JPH0663029B2 - 鉄損特性の優れた高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

鉄損特性の優れた高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0663029B2
JPH0663029B2 JP20067084A JP20067084A JPH0663029B2 JP H0663029 B2 JPH0663029 B2 JP H0663029B2 JP 20067084 A JP20067084 A JP 20067084A JP 20067084 A JP20067084 A JP 20067084A JP H0663029 B2 JPH0663029 B2 JP H0663029B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は鉄損特性の優れた高磁束密度方向性電磁鋼板の
製造方法に関するものである。
(従来の技術) 方向性電磁鋼板は軟磁性材料として主にトランス、その
他の電気機器の鉄芯材料として使用されるもので、磁気
特性として励磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならな
い。磁気特性の良好な材料を得るには (1)Si量を増加させて固有抵抗を高める。
(2)製品板厚を薄くする。
(3)鋼板の二次再結晶粒径を小さくする。
(4)二次再結晶粒のGoss方位集積度を高める。等が挙げ
られる。
Goss方位集積度の向上は一回冷間圧延法の開発により大
幅に伸び、現在では磁束密度が理論値の95%を超える
ものまで製造されるようになって来ており、これに伴っ
て鉄損特性も大幅に向上したがこのGoss方位集積度の向
上だけではさらに鉄損特性を改善することは難しく、上
記の固有抵抗の増大、二次再結晶粒の微細化、および製
品板厚の薄手化を図る技術が必要となって来ている。こ
れらの中で、二次再結晶粒の微細化は一回冷間圧延法の
ような最終圧下率の高い材料では重要な問題でGoss方位
集積度の向上による鉄損特性の改善も結晶粒径の増大に
より意外に鉄損特性が向上しないという難点があった。
こうした難点を解決するために特開昭53-134722号公報
に記載されるような微量のAを含んだ珪素鋼中にSnを
添加する方法が提案された。この微量のAを含んだ珪
素鋼中にSnを添加する方法により二次再結晶の微細化の
目的は達成されたが、このSnによって表面皮膜が劣化し
鉄損低減の効果が充分に得られないという問題点があ
り、これを解決する技術として特開昭58-23414号公報に
記載される微量のAとSnを含んだ珪素鋼溶鋼中にCuを
添加する方法が提案され、微細な二次再結晶粒を有し、
かつ優れた表面皮膜を有する高磁束密度方向性電磁鋼板
の製造が可能となった。
一方、昨今のエネルギコストの急激な高騰からさらに鉄
損特性の優れた高磁束密度方向性電磁鋼板の供給が必要
とされ、この要求に答えるべく製品板厚の薄手化の傾向
が強まり、従来の0.30mmから近年、板厚0.23mmのものま
で製造されるようになって来ている。
(発明が解決しようとする問題点) ところが上記CuとSnの複合添加された珪素鋼素剤により
板厚0.23mm以下の磁気特性の優れた高磁束密度方向性電
磁鋼板を製造するには、微細な二次再結晶粒と優れた表
面皮膜を得るのにCuとSnの複合添加は必須であるが、板
厚が薄くなるにつれて方向性が低下して期待される鉄損
特性の向上が充分に得られない場合があった。
本発明は上記CuとSnを複合添加した珪素鋼の問題点を除
去し、製品板厚が0.23mm以下でGoss方位集積度が高く微
細な二次再結晶粒を有しかつ優れた表面皮膜を有する鉄
損特性の優れた高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法を
提供することを目的とするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明の基本構成は以下の如くである。
すなわち、C:0.085%以下,Si:2.0〜4.0%,Mn:0.0
3〜0.15%,S:0.01〜0.05%,酸可溶A:0.01〜0.0
5%,N:0.005〜0.010%,Sn:0.03〜0.5%,Cu:0.02
〜0.3%を含有する珪素鋼素材を熱間圧延して中間厚み
の熱延板とし、前記熱延板に対し析出焼鈍をし、次いで
最終板厚を0.23mm以下とする冷間圧延工程と、脱炭焼鈍
工程、焼鈍分離剤塗布工程および仕上焼鈍工程を施すこ
とから成る一連の高磁束密度方向性電磁鋼板の製造工程
において、前記焼鈍分離剤塗布工程で硼素含有量を硼素
として400ppm未満に精製したMgOを主成分とする焼鈍分
離剤を使用することを特徴とする鉄損特性の優れた高磁
束密度方向性電磁鋼板の製造方法である。
次に本発明の方法をさらに詳細に説明する。
まず、本発明を成すに至った基礎的実験事実について詳
明する。
(実験1) 本発明者はC:0.067%,Si:3.23%,Mn:0.07%,
S:0.03%,酸可溶A:0.03%,N:0.007%,Sn:
0.1%,Cu:0.09%を含む珪素鋼素材を常法により2.0mm
の板厚に熱間圧延し、1100℃で4分間析出焼鈍を施した
後、最終板厚として0.30〜0.08mmの範囲で冷間圧延し
た。次いで、この冷延板を820℃で4分間湿水素中で脱
炭焼鈍した後、該鋼板表面に従来より使用されているMg
Oを主成分とする焼鈍分離剤スラリーを乾燥後の重量で
6g/m2となるよう塗布し、仕上焼鈍を施した。仕上焼鈍
はまず乾燥窒素中600℃で5時間、脱水のための均熱を
施し、次いで20%N2+80%H2中、1200℃まで20℃
/Hrで昇温した後、純水素に雰囲気を切り換えて10時
間純化焼鈍を施し、得られた製品の磁気特性を調べた。
この結果を第1図に示す。
(実験2) また、板厚の差のみによる鉄損特性の変化を調査するた
めに上記の方法で製造した板厚0.30mmの製品から磁束密
度がB10で1.95(T)、鉄損がW17/50で0.95(W/kg)のものを
採取して、塩酸中でグラス皮膜を除去し、次いでリン酸
−過酸化水素混液中にて化学研磨して板厚を薄くした
後、850℃で3分間湿水素中で鋼板表面にSiO2を生成さ
せるために焼鈍し、この鋼板表面にMgOを主成分とする
焼鈍分離剤を塗布・乾燥した後、グラス皮膜再生のため
水素中1200℃で5時間焼鈍した。この結果を第1図に
(▲)で示した。
第1図より、通常工程で板厚の異なる高磁束密度方向性
電磁鋼板を製造した場合、板厚0.30mmから0.20mmまでは
板厚が薄いほど鉄損特性は向上するが、板厚0.20mm以下
では板厚が薄いほど鉄損特性が劣化する。また、磁束密
度も板厚0.20mmを境に板厚が薄いほど低下し、Goss方位
集積度が悪くなることを示している。
一方、板厚0.30mmの製品から化学研磨によって板厚を薄
くした後、グラス皮膜を再生した場合には板厚が薄くな
るにつれて連続的に鉄損特性が向上していることから、
二次再結晶が同様に進行した場合、すなわち、Goss方位
集積度、表面皮膜が同等ならば板厚が薄いほど鉄損特性
が良好であり、通常工程による板厚0.2mm以下の製品で
は二次再結晶挙動が板厚0.20mm以上の場合と異なってい
ることが推定できる。そこで、本発明者はこの二次再結
晶挙動の板厚による差異の原因を解明するために、焼鈍
分離剤塗布工程までを上記と同一条件で実施し、仕上焼
鈍の昇温途中で試料を引き出して鋼中成分の内、インヒ
ビターとして二次再結晶に大きく寄与する〔N〕につい
て化学分析を実施した。
第2図(a)に鋼中のTotalN、第2図(b)に鋼中にANと
して析出しているN(N as AN)の温度による量
的変化を示す。第2図(a),(b)より仕上焼鈍の昇温過程
において、二次再結晶開始前の900℃前後まではTotal
N,N as ANともに板厚による差は極めて小さい
が、通常、二次再結晶によるprimaryGossが発生すると
考えられている950〜1050℃,さらにGoss粒の発達する1
050℃以上の温度では板厚0.23mmの場合と比べて板厚が
薄いほどTotalN、N as ANともに減少量が大きい
ことが判明した。よって仕上焼鈍の昇温過程で板厚が薄
い材料ほどより低温で、有効な二次再結晶を進行させる
ために必要な強力なインヒビター効果がANの分解に
より失なわれやすいことにより、仕上焼鈍後のGoss方位
集積度が悪くなると考えられ、このインヒビターの分解
を抑えることにより板厚の薄い素材の磁束密度の向上が
期待できる。
本発明者は上記インヒビターとしてのANの分解が板
厚の薄い素材ほどより低温で起こりやすい原因について
詳細な調査を実施した結果、仕上焼鈍昇温過程において
同一の温度では板厚の薄い素材ほど鋼中の〔B〕量が高
くなっていることがわかった。第3図は上記実験で得た
試料の1025℃における表面層から深さ方向の〔B〕の分
布をIMA(イオンマイクロプローブアナライザ)により
分析した結果であり、縦軸のイオン強度は検出感度の1,
000倍で求めたもので鋼中の〔B〕の濃度に相当し、横
軸のスパッタリング時間は板厚に対して深さ方向の距離
を表わしている。第3図より板厚が0.27mmよりも大きい
場合には〔B〕はバックグラウンドに近く、鋼中にほと
んど拡散していないが、板厚が0.23mmから明確に鋼中へ
の拡散が確認でき、板厚が薄いほど〔B〕の鋼中への拡
散量が増加し浸入深さも大きくなっていることが判明し
た。また、この鋼中の〔B〕の形態を第3図に示したと
同一の試料表面を排水溶媒中で定電位電解し、析出物を
EDX(エネルギ分散型X線マイクロアナライザ)により
同定した結果、BNであることが判明した。
以上の事実より、仕上焼鈍中の昇温過程において板厚の
薄い素材ほど〔B〕が鋼中に拡散してBNを形成しやす
く、このBNは AN(s)++BN(s) の反応により生成するものと考えられ、二次再結晶を有
効に進行させるためのインヒビタとしてのANの分散
析出相が減少する結果、製品のGoss方位集積度が低下
し、鉄損特性を劣化するものと考えられる。
上記の如く、高磁束密度方向性電磁鋼板の製造工程にお
いて、仕上焼鈍工程で板厚の薄い素材ほど鋼中に〔B〕
が拡散して磁気特性を劣化することが判明したが、熱間
圧延工程から仕上焼鈍工程に至る各工程の内、鋼板表面
に〔B〕が供給される工程としては、通常、焼鈍分離塗
布工程のみである。
一般に焼鈍分離剤として使用されるマグネシアは公知の
如く海水から採取したMg(OH)2を、700〜1000℃の比較的
低温で焼成して製造され仮焼マグネシアと呼ばれるもの
である。この仮焼マグネシアはその製造方法の特徴から
不可避不純物としてNa+,C,F-,SO4 2-,B等を含
んでおり、ANをインヒビターとしている高磁束密度
電磁鋼板では、特に焼鈍分離剤中の〔B〕含有量を規制
しており、たとえば特公昭46−42298号公報では
焼鈍分離剤に硼素あるいは硼素化合物を添加して仕上焼
鈍中に鋼板に〔B〕を積極的に拡散させて製品の磁気特
性を改善する技術が開示されているが本発明の如く板厚
が0.23mm以下の薄い場合には、逆に磁気特性が劣化す
る。したがって、上記実験事実より鋼材成分としてCu,
Snを含む板厚0.23mm以下の素材では焼鈍分離剤中の
〔B〕を低減することが磁気特性の向上に必須であるこ
とが判明し、本発明を完成した。
本発明者は、製品の磁気特性におよぼす焼鈍分離剤中の
〔B〕量の影響について調査した。まず実験1と同一素
材、同一条件で脱炭焼鈍工程までを施し、次いで焼鈍分
離剤として〔B〕traceの純度99.9%MgOスラリーに
〔B〕源としてB2O3を〔B〕として対MgO重量比で0〜1
000ppmの範囲で配合し、脱炭焼鈍後の鋼板に乾燥後重量
で片面当たり6g/m2となるよう塗布、乾燥した。次い
で、実験1と同一条件で、仕上焼鈍を施し、製品の磁気
特性を測定した。この結果を第4図に示す。第4図より
板厚0.27mm以上の素材では焼鈍分離剤中の〔B〕含有量
が減少するにしたがって磁束密度は若干向上はするが、
製品結晶粒径が増すために、鉄損特性の向上が得られな
い。一方、板厚が0.23mm以下の場合は焼鈍分離剤中の
〔B〕含有量が減少するにしたがって、磁束密度が向上
するとともに鉄損特性が大きく向上し、〔B〕含有量が
400ppmより小さい領域で、実験2において得られた第1
図の結果と同等の鉄損特性が得られることが判明した。
よって、焼鈍分離剤中の〔B〕量を400ppm未満とするこ
とによりはじめて、鋼中成分としてCu,Snを含有する板
厚0.23mm以下の二次再結晶が有効に進行し、微細かつGo
ss方位集積度の高い二次再結晶粒を有する鉄損特性の優
れた高磁束密度方向性電磁鋼板が得られ本発明の目的が
達成される。
次に本発明の限定理由について説明する。
Cは0.085%を超すと、後工程の脱炭焼鈍に長時間を要
するので好ましくない。
Siは2.0%未満では本発明の目的である低鉄損が得られ
なく、一方4.0%を超すと冷延が困難となり好ましくな
い。
酸可溶Aは本成分系の基本元素であり、0.01〜0.05%
の範囲を逸脱すると二次再結晶が不安定となる。
MnおよびSはMnSを形成させるために必要な元素であ
り、Mnの適量は0.03〜0.15%、好ましくは0.05〜0.10%
の範囲がよい。Sは0.05%を超すと純化焼鈍時での脱硫
が困難となり好ましくない。一方、0.01%未満ではイン
ヒビターとしてのMnSの量が不足する。
Snは0.03〜0.5%、好ましくは0.05〜0.20%、Cuは0.02
〜0.3%、好ましくは0.05〜0.15%の範囲である。これ
は二次再結晶粒の微細化に有効で、この量は0.03%未満
では効果が弱く、一方0.5%を超すと、Cuとの複合添加
であることもあって圧延性および酸洗性が劣化する。一
方、Cuはグラス皮膜の形成には優れた元素で、密着性の
良い皮膜が得られるが、単独で添加すると二次再結晶粒
が粗大化するため鉄損特性が劣化する。このCuの量は0.
02%未満ではグラス皮膜の改善に効果が少なく、一方、
0.3%を超すと磁気特性の面から好ましくない。
製品板厚は0.23mm以下、好ましくは0.23mm〜0.10mmが適
しており、0.23mmより板厚が厚いものでは方位(Goss方
位集積度)、結晶粒径を改善後にも現行工程以上の鉄損
特性の改善は困難である。
焼鈍分離剤中の〔B〕含有量は400ppm未満,好ましくは
300ppm未満が好ましく、400ppm以上では、二次再結晶粒
のGoss方位集積度が低く板厚減少分による鉄損特性の改
善が小さいため好ましくない。
以上の如く、本発明の目的は製鋼工程における溶鋼成分
の組成、冷延工程における板厚、および焼鈍分離剤塗布
工程におけるMgOを主成分とする焼鈍分離剤中の微量元
素を限定することによりはじめて達成されるが、上記第
1発明の方法と仕上焼鈍工程における焼鈍温度、雰囲気
条件との組合せにより、さらに優れた鉄損特性を有する
高磁束密度方向性電磁鋼板の製造が可能であることを見
出した。
すなわち、第2発明は、上記、仕上焼鈍工程において二
次再結晶を780〜1000℃の温度範囲内で、かつ、Sn,Cu
に対して中性の雰囲気中で完了させることを特徴とする
第1発明の方法である。
本発明の珪素鋼成分であるSn,Cuはいずれも二次再結晶
を有効に進行させるためのインヒビター成分として有用
であることは公知である。本発明者はこのSn,Cuの仕上
焼鈍中での挙動について鋭意検討した結果、仕上焼鈍時
にSnは鋼板内で粒界偏析し、CuはCuxSとして分散析出す
ることにより一次再結晶粒のNormal grain growthを抑
制(インヒビター効果)し、Snは、800〜900℃近傍で偏
析係数が最も大きくなり、CuxSはCuとSの比率による
が、約900〜1000℃で析出ノーズを有し、したがって、S
n,CuxS偏析の析出が最も容易な温度領域で処理すれば
最も強力なインヒビター効果が得られ、その結果、微細
かつGoss方位集積度の高い二次再結晶粒が得られること
が判明した。よって仕上焼鈍は780〜1000℃、好ましく
は800〜950℃が適しており、780℃未満では二次再結晶
の開始および二次再結晶粒の成長に長時間を要し好まし
くなく、1000℃を超えるとSnの粒界偏析効果が消え、二
次再結晶粒のGoss方位集積度が低くなるため良好な鉄損
特性が得られない。
また仕上焼鈍雰囲気は二次再結晶焼鈍の完了する780〜1
000℃の温度範囲をSn,Cuに対して中性雰囲気とするこ
とが好ましく、SnあるいはCuに対して酸化性の場合は、
鋼板表面でSn,Cuの酸化物が形成されることにより鋼中
でのSnの粒界偏析、CuxSの分散析出の量的変化のため磁
気特性が劣化するとともにSn,Cuの酸化物によりグラス
皮膜形成性が悪くなり、皮膜特性の劣化が生じるため好
ましくない。一方、仕上焼鈍雰囲気がSn,Cuに対して還
元性の場合、鋼板表面近傍でのCuxSの分解により表面層
のNormal grain growthが起こるために、二次再結晶粒
が充分に成長することができず磁気特性が劣化する。
本発明において、仕上焼鈍での昇温速度は特に限定する
ものではなく、780〜1000℃の範囲内で二次再結晶が完
了するまでは一定温度で保持してもよく、または1000℃
までに二次再結晶が完了するような速度で連続的に昇温
してもよいが、コイル内外周での温度分布に差が生じな
いよう一定温度で保持するか、またはゆっくりと昇温す
るのが好ましい。Sn,Cuに対して中性の雰囲気としては
焼鈍中の雰囲気の酸素ポテンシャルが変化しないN2,Ar
等の不活性ガスが好ましく、焼鈍分離剤塗布工程から持
ち込まれる水分の量により上記不活性ガスに若干のH2
スを混合してもよい。
さらに、上記発明の焼鈍分離剤塗布工程において、MgO
を主成分とする焼鈍分離剤に特定の物質を配合すること
によりさらに優れた鉄損特性とグラス皮膜特性を有する
高磁束密度方向性電磁鋼板の製造が可能であることを見
出した。
すなわち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤にW,Mo,S
r,Cu,Co,Ni,Sbもしくはこれらを含む化合物の中か
ら選ばれる1種または2種以上を含有させることを特徴
とする第2発明の方法である。
上記元素を含む物質としては、金属粉、合金粉末、酸化
物、硫化物、硫酸塩のいずれを使用してもよいが、水に
難溶性の物質の場合は焼鈍分離剤スラリー中での分散
性、仕上焼鈍時の反応性の点から325meshパス、好まし
くはMgOを主成分とする焼鈍分離剤の粒度と同等か、そ
れより微細なものもしくはコロイド状のものがよい。
(実施例) 以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1 重量パーセントでC:0.06%,Si:3.20%,Mn:0.080
%,S:0.020%,酸可溶A:0.025%,N:0.0085
%,Sn:0.09%,Cu:0.11%を含有する珪素鋼鋳片を13
00℃に加熱後、熱間圧延して2.0mmの熱延板とした。こ
の熱延板を1120℃で4分間均熱後、酸洗し、次いで冷間
圧延により0.23mmの板厚とした。この冷延板を820℃で
3分間、露点+50℃の50%N2+50%H2の混合ガス気流中で
脱炭した。脱炭焼鈍後の鋼板両面にMgOを主成分とし、
〔B〕を対MgO重量比で200ppmに精製した焼鈍分離剤の
スラリーを塗布・乾燥して、片面当たり6g/m2の付着量
とし、コイル状に巻き取った。これを20℃/Hrで1200
℃までN2+H2混合ガス中で昇温し、次いでH2ガスに切換
えて20時間均熱した。
冷却後、未反応の焼鈍分離剤をブラシ水洗して除去し、
コイルよりサンプルを採取して、800℃で2時間、N2
で歪取焼鈍した後、磁気特性を測定した。この結果を第
1表に示す。
実施例2 実施例1と同一組成、同一条件で熱間圧延工程までを施
し、板厚2.0mmの熱延板を製造し、この熱延板に実施例
1と同一条件で析出焼鈍を施した。ついで冷間圧延によ
り0.15mmの板厚とし、脱炭焼鈍以降の工程を全て実施例
1と同一条件とした。この結果を第1表に示す。
比較例1 重量パーセントでC:0.06%,Si:3.20%,Mn:0.080
%,S:0.020%,酸可溶A:0.025%,N:0.0085%
を含有する珪素鋼鋳片を実施例1と同一条件で仕上焼鈍
までを施した。磁気特性測定結果を第1表に示す。
比較例2 比較例1と同一素材を用いて実施例2と同一条件で熱延
以降の工程を施した。この結果を第1表に示す。
比較例3 実施例1と同一素材、同一条件で脱炭焼鈍までを施し、
次いでこの脱炭焼鈍後の鋼板両面に従来より使用されて
いるMgOを主成分とする焼鈍分離剤のスラリーを塗布・
乾燥して、6g/m2の付着量としコイル状に巻取った。焼
鈍分離剤中の〔B〕量を分析した結果、対MgO重量比で7
50ppmであった。次いで、このコイルを実施例1と同一
条件で仕上焼鈍を施した。磁性測定結果を第1表に示
す。
実施例3 重量パーセントでC:0.07%,Si:3.26%,Mn:0.085
%,S:0.023%,酸可溶A:0.031%,N:0.0090
%,Sn:0.10%,Cu:0.08%を含有する珪素鋼鋳片を13
00℃に加熱後、熱間圧延して1.7mmの熱延板とした。こ
の熱延板を1100℃で5分間均熱後、酸洗し、次いで冷間
圧延により0.15mmの板厚とした。この冷延板を800℃で
4分間、露点+40℃の20%H2+80%N2の混合ガス気流中
で脱炭した。脱炭焼鈍後の鋼板両面にMgOを主成分と
し、〔B〕を対MgO重量比で100ppmに精製した焼鈍分離
剤のスラリーを塗布、乾燥して片面当たり5.5g/m2の付
着量とし、コイル状に巻取った。これを800℃までSn,C
uに対して中性のN2+2%H2中で50℃/Hrで昇温し、続い
て800℃×30Hr,N2+2%H2中で均熱して二次再結晶焼鈍
を施した。次いで、20℃/Hrで1200℃までH2ガス中で
昇温し20時間均熱した。
冷却後、未反応の焼鈍分離剤をブラシ水洗して除去し、
コイルよりサンプルを採取して800℃で2時間、N2
で歪取焼鈍した後、磁気特性を測定した。この結果を第
2表に示す。
実施例4 実施例3と同一素材、同一条件で焼鈍分離剤塗布工程ま
でを施し、コイル状に巻取った。次いで、これを780℃
までN2+2%H2混合ガス中50℃/Hrで昇温し、同じく
N2+2%H2中で900℃まで3℃/Hrで昇温して二次再結
晶を完了させた後、H2ガスに切換え1200℃まで25℃/
Hrで昇温し、1200℃×20Hr均熱した。冷却後、未反応
の焼鈍分離剤をブラシ水洗して除去し、コイルよりサン
プルを採取して800℃で2時間、N2中で歪取焼鈍した
後、磁気特性を測定した。この結果を第2表に示す。
実施例5 実施例3と同一素材、同一条件で脱炭焼鈍工程までを施
し、この脱炭焼鈍後の鋼板表面に、〔B〕含有量75pp
mに精製したMgOを主成分とする焼鈍分離剤スラリーに第
3表に示す物質を配合し、塗布、乾燥して付着量6g/m2
とし、コイル状に巻取った。このコイルに実施例3と同
一条件で仕上焼鈍を施した。冷却後、未反応の焼鈍分離
剤を水洗除去し、コイルよりサンプルを採取して800℃
で2時間、N2中で歪取焼鈍した後、磁気特性・皮膜特性
を測定した。この結果を第3表に示す。
(発明の効果) 従来より、高磁束密度方向性電磁鋼板の磁気特性改善を
目的とした技術は多数提案されているが、本発明の如く
製鋼工程での溶鋼成分と冷間圧延工程での板厚および焼
鈍分離剤塗布工程でのMgOを主成分とする焼鈍分離剤の
組成とを組合せることにより、従来、得られなかった優
れた鉄損特性の高磁束密度方向性電磁鋼板の製造が可能
となったことの工業的意義は大きく、さらに上記発明と
仕上焼鈍工程での二次再結晶焼鈍温度、雰囲気および、
焼鈍分離剤への特定物質の配合とを組合わせることによ
り磁気特性を飛躍的に向上させる如く技術は皆無であ
り、極めて新規な技術である。
【図面の簡単な説明】
第1図は高磁束密度方向性電磁鋼板の板厚と磁気特性の
関係を示す図、第2図(a)は高磁束密度方向性電磁鋼板
の仕上焼鈍の昇温過程における鋼中Total Nの板厚の差
による変化を示す図、第2図(b)は同じく鋼中N as
ANの板厚の差による変化を示す図、第3図は鋼中の
〔B〕の濃度と板厚に対する深さ方向の距離との関係を
示す図、第4図は焼鈍分離剤中のMgOの〔B〕量と磁気
特性との関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.085%以下,Si:2.0〜4.0%,Mn:
    0.03〜0.15%,S:0.01〜0.05%,酸可溶A:0.01〜
    0.05%,N:0.005〜0.010%,Sn:0.03〜0.5%,Cu:
    0.02〜0.3%を含有する珪素鋼素材を熱間圧延して中間
    厚みの熱延板とし、前記熱延板に対し析出焼鈍をし、次
    いで最終板厚を0.23mm以下とする冷間圧延工程と脱炭焼
    鈍工程、焼鈍分離剤塗布工程および仕上焼鈍工程を施す
    ことから成る一連の高磁束密度方向性電磁鋼板の製造工
    程において、前記焼鈍分離剤塗布工程で硼素含有量を硼
    素として400ppm未満に精製したMgOを主成分とする焼
    鈍分離剤を使用することを特徴とする鉄損特性の優れた
    高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】上記仕上焼鈍工程において、二次再結晶を
    780〜1000℃の温度範囲内で、かつSn,Cuに対して中性
    の雰囲気中で完了させることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】MgOを主成分とする焼鈍分離剤に、W,
    Mo,Sr,Cu,Co,Ni,Sbもしくはこれらを含む化合物の
    中より選ばれる1種又は2種以上を含有させることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記載の方
    法。
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