JP3456860B2 - 鉄損特性の極めて優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

鉄損特性の極めて優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

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JP3456860B2 JP08421697A JP8421697A JP3456860B2 JP 3456860 B2 JP3456860 B2 JP 3456860B2 JP 08421697 A JP08421697 A JP 08421697A JP 8421697 A JP8421697 A JP 8421697A JP 3456860 B2 JP3456860 B2 JP 3456860B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2.5〜7.0%
のSiを含み、良好な鋼板形状を有し、かつ、鉄損特性
が極めて優れたを高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板の磁気特性は一般に、
鉄損特性と励磁特性の両方で評価される。励磁特性を高
めることは設計磁束密度を高める機器の小型化が可能と
なり、一方、鉄損特性を少なくすることは、電気機器と
して使用する際、熱エネルギーとして失われるものを少
なくし、消費電力を節約できる点で有効である。さら
に、製品の結晶粒の<100>軸を圧延方向に揃えるこ
とは、磁化特性を高め、鉄損特性も低くすることができ
るため、近年特にこの面で多くの研究が重ねられ、様々
な製造技術が開発された。
【0003】例えば、古くは特公昭40−15644号
公報に開示されているように、AlN+MnSをインヒ
ビターとして機能させ、高圧下最終冷延の実施により、
二次再結晶粒の{110}<001>方位の集積度が高
く、B8 が1.870T以上の高磁束密度を有する方向
性電磁鋼板を得ることが知られている。
【0004】しかし、この製造方法はある程度の鉄損の
低減は図れるのであるが、二次再結晶マクロの粒径が1
0mmオーダと大きいため、鉄損に影響する因子である渦
電流損を減らすことができず、良好な鉄損値が得られて
いなかった。これを改善するために、特公昭57−22
52号公報に開示されている鋼板にレーザ処理を施す方
法、さらに特公昭58−2569号公報には鋼板に機械
的な歪みを加える方法など、磁区を細分化する様々な方
法が開示されている。
【0005】一方、二次再結晶粒をより小さくして磁気
特性を向上する方法として特公平6−51187号公報
がある。すなわち、該公報には、常温で圧延された鋼板
(ストリップ)に140℃/秒以上の加熱速度で657
℃以上の温度へ超急速焼きなまし処理を施し、該鋼板を
脱炭素処理し、最終高温焼きなまし処理を施して二次成
長を行い、それによって前記鋼板が低減した寸法の二次
粒子および応力除去焼きなまし処理後も有意な変化なし
に持続する改善された鉄損を持つ製造法が開示されてい
る。しかし、単に二次粒子を微細化するだけでは、従来
の磁区細分化なみの鉄損を得ることは困難である。特に
鋼板が急速加熱で急激に高温に曝されるにより、異なっ
た組成の酸化被膜が形成され(ファイアライト(2Fg
O・SiO2 )が優先的に形成されるようになる)、最
終焼鈍においてMgO塗布によるフォルステライト(2
MgO・SiO2 )の形成が必ずしも良好とならず、十
分な被膜張力により優れた磁気特性が得られないという
問題がある。
【0006】また、特開平6−212262号公報に
は、急速加熱に際し、80℃/秒以上の速度で700℃
以上まで昇温した後、0.1秒以内に800℃未満へ5
0℃/秒以上で冷却し、磁性の向上を図る旨の記載があ
るが、この方法によれば、高温仕上焼鈍後に塗布する絶
縁被膜特性が良好とはいえず、十分に低い鉄損値が得ら
れない。
【0007】さらに、特開平7−62438号公報に
は、1回または中間焼鈍を含む2回冷延法の最終冷延圧
下率を89%以上として処理したストリップを脱炭焼鈍
の加熱過程で急速加熱する方法が提示されている。この
方法も上記と同様な問題を抱えており、さらにこのよう
な高冷延圧下率では二次再結晶が不安定になり、極めて
優れた鉄損特性を得ることが難しいといえる。
【0008】本発明者らは、かかる問題を解決するため
に、最終板厚まで圧延されたストリップを脱炭焼鈍する
直前、若しくは脱炭焼鈍の加熱段階として、P H2 O /
P H2 が0.2以下の非酸化性雰囲気中で100℃/秒
以上の加熱速度で700℃以上の温度へ加熱処理する方
法を提案し、特開平7−62436号公報に開示してい
る。また、急速加熱の具体例として2対の直接通電加熱
ロールを用いることも提示している。この製造方法で
は、確かに良好な磁気特性が得られるが、この方法でも
急速加熱中に鋼板表面に緻密な酸化層を形成する場合が
あることが分かった。この酸化層が形成されるとこれが
バリヤーとなり脱炭作用に影響する。すなわち、製品板
での炭素含有量の低減が図れず、その結果、磁気時効に
より製品磁気特性の劣化を生じてしまう。また、十分な
脱炭を行うために脱炭時間を長くすれば、磁気時効の問
題は解決されるが、脱炭時間を延長することは製造コス
トアップになるので好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、一方向
性電磁鋼板の製造には夫々の工程に処理条件を規定した
ものがあるが、夫々に上記したような問題点があり、十
分に優れた磁気特性を得がたいのが実情である。本発明
は必要な工程における条件を特定し、かつ一連の工程に
組込むことにより、十分に低い鉄損をもつ高磁束密度一
方向性電磁鋼板を安定して得る製造方法を提供するもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべくなされたものであり、以下の構成を要旨とす
る。すなわち、 (1) 重量で、C:0.10%以下、Si:2.5〜
7.0%ならびにMn:0.015〜0.15%、Sま
たはSe:0.001〜0.05%、酸可溶性Al:
0.01〜0.04%、N:0.003〜0.02%
含み、残余はFeおよび不可避的不純物よりなるスラブ
を出発素材として一方向性電磁鋼板を製造する方法にお
いて、前記スラブを通常の方法で熱間圧延し、この熱延
板を900℃以上の温度で焼鈍し、その冷却過程で80
℃/秒以下の冷却速度での緩冷却を行い、次いで全圧下
率が88%以上での一回冷延法によりほぼ最終製品板厚
とし、この圧延されたストリップを脱炭焼鈍するに際
し、その昇温段階での急速加熱を、P H2 O /P H2
0.2の湿水素雰囲気にすると共に、加熱速度が250
℃/秒以上となるように2対の通電ロールを用いて行
い、かつ、該通電体ロールにおける低温側ロールと高温
側ロール間の板張力を1.0〜4.0kg/mm2 、高温側
ロールでの圧下力を線圧で1.0〜4.0kg/mm、高温
側ロールの温度を200℃以上にして実施し、引き続い
て脱炭焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を塗布してから高温
仕上焼鈍を施し、該ストリップに絶縁被膜を塗布し焼付
け時板張力を0.8kg/mm2 以下にして焼付け処理をす
ることを特徴とする鉄損特性の極めて優れた高磁束密度
一方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0011】(2) 上記脱炭焼鈍の加熱段階での急速
加熱は、700℃以上の温度へ通電ロールを用いて行
い、雰囲気をP H2 O /P H2 >0.2の湿水素雰囲気
とすることが好ましい。
【0012】(3) 上記(1)或いは(2)によって
得た製品表面には、さらに、光学的、機械的或いは化学
的手段により、磁区細分化処理を施すことによりより一
層磁気特性を向上できる。
【0013】上記のように本発明は、一方向性電磁鋼板
製造の一連の工程で、熱延板焼鈍の冷却条件、および冷
間圧延を一回法で行い、その圧下条件、脱炭焼鈍時の昇
温過程における通電ロールを用いた急速加熱の条件、さ
らには絶縁被膜の処理条件を特定することにより、スト
リップの板形状を良好にすると共に、微細な二次再結晶
粒を形成して、鉄損W17/50 が0.79W/kg以下であ
ると共に磁束密度B8が1.92T以上を目途とする極
めて優れた特性を有する一方向性電磁鋼板を得ることが
できる。さらには、磁区制御を施すことにより、鉄損W
17/50 が0.75W/kg以下を目途とする極めて優れた
特性の一方向性電磁鋼板が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。一方向性電磁鋼板の一連の製造工程において、本
発明は先ず、熱延板焼鈍の冷却過程を80℃/秒以下の
冷却速度で緩冷却する。通常熱延板焼鈍は950〜12
00℃で30秒〜30分の均熱を行ってAlN等のイン
ヒビター成分を固溶し、その冷却過程で微細かつ均一に
再析出させる方法が採用されているが、冷却速度を余り
早くすると(111)面方位が少なくなり、二次再結晶
が不安定になる。それゆえ冷却過程を80℃/秒以下の
冷却速度で緩冷却することでこのような不都合を解消で
きる。
【0015】次いで行う冷間圧延では、熱延焼鈍板を一
回の冷間圧延で最終板厚に圧延し、この際の圧延全圧下
率を88%以上の高圧下として薄鋼板を製造する。通常
冷延圧下率が高いと二次再結晶の生成が不安定になると
共に同結晶方位で圧延面の潜り角が小さくなるが、熱延
板焼鈍時の処理や後述する各処理条件を特定することと
相俟って二次再結晶の発達と方位先鋭性を良好にするこ
とができる。
【0016】冷間圧延されたストリップは脱炭焼鈍に付
され、その加熱過程では通電体ロールを用いて250℃
/秒以上の加熱速度での急速加熱が行われる。通電ロー
ルは各押えロールと対になり、導電性部材で接続された
低温側通電ロールと高温側通電ロールの2対で構成さ
れ、脱炭焼鈍の前、或いは脱炭焼鈍の加熱段階に組込ん
で設置することができる。加熱速度を250℃/秒以上
としたのは、冷延時の高圧下率側で二次再結晶を安定し
て生成させることができ、これ未満では二次再結晶の核
となる一次再結晶後での{110}<001>方位粒が
減少し、微細な二次再結晶粒が得られないからである。
【0017】前述したように、ストリップを通電ロール
で加熱することは知られているが、本発明は磁気特性を
向上させるために、脱炭焼鈍に際して、急速加熱時に用
いる通電ロールの実施条件を適性に選択する。すなわち
本発明は、通電加熱するに際し、低温側ロールと高温側
ロールの間でストリップに適正な板張を付与して適宜延
伸させ、板形状を良好にすると共に磁束密度の向上を図
る。すなわち、全幅方向に亘って平坦化するのである
が、そのためには1.0kg/mm2 以上の張力が必要であ
る。一方、ロール間張力が高くなり過ぎると、一次再結
晶後の集合組織(100)<025>が増加する傾向に
あり、所望の磁気特性が得られない。そのために張力が
4kg/mm2 を超えないようにする必要がある。
【0018】また本発明では高温側ロールに負荷する圧
下力を規制する。すなわち、線圧で1.0〜4.0kg/
mmとする。通電ロールの表面には異物が付着したり磨耗
によって凹凸が形成されることがあり、線圧が小さいと
接触が不均一になりストリップとの接点でスパークを起
こすことがある。これを防ぐために線圧1.0kg/mm以
上の圧下力とすることがよく、また板形状も良好とな
る。しかし、余り大きな線圧を負荷することは、高温加
熱されたストリップは変形抵抗が小さく変形しやすいた
め、形状性に好ましくないと共に二次再結晶生成の安定
性に欠ける。すなわち、一次再結晶後に100面が増加
し磁束密度を劣化させる原因になる。そのために線圧は
4.0kg/mmが限界であり、これを上限とする。
【0019】さらに本発明においては、高温側ロールの
温度を200℃以上にすることによって、通電体加熱さ
れた高温ストリップからの抜熱を抑制し、磁気特性の劣
化を防止する。すなわち、高温側ロールの温度が200
℃に達しない低温では、これと接触する高温ストリップ
が抜熱によって形状変化を起こすと共に、導入される歪
みにより集合組織が変化する。特に二次再結晶の潜り角
度が不足し、磁束密度、鉄損共の向上が図れないからで
ある。高温側ロールの昇温は適宜の加熱手段、例えば誘
導加熱等の手段により行うことができる。
【0020】さらに本発明は、急速加熱中での雰囲気を
特定する。一方向性電磁鋼板の製造工程での脱炭焼鈍工
程では、磁気時効を起こさない炭素含有量である20pp
m 以下にまで脱炭しなければならない。そのためには、
脱炭焼鈍前の加熱段階で鋼板表面に形成される緻密な酸
化層の形成を抑制し、脱炭焼鈍時炭素と酸素との反応を
抑制しないようにしなければならない。
【0021】従来、加熱段階での雰囲気に関しては、前
述したように特開平7−62436号公報に記載された
P H2 O /P H2 ≦0.2が開示されている。しかし、
急速加熱処理を施す場合、この雰囲気では、鋼板表面に
形成される緻密な酸化層の形成を十分に抑制することが
できない。本発明は上記問題を解決するため、急速加熱
処理をP H2 O /P H2 >0.2の湿水素雰囲気とし、
鋼板表面に形成される緻密な酸化層の形成を抑制し、脱
炭性を良好なものにする。上限は特に規定しないが4.
2以下とすることが好ましい。なお、加熱温度は700
℃以上とするのがよい。それ以下では一次再結晶の生成
が開始されないからである。
【0022】高温仕上焼鈍後、ストリップ表面には絶縁
被膜を形成するコロイダルシリカ、燐酸マグネシウム、
クロム酸を主体とする塗料を2〜6g/m2 を塗布し、
焼付け処理を行って張力を付与し、特性の向上を図って
いるが、この焼付け処理に際し、焼付け時板張力を0.
8kg/mm2 以下とする必要がある。すなわち、この張力
が大きいと二次再結晶のβ角(圧延面に対して潜る角
度)が小さくなり(1゜以下)、磁性特に鉄損の向上が
図れない。そのために0.8kg/mm2 以下とする。 得
られた製品には、一層の磁気特性、特に鉄損の改善が図
るため、表面に磁区を細分化するための処理を施すこと
ができる。磁区を細分化する方法としては、それ自体公
知の、レーザ等の高エネルギーを用いる光学的方法、線
痕等を付ける機械的方法、腐食痕を付ける化学的方法な
どがあり、いずれの手段によってもよい。
【0023】本発明は上記した処理条件を全て満足し、
これを一方向性電磁鋼板の製造工程に組み込むことによ
り、極めて優れた鉄損特性が得られる。
【0024】以下に本発明の製造工程をさらに詳細に説
明する。先ず鋼成分の限定理由は下記の通りである。C
の含有は0.10%以下とする。これ以上多くなると脱
炭所要時間が長くなり、経済的に不利となるからであ
る。Siは鉄損を良くするために下限を2.5%とする
が、多過ぎると冷間圧延の際に割れ易く加工が困難とな
るので7.0%を上限とする。
【0025】さらに、一方向性電磁鋼板を製造するため
に、通常のインヒビター成分として以下の成分元素を添
加するインヒビターとしてMnとSを添加する。Mn
は、MnSの適当な分散状態を得るため、0.015〜
0.15%とする。SはMnS,(Mn・Fe)Sを形
成するために必要な元素で、適当な分散状態を得るた
め、0.001〜0.05%とする。Sの代わりにSe
を添加しても良く、また両方添加しても構わない。
【0026】さらに、インヒビターとして酸可溶性Al
とNを添加する。酸可溶性AlはAlNの適正な分散状
態を得るため0.01〜0.04%とする。Nも、Al
Nを得るため0.003〜0.02%とする。その他、
Cu,Sn,Sb,Cr,Bi,Moはインヒビターを
強くする目的で1.0%以下において少なくとも1種添
加してもよい。
【0027】次に、上記したような成分を含有する溶鋼
を通常の鋳塊鋳造法または連続鋳造法で鋳片とし、これ
を熱間圧延して中間厚のストリップを得る。また、スト
リップ鋳造法も本発明に適用することも可能である。
【0028】次に、熱延板焼鈍を施した後、1回の冷間
圧延により最終製品厚のストリップを得る。熱延板焼鈍
は950〜1200℃で30秒〜30分の焼鈍を行うこ
とが望ましく、該焼鈍に冷却は上記したような緩冷却を
行う。また、冷延は前述の通り全圧下率88%以上で行
う。なお、冷間圧延工程では、冷間圧延中に複数回のパ
スにより各板厚段階を経て最終板厚となるが、磁気特性
を向上させるため、そのパスの少なくとも一回以上の途
中板厚段階において、鋼板に100℃以上の温度範囲で
1分以上の時間保持する熱効果を与える処理をすること
ができる。
【0029】以上の最終製品厚まで圧延されたストリッ
プには脱炭焼鈍を施す。この脱炭焼鈍の昇熱過程では、
前記した雰囲気中で通電ロールを用いて行われ、再結晶
が開始される700℃以上の温度へ急速加熱する。通電
ロールの実施条件は前記した通りである。
【0030】急速加熱されたストリップは、湿水素雰囲
気中で脱炭焼鈍を行う。このとき製品での磁気特性を劣
化させないために炭素は20ppm 以下に低減されなけれ
ばならない。ここで、熱延でのスラブ加熱温度を低温と
し、AlNのみをインヒビターとして利用するプロセス
の場合は、アンモニア雰囲気中で窒化処理を付加するこ
ともある。
【0031】さらに、MgO等の焼鈍分離剤を塗布し
て、二次再結晶と純化のため1100℃以上の仕上げ焼
鈍を行うことで、フォルステライトなどの良好な皮膜を
鋼板表面に形成した微細な二次再結晶粒を得る。
【0032】上記したフォルステライトなどの皮膜の上
に、さらに絶縁皮膜を塗布することにより適正な板張力
が付与され、極めて低い鉄損特性を有する一方向性電磁
鋼板が製造される。以上の磁気特性は、後の歪み取り焼
鈍を施しても、変化しない低鉄損を保持している。な
お、得られた製品で、さらに鉄損を良好にするため、上
記一方向性電磁鋼板に、磁区を細分化するための処理を
施してもよい。
【0033】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。C:0.0
78%、Si:3.25%、Mn:0.08%、P:
0.01%、S:0.03%、Al:0.03%、N:
0.009%、Cu:0.08%、Sn:0.1%、残
部が実質的にFeよりなる連続鋳造法で製造したスラブ
を熱間圧延して熱延板とし、該熱延板を1100℃×2
分の焼鈍を施した後、途中段階で220℃×5分間保持
する処理を挿入する1回の冷間圧延工程で板厚0.22
mmの冷延板を製造した。
【0034】この冷延板を840℃×180秒の脱炭焼
鈍を行い、焼鈍分離剤塗布後、仕上げ焼鈍を1200℃
×24時間施した。
【0035】脱炭焼鈍の昇熱過程での急速加熱は水素+
窒素雰囲気とし、各種の条件で2対の通電ロールで行っ
た。表1に各工程の条件と、得られた製品の磁気特性
(磁束密度B8 と鉄損W17/50)を示した。
【0036】
【表1】
【0037】表1において条件3および4は本発明例で
あり、1,2,5〜13は比較例である。条件1,2は
冷延圧下率が本発明外であり、条件5は熱延焼鈍の冷却
条件が本発明外であり、条件6は通電ロール法でなく、
条件7,8は急速加熱速度が本発明外であり、条件9は
通電ロール間張力が、条件10は通電ロールの線圧、条
件11は高温側通電ロールの温度、条件12は急速加熱
の雰囲気、条件13は絶縁被膜焼付け時の板張力が夫々
本発明と範囲外となっており、いずれも磁束密度、鉄損
共に低い。すなわち、本発明の上記した条件が一つでも
外れると目的とする特性が得られない。
【0038】これに対して、本発明条件をすべて満足す
る条件3,4は、磁束密度B8 が1.93(T)以上、
鉄損W17/50 が0.78(W/kg)以下と極めて優れて
いる。さらに条件4にレーザ処理による磁区制御を実施
した場合には、B8 :1.930T、W17/50 :0.7
05W/kgという極低鉄損の製品が得られた。すなわ
ち、本発明の規定した条件が1つでも外れると良好な結
果が得られないことが分かる。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、熱延板
焼鈍により、インヒビターを有効に生成させ、高圧下冷
延により、二次再結晶の不安定化傾向、特に潜り角度を
適正にできない不利益を、急速加熱条件の特定、さらに
は、絶縁皮膜による張力付与によりこの影響を除去し、
すなわち各工程条件を最適にすることにより、極めて優
れた鉄損特性を有する高磁束密度一方向性電磁鋼板を製
造することができるので、産業上に貢献するところが極
めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−212262(JP,A) 特開 平7−62438(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 9/46 501 H01F 1/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で、C:0.10%以下、Si:
    2.5〜7.0%ならびにMn:0.015〜0.15
    %、SまたはSe:0.001〜0.05%、酸可溶性
    Al:0.01〜0.04%、N:0.003〜0.0
    2%を含み、残余はFeおよび不可避的不純物よりなる
    スラブを出発素材として一方向性電磁鋼板を製造する方
    法において、前記スラブを通常の方法で熱間圧延し、こ
    の熱延板を900℃以上の温度で焼鈍し、その冷却過程
    で80℃/秒以下の冷却速度での緩冷却を行い、次いで
    全圧下率が88%以上での一回冷延法によりほぼ最終製
    品板厚とし、この圧延されたストリップを脱炭焼鈍する
    に際し、その昇温段階での急速加熱を、P H2 O /P H
    2 >0.2の湿水素雰囲気にすると共に、加熱速度が2
    50℃/秒以上となるように2対の通電ロールを用いて
    行い、かつ、該通電体ロールにおける低温側ロールと高
    温側ロール間の板張力を1.0〜4.0kg/mm2 、高温
    側ロールでの圧下力を線圧で1.0〜4.0kg/mm、高
    温側ロールの温度を200℃以上にして実施し、引き続
    いて脱炭焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を塗布してから高
    温仕上焼鈍を施し、該ストリップに絶縁被膜を塗布し焼
    付け時板張力を0.8kg/mm2 以下にして焼付け処理を
    することを特徴とする鉄損特性の極めて優れた高磁束密
    度一方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 脱炭焼鈍の加熱段階での急速加熱を、7
    00℃以上の温度へ通電ロールを用いて行い、雰囲気を
    P H2 O /P H2 >0.2の湿水素雰囲気とすることを
    特徴とする請求項1記載の鉄損特性の極めて優れた高磁
    束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1或いは2によって得た製品表面
    に、光学的、機械的或いは化学的手段により、磁区細分
    化処理を施すことを特徴とする鉄損特性の極めて優れた
    高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
JP08421697A 1997-04-02 1997-04-02 鉄損特性の極めて優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP3456860B2 (ja)

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