量%を含み、残部Feおよび不可避的不純物よりなる珪素鋼スラブを、1350℃で40分加熱後、熱間圧延して2.6mmの板厚にした後、900℃および60sでの熱延板焼鈍を施してから、1050℃および60sの中間焼鈍を挟んで冷間圧延し、0.23mmの最終板厚に仕上げ、ついで脱炭焼鈍後、前記の手順に従って作製した表5に記載の粉末を焼鈍分離剤として塗布し、1200℃まで25℃/hで昇温し、1200℃で20h保持する仕上焼鈍を施したのち、平滑化焼鈍を施した。
上記に従って製造された方向性電磁鋼板について、フォルステライト被膜被覆率および被膜外観均一性、C、N、Se、Bの含有量および繰返し曲げ回数を調査した結果を併せて表5に示す。
被膜被覆率は、95%以上を良好と判断した。被膜外観均一性は、鋼板の全幅全長を目視で観察し、色調の異なる領域の面積率が5%未満を優、5%以上10%未満を良、10%以上20%未満を可、20%以上を不可とした。繰返し曲げ回数は、10回以上を良好と判断した。
表5に示されるように、粉末中にホウ素を0.04質量%以上、0.30質量%以下含有し、その3配位ホウ素比率が70%以上95%以下とすることにより、被膜被覆率および外観の均一性が高く、不純物の純化が進み、そして繰り返し曲げ回数を増加させることができる。さらに、PをP2O5換算で0.03質量%以上含ませることにより、被膜外観の均一性が一段と向上することがわかる。
Figure 0006613919
(実施例2)
ナカライテックス製の塩化マグネシウム6水和物を25℃に保った純水中に溶解し、飽和水溶液とした。これを水酸化カルシウムと反応させて水酸化マグネシウムを得た。こうして得られた水酸化マグネシウムをろ過水洗し、これを再び純水中に投入して水酸化マグネシウムスラリーとした。この水酸化マグネシウムスラリーにホウ酸ナトリウム、リン酸カルシウムを、後述の焼成後に所望のB濃度およびP濃度になるように、所定量添加した。
こうして調整された水酸化マグネシウムスラリーを、フィルタープレスでケーキ状に圧搾し、その後、アルミナ坩堝中で900℃で40分間焼成し粉末を得た。焼成後粉砕によりその粒度を調整し、焼鈍分離剤用粉末とした。得られた粉末はさらに、表6に記載の時間の間200℃で乾燥、あるいは表6に記載の日数で、25℃、湿度80%での吸湿処理を行った。このようにして得られた粉末の含有ホウ素中の3配位ホウ素比率、含有ホウ素量、P量を調査した結果を表6に示す。
次に、C:0.045質量%、Si:3.25質量%、Mn:0.070質量%、Al:80ppm、N:40ppm、S:20ppmを含有する電磁鋼板用スラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延し、2.0mm厚の熱延板コイルとし、この熱延板に1000℃の温度で30秒間の熱延板焼鈍を施し、鋼板表面のスケールを除去した。次に、タンデム圧延機により冷間圧延し、最終冷延板厚0.20mmとした。その後、均熱温度850℃で90秒間保持する脱炭焼鈍を施し、表6に記載の粉末100gと酸化チタンを5.0g混合したものを、焼鈍分離剤として塗布してコイル状に巻取り、1200℃まで25℃/hで昇熱し、1200℃で20h保持する仕上焼鈍を施したのち、平滑化焼鈍を施した。上記に従って製造された方向性電磁鋼板について、フォルステライト被膜被覆率および被膜外観均一性、C、N、Se、Bの含有量および繰返し曲げ回数を調査した結果を併せて表6に示す。
表6に示すように、粉末中にホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有させ、その3配位ホウ素比率が70%以上95%以下であれば、被膜被覆率および外観の均一性が高く、不純物の純化が進み、そして繰り返し曲げ回数を増加させることができる。さらに、PをP2O5換算で0.03質量%以上含ませることにより、被膜外観の均一性が一段と優れることがわかる。
Figure 0006613919

Claims (6)

  1. ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有し、酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍
    分離剤用粉末であって、
    前記ホウ素中の3配位ホウ素の割合が80%以上95%以下であることを特徴とする、焼鈍
    分離剤用粉末。
  2. リンをP2O5換算で0.03質量%以上0.30質量%以下含有することを特徴とする、請求項1
    に記載の焼鈍分離剤用粉末。
  3. 325メッシュふるい残分が1.5質量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に
    記載の焼鈍分離剤用粉末。
  4. 前記酸化マグネシウムの含有率が95質量%以上であることを特徴とする、請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載の焼鈍分離剤用粉末。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の焼鈍分離剤用粉末によるフォルステライトを
    主体とする被膜を鋼板表面上に形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記方向性電磁鋼板の厚みが0.05mm以上0.23mm以下であることを特徴とする、請求項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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