JPH1088241A - 被膜特性に優れた方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

被膜特性に優れた方向性けい素鋼板の製造方法

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JPH1088241A
JPH1088241A JP8240452A JP24045296A JPH1088241A JP H1088241 A JPH1088241 A JP H1088241A JP 8240452 A JP8240452 A JP 8240452A JP 24045296 A JP24045296 A JP 24045296A JP H1088241 A JPH1088241 A JP H1088241A
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hydration
annealing
mgo
silicon steel
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Makoto Watanabe
渡辺  誠
Tsutomu Kami
力 上
Michiro Komatsubara
道郎 小松原
Atsuto Honda
厚人 本田
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Kawasaki Steel Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
    • H01F1/14766Fe-Si based alloys
    • H01F1/14775Fe-Si based alloys in the form of sheets
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被膜特性を安定して向上させ、ひいては被膜
特性および磁気特性に優れた方向性けい素鋼板を安定し
て得る。 【解決手段】 焼鈍分離剤の主剤であるMgOとして、そ
の粉体特性が、温度:20℃、水和時間:80分以下での水
和量曲線が図1の点A, B, CおよびDで囲まれる領域
を満足するものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、変圧器その他の
電気機器の鉄心等に用いられる方向性けい素鋼板の製造
方法に関し、特にこの方向性けい素鋼板製造時に用いら
れる焼鈍分離剤用のMgOを改良することによって、被膜
特性ひいては磁気特性の有利な改善を図ろうとするもの
である。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板の製造方法としては、
鋼スラブを、熱間圧延後、1回または中間焼鈍を挟む2
回以上の冷間圧延を施したのち、脱炭焼鈍し、ついで最
終仕上焼鈍を施す工程が一般的である。この最終仕上焼
鈍中に二次再結晶が起こり、圧延方向に磁化容易軸の揃
った粗大な結晶粒が生成する。
【0003】ところで、上記した最終仕上焼鈍は長時間
の処理であるため、処理中における鋼板の焼付き防止を
目的として、通常、焼鈍前にMgOを主体とする焼鈍分離
剤を塗布する。このMgOは、焼鈍分離剤としての役割以
外に、脱炭焼鈍時に鋼板表面に生成したSiO2を主体とす
る酸化層と反応することによりフォルステライト被膜を
形成させる働きがある。このフォルステライト被膜は、
絶縁コーティングと地鉄部分とを密着させる一種のバイ
ンダーとしての働きの他、絶縁抵抗を高め、また鋼板に
張力を付与することによって磁気特性を改善する等の働
きがある。従って、均一な厚みを持ち、しかも鋼板との
密着性の良い被膜を形成させることは極めて重要であ
る。また、焼鈍分離剤には、上記の働き以外に、鋼板中
の析出物の成長、分離挙動や結晶粒の成長挙動を変化さ
せて磁気特性に影響を及ぼす働きもある。
【0004】このため、焼鈍分離剤については、従来か
ら、数多くの研究がなされており、MgOをスラリー化し
た際持ち込まれる水分、すなわち水和量が被膜特性およ
び磁気特性に大きく影響を及ぼすことが判っている。つ
まり、水和量が多すぎると鋼板が酸化されて磁気特性が
劣化したり、被膜に点状欠陥が生成したりする。一方、
水和量が少なすぎると脱炭焼鈍後の鋼板表面のSiO2が還
元されて良好な被膜が得られなくなる。
【0005】従って、MgOの持ち込み水分量を一定に保
つことは、方向性けい素鋼板の磁気特性および被膜特性
を左右する重要な要因となっている。しかしながら、こ
の持ち込み水分量は、MgOの活性度、スラリー化したと
きの滞留時間、スラリー水温、スラリー混合時の攪拌速
度等によって大きく左右されるため、これを厳密に管理
することは極めて難しく、その結果、被膜特性や磁気特
性を不安定にする要因となっていた。
【0006】例えば、特公昭60-33896号公報には、1300
℃以上で高温焼成したMgOを40℃以上の温水中で強制的
に水和させることによって水和量を一定に保つ方法が開
示されている。この方法は、高温焼成することによって
水和水分量を管理し易くし、持ち込み水分量を一定に保
とうという方法である。また、特開昭62-156226 号公報
には、同じく高温焼成した非水和性MgOを粉砕から分級
までのいずれかの工程中、あるいは実際にコイルに塗布
される前に、一定湿度中にさらすことによって粉体表面
に水和層を生成する方法が開示されている。さらに、特
公昭62-74887号公報には、高温焼成した非水和の酸化マ
グネシウムに一定量の水酸化マグネシウムを混合した焼
鈍分離剤を用いることによって持ち込み水分量を確保し
ようとする方法が開示されている。
【0007】しかしながら、例えば特公昭62-47887号公
報では、コイル全体での持ち込み水分量を一定にするこ
とはできるものの、全く水和されていない粉体が接触し
ている部分は被膜形成が遅れ、局所的な被膜不良が発生
するという問題があった。また、これらの方法はいずれ
も、高温焼成されたMgOを用いているため、たとえ表面
に水和層を形成しても十分な反応性が得られず、被膜形
成能がやや劣るという問題があった。さらに、一次再結
晶焼鈍時に形成される酸化層は、焼鈍時のヒートパター
ンや雰囲気ガス流量、鋼板の成分等の影響を受けるため
にばらつきが大きく、そのため、これらの方法では鋼板
表面酸化層の多様性に対応できず、ある限られた表面酸
化層の状態では良好な被膜特性が得られるものの、酸化
層の状態が多少でも好適値よりずれた場合には被膜不良
を起こし、製品歩留りを低下させるという問題もあっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、従来
の技術では、未だ十分持ち込み水分量を一定化して良好
な被膜を安定して生産することができるとはいい難いた
め、その改善が望まれていた。この発明は、上記の要望
に有利に応えるもので、MgOの水和量を適切な値に制御
することにより、被膜特性を安定して向上させ、ひいて
は被膜特性および磁気特性に優れた方向性けい素鋼板を
得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
けい素鋼熱延板を、1回または中間焼鈍を挟む複数回の
冷間圧延によって最終板厚に仕上げた後、一次再結晶焼
鈍を施し、ついでMgOを主剤とする焼鈍分離剤を水でス
ラリー状にしてから鋼板表面に塗布し、しかるのち最終
仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性けい素鋼板の
製造方法において、MgOとして、その粉体特性が、温
度:20℃、水和時間:80分以下での水和量曲線が図1の
点A, B, CおよびDで囲まれる領域を満足するものを
用いることを特徴とする方向性けい素鋼板の製造方法で
ある。ここに、図1における各点の座標(水和時間;
分,水和量;%)は、次のとおりである。 点A=(1分,0.5 %)、 点B=(80分,1.3
%)、点C=(80分,4.8 %)、 点D=(1分,3.
0 %)。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明を由来するに至っ
た実験結果について説明する。 C:0.045 wt%(以下%で示す), Si:3.25%, Al:0.
02%, N:0.0080%,Mn:0.07%, Se:0.02%, Sb:0.0
3%およびCu:0.08%を含み、残部は実質的にFeの組成
になるけい素鋼スラブを、1400℃で30分加熱した後、熱
延して2.2 mmの板厚にし、ついで1000℃, 1分間のノル
マ焼鈍後、タンデム圧延機にて 120℃で0.35mm厚に冷延
し、最終板厚に仕上げた。ついで、脱炭焼鈍後、MgOを
主体とする焼鈍分離剤を塗布, 乾燥して最終仕上焼鈍を
行った。この時、MgOとしては、図2で示される水和曲
線と表1で示される粉体特性を持つ10種類の粉体(この
うち、4種類は単味の粉体、6種類はこれらの混合粉)
を用いた。
【0011】
【表1】
【0012】表1中のCAA40, 80(s)は、特公昭57
-45472号公報の方法を用いて測定したもの、また累積50
%径は、ヘキサメタリン酸3%水溶液で 300W,3分間
の超音波分散を行った後、レーザー回折式粒度分布計を
用いて測定したものである。さらに、水和曲線は次のよ
うにして測定した。 1.300 mlビーカーに、水:60mlを入れ、恒温槽中で20
℃±0.5 ℃に保持しつつ回転数:240rpm, 羽根の長さ:
25mmの4枚羽根の攪拌機で攪拌する。 2.試料:20.0gを計り、1.で用意したビーカーに投
入する。 3.1分,20分,60分および80分間攪拌した後、ステン
レス板に塗布し、300 ℃で1分間乾燥する。 4.ステンレス板に付着している乾燥物をかき落とし、
予め1000℃で1時間以上空焼きし、五酸化りんデシケー
タ中で空冷後秤量したアルミナるつぼに、乾燥粉を約1
g投入し、重量を測定する。 5.1000℃の電気炉で均熱1時間強熱した後、五酸化り
んデシケータ中で1時間冷却後、重量を測定する。そし
て、次式により水和量を求める。 水和量(%)=〔(強熱前の試料の重さ)−(強熱後の
試料の重さ)〕/(強熱前の試料の重さ)×100
【0013】また、各MgO:100 重量部に対して、TiO2
を6重量部、SrSO4 を重量部添加して焼鈍分離剤とし
た。その後、仕上焼鈍として 850℃から1150℃までを15
℃/hの昇温速度で加熱し、引き続き1200℃,5時間の
鈍化焼鈍を施した。かくして得られた各コイルの磁気特
性および被膜欠陥発生率について調査した結果を、表2
に示す。なお、被膜欠陥発生率は、レーザー式の表面検
査装置を用いて評価した。
【0014】
【表2】
【0015】同表から明らかなように、水分吸着曲線
が、図1の点A, B, CおよびDで囲まれる領域内を満
足するMgOを用いた場合には、被膜欠陥発生率が低下し
て、良好な被膜を得ることができた。また、磁気特性も
良好な値が得られた。特に、同じように領域ABCDの
範囲内を満足する粉体でも、混合してこの範囲内に収め
た粉体は、とりわけ被膜欠陥発生率が少なく安定した被
膜特性が得られている。
【0016】このような結果が得られたメカニズムにつ
いて述べる。まず、粉体No.1に関しては、水和量は従来
良好とされてきた 0.5%以上のレベルにあり問題はない
が、水和曲線が時間によらずほぼ一定となっている。こ
の理由は、個々の粉体が均一な水和性を持っているため
であるが、このように個々の粉体の水和性が均一な場合
には、一次再結晶焼鈍後の表面酸化膜の微妙な差異、あ
るいは仕上焼鈍中の内巻部と外巻部における雰囲気流通
性の違いなどの微妙な条件変動に対して最適な水和量範
囲の変動に追随することができないために、安定性に欠
けたものと考えられる。これに対して、粉体No.8では、
MgO粉を混合することにより、酸化膜や仕上焼鈍層間雰
囲気などの多様な条件変動に対応できる水和量が適度に
混入されたことから、良好な被膜特性が得られたものと
考えられる。
【0017】また、粉体No.4では、全体に水和量が大き
く、過酸化な仕上焼鈍雰囲気となり被膜劣化が起こる。
粉体No.10 も被膜劣化となったが、これは極めて高水和
な粉体が過度に混在しているため、このような粒子が鋼
板表面に付着している部分のみ急激に被膜形成が促進さ
れ、その結果、通常の水和程度の粒子が付着している部
分との間で被膜形成状態に差ができ、部分的な被膜の剥
落が起こったものと考えられる。
【0018】粉体 No.2,3,5,6,7,8および9
では、良好な水和量曲線が得られており、水和性の高い
粉体と低い粉体が適度に混在しているために、良好な被
膜が形成されている。特に粉体 No.5,6,7,8で
は、水和性の異なる粉体が適度に混合されていて、これ
らの粉体が水和条件の変動を打ち消し合って水和量を安
定化させる働きがあるため、さらに良好な結果が得られ
たものと考えられる。
【0019】次に、この発明の素材である含けい素鋼の
好適成分組成について述べる。まず、Cは、出鋼段階で
低下させて脱炭焼鈍を行わない方法と、ある程度の量を
確保して組織の改善を図り、その後の脱炭焼鈍により除
去する方法がある。前者では、Cの悪影響を避けるため
に0.01%以下とする必要がある。一方、後者では、組織
改善のための好適範囲は0.01%以上0.10%以下である。
【0020】Siは、 2.0〜4.5 %が好適である。という
のは、 2.0%未満では鉄損の低減効果が弱く、一方 4.5
%超では冷延性が損なわれるからである。
【0021】C,Siの他にインヒビター構成元素を添加
する。インヒビターとしてはAlN,MnS, MnSe等が良く
知られているが、これらのいずれを用いてもよい。イン
ヒビターにMnSおよび/またはMnSeを用いる場合は、M
n:0.03〜0.10%,S+Se:0.01〜0.03%が好ましい。一
方、AlNをインヒビターに用いる場合は、Al:0.01〜0.
04%, N:50〜120ppm程度が好ましい。というのは、各
成分が上記の範囲よりも少ないとインヒビターとして効
果に乏しく、一方上記の範囲を超えると二次再結晶が不
安定になるからである。また、これらの他に、Cu, Sn,
Cr, Sb, Ge, Mo, Te, Bi, PおよびVなども、適宜使用
することができる。インヒビターとしての働きに有効な
量は、トータルで0.01%以上 0.2%以下である。なお、
これらの各インヒビターは単独使用、複合使用いずれも
可能である。
【0022】次に、好適製造条件について説明する。上
記の好適範囲に成分調整した鋼スラブを、公知の方法で
熱延した後、1回または中間焼鈍を含む複数回の冷延を
行って最終板厚にする。また、必要に応じて熱延板焼鈍
を施すことも可能である。ついで、一次再結晶焼鈍を行
った後、焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を施
す。一次再結晶焼鈍における雰囲気、温度、時間は特に
限定するものではないが、通常、雰囲気は水蒸気/水素
分圧比P(H2O) /P(H2)で0.05以上0.68以下が採用され
る。これは良好な内部酸化層を形成させるためのもの
で、0.05未満では酸化層が薄くなりすぎ、一方0.68より
高いと酸化層中の酸素分が大きくなりすぎて、いずれの
場合も仕上焼鈍中のインヒビターの酸化が激しくなり、
磁気特性の劣化を招くことが多くなるからである。ま
た、焼鈍温度は 750℃以上 900℃以下、焼鈍時間は30秒
以上 180秒以下とするのが望ましい。これは一次再結晶
粒径を特定の範囲に収めるためで、この範囲内において
磁気特性が良好となる。なお、一次再結晶焼鈍の加熱時
の雰囲気と均熱時の雰囲気を別々に制御して被膜特性を
向上させる方法が知られているが、この発明ではこの方
法を用いることもできる。さらに、AlNをインヒビター
とする場合には、一次再結晶焼鈍の前、途中、または後
に窒化処理を行う方法が知られているが、この発明で
は、このような方法を同時に行っても差し支えない。
【0023】一次再結晶焼鈍後には、MgOを主体とす
る、すなわち少なくとも40%のMgOを含有する焼鈍分離
剤を用いる。このとき、MgOとして、温度:20℃、水和
時間:80分以下での水和量曲線が図1の点A, B, Cお
よびDで囲まれる領域を満足するものを用いることが肝
要であり、各水和時間での水和量が部分的にこの範囲よ
りはずれた場合でも良好な被膜を得ることはできない。
【0024】この理由は、まず、水和曲線として、水和
時間の長い領域では線分ABより水和量が大きく範囲内
にあるものの、水和時間の短い領域では水和量が線分A
Bより低い値をとるため領域ABCDの範囲からはずれ
る場合は、極めて低水和な粉体が付着した部分の被膜形
成量が少なくなり、その周囲との間に被膜形成量の差が
でき、被膜欠陥が生じる。一方、水和時間の短い領域で
は線分CDより水和量が小さく範囲内にあるが、水和時
間の長い領域では水和量が線分CDより高い値をとるた
め領域ABCDの範囲からはずれる場合は、逆に極めて
高水和な粉体が付着した部分の被膜形成量が高くなるた
めに、やはり被膜欠陥が生じる。
【0025】また、水和時間の短い領域では線分ABよ
り水和量が大きく範囲内にあるが、水和時間の長い領域
では水和量が線分ABより低い値をとるため領域ABC
Dの範囲からはずれる場合は、粉体の各々が低水和性で
均一な分布を持っているために、一次再結晶焼鈍後の表
面酸化膜の微妙な差異、あるいは仕上焼鈍中の内巻部と
外巻部の雰囲気流通性の違いなどの微妙な条件変動に対
して最適な水和量範囲の変動に追随できず、安定性に欠
ける。一方、水和時間の長い領域では線分CDより水和
量が小さく範囲内にあるが、水和時間の短い領域では水
和量が線分CDより高い値をとるため領域ABCDの範
囲からはずれる場合も同様に、高水和性で均一な分布を
持っているため安定性に欠ける。
【0026】さらに、水和量曲線全体で線分ABよりも
低い場合、または線分CDよりも高い場合は、従来から
公知のように、水和量が低すぎる、または高すぎるため
に被膜不良となる。従って、MgOの水和量曲線は、図1
の点A, B, CおよびDで囲まれる領域を満足させるこ
とが重要なわけである。水和量曲線をこの範囲内に収め
るための有効な方法としては、焼成条件を種々に変更す
ることによって、水和量が異なるMgOを数種類用意して
おき、これを適当に混合するのが良い。
【0027】なお、この他、用いられるMgOとしては、
不純物が適度に存在していると焼結性が高まるので、少
量の含有は有効である。しかしながら、高すぎる場合に
は被膜欠陥が発生するので、それぞれ以下の範囲で含有
させることが好ましい。 CaO :0.25〜0.80%, B:0.05〜0.18%, SO3 :0.03〜
1.0 %, ハロゲン:トータルで 0.005%〜0.08%。 また、その他の粉体特性については、CAA40%は30〜
190 秒の範囲が従来どおり良好である。平均粒径は、測
定方法により数値は大きく異なるが、レーザー回折式粒
度分布計を用いた場合、鋼板付着性を損なわないために
は 4.5μm 未満が良好であり、一方粉体の凝集による作
業性を損なわないためには 0.2μm 以上が良好である。
【0028】次に、磁気特性、被膜改善のために使用す
る助剤は従来から公知のものでよいが、一般的にはMn,
Cu, Nb, Tl, Sr, Bi, Fe, Sn, TiおよびMgの酸化物、水
酸化物、硫酸塩等が知られている。これらの化合物を添
加する場合の添加量は、 100重量部のMgOに対してトー
タルで 0.5重量部以上15重量部以下程度が好ましい。
【0029】上記したような焼鈍分離剤を塗布した後の
最終仕上焼鈍は、従来より公知の方法で行えば良い。こ
れら一連の処理の後、絶縁張力コートを施し、フラット
ニング焼鈍をして製品に仕上げる。かくして、優れた被
膜特性および磁気特性を有する方向性けい素鋼を得るこ
とができるのである。
【0030】
【実施例】
実施例1 C:0.05%, Si:3.28%, Al:0.015 %, N:75 ppm,
Mn:0.07:%およびSb:0.01%を含み、残部は実質的に
Feの組成になる鋼スラブを、1200℃に加熱後、熱間圧延
によって2.2 mm厚に熱延し、ついで 900℃, 1分間のノ
ルマ焼鈍後、タンデム圧延機にて0.35mm厚まで冷延し、
最終板厚に仕上げた。ついで、 840℃, 2分間の脱炭焼
鈍後、焼鈍分離剤として、MgO:100 重量部に対してTi
O2:6重量部と SrSO4:1重量部を添加したものを塗布
したのち、乾燥させた。このとき、MgO粉体としては、
前掲表1に示す粉体 No.1,2,3,4,8,10のもの
を用いた。その後、仕上焼鈍として 800〜1150℃までを
昇温速度:20℃で昇温し、引続き乾H2雰囲気中にて1150
℃, 5hの純化焼鈍を行った。かくして得られた鋼板の
被膜特性および磁気特性について調査した結果を、表3
に示す。
【0031】
【表3】 同表から明らかなように、水和量曲線がこの発明の適正
範囲を満足するMgOを用いた場合には、被膜特性のみな
らず、鉄損、磁束密度とも良好な値を得ることができ
た。
【0032】実施例2 C:0.06%, Si:3.28%, Mn:0.07:%, Se:0.02%お
よびSb:0.025 %を含み、残部は実質的にFeの組成にな
る鋼スラブを、1400℃に加熱後、熱間圧延により2.2 mm
厚に熱延し、ついで1050℃, 2分間の中間焼鈍を挟む2
回の冷延圧延によって0.23mmの最終板厚に仕上げた。つ
いで、 840℃, 2分間の脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤とし
て、MgO:100 重量部に対してTiO2:2重量部と表4に
示す種々の助剤:1重量部とを添加したものを、塗布し
たのち、乾燥させた。このとき、MgO粉体としては、前
掲表1の粉体 No.1, No.10 を使用した。その後、仕上
焼鈍として 820℃に50h保定した後、乾H2雰囲気中にて
1150℃,5hの純化焼鈍を行った。かくして得られた鋼
板の被膜特性および磁気特性について調査した結果を、
表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】同表から明らかなように、いずれの分離剤
助剤を用いた場合でも、粉体特性がこの発明の適正範囲
を満足するMgOを用いた場合には、優れた被膜特性およ
び磁気特性が得られている。
【0035】実施例3 表5に示す種々の化学成分になるけい素鋼スラブを、13
80℃で30分加熱後、熱間圧延により2.2 mmの板厚にし、
ついで1050℃, 1分間の中間焼鈍を挟んで2回の冷延圧
延により0.23mmの最終板厚に仕上げた。ついで、 840
℃, 2分間の脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤として、MgO:10
0 重量部に対してTiO2:6重量部, SrSO4 :1重量部を
添加したものを塗布したのち、乾燥させた。このとき、
MgO粉体としては、前掲表1の粉体 No.5, No.10 を使
用した。その後、仕上焼鈍として 800℃で15h保定した
後、 850〜1150℃までを15℃/hで昇温し、引続き乾H2
雰囲気にて1150℃, 5hの純化焼鈍を行った。かくして
得られた鋼板の被膜特性および磁気特性について調査し
た結果を、表6に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】同表から明らかなように、素材鋼板の成分
組成の如何にかかわらず、この発明に従うMgOを用いた
場合には、優れた被膜特性および磁気特性を得ることが
できた。
【0039】
【発明の効果】かくして、この発明に従い、焼鈍分離剤
の主剤であるMgOとして、その水和量曲線が所定の領域
を満足するものを用いることにより、被膜特性を安定し
て向上させることができ、ひいては被膜特性および磁気
特性に優れた方向性けい素鋼板を安定して得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う適正水和量範囲を示した図であ
る。
【図2】実験に用いた粉体 No.1〜10の水和量曲線を示
したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松原 道郎 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 本田 厚人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 けい素鋼熱延板を、1回または中間焼鈍
    を挟む複数回の冷間圧延によって最終板厚に仕上げた
    後、一次再結晶焼鈍を施し、ついでMgOを主剤とする焼
    鈍分離剤を水でスラリー状にしてから鋼板表面に塗布
    し、しかるのち最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる
    方向性けい素鋼板の製造方法において、 MgOとして、その粉体特性が、温度:20℃、水和時間:
    80分以下での水和量曲線が図1の点A, B, CおよびD
    で囲まれる領域を満足するものを用いることを特徴とす
    る方向性けい素鋼板の製造方法。
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