JP3920381B2 - タイヤ更生方法及びリムプレート - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、内圧を充填したタイヤを加工、検査する際に、タイヤのビード部を支持するために使用するタイヤ用リムプレートに関するものである。特にチューブレスタイヤを更生する際に、タイヤを偏らない状態でリムプレートにセットして更生する方法とそのタイヤ用リムプレートに関する。
【0002】
ここで、本明細書で用いる用語について説明すると、
「リム径」とは、JATMAの15°深底リムの輪郭に示されるリム径を指す。「リムプレートベース径」とは、上記JATMAの15°深底リムの輪郭に示されるリム径の決め方に準ずるが、各寸法の値は異なる部分がある。
【0003】
【従来の技術】
従来、特にチューブレスタイヤを更生する場合には、タイヤを一対のリムプレートで支持し、このタイヤに内圧を充填した状態で加工、検査などに供している。
【0004】
すなわち、図3は、タイヤの更生工程を示す断面図であり、タイヤのビード部と、駆動軸により回転可能に支持された取付けフランジとの間に、一対のリムプレートを介してタイヤを支持し、この状態でタイヤに内圧を充填して、タイヤを回転させつつそのトレッドを研磨するなどの加工、および種々の検査が行われている。
【0005】
しかるに、タイヤのビード部は、そのビードベースが図示したようにテーパー付きで、タイヤ軸に対して傾斜しているため、タイヤがリムプレートに対して誤って偏った状態でセットされた場合であっても、リムプレートとタイヤのビード部が、全周にわたって接触することから、このタイヤに内圧を充填する際に、内圧が漏れることがなく、かかる不良セット状態に気づかずに、そのまま加工、検査に供してしまうことがあった。
【0006】
タイヤのビード部が図4に示すようにリムプレートに対し正常にセットされている場合には、図6に示したように、トレッドに偏りがなく、そのまま次の工程へ移行可能な加工タイヤを得ることができるが、もしタイヤのビード部が図5に示すようにリムプレートに対し偏った状態でセットされたまま、これに気づかずに加工、検査に供した場合、例えばタイヤを更生するためにトレッドをバフ加工する場合、図7に示したように、トレッドが大きく偏心した不良加工タイヤの発生を招くという問題があった。そこで、特開平6−64403ではタイヤのビード部のビードベースが接触するプレートベースに、その軸方向に延びる溝部を設けて、偏った状態でリムプレートにセットされた場合この溝から空気が抜けてタイヤが規定内圧に達しないようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の手法では、偏った状態でセットされているタイヤが規定内圧に達しないようにしているだけで、偏り自体を防ぐことはできないという問題があり、偏らずにセットするには熟練技能者に頼らざるを得なかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は上記のような従来の有する不具合を解消して、チューブレスタイヤを更生する際にタイヤを偏らない状態でリムプレートにセットして更生する方法とそのタイヤ用リムプレートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のタイヤのビード部を支持し、内圧を充填して更生タイヤの加工、検査をする方法において、ビードヒール部とビードトウ部との中間点よりビードトウ側のビードベース部と、タイヤのビードヒール背面部とのみでリムプレート及び該リムプレートに設けられたプレートベースに接触するようにしてタイヤのビード部を支持して更生タイヤの加工、検査するという方法を採用している。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明のタイヤのビード部を支持し、内圧を充填してタイヤの加工、検査に供するために使用するタイヤ用リムプレートにおいて、ビードヒール部とビードトウ部との中間点よりビードトウ側のビードベース部のみが接触するプレートベースが設けられ、前記タイヤへの内圧充填時に該ビードトウ側のビードベース部とビードヒール背面部とのみで前記タイヤと接触して前記ビード部を支持するという構成を採用している。
【0011】
さらに、上記リムプレートベース径が、上記タイヤの標準リムのリム径の97.7〜98.7%であり、そして、上記リムプレートベースのタイヤ軸に対する傾斜角度が、上記タイヤの標準リムのビードシートのタイヤ軸に対する傾斜角度より小さいと、ビードヒール部とビードトウ部の中間点よりビードトウ側のビードベース部と、タイヤのビードヒール背面部とのみで接触しやすくなり好ましい。
【0012】
チューブレスタイヤは、チューブを使用せずに内圧を充填するため、その標準リムのリム径よりタイヤのビードシート径は小さくしている。このようにしないと、走行中に大きな横方向の力を受けた際、リムとタイヤの間に隙間ができてしまい内圧が抜けてしまう虞があるためである。そして、内圧を充填してタイヤの加工、検査に供するために使用するタイヤ用リムプレートに対しても同様にすることが従来例とされていた。
【0013】
チューブレスタイヤにおいては、標準リムに装着して走行させる場合、6〜9kgf/cm2 という比較的高内圧に充填するため、内圧充填前にリムに対してタイヤが偏ってセットされていても高内圧を充填すると正常にセットされてしまうので問題ないが、ところが内圧を充填してタイヤの加工、検査に供するために使用するタイヤ用リムプレートの場合、安全性と設備の軽量化を考慮して3kgf/cm2 以下程度の内圧しか充填しないため初めに偏ってセットされた場合その後内圧を充填しても正常にセットされないという問題があった。これは、ビードヒール部分の剛性が高く、低い内圧ではビードの周が拡張しないためである。
【0014】
本発明のタイヤ用リムプレートのリム径は、標準リムのリム径より小さく、しかもリムプレートベースのタイヤ軸に対する傾斜角度が、タイヤの標準リムのビードシートのタイヤ軸に対する傾斜角度より小さいので、装着の際ビードの周を殆ど拡張する必要がなく、ビードヒール部とビードトウ部の中間点よりビードトウ側のビードベース部と、タイヤのビードヒール背面部とのみで接触するため初めに偏ってセットされていてもわずかな内圧を充填しただけで正常にセットされる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に従う実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明のタイヤ用リムプレートの実施例を示す幅方向部分断面図であり、タイヤサイズは11R22.5のチューブレスタイヤ用である。タイヤ1はビードヒール部6とビードトウ部7の中間点よりビードトウ側のビードベース部5と、タイヤのビードヒール背面部(ビードヒール部6の背面部)とのみでリムプレート2に接触していることがわかる。このリムプレートのリムプレートベース径は、このタイヤサイズの標準リムのリム径の98.7%となっており、リムプレートベース3のタイヤ軸に対する傾斜角度は10度となっている。
【0016】
一方、上記と同じタイヤサイズ用従来例のリムプレートを示す図2では、タイヤ1はビードヒール6からビードトウ部7にかけて全域でリムプレート2に接触していることがわかる。そして、リムプレートベース径とリムプレートベース3のタイヤ軸に対する傾斜角度は、このタイヤサイズの標準リムに準拠したものとなっている。
【0017】
本発明の効果を確かめるべく、次の試験を実施した。タイヤをまず完全に半径方向の振れと幅方向の振れがないように加工しておき、そのタイヤを、それぞれ10回ずつ本発明のリムプレートと従来例のリムプレートに内圧2.5kgf/cm2 で組みつけ、半径方向の振れと幅方向の振れを測定した。なお、組みつける際は、特別偏りがないようするという配慮はしていない。結果は、表1に示すようである。
【0018】
【表1】
【0019】
表1によると、組みつけた時の振れは改善されており、特に半径方向の振れは大幅に改善されており、熟練者でなくとも正常にタイヤをリムプレートにセットすることが可能となった。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明によると、チューブレスタイヤを更生する際にタイヤを偏らない状態でリムプレートにセットして更生する方法とそのタイヤ用リムプレートを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ用リムプレートの実施例を示す幅方向部分断面図である。
【図2】従来例のタイヤ用リムプレートを示す幅方向部分断面図である。
【図3】リムプレートを用いたタイヤの更生工程を示す断面図である。
【図4】タイヤがリムプレートに正常にセットされた状態を示す断面図である。
【図5】タイヤがリムプレートに偏ってセットされた状態を示す断面図である。
【図6】図4の正常にセットされた状態で加工されたタイヤの断面図である。
【図7】図5の偏ってセットされた状態で加工されたタイヤの断面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ
1A 正常タイヤ
1B 不良タイヤ
2 リムプレート
3 プレートベース
4 ビード部
5 ビードベース部
6 ビードヒール部
7 ビードトウ部
8 トレッド
Claims (4)
- タイヤのビード部を支持し、内圧を充填して更生タイヤの加工、検査をする方法において、ビードヒール部とビードトウ部との中間点よりビードトウ側のビードベース部と、タイヤのビードヒール背面部とのみでリムプレート及び該リムプレートに設けられたプレートベースに接触するようにしてタイヤのビード部を支持して更生タイヤの加工、検査することを特徴とするタイヤ更生方法。
- タイヤのビード部を支持し、内圧を充填してタイヤの加工、検査に供するために使用するタイヤ用リムプレートにおいて、ビードヒール部とビードトウ部との中間点よりビードトウ側のビードベース部のみが接触するプレートベースが設けられ、前記タイヤへの内圧充填時に該ビードトウ側のビードベース部とビードヒール背面部とのみで前記タイヤと接触して前記ビード部を支持することを特徴とするタイヤ用リムプレート。
- 該リムプレートベース径が、該タイヤの標準リムのリム径の97.7〜98.7%であることを特徴とする請求項2記載のタイヤ用リムプレート。
- 該リムプレートベースのタイヤ軸に対する傾斜角度が、該タイヤの標準リムのビードシートのタイヤ軸に対する傾斜角度より小さいことを特徴とする請求項2乃至3記載のタイヤ用リムプレート。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3920381B2 (ja) |
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1996
- 1996-09-13 JP JP24320896A patent/JP3920381B2/ja not_active Expired - Fee Related
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