JP4698448B2 - 方向性電磁鋼板用MgOとこれを用いた磁気特性とグラス被膜特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、方向性電磁鋼板の製造に際し、高温仕上げ焼鈍工程において極めて均一で、優れた高張力被膜をコイル全面に形成するとともに、優れた磁気特性を持つ方向性電磁鋼板を得るための製造方法と、その製造方法で用いる焼鈍分離剤用MgOに関する。
通常、方向性電磁鋼板は、Si2.5〜4.0%を含有するスラブを熱延し、冷延、焼鈍した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を鋼板に塗布乾燥し、その後巻き取り、高温仕上げ焼鈍を行い、絶縁被膜とフラットニング処理を行って最終製品とされる。
焼鈍分離剤として使用されるMgOは、鋼板の焼き付きを防止するだけでなく、高温焼鈍中に鋼板中のSiO2主体の酸化膜と反応して、グラス被膜と称するフォルステライト被膜層を形成する。このグラス被膜形成反応には、高温仕上げ焼鈍条件、酸化膜性状とともに、焼鈍分離剤の性状、不純物等が大きく影響することから、方向性電磁鋼板に適したMgOの開発が鋭意行われている。
MgOは、一般に、少量の添加剤とともに水に懸濁されてスラリー状とされ、鋼板に塗布され、その後、乾燥される。その後、鋼板は、コイル状に巻き取られた後、高温仕上げ焼鈍が施こされる。この時使用される添加剤は、金属酸化物、ホウ素化合物等である。
上記工程により、MgOには微量の水分が含有されているので、高温仕上げ焼鈍中の雰囲気露点が高く、また、不均一になる問題がある。また、添加物の反応性も、添加剤の種類によっては、雰囲気露点の影響を受けるので、部分的に被膜形成が早くなったりして、グラス被膜が不均一に生成する問題がある。
また、方向性電磁鋼板の磁気特性に大きな影響を及ぼす鋼中のインヒビターは、グラス被膜の生成時期、被膜性状と密接な関係があるので、高温仕上げ焼鈍中のグラス被膜生成が不均一になると、磁気特性も不安定となる問題がある。
このような問題点を解決する手段としては、例えば、特許文献1に記載された方法がある。この方法では、高温焼成したMgOの最表層のみを気相中で処理することにより水和層を形成して、MgOの反応性を高め、しかも、含有水分を減らすことが可能となるので、グラス被膜と磁気特性が向上する。
添加剤を用いる手段としては、例えば、特許文献2に、MgO100重量部に対して、Sb,Sr,Ti,Zrの塩化物を一定量含有する硫酸アンチモン0.5〜2.0重量部を添加する技術が提案されている。この技術により、グラス被膜形成反応が向上し、グラス被膜特性と磁気特性が向上する。
また、近年では、特許文献3及び特許文献4に、酸化マグネシウム中に含まれる硼素における三配位ホウ素の比率を規定したり、酸化マグネシウム中のカルシウム、リン、硼素のそれぞれの含有量などを規定することで、方向性電磁鋼板の被膜特性の向上を図る技術が開示されている。
さらに、特許文献5には、クエン酸活性度、比表面積、強熱減量、粒子形状、粒度分布について規定することにより、方向性電磁鋼板の被膜特性を向上させる技術が開示されている。
一方、MgOそのものについても、特許文献6には、かさ比重、及び、粒径分布について、粒度3μm以下が40〜70%、15μm以上の粗粒分を15%以下とする粒度10μm以上が10〜25%、及び、残部が3μm〜10μmに規定されたMgOを用いることで、方向性電磁鋼板の被膜特性と歪の低減を両立させる技術が開示されている。
さらに、特許文献7には、ロータリーキルン焼成により得られるMgOを2種類以上混合し、かつ、混合に際し、配合割合を、所定目標値に、及び/又は、許容上限値からの変位量に応じて調整し混合する技術が開示されている。
また、特許文献8には、酸化マグネシウム粒子の累積細孔容積曲線の第一変曲点径と粒子間空隙量、及び、粒子内空隙量を特定範囲に制御する技術が開示されている。しかし、この技術は、必ずしもコイル状態での欠陥が減少するものではなく、露点が不均一であったり、温度分布が不均一であったりすることにより被膜欠陥が発生するという問題点を抱えるものである。
特開昭62−156226号公報 特開昭63−3022号公報 特開2004−176144号公報 特開2004−238668号公報 特許第3536775号公報 特公昭52−31296号公報 特開平10−88244号公報 再公表WO01/83848号公報
しかし、これらの従来技術では、脱炭焼鈍条件や高温仕上げ焼鈍条件等によっては、グラス被膜が不均一になったり、磁気特性が不安定になったりする場合があり、より一層の技術改善が必要とされている。すなわち、グラス被膜の安定形成が課題である。さらに、近年では、方向性電磁鋼板の製造効率を向上させるため、コイルを大型化する傾向にあり、コイル内での温度偏差等から、グラス被膜形成反応はますます不均一化し易く、この点からも、グラス被膜の安定形成技術が求められている。
一般に、方向性電磁鋼板の製造工程においては、脱炭焼鈍後に焼鈍分離剤が塗布され、コイル状に巻き取られてから高温仕上げ焼鈍が行なわれる。すなわち、高温仕上げ焼鈍工程では、通常、コイル状で加熱するが、焼鈍分離剤として使用するMgOは、熱伝導性が低いことから、コイル内で温度偏差が発生し易く、また、大型コイルになるほど温度偏差も大きくなり易い。
さらに、コイルの各部分における温度が異なることから、板間における雰囲気露点も異なっているのは明白であり、このような反応条件下では、形成されるグラス被膜に不均一が生じるのはもっともなことである。
本発明者らは、異なるグラス被膜形成条件下でも、均一で優れたグラス被膜をコイル全面に形成し、同時に、優れた磁気特性を得るために、各種検討を行った。その結果、グラス被膜形成反応を3つの反応段階に分離し、MgOがそれぞれの段階に合致した特性を発揮できることが必要であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨とするところは、下記のとおりである。
(1)ゼータ電位の絶対値が20mV以上で、20℃における40%クエン酸活性度の平均値が100〜200秒で、かつ、粒度分布の標準偏差が4以上であることを特徴とする方向性電磁鋼板用MgO。
(2)前記方向性電磁鋼板用Mgが、水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質を0.80から1.05当量で反応させて水酸化マグネシウムとし、これを、700〜1300℃で焼成して得られたものであることを特徴とする(1)記載の方向性電磁鋼板用MgO。
(3)焼鈍分離剤を塗布した後、高温仕上げ焼鈍する方向性電磁鋼板の製造方法において、焼鈍分離剤の主成分として用いるMgOのゼータ電位の絶対値が20mV以上で、20℃における40%クエン酸活性度の平均値が100〜200秒で、かつ、平均粒径が1.5〜4.5μmで粒度分布の標準偏差が4以上である焼鈍分離剤を、脱炭焼鈍後の冷間圧延方向性電磁鋼板に塗布乾燥し、高温仕上げ焼鈍することを特徴とする磁気特性とグラス被膜特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
(4)前記焼鈍分離剤として、MgO100重量部に対し、酸化チタンを1〜30重量部と、さらに、Sb化合物、Ca化合物、Ba化合物、Sr化合物、B化合物の1種又は2種以上からなる化合物を、合計で0.1〜5重量部含有したものを用いることを特徴とする磁気特性とグラス被膜特性に優れた(3)記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明により、大型コイルの全面において、均一で、密着性に優れ、かつ、高張力を保持する優れたグラス被膜が得られ、さらに、グラス被膜形成反応が安定して得られるので、鋼中のインヒビターが適切に保たれ、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板が得られる。
すなわち、本発明においては、コイル内部のグラス被膜形成反応条件に格差がある場合でも、その差を吸収して、緻密で均一なグラス被膜を形成することが可能であり、最適なグラス被膜を形成することができるので、グラス被膜特性のみならず、優れた磁気特性を発現するものである。
以下、本発明を実施する具体的形態について説明する。
まず、本発明にて使用するMgOが良好なグラス被膜を形成する理由は、高温仕上げ焼鈍プロセス中にMgOに必要とされる機能が2項目あるからである。
第一の機能としては、高温仕上げ焼鈍プロセスの昇温過程において、850〜1000℃の間では、できるだけ低温側からグラス被膜形成反応を開始し、鋼板表面にグラス被膜を形成することにより、インヒビターの分解を抑制することである。このためには、高活性MgOの使用が望ましいのは当然である。
本発明で使用するMgOの20℃における40%クエン酸活性度を、100〜200秒に規定するのはそのためである。100秒未満では、反応性が高すぎて、水分との反応性が高くなり過ぎて、MgOを水に懸濁した時に粘度が高くなり易く、塗布作業性が劣るためであり、200秒超では、反応性が低すぎて、被膜欠陥が増加するためである。また、最適には、120〜180秒が好ましく、さらに最適には140〜160秒が望ましい。
ここで、40%クエン酸活性度とは、MgOとクエン酸が40%中和反応をするまでの反応時間で、MgOの反応性を表わしたものであり、MgOの評価指標として、一般的に用いられているものである。
しかしながら、活性度を100〜200秒に規定するだけでは不十分である。本発明者等は、単にMgOの反応性を高めただけではグラス被膜形成反応が低下することを見出した。そこで、鋭意検討した結果、MgOの反応性を高めるとMgOが凝集して2次粒子を形成し、その2次粒子によって、MgOと鋼板間の距離が大きくなり過ぎることから、グラス被膜形成反応が不完全になることを見出した。
そこで、さらに検討を重ねた結果、MgOのゼータ電位を絶対値で20mV以上に特定することにより、MgOの2次粒子化を制御し、適切なグラス被膜形成反応を行わせることにより、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を製造することが可能であることを見出した。ゼータ電位の絶対値を20mV以上に規定する理由は、20mV未満であると、MgOの凝集が強く、被膜欠陥率が高くなるからである。
ゼータ電位の上限は、特に限定するものではないが、MgOの場合には、50mV超にする必要は無く、さらに、製造のし易さ等を考慮すると、25mVから45mVの範囲が好適である。さらに好適には、30mVから40mVの範囲が望ましい。
本発明でいうゼータ電位とは、水分散体粒子の表面電位の一つで有り、電気泳動法や流動電位法により実測される。具体的には、一般に市販されているゼータ電位測定装置、例えば、大塚電子株式会社製ELS−8000等を使用して測定する。
特許文献8には、粉体の凝集を制御することに関する技術が開示されているが、乾燥状態におけるMgOを規定するものである。これに対し、本発明者等は、一般的な方向性電磁鋼板の製造方法では、MgOは水に懸濁してスラリー状にしてから塗布されていて、スラリー状態での分散状態が、その後のグラス被膜形成に非常に大きく影響することを見出した。この知見は、特許文献8に記載される技術とは異なるものである。
次に必要な機能は、グラス被膜形成反応を効率よく進めるために、高温焼鈍中のガス供給を円滑に行えるよう、鋼板間において適当な間隙を形成することである。高温焼鈍中には、MgOに付随する水分の排除や還元雰囲気に保持するための水素ガス、及び、鋼板中から分解し放出される硫黄成分など、固体・気体間での物質移動が不可欠であるが、これらを効率的に進めるためには、鋼板間の間隙を適切に保持する必要がある。そのためには、反応性だけでなく、MgOには、いわゆるスペース効果を保持できる機能が必要である。
本発明で使用するMgOの平均粒径を1.5μm以上4.5μm以下、粒度分布の標準偏差を4以上と規定するのは、鋼板間において適正間隙を保持するためである。標準偏差が4未満の場合、ガス流れが劣化し被膜欠陥率が高くなる。また、平均粒径が1.5μm未満であると、被膜の変色が発生し、4.5μm超ではフォルステライトの生成不良になり易く、やはり、被膜欠陥が発生する。
ここで、粒度分布の測定には、一般的なマイクロトラック法を用い、平均粒径としては、メジアン径を用いてもよい。また、標準偏差の計算は、分散の平方根を求める一般的な計算方法によってもよい。
また、本発明者等は、特定ゼータ電位を持つMgOを生産性よくかつ安価に製造するためには、MgOの製造工程に注目する必要があることを見出した。
すなわち、一般的には、方向性電磁鋼板の焼鈍分離剤用のMgOは、MgOの原料として、塩化マグネシウムを含有する苦汁や海水、又は、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムといった水溶性のマグネシウム塩を使用し、これに、水酸化カルシウム等のアルカリ性物質を混合・反応させることにより、水酸化マグネシウムを生成し、これを焼成することにより製造される。
本発明でいう、水溶性マグネシウム塩とは、水に対する溶解度が比較的高いもので、具体的には、塩化マグネシウムや硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムなどをいい、工業的には、塩化マグネシウムを含有する苦汁、海水を、水溶性マグネシウム塩の供給源として用いる。
また、アルカリ性物質とは、水に溶かした時にアルカリ性を示すもので、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等が挙げられる。
水酸化マグネシウムを生成する際に、過剰のアルカリ性物質を混合すると、海水や塩化マグネシウムから水酸化マグネシウムを歩留まりよく生成することが可能であるが、同時に、不純物も沈殿し易く、生成する水酸化マグネシウムの純度が低下する。
そこで、通常は、水溶性マグネシウム塩に対しアルカリ性物質を当量より非常に少なく配合して、純度を高めている。これは、生成した水酸化マグネシウムから不純物を除去するのが困難で、工業的には、水酸化マグネシウムの純度を確保する方が、コストを抑制できるためである。
しかしながら、本発明のMgOは、過少のアルカリ性物質を混合する方法では、ゼータ電位の制御が難しく、製造が困難である。そこで、鋭意検討した結果、水溶性マグネシウム塩1当量に対し、アルカリ性物質を0.80〜1.05当量とした水酸化マグネシウムを、700〜1300℃で焼成することにより、本発明のMgOが得られることが解った。
アルカリ性物質の当量が0.80未満では、所定範囲のゼータ電位が得られず、1.05超では、水酸化マグネシウムの純度が低過ぎて工業的でない。好ましい当量範囲は、0.9〜1.05である。また、焼成温度が700℃未満では、MgOの生成速度が遅過ぎて生産性が低く、1300℃超では、クエン酸活性度の制御が難しく、やはり生産性が劣る。
水溶性マグネシウム塩とアルカリ性物質の当量がゼータ電位に影響を及ぼすメカニズムは、詳細には明らかになっていないが、大過剰のアルカリ物質が存在すると、生成した水酸化マグネシウムの表面にアルカリ性物質が吸着し、表面状態が変化し、その後の焼成過程により酸化MgOとなった後も、その影響が残るためと推定される。
本発明では、単一の製造条件によるMgOのみでなく、2種以上の異なる製造条件によるMgOを組み合わせても何ら問題はない。なお、この場合の異なるMgOの個々の製造方法は、上記の製造方法に限られるものではない。さらには、異なるMgOの個々の性能(活性度、ゼータ電位など)も本発明の範囲に限られるものではなく、結果として、2種以上の異なるMgOを混合したMgOが本発明の範囲を満たしていればよい。
さらに、本発明では、MgOの反応性を補うため、ほう酸、金属酸化物などの添加剤を適宜用いることが可能である。このような添加剤としては、酸化チタンが最も一般的でコストも安く、本発明のMgOと併せて用いると、良好な特性が得られるが、さらに、Sb化合物、Ca化合物、Ba化合物、Sr化合物、B化合物を併用すると、従来にない効果が得られる。
このような化合物の具体例としては、硫酸Sb、硫酸Ca、硫酸Ba、硫酸Sr、酸化Sb、酸化Ca、酸化Ba、酸化Sr、塩化Sb、塩化Ca、塩化Ba、塩化Sr、水酸化Ca、水酸化Ba、水酸化Sr、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸が挙げられる。本発明では、MgO100重量部に対し、酸化チタンを1重量部から30重量部と、上記化合物の1種又は2種以上を組み合わせたものを0.1重量部から5重量部添加することにより、格段に優れたグラス被膜の密着性が得られる。酸化チタンが1重量部未満であると、グラス被膜が白化し易く、被膜欠陥となり、30重量部超では、グラス被膜が黒変し易く、やはり、被膜欠陥となる。
また、上記化合物又は化合物の混合物が0.1重量部未満では、添加効果が現れず、5重量部超では、化合物の凝集粒が発生し易く、部分的にグラス被膜が生成しない、いわゆる、ベアスポットが生成する。
(実施例1)
原料Mg塩として、苦汁及び海水を用い、原料アルカリ物質として、表1中に記載する水酸化物を用いて、水槽中で混合攪拌し化学反応させて水酸化マグネシウムとした。その後、洗浄工程を経てロータリーキルンにて焼成し、酸化マグネシウムとした後、粉砕分粒により、表1に示すAからFのMgOを製造した。
質量%で、Si;3.25%,C;0.08%,Mn;0.07%,S;0.024%,Al;0.028%,N;0.0075%,Cu;0.08%,Sn;0.06%で、残部が実質的にFeである鋼塊20tを熱延して熱延板とした後、焼鈍、酸洗、冷延し、最終板厚0.23mmの冷延板とした。
その後、水素含有量25%、露点50℃の水素−窒素雰囲気中で脱炭焼鈍を行い、次いで、表1に示すMgOに対して5%のTiO2と0.2%のSbSO4を水に懸濁してスラリーとし、乾燥後の質量で6g/m2になるように、冷延板に塗布乾燥し、コイルに巻き取った後、1200℃×20時間の高温仕上げ焼鈍を行った。
次いで、余剰のMgOを水洗除去し、軽酸洗処理をした後、りん酸アルミとシリカを主成分とする方向性電磁鋼板用の通常の絶縁被膜剤を塗布乾燥し最終製品とした。
特性を評価する部位を、最終製品コイルの長手方向の両端部、幅方向の両端部から採取して、被膜特性、磁気特性を評価した。その結果を表2に示す。なお、被膜特性、磁気特性は、その平均値を表中に記載した。
本発明で使用するMgOを製造するための原料MgOについて表1に示す。粒度分布については、MgOの粒度をマイクロトラック法で測定し、統計処理を行った。
Figure 0004698448
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密着性の評価は20mmφ曲げで評価し、セロテープ(登録商標)にて剥離面を引き剥がして剥離量を評価した。被膜張力は、片側ずつ被膜を剥離したときの鋼板の曲がり量から算出して評価した。
(実施例2)
質量%で、Si;3.25%,C;0.08%,Mn;0.07%,S;0.024%,Al;0.028%,N;0.0075%,Cu;0.08%,Sn;0.06%,Bi;0.03%、残部が実質的にFeである鋼塊20tを熱延して熱延板とした後、焼鈍、酸洗、冷延し、最終板厚0.23mmの冷延板とした。
その後、水素含有量25%、露点50℃の水素−窒素雰囲気中で脱炭焼鈍を行い、次いで、表4に示すMgOに対して5%のTiO2と表4に示す添加剤を水に懸濁してスラリーとし、乾燥後の質量で6g/m2になるように、冷延板に塗布乾燥し、コイルに巻き取った後、1200℃×20時間の高温仕上げ焼鈍を行った。
次いで、余剰のMgOを水洗除去し、軽酸洗処理をした後、りん酸アルミとシリカを主成分とする方向性電磁鋼板用の通常の絶縁被膜剤を塗布乾燥し、表面にレーザー照射処理を施し、最終製品とした。
特性を評価する部位を、最終製品コイルの長手方向の両端部、幅方向の両端部から採取して、被膜特性、磁気特性を評価した。その結果を表4に示す。なお、被膜特性、磁気特性は、その平均値を表中に記載した。
なお、表4に示すMgOは、表3に示すMgOを原料として用いたものである。表4には、これら混合された後のMgOの性状を示す。
Figure 0004698448
Figure 0004698448
この試験におけるグラス被膜特性と磁気特性の結果を表5に示す。
Figure 0004698448
密着性の評価は20mmφ曲げで評価し、セロテープ(登録商標)にて剥離面を引き剥がして剥離量を評価した。被膜張力は、片側ずつ被膜を剥離したときの鋼板の曲がり量から算出して評価した。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、従来よりも格段に優れた安定したグラス被膜が得られ、さらに、コイルが大型化しコイル各部の温度偏差が大きい場合でも、磁気特性、グラス被膜特性の両方に優れた方向性電磁鋼板が得られる。よって、本発明は、方向性電磁鋼板を素材として用いる産業において、利用可能性が大きいものである。

Claims (4)

  1. ゼータ電位の絶対値が20mV以上で、20℃における40%クエン酸活性度の平均値が100〜200秒で、かつ、粒度分布の標準偏差が4以上であることを特徴とする方向性電磁鋼板用MgO。
  2. 前記方向性電磁鋼板用MgOが、水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質を0.80から1.05当量で反応させて水酸化マグネシウムとし、これを、700〜1300℃で焼成して得られたものであることを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板用MgO。
  3. 焼鈍分離剤を塗布した後、高温仕上げ焼鈍する方向性電磁鋼板の製造方法において、焼鈍分離剤の主成分として用いるMgOのゼータ電位の絶対値が20mV以上で、20℃における40%クエン酸活性度の平均値が100〜200秒で、かつ、平均粒径が1.5〜4.5μmで粒度分布の標準偏差が4以上である焼鈍分離剤を、脱炭焼鈍後の冷間圧延方向性電磁鋼板に塗布乾燥し、高温仕上げ焼鈍することを特徴とする磁気特性とグラス被膜特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記焼鈍分離剤として、MgO100重量部に対し、酸化チタンを1〜30重量部と、さらに、Sb化合物、Ca化合物、Ba化合物、Sr化合物、B化合物の1種又は2種以上からなる化合物を、合計で0.1〜5重量部含有したものを用いることを特徴とする請求項3記載の磁気特性とグラス被膜特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
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